コラム

2019/03/12
【五官科疾患】花粉症

●花粉症とはどんな病気なのでしょう?

花粉症は典型的なアレルギー疾患です。

アレルギー疾患とは、特定の原因物質が人体に侵入してアレルギー反応(過敏反応)を引き起こし、その結果 として人体にとって不都合で不快な症状を誘発する病気です。

 

この原因物質のことをアレルゲンと呼びます。

花粉症のアレルゲンは文字通り各種植物の花粉です。その中でも、スギ花粉が一番の代表で、これによる花粉症をスギ花粉症と呼びます。

 

<花粉症にかかるまで>

花粉が空中を飛来

鼻、目、喉、気管などの粘膜や皮膚などに付着、侵入

アレルギー反応

いろいろな不快な症状を誘発(鼻、目、喉、気管、皮膚など)

どんな症状が強く現れるかは個人差があります。

 

 

▼▼▼花粉症の症状は原因となる花粉が飛沫する季節にだけ現れます▼▼▼

花粉植物の種類によってその季節が違います。

スギ花粉症の場合は2~5月です。

 

●●不快な症状 鼻、目●●

花粉症はまず鼻と目に症状が現れます。

理由は簡単です。花粉症が着きやすい粘膜部分は常に外界にオープンしている鼻と目にあるからです。

 

●鼻の症状

・くしゃみ、鼻水、鼻づまり(最もよくみられる3大症状です)

・鼻がむずかゆい、鼻くうのまわりが赤く腫れて痛む

・鼻血が出る

・においが鈍くなる、鼻息に熱感がある

・鼻の中が乾燥してガサガサになる

 

●目の症状

・目が充血する、目がかゆい、目に灼熱感

・涙が出る、光がまぶしい、目ヤニが出る

このほかに鼻からの影響で、耳に症状が現れることもあります。

これは耳の中耳の部分が耳管で鼻の奥と通じているためです。

 

●耳の症状

・耳の中がかゆい、耳閉感

 

●●不快な症状 喉・舌・口・気管支●●

喉、舌、口、気管支などにも症状が現れることがあります。

これは第一には、鼻づまりがひどい場合、いつも口で呼吸するため、喉や口内が乾燥して炎症を起こしやすくなるためです。

特に起床時は、喉や口内の乾燥がひどく、痛みます。

また、花粉が喉や気管支に入りこんで刺激するため、喉のかゆみや、咳がでることもあります。

 

●喉の症状

・喉がかゆい、痛む、腫れる

・喉がカラカラに乾燥する(特に起床時が激しい)

・喉にゴロゴロと異物感

 

●舌・口の症状

・口の中がカラカラに乾燥する。舌が乾燥する

・舌に苔が出る、味が鈍くなる、口の中が苦い

 

●気管支の症状

・咳、痰、旨に不快感や閉塞感がある

・ゼーゼーヒューヒューする息苦しさ

 

 

●●不快な症状 皮膚●●

皮膚症状は花粉症の症状の中では、小数派で、鼻や目の症状ほどに多くはありません。

しかし、不快なうえに、美容上の悩みが加わるので、皮膚症状の強く現れる人によっては、大変な災難です。

これは、花粉が外気にさらされた皮膚に着いて、アレルギー反応を起こし、その結果 現れる症状です。

汗ばんだところや、化粧肌には特に花粉がつきやすいので、首、顔に症状が現れます。

耳や腕にも現れることがあります。

普段からアトビー性皮膚炎による皮膚症状があって、花粉症の時期になると、首から上や、腕などの皮膚症状が悪化する人もいます。

 

●皮膚の症状(重に首・顔・耳の後ろ、腕など)

・皮膚がピンク色を帯びる。または赤くなる

・皮膚面から盛り上がる、乾燥してカサカサ、ザラザラになる

・粉をふく、薄いかさぶたができてポロポロはがれてくる

・かきむしって出血する

・かきむしって皮膚ばびらんになり、ヒリヒリ痛む

 

●●不快な症状 その他全身●●

●胃腸症状

・腹痛、便秘、下痢、食欲不振、消化不良、吐き気

●神経、間接症状

・頭痛、頭が重い、関節痛、めまい、立ちくらみ

●その他の症状

疲れやすい、だるい、あくびが多い、眠たい、身体のほてり、寒気、発熱、汗をかきやすい、動機、気がめいる、イライラする、無力感など

これらの内で、どの症状が出るかは1人ひとり違います

 

 

▼▼▼花粉症はどうやって診断するのか▼▼▼

問診

①自覚症状の確認

 

くしゃみ、鼻水、花づまり、目の充血、かゆみなどをはじめとする、花粉症を疑わせる症状があるかどうか

②症状に季節性があるかどうかの確認

 

例えば、春にだけ出るのか、花粉症に合致する症状があり、しかも特定の季節に症状が現れたり、強まったりする場合には、花粉症が疑われます。

 

検査

①皮膚反応テスト

 

皮内注射法(スギ花粉エキス)によるアレルゲンの確認

②血液検査

 

特異的IGE(抗体産生)抗体量の測定によるアレルゲンの確認

花粉がアレルゲンとして確認されると、花粉症として診断されます。

 

▼▼▼現代医学の薬物治療▼▼▼

花粉症に対して、現代医学では、内服、点眼、点鼻など、薬による治療が基本になります。

使用される薬には主に2種類のタイプがあります。

 

