コラム

2019/03/11
【内科疾患】自律神経失調症について

よく体がだるかったり眠れなかったりすると、「自分は自律神経失調症ではないか?」と心配される方がいる位 『自律神経失調症』は一般の方もよくご存知の疾患です。しかし、「自律神経失調症って何?」と訊かれると、何となくイメージすることは出来ても明確に説明が出来る方は少ないのではないでしょうか。それは、一言で「自律神経失調症」と言っても様々な症状がありますし、そもそも「自律神経」と言う神経自体は聞き馴染みはあっても、いったいどういう神経なのかがよくわからないからではないでしょうか?

一体「自律神経失調症」とはどのような病気なのでしょうか?まずは現代医学(西洋医学)の観点から説明してゆきたいと思います。

 

 

▼現代医学(西洋医学)から診た「自律神経失調症」▼

医学辞典で「自律神経失調症」を調べてみると【種々の身体的自律神経性愁訴を持ち、しかもこれに見合うだけの器質的変化はなく、原因も不明であり、自律神経失調に基づく一連の病症】と書いてあります。

つまりは、『内臓や食道といった臓器や器官などには異常はなく原因も不明な、自律神経の失調によって現れる様々な症状の総称』であるわけです。ですからこの疾患に関しては、まず自律神経の説明から始めていきたいと思います。

 

 

○自律神経とは?○

自律神経は随意的に働く体性神経と対比して不随意神経とも呼ばれています。例えばボールを足で蹴る時は、脳から足の筋肉へ指令が行く事により足の筋肉が収縮してボールを蹴るわけですが、この時脳から筋肉へ指令を伝える神経が随意神経(体性神経)です。よく皆さんが言う運動神経(体性系遠心性神経)と言うやつです。他には感覚神経(体性系求心性神経)もこの中に含まれます。これに対して内臓・血管・汗腺などは意思による指令ではなく独立して働いております。これらの循環(心拍・血圧)・消化・排泄・体温維持などの体内機能を調節しているのが不随意神経(自律神経)です。これらの体内調節機構が意思から自律しているからこそ、我々は眠っている間も呼吸が止まったりせずに、ちゃんと生きていられるわけです。逆を言えば手や足は意思で動かすことが出来ても、内臓や血管などは意思では動かすことが出来ません。ですから一般 的に言えば「自律神経」は自分の意思でコントロールは不可能と言えます。

 

 

○自律神経の分類○

自律神経は求心性に働く「求心性神経」と遠心性に働く「遠心性神経」に2分されます。「求心性神経」は内臓求心神経とも言い各種内臓の情報を伝えます。「遠心性神経」は更に「交感神経」と「副交感神経」に分かれます。「自律神経失調症」はこの「交感神経」と「副交感神経」が深い関わりをもってきますので、もう少しこれらの神経を説明していきましょう。

 

 

○交感神経と副交感神経○

よく「交感神経は緊張の神経で、副交感神経はリラックスの神経」などと言われます。これは、興奮状態時は交感神経の活動が亢進し、反対にリラックス状態時は副交感神経が亢進すること意味します。例えば交換神経は心拍数増加・血管収縮・発汗促進・などの働きがあります。それに対して副交感神経は心拍数低下・血管拡張・発汗抑制といった具合に働きかけるわけです。もう少し具体的に説明をすると、喧嘩や運動時は交感神経が働き心臓の心拍数が上がります、喧嘩が終わり落ち着いたり、運動やめてしばらくすると副交感神経が働いて心臓の心拍数は下がります。他にもまだまだ沢山の働きがありますが、いずれもこの様にして交感神経と副交感神経はバランス良く一つの器官や臓器に対して反対の方向に働きかけることにより機能の調節をしています。

さて、ここで今まで説明してきたことを簡単にまとめてみます。

 

1.自律神経は不随意神経とも呼ばれ、意思とは独立した働きをしています。

 

2.自律神経は呼吸・心拍・血圧・体温・発汗・消化・排泄などの生体が生きるための最も基本的な体内機能の調整をしています。

 

3.自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この二つの神経がバランス良く相反する働きをすることで体内機能の調節をしています。

 

ここまでは自律神経の働きについて簡単に説明してみましたが、次に自律神経の失調について説明したいと思います。

 

 

○自律神経の失調について○

「自律神経」の失調とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランス調整が上手に行われなくなったこと意味します。先ほども説明しましたが「交感神経」と「副交感神経」は、その時その時の体の常態に合わせてバランスよく相反する働きをすることで体内機能の調節をしています。ところが何らかの原因により、このバランスが崩れると、共に亢進したり不安定になったりしてしまうのです。この様な状態を自律神経の失調状態と言います。

先ほども述べましたが「自律神経」は生体が生きるための様々な体内機能の調整をしています。その様な神経が失調を起こしてしまうわけですから、様々な症状が出る理由は理解していただけたかと思います。

では次に自律神経失調症の症状を見てみましょう。

 

 

○自律神経失調症の症状○

様々な症状がある「自律神経失調症」ですから、ここで全ての症状を紹介することは不可能なので、主な症状を部位 ごとに紹介します。

頭・・・・・・・

頭痛・頭重感

顔面・・・・・・

口の渇き・口中の痛み・味覚障害・耳鳴り

閉塞感・疲れ目・涙目・目の乾き

のど・・・・・・

異物感・イガイガ感・圧迫感・のどのつまり

呼吸器・・・・・

息がつまる・息が出来ない・酸欠・息切れ

心臓・血管・・・

動悸・脈のみだれ・胸痛・立ちくらみ・のぼせ

胸部圧迫感・冷え・血圧の異常

消化器・・・・・

食道のつかえ・異物感・嘔吐・吐き気・腹部膨満感・下腹部の張り・ 腹鳴・胃の不快感・便秘・下痢・ガスがたまる

筋肉・関節・・・

肩こり・痛み・腰痛

手・足・・・・・

しびれ・痛み・冷え・ほてり・震え・ふらつき

生殖器・泌尿器・

インポテンツ・早漏・生理不順・頻尿・残尿感

皮膚・・・・・・

発汗異常・冷や汗・乾燥感・痒み

精神症状・・・・

不安感・恐怖感・イライラ・落ち込み

やる気や集中力がない・ささいな事が気になる

記憶力や注意力の低下・悲観的になる・怒りっぽい

全身症状・・・・

疲れやすい・倦怠感・めまい・微熱が続く

ほてり・食欲不振・不眠・すぐに目が覚める

朝、起きることができない・体温調節不能・失神発作

 

ざっと主な症状を列挙してみましたが、多岐わたることが理解していただけたと思います。

しかし、この症状の中には軽度の鬱や精神疲労によるものもかなり多く含まれていますので、診断は心療内科などの専門医の受診をおすすめします。

 

 

次に、何故「自律神経」が失調をおこしてしまうのかを考えてみたいと思います。

 

○原因・性差・好発年齢○

残念ながら原因はまだ不明です。

しかしながら自律神経のバランスが崩れる要因にストレスが関与しているケースが多いようです。先ほど自律神経は一般 的に自分の意思ではコントロール不可能と述べましたが、実際にはかなり感情の影響を受けていますし働きも変化してきます。ですから「自律神経失調症」の患者さんの約半数はストレスによるものと言われております。そこで始めに自律神経失調症の患者さんのタイプを大きく4つに分類してみたいと思います。

 

1.本体性型自律神経失調症・・・これのタイプは特にストレスとは関係がなく、体質的に自律神経のバランスを崩しやすい方がなりやすい。

 

2.心身型自律神経失調症・・・・ストレスが原因となるタイプ

 

3.神経症型自律神経失調症・・・神経質な方に多く、悩みや不安などのコントロールが苦手な方がなりやすい。

 

4.抑鬱型自律神経失調症・・・・几帳面・完ぺき主義の方がなりやすい。

これらの分類は病気の原因と密接に関係していますので、自分がどのタイプかを把握することで、適切な治療に繋がるばかりではなく予防や再発防止にも役立ちます。

尚、一般に好発年齢は思春期から40歳代の間で男性より女性が多いと言われています。

 

 

○診断○

次に現代医学では「自律神経失調症」をどのように診断してゆくかを簡単に説明したいと思います。

まず、最初に身体に器質的な疾患がない無いことを調べます。次に面 接や心理検査を行い心因の有無を調べ、更に自律神経系の検査を行います。

 

 

○治療○

治療の基本は精神療法になります。そして補助的に精神安定薬、及び自律神経遮断薬などと、体の不調がある部分に対しての薬を使用します。

 

 

○まとめ○

現代医学の観点からみた「自律神経失調症」は理解できましたでしょうか?簡単に言ってしまえば自律神経が失調してしまって起こる不定愁訴の総称ということになります。そして特長として、多岐にわたる症状があるにもかかわらず検査をしても異常がみつからないという点があります。こういった点が一般 の方がこの疾患に対して何となくイメージは出来ても明確にはわからないところではないでしょうか。

 

次に中医学の観点から「自律神経失調症」の説明をします。 

引き続きNOー49をお読み下さい。

 

 

 

 

 

 

医療機関の薬で症状が改善しなくて困っている方はお読みください。

 

自律神経失調症の症状を改善させるには、

まず自分の体質を知ることが重要です。

 

ではなぜ症状改善の為に、体質を知ることが必要なのでしょうか?

体質を見て治療法を決めることは、当院の特徴です。

 

なぜなら、他院では症状に対しての治療を行っています。

たとえば、自律神経失調症の患者さんに薬を投与するなどです。

 

鍼灸治療の場合は一般的に、自律神経失調症の部位に鍼治療を施術するところが多いです。

これらも一つの治療法ではございますが、本質的な原因(起因・素因)に対しての治療が

行われていないので良い結果に繋がらないケースがあります。

 

例えば、素因に虚弱体質が有ればその点にもお手当を加えることにより一層治療効果を高めることが可能になるのであります。

 

故に自律神経失調症でも、ストレス、睡眠不足、過労、食事の不摂生など、原因は様々です。

 

それらは患者さんの体質から引き起こされているので有ります。

ですから、体質を知らないと症状の根本的な原因も分からず、いくら薬を飲んだとしても症状は改善が難しい場合があります。

 

当院ではまず体質を見極めてから、症状改善にベストな治療法を選択しています。

よって患者さんごとにオーダーメイドの治療を行っています。

 

▼中医学(東洋医学)から診た「自律神経失調症」▼

実は中医学では「自律神経失調症」はありません。なぜなら中医学では神経という概念がありませんので自律神経というものが存在しないのです。一見、乱暴な話にも思えますが、中医学は現代医学とは異なり、体内にある臓器や器官と言った物質的なものに注目するのではなく、働きに注目しているからなのです。このような考え方は物心がついた時から現代医学に慣れ親しんでいる我々にはなかなか理解しがたいところですが、つまりは現代医学とは生理感や病理感の概念が全く違うということです。そして、これはどちらが優れていてどちらが劣っているというものではありません。どちらにも得意・不得意があります。ですから病院で治療してみてあまりよい結果 が出なかった時に、中医学の受診をしてみたら治ってしまった、という事が起こるわけです。そして「自律神経失調症」もそんな疾患の一つだと思います。

 

 

