コラム

2019-03-12
【小児科疾患】小児の下痢について

下痢は、小児によくみられる病症で、特に春や秋に多くなります。

下痢というのは、いつもより水分がかなり多い便になった場合を指します。

乳児の場合には、水様便を1日に10回くらいもする場合がありますが、それが普通 なら下痢とはいいません。その場合、オムツかぶれも出来にくいという特徴があります。

いつも有形便の子が、水様便となれば下痢ということになります。

下痢になれば、一般的には排便回数が増加します。特に何回以上すると下痢という定義はありません。1日1回でも下痢は下痢です。

 小児の下痢を“現代医学”と“中医学”それぞれの捉え方で説明していきます。

 

≪現代医学的な捉え方≫

原因・・・

小児期にみられる下痢の原因として“ウイルス(ロタウイルス、アデノウイルスなど、いわゆる「おなかの風邪」)“や“細菌(ブドウ球菌、病原性大腸炎O-157など、食中毒)“、”アレルギー(ミルクアレルギー、乳糖不耐性など)““薬剤性(抗生物質など)”などがあげられます。

この中で頻度が高いのは、ウイルス性の下痢です。

 

症状

●ウイルス性の下痢・・・

1~2日で症状は軽快していきます。嘔吐を伴うことが多く、すっぱい臭いの便が頻回に出ます。

 

●細菌性の下痢・・・・・

腹痛が強く、下痢症状が悪化していく場合、細菌性腸炎の可能性があり注意が必要です。

血便を伴うことがあります。

 

●アレルギー性の下痢・・

乳児で、発熱・嘔吐・腹痛はみられず下痢だけが1週間以上続く場合は、乳糖不耐症などが考えられます。

ウイルス性の下痢の後に続いて乳糖不耐症を起こすことがよくあります。これは、腸粘膜についている乳糖分解酵素が洗い流されてしまい、ミルクや乳製品を分解することができなくなり下痢が起こります。

 

●薬剤性の下痢・・・・・

抗生物質の内服中に下痢が出現することがあります。腹痛・嘔吐を伴うことは少なく、機嫌も良いことが多いです。

 

≪中医学的な捉え方≫

 中医学では“下痢”のことを“泄瀉(せっしゃ)”といいます。

小児泄瀉とは、排便回数が増加し、便がゆるい、または水様、あるいは水様で未消化物が混じっている状態をいいます。

 

 下痢の主な原因は、脾・胃の機能障害によるものです。

脾には“運化・昇清作用”があります。

運化とは、食物の消化と吸収、精微(栄養)と水液の運搬をいい、昇清とは、上へあげるという意味で、運化のうちで特に肺や心など体内の上の方へ栄養を運ぶことを意味します。

胃には、“受納・腐熟・和降”の働きがあります。

受納とは、水穀(飲食物)を受け入れることで、腐熟とは消化をすること、和降とは消化物を下方の臓器(小腸・大腸)に渡す働きをいいます。

脾と胃が協調して消化活動全体を司り、栄養源(後天の精)が作られていきます。

この脾・胃の機能が、様々な要因により障害されて下痢(泄瀉)が起こります。

 

 小児は、陰陽のバランスが崩れやすく、脾胃の機能も未熟で、気血がまだ充実しておらず、抵抗力も強くないため、内・外の要因の影響を受けやすい状態にあるので下痢を引き起こしやすいといわれています。

 

 では下痢を引き起こす要因別に、説明をしていきます。

 

●湿熱による泄瀉(下痢)

泄瀉は四季のどの季節にも発生しますが、夏・秋に比較的多くみられます。

夏は暑さが厳しく(暑邪)、暑邪は湿邪を伴いやすいです。この季節に小児を炎天下や、暑い場所で過ごさせたり、冷たいものを飲食させ過ぎると、湿熱の邪が臓器に侵入し脾・胃を犯し泄瀉が起こります。

 

(症状)・・・1日に10数回にわたり緑色または黄色の水様便を泄瀉します。

便の中に未消化物が混じることがあります。または少量の粘液が混じる場合があります。

肛門は赤く灼熱します。その他に、口の渇き、小便は黄色で量が少ない、などがあります。

 