●抗アレルギー剤

外用:インター点鼻薬、ソルファ点眼薬

 

使用法:花粉シーズンの2週間以上前から予防に使用。

作用:花粉が身体に侵入後の抗体反応の結果、化学伝達物質が放出されます。

これが花粉症の症状をひきおこします。

抗アレルギー剤は、化学伝達物質の放出を阻止します。

副作用:

眠気、だるさ、胃腸障害など

外用は鼻、目の刺激感

●抗ヒスタミン剤

使用法:花粉症シーズンに内服

作用:化学伝達物質であるヒスタミンの働きを抑制

副作用:眠気、だるさ、胃腸障害(眠気、だるさは特に多い)

 

●ステロイド剤

ステロイド剤は副腎皮質ホルモン剤ともよばれます。

強力な抗炎症作用をもつため、多くの難しい病気に効果があります。

花粉症などのアレルギー疾患にもよく効きます。

しかしよく効く分副作用も強く、従って、その取り扱いには慎重でなければなりません。

ステロイド剤には、外用薬と内服薬、注射薬があります。

点鼻薬は局所に作用するので、比較的副作用が少ないため使用されていますが、内服薬、注射薬の連用は、副作用が強いので特別 の場合以外は控えるべきです。

 

外用剤

点鼻薬:シナクリン

副作用:鼻内刺激感、不快感、乾燥感、嗅覚障害、頭痛、吐き気など

内服剤:

セレスタミン、プレドニン

副作用:

胃十二指腸潰瘍、高血圧、糖尿病、肥満、白内障など、多くの副作用を起こしやすいので要注意。

特にもともとこうした病気のある方は禁忌です。

●アレルゲンにならす減感作療法

現代医学では、薬による対症療法のほかに、減感作療法が行われています。

これは花粉に対する過敏反応を弱めることをねらった、一種の免疫療法です。

 

減感作療法のやりかた

アレルゲンである花粉のエキスを薄めた液を定期的に皮下注射し、だんだん濃くしていきます。

複数の花粉がアレルゲンの場合はそれらのエキスを混ぜて注射します。

週1回のペースで1年ぐらい続け、その後ペースを落とします。

全部で3年以上続けます。

 

副作用

・注射部の皮膚の赤み、腫れが強く出すぎる

・花粉症の症状を悪化させる場合がある

・血圧が低下して顔面蒼白で息苦しくなる

このような場合は、注射濃度を再考するか、中止します。

 

問題点

・治療に根気と時間が必要

・喘息治療で行う、ハウスダストの減感作療法に比べて効果が劣る

 

◆◆◆◆◆◆◆◆東洋医学的に捉えた花粉症◆◆◆◆◆◆◆◆

 

▼東洋医学的に花粉症を捉えた時に関係する臓腑を見てみましょう。

※肺を中心に協同して働く臓腑が弱まるとアレルゲンが侵入しやすい身体の状態を作ってしまいます。

●肺:

肺は全身の皮膚表面を守る気を主る働きと、全身に水液を散布する働きを主っていますが、その働きが弱まってしまうと、皮膚表面 (鼻などの粘膜も含まれます)からアレルゲン(花粉症の場合は花粉)が侵入してしまいます。

 

●脾:

脾は、中医学では気血を生成するところであり、また、その作った気を肺に送り、肺から全身に散布させるという働きを主っています。

ひの機能が弱ると、それは、肺の働きにも影響を与え、身体がアレルゲンに侵入されやすい状態になってしまうのです。

 

●腎:

腎には大切な働きがたくさんありますが、その中のひとつに、気を納める、「納気」という働きがあります。肺は呼吸を主っていますが、腎は深い呼吸特に吸気を主っており、肺と腎は互いに影響して呼吸活動と水液代謝の働きをしています。

腎の納気作用が弱まると、肺の気を全身に散布する力が弱まり、アレルゲンに侵入されやすい状態になってしまいます。

 

▼東洋医学的に花粉症の症状を捉え、その症状がどのような病理で発症しているのかを見てみましょう。

鼻がむず痒い → 侵入した邪気(アレルゲン)と正気の抗争によっておこります。

 

クシャミ → 肺気が邪気(アレルゲン)に抵抗し、邪気(アレルゲン)を追い出そうとする症状です。

 

鼻水 → 肺の全身に気を散布する機能が失調したため、水を下降させて排出することができない症状であり、透明な鼻水は、身体に寒邪があることを示し、粘りのある鼻水は、熱邪があることを示します。

 

④鼻づまり

 

邪気が上から侵入して、肺気が全身に散布されずに、鼻が塞がれてしまった状態です。

 

鼻水は停滞して肺の気の流れが悪くなり、鼻がつまります。

 

鼻で正気と邪気の抗争がおきて、鼻づまりがおきます。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆東洋医学で分けるタイプ別花粉症◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

東洋医学では症状別に花粉症のタイプを分け、その方の体質に合わせて治療します。

まず、タイプを見てみましょう。

 

●くしゃみと鼻水タイプ(風寒証)

・くしゃみが連発し、その後で透明の鼻水が多く、黄色、青色の鼻汁は出ない

・朝起きてからしばらくは、症状が激しい

・冷たい風にさらされると、症状が誘発しやすい

●くしゃみ、鼻水と冷え性、疲れやすいタイプ(風寒陽虚証)