○中医学の診察方法○

現代医学では診察をする際、近代的な器械や検査器具などを使用しますが、中医学では四診という手段を用いて診察をします。四診とは、全身や顔色や舌の状態を見る「望診」、声や話し方や臭いから情報を得る「聞診」、患者さんに色々質問して情報を収集する「問診」、脈をとったり、お腹や患部などを触ったりする「切診」、の四つから成り、これら全ての情報を総合して診察をおこないます。この診察方法は現代医学では行われない方法です。「四診」は東洋医学の独特でかつ興味深い方法なのでもう少し詳しく説明しましょう。例えば「脈」についてですが西洋医の先生方も脈をとりますが、診ている観点が違うのです。中医学では脈拍数だけではなく、脈の浮き沈み・太さ・触れ方などを見ます。更に手首で脈をとるのですが、その位 置を若干変えることで病気のある場所を探ったりもします。「舌」に関しても同様で、我々は形・色・苔・湿り気などを見て診察を行っております。現代医学はミクロの医学と言われ、より細かく細かく見てゆきます。その結果 、近代的な検査が必要になり、数値に注目する診察が行われています。それに対して中医学はマクロの医学と言われ、目には見えない働きや体内のエネルギーの歪みや臓器の相互関係や肉体と自然との関係等に注目して診察が行われます。

そしてこの目や数値では測れない体内の歪みを「四診」を用いて診察してゆくわけです。

 

 

○未病という考え方○

最近テレビのCMなどで「未病」という言葉を耳にするようになりました。「身体の調子が悪いので病院で検査をしたのに検査結果 はどこも悪くない言とわれた」といった話をよく聞きます。患者さんとしてみれば体調不良は確実にあるわけですからとても辛い状況です。なんとか治して欲しいと思うわけですが、データーを重視している現代医学では検査結果 が正常値であれば「異常無し」という診断になり治療は基本的には行われません。こういった状態を中医学(東洋医学)では「未病」と呼んでいます。

例えば、検査結果が正常値であっても異常値に近い場合もあるわけです、このような場合は例え正常な範囲であっても身体の不調に敏感な人であれば何らかの症状が現れます。身体の働きに注目する中医学では検査データーが正常値であっても身体の不調は身体の異常と考えます。

つまり、身体に不調があるということは体内のどこかの働きが失調をしているわけです。これは中医学的に言えば体内のエネルギーのバランスが崩れている状態で、身体の中で歪みが起きているわけです。そこで先ほど紹介した「四診」という手段を用いて、何処でどの様にエネルギーバランスが崩れているかを探し歪みを調整してゆきます。ですから「未病治療」「未病予防」は中医学の得意分野の一つなのです。

さて、話を「自律神経失調症」に戻しましょう。先ほど、近代医学から診た「自律神経失調症」で述べましたが、この疾患の特徴は様々な不定愁訴があるにもかかわらず、器質的な異常は無く検査をしても原因が見つからないという点でした。つまりは今説明した「未病」に含まれる部分が多い疾患といえます。

 

 

さて、中医学の観点で症状の説明をする前に少しだけ中医学の生理感について説明をします。

 

 

○中医学の生理感○

・・「気」「血」「水(津液)」・・

人間は基本的に「気」「血」「水(津液)」という3つの物質から出来ています。そして健康な身体は「気」「血」「水(津液)」が多すぎることも、少な過ぎることも無く、適量 な状態で且つスムースに流れていなければなりません。もし、どれかが少なくなったり、流れが滞ったりすると、身体の中で歪みが生じ不調が現れます。又、その状態が長引けば、他の部位 にも影響が出てしまい、症状は更に悪化します。「気・血・水」の各々の作用については病気の症状と照らし合わせて説明したほうがわかり易いと思いますので後述します。

 

・・「五臓六腑」・・

次に内臓について説明します。よく年配の方が「五臓六腑にしみわたる」などという表現をいたしますが、この五臓六腑というのは中医学が考える内臓をさします。五臓とは肝・心・脾・肺・腎を言い、六腑とは胆・大腸・小腸。胃・三焦を言います。五臓六腑の「三焦」以外は皆さんも知っている内臓の名称と同じですね。しかし、その働きとなると現代医学で考える働きとは大分違ってきます。尚、中医学が考える内蔵の働きについても「気・血・水」と同様に病気の症状と照らし合わせて説明します。

 

・・経絡・・

経絡とは簡単に言うと「気」「血」が流れる通路のようなものです。経絡は身体中に何本も走っており、一部例外はありますが経絡の上にツボが存在しております。針灸やツボ押しはツボに刺激を与えることにより、この経絡を通 じて全身や歪みのある部位へ刺激を流しているのです。また、経絡にはそれぞれに臓腑と深い関係のある経絡があります。

 

 

○病因○

病因とは病気を引き起こす原因です。中医学ではこの病因を外因・内因・不内外因の3つに分類します。

 

◎外因とは人体の外部が病因になることで主に環境をさします。「六淫」といい風・暑・寒・湿・乾・熱があります。

 

◎内因とは過度の精神状態が病因になることで「七情」といい怒・喜・思・悲・憂・驚・恐があります。

 

◎不内外因とは飲食の失調・外傷・寄生虫・過労・運動不足などがあります。

 

 

 

○中医学の観点から見る代表的な「自律神経失調症」の症状○

 

現代医学では原因が無い不定愁訴の総称を「自律神経失調症」としてひとまとめに考えたのに対して、中医学ではこれらの症状は全て独立した疾患と考え、個々に原因や病気の機序を診察して治療を施してゆきます。

それでは今から症状の説明をしてまいりますが、症状が多岐に渡るため全てを説明することや各々を深く説明するのは不可能なので、代表的な症状を「気・血・水」「五臓六腑」の働きと照らし合わせながら、簡単に説明をさせていただきます。尚、各々症状の細かい説明に関しては、既に当HPにアップされている疾患については別 記いたします。それ以外については次回の機会に回したと思います。

 

 

■頭痛・耳鳴り・難聴

「肝」はノビノビした環境を好みます。しかし、過度のストレス・イライラなどの状況下では「肝」はノビノビできず「肝の気」がスムースに流れなくなってしまい渋滞を起こします。気や血は渋滞を起こすと熱を生む特性を持っていますので、肝の気が渋滞したことにより熱が生まれてしまいます(肝鬱)。又、「肝」は「血」を貯蔵しており「腎」は水を主ります。

「血」も「水」もどちらも身体の熱を冷やす働きをしています。ところが睡眠不足・過労などにより肝に貯蔵されている「血」や腎の水が消耗してしまうと身体を冷やすことができなくなり熱を生んでしまいます。(肝腎陰虚)

皆さんもご存知のように自然界では熱は上に行きます。身体の中でもこれと同じことが起こります。肝の気の渋滞によって生まれた熱や「血」や「水」の不足によって生まれた熱は上に行き、頭や耳に影響を及ぼすことがあります。熱の影響が頭に及ぼせば頭痛で特に側頭部痛が起こりますし、耳に及ぼした場合は難聴や耳鳴りを起こします。

 

「脾」は運化といって飲食物から「気・血」を生成します。ところが「脾」の機能の失調がおこると水液を気化する力も減退してしまい体内に余分な水分が停滞してしまいます〔脾気虚〕。また、冷たい物や油もののとり過ぎや過度の飲酒も余分な水分を生みます。この余分な水分のことを「痰濁」といい、この痰濁により頭痛や頭重感・耳鳴り・難聴の症状が現れます。頭痛は前頭痛が多いようです、耳鳴りは重く濁った音がして難聴は耳が閉塞してはっきり聞こえません。又、「脾」の運化作用には食べ物から気血を作りそれを上にある肺などに送る働きも含まれます。この気血を上に持ち上げること「昇清機能」と言います。「脾」の運化作用が失調すると気血を生成できなくなるばかりか昇精機能も減退してしまいます。その結果 、頭部の栄養不足が起こり頭痛や耳鳴り・難聴を生じます。〔気血両虚〕

 

「腎」は『精』と言って生命の根本をなすものを蔵するとされています。『精』は両親から受け継いだ「先天の精」と飲食物から作られる「後天の精」により形成されます。『精』は腎に貯蔵されることから「腎精」とも言います。腎精の作用のなかに脳の滋養があります。老化・過労・睡眠不足は『腎精』を消耗させます。『腎精』が消耗すると脳の滋養不足が起こり頭痛や耳鳴り難聴を招きます。(腎虚)

 

 

■乾燥

「水(津液)」は皮毛・臓器・喉・目・鼻・口・耳・舌を潤しており、「血」にも潤す働きがあります。これらを滋潤作用と言い、これらが不足すると目・口・皮膚の乾きが生じます。〔陰血不足〕

 

「肝」は「血」を貯蔵しています。「肝」の「血」を貯蔵する能力が減退すると、「血」の不足が起こり目の乾きが生じます〔肝血虚〕

 

 

■胸痛

「気」は温煦作用といって身体を温める働きがあります。温煦作用が失調してしまうと気・血の流れが経絡で停滞を起こします。(陽虚)

 

「肝」の働きは疏泄といって気・血の流れの調節をしています。肝の疏泄が失調すると気・血の流れが経絡で停滞をお越します。)

 

「脾」の機能失調や油っぽいものや甘いものや味の濃いものを多量に摂取したり、過度の飲酒などにより作られた『痰濁』も気・血の流れを妨害して経絡で停滞を起こします。

経絡の流れが悪くなると停滞を起こした箇所で痛みが生じます。胸部で停滞が起これば胸痛が生じます。

 

 

■動悸・脈の異常・息切れ

「気」には推動作用といって気・血の流れを良くする働きがあります。推動作用が失調すると息切れが生じます。(気虚)

 

「心」は血を全身へ循環しています。「心」が失調することで血が全身を廻らなくなることで動悸・脈の異常・息切れの症状が現れます。(心血虚)

 

「肺」は呼吸をおこないます。「肺」が失調すると息切れ・呼吸がしづらい、などの症状が現れます。(肺気虚)

 

 

■消化器の失調

「血」の滋潤作用の失調が起こると腸が滋潤されず便秘になります。(血虚) 動悸の説明で述べましたが「気」には推動作用があります、推動作用が減退すると押し出す力がなくなってしまい便秘が起こります。(気虚)

辛い物の食べ過ぎや身体の中で熱がこもりやすい体質の人は「胃」に熱がこもり「水(津液)」を損傷してしまいます。その結果 、便秘が起こります。(胃熱)

 

「脾」の働きには「運化作用」といわれ、飲食物から「気」や「血」を作る働きがあります。「脾の運化作用」が失調すると食欲不振・腹部のもたれ感・食後の倦怠感・食後の眠気・軟便・下痢・などの症状が現れます。(脾気虚)

 

「胃」は初期消化の働きをしていますので、「胃」が失調を起こすと、上腹部のもたれ症状が現れます。又、「胃の気」がスムースに流れないと胃部の経絡で「気」が渋滞を起こし、胃腸の張った感じが現れます。更に「胃」は通 常食べた物を食道から受け取り、下にある小腸に引き渡します。これは「胃の気」の流れが上から下に流れることにより食物も上から下に落ちて行っているわけです。ところが何らかの原因により「胃の気」が下から上に流れてしまうことが起こります。この「気」の流れが逆になること『気逆』(胃の場合は上逆とも言う)と言い、「胃の気」の気逆や「胃」に余分な水分が溜まり熱化するとゲップ・食欲不振・悪心嘔吐が起こります。(湿熱)

 

中医学では「肝」が障害されると、それ続いて「脾」「胃」が障害される場合があります(木克土)。これは中国の古代哲学(五行説)の考え方からきたものですが「肝気犯胃」)とか「肝気横逆」といい、ストレスなどで「肝の気」が停滞を起こし、その影響が「脾」に及ぶと下痢になり(肝脾不和)、「胃」に及ぶと「胃気の上逆」が起こります。

長期に渡る病気や疲労により「胃」の中の必要な水分が損傷されると、食欲不振をまねきます。(胃陰虚)又、「脾」と「胃」の気が衰退しても、食欲不振が起きます。(脾胃虚弱)

 

 

