コラム

2019-03-12
【その他】老化予防について

年齢とともに生じる老化は、誰しもが避けることのできない生理現象です。

しかし、いかに健康的な体の状態を維持し、老化の進行を遅らせるか、また早期に老化が起こるのをどのように防ぐのかということは、時代や国を越え、常に人々の関心の的の一つになっています。

昨今、日本では高齢化社会となり要介護の方が増えていますが、健康な体で老後を迎えて、長寿を全うしたいというのは万人が望んでいることだと思います。

今回は老化予防について、中医学で考える健康体とはどのような状態なのか、老化をまねきやすい原因は何か、老化の進行を少しでも防ぐ日常生活の過ごし方はどのようなものなのか、お話ししていきたいと思います。

ご参考までに読んでいただけたらと思います。

 

<中医学で診る人の成長と老衰>

10歳:五臓の生理機能が安定し始める。気血は流れ通じている。精子、卵子の排出がある。

20歳:気血は充満し、流れに勢いがある。筋肉はモリモリとし、元気である。

30歳:五臓の生理機能は安定している。血脈の機能も盛んである。

40歳:臓腑、経脈の流れは安定している。立つことより座ることを好む。老化が始まりかける。

50歳:肝臓が弱り始める。視力が減退し始める。老化が始まる。

60歳:心気が衰弱し始める。心配ごとが増えはじめ、横になりたがる。動くことがおっくうになる。

70歳:脾胃の機能が衰え始める。筋肉が衰え、皮膚のつやがなくなる。

80歳:肺が弱くなる。言葉をよく間違える。頭が少しボケる。

90歳:腎の機能が低下する。経脈の中が空虚になる。前記の症状が悪化する。

100歳:五臓が全て虚の状態となる。気力、体力ともに衰え、基本的な物質は全て減少してくる。

 

 

◆中医学における健康な体の概念とは◆

中医学では、「人体は、虚せば衰える」と言われており、老化は人体の生理機能(正気・エネルギー)が虚弱になったことの現われであると考えられています。

健康体の保持や早期の老化を防ぐためには、免疫力や抵抗力の源とされる「正気(パワー)」の充実がキーポイントとなります。そして、「気」「血」「水」(詳しくは後述)が、過不足なく充分にめぐっていること、「五臓六腑」の働きが順調であること、「陰陽」のバランスがとれていることが重要な条件になります。これらの働きがうまく調和していることにより、頭は聡明で、艶のある肌を保ち、健康で抵抗力のある身体を維持していくことができるのです。

中医学では、人も自然の一部であるとする観点からみますと、季節の変化を受けて、体も変化していくことは自然なことなのです。そのため年間を通 して、体の状態が一定であるということは考えられず、生活環境や年齢の違いなどにより、バランスの取れた「良い状態」は、人それぞれで異なります。

 

 

◆中医学でとらえる体のしくみ◆

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。

さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

この「気・血・水」は、「五臓六腑」によって作られたあと、「経絡」という(エネルギーを通 る)ルートを通って、全身に運ばれその働きを発揮します。

老化では、これら気、血が減少し、そのため五臓六腑が養われず、症状の悪化は相互に影響しあいます。

その結果、体全体の減退症状がみられ、早期の老化が見られるのです。

 

 

◆中医学で考える老化をまねきやすい原因とは◆

1.先天的に体が虚弱である

生まれつき身体が虚弱なため、さまざまな疾病を患いやすく、また病後も身体が虚弱で病が長引いて回復できず、「気(エネルギー)」「血」が日増しに消耗し、次第に臓腑にも影響を与え、早期の老化が起こります。

 

2.過労、早婚多産による五臓の損傷

過労は、正気(パワー)を消耗しやすく、特に早婚多産の女性の場合は、人体の  精気(‘生命の根源である力’をいい、下腹部にあります。気功でいう臍下丹田)を消耗し、精神的にも外見的にも次第に衰弱して、早期の老化が起こります。

 

3. 飲食の不節制による脾胃の損傷

空腹と満腹の状態が不調和となり脾胃の働き(食べたものをエネルギーに変える)を損傷してしまった結果 、「気、血」を作り出すことができません。

そのため、体の内部では五臓六腑に、体表では肌や経絡(エネルギーが通 る道)に栄養がいきわたらず、次第に体がエネルギー不足になり、老化が早期に起こります。

 

4.大病後の不調や慢性病による正気の消耗

大病は、気や血を消耗します。とくに産後の不養生、慢性病が長引き、発症を繰り返している状態が長く続きますと他の臓器へも影響を及ぼし様々な症状を生み出します。これらは老化を早めてしまう原因の一つになります。

 

 

◆中医学で考える老化と最も関係の深い臓器◆

~「腎」~

「腎」は、生命力の源であり、生殖器・発育・成長と深く関わります。

腎のエネルギーは、「先天の源」とも言われ、両親から授かった精気(体の丈夫さ)であり、体全体のパワーを貯蔵してある大切な臓器になります。

エネルギーが少なく足りなかったりすると、先天的な虚弱症状がみられ、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。