頻繁に出るくしゃみ、多量の鼻水、鼻づまり、鼻がむずがゆい、目がかゆい、涙が出る

冷え性で寒がり

スタミナがなく、すぐに疲れる

寒冷刺激や疲労が鼻症状を誘発させる

●ストレスで悪化タイプ(風寒気欝証)

・会社でストレスがたまると、鼻症状が悪化

・鼻、目、喉、耳に詰まり感、渋り感が強い

・精神不安定 ・寒さやストレスで症状が悪化しやすい

・各種の薬で、胃腸の具合が悪くなりやすい

 

●黄色い目ヤニと鼻汁タイプ(風熱証)

・目ヤニ、鼻汁、痰などの分泌物は、黄色く粘っこい

・くしゃみ、鼻水は少なく、鼻詰まりが強い

・鼻や目に熱感、喉、目、顔が赤い

・暑いところにいたり、温風にあたると症状が悪化する

 

●喉、口、鼻が乾燥タイプ(燥熱証)

・鼻づまり、鼻、喉、口の中が乾燥してガサガサになる

・唇が乾燥して、割れる、鼻や喉が痛む

・から咳をする、痰は出ても少量で、黄色く粘っこい

・暑がり、喉の渇きが強く、冷たいものが欲しくなる

●だるくてすぐに疲れるタイプ(気虚証)

鼻水、鼻づまりは激しくない ・疲労倦怠感が著しくなり、いつでも横になりたい気分

胃腸の働きが悪くなり、食欲が低下する

●寒がりの冷え性タイプ(陽虚証)

・寒がり、冷え性、寒冷刺激で症状が悪化する

・スタミナがなくなり、だるくて疲れやすい

・胃腸の働きが悪くなる、下痢もしやすく、おなかも痛む

・鼻の症状は激しくない

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆当院での治療について◆◆◆◆◆◆◆◆◆

当院では、上記のようにその方の症状を問診でうかがい、舌、脈の状態から、その方の体質と花粉症のタイプを判断します。

その上で、花粉症の辛い症状を緩和する治療を行いながら、その症状が起きている本当の原因である体質を改善する治療を行ってまいります。

 

毎年花粉症の症状で悩まれている方は、だいたい1月ぐらいから治療をされることをおすすめします。

そして、本格的な体質改善を行いたい方は、3ヶ月ぐらい集中的に週に2回ぐらいの治療をされるか、週1回の治療ならば、漢方薬あるいは、家庭灸の併用をされることをおすすめしています。

そして、1~2年は、花粉の飛散していない時期に、月に2回~4回ぐらいのペースで、お手当てをすると、花粉所の時期になっても、花粉症状が起こりづらくなりますし、起こっても軽い症状ですむ場合が多く、人によっては、全く起こらなくなるケースもあります。

まずは、お気軽にお電話でご相談ください。

 

 

●●●●●●花粉症はどうしてこんなに増加したのでしょうか?●●●●●●

 

花粉症といえば、ごくありふれた日常の病気のイメージが定着したようです。

ところが、意外なことに、花粉症は戦後に初めて医師によって報じられた新しい病気です。

1960年代前半にブタクサ花粉症、ついてスギ花粉症の患者がみつかりました。

それから、わずか30年間で花粉症(特にスギ花粉症)は爆発的に増加しました。

 

●増加した原因

スギの増加

戦後に大量植林されたスギが伐採されずに開花適齢期になっているため、春のスギの花粉の散布量 が増加している。

 

●排気ガス、大気汚染

排気ガスなどで汚染された大気中のたくさんの微粒子が花粉症の発症を促進する。

 

●食環境の変化、食品汚染

食生活の変化にともなってたんぱく摂取量が増加したこと、食品が添加物などで汚染されていることなどから、アレルギーを起こしやすくしている。

 

●住宅環境の変化

住宅やオフィスの近代化に伴い、通気性の少ない、ダニ、カビの温床を作り、アレルギーを起こしやすくしている。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆ 自分でできる花粉症対策 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 

原因となる花粉をなるべく避けること

・ 原因植物の分布を知り、なるべく近づかない

花粉は遠くまで飛散されますが、近いとよけいに多く飛んでいます。

花粉情報に基づき、外出スケジュールを調節する。

風が強く晴れた日には花粉の飛散量が多くなりますので特に要注意です。

 

花粉マスク、メガネの使用

・外出後にには洗顔、手洗い、うがいをして衣服をよくはたく

・洗濯後の干し物はよくはたく

・室内の清掃をこまめに

 

体力低下を防ぐ

・充分な睡眠

・規則正しく栄養バランスの良い食事

・アルコール、タバコを控える

・ストレスをためない工夫

 

花粉症でお悩みの方、早めのお手当てをお勧めいたします。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

2019/03/12
【五官科疾患】近視について

西洋医学的に考える近視

近視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光が網膜上の正しい位 置ではなく、網膜より手前で像を結び、物がぼやけて見える状態です。近視は、角膜から網膜までの長さが正常より長すぎるか、角膜・水晶体の光の屈折力が強すぎることにより起こります。

 

なぜ起こるのか…

近視の正しい原因は、現在のところはっきりとはわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。

 

遺伝的な原因

親が近視の場合、子供が近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑にからんでいると考えられます。

 