■イライラ・怒りっぽい・憂鬱感・ため息・不眠・思考力低下・不安感・多夢・精神疲労

先程も記載しましたが、腎精の作用のなかに脳の滋養があります。「腎精」が不足して脳を滋養できないと精神疲労を起こします。〔腎精不足〕

「血」は精神活動に対しての栄養源になっています。「血」が充実していれば情緒も安定しますが、不足すると不安感・不眠・情緒不安定などの症状が現れます。(血虚)

「心」と「脾」が失調すると血が生まれず不眠になります(心脾両虚)

「肝」は「血」を貯蔵しております。この貯蔵力が減退することで不眠が起こります。〔肝血虚〕又、肝の疏泄が失調して血が全身へ廻らなくなっても精神症状があらわれます。〔肝鬱〕 身体の中の余分な水分が熱化し「心」を犯し不眠をまねきます。(痰火擾心)

ストレスなどにより「肝の気」が停滞を起こし熱化したことにより「心」に影響をおよぼし不眠が起こります。(肝火上炎)

「心」は精神の働きを統括していますので、「心」が失調すると様々な精神症状があらわれます。

臓腑と精神の関係をもう少し詳しく説明すると、「肝」は理性・判断・意思の調節、「脾」は思考・記憶・集中の調節、「腎」は意思・信念・記憶力が宿り、これらを「神」と言い、「心」が「神」を統括しています。

 

 

■めまい・ふらつき・健忘・頭がボーっとする

「血」は脳髄を栄養しています。「血」が不足すると脳髄が栄養されなくなり結果 としてめまいが起こります。(血虚)

 

「脾」の作用には「昇提作用」といわれ、飲食物から作られた「気・血」を上にある「肺」まで送る働きがあります。「昇提作用」が失調するとめまい・ふらつき・健忘・頭がボーっとするなどの症状が現れます。(脾気虚)

 

「腎」は髄を作ります。中医学では脳は髄が集まって出来ると考えますので、「腎」の働きが失調するとめまい・健忘・頭痛や、頭がボーっとしたりします。〔腎精不足〕

 

 

■疲れ易い・無汗・多汗・息切れ・倦怠

「気」には気化作用といって物を変化させる働きがあります。例えば食べた物を「気」や「血」に変化させたり不要な水分を汗や尿に変化させています。気化作用が失調すると無汗や尿が出づらくなります。又「気」は栄養作用といって身体の隅々を栄養しています。栄養作用が失調すると、痩せ・疲れ易い・倦怠などの症状が現れます。その他に「気」には固摂作用といって異常発汗や出血を防ぐ作用があります。固摂作用が減退すると多汗が生じます。(気虚)

 

「心」や「脾」は気血の生成や循環に深く関与します。これらが失調すると疲労や倦怠を感じます。(心脾両虚)又、「腎精」の不足でも疲労や倦怠がおこります。(腎精不足)

 

「肺」は宣発粛降といって「脾」で作られたエネルギーを全身へ散布します。「肺」が失調してしまうと、エネルギーを全身へ送ることができずに息切れや疲れ易くなります。また、宣発には発汗の作用もありますので、失調を起こすと無汗になることもあります。逆に「肺」は発汗だけでなく皮毛や汗孔を閉じ、発汗を抑えることもしていますので失調を起こすと多汗にもなります。(肺気虚)

 

 

■不妊・性欲減退・インポテンツ・早期の閉経

「腎精」により人は発育します。逆に「腎精」が衰えると、老化が始まります。「腎精」がある一定のレベルを超えると精子が作られたり排卵が始まったり性欲がでてまいります。ですから「腎精」が衰えると不妊・性欲減退・インポテンツ・早期の閉経といった症状が現れます。

 

△インポテンツ

身体の中に余分な水分が貯まり熱化し起こります(湿熱)

過剰な精神状態(恐怖)などから「腎」と「心」が犯され起こります(七情内傷)

過度な性交など(房事過度)により「腎」のエネルギーが消耗したり、下半身を冷やしたりしても起こります。(命門火衰)

過度な思い悩みで「心」や「脾」が障害され気血が作られなくなり起こります(心脾両虚)

 

 

■体温調節不能

「気」の温煦作用が失調すると手足の冷え・寒がり・などの症状が現れます。(気虚・陽虚)

 

代表的な「自律神経失調症」の症状を中医学の見地から「気血水」や「五臓六腑」の生理作用と照らし合わせながら説明してみました。今回は症状が多岐にわたったため簡単な説明になってしまいましたが、今回皆さんに一番理解して頂きたかったのは、「自律神経失調症」を現代医学と中医学の二つの視点で見たときに、全然違う観点で診察をしてゆくという事です。又、それぞれの症状はどのような機序でおこると中医学では考えるかをイメージできていただけたらと思います。

どうでしょう、理解して頂けましたでしょうか?

 

皆さんの中に「自律神経失調症」と診断され症状が改善されない方や、体調が優れないのに検査をしても異常が見つからないでおられる方は、是非一度別 の視点から身体の歪みを診てみてはいかがでしょうか?

 

***今回の症状で既に『病気別・わかる東洋医学診断』にアップせれている疾患のナンバーです

うつ・・・・・・・NOー9

過敏性大腸炎・・・NOー17~18

不眠・・・・・・・NOー21

冷え症・・・・・・NO-39

高血圧・・・・・・NO-42

ストレス・・・・・NO-43

未病・・・・・・・NO-44

めまい・・・・・・NO-47

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/03/11
【その他】診察シュミレーション・突発性難聴・-1(1)

●診察シュミレーション ~突発性難聴Ⅰ~ ●

慢性症状・難治病でお悩みの方、真の中医学(東洋医学)・真の診断と治療を理解していただけると思います。

今回と次回の2回は「突発性難聴」について2症例を紹介する予定です。

 

◇はじめに◇

現代医学の発展はめざましいものがあります。

皆さんも病院で検査などを受ければ、その検査データーの精密さや検査機材の進歩にお気づきになると思います。

現代医学では患者さんの病気を調べる手段に様々な検査が用いられております。

例えば、血液検査・レントゲン・CT・超音波・・・など、その症状により様々な検査がございます。

このように医師は検査データーや画像をみて患者さんの状態を把握します。

それに対して鍼灸師は上記の様な検査は一切行いません。

皆さんは鍼灸師が検査機材などを使用しないで、どうして病態を把握することができるのか不思議に思うかもしれません。

しかし、中医学による施術を行っている治療者は、現代医学と同様に患者さんの病態を把握して、治療方針を考えてから治療にあたります。

ただ病んでいる部位や痛い箇所に針を打つだけではありません。

一般的な鍼灸院の言う「東洋医学」と、我々が言う「中医学」とは全くの別 物です。

中医学の治療というのは、先ず「弁証」を立てます。

「弁証」とは簡単に言ってしまえば、患者さんの体の中の、現代医学では出てこないエネルギーバランスの崩れ具合をみて、病気の原因や性質や進行状態などを見極めることです。

「弁証」が立てられたら、それに基づいて治療方針を決め、治療方針が決まったら、それを基に使用するツボを決めていきます。

つまり、治療の第一段階は「弁証」を立てることから始まります。

その「弁証」を立てる手段が『四診』と言われ、現代医学の検査と同様のものです。

 

 『四診』とは「望診」「問診」「切診」「聞診」の総称です。

 

①「望診」とは、患者さんの顔色や舌の状態みて疾病の状況を判断するものです。

(舌の形状や苔の具合で寒熱や活力量の過不足などを判断します。)

 

②「問診」とは『四診』の中でも重要な診察法で、患者さん本人や付き添いの方に病気のことは勿論の事、生活状況・家庭環境・性格・睡眠状況・など様々な質問をさせて頂き、そこから疾病の状況を判断するものです。

当院に来院された患者さんはお気づきだと思いますが、当院においても「問診」は重要視しており、初診時には「問診」のみに30分位 かける事も珍しくありません。

③「切診」には〈脈診〉と〈按診〉があります。

 

1)

〈脈診〉とは脈拍を診察することですが、現代医学の〈脈診〉と、我々の〈脈診〉とでは内容がやや違います。

我々の脈診は脈拍数や不整脈の他に、脈の強弱・浮き沈み・太い細い・脈の触れ方、などを観察します。

それにより、体の活力具合・体の寒熱などを見極めます。

 

 

2)

〈按診〉とは患者さんの皮膚・手足・胸腹部などを、撫でたり・押したり・触ったりして、しこり・圧痛・温度・湿り気などを観察します。

④「聞診」とは、患者さんの発する声や臭いから、患者さんの疾病の状況を判断します。

 

上記に挙げた4つの診断法は独立するものではなく、これら全ての方法により情報を収集し、総合的に患者さんの体の中でどのような歪みが生じているのかを振り分けます。

このようにして振り分けられたものが、先程紹介した「弁証」です。

 

 では実際にどの様に『四診』が行われ、どの様に「弁証」を立てていくのかをシュミレートしてみたいと思います。

 

 今回は「突発性難聴Ⅰ」の四診をシュミレートしてみたいと思います。

皆さんにはできるだけ理解していただけるように、東洋医学の基礎的な理論についてと突発性難聴についての詳しい説明が、こちら『病気別 ・わかる東洋医学診断』の「わかりやすい東洋医学理論」と「突発性難聴について」に記載されておりますので、そちらを先にお読みになられてから、この後をお読みになることをおすすめいたします。

 

◇ 問診シュミレーション◇

では早速シュミレートをしてみたいと思います。

 

初診の患者さんは先ず問診表を書いて頂きます。

問診表には現在の病状を書いていただく箇所と、普段の生活・めまい・耳鳴り・のぼせ・・・・、などの有無を答えていただく質問表があります。

質問表は患者さんの症状により、上記の質問の他に20~60位の質問が追加されます。

これらの質問にチェックを入れていただく事により、問診を行う前に治療者は現在の患者さんの病状に加え、患者さんの体質を大まかに把握することができます。

中医学では患者さんの体質を把握するということは、現在の病状を把握することと同等に重要な事だと考えております。

なぜなら中医学は病気を診るのではなく、病人を診る医学だからです。

例えば、風邪という病気は1つしかありませんが、風邪をひいた人(病人)となるとその人の体質に風邪が入っているわけですから、体質+病気=病人、となります。

中医学は病人をみる医学ですから、同じ風邪をひいた場合でも、体質が違えば弁証や治療法が変わってくるのです。

また、中医学では、風邪をひきやすい体質の方であれば、風邪の症状が治まっただけでは完治とは言いません。

このような患者さんの場合で、風邪の症状が辛い時は、先ず、「標治法」と言って風邪の症状を治める治療を行い、ある程度風邪の症状が治まってきた段階で「標治法」から「本治法」に切り替えます。

「本治法」とは風邪をひき易い体質から風邪をひき難い体質に改善します。

そしてこの体質の改善が終了して初めて「根治」といって、いわゆる完治となるわけです。

以上のことから、治療者にとっては患者さんの体質を知るということはとても大事なことなのです。

さて、問診表に質問表が付属しているのにも理由があります。

冒頭でも述べましたが、「問診」は「四診」の中でも重要度が高い診察の一つです。

当院でも「問診」にはかなりの時間をかけております。

問診の前に治療者が患者さんの体質を大まかに把握できることにより、問診時間の短縮が可能となります。これは質問表にあった質問を問診時に省くとういうことではなく、質問表をもとに更に深い問診が可能になるということです。

患者さんは何らかの不調があって来られているのですから、問診は出来るだけ短く、正確に、より深く行うのが我々治療者の努めなのです。

 

 さてシュミレーションに戻りましょう。

 

Ⅰ、治療者は問診に入る前に問診表と質問表に目を通します。

問診表には以下のことが書かれてありました。

 

