逆子治療に一番良い時期は、28~30週くらいとされています。
なぜなら、28~30週というのは、胎児がまだ成長段階で大きくないため、逆子矯正がしやすいのです。
しかし、30週を越えていても逆子治療を受けることは可能です。
人によって胎児の成長がゆっくりの方もいます。胎児の重さが2500g以下で、羊水に容量があれば、多少困難ではありますが、鍼灸による逆子治療を試してみる価値があります。
当院では過去に36週目の逆子矯正を成功させた例があります。
ただし、35週を越えての逆子治療は、胎児の体重が2500g以上ある場合や、羊水量と母体の骨盤の大小によっては、難しくなります。
人によって胎児の成長が違うため、鍼灸刺激を母体に行なうと、胎児の激しい胎動(正常位に戻ろうとしている動作)が起こり、気分を悪くしてしまう方もいます。
それは、激しい胎動により、胃などの内臓を押し上げてしまうからです。
治療を受けているときはあまり胎動がなく、家に戻ってから胎動が始まる方もいます。
反応はまちまちですが、治療中に胎動があることの方が多いようです。
鍼灸刺激により、子宮の方が収縮運動を起こす場合もあります。それにより、多少下腹部に不快感を覚える方もいます。
しかし、その症状が胎児に影響を及ぼすことは、当院の過去の臨床経験から言って、まずないと思います。
当院が逆子治療をオススメするのは、お産はなるべく自然分娩で行なって欲しいと思っているからです。
中医学では、腹部の正中線には色々な生命エネルギーを蓄えているツボがある、と考えられています。
また、「へその緒」は、胎児に栄養素を供給しているという意味で非常に大事に部分です。
しかし、帝王切開で、その部分を切開してしまうということは、生命エネルギーの消耗につながると考えているのです。
お産は、新しい生命を産むということで、ただでさえ、母体自身にもかなり負担がかかる一大イベントです。
母親は、産んだら終わりではなく、産後に育児にも体力がいるのです。
当院は、決して帝王切開が良くないと申しているのではありません。しかし、行わなくても済むのならば、行わないほうが良いのではないかと思うのです。
34週目で逆子治療を受けに当院を受診された方のお話をしたいと思います。
この方は、産婦人科で帝王切開が必要だと診断されたのですが、「帝王切開は嫌だ。できるだけ最後まで自然分娩で。」という思いがあったため、色々と探し、当院を受診されました。
中医学的にタイプ別の治療を行ないました。この方は、「気」が不足しているタイプでしたので、「気」を補う治療をして、結果、良い反応がありました。(36週目で自然分娩)
また、この方は当院の治療だけでなく、家庭でのお灸を継続していただきました。ツボは当院に治療に来た際にお伝えした場所に行なっていただきました。
このように、「どうしても帝王切開は嫌だ」とお考えの方は、この方のように鍼灸治療を選択してみるのも一つの方法かと思います。
必ずしも、鍼灸だけで対応ができるとは言えませんが、できるだけ自然分娩をしたいという方は、諦めずに試してみるのも良いのではないでしょうか。
吉祥寺 中医学に基づく 逆子治療
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院