コラム

2019-03-12
【小児科疾患】虚弱体質児

皆さんは「虚弱体質児」と聞いてどんな症状が思いつきますか?

顔色が悪い、疲れやすい、動作が緩慢、神経過敏、よく吐く、胃腸が弱い、アレルギー、食欲不振、病気にかかりやすい、やせている、すぐ頭痛や腹痛を起こす、他の子と比較して成長が遅い・・・などなど、

一口に虚弱体質児と言っても様々な症状がでてまいります。

では早速、虚弱体質児について、いつものように西洋医学の見地から説明してまいりましょう。

 

 

★★西洋医学から診た虚弱体質児★★

実は西洋医学では「虚弱体質児」という病名はありません。

なぜなら虚弱体質という言葉はあまりにも大きな括りになり過ぎてしまっているからです。

西洋医学の場合、病気と判断されるものは、その症状が実際に治療が必要なものかどうかを基準にしているからなのです。

 

では、実際に西洋医の先生はどのように虚弱体質児の治療を行うのでしょうか。

通常の場合は、患者さんの診断を行い、その症状の原因が何らかの疾患に基づくものであるとわかれば、 その病気に対して治療を行います。

西洋医学的に治療が必要と判断される疾患には次のようなものがあります。

◎「アレルギーなどの慢性疾患」

◎「小児神経症」

◎「自律神経失調症」

◎「内臓疾患や脳神経障害」

◎「精神症」

上記の疾患が原因となっている場合はこれらの疾患に対する治療を行うわけです。

 

ですから、虚弱体質児の治療というよりも、基本的には西洋医学の基準で病気と判断された症状に対して、その病気の治療が行われていると言った方が近いかもしれません。

では、上記の疾患が原因となっていない場合で、医師が治療の必要がないと判断された場合はというと、これといって治療が行われない場合や、乾布摩擦などと言った鍛錬的な指示が出る場合もあります。

冒頭でも述べましたが、西洋医学には「虚弱体質児」という病名が無いわけですから当然と言えば当然ですね。

 

しかし、虚弱体質の症状に含まれるものの中には、医師が治療の必要がないと判断するものや原因が特に無いというものも少なくありません。

では次に中医学ではどの様に虚弱体質を捉えるのかを説明してまいりましょう。

 

 

★★中医学による虚弱体質児★★

中医学も西洋医学と同様に「虚弱体質児」という疾患名はありません。

理由もやはり西洋医学と同じで「虚弱体質」と言ってしまうと、余りにも大きな括りになってしまうからです。

そこで今回は中医学の疾患の中から「疳積(疳証)」について説明をしたいと思います。

一般の方にはあまり聞き馴染みのない疾患だと思いますが、4大小児疾患の1つと言われており、成長発育に影響をおよぼしたり、アトピーや花粉症といったアレルギー疾患に発展することもある疾患です。

あえて現代西洋医学の病名に照らし合わせると、概ね以下の疾患が類似しております。

「栄養失調」「慢性消化不良」「後期の小児結核」「寄生虫感染症」

 

 

★中医学の基礎概念★

さて、今から中医学の説明に入りますが、中医学も現代医学と同様に医学です。

医学である以上そこにはしっかりとした学問体系や理論が存在します。

医学には正常な身体の状態を考える『生理観』(現代医学では生理学や解剖学など・中医学では臓腑学や経絡経穴学や気血津液学など)というものがあり、その上に病気の成り立ちを考える『病理観』(現代医学では病理学・中医学では病因学説や病機学説)が存在します。

つまり、病気を理解するためには、まず正常な身体の仕組みや構造を理解しなければ病気を理解することは出来ません。ですから、まずは中医学の生理観を理解しないと、中医学から見た病気も理解することは出来きません。

しかし中医学の生理観は現代医学のそれとは全く異なった考え方をし、とても奥深いものですので、とりあえず今回は「疳積」に関係するものだけにしぼって説明をさせていただきます。

 

 

▼中医学の生理観▼

≪気・血・水≫

中医学では人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されると考えます。

そしてこれらが多くも少なくもなく適量でバランスよく、且つスムーズに流れてこそ健康でいられると考えます。

 

<気>

気の主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

「疳積」では、栄養不良により「気」が作られなくなり、「栄養作用」や「固摂作用」が失調することがあります。

「栄養作用」が失調すれば全身は栄養されず、エネルギー不足をおこします。

又、「固摂作用」が失調すると体内から余分な汗がでたり、失禁を起こしたりします。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。

ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。

主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

 