 A子さん 女性  29歳  主婦  初診:H19年10月10日

 

【主訴】

3週間前、朝起きたら左の耳が聞こえづらくなっていた。

直ぐに耳鼻科へ行ったところ寝不足による「突発性難聴」と言われ飲み薬を出してもらったが、なかなか以前のように戻らない。

 

次に質問表を見てみると

 ストレス多い・食欲無し・頭痛あり・めまい・便秘傾向

などにチェックがありました。

 

Ⅱ、問診表に目を通し終えたら、患者さんに問診室へ入ってもらいます。

A子さんが入り口から入ってまいりました。

椅子に腰を掛けていただき挨拶を交わしました。

体型や身のこなしからは特に異常は感じられず、声にも力が有り年相応の、いたって普通 の女性です。

次に顔などを観察すると、顔色が全体的に赤味をおび、眼もやや充血しているようです。

又、表情からは少し神経質な印象を受けました。

体臭や口臭は無いようです。

 

治療者は患者さんが問診室へ入って来る時から先ほど説明した

「望診」と「聞診」を開始しており、患者さんから発せられる情報を得ております。

具体的には体型・身のこなし・顔色・顔から受ける患者さんの気質などチェックしています。

更に患者さんの発する声や臭いにも気を配っています。

 

 さてここで、治療者が問診表に目を通してから患者さんが問診室の椅子に腰掛けるまでに治療者がどの様な事を考えていたのか、頭の中を覗いてみましょう。

 

【1-1問診表】

先ず問診表を見て患者さんの主訴が「突発性難聴」であることを確認すると、突発性難聴を引き起す原因と特に関係の深い臓腑について、中医学的に何があるのかを考えます。

先ず原因となるものには、ストレス・怒り・思い悩み・偏食・長患い・疲労・老化・過度な性行為や自慰行為、などが考えられます。

次に関係のある臓腑は「肝」「腎」「脾」「胃」などが挙げられます。

ところで、中医学では一般的に病気を「虚証」「実証」「虚実挟雑証」の3つに大きく分類します。

「虚証」とは、もともと患者さんが病気の原因となるものと戦うエネルギーが不足していて、抵抗力が無く発病してしまうものをさします。

例えば、周りの人は気にもとめない、ちょっとした気候の変化でも体調を崩してしまうような方の病証が当てはまります。

「実証」とは「虚証」の逆で、病気の原因となるものの勢いが強く、抵抗力のある人でも発病してしまうものをさします。

例えば、普段から抵抗力がある方がインフルエンザなどの流行性感冒などの感染などがあります。

「虚実挟雑証」とは「虚証」と「実証」が混ざっている病証を言います。

さて、「虚証」と「実証」では原因から病気の成り立ちや特徴に大きな違いがありますので「虚証」と「実証」の判別 はとても大事なことと同時に、その後の問診時間の短縮に繋がります。

ですから、問診の初段階では病気の原因追求と虚実の判別をしていきます。

 

ではもう一度、問診表を見てみましょう。

問診表から得られる患者さんの情報は、

①3週間前の朝に発症。

②患部は左の耳。

③病院では寝不足による「突発性難聴」と言われた。

④飲み薬を出してもらったが、完治していない。

⑤年齢

⑥専業主婦

 この中で治療者が先ず気にとめたのは①③⑤⑥です。

 

① 3週間前の朝に発症

先程「虚症」と「実証」の説明をしましたが、「実証」の特徴の1つに発症が急であるというのがあります。

反対に「虚症」は徐々に発症する特徴があります。

問診で患者さんに発症した日時を伺うと、「実証」の患者さんは急に発症しているため、発症日時を記憶していることが多く、逆に「虚症」の患者さんは日時を特定できず「だいたい○○頃」とか「気付いたら発症していた」とお答えになる方が多いのです。

A子さんの場合は3週間前の朝と、かなりピンポイントで限定していることから、急な発症と考えられるので、「実証」の可能性が覗えます。

更にもう1つ発症してから初診日まで3週間あるということは、その3週間の間の症状の変化などがあれば、そこから「虚・実」や「原因」の情報が得られる可能性があるということです。

これは問診時に必ず質問しなければならない項目です。

 

② 病院では寝不足による「突発性難聴」と言われた。

冒頭でも述べましたが中医学は「病気」ではなく「患者」さんをみる医学です。

何故、A子さんが寝不足になったのかまでを追求する必要がありそうです。

もしかすると、そこに「突発性難聴」の原因が隠れているかもしれません。

 

⑤ 29才ということですから、病気の原因から「老化」を外す事ができます。

 

⑥ 専業主婦の方の中には外界との接触が著しく希薄となり、家事や育児が通 常の主婦の方より過度なストレスとなる方もおられます。

 

 次に質問表を見てみましょう。

 

【1-2質問表】

この質問表では、主に患者さんの体質や現在現れている病状の性質を、大まかに掴むことができます。

勿論、患者さんによって詳しく書いてくださる方や、そうでない方もいらっしゃいますし、体質が現在の病状に隠されてしまい、患者さんの体質がわからない場合などもありますので、必ずしも質問表で体質や現在現れている病状の性質がわかるものではありません。

さて、それでは質問表のチェック項目を見てみると、「ストレスが多い」「食欲不振」「頭痛」「めまい」「便秘傾向」などにチェックがあります。

 

『ストレスが多い』

「ストレス」は「突発性難聴」の原因になりますので、後ほど問診で詳しくチェックしなければなりません。

 

『食欲不振』

食欲については、中医学では一般的には「脾・胃」の状況を表わす指標の1つになります。

「突発性難聴」は「脾・胃」が関与するケースがありますので、これも問診でチェックする必要があります。

 

『頭痛』

「頭痛」はストレス・怒り・偏食・外傷・疲労・・・・・、その他にも様々な原因によって起こりますので、これも後ほど詳しく質問しなければなりません。

 

『めまい』

「めまい」もストレス・怒り・老化・疲労・偏食、など様々な原因がありますので、これも後ほど詳しく質問しなければなりません。

 

『便秘』

便秘の原因には辛い物の食べ過ぎ・ストレス・エネルギー不足(気虚)・長時間同じ姿勢で座った、などがあります。

「突発性難聴」の原因と同じものが幾つかあります。

こちらも後ほど問診でさらに詳しく質問してみましょう。

 

問診表と質問表からは病気の虚実や原因について、決定的な情報はありませんでしたが、弁証を立てるに当たり質問しなければならない重要な症状が、いくつもありました。

治療者は以上の事を頭に入れて四診を開始します。

 

【2-1入室~着座】

患者さんが入室してきた時から「望診」と「聞診」は始まります。

ではこの患者さんの場合はどうだったでしょうか?

体型・身のこなし・声質については特に特筆する点はなかったようです。

又、体臭・口臭も無かったようです。

ただ、顔については少し気になる点があったようです。

 

① 顔色が全体的に赤い・眼の充血。

ストレスによって肝が損傷を受けて、体内で熱が産まれると起こる症状です。

肝が損傷され、気の流れが滞って起こる「突発性難聴」の患者さんの特徴です。

 

② 神経質な表情。

性格が神経質の患者さんの中には、「肝」や「脾・胃」を損傷させておられる方が多いようです。

 

さて、問診表・質問表に目を通して、今までの「望診・聞診」などの結果 からは、わかったことをまとめてみましょう。

 

=問診表でわかったこと=

①、 主訴は「突発性難聴」

②、 「実証」の可能性がある。

③、 「寝不足」が関係しているかもしれない。

④、 病気の原因から「老化」は外せる。

⑤、 過度なストレスを受けている可能性がある。

 

=質問表でわかったこと=

随伴症状には、ストレスが多い・食欲不振・頭痛・めまい・便秘傾向、などがあります。

これらの症状を引き起こす共通の原因として考えられるものとしては

① エネルギー不足 ②ストレス などが考えられます。

 

=望診・聞診でわかったこと=

顔色が全体的に赤い・眼の充血・神経質な表情。

これらからはストレスの影響の可能性と、損傷を受けている臓腑には「肝」や「脾胃」の可能性があることがわかります。

 

以上をまとめると、A子さんはかなり強いストレスにさらされている可能性が高そうです。

又、損傷を受けている臓腑は今のところ「肝」「脾」「胃」の可能性があります。

「虚・実」の判別は、今のところ「実証」の可能性が高そうです。

次に「実証」の可能性が出てきたところで、「実証」の場合、その原因となるもは

① ストレスや怒りによって気が滞っておこるタイプ

② 過度の飲酒や偏食により、体内の不要な水分が熱化しておこるタイプ

以上の2つのタイプがあります。

これ以降の問診では、これらについても質問する必要があります。

又、「虚証」の場合、その原因となるものの多くは、「腎」「脾」「胃」などの臓腑のエネルギー不足から起こります。

今の段階では、損傷を受けている可能性のある臓腑は「肝」「脾」「胃」ですから「虚症」や「虚実挟雑」の可能性もまだ残っています。

 

今の段階では、まだ弁証を立てる程の確定的な情報を得ておりませんが、問診する上ではある程度の方向性が見えてきました。

 

それでは、問診の様子を見てみましょう。

 

2019/03/11
診察シュミレーション・突発性難聴・-1

●診察シュミレーション ~突発性難聴Ⅱ~ ●

慢性症状・難治病でお悩みの方、真の中医学(東洋医学)・真の診断と治療を理解していただけると思います。

 

今回で4回目になります「診断シュミレーション」は前回に引き続き「突発性難聴」を紹介したいと思います。

前回の症例はストレスが原因となり起こった「突発性難聴」でしたので、今回は違うタイプの症例を紹介いたします。

 

尚、「突発性難聴Ⅰ」をまだお読みでない方は、診察の基礎的な知識などを

「突発性難聴Ⅰ」の方で説明してありますので、先ずそちらからお読み下さい。

 

▼シュミレーション▼

 

Ⅰ、治療者は問診に入る前に患者さんに書いて頂いた問診表と質問表に目を通 します。

問診表には以下のことが書かれてありました。

 

 Bさん 男性  38歳  T160  W57

 初診:H19年11月4日

 

【主訴】

1年位前から、耳が聞こえづらい。

病院では突発性難聴と言われたが、色々検査をしても異常は見つからない。

又、過去に大きな病気やケガはしていない。

 

次に質問表を見ると、特にチェックはありませんでした。

 

Ⅱ、問診表と質問表に目を通し終えたら、患者さんに問診室へ入ってもらいます。

問診表の身長体重のデーターからもわかるように、小柄な男性が入ってまいりました。

年齢のわりには白髪が多いようです。

椅子に腰を掛けていただき挨拶を交わしました。

身のこなしや顔色・表情からは特に異常は感じられず、声にも力がありますし、体臭や口臭も無いようです。

 

さてここで、治療者が問診表に目を通してから患者さんが問診室の椅子に腰掛けるまでにどの様な事を考えていたのか、頭の中を覗いてみましょう。

 

【1-1問診表】

前回の「突発性難聴Ⅰ」の時にも説明しましたが、問診表を見て患者さんの主訴が「突発性難聴」であることを確認すると、「突発性難聴」を引き起す原因と特に関係の深い臓腑は中医学的に何があるのかを考えます。

先ず原因となるものには、外傷・ストレス・怒り・思い悩み・偏食・長患い・疲労・老化・過度な性行為や自慰行為・先天の不足、などが考えられます。(先天の不足については後で説明いたします。)

