コラム

2019-03-12
【外科・整形外科・皮膚科疾患】腰痛について1

鍼治療と言えば、肩こり、腰痛と思われる方も多いとおもいます。しかし、腰痛に鍼治療と言ってもギックリ腰や普通 の腰痛、神経痛のあるもの、内蔵からくるものなどあり、ただ腰の痛いところだけに鍼を打てば治るというものではありません。やはり、その腰痛の種類、患者さんの体質にあった鍼治療をしなくては治るものも治らなくなってしまいます。

西洋医学的アプローチ、東洋医学的アプローチ、家庭でのツボ刺激方法と考えていきましょう。

 

<西洋医学的診断と治療>

簡単にではありますが、腰痛の診断方法、一般的な治療方法をお話させていただきます。

1.急性の腰痛

安静にしていても痛む

腫瘍、強い炎症性、内臓性の腰痛

 

安静で改善する

ギックリ腰、圧迫骨折(高齢者)

 

2.一般 の腰痛

起床直後、夕方や疲労時に痛む

変形性脊椎症、分離すべり症

(慢性)

 

 

 

脊柱管狭窄症

 

中腰で痛む、座位 から立位で痛む

筋肉性(筋・筋膜性)腰痛

 

場所が一定しない

心因性腰痛

 

3.神経症状(足の痺れ)

ある

ヘルニア、分離すべり症、変形性脊椎症

 

ない

筋肉性(筋・筋膜性)腰痛

 

4.つらい動作

前屈がつらい

ヘルニア、変形性脊椎症、筋肉性腰痛

 

後屈がつらい

分離すべり症、椎間関節性腰痛

 

 

※ 椎間板とは腰椎の間に挟まれている弾力性のある組織です。クッションの役目をしています。お饅頭のように中に餡のような組織があって、その中の餡が飛び出してしまった状態をヘルニアといいます。飛び出したものが神経を圧迫すると足が痺れたりする症状がでます。

※ 注意をしなくてはいけない腰痛――海老のように丸くなっていてもどんどん痛みが増す場合や、おしっこが出にくくなってしまうときは直ぐに病院に行きましょう。

○治療方針

 

急性の腰痛  ―

臥床、安静(湿布など)、神経ブロックをする場合もある

おしっこが出にくくなる(排尿障害)ヘルニアでは手術もある

 

一般の腰痛  ―

湿布、牽引、温熱、マッサージなどの理学療法が主体になる

 

内臓性の腰痛 ―

問題となる内科の治療

 

心因性の腰痛 ―

ストレスなどを解消する。場合によっては安定剤を使用する

 

<中医学的診断と治療方法>

中医学では痛みに対する考え方に「不通則痛(通らぬもの則ち痛む)」と「不栄則痛(栄えぬ もの則ち痛む)」がある。つまり、気血の流れている経絡の流れが悪くなったり、気血が足りなくなったりすると痛みが出現するということです。腰痛においては腰の経絡が滞ってしまったり、腰に関係している臓腑の力が弱り気血が足りなくなったりして症状として出てきます。

※ 経絡とは、全身に気や血をいきわたらせ、臓腑と手足をつなぎ、身体の上下左右をめぐる通 路のようなものです。

治療では滞った経絡のながれをよくして、足りなくなった気血を補っていきます。

ギックリ腰には経絡の流れを利用した経験穴があります。

ポイント:関係の深い経絡、臓腑

腰を通 る経絡

足の太陽膀胱経

腰の盛り上がった筋肉のあたりを通 る

 

督脈

腰の真中を縦に通る

腰と関係する臓腑

腎「腰為腎之府」

腰は腎の重要な建物という意味

 

○ ギックリ腰(急性の腰痛)の原因と治療

物を持ち上げた時に激痛が走る、振り向いたときに痛むなどの腰痛(脚の痺れがある場合はヘルニアの疑い)

中医学的には、寒さや、ストレス、疲労などで経絡の気血の流れが悪くなっているところに、急激な動きによって、経絡や経筋(経筋…経絡の気血によって滋養されている筋肉)が障害をうけて発症する。治療は関係する経絡上の経験穴を主体に使う。

 

痛みが真中(正中線上)にある ―督 脈― 人中(鼻と上唇の間のツボ)を使う

痛みが真中より少し脇にある ―膀胱経― サン竹(眉毛の内側)を使う

 

ポイント:ギックリ腰の鍼治療の注意。ギックリ腰になると動くのがとても大変です。うっかりベッドに横になると立てなくなってしまうこともあります。治療の時には、まず腕の反射区に鍼を打ち、少し動ける様になってからベッドに寝てもらいます。このような治療方法を微鍼治療といいます。詳しくは「鍼灸治療体験談」のギックリ腰のページをご覧になってください。

