コラム

2019/02/20
尋常性白斑

尋常性(じんじょうせい)白斑(はくはん)について

白斑とは突然皮膚の色が抜け、白い斑点ができるものです。

白ナマズなどとも呼ばれたりします。

白斑は後天的なもの(遺伝的ではない)で、発症は子供から高齢者までの幅広い年齢層に発症します。

美容的な皮膚の問題以外身体への影響はない病気ですが、三大難治皮膚病とも言われなかなか治りにくい皮膚病です。

 

皮膚疾患は症状としては表面に出ていますが、西洋医学的にみても、中医学的にみても免疫や臓腑との関係が深いものがたくさんあります。

中国では西洋学的な治療だけでなく、中薬(漢方薬)と針を中心として治療する病院もあり、皮膚疾患でも身体全体を治療して病気を治療しています。

 

 

<西洋医学的な白斑病の考え方>

 

白斑病は始めのうちは、親指の先ほどの小さな白い斑点(白斑)が2~3個できます。

そして次第に数が増え、範囲が広がっていきます。

白斑病はA(汎発型または進行性)白斑とB(神経分節型)白斑の2つに分類します。

それぞれ経過と予後が異なりますので分けてお話していきます。

 

A(汎発型)白斑病

 

白斑病は、まず2~3個の指先ほどの小さな白斑から始まります。

徐々に数が増え、放っておくと全身に広がっていきます。

顔面、体幹部、手足などどこにでもできますが、特にシャツの襟で擦れる首やベルトや下着で擦れる場所に左右対称に発症します。

身体の両側、全身にでる。

発症する年齢は、子供から老人までの全ての年齢層にでます。

 

原因――汎発型の場合、自己免疫現象であると考えられています。

本来は免疫機能とは外部から身体に不利益な異物が入ってきたときに、攻撃して異物の力を弱めて排除することですが、このA型白斑の場合は、その免疫機能が自分自身の色素細胞(メラノサイト)を異物と誤って認識して攻撃し、色素細胞が破壊されてしまうために色が抜けてしまったということです。

この自己免疫現象がおこる理由はまだハッキリとはしていませんが、ウィルスによるものや、ストレス、環境の変化などが原因であると推測されます。

白斑が進行して広がる原因としては、お風呂で身体を過度に洗いすぎたり、また石鹸が残っていたり、お茶やコーヒー、お酒などを飲みすぎたり、衣服のすすぎ残しの洗剤や化学物質などが悪い影響を与えると考えられています。

また、中には甲状腺の機能亢進によるものやリウマチなどの膠原病などが原因になっているものもありますので、皮膚以外に症状がある時は検査が必要です。

 

治療――自己免疫現象の原因がはっきりとしないため、治療法も原因に対する治療ではなく、抜けてしまった皮膚の色素を復活させる対症療法になります。

進行性白斑は初期、早期での治療が重要です。

何年もたった白斑病でメラノサイトが完全に壊れてしまってからは、治療効果 は期待できません。

 

ステロイド療法…初期にはステロイド外用薬に反応して色素再生がおこります。

また、白斑が増加拡大する時にステロイド薬を服用すると進行を停止、色素再生させる効果 があります。

 

紫外線照射:PUVA(プーバ)療法…PUVAとは光感作物質であるソラレン(Ppsoralen)を外用または内服して、その後で長波長紫外線(UVAultraviolet A)を照射する治療法です。

毛嚢(もうのう)に残っているメラノサイトを刺激して色素産生を促す方法なので、毛嚢のない部分での治療効果 は低い。

過剰照射による副作用の注意や、適切な目の保護などが必要なため専門医での治療が必要です。

 

これらの治療法は併用しても行われます。

それぞれ3~4ヶ月で効果がなければ中止します。

 

レーザー療法…レーザーにはエネルギーの種類や密度によって、特定の細胞を狙って細胞を破壊したり、逆に活性化したりする作用があります。

やはりメラノサイトに働きかけ細胞を活性化させます。

ステロイドやPUVAよりも身体にかかる負担は少なくなりますが、レーザーの種類によっては保険適応外になるため、専門医との相談、治療が必要となります。

 

いずれの治療にしても、白斑の場所を目立たないようにする対症療法ですが、根気よく治療する必要があります。

 

 

B(神経分節型)白斑病

 

片側の神経の走行に沿って白斑が現れます。

若年に発症しやすい特徴があります。

数ヶ月から数年で神経の分節いっぱいに広がって、その後は同じ状態が続きます。

この神経分節型の白斑の発症の発症はとても少ないです。

 

原因――詳しいことはまだ不明ですが、末梢の神経とメラノサイトがつながっているので、神経からの伝達物質の低下や異常が考えられています。

 

治療――神経分節型白斑は、ステロイド療法や紫外線照射療法の効果 があまりなく、治りにくいのが特徴です。

しかし、発症後数年で進行が止まるのと、神経の支配している範囲に限局されているために皮膚移植が行えます。

 

表皮移植手術…白斑の進行が止まった後、メラノサイトがある正常な皮膚を白斑の皮膚に移植します。

数週間から数ヶ月で正常な皮膚の色に戻っていきます。

 

西洋医学ではこのような分類、治療になります。

治りにくい皮膚病ではありますが、美容的、心理的な問題がある以外は身体の方には実害はありません。

これらの治療で残ってしまったものや、治療の時期を逃してしまったものなどは化粧品で色をつけることになります。

 

 

<中医学的な白斑病の考え方>

 

白斑病は中医の中では「白癜(しろなまず)」「白癜風(はくでんぷう)」「白駁(はくばく)」などと呼ばれています。

 

中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。

西洋医学では自己免疫が原因と考えられていますが、中医学でも外的な影響もありますが、身体全体の病的状態が皮膚にも影響して皮膚病が起こると考えます。

身体が疲れたり、夜更かししたりすると肌が荒れたり、身体にあわない物を食べると湿疹が出たりするのは誰でも一度は経験があるとおもいます。

中医学の皮膚病に対する考え方は一見難しそうにも見えますが、実はとても自然で一般 的な理論です。

中医学での治療方法としては、針治療と生活での注意点を紹介します。

 

 

