コラム

2019-03-12
【その他】眠気について

嗜睡(嗜眠)とは?

 

昼夜問わず、眠りたがるものをいいます。

睡眠時間を十分とっているのにも関わらず、体がだるいのは何故?

気力が湧かないのは何故?

と考えた事がある方はたくさんいらっしゃると思います。

このような症状は西洋医学で、検査の数値には出てこないお体の悲鳴です。

西洋医学では解明されない体調を東洋医学(中医学)の視点から見ていくと原因が明らかになることが多々あります。

 

太陽の陽気が上がっているのに眠いのは何故でしょうか?

中医学は陰陽五行説という哲学的理論に基づいています。

世の中の事象は陰陽に分けられると考えます。

太陽の出ている昼間は「陽」太陽が沈んだ後の夜は「陰」

世の中は陰と陽という相対的な考え方によって成り立っています。

陽気が上がっていると、人間は活動的になります。

「陽」は「動」の働きを持っており、「陰」は「静」の働きをもっています。

したがって陰が盛んになってしまっている状態(気が活動性を満たしていない状態・気力のない状態)を、東洋医学では嗜睡と考えます。

 

この症状がある方は根本的に

胃腸機能の低下(中医学では「脾」の臓器が低下していると考えます)

がお体に体調不良を起こして四六時中眠いという症状をもたらしています。

 

胃腸機能の「機能」とは中医学では「気」の持っている作用のことです。

「気」は陰陽で言えば「陽」になります。

「陽」の性質を持つ「気」のエネルギーを損なうことにつながります。

根本的に「脾」の胃腸機能低下が原因となって体調不良を起こしている訳です。

それなので胃腸機能低下に伴う他の症状もおのずと出てきてしまいます。

 

嗜睡はタイプ別に分けるとおおまかに2つに分けられます。

 

中医学で言う

タイプ① 湿困脾陽によるもの

治法(治療方法)

健脾化湿…消化吸収系の機能を高め、体内の不必要な水分を取り除きます。

 

タイプ② 脾気虚によるもの

治法(治療方法)

温陽健脾…活動の基である「陽」を温め、消化吸収に関わる「脾」を活発にさせます。

益気化湿…滅入りがちな気持ちを引き立て、体内の余分な水分を取り除きます。

 

これから細かく体調の分析をしていきますので、ご自分がどちらのタイプに属するのか参考にしながら読んでみて下さい。

 

タイプ①

湿困脾陽によるもの

 

~ 身体が重だるい ~

人体には非常に多くの水分が含まれており、生理上重要な役割を果たしています。

人体に必要な水分を中医学では津液といいます。

必要な水分(津液)はいったん汚く濁ってしまうと、反対に生理代謝を阻害してしまいます。

そこで病邪として人体を襲う「湿」も濁って汚いというイメージでとらえられています。

このほか濡れた衣服が重いように、「湿」は「重い」という性質をもっています。

したがって「湿」が体表に侵入すると身体や四肢が重だるくなり、 関節に停留すると重く痛んで動作が障害され、分泌物や排泄物も濁って汚いものになります。

 

体質的に水太りになりやすい方や、湿気の多い梅雨の時期に湿邪が身体に侵入すると上記のような症状な症状が発生しやすくなります。

 

~ 胸悶感・食欲不振 ~

臓腑経絡中に「湿」が渋滞すると、気の活動は渋滞を起こし、気の運動形式を失調させたり、経絡の運行を障害します。

 

経絡とは臓腑で生成された気血が流れる通路で全身の栄養と機能調節を促進する作用があります。

 

食欲不振は、飲食物をエネルギーに変えて、全身に輸送する生理機能が減退し、胃の受納(飲食物を胃に送ること)に影響すると起こります。

 

~ 便が軟らかい(大便溏薄)~

一般に濁って汚い水は清らかな水に比較すると、どろっとして粘ついた感じがします。

そこで「湿」は津液(人体に必要な水分)とは違って、粘滞性が強いと考えられており、湿邪に犯されると、排泄物などがべとついたり、大小便の切れが悪くなかなかふき取れないなどの症状が現れます。

運化水液作用は運化水液作用が減退し、腸中に水湿が停留すると起こるわけです。

この運化水液作用は「脾」の作用の1つです。

飲食物から吸収されたエネルギーに含まれる余った水分はこの作用により「肺」と「腎」に送られ、「肺」と「腎」の気化作用により、汗や尿となって体外に排出されます。

この働きが正常であれば、余分な水分は体内に停滞することなく「湿」などの病理産物も生じません。

しかし、「脾」の運化水液作用の機能が失調すると、水分が体内に停滞し、便が軟らかくなったり、むくみなどの症状が出現します。

 