《内臓(五臓六腑)》

さて、次は内臓です。

よく「五臓六腑にしみわたる」などといいますが、この五臓六腑が東洋医学の考える内蔵のことです。

西洋医学のそれとは異なり中医学では内臓を物体として区別するのではなく、 働きで区別します。

六腑は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。

具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。

先程の働きの他にも五臓六腑には沢山の働きがあります。

しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。

それは、西洋医学と同じ臓腑の名前を使ってはいますが、冒頭で説明したように中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。

私もそうですが、こういったところが皆さんが混乱してしまうところだと思います。ですから、今から「疳積」に関係のある臓腑ついて説明をいたしますが、名前が同じでも西洋医学のそれとは違う物という認識で(別 物と思って)これから先を読まれた方がよろしいかと思います。

 

さて、今回は各臓腑の説明に入る前にちょっと角度を変えて、飲食物が口から入った後どの様な臓腑とどの様に関係し排泄されるのかを、中医学の視点から簡単に説明したいと思います。

やはりこの流れも西洋医学とは違う概念がありますのでイメージだけでもつかんでおいて下さい。

 

 

〈飲食物の流れ〉

1.口から入った飲食物は先ず「胃」に運ばれます。

 

2.胃は飲食物を受け入れ(受納)、初期消化を行い(腐熟)消化された飲食物を「小腸」に送ります(和降)。

 

3.次に小腸は送られてきた消化物を、人体に必要な物である「水穀の精微」(清)と不必要な物である「糟粕」(濁)に分けます。この働きを『必別 清濁』と言います。

次に、小腸は「水穀の精微」を脾へ送り、糟粕を水分とそれ以外に分け、それぞれを膀胱と大腸へ送ります。

 

4.脾は送られてきた「水穀の精微」を栄養分として吸収して肺へ送ります。この働きを「脾の昇提作用」といいます。「昇提作用」とは、エネルギーを上へ持ち上げることを指す言葉です。

 

5.肺は送られてきた栄養分を全身へ散布します。この働きを「肺の宣発粛降作用」といいます。

 

6.一方、膀胱と大腸は、それぞれ小便・大便にして体外へ排出します。

 

以上が中医学が考える体内での飲食物の流れになりますので、上記をふまえて以下の臓腑の生理を読まれると理解しやすいと思います。

 

 

『脾』

脾の生理作用としては、運化を主る・昇清を主る・統血を主る・肌肉を主る・四肢を主する などがあります。

この中で「疳積」と関係がある作用は、運化作用です。

運化作用とは「消化・吸収・運送」のことです。

因みに「運化」の「運」が運送を意味し、「化」が消化吸収を意味します。

さて、ここでもう1度「飲食物の流れ」を思い出してみましょう。

口から入った飲食物は胃に送られ、次に小腸で「必別清濁」され、脾や大腸や膀胱へと送られ、脾から肺へ、肺から全身へ、一方、大腸や膀胱から体外へといった流れでした。

この一連のながれを「運化」といいます。

つまり、脾の働きは「運化を主する」わけですから、この一連の流れ全ての管理を脾が行っているのです。

ですから、けして小腸から「水穀の精微」を受け取ってからが脾の仕事ではありません。

このような考え方が中医学独特の考え方で、先程書いたように、内臓を物体として捉えるのではなく、働きとして捉えているところなのです。

さて、ここで「脾の昇提作用」に注目をしてみたいと思います。

脾の昇提作用とは栄養分を肺まで送る働きでした。

ところで、脾のある場所から肺に栄養分を送るということは、言い代えれば栄養分を肺まで持ち上げるということになります。

ですから、持ち上げる物は出来るだけ軽い方が効率が良いわけです。

ところが何らかの原因により体内に余分な水分が溜まると、その湿気が体内の様々な物を重くしてしまいます。その結果 、運化作用の機能低下が起こります。

又、運化作用が低下すれば当然、食欲不振や下痢が起こります。

上記の理由から「脾」は湿気をとても嫌いますし、湿気にとても弱い臓器ということになります。

又、「甘は先ず脾に入る」と言われ、甘味には脾胃を調和してくれる作用がありますが、甘味の食べ過ぎは湿を生み、脾胃を損傷させ作用低下をまねきます。

これは「疳積」の機序になる大事な部分ですので是非覚えておいて下さい。

 

 

『胃』

胃の主な働きは、先程も説明したように、飲食物を受け入れ、初期消化し、小腸に送るという[受納・腐熟・和降]の3つの働きがあります。

1.胃は先ず飲食物を受け入れます。・・・このことを「受納」といいます。

2.次に、初期消化をします。・・・・・・このことを「腐熟」といいます。

3.最後に消化物を下にある小腸に送ります。・・・このことを「和降」といいます。

 