皮膚病を起こす原因(白斑と関係の深いもの)

 

皮膚は身体の中で最も大きく、また複雑な器官であります。

身体を外界の風、寒、湿、熱等の外邪から防御したり、汗を排泄して体温調節をしたりします。

中医学では皮膚も臓腑と経絡によりつながっていると考えていますので、病気になる原因として、外界の邪気の影響と身体の臓腑の気血のバランスがくずれてしまっても皮膚病の原因になると考えます。

 

「わかりやすい東洋医学理論」の中にも説明がありましたが、病気を起こす原因として外因(六淫)、内因(七情)、それ以外の不内外因があります。

 

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火()があります。

季節、気候が正常な状態であれば身体に悪い影響はないのですが、急や異常な気候の変化があったり、季節外れの気候だったりすると身体に悪い影響があり病気になりやすくなります。

 

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。

中医学では自然界の中で起こることは体内でも起こると考えます。

臓腑の働きが悪くなると身体の中でも六淫のような邪気が発生します(身体の中でも熱くなったり、寒くなったり、風が吹いたりするということです)

 

不内外因としては過度の労働による疲れや、過度な不労や安静、飲食の不摂生、過度の性行為、寄生虫、毒などがあります。

 

これらが原因となり、そして体質(遺伝的要素)や気候、食事等々のバランスが取れなくなってしまったりすると臓腑のバランスをくずし病気になります。

 

皮膚病が起きる原因になる病因には、内因や外因による風邪、湿邪、熱邪、毒、虫などが主要な病因になり、そして血オ(血の流れが悪くなり滞った状態)、血虚風燥(血が足りなくなって風邪や燥邪に犯された状態)、肝腎不足(肝と腎の臓腑の気が不足している状態)、脾胃虚弱が病理の基礎になると考えられています。

 

 

白斑に関係の深い邪気、臓腑の説明

(ふう)について

風は陽邪で、その性質は開泄で、陽位 (上方)を侵し易い;開泄とは汗腺を開いて汗をかくこと。

風は行き先が定まらず、よく変化をする。

風は全ての病気の長:他の邪気と結合し易い、他の邪気の先導者である。

風邪は外邪で皮膚の隙間から入り込み皮膚病をおこす。

 

()(ねつ)について

火熱は陽邪で、その性質は炎上する…上方に燃え上がるイメージです。

高熱、悪熱(熱がる)、煩渇(とてものどが渇く)、汗をかく、脈が力強く振れるなどの症状がでます。

火は気を消耗しやすく、津液を傷付けます。

火は風を生み、血を動かします。

火は腫瘍をつくる。

 

湿について

湿は重く、汚くにごる性質をもつ。

湿は粘滞の性質をもつ。

湿は下降して陰位を侵しやすい。

湿は陰邪で、気の流れを阻滞し、陽気を損傷する。

 

肝の機能は

蔵血作用…血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用。

疏泄作用…気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。

血は皮膚を栄養する時にとても重要です。

 

腎の機能

蔵精作用…精を蔵す。成長、発育、生殖を主る。腎精は血に化生することもできる。

水を主る…水液代謝を主る。

納気作用…呼吸を調整する。吸気を主る。

では、これからどのような病因と病機(メカニズム)と治則を考えていきます。

 

 

<弁証論治(中医学診断と治療)

 

白斑病は中医学では内因と外因が相互に作用した結果発病すると考えます。

気血の不足や調和が取れなくなり、皮膚の栄養ができない状態の時に風邪に侵されてしまうことが主な原因です。

 

血熱風熱(ケツネツフウネツ)

 

原因と病機――風邪が皮膚の間に挟まり込み経絡を侵す。また、長期にわたると風邪が熱化して血に入り血熱になる。風熱、血熱の邪気により経絡の流れが滞り、また熱により血を煮つめてオ血状態になり、皮膚を栄養できなくなり白斑が発症する。

 

症状――白斑病の急性期に相当する。発病は急で、皮膚過敏があったりする。白斑は少し赤みを帯び、徐々に増えていく。正常な皮膚との色の境界が不明瞭で、顔面 部など身体の上方から起こる。皮膚に軽い痒みが出ることがある。

その他に口渇、舌が赤くなる、舌苔が黄色くなる等々。

 

針治療――涼血活血、精熱袪風

     (血の熱を冷まし、血を経絡に正常に巡らせて風邪を取り去る)

 

 

風湿(フウシツ)

 

原因と病機――風邪と湿邪が合わさって皮膚の間に挟まり込み経絡を侵す。または内湿が風邪を感受して起こる。風湿が皮膚の気血の流れを阻んでしまい、気血が皮膚を栄養できなくなり白斑を発病する。

 

症状――白斑病の急性期に相当する。正常な皮膚との色の境界が不明瞭で、顔面 部或いは全身に起こる。

その他に頭痛、悪風、身体が重く感じる等々。

 

針治療――袪風除湿、和血通絡

     (風邪を取り去り、湿邪を除き経絡を通し血の流れを正常にする)

 

 

気滞オ血(キタイオケツ)

 

原因と病機――風邪が皮膚の間に挟まり込み経絡を侵すとそこの気血の流れは悪くなる、長期になると気滞(気の流れが滞る)になり、オ血(血の流れが悪くなる)になる。

または精神刺激があったり、イライラしたりして肝気の流れが悪くなり、気の流れが滞るとオ血になり、結果 皮膚で気血不和や血が皮膚を養えなくなり、悪くなったところに風邪が侵入して白斑になる。

 

症状――大小不規則な白い斑点ができる。情緒の変化によって白斑が広がる。白斑は白色か乳白色。皮膚の色の境が不明瞭。わき腹が張る。怒りやすい。舌の色が暗くなる。等々。

 

針治療――行気活血、袪風

     (気血に流れをつけ滞りを解消し、風邪を消滅させる治療)

 

 

肝腎陰虚(カンジンインキョ)

 

