東京都武蔵野市在住M.Kさん
息子さんが「おねしょ」をするということで、お母様が当院へ相談に来られました。
息子さんは小学6年生。
半年後に修学旅行を控えているということでした。
そこで、一度息子さんを連れて来院するようにお伝えしました。
後日、息子さん(以下、M.Kさん)はお母様と一緒に当院へやってきました。
M.Kさんは、色白で、同じ年頃の子どもと比べて身長が低く、少しやせ気味でした。
生活状況を尋ねてみると、食は細く、便は軟らかい、オシッコの色は透明で、トイレが近い。
時々、頭がボーっとする、どちらかと言えば寒がり、ということでした。
手足に触れてみると、たしかに冷たく、舌を診ると色は淡くて、型は胖大、脈は細くて遅いということがわかりました。
以上のことから、M.Kさんの体質が、「脾腎気虚」から「脾腎陽虚」という状態になりかけていると判断いたしました。
「脾腎気虚」とは、食が細く、軟便気味で体の活力が不足している状態のことをいいます。
本来なら小学6年生と言えば、食欲旺盛で活動的、背もぐんぐん伸びる時期です。
しかし、M.Kさんは、食が細く軟便気味であるので、栄養が吸収されず成長が遅れていました。
そして、栄養が足りないため、人間が「生まれ持ったエネルギー」をも消耗している状態でした。
「生まれ持ったエネルギー」というのは、中医学では、「腎」にあると考えています。
そして、中医学では、食べたものを消化吸収して、人間が生活していくのに必要な「気」や「血」というエネルギーを生産するのを「脾」の働きと考えています。
M.Kさんの場合、常に軟便気味になっていたので、「気」や「血」のエネルギーが不足していました。
そのため、「生まれ持ったエネルギー」を貯蔵している「腎」から少しずつ少しずつエネルギーをもらっていたため、「腎」のエネルギーが不足し、冷えの現象が出始めたのです。
「腎」のエネルギーが不足し、働きが低下してきたので、「おねしょ」という症状が出てきたと考えられました。
中医学では、「腎」のエネルギーは、尿の働きと深い関係があると考えられています。
体を温め、食欲を増させることが大切と考えて、「温補脾腎」と治療を行ないました。
「腎」のエネルギーが補強されるように、週2回のペースで通院していただきました。
2か月後、「おねしょ」はすっかり治りました。
食欲も増し、軟便も治りました。
そして、治療後もしばらく、家でお灸をするよう勧めました。お母様の協力もあり、3ヵ月間お灸を行なっていただけたようです。
その後、お母様がM.Kさんと共に来院されました。
約半年で、身長が8cm伸び、体重は6㎏増え、見違えるほどに成長していたのです。
心配していた修学旅行も無事に行けたということでした。
吉祥寺 中医学に基づく 夜間尿 おねしょ
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院