次に関係のある臓腑は「肝」「腎」「脾」「胃」などが挙げられます。

又、これも前回説明いたしましたが、中医学では一般的に病気を「虚証」「実証」「虚実挟雑証」の3つに大きく分類しました。

又、「虚証」と「実証」では原因から病気の成り立ちや特徴に大きな違いがありました。

ですから、「虚証」と「実証」の判別はとても大事なことと同時に、その後の問診時間の短縮に繋がりますので、問診の初段階では病気の原因追求と虚実の判別 をしてゆきます。

 

 ではもう一度、問診表を見てみましょう。

問診表から得られる患者さんの情報は、

①1年位前に発症。

②病院では「突発性難聴」と言われたが、検査では異常はない。

③年齢

④大きな病気・ケガはしていない。

 

 では、細かくみていきましょう。

 

① 1年位前に発症。

「実証」には発症が急であるという特徴があります。

反対に「虚症」は徐々に発症する特徴があります。

前回も述べましたが、問診で患者さんに発症した日時を尋ねると、「実証」の患者さんは急に発症しているため、発症日時を記憶していることが多く、逆に「虚症」の患者さんの場合は徐所に発症することが多いので、日時を特定できず「だいたい○○頃」とか「気付いたら発症していた」とお答えになる方が多いのです。

又、通常は病気が長期化すればするほど影響を受ける臓腑も増してきますし、最初は実証であっても虚症へと変化している場合も多々あります。

更にもう1つ、発症してから初診日まで1年間あるということは、その1年の間の症状の変化などがあれば、そこから「虚・実」や「誘発素因」の情報が得られる可能性があるということです。

これは以降に必ず質問しなければならない項目です。

 

② 病院では「突発性難聴」と言われたが、検査では異常はない。

現代医学と東洋医学(中医学)の大きな特徴の違いの1つに、病気の捉え方があります。

現代医学は「ミクロの医学」と言われ、科学技術の最先端の検査機器を用い、病気を出来るだけ細かく捉えます。

それに対して東洋医学はマクロの医学といって病気を大きく捉えます。

このことにより、両医学には得意分野と不得意分野が存在します。

例えば、外科的処置などが必要な場合であれば、現代医学の方が治療は早いと思われます。

日本の現状では、難治性の病に侵された患者さんの場合、ファーストチョイスはやはり病院です。

鍼灸院には、様々な治療を受診したが良い結果が出なかったので訪れるといった患者さんが殆んどです。

しかし、まれにファーストチョイスとして、鍼灸院を訪れる患者さんもおられます。

このような患者さんの場合は「四診」を行いながら、現代医学の角度からも病状を診て、病院に行かれた方が早く完治すると判断すれば病院への受診をおすすめします。

我々は患者さん全てに対して中医鍼灸治療を行うわけではなく、その患者さんにとって最良の治療手段の提案もさせていただきます。

Bさんの場合は病院で検査を全て行って異常が無いと言われていますので、東洋医学の出番と言えます。

 

次に、Bさんが病院へ行ったのはいつごろなのかも気になります。

例えば、1年前に急に発症して慌てて病院行ったのか?

あるいは最近になって病院へ行ったのか?もしそうであるなら最近になって病院へ行った理由は何故か?

又、発症して1年も経っているのに何故今頃になって鍼灸院へ来院したのか?

その理由に病気の発症原因や誘発素因が隠されているかもしれませんので、これらについても質問する必要があります。

 

因みに病院で使われる病名はあくまでも現代医学の診立てによって付けられる診断名です。

それは我々が行っている中医学とは全く違う診立てであります。

ですから、中医学には「突発性難聴」という弁証名はありません。

我々は現代医学の診断名を参考にはいたしますが、それによって治療方針を考えるといったことはいたしません。

逆に皆さんが何処かの治療院へ行かれた時に、そこの先生が病院で言われた病名を聞いただけで、しっかりとした問診もせずに治療を開始したとしたら、その先生は東洋医学や中医学を、しっかりとは学ばれていないと判断された方がよいかと思います。

 

 さて話をもとに戻しましょう。

 

③ 年齢。

「突発性難聴」の原因の1つに「老化」があります。Bさんは38歳ですから、原因から老化は外せます。

しかし、もし38歳のBさんに老化の特徴となるものが現れていたとすると、それは何らかの原因として考慮しなければなりません。

 

④ 大きな病気・ケガはしていない。

このことから、原因の中から「長患い」「外傷」を外すことが出来ます。

 

【1-2質問表】

次に、質問表ですが、Bさんは特にチェックを入れていませんでした。

チェックが無いからといって、Bさんに質問表に書いてある症状が無いと思ってはいけません。

質問表ついては、細かくチェックを入れてくれる患者さんもいますが、逆にあまりチェックを入れてくれない患者さんもおります。

このような患者さんには2つのタイプがあります。

先ず1つは、質問表は冒頭で述べたように、様々なチェック項目があります。

患者さんが質問表にあるような症状と、ご自分の主訴とは無関係と解釈してしまい質問表をあまり重要視せずに、チェックを入れていない場合。

しかし、中医学では一般の方が考える体の成り立ちや病気の機序とは全く違う観点でそれらを捉えます。

ですから、一般の方が無関係だと思うような症状が、実は深い関係であったりすることが、よくあるのです。

もう1つは、患者さん本人が症状に気付いていない場合もあります。

このようなタイプの患者さんは、ちょっとした体の不調には気付かずに過ごしてしまい、症状が悪化してから病院や治療院へ来られる方が多いようです。

 

いずれのタイプにせよ、質問表にチェックが無い場合は、問診時に質問表にある項目を再度訊いていかなければなりません。

 

 治療者は以上の事を頭に入れて、患者さんを問診室へ招き入れます。

 

【2-1入室~着座】

治療者は患者さんが問診室へ入って来る時から先ほど説明した「望診」と「聞診」を開始しており、患者さんから発せられる情報を得ております。

具体的には体型・身のこなし・顔色・顔から受ける患者さんの気質などチェックしており、更に患者さんの発する声や臭いにも気を配っています。

ではこの患者さんの場合はどうだったのでしょうか?

治療者が気にとめた点をまとめてみましょう。

① 体格が小柄。

② 年齢のわりに白髪が多い。

ほとんどの皆さんは、体格や白髪と「突発性難聴」とは無関係ではないかとお考えになると思いますが、中医学では関係する場合があります。

 

 では、それぞれについて細かく考えてみましょう。

 

① 体格が小柄

小柄な体格の人全てに体の異常があるという訳ではありませんが、「四診」を行う上では、たとえ少ない可能性でも疑っていかなければなりません。

その原因は幾つかありますが、ここでは代表的なものを2つ紹介しましょう。

1つは、「脾胃虚弱」が考えられます。

これは成長するために必要なエネルギーは、食べた物から作られるのですが、「脾胃虚弱」のため、エネルギーを飲食物から吸収できなくて成長に必要とするエネルギーが不足して小柄になってしまうものです。

そしてもう1つは「腎精の不足」によるものが考えられます。

「精」とは{人体を構成し生命活動を維持する基礎物質の1つ}と定義されるものです。

定義だけ聞くと難しいのですが、そんなに難しいものではありませんので説明します。

「精」は大きく「先天の精」「後天の精」に2分されます。

先程の飲食物から作られるエネルギーは「後天の精」と呼びます。

それに対して「先天の精」とは、産まれた時に既に備わっている精で、両親から受け継いだものです。

そして、これらの精を貯蔵しておく場所が腎で、腎に貯蔵されている精のことを「腎精」といいます。

精には様々な働きがありますが、特に「先天の精」は、人体形成の基礎となり、生殖・成長・成熟・老化に深く関与します。

(これらは現代医学でいう、DNAやホルモンといったものに近い存在です。)

以上の事から、「先天の精」が少ない場合、成長が他の人に比べやや劣る場合があります。

先程「突発性難聴」の原因にありました、「先天の不足」とは、生まれつき「先天の性」が少ないことをいいます。

 

では、これらの原因をどの様に判別するかというと、随伴症状を訊いていけばわかります。

「脾胃虚弱」の方であれば、「軟便」「食欲不振」といった、脾胃が損傷している特長的な症状が現れますし、腎精が不足してる場合は、「早期の老化」「膝や腰の不調」といった、何らかの腎精不足の症状が現れます。

 

ですから、これらについては後ほど問診時に質問する必要がありそうです。

 

② 年齢のわりに白髪が多い

白髪は老化の特徴的な現象です。Bさんの年齢で老化は少し早すぎます。

これは先程説明した「先天の不足」と関係があるかもしれません。

 

問診に入る前に、今まで得た情報をまとめてみると、

① 先ず発症の原因についてはこれといって特定できる情報はありませんでしたが、老化・長患い・外傷、については除外していいでしょう。

② 臓腑の損傷については、今のところ「脾胃虚弱」と「腎精の不足」の可能性があります。

③ 虚実については実証の情報はありませんでした。虚症については若干の可能性があるようです。

 

今の段階では上記の情報を得ております。

しかし、診察はまだ始まったばかりですので、上記の情報がBさんの身体のバランスの崩れと繋がるものとは限りませんので、あくまでも参考程度にとどめ、あまり固執しないように注意をしながら問診を開始します。

 

それでは問診の様子をみてみましょう。

Ⅲ、先ずは「突発性難聴」を発症させた原因。虚実・寒熱といった病気の性質などを探る為に、発症当時についてや、発症時から初診日までの間の症状の変化について質問したところ、次の様な答えが返ってきました。

① 自分ではこれといって発病の原因はわからないが、大体1年前位からいつの間にか耳が聞こえづらくなっていた。

② 耳が聞こえづらくなってから今日に至るまでの1年間では症状に大きな変化は無いが、 徐所に症状が悪化している気がする。

③ 季節や天気の影響も無く、温めても寒いところへ行っても変化はない。

又、休んでも疲労しても変化はない。又、かがんだり、立ち上がっても症状に変化は無い。

 

Ⅳ、次に発病の原因を探るために、発症以前に耳に何か異常があったか質問してみたところ、次の様な答えが返ってきました。

① 発症前に耳の周辺に張ったような感じは無かった。又、耳がつまった様な感じや痛みも無かった。

② セミの鳴くような耳鳴りが若い頃から今だにあるが、それほど大きな音ではないので気にとめていな。

③ 特に耳が聞こえづらくなり始めたのは1年位前であるが、今から思うとそれ以前から徐々に聞こえづらくなっていた気がする。

④ 病院へ初めて行ったのは半年前で、その理由は症状が徐々に悪化してきており、電話の声が聞き取りづらかったりと生活にも支障が出始めてきたからで、鍼灸院へ来た理由は病院へ行っても症状の改善が無かったため。

 

Ⅴ、次に耳鳴りについて詳しく質問したところ、次の様な答えが返ってきました。

① セミの鳴く様な耳鳴りは今だに続いている。

音の種類としては、セミの鳴く様な音で低く細い。

重く濁った音ではなく、ヒューヒューという音でもない。

音量は気にとめるほど大きいものではない。

② 耳鳴りは夜間に増悪する気がする。

③ 耳を按じると症状は軽減する。

④ 難聴と同様に季節や天気の影響も無く、暖めても寒いところへ行っても変化はない。

又、休んでも疲労しても変化はなく、精神的な変化やストレスや怒りによって症状が変化することもない。

 

?、最後に随伴症状や生活習慣について質問をしたところ、次のような答えが返ってきました。

① 最近、性機能の減退や物忘れがある。(難聴発症後から)

② 前から足腰がだるかった。(耳鳴りの発症以前から)

③ 子供のころから歯が弱く、身体が小さかった。

④ 立ち上がっても症状は悪くはならない。

⑤ 倦怠感・気力が萎える・食欲不振・軟便、といった事は無い。

⑥ 飲酒はしない、偏食もなくバランスよく食べている。

⑦ 胸が張る感じ・口が苦い・頭痛、咽の渇き、便秘や乾燥便といったことは無い。

⑧ 精神的な変化やストレスや怒りによって症状が変化することもない。

⑨ 頭が重い感じや胃脘部の張った感じは無い。痰も無い。

⑩ 動悸・不眠・息切れ・風邪をひきやすい、といったこともない。

 