 

『脾・胃の働き』

ここで脾と胃についてもう一度まとめてみましょう。

脾と胃はとても深い関係にあり、「脾」は良いものを上へ持ち上げ体全体へ回し、「胃」は不要な物を下方へ下げ排出させています。

このように両内臓は互い協力し合い飲食物から栄養物を摂取し、「気・血・水」を作り、全身へ供給しているのです。

つまり、脾と胃は「消化吸収」に非常に重要な役割をはたしているわけです。

人が生命活動を維持するためには脾と胃が正常に機能するということがとても重要になってまいります。

 

 

『心(しん)』

心の主な作用は血の循環と精神活動の統括になります。

精神活動の統括は「疳積」の随伴症状に関係があり、心が損傷されると精神活動が不安定になってしまいます。その結果 、不眠や精神不安といった症状が発現します。

 

 

『肝』

肝の主な作用は、疏泄を主る・血を蔵す・筋を主る・などがあります。

この中で発熱と関係が深いのは、疏泄作用と蔵血作用です。

疏泄作用には、「気機の調整」・「消化吸収の促進」・「精神活動の調整」があります。

「気機の調整」とは、気血の流れなどスムーズにして体内の機能の働きを促進させる作用です。

次に、精神活動の調節ですが、「心」は精神活動の統括をしておりました、それに対して「肝の疏泄作用」は心の機能を促進させております。

この働きによりリラックスを保っております。

つまり、精神活動は心と肝が協力して行われていると理解してください。

 

 

『肺』

肺の主な作用は、呼吸を主る・気を主する・宣発と粛降を主るなどがあります。

宣発とは、気や栄養分を全身へ行き渡らせる働きで、粛降とは、気・濁気・栄養分などを下に下げる働きを言います。

又、肺は鼻と特に深い関係があります。

「疳積」の場合は肺が損傷すると、咳嗽・鼻づまり・鼻水などの症状が出現します。

 

 

『腎』

腎の主な作用は、発育生殖を主る・水を主る・納気を主る・などがあります。

また、生体の各臓腑や器官組織を滋養・濡潤する働きをするものに「腎陰」というものがあります。

腎陰は何らかの原因により、不足を起こすことがあり、「疳積」の症状の中にも「腎陰の不足」によるものが出てまいりますので覚えておいてください。

 

 

《経絡》

経絡とは一言で言えば気血水を全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです。

経絡の作用は「生理作用」「病理作用」「治療作用」の3つに分けられます。

上記の気血水が流れる経路としての働きが「生理作用」になります。

ところが経絡が何らかの病因物質によって塞がれてしまうことがあります。

経絡は人体を縦方向に走る「経脈」と経脈の分枝の「絡脈」に分かれます。

又、経脈の中には正経12経と言われる経脈があり、これは経脈の中でも特に重要なもので、それぞれ一対の臓腑と深い関係があります。

 

中医学の生理観はご理解していただけましたでしょうか?

我々が慣れ親しんでいる西洋医学とは大分違っていたと思います。

最初はなかなか理解するのは難しかったり、抵抗があったりすると思いますが、生理観の概念が違うからこそ、西洋医学で治らなかった病気が中医学で治ったりすることがあるわけです。

中医学の基本理論は生命エネルギーの流れと調和にあります。

それでは次に生理観の他に中医学の独特の考え方をするものを少しだけ紹介します。

これも中医学を理解する上でとても大事な予備知識になります。

 

 

 

▼「疳積」を理解するための中医学の基礎概念▼

《病因》

病因とは病気となる原因のことです。

中医学ではこの病因を「外因・内因・不内外因」の3つに大別します。

 

『外因』とは身体の外の環境が病因となるものをさします。

これらは六淫と呼ばれ「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」の6種類あります。

季節の変化により気候は変化します。

通常の気候の変化は身体には影響がありませんが、急激であったり過剰な気候の変化は身体に負担をかけ病気を引き起こします。

例えば、暑ければ熱中症・寒ければ体の冷えなどが起こります。

 

『内因』とは過度の精神状態が病因となるものをさします。

これらは「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の7種類あります。

 