病気の際にみられる症状としましては、腰や膝がだるくなり、足に力が入らなくなる、頻尿傾向になる(特に夜間尿)、耳鳴りや難聴、物忘れが多くなる、骨がもろくなりやすい、早く老いやすくなる、白髪が多くある、歯や髪が抜けやすくなるなどです。

「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

このように、腎のエネルギーが不足しますと、老化による症状が数多く見られます。

 

~「脾」~

脾は「後天の源」ともいわれ、食べたものをエネルギーに変える働きがあり、生まれてから死ぬ まで、活動源である「気」を生産し続けています。

ここの働きが低下してしまうと、エネルギーを作り出せないため、さまざまな疾患を引き起こしやすくなってしまいます。

 

以下に詳しく脾の働きを説明します。

 

①食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

<主な症状>

軟便または下痢、痰が多く出る、手足がむくむ、食欲がない、身体が重だるい

 

②エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

 

③血を脈外に漏らさないよう引き締める働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

▼中医学的診断・治療方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、脈診などを用いて診察していきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

 

◆中医学的老化症状のタイプと治療法◆

先に述べましたように、人体を構成する先天・後天の源である、脾と腎の働きを補い調和させることに重点をおいて、予防治療をしていきます。

 

●脾気虚タイプ●

食物からエネルギー(気)を生み出す源である「脾」の働きが失調することにより体を養う気や血が作りだせないため、体全体の機能減退症状がみられます。

 

○主な原因

生まれつき虚弱体質、飲食の不摂生、過労、あれこれ思い悩むことが多い。

 

○随伴症状

めまい、頭がくらくらする、食欲がない、食べても少ししか入らない、息切れ、便はやや軟便傾向または慢性の下痢、元気がでない、疲れやすい、話したがらない(パワー不足の為)、顔色が黄色っぽい

 

○治療方法

脾の働きを高めて、食べたものをエネルギーや血に変えていく「健脾益気」の治療をしていきます。

 

 

●肝腎不足タイプ●

肝は血を貯蔵し、腎は先天のエネルギーを貯蔵しています。これらはお互いに協力し必要なときに変換しあいます。この2つの臓器の働きが失調すると、体を養う「血」や「先天のエネルギー」不足を生じ、早くから老化症状がみられます。

 

○主な原因

生まれつき虚弱体質、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

 

○随伴症状

めまい、耳鳴り、腰が重だるく不快感があり脚に力が入らない、目が乾きやすい

 

○治療方法

肝・腎の働きを高め、滋養していく「滋養肝腎」の治療をしていきます。

 

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腎は体全体を温める力(気の働き)と臓腑や各器官に栄養を与え潤す力(血・水の働きに当てはまります)を備え調節しています。

この温める力が低下すると手足の冷え、むくみ、頻尿などの冷え症状が強くあらわれ、潤す力が低下するとのぼせ、発汗、めまい、人によっては骨密度の減少、高血圧、高コレステロールをまねくと考えられています。

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●腎気虚タイプ●

○主な原因

先天的に虚弱体質、早婚、出産過多、長期間の過労、性交過多による腎のエネルギーの損傷。

 

○随伴してみられる症状

腰や膝が重くだるい、めまい、耳鳴り、難聴、精力減退、尿失禁、疲労感、頻尿、夜間尿が日に2~3回ある、インポテンツ、物忘れをする

 

○治療法

腎のエネルギーを補い増やしていく「補腎益気」の治療をしていきます。

 

 

●腎陽虚タイプ●

「腎気虚のタイプ」に冷えの症状が加わり、症状の悪化を示しています。

先天的に腎のエネルギーが弱いか、冷たいものの過食などから体の陽気が損なわれ、体全体の冷え症状があらわれます。

 

○主な原因

生まれつき体質が虚弱体質、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

 

○随伴症状

寒がり、手足の冷え、腰や膝が重だるく痛い、下腹部が冷える、顔色が蒼白、尿が希薄で量 が多い、朝方(3~5時)下痢をする、むくみ、不妊、インポテンツ

 

○治療方法

体の大元である腎を温め、活動力を増す「温補腎陽」の治療をしていきます。

 

 

●腎陰虚タイプ●

体を養う「精や血」、体を潤す「水液」が不足した状態で、体の内外を潤すことができないために、ほてりや乾燥症状がみられます。

 

○主な原因

生まれつき体質が虚弱体質、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

 

○随伴症状

腰・膝が重だるく痛い、やせている、めまい、耳鳴り、難聴、不眠、手足がほてる、咽喉が乾く、寝汗をかく、歯がぐらぐらして抜けやすい、男性女性ともに不妊、早期閉経

 

○治療方法

体を養う血、潤す働きを高める「滋補腎陰」の治療をしていきます。

 

以上、主に臨床で見られる老化現象についてお話してきましたが、ここでは一部を述べさせていただきました。

このほかにもいくつかのタイプが見られますが、老化の臨床症状は複雑であり、すべてをここでご紹介することはできませんが、もっと詳しく自分自身の体の状態を把握されたい方は、当院へお気軽にご相談してください。