原因と病機――七情による内傷や過労、長期の病期などにより精血を損なった結果 、肝陰や腎陰不足をおこす。

肝は血を蔵し、腎は精を蔵す。

精血は互いに転化するため、また源は同じであるため“肝腎同源(カンジンドウゲン)”と呼ばれる。

このことから、肝陰が不足すると腎陰不足を引き起こし、逆に腎陰が不足しても肝陰不足を起こす。

肝腎陰虚により気血不和が起こり、皮膚が栄養できなくなる。そこに風邪が侵入してきて白斑になる。

 

症状――固定期に相当する(長期)。白斑が固定してくる。正常な皮膚との色の境界がはっきりしている。白斑の中の毛も白色になる。

その他に顔色が悪い、めまい、耳鳴り、腰や膝がだるく力がない、寝汗等々。

 

針治療――滋養肝腎、調和気血、袪風(ジヨウカンジン、チョウワキケツ、キョフウ)

(肝腎の陰液を養い、気血を調和させ、風邪を取り去る治療)

 

 これらの証は いろいろな証が同時に発症することがあります。

 

生活上の注意点

日光に当たり過ぎないように注意する――白斑の皮膚は紫外線により容易に皮膚炎を起こしやすくなるので過度の日焼けに気をつける。

ストレスに気をつける――過度のストレスは白斑の進行を早めてしまいます。ストレスを避けるのは難しいこともありますが、ストレスを感じる時は休息をしっかりとるようにする。

疲れすぎないように気をつける。

刺激物との接触を避ける――石鹸、洗剤、シャンプーなどは刺激の強い化学物質を避ける。

刺激のある嗜好品を控える――タバコ、お酒、辛いものなどは控える。

 

<まとめ>

白斑病は色素脱落以外の症状がない皮膚病です。

しかし、難治性で美容的な問題からのストレスは大きいと思われます。

早期の治療が肝心ですので、白斑が発症してしまった場合はほったらかしにせず、速やかな治療と生活の改善必要です。

針治療は皮膚を直接治療するというよりも、白斑を起こす身体の問題を診断し治療します。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより

一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

2019/02/20
寝違い

朝目が覚めたときに首に痛みが出ていて、とくに動かすと痛みが増すといった経験をされたことはないでしょうか?

このような状態をいわゆる「寝違い」と言います。寝違いとは医学用語ではなく首周辺の靭帯や筋肉の急性炎症による痛みの総称としてとらえたほうが良いかと思います。

 

原因

不自然な姿勢で眠り続けたときに起こります。

通常は首に痛みが生じたり、違和感を覚えた場合には目が覚めたり、無意識のうちに首の姿勢を変えますが、疲労や睡眠不足、あるいは泥酔状態で寝てしまうとこれらの反応がなくなり、不自然な姿勢で寝続けることがあります。

または、窮屈なソファーで寝たり、いすに座ったまま不自然な姿勢で寝てしまったときに起こります。

 

治療として

軽いものならばシップや消炎鎮痛剤を使って安静にしますが、重い場合にはカラーで固定していく場合もあります。

その他には電気療法や温熱療法も用いるケースもありますが、だいたいは2~3日から1週間で症状は治まります。

 

 

中医学的観点から

中医学では寝違いは「落枕」と言います。枕から落ちるなんてなんとなく想像できますよね。急性で、単純に頚部の筋肉がこわばって痛み、運動範囲の制限などが出る状態を言います。

 

原因として、睡眠時の姿勢が悪い、枕の高さが合わない等で頚部の筋肉に長時間にわたってストレスが加わるとおきます。

また風寒を感受(冷えた)したために局部の経脈の気血が滞り、頚部がこわばって痛むこともあります。

 

「風寒」とは→中医学では外から体の中に入ってきて様々な病気を引き起こすものを「外邪」といいます。

「外邪」には「風」、「暑」、「湿」、「燥」、「寒」、「火」と六つの異なったタイプのものがあります。

その中でも「風」は陽の性質をもち上向き、外向き、また上半身を傷つけやすくなってます。また、ほかの「外邪」と連合しやすく、特に「寒」と結びつく場合には痛みとなってあらわれやすいです。

「寒」は筋肉を引きつらせたり、ひとつの場所にとどまって痛みを引き起こす性質があるからです。

 

「経脈」とは→人の体には「気血」を巡らすためのルートが存在します。

メインとなる大きいルートはそれぞれ14本。その中には首周辺にいっているものもあります。

 

「気血」とは→「気」とは人が生理活動を行う際に必ず必要となるエネルギー源で、正常ならば絶えず経脈を流れています。

 

「血」とは体の各部を滋養してくれているいわば栄養分です。

内臓、筋肉、皮膚などが正常に潤って働けるのは、この「血」が「気」と一緒に「経脈」を流れているからなのです。

 

治療として、基本的に「じょ筋活絡」、「経絡止痛」という考え方を用います。 これはこわばった筋肉をゆるめてそこを通っている「経脈」を通し、その「経脈」の中に「気血」が巡るようにすることです。

中医学では「気」が巡らなくなると「不痛則痛」(通らぬものすなわち痛む)という状態になるので、そこを改善するわけです。

治療で使うツボとしては、首周辺のこわばっている場所だけではなく、先ほども出てきたように首周辺を走る「経脈」は、手や背中のほうにも行っているのでそこの反応点や経験穴を使います。そして、あまりに痛みが強く首が回らない状態では、手の甲に「落枕」という特効穴があるので、そこを鍼で刺したまま徐々に首を動かして痛みが緩んできたところで、ほかの場所に鍼を刺していきます。

また「風寒の邪」のが入っている場合には、体を温める作用のあるツボをプラスしてあげると良いでしょう。

 

寝違いの予防としては、普段から自分に合った枕を使うということ。ソファーや机に寝ないように気をつける。暑い夏の季節、クーラーには注意をしてあまり首を冷やさないということも大事です。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
食欲不振

食欲”とは、食べ物の摂取、エネルギー消費、排泄という生理作用を円滑に営み、生命を維持する為の“本能的食欲”と、視覚・味覚・触覚・嗅覚・聴覚などの感覚器からの刺激によって生じる“精神的食欲”があります。

それらの食べ物への欲求が低下・消失した状態を“食欲不振”といいます。

何故食欲がなくなるのか、現代医学と中医学の視点から、それぞれ説明してみたいと思います。

 

 