『不内外因』とは内因・外因のどちらにも属さないものをさします。

これらは「不節な飲食・外傷・寄生虫・過労・運動不足」などがあります。

特に「疳積」の病因となるものは「不節な飲食」と「寄生虫」が挙げられます。

「不節な飲食」とは食べ過ぎ・飢え・偏食・不衛生な物の飲食があります。

この中の偏食に注目してみましょう。

偏食には、「肥甘厚味の過食」「辛辣の過食」「生冷の過食」「飲酒の過度」があります。

この中で「肥甘厚味の過食」と「生冷の過食」が「疳積」の病因になりますので少し説明をします。

 

「肥甘厚味の過食」

肥甘厚味とは、甘い物・味の濃い物・油っぽい物・といった食物をさします。

これらの採り過ぎを肥甘厚味の過食といいます。

 

「生冷の過食」は生ま物と、冷たい物の採り過ぎを言います。

 

これらの食物の採り過ぎは湿や痰や熱を生みやすく、脾や胃を損傷させてしまいます。

 

(今回の「疳積」では「小児期の飲食の不節」も原因になります。乳幼児期の飲食の不節は大人のそれとは内容が若干異なりますので、病因・病機のコーナーで説明いたします。)

 

 

《陰陽》

陰陽とは古代中国哲学を構成する物の一つで、中医学にもその考え方は深く影響を及ぼしています。

陰陽だけでも一冊の本が書けてしまう程奥が深いものでありますので、ここでは簡単に説明します。

陰陽とは「全ての事物や現象には相反する二面性があり、これらは対立しあいながら統一し、互いに色々影響しあう事によりバランスをとっている」という考えです。

つまり、陰と陽のバランスが取れていれば自然界や人体は平常な状態です。

例えば、上下・左右・内外・夜昼・男女・静動・・・・・と言った具合です。

この理論に医療実践を積み重ね確立されたものが「陰陽学説」です。

「疳積」の症状に関係のある陰陽としては、寒熱があります。

寒熱を陰陽で分類すると、寒は陰に、熱は陽に属します。

体内で寒(陰)・熱(陽)は互いに抑制し合うことで適度な体温を保っております。

例えば、陽気(熱)が旺盛になりすぎたり、陰気(寒)が少なすぎる(虚)と体内の熱が過剰に上がってしまいます。

逆に陽気が少なく(虚)陰気が旺盛になれば低体温や様々な臓器の機能低下が起こります。

ここで、熱の過剰な上昇に注目してみましょう。

陽気は熱性に属しますから、陽気の亢進は過剰な熱産生になることは想像がつきやすいと思います。

 

次に陰気ですが、陰気は寒性に属します。

寒性は体を冷す働きがありますので、熱くなりすぎるのを抑制する働きをしているわけです。

もし陰気が減ってしまうと熱を抑えることが出来なくなり過剰な熱上昇がおこります。

中医学では前者のような熱を『実熱』といい、後者のような熱を『虚熱(陰虚熱)又は、虚火』といいます。

このように同じ熱の過剰な上昇という状態であっても、その発生の機序は大きく2つあるわけです。

当然、発生の機序が違えば、症状や治療法(使用するツボや漢方)は全く違ってきます。

陰には当然、「寒」以外にも沢山の特性がありますが、もう1つ知っておいて欲しい働きに、体(内臓・皮膚・関節・など)に潤いを与える作用があります。

そして、これらの働きは腎や胃とかの幾つかの臓腑が関与しています。

ですから、特に1つの臓器の「陰」の働きを示す場合は、「陰」という言葉の前にその臓腑の名前を付けます。

例えば、更年期などの火照り感などは加齢により腎のエネルギー不足が生じ、腎の陰が不足を起こして「虚熱」により火照りが生じます。ですから、この場合は『腎陰』の不足が原因というように使います。

疳積の症状には「腎陰」「胃陰」の不足によるものが出てまいりますので、是非覚えておいてください。

又、「陰虚熱」の特徴的な症状としては、両頬が赤い・寝汗・午後の発熱・などがあります。

体質的に「陰虚」の方や、ちょっとしたことで「陰虚」になりやすい方を「陰虚体質」といいます。

 

 

《弁証》

中医学では病気の種類を「証」(しょう)と言います。

その「証」を見極めることを「弁証」と言います。

つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。

もう少し具体的に説明しましょう。

先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームーズに流れていなくてはなりません。

もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。

弁証とは、何が原因で・何が・何処で・どの様に・バランスを崩しているのかを見極めるのです。

皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。

例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的には、みな同じ治療が施されたり、同じ薬が処方されたりします。

しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。

今回の「疳積」でも、幾つかに分類され、すべて処方される漢方薬や、使用するツボも異なってきます。

ですから、「弁証」とは病気を診るものではなく、あくまでも体の中のバランスの崩れを診るものなのです。

 