 

▼タイプ別にみる生活養生・食養生▼

自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます。

タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。

体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

 

●脾気虚タイプと腎気虚タイプ●

【生活習慣】

消化が良く、栄養バランスの取れた食べ物を心がけましょう。

消化が弱い気虚タイプの人は、消化・吸収をよくするためにもよく噛んでゆっくり食べましょう。

スタミナが切れやすいこのタイプの人は、穀物をしっかりとり、睡眠もしっかり取るように心がけて下さい。

頭や目の使いすぎは血を消耗させてしまうので、この時期は極力長時間パソコン作業や、夜遅くまでの勉強、仕事は避けましょう。

ダイエットによる食事制限も禁物です。

 

【食べ物】  ~エネルギーを益す食べ物を(適度に)摂りましょう~

○脾気虚タイプ・・(穀類)うるち米、粟米、小麦製品

         (豆類)大豆や大豆製品、牛乳

         (肉類)牛肉、鶏肉、烏骨鶏

         (野菜)山芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、人参

         (魚類)いか、貝柱

         (果物)なつめ、もも、さくらんぼ

         (お茶)杜仲茶、ほうじ茶、なつめ茶

 

○腎気虚タイプ・・上記の食べ物にプラス

          栗、くるみ、黒ごま、クコの実

 

 

~体を冷やす食べ物、辛い食べ物、油っこく味の濃い食べ物は胃を刺激し気を消耗させるので避けましょう~

 

・辛い食べ物・・青唐辛子、ねぎ、コショウなど

・冷やす食べ物・・すいか、バナナ、イチジク、なし、苦瓜、薄荷など

 

 

●肝腎不足タイプと腎陰虚タイプ●

【生活習慣】

体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。

睡眠はしっかりとり、血を消耗させやすいパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。

血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。

 

 

【食べ物】~体を冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう~  

     (乳製品)豆乳、牛乳

     (肉類) 豚の皮、鴨肉、豚肉

     (魚介類)いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分)

     (野菜) 山芋、白きくらげ、黒きくらげ

     (果物) なし、もも、ぶどう

     (木の実)クコの実、くるみ、黒ごま

     (お茶) 桑の実とクコの実のお茶

 

 

●腎陽虚タイプ●

【生活習慣】

冷えやすい下半身は下腹部や腰部にカイロをはって、しっかり温めましょう。

体を温める食べ物を摂るようにしましょう。

 

 

【食べ物】~体を温め、活動力を増す作用のある食べ物を摂りましょう~

     (穀類) もち米

     (肉類) 羊肉、鹿肉、牛肉

     (魚介類)えび、なまこ

     (野菜) にら、ねぎ、ししとう、かぼちゃ、しょうが、にんにく

     (木の実)栗、くるみ

     (香辛料)酒、シナモン、黒砂糖、ウイキョウ(フェンネル)

     (お茶) 杜仲茶、ジンジャーティー黒砂糖入り

 

※ 腎陽虚はからだを温める働きのある食材を、腎陰虚はからだに潤いを与える食材です。同じ「腎」でも作用させる働きが180度違いますので気をつけて摂取してください。

 

 

◆最後に◆

「老化=自然現象」ではありますが、その現れる年齢や症状は人それぞれで異なります。

また若い人でも白髪や脱毛、歯が抜けやすい、体力仕事ではないが腰痛になりやすいといった老化現象が見られます。これらの症状が現れやすい原因として、主に、

① 生まれつき虚弱体質(生命の根源のパワー不足)。

② 過労やストレス、多産などによる正気の消耗。

が挙げられます。ストレスやショックで白髪になってしまうといったケースはご存知の方もいらっしゃるかと思います。

 

ですので、日頃からできる老化予防としましては、「規則正しい生活をし、自分の体に合った適切なものを適量 食べ、適度に睡眠(休息)をとり、適度に運動をし、ポジティブ思考で、適度に笑うこと」が大切です。とても単純で当たり前のことなのですが、実践してみるとなるとなかなか続かないものです。

しかし上記の生活習慣は、美容によいことはもちろんのこと、健康な体を保持することができるのです。

普段忙しくしている方は、「こんなことは分かっているけど、忙しくてこんな理想的な生活なんてできない。」とお思いの方も多数いらっしゃるかと思いますが、そういう方は、食事の質や量 を見直してみたり、運動不足ぎみの方でイライラしやすくストレスのたまりやすい方は、少しでもいいですから運動を始めてみたり(ウォーキングなど身近なことから)、平日睡眠不足ぎみの方は、休日の前日は夜更かしせずに寝て、翌朝はいつも通 りまたは1~2時間後くらいの間に起きる(お昼に起きると体の疲労感を増してしまいます。平日とあまりギャップのない、規則ある生活を送りましょう)など、日常生活を少し見直してみるだけで、体の快調感が高まると思います。

老化予防には日頃からの養生が一番大切なのです。

 

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