【現代医学的な捉え方】

空腹状態にありながら、食べ物に対する欲望が起こらない状態を“食欲不振症”といいます。

食べ物を摂取するのは、空腹感と満腹感のバランスによるものであり、大脳の視床下部にある食欲中枢によってコントロールされています。

食欲中枢には、満腹を感知する満腹中枢と、空腹を感じる摂食中枢があります。

人間の体は、血糖(血液中のブドウ糖の量)が下がると摂食中枢が刺激されて食欲が起こります。

空腹による“胃の飢餓収縮”も食欲に関与しています。飢餓収縮とは、胃内が空の状態で時間が経過すると、胃は収縮を起こします。これを飢餓収縮といいますが、この収縮が起こると胃に分布している迷走神経(副交感神経)を通 して摂食中枢に伝えられて空腹感を感じます。

食後に血糖が上がると満腹中枢が刺激されて満腹感を感じます。また、食べ物を十分に摂ると胃が伸張されて、この刺激が迷走神経を通 して満腹中枢に伝えられて摂食中枢を抑制します。

そして食欲は、情緒や食べ物の記憶、視覚、嗅覚などの影響を強く受けます。

食欲不振は、消化器疾患に最も頻繁に認められる症状です。慢性胃炎、胃ガンなどの胃疾患のほか、急性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、慢性胆嚢炎などほとんどの消化器疾患でみられます。一般 に、低酸状態(胃酸の塩酸分泌量が低下した状態)が多く、随伴症状である悪心・嘔吐・下痢・下血・腹痛などを参考にして原疾患を診断していきます。

対症療法として、苦味薬、芳香性健胃薬や消化薬が用いられます。

苦味薬”とは、苦味によって舌の味覚神経末梢に作用して、反射性に唾液・胃液の分泌を促します。ゲンチアナ・オウバク・オウレン・センブリ・ホミカなどがあります。

芳香性健胃薬”とは、芳香(におい)によって嗅覚を介する反射と、胃粘膜に対する刺激作用によって、胃の分泌機能を高めて胃腸管の運動を促します。トウヒ・ウイキョウ・ケイヒなどがあります。

消化器疾患の他に、内分泌疾患・腎疾患・循環器疾患・高度の貧血・薬剤の副作用・神経性因子などでも食欲不振は引き起こされます。

 

 

 

【中医学的な捉え方】

最初に、中医学的な人体の考え方について説明します。

人体には“気・血・水”と呼ばれる「人体を構成して生理活動を活発化させる基本的物質」が巡っています。

 

~気・血・水について~

気・・・

気は体内を流れるエネルギーの1つです。消化・吸収・排泄を正常に行なう、血を巡らせる、体温を保つ、ウィルスや細菌から体を守る、内臓を正常な位 置に保つなど、体の生理機能を維持する働きがあります。

 

血・・・

いわゆる“血液”という意味のほか、“気”とともに体内を流れて、内臓や組織に潤いと栄養分を与え、また精神活動(気持ち・気分・情緒・感情)を支える物質でもあります。

 

水・・・

体内を潤すのに必要な水分のことです。胃液・唾液・細胞間液・リンパ液・汗なども含まれます。体表近くの皮毛・肌膚から、体内深部の脳髄・骨髄・関節臓腑までを潤します。

気・血・水の生成や代謝は“五臓六腑”と呼ばれる臓器によって行なわれます。

五臓と六腑は、よく一緒に語られますが役割は異なります。

六腑は、“胃・小腸・大腸・膀胱・胆・三焦”の総称です。

六腑というのは、水穀(飲食物)を消化して、身体に有益な物質である“水穀の精微”(これが気・血・水の生成材料になります)と、不必要な物質である糟粕(カスのことです)とに分け、“水穀の精微”を五臓に受け渡し、糟粕を大・小便に変えて排泄を行なう臓器です。

六腑のうち、口から摂取された水穀が最初に運ばれる臓器が“胃”です。

胃が水穀を受け入れて(これを受納といいます)、消化し(これを腐熟といいます)、消化物を下方の臓器に渡す(これを和降といいます)という3つの働きをします。

小腸は、胃の下にある臓器で、胃で消化された水穀を人体に有益な“水穀の精微(清)”と“不要な糟粕(濁)”とに分別 します。

そして分別した“清”を脾に運び、“濁”をさらに水分とそうでない物に分けて膀胱と大腸に移します。大腸と膀胱は“濁”をそれぞれ大・小便にして排泄します。

また、胆は肝で生成された胆汁を小腸に分泌して、消化を助けています。

三焦は、臓腑機能を統轄して、水分や気を運行させる通路の働きをしています。

五臓”は“肝・心・脾・肺・腎”の総称です。

五臓は、六腑から水穀の精微を受け取り“気・血・水”を生成し貯蔵する臓器です。

 

 

~五臓について~

肝・・・

肝は血を貯蔵する働きのほか、全身の“気”のめぐりをコントロールして、精神・情緒を安定させる作用や、筋肉・目の働きを維持する働きがあります。

 

心・・・

血を全身に送り出すポンプの作用のほか、脳の働きの一部を担っていて、情緒や感情といった“こころ”とも関係が深い臓器です。心の機能が充実していると精神状態が穏やかで、情緒が安定し、思考能力も活発になります。

 

脾・・・

消化に関わる機能すべてを含んだ臓器です。食べたり飲んだりしたものを、体の役に立つエネルギー(気)に変える役割があります。また、血を脈外に漏さないようにする働きや、味覚をはじめとする口の生理機能を維持する働きもあります。

 

肺・・・

肺は呼吸を行ないます。きれいな空気(清気)を体内に取り入れ、汚れた空気(濁気)を体外に出す働きがあります。

また、皮膚や口、鼻などの体表面に細菌やウィルスや有害物質などから体を守るエネルギーのバリア(衛気という気)をはりめぐらせて感染症から守る働きもあります。

 

腎・・・

腎には体内の水分代謝をコントロールして不必要な水分を尿として排泄させる作用があるほか、成長・発育・生殖・老化に深くかかわる“精”を蓄える臓器でもあります。

 

 