さて、実際の治療では、患者さんの弁証が出来たら、次に治療方針を考えます。

 

《治則と治法》

中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。

治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。

治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。

簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。

つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。

そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

 

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》

『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。

「理」とは理解と言う意味で、具体的には「弁証」により病気を理解することをさします。

「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。

「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。

「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。

つまり、本来の臨床の現場では「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。

逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。

問診もしっかり行わず痛い所やコリが在る所に針を打ったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。

さて、中医学の予備知識もだいぶ頭に入ってきたところで、本題の「疳積」に入りましょう。

 

{今後使われる専門用語等については、今まで説明してあるもののみを使用しますので、もし分からない言葉がありましたら、もう一度★中医学の基礎概念★を参照してください。}

 

 

★疳積(疳証)★

さて、先ず「疳」という字について説明しましょう。

「疳」には大きく2つの意味があります。

1つは「甘」という意味で、病因である「甘いもの・味の濃いもの・脂っこいもの」を表し、もう1つは「乾」で、病機である「気・血・水」の消耗と、症状である「身体に潤いが無く痩せる」ことを意味します。

5歳以下の小児にみられ、特に3歳前後に多くみられます。

症状は「痩せ」「脱毛」「食欲の異常」「冷え」「精神衰弱」「静脈が浮き出る」・・・・・など多種多様です。

主な病因・病機は、授乳を止めるのが早すぎたり、不適切な栄養状態、長期にわたる下痢や嘔吐、寄生虫感染、などにより脾胃が損傷を受け、消化吸収能力が低下し、その結果 飲食物が体内で停滞を起こし、これが長引くことにより、熱が発生し気血水が損耗してしまい五臓を栄養できなくなり、症状が発症します。

 

症状が多種多様に及ぶことからこの疾患の分類法も、

1.症状の進行段階によるものと、2.症候によるものの2つがあります。

この中で一番その患者さんにあった弁証を行い、治療法を選択し治療にあたります。

そこで、「疳積」の説明は、先ずは病因・病機を紹介し、次に、1.症状の進行段階による分類と、それについての症状と治療を説明します。

次に2.症候による分類と、それについての症状と治療を説明したいと思います。

 

 

▼病因・病機▼

「疳積」の病因は、小児期の飲食不節・栄養の不足・寄生虫・慢性病・があります。

それでは病因別に病機を説明しましょう。

 

Ⅰ,【小児期の飲食不節】

小児期の飲食不節とは、食事の過多であったり、不規則や不適切な時間に食事を採ったりといった事と、病因の不内外因で説明した「肥甘厚味の過食」「生冷の過食」などです。

これらは全て脾胃を損傷させてしまいます。

すると胃の受納*や脾の消化機能が低下してしまい、食べた物が胃腸で停滞を起こします。このことを「食積」又は「宿食」「宿滞」といい、そのまま長引くと脾の消化吸収の働きである運化作用**が低下をしてしまいます。

すると今度はいくら食べても食物から栄養を摂取できなくなり、やがては気血の生成不足→臓腑への滋養不足へと発展してしまいます。

(受納*:胃の生理を、運化作用**:脾の生理を参照してください。)

 

Ⅱ,【栄養の不足】

小児の成長に対して栄養的に不十分な食事や、母親が栄養失調のために、母乳に含まれる栄養分が希薄であったりすると小児にも栄養不足が生じます。

その結果、脾胃の機能低下が起こり気血が生成されなくなり、体を栄養することが出来なくなります。

 

Ⅲ,【慢性疾患・寄生虫】

慢性的な下痢は体内の水分を損耗させたり、脾胃を損傷させてしまい、胃の受納作用や脾の運化作用を低下させてしまいます。

又、寄生虫も人体内で脾胃を損傷し、臓腑を乱し精微*が吸い取られてしまいます。

その結果両者とも、「気・血・水」が著しく不足を起こし、身体が極度に痩せてしまいます。

(精微:内臓の説明の中の《食物の流れ》を参照してください)

 

以上が「病因・病機」になります。このような機序で「疳積」が発症します。

次に、症状の進行による分類により弁証・症状・治療・について説明をします。

 

 

▼症状の進行による分類と弁証▼

症状の進行による分類は、

1.初期の「疳気」

2.中期の「疳積」

3.後期の「乾疳」の3段階に分類できます。

 

