コラム

2019-03-11
【内科疾患】貧血1~西洋医学編~

貧血は、いまやとてもポピュラーな病気です。

世間では、安易に貧血には鉄剤が良いと謳われ、コンビニでも鉄剤のサプリメントが売られていますね。

しかし、素人判断で済ませてしまってはいけません。自覚症状は感じ方に個人差がありますし、どのような 原因から貧血症状がでているのか分からないからです。安易に鉄剤を飲んでも、それをきちんと吸収し 血にかえていく力がなければ、無駄になってしまいますし、重大な病気が隠れていることもあるのです。

根本的な原因をきちんと把握し、それに合った対応をしていきましょう。

 

《西洋医学的考え方》

貧血の症状は、めまい・立ちくらみ・疲れやすい・眼瞼や爪床の蒼白・頭痛などです。

 

これらの症状は、酸素供給の役割を担っている血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、そのために 体内の細胞が酸素欠乏状態になることで起こります。その原因となる疾患は沢山の種類があります。

 

○貧血の血液検査

貧血の診断のための血液検査では、主に以下の項目を調べます。

・赤血球の数: 酸素を運ぶ主役の赤血球。

 

正常値は、1mml中に、成人男性で450万〜530万個、女性400万〜480万個。

 

検査値が男性450万以下、 女性400万以下だと貧血と診断されます。

・ヘモグロビン

 

正常値は、1dl中、男性14〜18g、女性12〜16g。

 

貧血は男性12g以下、女性10g以下。

・ヘマトクリット値

 

一定量の血液中に存在する赤血球の容積の割合を示した数字。

 

正常値は、男性で40〜50%、女性で35〜45%。

 

貧血は男性35%以下、女性30%以下。

・血清鉄

 

血清中にある鉄分で、肝臓や脾臓で貯蔵された鉄を骨髄に運んでいる状態のもの。

 

正常値は血清100mlあたり 80〜12μ g。

 

鉄欠乏性貧血ではこの値が減少しています。

・フェリチン

 

血清中にあるフェリチンは鉄と結合することのできるタンパクで、貯蔵鉄の減少があるかどうかがわかります。

 

○貧血の原因となる疾患について

☆鉄欠乏性貧血

 

貧血全体の約7割で最も頻度の高い貧血ですが、治りやすい貧血でもあります。

 

鉄欠乏性貧血の原因としては以下の事が考えられます。

 

1・

食生活での鉄不足

 

成人男性や閉経後の女性が1日に必要とする鉄の量 は1mgです。

ただし食事から鉄分を摂っても消化管からの鉄吸収率が約10%なので、食事から10mgの鉄を摂らなければなりません。

さらに成長期(14〜16歳)の男性や、生理のある女性は12mg、妊婦さんは18mgくらいの鉄が必要となります。

 

飽食の時代と言われる現代の日本では、普通に食事をとっていれば鉄分量 は足りるはずなのですが、一人暮らし等で食事が偏っていたり、また一般 の家庭でも好きなものしか食べさせなかったり、インスタント食品に頼りすぎていたり、また若い女性では無理なダイエットをしていたりと、意外にも食生活の不摂生から貧血になる方が多いようです。

また生理による出血や妊娠中はどうしても不足がちになります。

 

このような場合には、なるべくサプリメントに頼らずに食事で改善していきましょう。

お勧めの食品については、後半にあげてありますので、ご参考にしてください。

それと同時に胃腸の調子を整える事も大切です。

 

2・

鉄がうまく吸収できない

 

食事に含まれる鉄分は消化され主に十二指腸から吸収されます。健康な人の鉄吸収率は10%程ですが、 消化器の病気などで鉄の吸収がうまく行われない場合があります。

また胃を切除すると鉄分の吸収に必要な内因子が欠如するため吸収率が悪くなります。

 

3・

慢性的な出血

 

慢性的な出血とは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸がんなどの消化管の疾患や子宮筋腫などにより継続的に少しずつ出血していることをいいます。

少しずつの出血であるため顕著な痛みもなく、気づかないうちにに血液を失っているわけです。

生理も毎月の出血であるので、この慢性的な出血に当てはまります。

生理では月当たり平均40mLの出血があり、鉄として20mgの損失になります。

 

生理のない成人男性や閉経後の女性が鉄欠乏性貧血になった場合は、何らかの病気によって出血が起こっている可能性が高く、病院で検査を受けてみる事をお勧めします。

 

☆ 妊娠による貧血

妊娠をすると母体だけでなく胎児にも栄養と酸素を与え続けなければならず、それだけ多くの血液が 必要となります。しかし妊娠すると「つわり」で食欲がなくなるなど、鉄不足に陥りやすくなります。

また妊娠中期以降は、胎児の急速な発育に伴って鉄の需要が増えますから、より注意が必要です。

妊娠中の貧血は、母体にも胎児にも悪い影響を及ぼします。

最近は妊娠検診が実施されるようになり、貧血が発見されやすく早期にに治療を行うことができるため、 重篤な問題は減少しています。

 

☆専門医の診察が必要なもの

以下に上げる疾患は専門医での詳しい検査や治療を必要とします。

・再性不良性貧血

・溶血性貧血

・悪性貧血

・ビタミンB12・葉酸欠乏症

・白血病

 

いずれの疾患も病気が進行してくると、単なる貧血症状以外に心配な自覚症状が現れてきますが、初期にはあまり自覚がないようです。

初期治療は有効ですから、安易な自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

 

☆慢性の病気によるもの

以下に上げるような慢性疾患でも貧血症状は起こります。

まずは原因疾患の治療がされますが、いずれも長期に渡る治療が必要となります。

・肝臓病

・腎臓病

・慢性関節リウマチ

・膠原病

・悪性腫瘍(癌)

 

☆脳貧血について

脳貧血とは小学校の朝礼などで長時間立ち続けていると気分が悪くなって倒れたりする症状を いいますが、これは本当の貧血とは違います。貧血は赤血球数やヘモグロビンが減少しますが、 脳貧血の場合は血液を調べても正常で問題はありません。

気分が悪くなって倒れてしまうのは、立ち続けていると重力によって血液が足のほうへ下がってしまい、 脳に血液があまりいかなくなったためです。つまり脳貧血とは、血液そのものの問題ではなく、 脳への血液循環がうまくいかずに脳が酸素不足を起こしてしまった状態です。

 

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