環境的な原因

一般的な近視の場合、環境も影響すると考えられています。勉強、読書、テレビ、コンピューターゲームといった近くを見る作業を長く続けたり、暗い部屋など、適正な照明の元で行われない場合、目の負担になります。このような状態を長く続けることにより、視力低下が起こるといわれています。(化学的な因果 関係はまだ研究段階です)

 

●●●中医学的にみると…

中医学的に近視を捉える場合は、西洋医学のように、単なる屈折異常のひとつとして捉えるわけではなく、眼精疲労や視力低下も含めて全般 的に捉え、その方の体質や生活をしっかりと把握してタイプ別に分けて治療することになります。

 

▼関係する臓腑

中医学では、目に関連する臓腑は肝・胆・腎と言われています。

肝と胆は目に通じており、肝に何らかの負担がかかると目の疲れや視力の低下が起こります。また、肝は筋の働きも管理していますから、視力を調整する筋の管理も担当しており、その働きが悪くなると、近視の症状が出てしまいます。

腎は生まれながらにして人間がもっている両親から授かったエネルギー(精)を蔵しています。また、中医学には「肝腎同源」という言葉があり、肝と腎はお互い助け合いながら働いているため、どちらかの臓腑に問題があると視力低下や目に関する症状が出てくるのです。

また、両親から授かったエネルギーを蔵している腎に対して、脾は、生まれた後のエネルギーを作る作業を担う臓腑のため、直接ではありませんが、関係のある臓腑としては無視できません。

 

▼ 近視をタイプ別に分けると…

● 肝血不足による近視

中医学では肝は血を蔵すると言われています。肝血は目を滋養する働きを担っていますので、なんらかの原因で肝血が不足すると目を充分に栄養することができなくなりますから、眼精疲労や視力低下の症状が起きたり、目の周りの筋がピクピクするなどの症状が現れます。

 

付随する症状:目の乾燥感、かすみ、肩こり、手足の痺れ、ひきつり、足がつるなど

治療方法:肝の血を補う治療を行います。

ツボ:太衝、三陰交、血海、地機、陽りょう泉、風池、膈兪、足三里

 

積極的に取った方が良い食べ物:赤色、黒色、紫色の食品、黒米、栗、黒豆、あずき、紫いも、ごま、松の実など全ての種実類、ほうれん草、小松菜などの緑の濃い野菜、人参、きくらげ、血筋の多い魚(さば、さんま、まぐろ、いわしなど・・青み魚類)、ブルーベリーほかベリー類

 

 

● 肝気鬱滞による近視

肝の気は目に通じて、眼球運動と視力に関係するわけですが、肝は臓腑の中で最もストレスに弱い臓腑と言われています。ですから、ストレスが多いと、肝の気の流れが悪くなり、身体を構成している気・血・水の流れが悪くなるため、本来目を栄養するはずの、気や血の流れが滞り、視力の低下や目の疲れが起こります。

 

付随する症状:イライラ感、側頭部の頭痛、胸脇の張り感、腹にガスがたまる感じなど

治療方法:肝の気をスムーズに流す治療を行います。

ツボ:太衝、陽りょう泉、三陰交、内関

 

積極的に取った方が良い食べ物:春菊、三つ葉、柚子の皮、香菜など、香りの良いもの。 ジャスミン、カモミール、ミントなどのお茶を飲むのも良い。

 

● 腎虚による近視

腎は生まれながらにして人間がもっている両親から授かったエネルギー(精)を蔵しています。その生まれながらにして蔵しているエネルギーが少ないと、比較的低年齢から近視や弱視の症状が出ることになります。

また、年齢を重ねることにより(加齢)、両親から授かったエネルギーが消耗しても、このタイプの近視は起こります。

 

付随する症状:頭のふらつき、知力減退、めまい、耳鳴り、聴力減退、腰と膝に力が入らないなど。

治療方法:腎精を補う治療を行います。

ツボ:三陰交、太渓、絶骨、復溜

 

積極的に取った方が良い食べ物:もちこめ、やまいも、大豆、そらまめ、栗、はすの実、 黒い食べ物(もずくなど海藻類)、ネバネバのもの。

 

※腎虚には、更に、冷えの症状を強く訴えるタイプと、身体の内側に熱感を感じるようなほてり感を訴えるタイプに分けられ、それぞれ治療方法が異なります。

 

― 冷えの症状を訴えるタイプに付随する症状:目が疲れやすい、冷たい涙が出やすい、手足の冷え、夜尿多い、腰膝のだるさ、手足のむくみ

 

― ほてり感のあるタイプに付随する症状:目の乾燥感、かすみ、眩暈、難聴、耳鳴り、皮膚乾燥、口乾、腰のだるさ

 

● 脾気虚による近視

腎が生まれながらにして両親から授かったエネルギーを蔵するのに対し、生まれた後の精を作り出すのは、脾の働きによるものです。ところが、飲食の不摂生により、生まれた後のエネルギーがしっかりと作ることができないと、気も血も水も不足してしまうため、視力低下の症状が現れます。

 

付随する症状:目の乾燥感、涙が出ない、食べると腹が鳴る、食欲不振、便秘あるいは軟便・下痢

治療方法:脾の気を補う治療を行います。

ツボ:足三里、太白、陰りょう泉、三陰交、内関、公孫、血海

 

積極的に取った方が良い食べ物:かぼちゃや芋などの黄色く、ホクホクとした食べ物、きのこ、もち米など。

 

以上近視について述べさせて頂きました。

近視に関して、中医学(東洋医学)ではタイプ別により治療の仕方が変わってくることを、ご理解頂けましたでしょうか?

