ギックリ腰の治療で大事なのは、身動き取れない状態をまず楽にしてあげることです。
一般的に、腰部が硬直して前屈・後屈の運動制限がある状態ですので、まずは、それを緩和させてあげる手当てが必要になります。
時々聞く話ですが、治療経験の少ない先生や技術的に未熟な先生の所へ鍼治療を受けに行ったら、かえって具合が悪くなってしまったという方がいらっしゃいます。
ひどいときには、起き上がれなくなってしまうこともあるようです。
これは、身動きが取れない状態なのに、無理にうつ伏せの状態にして治療を受けさせたからなのです。
治療のためとはいえ、痛い部分に負担をかけてしまえば、かえって症状がひどくなるのも無理はありません。
ですから、重症なギックリ腰の患者さんの場合はまず、腰の反射区として前腕部に硬結感が出るので、その部位を見つけ出し、鍼を施術してあげます。
鍼をうつと、「ツン」という独特な響きが前腕に感じられます。
その部位にしばらく刺激を与えながら、患者さんに徐々に腰の前屈運動、後屈運動をしてもらいます。すると、身動き取れなかった方が、不思議と動けるようになり、段々と、腰の前屈、後屈運動がスムーズになり、また腰の回旋運動もしやすくなっていかれます。
この時点で、初めて「うつ伏せ」状態になっていただき、患部のお手当て、あるいは、体全体の機能回復をするツボに鍼をうってあげると、腰痛の症状がグッと軽減されます。
この、「反射区に鍼をうつ」方法は、中医学では、「微針療法」といい、中国・台湾では、ギックリ腰、寝違いなどでポピュラーに使われる治療方法です。
また、この「反射区」には色々ありまして、腰の痛む場所によって様々に使い分けたりします。
例えば、ギックリ腰を起こす場合、背骨の正中線上(真ん中あたり)に痛みを発するタイプと、腰の両サイド、或いは片側に発するタイプがありますが、このタイプの違いによって、「反射区」も違ってきます。
背中の真ん中にギックリ腰を起こした場合は、鼻の下にある「人中」というツボに刺激を与え、
両サイドに痛みが出た場合は、眉毛の内側の所にある「攅竹」というツボ、或いは膝裏の「委中」というツボに刺激を与えてあげると劇的に痛みが軽減されます。
これらのツボは、腰から遠いところにありますが、腰と深い繋がりがあり、刺激を与えてあげるとスムーズにしてあげられることが出来るのです。
吉祥寺 中医学に基づく ギックリ腰
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院