【疳気】

初期の症状です。食物が胃腸で停滞を起こしている「食積」*の状態で、脾への影響についてはまだ軽く及ぼしている程度であったり、母乳不足や偏食による栄養バランスが崩れている状態です。

いずれもまだ軽症の段階です。

(食積:食物が胃腸に滞っている状態です。詳しくは病因病機の【小児期の飲食不節】を参照してください。)

 

《弁証》

「脾気虚弱疳証」又は「脾胃不和」

《症状》

○痩せ・・・

 

脾胃の損傷により、気血が生成されないために栄養不足となり起こります。

○食欲不振・・・

 

胃の受納作用の低下や、脾の運化作用の低下によるものです。

○食後にお腹が張る・・・

 

胃腸の中に「食積」があるためです。

○元気がない・・・

 

脾の運化作用が低下して「気」の生成が出来ないためおこります。

○顔色にツヤがなく血色もよくない・髪もツヤがなく薄い・・・

 

脾胃の損傷により、気血が生成されないために栄養不足となり起こります。

○軟便、又は乾燥便・・・

 

全く逆の症状ですが、軟便は脾胃の損傷により発症します(詳しくは脾の生理を参照してください)。

乾燥便についてですが、中医学では本来流れているものが滞ると、熱化する傾向があると考えます。この疾患の病因である「食積」は食物の滞りですから熱化してしまう可能性があります。腸のなかで熱化をすれば周りの水液を損耗させてしまい、大便は乾燥します。

○大便に未消化物が混じる・・・

 

運化作用の低下により消化吸収能力が低下しているためにおこります。

○精神不振・目に光がない・・・

 

脾胃の損傷により血が生成されないために精神が栄養されなくなりおこります。(詳しくは血の生理を参照してください。)

《治療》

「脾気虚弱疳証」に対しては・・・・「益気健脾」

損傷をうけている脾をたて治し気を益す治療を行います。

ツボ:中カン・天枢・足三里・気海・三陰交・脾兪 など

漢方:参苓白朮散加減・六君子湯 など

 

「脾胃不和」に対しては・・・・「健脾和胃」

脾と胃をたて治す治療を行います。

ツボ:中カン・下カン・天枢・足三里・三陰交・脾兪・胃兪 など

漢方:資生健脾丸 など

 

 

 

【疳積】

中期の症状です。「食積」や脾の機能低下(脾気虚)もだいぶ進んだ状態です。

 

《弁証》

『積滞傷脾疳証』

《症状》

○痩せは「疳気」より進行・・・

 

脾胃の損傷により、気血が生成されないために栄養不足となり起こります。

○腹部の張った感じ(特に食後)・・・

 

食物が胃腸に停滞を起こし、さらに脾の働きが低下して起こります。

○お腹の静脈が浮き出る・・・

 

気血の流れが悪くなり、経絡が詰まった状態です。

○食欲不振・・・

 

胃の受納作用の低下・脾の運化作用の低下によるものです。

○多食・多便・・・

 

上記とは逆の症状です。これは、「胃強脾弱」といい、胃の受納作用の過剰な亢進と、脾の運化作用の低下を意味します。

このような状態だと脾と胃の協力関係のバランスが崩れてしまい、食欲が旺盛になり、食後にお腹が張り、大便は最初は硬く最後には軟便となります。

○顔色は黄色っぽく・髪もツヤがなく薄い・・・

 

脾胃の損傷により、気血が生成されないために栄養不足となり起こります。

○精神不振・・・

 

脾胃の損傷により血が生成されないために精神が栄養されなくなりおこります。(詳しくは血の生理を参照してください。)

○落ち着かず胸がそわそわする・イライラ・不眠・・・

 

血や水(津液)は体を冷却する作用がありますが、「食積」により熱が生まれ、その熱が周りの水液を損耗し、更に運化機能の低下で血や水(津液)が生成されないと、体内では熱が盛んになってしまいます。その熱が肝と心に影響を及ぼした状態です。

(精神状態と「心」「肝」の関係は、「心」「肝」の生理を参照してください。)

○未消化物の嘔吐・大便に未消化物や寄生虫が混じる・・・

 

運化作用の低下により消化能力が低下すると未消化物が排出されます。

寄生虫は寄生虫感染を意味します。

《治療》

「益気健脾・消積」といい、やはり脾をたてなおし、食積を解消させる治療を行います。

ツボ:中カン・天枢・足三里・気海・三陰交・章門・公孫・脾兪

   胃兪・四縫穴 など

漢方:肥児丸加減・消疳理脾湯 など

 

 

 