精とは・・・

体を構成する栄養物質や生命エネルギーの総称です。 腎に蓄えられて、人の成長・発育を促進し、性行為・妊娠・出産などの性機能や生殖機能を維持する働きがあります。

そして、気・血が流れる通路として人体の上下・内外を貫いて五臓六腑を交流させている 通路のことを“経絡(けいらく)”と呼びます。

中医学には神経という概念がなく、経絡が循環・伝達系の役割を果たしているといえます。

中医学では、人体は“気・血・水”がスムーズにめぐって、必要なところに必要なだけあり、五臓六腑が正常に機能している状態を“健康”と考え、どこかのバランスが崩れた状態が“病気”と考えます。

鍼灸治療は、崩れたバランスを整えることを目的とした治療法なのです。

バランスを崩す原因(病因)には、外因・内因・不内外因があります。外因とは、外界の環境因子(気候の変化など)、内因は感情や精神状態など、不内外因は食生活や過労などの生活習慣のことです。

これらの病因が、気・血・水のバランスを崩し、五臓六腑の働きを失調させることで病気になると考えます。

中医学独特の診断方法で、何の病因で、気・血・水のいずれが、どのようにバランスを崩し、五臓六腑のどの臓器が、どのように失調したかを見極め(これを弁証といいます)、治療方法を決める(これを論治といいます)ことを“弁証論治”といいます。

では、食欲不振について、弁証論治別(タイプ別)に説明したいと思います。

 

 

●“肝胃不和”による食欲不振

これはストレスを受けたり、緊張したり、イライラや不安などの感情の変化があると 食欲がなくなるタイプです。

肝には気をめぐらす働き(疏泄作用といいます)があり、この働きによって脾・胃の運化 (消化・吸収)作用や、胆の胆汁分泌を促し、消化活動を調整しています。

ストレスなどによって、肝の疏泄作用が失調することで、脾・胃の運化作用が失調します。

そして、胃の受納機能(食べ物を受け入れること)が障害されて食欲不振となります。

ムカムカして食べたくなくなるほか、ゲップ・吐き気・抑うつ感・胸苦しい・胸脇が張って苦しい・病状が感情の変化に関連しているのが特徴です。

(治療方針)

 

疏肝和胃・・・

肝の疏泄を調整すると同時に、胃の受納や和降(食べた物を腸に下ろす働き)機能を改善させる治療です。

 

●“脾胃湿熱”による食欲不振

体内に余分な水分である“湿邪”と、さらに熱の性質を持つ“熱邪”が加わったことで 食欲がなくなるタイプです。

暴飲暴食や、刺激物や、味の濃いもの、アルコールの飲み過ぎ、甘いものの摂り過ぎは、脾の働きを低下させてしまうので、余分な水(湿邪)が体内に滞ってしまいます。

これによって、胃の食べ物を受け入れる働きが低下して、食欲不振となります。

また、食欲不振のほかにも油物や、臭いのあるものを前にすると吐き気がする・胃の辺りが張る・口が粘る・口が苦い・身体が重い・尿が濃くて少ない・便秘あるいは軟便、下痢・おりものが黄色(粘性・有臭)などの症状も見られます。

(治療方針)

 

清化湿熱・益気健脾・・・

胃腸に停滞した湿熱を清化し、脾の運化(消化・吸収)機能を促すことによって、胃の受納機能を改善させる治療です。

 

●“食滞”による食欲不振

食べ物が停滞しているタイプで、一時的な食べ過ぎでよくみられるタイプです。

暴飲暴食や、もともと胃腸の弱い人が疲労時に消化の悪い食べ物を食すことで、飲食物の停滞が起こり、胃の降濁作用(消化した飲食物を小腸に送る働き)が失調します。

胃がスッキリしなくて食べたくない症状のほか、胃の辺りが張って痛い・臭いゲップ・ガスが出る・便秘または下痢などがみられます。

(治療方針)

 

消食導滞・・・

胃腸に停滞する消化物を除去して、運化機能や受納機能を改善させる治療です。

 

●“胃陰虚”による食欲不振

胃が陰液(滋養する水分のこと)不足により、滋潤能力が失調して、咽喉や腸を潤すことが出来ず降濁作用(消化したものを小腸に送る働き)が低下することで起こるタイプの食欲不振です。

空腹感はあるが、食べる気がしないほか、食べるとすぐ満腹感がある、上腹部の灼痛・ 胸やけ・つかえ・便秘・コロコロ便などの症状がみられます。

(治療方針)

 

滋陰養胃・・・

胃を滋養して受納機能を回復させる治療です。

 

●“脾胃虚弱”による食欲不振

過労や、慢性疾患、精神性のもの(思慮過多)などで、脾の気を消耗することで、運化 (消化・吸収)機能が低下して起こるタイプの食欲不振です。

空腹感のないのが特徴で、食べるとすぐに胃が膨満感になる・泥状便(ベットリとした便)、疲労によって症状が増悪などがみられます。

(治療方針)

 

益気健脾・・・

消化機能を改善させる治療です。

 

食養生

日本の夏は、暑さと湿気が特徴です。暑さで汗をかくと共に“気”も消耗します。

そのため、疲れる・だるい・やる気が出ない・・などの夏バテの症状が現れます。

また、湿気によって体内にも余分な水が溜まりやすくなります。この“湿”は胃腸にダメージを与えるため食欲不振や消化不良をまねき、疲れやだるさを悪化させる要因にもなります。

こんな季節は、“気”を補う食材と、余分な水分を出す食材を取り入れてください。

 

気を補う食べ物”

豆類・・・・・

大豆、枝豆

ネバネバ系・・

オクラ、長いも、わかめ、納豆

香りもの・・・

青じそ、しょうが、みょうが、玉ねぎ、セロリ、にんにく

その他・・・・

梅干、しじみ、いか、たこ、うなぎ、ごま、かぼちゃ、酢など

 

余分な水分を出す食べ物”

きゅうり、とうがん、とうもろこし、そば、海草、豆類、香り野菜 など

 

また、この季節は冷房による夏冷えも、体調を崩す原因の1つです。体を温める食材を摂りましょう。

 

体を温める食べ物”