 

近視でお悩みの方

一度、中医学的な治療を試みるのも宜しいかと思います。特に受験期の学生の急な近視傾向、或は、仮性近視の治療などは早めのお手当てをされた方が、良い結果 が出やすいと思います。

 

近視の治療に関して、必ずしも、目の周りのツボを使う必要性はないので、眼の周りに鍼を打たれるのが不安な方は、ご心配されなくても大丈夫です。手足のツボで、目の症状を治療するツボをしようして、治療が行えるのも、中医鍼灸の特徴です。

 

詳しい事をお知りになりたい方は、お気軽に当院までご相談下さい。

2019/03/12
【外科・整形外科・皮膚科疾患】頸椎損傷について

頚椎損傷とは頚椎(頭を支える7つの首の骨)が強い衝撃や加齢などにより変形、脱臼、骨折などを起こした状態を言います。頚椎が損傷した際には様々な症状が首周りだけでなく腕や下半身にも出てきます。一口に頚椎損傷と言ってもどこを傷つけたかによっていくつかに分けることが出来ます。それではおおまかにではありますが述べていきましょう。

 

☆変形性頚椎症  

 力仕事やスポーツ、不良姿勢、小さな外傷の積み重ねなどが起因となったり加齢変化としての頚椎の変形、椎間板(頚椎と頚椎の間にあるクッションの様なもの)の変性や破綻が頭部の痛みや重苦、運動制限など頚部の症状として現れた状態です。症状としては無理をしたり、姿勢が悪いなどのきっかけで肩が凝る、首筋が張るなどです。症状が慢性化すると筋緊張の力は頚椎にストレスを与えるので頚椎がより変形していくという悪循環を呈します。

 

☆頚椎症性神経根症  

 変形性頚椎症を原因として頚椎と頚椎の間から出ている神経の根っこが圧迫されて起こるシビレと痛み(神経痛)、筋力の低下や萎縮などの運動マヒが起こる状態です。上を向いたり、首を横に傾けたりでこれらの症状が出やすいですが、どこの頚椎と頚椎の間かによってシビレや痛みが出てくる場所が変わってきます。

 

☆頚椎症性脊髄症   

 変形性頚椎症を原因として頚髄(首から出てる神経のおおもと)が障害された状態です。神経根症よりも重篤で頚髄の上の方を傷つけてしまうと手足が動かなくなってしまうばかり か自分で呼吸することさえ出来なくなったりするのです。また膀胱や肛門の神経も障害され排尿障害(オシッコが出にくい)、排便障害(自力で排便出来ない)といった症状をきたす場合もあります。

 

☆治療法として☆  

 変形性脊椎症であれば寝違え状態の場合は安静が必要です。また温めたり頚椎を牽引したりしていきます。鎮痛消炎剤を飲んだり塗ったりして痛みを抑えたりもします。神経根症の場合では安静の他にカラー(首を保護するもの)や装具を使用したりもします。消炎鎮痛剤以外でもステロイドホルモン剤の投与も考えます。また頚髄症では先に述べたものに加え手術を視野に入れていきます。頚椎が頚髄を圧迫している状態なので頚椎と頚髄の間を拡大する除圧手術が必要です。その際頭を支える頚椎の強度を低下させない工夫があります。安静、薬の投与、手術が治療の基本となっています。

 

☆中医学的な見方☆  

 中医学では頚椎損傷における「痛み」、「シビレ」、「運動 マヒ」や「運動制限」、「感覚マヒ」などの症状に着目し、それらの症状がどういったときに出てきてしまうのかを診ていきます。こういった症状が出る場合をいくつかのケースに分けて述べていきましょう。

 

☆「痛み」や「シビレ」、「マヒ」について  

 中医学において正常な人の体の中では「気」、「血」が「経絡」の中をスムーズに流れています。「気」とは人の生理活動にとって欠かせないものでエネルギー源としての働きがあり、発育や成長の際には推動作用、体を温める際には温く作用、外から入ってくる邪(寒さや湿気など)を防いでくれる際には防衛作用、体の中の液体(血や汗、尿など)の量 を調節する際には固摂作用、食べたものをエネルギーや排泄物に変える際には気化作用としての働きをします。「血」とは全身を滋養して潤す作用があり、生命維持に欠かすことの出来ないものです。また精神活動をする際の栄養源にもなるので思考や感情などとも深い関係があります。「経絡」とはこれら「気」と「血」の通 り道で体じゅうにはりめぐらされているものです。  

 正常な状態ならば「気」、「血」がスムーズに流れ順調に体が機能するのですが、この「気」と「血」が何らかの理由で滞ってしまい、流れなくなったり滋養出来なくなると「痛み」や「シビレ」、「マヒ」が起こってしまうのです。

 

☆「気」や「血」の流れが滞ってしまうケース  

 ○体の中で「気」の流れを統括している器官に「肝」というものがあります。「肝」は全身すみずみに「気」を送る働きがあります。ノビノビとした状態を好みますのでストレスなどが加わると働きがとたんに弱くなって「気」が滞ってしまう「肝気鬱結」という状態になってしまいます。「気」と「血」はともに作用しあって全身を流れますので「気」が滞ると「血」も滞ってしまい関節や筋を滋養出来ず「痛み」等が起こってしまうのです。  