 最後に舌診と脈診をしたところ、

 舌質は淡く、苔は少ない。脈は細く弱い。

では、患者さんの答えや、脈・舌から、治療者がどの様に弁証を立てるのか

又、治療者の頭の中を覗いてみましょう。

 

【3-1、発症当時についてや発症時から初診日までの間の症状についての問診】

この問診の答えをまとめると、

① Bさん自身では発病の原因はわからない。

② 1年前位前からいつの間にか耳が聞こえづらくなっていた。

③ 発症からの1年間では症状に大きな変化は無いが、徐所に悪化している気がする。

④ 季節や天気の影響も無く、温めても寒いところへ行っても変化はない。又、休んでも疲労しても変化はない。

以上の4点です。

 

 それではそれぞれについて説明してゆきましょう。

 

① については、先ず外傷の否定になります。更に②③は「虚症」を意味します。

問診表の説明のところで述べましたが、虚症の特徴は徐所に発症することが多いので、虚症の患者さんは日時を特定できず「だいたい○○頃」とか「気付いたら発症していた」とお答えになる方が多いのです。Bさんの場合も「1年前位 前から~」と言っております。

又、病気が長期に渡る場合、実証の症状は急激に良くなったり悪化したりするという特徴があります。

逆に虚症の場合は症状があまり変化しないか、変化する場合も徐所に変化するといった特徴があります。

やはりBさんは「1年間では症状に大きな変化は無いが、徐所に悪化している気がする。」と言っています。

 

④ の質問は病気の原因や誘発素因を探る質問です。

例えば、梅雨時期に症状が悪化するのであれば、症状を悪化させる要因に湿気が考えられますし、夏であれば熱、冬であれば冷え、秋なら乾燥などとかんがえられます。

又、温めたり、冷やすことによって症状に変化があれば誘発素因がわかります。

これらがわかることにより病気の原因を知るヒントになることもありますし、病性といって病気の性質がわかりますので、弁証を立てる際や治療方法の選択の際に参考となります。

Bさんの場合は、季節の変化や、寒熱の変化はありませんから、これらが誘発素因にはなっていないようです。

又、休んでも疲労しても変化が無い・又、かがんだり、立ち上がっても症状に変化は無い。

とありますが、これは虚実を問う質問です。虚症の場合は疲労すると症状が悪化し、休息すると症状が軽減する傾向があります。

特に脾胃の損傷による難聴の場合の特徴です。

 

今回の問診をまとめてみると、②③は虚証を意味しており、④のみが虚証を否定しておりますので、今の段階では「虚症」の可能性が高いようです。

 

では次の問診をみてみましょう。

 

2019/03/11
【内科疾患】糖尿病について

心臓病、脳卒中、高脂血症、肥満、高血圧と並んで、生活習慣病のひとつに数えられる糖尿病。

日本人の食生活が豊かに、そして欧米化になるとともに増加の一途をたどっています。決して人事の問題ではなく、身近に潜んでいる病気なのです。

しかし、糖尿病は、初期であればコントロール可能な病気であり、主治医は患者さん自身になるのです。

患者さんと医師との連携作業ではありますが、いつ何を食べるか、運動するか、糖尿病薬を実際にどのように飲むか、注射するかは最終的に患者さん自身にかかっています。

将来、合併症が起こるリスクを少しでも減らすために糖尿病への知識を高めて、体調を良い方向にもっていきましょう。

 

中医学において糖尿病は、「消渇」という病名で認識されています。

その主症状は三多一少(多飲、多食、多尿と体重減少)と表現されています。

古来より詳しい観察がなされてきましたが、血糖値に関する測定手段はなかったので、高血糖という認識はなかったと思われます。

しかし尿甜(尿が甘い=高血糖)などの症状から、現在でいう高血糖が想定されていた可能性があると思われます。

以下にくわしく、中医学的な糖尿病の捉え方、タイプ別の治療法・日常生活の過ごし方をご紹介していきたいと思います。

 

▼西洋医学的糖尿病の診断・検査・治療法▼

糖尿病には、自己免疫異常などの関与が考えらている1型糖尿病と、遺伝や生活習慣などが原因で発症する2型糖尿病があります。

2型糖尿病(以下糖尿病)は血液中のブドウ糖(血糖)が正常より多くなる病気です。初期の頃は自覚症状がほとんどありませんが、血糖値が高いまま放置しますと、徐々に全身の血管や神経が障害され、いろいろな合併症を引き起こします。

 

<糖尿病の原因>

遺伝、高カロリー、高脂肪食、運動不足などにより引き起こされるインスリンの作用低下が原因で起こります。

インスリンは、すい臓から分泌されます。

<インスリンの働き>

糖分を含む食べ物は唾液や消化酵素でブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収されます。

食事によって血液中のブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンが分泌されます。

ブドウ糖が筋肉などに送り込まれエネルギーとして利用されます。

「インスリンの作用不足」が起こると、血液中のブドウ糖を上手に処理できなくなり、血糖値の高い状態が続くようになります。

■では、なぜインスリンの作用不足が起きるのでしょうか。

それには、2つの原因があります。

1つは、すい臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が低下するため。

もう1つは肝臓や筋肉などの組織がインスリンの働きに対して鈍感になり、インスリンがある程度分泌されているのに効きにくくなるため(インスリン抵抗性の発現)です。

糖尿病では体質以外にも、肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れが、「インスリン分泌低下」や「インスリン抵抗性」の発現を引き起こすと考えられています。

 

<糖尿病が引き起こす合併症とは・・>

糖尿病は、神経や目や腎臓などにさまざまな障害を起こすことが知られています。

(末梢神経障害、網膜症、腎症、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、脳梗塞、感染症など)

体のなかで最も高血糖の影響を受けやすいのは末梢の神経と細い血管です。そのため糖尿病では足の神経、目の血管、腎臓に障害があらわれてきます。それが進行すると、足の感覚が鈍くなったり、失明、透析など社会生活に大きな支障をきたす恐れが出てきます。

糖尿病は自覚症状がなくても、見えないところで合併症が進行しています。そして、気がついた時には合併症のため、日常生活に支障があらわれているということが少なくありません。しかし、きちんと血糖値をコントロールできれば、合併症を予防できることがわかっています。

 

<糖尿病の検査>

■ 定期検査で病状をチェックする

糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありません。病状を把握するためには血糖値やヘモグロビンA1c(エイワンシー)を継続的に検査することが必要です。

 

■血糖値

血糖値は糖尿病コントロールの指標として用いられます。

糖尿病では食前の血糖値が高い場合と食後の血糖値が高い場合、または両方が高い場合とさまざまなタイプがあります。そして最近では食後の血糖値の上昇と脳卒中や心臓病との関係が注目されており、食前の血糖値だけではなく食後の血糖値もしっかりコントロールする必要があります。

 

■ヘモグロビンA1c

血糖値が高くなるとブドウ糖が赤血球の中のヘモグロビンと結合します。これがヘモグロビンA1cと呼ばれるもので、血糖値が高いほどヘモグロビンA1c値も大きくなります。この値は、赤血球の寿命(約4ヵ月)から過去1~2ヵ月の血糖コントロール状態を示していると考えられています。ヘモグロビンA1c値は合併症の進行と深く関係しており、6.5%未満がコントロールの目安となります。

 

<糖尿病の治療法>

 1. 食事療法

 2. 運動療法

 3. 薬物療法

食事療法と運動療法を行っても血糖コントロールが不十分な場合、薬物療法を併用します。

糖尿病の薬はいずれも「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値を下げる作用があります。糖尿病の薬にはインスリン分泌量 を高める薬やインスリン抵抗性を改善する薬、そして不足しているインスリンそのものを外部から補うインスリン注射薬など、さまざまなタイプがあります。

~薬物療法時の注意~

薬の作用により血糖値が70mg/dL以下になると低血糖症状が起こります。

(低血糖が起こる血糖値には、個人差があります。)

低血糖が起こった時は、砂糖やあめなどを携帯し、すみやかに糖分をとりましょう。

低血糖の主な症状:冷や汗がでる、動悸がする、強い空腹感、手が震える、めまいがする。

 

糖尿病治療では、飲み薬やインスリン注射薬を自分で勝手に中止してはいけません。薬を突然中止すると、高血糖による意識障害や昏睡を招くことがあります。

 

▼中医学的にみる糖尿病のとらえ方▼

冒頭でも述べましたが、中医学では糖尿病を「消渇病」といいます。

そして、細かく分類していきますと、上消、中消、下消とに分かれます。

この上消とは、体の上部に位置する「肺」の症状があらわれることを意味します。

中消とは、体に真ん中に位置する「胃」の症状があらわれることを意味します。

下消とは、体の下部に位置する「腎」の症状があらわれることを意味します。

一般に症状が下に(腎に)いくに従い、病状も重くなっていきます。

※各臓腑の働きは、下記の「糖尿病に関わる主な臓腑の働き」をご参照下さい。

<主な症状>

上消部:口渇感が強く、よく水分をとる。

中消部:胃の熱により消化力が促進され、食べても食べてもお腹が空く。

下消部:尿量が多くなり、混濁する。

<中医学で考える糖尿病の主な原因>

「腎」は下記の(「糖尿病に関わる主な臓腑の働き」)でもふれますが、元気の源とも言われ、体全体を温める力(気の働き)と、臓腑や各器官に栄養を与え潤す力(血・水の働きに当てはまります)を備え調節しています。

糖尿病では、この潤す力の低下(腎陰虚)が、根本原因であると考えられています。

さまざまなタイプは、主に誘因物質であり、根本にはこの腎陰虚が潜んでいるとしています。病気が長期になりますと、陰だけであった損傷が陽にも及び、陰陽が共に虚の状態になります。

先天的なエネルギー不足。

長期にわたって油っこい物や甘いもの、飲酒、味の濃い食べ物、辛い食べ物を食べ過ぎると、「脾、胃」の働きを低下させます。そのため体内に余分な熱がこもり、体に必要な水分が失われます。体の中が乾燥状態になり、消渇として発病します。

精神的ストレス、過度の心労や思い悩みは、鬱積し、そのエネルギーは体の中で、火と化します。そのため、体に必要な水分が失われます。体の中が乾燥状態になり、消渇として発病します。

上記のさまざまな原因や病気の経過状態により、臓腑の働きの失調も多臓腑に及んできます。その結果 、気血の運行にも影響を与え、血脈のオ滞を引き起こします。

血脈のオ滞とは、血の流れが停滞した状態をあらわします。

糖尿病による合併症の発生も、このオ血と緊密に関連しています。

▼中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。

さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこれら「肺」、「胃」、「腎」の臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。

ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

 

 詳しくは、HP上の‘わかる東洋医学診断・まとめ’の中に「わかりやすい東洋医学理論」があります。そちらをご参照ください。

 

▼糖尿病に関わる主な臓腑の働き▼

「肺」・・

気(エネルギー)を生成する。

下記の「脾」「腎」とともに気の生成をするために不可欠の臓腑です。

気の不足による主な症状は、息切れ、声にはりがない、かぜをひきやすい抵抗力が弱いなどがあります。

 

 