【乾疳】

後期の症状です。気や血がだいぶ失われた状態で、臓腑肌肉が儒養されない重症です。

 

《弁証》

『気血両虚疳証』

《症状》

○極度の痩せ・腹部に陥凹ができる・元気がない・泣き声に力がない・・・

 

気の不足により全身を栄養出来ない状態です。 (詳しくは、気の生理を参照してください。)

○食欲不振・・・

 

胃の受納作用の低下・脾の運化作用の低下によるものです。

○汗を大量にかく・・・

 

気の不足により体を引き締める働き(気の固摂作用*)の低下によるものです。 (気の固摂作用*:気の生理を参照してください。)

○軟便又は便秘・・・

 

脾胃の機能低下によるもので、脾は持ち上げる働きである「昇提作用」・胃は降ろす働きである「和降」の両方の働きが無力(昇降無力)になってしまい起こります。(詳しくは脾・胃の生理を参照してください。)

○唇の乾燥・髪につやがない・・・

 

血や水(津液)が損耗して潤せない状態です。

○精神衰弱・・・

 

気血が精神を栄養出来ない状態です。

○紫斑の出現・・・

 

陽気は陰陽論では温性に属します。この場合、気の中でも特に陽気の不足により、体を温められず気血が滞り起こし紫斑が出現します。

○微熱・・・

 

陽気は温性でした。温かい空気が上に行くのと同じように、陽気の不足が起こると本来は全身にあるはずの陽気が、全て上にある頭に集まってしまいます。しかし陽気は不足している状態ですから、少ししか集まらず、微熱程度の熱しか上がりません。

○大量の汗・呼吸が弱い・手足が冷たい・失禁

(一般に言う危篤状態です)・・・

 

陰と陽の相互関係が完全に壊れた状態で「陰陽離決」といい、とても危険な状態です。「乾疳」の場合は体内のエネルギーが尽きた状態になり「陰陽離決」が起こります。

《治療》

『益気養血』『健脾和胃』・・・・気と血を補う治療と脾と胃をたてなおす治療をします。

『回陽固脱』・・・危篤状態の時の治療になります。

ツボ:腎兪・脾兪・血海・天枢・気海・下カン・関元(回陽固脱)

   神闕(回陽固脱)

漢方:人参養栄湯加減・帰脾湯・八珍湯

 

 

次に、症候による分類を紹介しましょう。

症候による分類は主に「五疳」・「熱疳」・「口疳」・「丁奚疳(ていけいかん)」などがあります。

 

 

『五疳』

疳積を五臓にもとづいて分類したもので、「五臓疳」とも言われます。

「肝疳」「心疳」「脾疳」「肺疳」「腎疳」の5つがありますので、一つ一つ説明してまいりましょう。

(尚、症状については今まで説明してきたものとほぼ同様ですので、詳しくはそちらを参照してください。)

 

* 「肝疳」・・・・脾胃が損傷を受け、運化作用が低下すると、結果 的に、気血不足が起こることは今まで何度も説明してまいりました。

さて、気血の不足が起こると様々な悪影響が出てまいります。その悪影響の1つとして、肝の陽気を抑えきれなくなり、肝の熱が原因となって起こる疳積が「肝疳」です。

 

《症状》

顔色が青黄色・痩せ・腹部の張り・目の乾燥・下痢・などです。

 

《治療》

「清肝瀉熱」「健脾消積」といい、肝を整えて熱を下げ、脾を立て直して運化作用を高め食積を消失させる治療を行います。

ツボ:行間・中カン・足三里・三陰交・気海 など

漢方:瀉青丸・合羊肝丸加減・加味逍遥散 など

 

 

*「心疳」・・・・偏食などにより脾胃が損傷され、食積が形成され、それが長引くことにより生まれた熱が「心」へ影響を及ぼし、心の熱が原因となって起こる疳積が「心疳」です。

・・・・過食や偏食により脾胃が損傷され食積が形成されます。それが湿熱に変化して発症する疳積が「脾疳」です。又、重症化すると「丁奚疳」に発展します。

 

《症状》

顔色が黄色い・痩せる・髪が薄い・お腹が張る・疲れやすい

常に眠い・話すのも億劫・下痢・便に未消化物が混じる

 

《治療》

「清熱利湿」と言い、湿を体外に出し熱を下げる治療を行います。

ツボ:豊降・中カン・天枢・足三里・三陰交・気海・四縫穴 など

漢方:集聖丸 など

 

 

*「肺疳」・・・・過食や偏食により食積が形成され、長期化することにより熱化し、肺に影響を及ぼし発症する疳積が「肺疳」です。

 