 

 ○外から入ってくる邪気(風、暑、湿、燥、寒、火)の中でも「気」、「血」の流れを滞らせたり「痛み」の発症にもっとも関与するのが「寒」です。「寒」には「凝滞」するという性質があり「気」、「血」の通 り道である「経絡」に外から入ってくると流れを滞らせてしまいます。また「収引」という性質もあるので「経絡」に入ってくると「経絡」をひっぱって引きつらせてしまうので「痛み」が起こるのです。 

 

☆「気」、「血」が不足してしまうケース  

 ○「気」、「血」が不足して充分に働きかけられない状態でも「痛み」や「シビレ」、「マヒ」は起こります。出血したり、長患いで「気」が消耗したりもそうですし、「脾胃」が虚弱になり「気」、「血」を作れなくなったりしたときもそうです。ここでいう「脾胃」の働きとは食べ物が入ってきたときに消化や吸収をして、その中からエネルギーを取り出すことです。このエネルギーから「気」、「血」を作り出すのですが「脾胃」が弱くなってると作り出せなくなってしまいからだの中に充分な量 の「気」、「血」が存在しないために筋や関節、皮膚を滋養出来ず「痛み」や「シビレ」、「マヒ」が起こってしまうのです。

 

☆「運動制限」について  

 筋をつかさどるのは「肝」です。「肝」の「気」が充分であれば、筋は力強くスムーズに動きますが「肝」の「気」が衰えたり、「血」が不足したりすると筋が滋養されず金が思い通 りに動かなくなり「運動制限」や「運動マヒ」が起こるのです。

 

☆中医学的な治療として☆  

 ○「気」、「血」がストレスなどによって「肝気鬱結」によ り滞ってしまった場合には「肝」の「気」を流す働きを促してあげるツボを刺激してあげます。また「肝気鬱結」の状態が続くと「脾胃」になで影響が及び、げっぷや胃液がこみ上げる、下痢が出るなどの症状が一緒に出てきますので「脾胃」の働きを整えるツボにも刺激することが必要です。  

 

  ○「寒邪」が入ってきて「気」、「血」の流れが滞ってしまった場合には、体を温める作用のあるツボを刺激します(お灸も有効)。また体の表面 を邪が入ってこないようにガードしている「気」(衛気)の働きを強めるようなツボを刺激してあげると予防にもなります。  

 

 ○「気」、「血」が不足している場合には「脾胃」が正常に働いて「気」、「血」を作り出せるようなツボに刺激を入れます。「脾胃」が弱っているときは、食欲が無い、疲れやすい、下痢、手足がだるいなどの症状も一緒に出ますのでそちらの治療ツボにも刺激を入れていきます。

 

要するに整形外科的な疾患に対しても中医学的な考えでは体のアンバランスが起因だと捉え、全体の体のケアを視野に入れ、お手当てを行います。ゆえに局所のみの治療でなく全体的な治療になります。ですから牽引や薬物療法で結果 が思わしくない場合には違う角度からのお手当てを考える中医学鍼灸の治療を考えるのも良いかと思います。ただし、どこの鍼灸院でも中医学鍼灸を行っているとは限りませんのでご留意してくださいませ。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/03/12
【五官科疾患】歯痛について

 みなさんも一度は歯痛に悩まされたことがあるのではないでしょうか?歯痛というとまっさきに虫歯というキーワードが連想できそうですが他にも歯周病や知覚過敏など様々な原因で起きる身近な痛みです。ここでは現代医学でいわれる歯痛の原因を説明していきます。

 

大きくみて歯痛の原因として考えられるお口のトラブルは

 1・虫歯

 2・歯周病

 3・知覚過敏

 4・萌出(歯肉の下に隠れていた歯が歯肉から顔を出そうとすること)

 5・噛み合わせ

 の5つがあげられます。

 

 では歯痛の前に歯のつくりを簡単に説明していきます。

歯は表面に出ている歯冠部と歯肉(俗に言う歯茎)に埋まっている歯根部、その間の歯頚部に分類されます。歯冠部の表面 を覆っているのがエナメル質です。これは人体で一番硬く歯の内部を守っています。歯根部を覆っているのはセメント質です。硬さはエナメル質の4分の1程度です。歯根膜とは歯根と歯槽骨(歯茎の骨)を結びつける繊維です。歯の内部には象牙質が大部分を占め、その中に歯髄と呼ばれる神経と血管から出来ているものがあります。

 

 さて次に歯痛の原因を1つ1つみていきましょう。

 

1・虫歯

歯の表面についた汚れをプラークといい、ほぼ細菌からできています。その細菌によって引き起こされる病気が虫歯です。虫歯は進行度によってC1~C4までの4段階に分けられます。

C1…

エナメル質が虫歯になっている状態で自覚症状はほとんどありません。

C2…

エナメル質の下にある象牙質まで虫歯になっている状態で冷たいものや甘いものがしみます。

C3…

歯の神経まで虫歯になっている状態で神経が炎症を起こすため激痛が生じます。

C4…

歯の根の先まで虫歯が進行している状態で根の先が炎症をおこし痛みが生じます。

虫歯治療は初期の段階で治療することで治療回数も減り、痛い思いをせずに生活を送ることができます。早期に歯医者に行くと良いでしょう。

 

 