このタイプの方は湿邪(水分)が「動」の働きをもつ「陽」の作用を邪魔してしまうため、全身にエネルギーが回らなくなり、「四六時中眠い」という状態になると考えます。

 

「湿」は「陰」の作用を持ち、気の活動を阻滞し、陽気を損傷してしまうからなのです。

 

中医学(漢方)では「湿気」「水分」は胃腸機能を低下させますので、昔から湿気の多い日本で長生きするためには、いかに胃腸に負担をかけないかというのが最重要課題でした。

タイプ①の方に積極的に摂取して頂きたい食品です。参考になさって下さい。

 

☆ はとむぎ ☆

効用

健胃  →胃の機能を高めます。

健脾化湿→脾臓の働き(消化機能)を高め、体内の余分な水分を排出させます。

 

☆ インゲン豆 ☆

効用

健脾化湿→脾臓の働き(消化機能)を高め、余分な湿気を取り除く効果 があります。

 

 

タイプ②

脾気虚によるもの

 

~ 倦怠感 ~

生命活動の原動力となる「元気(原気とも言う)」不足が原因で臓器組織の活動を促進したり、経絡の流れを促進させる作用が無力となり、「気」そのものの活動性や運動性が低下してしまっている状態です。

 

~ 食後の嗜睡 ~

「脾」は後天の本と言って飲食物から生命活動のエネルギー源である気・血・水を作り出すおおもとの臓器になります。

この「脾」の臓器はエネルギー源を吸収して全身に輸送する働きがあります。これを運化作用と言います。

食べたものをうまく消化できない為、良いエネルギーを運搬する働きが弱ってしまっている状態です。

運化無力になると、食後に食したものが阻止され流れの滞りが起きている状態がこのような症状として出てきてしまうのです。

栄養のあるエネルギーは全身に散布する必要があります。

飲食物から得た「脾」にある良いエネルギーを上に持ち上げて(これを昇清作用といいます)上から下にある臓器へ運ぶことが大事になります。

上記のような働き(運化作用や昇清作用)が弱くなってしまうと、精神疲労感などの気の機能の減退した症状が出てきてしまうのです。

 

~ 話すことがおっくうになる・息切れなど ~

呼吸活動や発声などを促進させる作用のある気(推動作用といいます)が消耗してしまっている状態です。

 

~ 寒がり・四肢の冷え ~

筋肉を温めるのは、脾の「陽」の気により行われています。

中医学では人体に対して推動作用、温める作用を持つ気を「陽」と称しており、また人体に対して栄養・滋潤作用をもつ気を「陰」と称しています。

脾の運化不足・陽気不足が四肢や全身におよび、温かくできないと発生します。

 

胃腸機能が正常に働かないと・・・

単にゲップが出るとか胸やけや腹部膨満感などの不快感があるというだけでなく、体にとって必要とする栄養物が吸収されないばかりか、むくみや下痢といった不要な水分が体内に停滞し、更には気力の低下から免疫力の低下にもつながります(中医学では胃腸の機能は「脾」の働きになります)。

 

 

そこで、タイプ①の方にもタイプ②の方にも積極的に摂取して頂きたい食品をご紹介致します。

肉類

脂身の少ない鶏のささ身・牛肉の赤身など

魚類

いしもち・すずき

きのこ類

気を効果的に補う舞茸・椎茸

豆類

豆腐・納豆など大豆製品・そら豆・小豆・枝豆・グリーンピースなど

主食

元気を補い、基礎代謝を高めてくれる主食をしっかり摂取することが大切で、あわ・ひえ・きび・はとむぎなどの穀物を混ぜて炊くとより元気をつけます。

お茶

元気不足が進むと体が冷えやすくなり、また冷えると代謝が悪くなります。

また冷えると代謝が悪くなるので、基本的に冷たいものは控えましょう。

身体のアンバランスこそが、免疫力を低下させることにつながり、色々な病気の誘発原因となりえます。

上記の補養食物を参考にされ、日々のお食事に取り入れられたら如何でしょうか?

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。たとえば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中国鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず、全体的なお手当てを行っているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。例えば、顔面 麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行っている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがよくありました。

特に下記の疾患は早めに受診されると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

当院は予約制となります

  • まずはお電話でご相談ください。

  • 0088-221818

診療時間

9:00~
12:00
13:00まで
14:00~
16:30

※ 火曜日・水曜日・木曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。

アクセス

〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目17-10

院内の様子