肺の最も重要な働きに、呼吸を司る。「発散と下降」があります。

肺は身体の上部へ位置するために、瞼や顔にむくみがでやすい。

《気の場合》

発散とは、各臓腑や体表にエネルギーを送り出す働き。

下降とは、息を吸って得たエネルギーを体の中に取り込み体の活動源とする。

主な症状:喘息、咳が出る。

《水分の場合》

発散とは、咽喉部、皮膚を潤す働き。汗として体外へ発散させる働き。

下降とは、不要となった水分を腎へ下ろす。

主な症状:喉がイガイガする、皮膚が乾燥する、水分を腎へ下ろせない場合は、主に顔面 部がむくみ、尿がでない。

 

 

鼻や皮膚の働きを司る。

主な症状:鼻づまり、鼻水、くしゃみ、アレルギー性鼻炎、蓄膿症

 

「胃」・・

食べた物を胃の中空器官で受け取る。

 

 

   ↓

 

熟成させる。

 

 

   ↓

 

下に位置する小腸へ送るといった一連の働きを担っています。

①の働きが失調しますと、食べたものを戻す(悪心、嘔吐)。

②の働きが失調しますと、胃の中に食物が停滞したまま、消化されません。

(臭いげっぷがでる、腹部の膨満感、胃痛)

③の働きが失調しますと、下へ下降させることができません(便秘)。

 

胃の働きの失調の特徴は、「停滞」と「逆流」です。

①②③それぞれの状態で留まった状態が長く続きますと、食べ物は熱と化し腐敗します。そのため、熱症状および臭いを伴った症状が多くみられるのです。

「腎」・・

生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。

生まれたときにこのエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの発育不良の状態があらわれます。

「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

年齢が増すにつれて、腎が支配する器官の機能減退症状があらわれてきます。

 

例)

骨や歯がもろくなる、耳が遠くなる、髪が薄くなったり、白髪が多くなる

婦人科疾患では無月経、不妊症、流産しやすい

冷え症状が加わると、さむけ、下痢をしやすい(特に朝方)、手足、腰の冷え

 

▼中医学的病気の診断・治療方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、脈診などを用いて診察していきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

▼中医学的糖尿病のタイプと治療法▼

~上消~

●燥熱傷肺タイプ●

「肺」は適度に潤っている状態を好み、乾燥状態を嫌います。

熱が肺に停滞し、肺の水分が失われ枯渇状態になります。そのため乾燥症状が主にあらわれるタイプです。

<随伴症状>

喉が渇き多く水を飲む、口の中が乾く、舌が乾燥する、頻尿で量が多い。

<治療法>

肺に停滞している熱を冷まし、潤していく「清熱潤肺」、水分(血や水に相当)を補い、のどの渇きを癒していく「生津止渇」の治療をしていきます。

 

~中消~

●胃燥津傷タイプ●

「胃」も「肺」と同様、適度に潤っている状態を好み、乾燥状態を嫌います。

胃に熱が停滞することにより、水分が失われ、熱が旺盛な状態となります。そのため、熱症状が強くあらわれるタイプです。

<随伴症状>

多食、飢えやすい、口渇、多尿、痩せてくる、便は乾燥する。

<治療法>

胃に停滞している熱を取り除く「養胃潤燥」、水分(血や水に相当)を補う「養陰増液」の治療をしていきます。

 

~下消~

●腎陰虚タイプ●

糖尿病では、この潤す力の低下(腎陰虚)が、根本原因であると考えられています。

<随伴症状>

頻尿で量が多い、混濁したクリームのよう、また尿に甘味がある、腰や膝がだるい、力がでない、めまい、耳鳴り、唇が乾燥する、皮膚が乾燥し痒い。

<治療法>

体を養う血、潤す働きを高める「滋陰補腎」、のどの渇き止める「潤燥止渇」の治療をしていきます。

 

●陰陽両虚タイプ●

病気が長期になりますと、腎陰だけであった損傷が腎陽にも及び、陰陽(温める力と潤す力)が共に虚の状態になり、あらわれるタイプです。

<随伴症状>

頻尿でクリームのような混濁した色、飲み物を飲むとすぐに尿がでる、顔は憔悴している、腰や膝がだるい、手足がほてる、寒がり、手足が冷える、月経不調、インポテンツ。

<治療法>

温め、潤す働きを高める「温陽滋陰」、「補腎固摂」の治療をしていきます。

 

●オ血タイプ●

病気が長期に及ぶと血の流れが停滞し、さまざまな代謝異常を引き起こします。

<随伴症状>

静脈瘤がある、血管が浮き出やすい、内出血(あざ)ができやすい、シミやそばかすができやすい、普段から肩こり、腰痛がある、睡眠が浅い、目の下にクマができやすい。

<治療法>

血の流れを良くし、停滞した血を取り除いていく「活血化オ」の治療をしていきます。

 

▼タイプ別にみる生活養生・食養生▼

自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます。

タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。

体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

●燥熱傷肺タイプ●

【生活習慣】

辛い食べ物、お酒の飲みすぎは、体の中に熱を生みます。過食、多飲は避けましょう。

 

【食べ物】 ~肺の熱を冷ます作用がある食べ物を摂りましょう~

 

(穀類)

大麦、あわ、とうもろこし、はとむぎ、小麦

 

(魚介類)

かに、あさり、ところてん、昆布、わかめ、のり、しじみ

 

(野菜)

れんこん、なす、トマト、きゅうり、とうがん、レタス、ごぼう、大根

 

(果物)

なし、すいか

 

(お茶)

緑茶、菊花茶、薄荷茶

 

 

●胃燥津傷タイプ●

【生活習慣】

油っこい食べ物や辛い食べ物、肉類、お酒の飲みすぎは、体の中に熱を生みます。過食、多飲は避けましょう。その際、野菜を多くとるようにして普段の食生活も和食を増やしてみましょう。

いつもお腹がすいているタイプなので、食事の量 に気をつけましょう。

徹夜仕事や夜遊びなどもほどほどにしましょう。

 

【食べ物】 ~胃の熱を冷ます作用がある食べ物を摂りましょう~

 

(穀類)

大麦、あわ、とうもろこし、はとむぎ、小麦

 

(魚介類)

かに、あさり、ところてん、昆布、わかめ、のり、しじみ

 

(野菜)

れんこん、なす、トマト、きゅうり、とうがん、レタス、ごぼう、大根

 

(果物)

なし、すいか

 

(お茶)

緑茶、菊花茶、ウーロン茶

 

 

●腎陰虚タイプ●

【生活習慣】

体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。睡眠はしっかりとり、生理中は血を消耗させやすいのでパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。

血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。

 

【食べ物】 ~体を冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう~

 

(乳製品)

豆乳、牛乳

 

(肉類)

豚の皮、鴨肉、豚肉

 

(魚介類)

いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分)

 

(野菜)

山芋、白きくらげ、黒きくらげ

 

(果物)

なし、もも、ぶどう

 

(木の実)

クコの実、くるみ、黒ごま

 

(お茶)

桑の実とクコの実のお茶

 

 

●腎陽虚タイプ●

【生活習慣】

冷えやすい下半身は下腹部や腰部にカイロをはって、しっかり温めましょう。

体を温める食べ物を摂るようにしましょう。

 

【食べ物】 ~体を温め、活動力を増す作用のある食べ物を摂りましょう~

 

(穀類) 

もち米

 

(肉類)

羊肉、鹿肉、牛肉

 

(魚介類)

えび、なまこ

 

(野菜)

にら、ねぎ、ししとう、かぼちゃ、しょうが、にんにく

 

(木の実)

栗、くるみ

 

(香辛料)

酒、シナモン、黒砂糖、ウイキョウ(フェンネル)

 

(お茶)

杜仲茶、ジンジャーティー黒砂糖入り

 

 

●血於タイプ●

【生活習慣】

夏は冷房、冬は外気の寒さから体が冷えるのを防ぐようにしましょう。

冷たいものの摂り過ぎは血行を悪くするので気をつけましょう。

寒い季節や冷房で冷えた日は、生野菜は控え、温野菜を摂るようにしましょう。

適度に運動をして、適度な汗をかくよう心がけましょう。

 

【食べ物】 ~血液の流れを良くする作用のある食べ物を摂りましょう~

 

(豆類)

小豆、黒豆

 

(野菜)

あぶらな、にんにく、にら、ねぎ、しょうが、とうがらし

 

(香辛料)

酢、少量の酒

 

(お茶)

山ざし茶、バラ茶、紅花茶

 

 

▼その他日常生活での注意点▼

~食事療法~

適度な食事量と適切な食事内容の調節で、血糖値をコントロールすることができます。また適切な食事はインスリンの作用不足を改善する効果 が期待できます。

不規則な食事は血糖値の変動を大きくし、すい臓にも負担をかけます。食事は規則正しく、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。

~運動療法~

運動療法は、糖尿病のさまざまな症状を改善し、さらに動脈硬化の予防などの点でも効果 があります。

しかし、進行した合併症がある時には、運動によって病状を悪化させてしまうこともあります。

運動療法を行う際は、まず主治医と相談し、自分に合った運動と運動量 を決定し、決して無理をせずに自分の体と相談しながら適切な運動量 を継続することが大切です。

有酸素運動でエネルギーをしっかり燃焼させましょう。有酸素運動は脂肪を燃焼させる効果 があります。

有酸素運動(散歩、水泳、ジョギングなど)でエネルギーを確実に消費しましょう。

少し汗ばむ程度の運動量で20分以上、週に3~5回、食後1~2時間に行ないましょう。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。

これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

2019/03/11
【内科疾患】頭痛について

日本人は4人に1人は慢性頭痛の経験があるといわれています。

わたし(ロース)自身、去年の5月にとても強い頭痛がおこり、救急へ行き検査して、仕事も5日間も休んでしまったという経験があります。

このように頭痛にも急性、慢性の頭痛があり、その中にもそれぞれ生命の危険性の高いものからいわゆる頭痛と言われるものまで 西洋医学と中医学の両方面 から原因、診断方法、治療方法、ケアの仕方と考えていきます。

 

<西洋医学的分類>

頭痛の原因はとても多いのですが、まず器質的疾患(形のある実質の異常)によるものと器質の問題以外の機能性頭痛(慢性頭痛)とに大別 されます。

器質的疾患には鼻や目の病気、そして脳の病気が原因となり頭痛が発生するものがあります。

それぞれ簡単にではありますが説明させていただきます。

 

○ 器質的疾患による頭痛

まず、注意しなくてはいけないのが頭痛で危険性の高いものとして脳の病気による頭痛があります。

一般的には頭痛の95%のものは脳の病気とは関係がありません。しかし、このうちの脳の病気の場合は放置しておくと危険なものがあります。

 

・ クモ膜下出血による頭痛

クモ膜というのは脳を包んでいる3層膜の真ん中のことで、脳動脈瘤破裂によりその膜の間に出血をして脳を障害してしまいます。生命に関わりますので、緊急の処置が必要です。

ポイントとしては40歳前後を過ぎてから突然ガーンと強い頭痛が起きるようになったり、休んでいても頭痛が緩和しなかったりした場合は念のためにも、まず現代医学による受診をしてください。

 

・ 髄膜炎による頭痛

髄膜炎は脳と脊髄を包む膜が細菌感染により炎症を起こす病気です。発熱と首の後ろ側が硬くなり顎を胸に付けられなくなる(項部硬直)症状が特徴です。風邪と間違われやすい。

 

・ 脳腫瘍

脳の中に腫瘍ができた状態。特徴は徐々に痛みの強くなる頭痛。吐き気を伴う。比較的朝方に痛む。などがあります。

 

これらの症状があった場合は、まず一度は精密検査が必要と思われますので早めに医療機関での受診をしてください。

 

その他、器質性頭痛の中で脳以外での問題は、鼻の問題として副鼻腔炎からの頭痛ではおでこ辺りの痛みがあり、緑内障などでも目の周囲の頭痛などがあります。顎、歯科の問題、噛み合わせなども影響します。これらはそれぞれ鼻、目、口腔の病気の治療により頭痛が改善されます。

