Y.Tさんは、20〇〇年5月初旬に、当院を受診されました。
症状は、半年前から、右側腰部の張りと右側臀部に鈍痛を感じていたそうです。
整形外科を受診しましたが、骨に異常はなく、坐骨神経痛でしょうと言われました。
冷湿布を投与され、1か月ちょっと冷湿布を貼ったり、痛み止めを服用したりしていましたが、症状が変わらず、不安になったため当院を受診されたそうです。
腰は前屈しづらく、痛みが臀部に出やすいということでした。腰を前屈しづらい場合は、腰背部の筋肉が張っているケースが多いです。
さらに、当院で細かく問診したところ、普段の生活の中で、接待などでアルコールを多量に呑まれることがあり、また、体が冷えやすく下痢を起こしやすい体質であることがわかりました。
治療には、腰臀部をほぐす手当てと、体を温める治療が必要でした。
ただ単に、痛みを抑えるだけの鎮痛薬や、体を冷やす冷湿布が効かなかったのはそのためだったと考えられます。
中医学的な診察では、舌の色が淡く、紫色、舌の上に水分が多くありました。
これは、体内の水分が、冷えによって気化(蒸発)されない状態を意味します。
また、体内に余計な水分があるため、下痢によって水分を出そうとしているのです。
体が冷えているために、体温を逃さないようにしようと、体がいつも引き締まった状態となり、
Y.Tさんの筋肉は硬直しやすくなり、結果的に坐骨神経を圧迫して痛みが続いてしまったのです。
治療は、腰臀部の筋肉をほぐすツボと、体を温めて下痢の症状を改善するツボと、鎮痛効果を出させるツボを処方しました。
最初のうちは、週2回のペースで来ていただき、6回目の治療後くらいから、体が温まるようになり、下痢も緩和していきました。
それとともに、腰臀部の筋肉の張りもほぐれ、前屈姿勢も取りやすくなり、臀部の鈍痛も緩和されていきました。