(治療原則)・・・清熱利湿(熱と湿を取り除き消化機能を調整し泄瀉を止める治療です)

 

●風寒による泄瀉(下痢)

冬・春は風寒を感受しやすい季節です。また暑さで肌腠(毛孔)が開泄している夏秋に、薄着をしたり肌を露出して眠っていると、風寒を感受することがあります。このようにして、風寒を感受し、寒邪が脾・胃の陽気を損傷すると、消化機能が失調して泄瀉が起こります。

 

(症状)・・・腹痛、腹鳴をともない、便は稀薄で泡立ち、色は淡色で臭気も少ないのが特徴です。その他に、発熱、鼻づまり、鼻水などがあります。

 

(治療原則)・・・疏風散寒・化湿和中(風寒を取り除き、湿を除去して脾胃の機能を整える治療です)

 

●傷食による泄瀉(下痢)

飲食の不摂生(過食や不潔な物の飲食)や、摂取した母乳の停滞により、脾胃が損傷され消化不良を起こすと泄瀉が起こります。

 

(症状)・・・腹脹、腹痛、泄瀉前は腹痛のため泣きわめき排便すると痛みは軽減する、大便は腐敗卵のようで腐臭も強い、未消化物を嘔吐する、などの特徴があります。

 

(治療原則)・・・消食化積・和中止瀉(消化物を除去してつかえを通 し、脾胃の機能を整える治療です)

 

●脾虚による泄瀉(下痢)

 小児は体質的に脾胃が虚弱傾向にあるため、先天(両親から受け継いだ生命エネルギー)の不足や後天の栄養不足、または冷たい物の過剰摂取などが原因となって、脾胃が損傷して虚弱化します。

脾胃が虚弱になると消化機能が低下し泄瀉が起こります。

 また、恐怖にあったり激怒して泣き叫んだりすると、肝の気がのびやかさを失って停滞し、脾胃を損傷します。このため脾胃虚弱となり消化機能が失調しても泄瀉が起こります。

 

(症状)・・・泄瀉したり止まったりを繰り返します。または、泄瀉が長引き治りきらない、大便は稀薄または未消化物やミルク様の白い固まりが混じる、食事をするとすぐに泄瀉する、などの特徴があります。

その他に、顔色蒼白、目を半開きにして眠る、身体が痩せてくる、などがあります。

 

(治療原則)・・・健脾止瀉(脾の機能を立て直し、消化機能を増強させる治療です)

 

●脾腎陽虚による泄瀉

慢性の泄瀉、慢性疾患により脾腎陽虚となり命門の火(生命を維持するためのエネルギー)が衰退すると、温煦作用(身体を温める働き)が低下し、脾の運化作用、腎の気化作用(尿を生成する働き)が障害されて泄瀉が起こります。

 

(症状)・・・泄瀉が長引き止まらない、または五更泄瀉(明け方に起こる下痢)、大便は稀薄で未消化物が混じる、腹部が力なく軟らかい、などの特徴があります。

その他に、寒がり、四肢の冷え、食欲不振、身体が痩せる、浮腫、目を半開きにして眠る、脱肛、などがあります。

 

(治療原則)・・・補脾温腎(腎を温めて脾を健全にする治療です)

 

 

小児の下痢で一番注意が必要なことは、下痢そのものより脱水の程度、全身の元気さです。

下痢は、身体の維持に不可欠な水分やナトリウム、カルシウム、カリウムなどの電解質をも体外に出てしまいます。電解質は、心臓や神経、筋肉の正常な働きを保つのに重要です。

そのため、下痢の時は失われた水分だけでなく電解質も補うことが大切です。

 

感染症の下痢症は感染力が強く、下痢便、嘔吐物そのものの他、飛沫感染(乾燥した便が空気に漂うことによる感染)も疑われているので、下痢・嘔吐の処置後の手洗い・うがいをしっかり行うことが大切です。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。

この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

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