2・歯周病

歯周病はプラークが原因で起こる歯の周りの病気です。

成人20代以上の80%が歯周病といわれるくらい身近でほおってはいけない病気です。歯茎の腫れや出血を特徴とする歯肉炎、さらに症状がすすみ歯根膜、歯槽骨まで破壊される歯周炎の2つに分けられ最終的には歯が抜けてしまう病気です。

 

歯周病チェック

 ・歯を磨くと出血する。

 ・強い口臭がある。

 ・歯肉が腫れている。

 ・朝起きたとき口の中がネバネバする。

 ・歯が浮いた感じがする。

 ・歯肉が退縮して歯が長く見える。

 ・歯が移動して歯間に隙間があいている。

 ・冷たいものや熱いものが歯にしみる。

 ・歯がぐらぐらする。

 などの症状があれば要注意です。

 

治療は薬物療法や外科治療がありますが基本的にはきちんとしたブラッシングを身に着けることです。

 

3・知覚過敏

虫歯ではないのに冷たい水や熱いお茶、歯を磨く時に歯ブラシがあたるとしみる等、このような症状を知覚過敏といいます。

歯茎が下がってきたり無理な力でブラッシングを続けていると表面のエナメル質がから内側の象牙質が出てきてしまいます。そうなると冷たいものなどが象牙質の神経に触れしみるようになります。こうなったときは早目に歯医者に行き適切な処置を受けましょう。

歯磨き粉の中にも知覚予防をする粉もありますので自宅でもしっかりケアをすることが大事です。

 

4・萌出

萌出とは歯が生えてくる意ですが乳歯が抜けて永久歯が生えてくる以外にも親知らずの存在があります。

一番奥に生えてくる歯で高校生から25歳ぐらいまでの時期に顔を出します。顎に親知らずを受け入れるスペースがないとまっすぐに生えてくることができず他の歯を押しのけようとすることで激痛をともないます。

親知らずと歯や歯茎、顎の骨が関わりますので状況により治療の仕方が変わりますが抜く、抜かないにしろ歯医者の適切な指示に従うのが良いと思います。

 

5・噛み合わせ

普段から強く噛み締めるクセがあれば歯の表面が磨耗して知覚過敏の原因なったりします。歯並びを全体的に見直すのであれば専門の矯正医の治療が必要ですし、長期的な治療になるでしょう。

 

これら以外にも肩こりが原因で起こる場合もありますし、歯にいく神経の中に三叉神経といっていわゆる痛みなどを感知する神経になんらかの異常があった場合にも痛みが誘発されるケースがありますので歯に痛みが出たときは早期に適切な治療をうけておくと後で手遅れになることも少ないでしょう。

 

 

中医学でみる歯痛

 

歯痛をひも解くために中医学独特の生体観・生理観、また歯痛に関連するキーワードをピックアップしていき少しでもわかりやすいように説明していきます。

 

~気・血・水~

気-

気とは物質であり人が生理活動する上での重要なエネルギー源です。

物質ゆえに消耗したり補充したりすることが出来ます。また運動性ももちあわせており「昇降出入」というはたらきがあります。

「昇降出入」とは気の運動形式の」ことで昇ったり降りたりする上下方向の運動と発散したり収納したりする出入方向の運動が基本になっているということです。よって気は物質でありながら運動性を持っているのです。

また気が不足して病気になってしまうことを気虚と呼び、気が一ヶ所に滞って流れが悪くなって病気になってしまうことを気滞と呼びます。

気の具体的な生理作用には人体各部を栄養する栄養作用、内臓の活動を促進したり体内の流れを推進したりする推動作用、内臓を温め活動を促進したり体温を維持する温く作用、体表を保護し外から侵入してくるものを防いだり侵入してきたものと闘ったりする防御作用、人体を構成している水分や血液が外に漏れでないようにする固摂作用、体内の物質を変化させたり代謝を行う気化作用などがあります。

 

血-

血とは体内を流れる赤色の液体で人体を構成し生命活動を維持する基本的物質です。

現代医学でいう血液とは似ていますがイコールではありません。中医学で血の作用は全身を栄養し潤すことです。

例えば顔が赤くつややかだったり肌がふくよかで皮膚や髪の毛が潤って光沢があるのも、あるいは目などの感覚器や筋肉などの運動器が円滑にはたらくのも血の充足のおかげなのです。

他にも血は精神活動をも支える栄養源となっており、血が足りなくなると精神的な症状(失眠、健忘、昏迷、不安など)が現れます。

 

水-

水とは人体中の正常な水分の総称です。その中には唾液や涙、汗といったものも含まれます。

水の作用は体表部(皮膚や汗腺など)から体内深部(脳や骨、関節や内臓など)を潤します。またこの水は血を作るうえでも重要な成分になっています。

 

~臓・腑~

臓-

臓とは五臓とも呼ばれ肝、心、脾、肺、腎という実質性臓器のことを指し、主なはたらきは気、血、水の生成や貯蔵を担います。

 

腑-

腑とは六腑とも呼ばれ胃、小腸、大腸、膀胱、胆、三焦という中空性臓器のことを指します。

主なはたらきは飲食物の消化をし身体に必要なものは五臓に渡し、不必要なものは排泄します。

臓の中でも特に腎は歯痛と関連が強いのでピックアップしてみます。

腎-

腎とは腰の位置で背骨の両側に一対ずつあるものです。

腎のはたらきには精を蔵す、先天をつかさどる、生殖をつかさどる、納気をつかさどる、二陰をつかさどる、骨をつかさどる、水をつかさどる、骨髄をつかさどるなどがあります。