 

○機能性頭痛(慢性頭痛)

慢性頭痛は3つに分類されます。緊張型頭痛、片(偏)頭痛、群発頭痛に分かれます。

 

●緊張型頭痛

慢性頭痛の中では一番多く、約3分の2がこの緊張型です。

原因―肩こりなど首の後ろ側の筋肉が緊張して、筋肉の中を流れる血流の量 が減ったり、神経を刺激したりして痛みをおこす。

ストレス、睡眠不足などが誘引になることが多い。

症状―頭全体や後頭部から首すじをベルトで締め付けられるような痛みがでる。痛み自体は中等度で日常生活はおくれる。めまいが出る人もいる。痛みは数日間続くことがあります。

治療―アスピリンなど一般的な鎮痛剤が処方される。また、緊張やストレスを取り除くために生活習慣、睡眠不足の改善をしたり、姿勢に気をつけたり、軽い運動が必要である。

 原因の緊張を改善させずに薬で痛みをとるだけでは、身体には負担がかかるだけなので、 鎮痛剤だけに頼らないように注意が必要である。

 

●片頭痛

次に多いのが片頭痛です。日本では100人中約8人が片頭痛持ちです。

原因―現在では、三叉神経血管説がもっとも有力になっています。三叉神経とは側頭部から顔まで伸びている神経ですが、その神経が頭の血管を取り囲んでいて、なんらかの原因でセロトニンという血管を収縮させる物質が減少し、その結果 、血管が拡張し神経が刺激されると痛みがおこります。

症状―片側に起こることが多く、拍動性(ズキンズキンと血管が拍動するようなリズム)の痛み。痛みは強く、生活に支障がでることもある。女性に多い。頭痛の発作は3~72時間ほど持続します。音やにおい、光に敏感になる。吐き気や嘔吐がある。ワインやチョコレートで誘発される。発症のピークは20~30歳代で40歳以降の発症は少なくなる。視野がキラキラ光る前兆がでることもある。遺伝性がある。  など多くの特徴があります。

※ 片頭痛が女性に多いのは、エストロゲンといわれる女性ホルモンの影響があるからと考えられています。そのため、月経前に痛みが出たり、閉経前はエストロゲン分泌が不安定になり痛みのコントロールが困難になります。

治療―トリプタン系の薬が有効です。

カフェインを取ると血管が収縮しますので、コーヒー、お茶などが痛みを少し緩和させます。

 

●群発性頭痛  (群発とは繰り返し何回も発生するということです)

頭痛の中では少ない部類になり圧倒的に男性に多い頭痛です。

原因―群発頭痛の原因はまだはっきりとはしていませんが、発症には、片頭痛と同じくセロトニンという物質がかかわっていると考えられています。

症状―片側の目の周囲に突き刺すような激しい痛みがでる。30歳以上の男性に多い。痛みが強く寝ていても痛みで目が覚めることがあります。

一回の頭痛は15分~3時間続き、数週間から数ヶ月群発します。

頭痛と同じ側の目が充血したり、むくんだり、涙や鼻汁がでたりします。

治療―片頭痛に使用するトリプタン系の薬が有効です。

酸素吸引が有効です。アルコール、喫煙は禁止です。

体内時計が崩れると起こりやすいので、睡眠に気をつけます。

 

 

<中医学的な考え方>

中医学では、人と自然との間の密接な関係を重視します。

自然界に空気、水、火があるように人間の身体の中でも気があり、水が川の様に流れ、海があり、火は上昇する…という同じような現象があると考えます。

 

中医学の中の経絡とは身体の中を流れる川や道路のようなもので、身体中に栄養を送ります。

 

○中医学での頭部

中医学では頭は人間の身体で上方に位置しているので、陽に属します。そして「諸陽の会」と言われ、頭部で手足の経絡の陽経が流れ、交わります。

山の頂上が頭で麓(ふもと)が手足だとすると、麓から東西南北の登山道があって、その登山道が山の頂上で交わるようなものです。

経絡の流れは東西南北のように前頭部(おでこ)、側頭部、後頭部(うなじの辺り)、頭頂部(頭のてっぺん)と支配している場所により分けることができます。

 

また、「五体の尊、百骸の長、中には脳髄を蔵し、脳は元神の府である」と言われ、これは、頭がとても重要で、脳が記憶したり、精神活動をしたりする大事な器官であるということです。

 

他の臓器の関係もありますが、頭の経絡に気血がちゃんと流れていると、記憶力も良く、精神的にも安定します。 

逆になんらかの原因で気血の流れが悪くなると、記憶も悪く、精神的にも不安定で、痛みも起こります。

 

中医学で「痛み」とは

1.気血の流れが滞り痛む…「不通則痛(通らざるもの則ち痛む)」

2.気血がおとろえて痛む…「不栄則痛(栄えぬもの則ち痛む)」

この二つの状態で起こります。

 

頭痛も頭の経絡で気血の通りが悪くなるか、気血がおとろえて頭を栄養できなくなるかによって起こります。

 

○ 中医学での頭痛の種類

 

頭痛の原因となるものは大きく2つに分かれます。

一つは外界からの影響ともう一つは身体の中からの変化です。前者を外因といい、後者を内因といいます。それぞれ、症状、治療法に違いがありますので分けて考えていきます。

 

●外因による頭痛(外感頭痛)

外因の中には風、熱、湿、燥、寒の気があり、字に表れるように自然界の気候の変化が人体に影響を与えるのですが、これらが身体に悪い影響を及ぼすことになると、邪気(外邪)となります。

 

このなかでも頭痛に一番関係の深いのは風邪(ふうじゃ)です。風邪は身体の上部を犯す性質があります。

風邪は度々他の気と一緒に皮膚や鼻、口から侵入し、頭部の経絡の流れを悪くし痛みを起こします。

 

症状―頭痛、風に当たることを嫌がる、首から背中にかけても痛む、感冒に似た症状がでる などがあります。    

痛む場所は侵された経絡の場所により様々です。

治療―針治療では、風邪とその他の邪気をはらい去ることと痛みの出ている場所、経絡の流れをよくすることが必要になります。経絡の流れをよくする時は、痛みの出ている頭(山の頂上)を直接治療して流れをよくするのと、登山道を利用するように手足のツボを利用して流れをよくする事を同時に行います。

食べて治す―感冒のひき始めのような悪寒がある場合は、ネギやにんにくを使った料理で除菌、発汗させましょう。熱っぽさがある頭痛には菊花茶

 

● 肝陽頭痛

肝陽による頭痛とは 怒った時に頭が一気に熱くなったり、ストレスなどでイライラが過ぎてカーッとなりやすい状態から起こる頭痛のことです。

中医学での肝とは気をスムーズに流す作用があるのですが、同時にストレスや精神状態に左右されやすい性質があります。

ストレスは溜め込みすぎるといつかは爆発しますが、肝気も滞るとじきに火の性質に変化します。火は性質として炎上するので、上に上がり頭部への影響が多くなります。

症状―頭痛、めまい、顔面が赤くなる、ストレスの影響を受けやすい などがあります。

治療―針治療では頭の痛みの出ている経絡を治療することと、上がってしまった肝火を下げて落ち着かせるようにします。鎮火をするために水の性質のツボも使います。

食べて治す―セロリや菊花茶がおすすめです。できるだけ生にちかい物がよい(ただし、月経不順など血液に関する症状がある場合は控えてください)

 

● 痰湿頭痛

痰湿とは 体質的にやや太めだったり、甘く油っこい物を好んで食べたり、食生活が不規則になったりすると発生します。

水分(水液)代謝の障害により産生されます。

痰には目に見える、いわゆる痰と見えない痰があります。性質としては、咽につまる痰のように経絡に留まると気血の運行を悪くします。

痰湿により頭の方へ流れる経絡を阻滞(とどこおる)させられると痛みが生じます。

症状―頭痛、頭が重くボーっとする、胸がつまるような苦しさがある、痰が出る などがある。

治療―針治療では痛みの出ているところの治療と、痰を溶かして消失させる必要があります。痰は水液代謝の障害により産生されるので、水液をコントロールしている臓腑、水液を貯蔵している臓腑などを調整します。

食べて治す―油っこいものは控えましょう。

 

● 血オ頭痛

血オとは 血液の流れが悪くなり滞った状態です。外傷の後に血オになったり、また頭痛が他の原因で発生し、それが長期にわたり気血の流れを悪くし血の滞りを起こしてしまった結果 、血オ性の頭痛になる。

症状―刺すような、頑固な頭痛、痛みの場所は固定されている。

治療―針治療では痛む場所の治療と、血に本来の流れる力を取り戻すようにします。 

また、気は血を押し出す作用があるので、気の力を強くするツボも一緒に使う必要がある。

 

● 血虚頭痛

血には、全身を栄養して潤す作用がある。

血虚による頭痛とは 頭や脳髄を栄養する血が足りなくなってしまったために「不栄則痛」で痛みが出ている状態です。

長く病気をして体力が落ちてしまったり、なんらかの原因で失血をしてしまった後に起こります。

症状―弱い頭痛が続く、めまい、疲れると痛む。

治療―針治療では、身体が虚している状態の場合は痛む場所よりも補うことに重点を置く。            

血虚の場合は血を補うのがメインだが、血の産生に気は不可欠なので、このような慢性疾患は血と同時に気を補う必要がある

食べて治す―ほうれん草をゴマ油で炒めたものが養血作用があります。

 

● 腎虚頭痛

腎虚とは腎精不足の状態です。

腎精とは脳髄の元になっているもので、腎精が不足してくると脳が空虚になるような頭痛になります。先天的な虚弱体質、高齢や慢性の病気によるもの、夜の生活の度が過ぎた時に起こります。

症状―頭が空になったような感覚の頭痛、めまい、腰や膝に力が入らない、耳鳴 などがある。

治療―針治療では メインは脳髄の元になる腎精を補う治療をする。

食べて治す―山芋、ウドがおすすめです。擦りゴマ入りのホットミルクもいいです。

 

~~ 夏に冷た~いカキ氷なんかを食べた時におこるツーンとくるあの頭痛 ~~~~~ 話は少し脱線して、カキ氷頭痛について考えてみます。

これは、頭に通じる経絡の中の(陽明)胃経に関係していると考えられます。胃経は鼻の脇より始まり、目の内側やこめかみ、額の辺りまで流れ、それから下って胃を通 り足の方まで行きます。つまり経絡上では、胃と鼻の脇はつながっています。そして、カキ氷など寒の性質のものには「凝滞」といって凝結させ滞らせる作用があるので、冷たいものを一気に胃に入れるということは胃経の気血のながれを滞らせたと考えられ、ツーンとした痛みがでるのだと考えられます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

○ 梅干をこめかみに貼り付ける

梅には収斂作用があり、肺、肝、脾、大腸に関係するのでこめかみに貼り付けることで経絡の流れをよくするのと同時に流れをよい意味で引き締めるために痛みを緩和することができると考えます。

 

このように、中医学では個々の体質、状態にあわせて治療していきます。

慢性頭痛で身体、精神に負担をかけて生活していくのも、また、生活や体質をかえりみる事なく鎮痛剤だけを使っていくのも、あまり関心できることではありません。

 

慢性の頭痛がある方は、生活習慣の改善指導も含めた治療をおすすめ致します。

 

また、東洋医学の中医学治療を詳しく知りたい方は、

お気軽に当院までご相談下さい。

中医学は一般の痛い所や局所に針を打つのとは違い、体質判断や病気の成り立ち、起因を追求して行き症状の改善を根本から行って行きます。

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