かぼちゃ、ニラ、ねぎ、にんにく、しょうが、赤唐辛子、青じそ など

 

暑さで体に熱がたまった時は、冷たい食事や飲み物を多く摂るのではなく、体の熱を取ってくれる食材(主に旬の野菜)を積極的に摂りましょう。

 

体の熱を取る食べ物”

きゅうり、とうがん、にがうり、トマト、なす、セロリ、もやし、すいか、メロン、豆腐、春雨、そば、 など

 

食欲がない時は、消化器官の働きが低下しています。

よく噛んで、ゆっくり食べる”“冷たい飲み物はゆっくり飲む”“食べ過ぎない(腹八分)”

疲れをためない”“気分転換をする”など、胃腸を労わることが大切です。

また、食欲不振の原因は多く考えられます。安易な自己判断をせずに、長引く時は検査を受けることをお勧めします。

 

 

中医学鍼灸は、一般的な局所治療鍼灸と異なります。

症状のタイプ別や、細かい体質、或は症状の起因を見極め手当てをおこなうところに大きな特徴があります。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
耳鳴り

西洋医学的な耳鳴りの捉え方

 

今日では耳鳴りを完全になくすことのできる薬や決定的な治療法はありません。

最新の治療法としては「TRT療法」が挙げられます。

「TRT療法」とは?

 耳鳴りを「意識しないように訓練する」

そして、「それに慣れる」ということに焦点を挙げた治療法

耳鳴りを知覚しないように訓練する、

つまり、音に慣れるということを焦点に挙げた治療法です。

 

 耳鳴りについては現代医学では原因がよくつかめていません。

根本的な治療法も確立されていないのが実情です…

 

東洋医学的な耳鳴りの捉え方

 

東洋医学(中医学)では…

 

1.体内で生まれた病因物質(邪)によって耳の感覚が妨げられる

2.内臓の機能が衰え、全身の活動に必要な基本物質(気・血・津液)が不足する

 

ことによって耳が正常に機能することができなくなるために、耳鳴りが起こると考えます。

 

 耳などの感覚器(目・舌・唇・鼻・耳)は、それぞれ五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能と密接に関係し、耳は腎と関連が深いと考えられています。

 

中医学の腎とは?

現代医学でいう腎臓の働き以外に、

内分泌(ホルモン)系、脊髄、脳の働きまでひっくるめた幅広い意味があります。

 

中国医学独特の考え方

 

「腎は精を蔵す。精は髄を生じ、脳は髄の海」

腎の精とは?

人間の成長、発育、生殖にとても必要であり、現代医学でいうホルモン系に似ています。

精は、生命力の根源である元気をもたらしてくれます。

よく「精が出るね!!」などと言ったりしますが、この考え方がもとになっているのかもしれませんね。

精は腎臓を介して活性化され、元気というエネルギーを作りだします。

 

骨や髄は精から作られ、髄が集まって脳ができるという考えかたから、感覚器とつながる脳も腎と密接に関係しています。

 

つまり、中医学でいうところの腎のエネルギーは精を蔵し、髄を生み、脳に通 じて耳の働きと関わる臓腑なのです。そして、病気による消耗や老化による腎精の不足が基盤となって、脳が空虚になり、耳鳴りを引き起こすと考えています。

故に東洋医学では(中医学)では、おおもとになっている腎をベースに治療します。

 

耳鳴りの原因を診断するには?

 

 耳鳴りの症状は耳に集中して現れますが、

中医学ではその病因の多くは、 

内臓の失調(肝・心・脾・肺・腎)にあると考えています。

 この為、耳鳴りを診断する際に耳以外の部位も観察、診断しなければ、よい治療効果 を得ることができません。

 

 耳鳴りをタイプ別に区別すると…

虚・実という2つのタイプに分類することができます。

 病因物質によって起こる耳鳴りは「実」

 基本物質の不足によって起こる耳鳴りは「虚」

 

更におのおの2つの計4つに分類することができます。

 

タイプ1.肝火による耳鳴り(肝火上炎)……実

 

 肝の内臓の失調が欝結しているタイプの人です。

肝の気の欝結状態が続くと…

火を生みだす原因のひとつになります。

肝の気は、スムーズに流れるのを好みます。流れがスムーズでなくなると、欝結(気の渋滞)を引き起こし、それが長引くと熱化します。これが火を生み出す過程になります。

火には上昇の性質があり、昇発(肝の機能形態。春になると若芽がすくすくと伸びるように体の上部や外方に向かって機能を発現させます)を主る肝の火はさらに上昇しやすくなり、頭部の症状が最も多く現れます。

 

主な症状

・ 耳鳴りの症状は情緒の変化に左右されやすい

・ 気分が滅入ったり、激怒などにより急激に起こる

・ 耳が張ったり、耳痛がある。

随伴症状

口が苦い・目が赤い・便秘・尿が赤いなど

 

タイプ2.痰火による耳鳴り(痰火欝血)……実

  

栄養の代謝が悪くなるタイプの人です。

油もの、飲酒等の過食などで食生活の不摂生が脾の機能を失調させてしまい、代謝が悪くなり基本物質の1つである津液の流れが滞り、粘液性の病因物質に変わります。

 

中医学の脾とは?

 脾の働きは口の中に入った食べ物が胃に届くと、胃は食べ物を更に細かくします。その栄養物を消化吸収して血に変えて全身へ運ぶ準備をします。血を運ぶだけでなく秩序を保ちながら正常に運搬されるように支持します。脾は湿気などを嫌がる性質を持っています。西洋医学の脾臓とは違って主に、消化吸収機能、栄養代謝機能を担う重要なところです。

 

主な症状

・ 重く濁った音がする。

・ 耳が閉塞してはっきり聞こえずらい

随伴症状

口が苦い・口が粘る・めまい・頭重感・大小便がすっきりしないなど

 

タイプ3.腎精虚損による耳鳴り(腎精虚損)……虚

 

生命のエネルギーのおおもとが不足するタイプの人です。

 

腎の衰えからくる虚証の耳鳴りはジージーとセミが鳴くような小さな音が持続し、周りが静かになった夜間など、特に気になるといった特徴があります。この他、眠りが浅い、のぼせ、イライラ感、といった症状を伴うこともあります。