 

○ 一般的な腰痛の原因と治療

腰痛の場合、中医学では主に3つのタイプに分かれます。

1.寒湿タイプ腰痛

 

原因:

たくさん汗をかいた後冷やしたり、冷たい風をあびたり、長期にわたり湿度の高いところに居たり、雨に濡れてしまったりして、寒湿の邪気が腰部の経絡を侵して気血のながれが悪くなってしまったため。

 

症状:

腰に鈍痛がある。強張って横になりにくい。臀部、股関節、膝まで痛む。腰が冷たくなっている。雨が降っている日に悪化するなどの特徴が現れる

 

治療:

寒湿タイプの場合は、寒邪を追い出し、湿邪を流してあげる治療をおこなう。温めることも大事である。(去湿散寒)

 

 

ツボ ―腎兪、委中、腰陽関など

 

 

漢方薬―甘姜苓朮湯加味

 

ポイント:

寒の邪気の性質

 

 

●凝結 ―

滞って通じない性質を持つ。

気血の流れを滞らせて痛みを発生させる。

 

●収引 ―

収縮して、牽引する性質をもつ。

経絡、筋などを収縮して引きつらせてしまう。

 

湿の邪気の性質

 

 

●重濁 ―

重く濁らせたり、陽気を抑える性質をもつ。

だるく重い疲労感。

 

●下に向かう―

下向し易く、下半身に症状が出ることが多い。

 

2.オ血タイプ腰痛(血の流れが滞ってしまった状態をオ血という)

 

原因:

過去に何度も腰を痛めていたり、常に中腰姿勢で腰に負担をかけていると腰の経絡の気血の流れが滞ってしまう状態になる。

 

症状:

刺すような痛みの腰痛、固定して動かない痛み、日中よりも夜が痛む、寝返りもつらいくてしにくい、膝裏のくぼんだ所に静脈が浮いて青くなっているなどの症状。

 

治療:

堰きとめてある川を流してあげるように、気血の流れをよくする治療をおこなう(活血化オ)。

 

 

ツボ ―腎兪、委中、膈兪、三陰交など

 

 

漢方薬―身痛逐オ湯

 

 

腎虚腰痛

 

原因:

加齢や長期の病気、または性交過多などにより腎の気を損傷してエネルギー不足になってしまったためにおこる。

腎為腰之府ともいい、腎と腰の関係は深い。

 

症状:

痛みは比較的ゆっくり出てきて、痛みは強くはないがなかなかよくならない。身体も疲れやすく、膝に力が入れにくいなどの症状。

 

治療:

腎の気のエネルギー不足なので腎の気を補う治療をおこなう(補益腎精)。

 

 

ツボ ―腎兪、委中、志室、太渓など

 

 

漢方薬―腎陽虚(手足が冷えたりする)―腎帰丸

    腎陰虚(咽が渇いたりする) ―六味丸

 

ポイント:心因性の腰痛―はっきりとした腰痛の原因がなく、痛む場所がころころ変わってしまう場合は心因性の腰痛も考慮する。ストレスを抱えていたり、神経質な人の場合、通 常の痛みより強く感じてしまうこともある。ストレスが肝の、精神活動は心の機能を低下させ、気と血の動きを悪くして経絡の流れを更に悪くしてしまうため。腰痛の治療と同じに、神経的な治療も必要。

 

<日常生活での注意>

身体を冷やさないように…夏はエアコンや汗をかいた後にも注意。

適度な運動…腰痛のない時には運動して、経絡のながれをよくしておきましょう。

姿勢に気をつけましょう…斜めに座ったり、長時間のあぐらは腰によくありません。

ギックリ腰は安静に…軽い腰痛は動いて経絡の流れや血流をよくしてあげれば、よくなることもありますが、ギックリ腰は無理に動くと更に悪くなりますので基本的に安静にします。

(海老のように丸くなる体勢が一番負担がかかりません)

 

 

<家庭でできること>

委中のマッサージ―腰部を通る膀胱経の委中は腰痛の治療の重要なツボです。膝の裏のくぼんだ所にあります。親指で3秒かけて押して、3秒とめて、3秒かけて離します。

委中からふくらはぎを外踝の方に指圧マッサージしていっても効果 的です。

ヨモギ湯―冷えがあったりする場合は、ヨモギの葉を乾燥させてお湯の中に入れ、その湯の中に入って身体を温めます。(寒湿腰痛に効果 )

 

<鍼治療について>

このように腰痛でもいろいろな原因、治療があります。また、ストレスで強張り+冷えて寒湿腰痛や、オ血腰痛+腎虚腰痛など実際には混ざって発症したりしています。そのため腰痛といえどもしっかりとした診断、ツボ選びが必要になります。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

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