精とは身体の生長や発育、生殖能力などの源になっています。

精には先天の精と後天の精があり前者は両親からもらい生まれながらにして備わっているものです。後者は飲食物から摂取されるものでこの2つが合わさり腎にしまいこまれるのです。また身体の水分代謝にも大きく関わり、特に尿の生成や排泄は腎によるところが強いです。

納気とは固摂や受納といった意味で肺によって吸入した清気(イメージは酸素)を体の奥底に引き込むことで正しくガス交換が行われます。腎にはしまい込むというはたらきが多いのです。

二陰とは前陰(外生殖器)と後陰(肛門)のことで腎は生殖や排泄に関わっているので二陰をつかさどっているのです。

骨と骨髄も腎の管理下にあり腎の精気が充分であってはじめて正常に発達していきます。歯は中医学では骨余と呼ばれ骨と同様に腎に養われます。

 

~経絡~

 

経絡とは前述した気、血、水の通り道として身体に存在しています。

また経絡には種類があり先ほどの臓腑と関わりをもちそれぞれに対応したものがあります。特に歯に通 ずる経絡に胃、大腸と関わる経絡があります。

胃-

中医学での胃のはたらきは食べ物を受け入れて(受納)、消化し(腐熟)、消化物を下に降ろす(和降)というものです。

正常なときの流れは上から下ですが異変が起きたときは流れなくなったり逆上したりして経絡を伝って歯に影響してしまいます。

 

大腸-

中医学でいうところの大腸のはたらきは胃、小腸から降りてきた食べ物のカス(糟粕)を肛門から排出することです。

こちらも正常ならば上から下に流れていくものなので異変があれば流れなくなったり逆上したりしてしまい経絡を伝って歯に影響がいってしまいます。

 

~外邪~

 

外邪とは外から体内に侵入してくる病気のもとです。

風、暑、湿、燥、寒、火と6つあるので六淫とも呼ばれます。

特に歯痛と関わりがあるものでは風邪があげられます。これは風には上に上がる、外に向かうといったはたらきがあり体内に入ってきたときに頭部、顔面 部を侵しやすいからです。また他の外邪と結びついて歯に影響がいってしまうこともあります。

 

歯痛に関連する事項を中心に中医学の基本的な生体観を上記しました。

これをふまえたうえでどのようのして歯痛が起こるかをみていきます。

 

<実火による歯痛>

 

辛いものや油っこいものを偏食していると胃腸に熱がこもりやすくなります。

この熱が盛んになると火を生じます。火は炎上し昇っていく性質があります。

この火が歯と関わりのある経絡にそって歯肉に上炎すると痛みが起こります。

このタイプの歯痛には顔のほてり感や口臭、口が渇く、便秘、尿は黄色などの症状が出てくることが多いです。また自分で舌を鏡などでみてみると舌の色は赤く、舌についている苔は黄色くなっています。脈をみてみると速いリズムでなめらかになります。

治療は胃や腸の火を清熱(熱をとること)することで痛みのもとを取り去っていきます。

 

 

 <風火による歯痛>

 

もともと体質的に陽盛(陰陽の陽でこの場合は温かすぎるの意)で内熱がある人(熱がこもっている人)が風邪が体に入ってくることにより体内の熱と結びついて風火となり歯と関わりのある経絡にそって歯にいき痛みが起こります。

このタイプの歯痛には悪風、発熱が症状として一緒に出てきます。

 

 

<腎陰虚による歯痛>

 

腎は骨をつかさどっており、骨余である歯も当然この範囲です。

腎の気には腎陽と腎陰があり、腎陰が不足すると(この場合の陰は水のようなものとイメージしてください)身体の中の火を消すことが出来なくなり虚火が生じこれが上炎すると痛みが起こります。

このタイプの歯痛は昼間よりも夜に痛みが増すなどの特徴があり腰や膝がだるく痛む、めまいや耳鳴り、口が渇くが飲みたがらないなどの症状が出てくることが多いです。

舌をみてみると舌の色は赤く苔は少ないです。脈は細くて速いです。

治療は熱をとるのと同時に少なくなった腎陰も補うことで歯痛をとっていきます。

 

 歯医者に行っても特に原因が見当たらないケースの歯痛には中医学的なお手当てが効果 を発揮する場合もあります。それは体の中のバランスが崩れその影響が歯に出ているという状態をしっかりと改善していくことが出来るからです。

 中医学では表に出てきてしまった症状を治療するのと同時に体の中のバランスを整える治療(これを標本同治といいます)を基本としています。ゆえに歯痛の起こりにくい体質を改善することが出来ます。もちろん虫歯や歯周病など原因がはっきりしている歯痛の場合でも痛みを抑える治療は中医学でも出来ますが原因がわからないものを中医学の角度からみて治療するということが本領です。

 

原因不明の歯痛でお悩みの方、お気軽に当院までご相談ください。

 

< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 >

当院は予約制となります

  • まずはお電話でご相談ください。

  • 0088-221818

受付時間

8:30~
12:30
13:00まで
14:00~
17:30

※ 火曜日・水曜日・金曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。

アクセス

院内の様子