主な症状

・ 蝉の鳴くような低い細い音の耳鳴りがする

・ 夜になると耳鳴りがひどくなる

随伴症状

不眠・聴力の低下・腰や膝がだるく力が入らない

 

タイプ4.脾胃虚弱による耳鳴り(脾胃虚弱)……虚

 

消化吸収力が低下してしまっているタイプの人です。

 

虚弱体質や過労、ストレス、食生活の乱れなどによって脾胃の消化吸収力が低下すると

栄養分を全身に送り出す力が不足してしまいます。

耳が栄養不足になって起こってしまう耳鳴りです。

 

主な症状

・ 疲労で耳鳴りが憎悪。休むと良くなる

・ 立ち上がったり、かがんだりするときに憎悪

・ 耳の中が空虚になる感じや冷える感じがある

随伴症状

倦怠感・脱力感・めまい・腹部膨満感・食欲減退・下痢しやすいなど。

 

耳鳴りにもさまざまなタイプがあることが少し理解して頂けたでしょうか?

中医学はお一人お一人の症状に合わせて治療方法がことなります。

 

具体的には・・・

 

治療方法(方針)

タイプ1.肝火によるもの

「 清肝瀉火 」

肝の火を清瀉し、少陽経脈(耳をまとうツボの道筋)の疏通をする促すことによって耳の通 りを良くします。

漢方  竜胆瀉肝湯 …ストレスや情緒不安によって誘発される耳鳴り

 

タイプ2.痰火によるもの

「 清熱化痰 」

熱を抜き去り、体に生産された痰湿を改善することによって耳の通りを良くします。

漢方 黄連解毒湯 抑肝散加陳皮半夏…耳の閉塞感が著しく、頭重感などを伴う耳鳴り

 

タイプ3.腎虚によるもの

「 補益腎精 」

腎精を補って耳を滋養し、さらに局部の気血運行を促します。

漢方

耳聾左慈耳鳴丸…昼夜の別なく常時つづく耳鳴り

腎を強化する補腎薬を中心に用いる。腎の精を補う熟知黄や、山茱萸など六味地黄丸の成分に、頭部の興奮を鎮めて精神安定作用のある磁石を加えた、耳鳴丸のような処方を基本に、症状によって他の処方や薬物を加えて治療する。

 

タイプ4.脾胃虚弱によるもの

「 益気健脾 」

健脾により気血の生化や気血運行を促し、耳の補益をはかります。

 

漢方 補中益気湯・・・疲れたときに憎悪する耳鳴り

 

~ 食養生 ~

 養生とは自ら生命を養うと書きます。

食事に気を配って耳鳴りに効能作用のある食事を心がけましょう。

こちらもタイプ別に明記してあります。ご参考ください。

 

 

1.肝火上炎タイプ

 

涼性の大根や梨  菊花 セリ 柿 くらげ セロリ など

菊花

昔は菊枕というのがあって、菊の花びらを乾燥させた物を詰めた枕だそうです。今で言うアロマテラピー(芳香療法)ですが、頭痛、めまい、耳鳴りなど神経系の病気に効果 があります。菊の花には 野菊花と甘菊花の2種がありますが食用になるのは甘菊花の方です。

9月9日の重陽の節句といって、菊の花びらを杯に浮かべて菊花酒を飲んだそうです。

また、このタイプの方は・・・

辛温燥熱の性質を持つタバコ・アルコール・唐辛子・にんにくなどの食品を控える必要があります。夜は濃いお茶やコーヒーを飲まないほうが無難です。

特にコーヒーは辛温助火の弊害があり、耳鳴りを憎悪する作用をもつといわれています。

 

2.痰火欝結タイプ

 

さっぱりとした野菜類を中心としたメニューをお薦めします。

(例えば、昆布・海藻と大根のスープ・薄味の味噌汁など)

 

日頃の運動不足、不摂生な食事など、生活のリズムをまず調えることが肝心です。

 

3.腎精虚損タイプ

 

 日頃の生活において、まず、過労を避けることが大切になります。

黒ゴマ・黒豆・牛乳・合鴨のスープなど

 

4.脾胃虚弱タイプ

 

レンコンの梅肉あえ 山芋など

 

 山芋は中国語で「山薬」とも呼ばれています。古来より滋養強壮の漢方薬としても、用いられてきた野菜です。また消化酵素を多量 に含んでいますので、胃弱の方におすすめの食材です。

 

 

 

最後に…

 同じ東洋医学の中でも、この治療方法は中医学を勉強していないと上記のような診断はできません。

実際、中医学を主とした治療を行っている治療院は日本でも数少ないのが現状です。

耳鳴りがあるからといって、耳の近くに針をさせば、改善されるという簡単なものではありません。

 耳鳴りの原因となっている体の中のひずみを調整することが、根本的な治療になることをここで強く述べさせて頂きます。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20

痔とは、日本人の大人の3人に1人がかかっているといわれるくらいポピュラーな病気です。

肛門からの出血、膿が出る、かゆみ、痛み、排便時にすっきりしないなどの不快感を持っている方も多いのではないでしょうか?

痔には様々な原因といくつかのタイプがありますので、それぞれのパターンでみていきましょう。

痔の種類

痔 核-

ぞくに「いぼ痔」といわれているものですが大きく分けて2種類あります。

内痔核-

肛門の中の直腸静脈叢がうっ血して感染腫脹を起こしてできたものです。

外痔核-

肛門外側の皮下の静脈叢が血栓を形成し炎症を起こしてできたもので痛みを伴います。

 

裂 肛-

肛門管が硬い便の排出時に裂けた肛門の傷です。ひりひりと激しく痛みます。

 

痔ろう-

肛門小かから感染が起こり肛門腺かが化膿して肛門周囲膿瘍になり、それが慢性化して肛門外に排膿を繰り返すようになるとなります。

原因

肛門に過度のストレスがかかってくると起きやすくなりますが、重たい物を持ったり、女性であればお産、トイレ長時間の座り姿勢や立ち姿勢などがあげられます。また普段のこういった状態に便秘(必要以上に力む)、下痢(肛門内の感染や便の勢いが強いために負担がかかる)がともなうとよりいっそう痔になりやすいです。また、冷えやストレスでの血行障害においても肛門部の血流が悪くなってしまうので痔が形成されやすいです。