《症状》

顔色が白い・痩せ・髪が薄い・腹部が張る・咳嗽・鼻づまり・鼻水

 

《治療》

「清肺瀉熱」・「益気健脾」と言い、肺を整えて熱を下げ、脾をたてなおして気を益す治療を行います。

ツボ:太淵・中カン・天枢・足三里・三陰交・気海 など

漢方:瀉白散 など

 

 

*「腎疳」・・・・脾胃の損傷により湿熱が生まれ、それが長期化することにより腎陰* を損耗してしまい発症するのが「腎疳」です。

(腎陰*:腎の生理と陰陽を参照してください。)

 

《症状》

顔色が白い・両頬が赤い・痩せ・髪が薄くツヤがない・腹部が張る

歯肉から出血する・寝汗・午後の発熱・下痢 など

 

《治療》

「滋陰養腎」と言い腎陰を滋養する治療を行います。

ツボ:太谿・腎兪・脾兪・中カン・天枢・三陰交・気海 など

漢方:六味滋養丸 など

 

 

『熱疳』

脾胃の損傷により生じた湿熱が肌膚に入って発症する疳積が「熱疳」です。

 

《症状》

顔色が黄色い・髪が薄い・痩せ・腹部が張る・ノドが乾き、冷たい飲み物を欲する・発熱・イライラ・皮膚の痒み など

 

《治療》

「清熱消疳」と言い熱を下げる治療を行います。

ツボ:曲池・内庭・中カン・足三里・気海・四縫穴 など

漢方:黄連丸加減 など

 

 

『口疳』 口の中に「びらん」を伴う「疳積」で、食積が長期化することにより体内の水液(津液)を損耗し、 胃陰*が不足して虚火**が生じたり、陰虚体質***の方が毒邪を受けた時に発症します。

(胃陰*・虚火**・陰虚体質***については陰陽を、参照してください。)

 

《症状》

口の中や舌に「びらん」が生じる・顔色が黄色い・痩せ・髪が薄い・腹部の張り

 

《治療》

「滋陰清熱」と言い、陰を滋養し熱を下げる治療を行います。

ツボ:内庭・中カン・足三里・三陰交・気海 など

漢方:青黛散 など

 

 

『丁奚疳(ていけいかん)』

脾胃の損傷により運化作用が失調し気血が作られなくなり、肌肉が滋養されなくなり発症する疳積が「丁奚疳」で、骨格の軟弱化や弱体化を伴う疳積です。先程説明した「脾疳」の重症化したものです。

 

《症状》

顔色が蒼白・痩せる・腹部が張る・髪の毛にツヤがない・微熱・下痢 など

 

《治療》

「補脾養胃」といい、脾と胃をたてなおす治療を行います。

ツボ:中カン・天枢・足三里・三陰交・気海・脾兪・胃兪

漢方:肥児丸加味

 

以上が症候による分類と症状・治療になります。

 

 

「疳積」の病因は主に、授乳を止めるのが早すぎたり、不適切な栄養状態、長期にわたる下痢や嘔吐、寄生虫感染、などでそれ程多くはありません。

病機についても、脾胃の損傷→運化機能の能力低下→食積形成→長期化による熱化→水液(津液)の損耗や気血生化不足、といった一連の流れになります。

ところがこの後に様々な臓腑に影響が及んでしまいます。

そして、その影響を受けた臓腑により症状が違うので、症状が多種多様になってしますわけです。

臨床では多種多様の症状の中から患者さんが、何が病因で、どのような病機でどういう症状が出ているのかを見極めて、一番適切な治療法を選択して治療にあたります。

皆さんに理解していただきたいのは、中医学は病因や病機や症状といったもの全てを考慮に入れて治療方針を決めます。

当然、治療方針が違えば使用するツボや漢方薬も違ってきます。

けして、この病気にはこのツボとか、この漢方薬といった短絡的なものではないということです。

 

最後に疳積の予防について簡単に紹介してみたいと思います。

 

 

★疳積の予防★

1.幼児に必要な栄養価のある食事を与える。

2.母乳が不足している場合は捕食を与える。

3.消化不良に気をつける。消化能力が減退している場合は、消化力に合わせた量 や時間を考慮する。

4.食事の時間は出来るだけ定時にする。

5.偏食に注意する

6.ストレスのない規則正しい生活をおくる。

などがあります。

 

以上が「疳積」についての説明です。

 

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=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行い、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出し、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。只、大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。この点をご理解して頂ければ幸いかと思います。

 

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