 

治療

まずは自分のライフスタイルをかえりみることです。便秘や下痢であれば普段の食生活から見直す必要がありますし、辛いものやアルコールなどを制限することも大事です。

また、長時間の座りっぱなしも血行を悪くさせてしまうので、歩くなどの軽めの運動をしてあげると良いでしょう。血行改善ということでは、体を冷やさないということも頭に入れておかなければなりません。その場での症状改善というならば、座薬や軟膏などを使いますし、かなり症状が悪化しているときは、手術の必要性も出てくるでしょう。

 

中医学で診る「痔」疾患とは

中医学においても「痔」の定義は、現代医学とほぼ差異はなく肛門の内外に痔核が出来た状態で痛みや、かゆみ、出血等、または脱肛となるのですが原因や成り立ちにいくつかのパターンがあるのです。ここではそのパターン別 に「湿熱」、「気虚下陥」、「お血」というキーワードをもとに説明していきます。

 

湿熱とは

「湿」とは体の中において粘っこい、重だるいなどのマイナス面を持ち合わせるものですが、発生的には2パターンあって外から入ってくるパターンと体の中の失調が原因で発生するパターンとあります。

 

外から入ってくる場合は湿気の多い場所に長時間いたり、梅雨の時期など体に入ってきやすいですが、気温が高くなったり、高温多湿の場所においては熱を発生するので「湿熱」となります。

 

体の中の失調の場合には、水液代謝に関係する臓ふの働きが弱まっていたりすると「湿」が発生します。特に「脾」という臓ふがありますが、食べ物から水分を取り出して全身に送る「水液運化作用」という働きがありますが、冷たいものや油っこいもの、甘いものを取りすぎることで「脾」の「水液運化作用」がうまくいかなくなってしまい体に「湿」がたまるのです。

体質的に熱がこもりやすい人などは、味の濃いものやアルコール摂取で「湿」に「熱」が加わった「湿熱」を発生させやすく、これが腸に停滞すると痔になりやすいのです。

この手の「痔」症状にはまず、体の中の余分な「湿」と「熱」を取り去るお手当てが必要となってきます。

 

気虚下陥とは

体の中での気の働きが正常であれば、内臓が正しい位置で安定させ、また上に昇る力があります。しかし、出血や食べ物から気、血が作られないということであれば体の中の気が不足し、「気虚」という状態になります。ここでまた「脾」という臓ふが登場しますが「脾」の主な働きに食べ物を気、血に変えるというものと気を上に昇らせるというものがあります。

しかし、この「脾」の働きが弱くなってしまうと気、血は作られず、気は上に昇れず、内臓は下垂してしまい力ない状態になります。「痔」症状においては痔核が飛び出す、もしくは脱肛になります。

こういった場合はまず「脾」の力をアップさせ、気や血がしっかり作り出せ、気の上に昇る働きを取り戻すお手当てが必要です。

 

お血とは

血は、正常であれば体内を巡る「経脈」というルートの中を流れていますが、それが「経脈」から出て体内に留まったり、「経脈」、「臓ふ」の中で滞ったりした血をいいます。

 

お血になる要因として

「気虚」、「気滞」、「血熱」、「血寒」によるものがあります。

それぞれのパターンをみていきましょう。

 

「気虚」によるものは過労であったり、長患いで体内のエネルギーが消耗し、血を「経脈」を流せなくなり、滞ることによりお血になります。

このタイプには「先天の気」(生まれたときから持ってる気)、「後天の気」(食べ物や呼吸によって得られる気)を管理する「脾」、「肺」、「腎」をそれぞれパワーアップさせるようなお手当てをすると良いです。

 

「気滞」によるものはストレスなどにより、「肝」の気が滞ってしまうことによってお血になります。

「肝」は正常であれば気を伸びやかに全身に送り出す働きがありますが、ストレスなどが加わるとうまく送り出すことが出来なくなってしまうからです。

このタイプには「肝」の働きをパワーアップしてあげるようなお手当てをすると良いです。

 

「血熱」によるものは、熱邪(外から入ってくる攻撃因子)が血に入ってきたり感情が鬱積して体内で熱と化して発生することで血が熱によって煮詰められた状態になり、流れが悪くなることでお血になります。

このタイプは体内に熱がこもりやすい体質なので、熱を発散させたり熱をためやすい食べ物の摂取を控えるなどのお手当てをすると良いです。

 

「血寒」によるものは、寒邪(冷えて流れを滞らせる働きのある攻撃因子)が血に入ってきたり体内で体を温める陽気が減ってくると血が冷えて滞り、お血が出来てしまいます。あるいは寒冷の飲食物を摂取しすぎて体を冷やしてしまい血が冷えてしまうケースがあります。

このタイプは体を冷やしやすい体質ですので、体を温める作用のある食べ物を摂取したり、外から入ってくる邪を守ってくれるバリアー役の気の働きをパワーアップさせてあげると良いのです。

 

このお血が肛門のまわりで起きてしまうと「痔」症状になりやすいです。

お手当てとしてはどういったパターンでお血が起きたのかを把握し、その状態を改善することで「痔」という症状を治療することにつながるのです。

 

痔になったときに、患部の周囲の血流改善や鎮痛効果の高いツボを使っただけでは根治にはなりません。まずは今の自分の体 はどうなっているんだろう?というところから始まり、その体の根本的な治療をしていくことで痔というおもてにあらわれた症状を治すことにつながるのです。

 

痔に関しておわかりになっていただけましたでしょうか?治療というものは対症療法的な治療も大切ですが、根本的な起因に対して着手してお手当てを行うのも大切かと思います。

中医学的治療を試みたい方はお気軽に当院へ。

また中医学(東洋医学)全般(鍼灸、漢方、食療、健康茶)に関する質問等も承っております。

 

 

当院での治療をお考えへの方へ

 

= 本来の東洋医学の治療の姿に関して一言 =

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、「ギックリ腰」や「寝違い」といった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いのですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

 

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。

これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

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