コラム

2019-03-11
【内科疾患】発熱3~中医学臨床編1

☆【外感発熱】と【内傷発熱】

中医学で発熱を考える場合は、先ず、病因の違いによって、大きく【外感発熱】と【内傷発熱】に分類します。

 

 

【外感発熱】

「邪正闘争」時に生まれる熱です。

体は「外邪」を受感すると、正気が外邪を追い出そうとします。当然、外邪は追い出されまいとし、正気と外邪の戦いが生じます。このことを「邪正闘争」といい、「邪正闘争」が起こると、熱が発生してしまいます。この熱が「外感発熱」です。

特徴は、発熱は高熱・急に発症する・経過が短い・発展が早い・初期には悪寒がある・などがあります。

西洋医学でいう、感染による高熱・熱射病・マラリアなどの発熱がこれにあたります。

外感発熱は人体を襲った外邪の種類によって「風寒による発熱」「風温による発熱」「湿熱による発熱」「寒湿による発熱」「暑湿による発熱」の大きく5つに分けられます。

 

 

【内傷発熱】

飲食不節・過度な労倦・情志の失調・などにより、臓腑機能の失調がおこり、気血の流れが乱れたり、陰陽のバランスの崩れることにより起こる発熱です。

特徴は、比較的発熱は低熱・緩慢に発症する・経過が長い・発展が緩慢・悪寒はない・臓腑の症状を伴う・などがあげられます。

西洋医学でいう、機能性の微熱・癌・血液病・結核・内分泌疾患などによる発熱がこれにあたります。

内傷発熱は病因の種類により「陰虚による発熱」「気虚による発熱」「血虚による発熱」「肝鬱による発熱」「オ血による発熱」の大きく5つに分けられます。

 

では次に、「外感発熱」と「内傷発熱」のそれぞれについて、分類・病因・病機・症状・治療と順を追って説明してゆきます。(今後使われる専門用語等については、今まで説明してあるもののみを使用しますので、もし分からない言葉がありましたら、もう一度★中医学の基礎概念★を参照してください。)

 

 

【外感発熱】

1.「風寒による発熱」

《病因・病気》

体が風寒の邪に襲われると、体温調整をしている衛気が損傷され、体温調節が出来なくなる「衛気の閉塞*」や、衛気と営気のバランスが崩れ、陰陽失調の一つである「営衛不和**」がおこり発熱が発症します。又、「寒邪***」が体内に入ってくると「邪正闘争による発熱****」や寒邪そのものが熱化して発熱が発症します。

(衛気の閉塞*は「気の種類」を、営衛不和**は「気の種類」と「陰陽」を、寒邪***は病因の外因を、「邪正闘争」による発熱****は外感発熱の説明を、それぞれ参照してください。)

《症状》

〈主症状〉

悪寒・・・

 

寒邪は陰邪に含まれ、特徴は陽気を傷害しました。陽気に含まれる衛気は寒邪に障害を受けてしまいます。衛気は体を温める作用である「温煦作用*」が強い気ですから、衛気が障害されることにより温煦作用が低下して悪寒が発症します。

(温煦作用*については、気の作用を参照してください。)

無汗・・・

 

「寒邪の収引性*」により、毛竅を閉塞し起こります。

(寒邪の収引性については、外因の寒邪を参照してください。)

頭痛・身体痛・・・

 

風寒の邪が「経脈*」を阻滞し、体に栄養が行渡らなくなり起こります。

(経脈:経絡を参照してください。)

 

〈随伴症状〉

鼻閉・鼻声・くしゃみ・鼻汁・喉の瘙痒感・咳嗽

 

肺の生理作用で説明しましたが、肺は体表で外邪の侵入を防いでおりました。しかし、外邪を受感することにより、肺の働きの機能低下がおこります。その結果 上記の症状が現れます。

(肺の機能については、「肺」の生理を参照してください。)

《治療》

治療は「解表散寒」「宣肺退熱」といい、体表にある風寒の邪を追い出し、肺の機能を元に戻し、熱を取り去るという治療を行います。

ツボ:尺沢・大椎・外関・風池・など

漢方:通宣理肺片・小青竜湯・など

 

 

2.「湿熱による発熱」

《病因・病気》

体内に湿熱又は湿邪が侵入して熱化し、それが「三焦*」で留まることにより発熱します。

「飲食不節**」や、「過度の思い悩み***」は脾を損傷し、脾の運化作用の低下が起こり湿が産まれます。

(三焦*:内蔵の三焦を参照してください。)

(飲食不節**・過度の思い悩み***:病因を参照してください。)

 

《誘発原因》

飲食の不節が続くと増悪します。

《症状》

〈主症状〉

発熱・頭昏・・・

 

湿熱又は湿邪が侵入して熱化し、それが三焦で留まることにより気の流れを阻滞してしまい、気が上に昇ってゆけなくなりおこります。

咳嗽・ 白く粘った痰・・・

 

湿は脾を損傷させ、消化吸収作用である、「運化作用*」を失調させます。その結果 痰が生じます。

(運化作用:脾の生理を参照してください。)

口が苦い・・・

 

湿熱が、腹部(中焦)阻滞することにより、胆が影響を受け胆汁の分泌が乱れて起こります。

(胆:胆の生理を参照してください。)

 

〈随伴症状〉

胸脇脹満・・・

 

上記の理由で胆が失調することにより、胆と関係のある経絡の流れが滞ってしまい、その「経絡」の走行部位 である胸脇が脹った感じがします。

(経絡:経絡を参照してください。)

食欲不振・・・

 

湿により脾が損傷され、消化吸収作用である「運化作用低下」により起こります。

(運化作用:脾の生理を参照してください。)

倦怠・力が入らない四肢のだるさ・・・

 

脾の生理で説明しましたが、脾は四肢を主っておりますので、脾が湿熱に損傷されて起こります。

小便が赤っぽく短い・便秘か下痢・・・

 

湿熱が下腹(下焦)阻滞すると、小便が赤っぽく短くなり、湿熱の熱邪が強いと腸液を損傷してしまい便秘となり、湿邪が強いと下痢になります。

軟便・・・

 

湿邪が腸に入り大便に影響をおよぼして起こります。

普段から痰が多い・・・

 

内生した痰が口まで昇ってきている状態です。

胸苦しい・・・

 

内生した痰が胸中に停滞している状態です。

胃部のつかえ・悪心・嘔吐・・・

 

内生した痰が胃部に停滞している状態です。

《治療》

治療は「清熱利湿」「健脾助運」といい、熱を下げ、湿を体外に出すことと、脾を整えて運化作用を復活させることにより湿の発生を防ぎます。

ツボ:豊降・足三里・陰陵泉・三陰交・曲池・合谷・など

漢方:甘露消毒丹・五苓散・桂尺芍知母湯・半夏白朮天麻湯・平胃散・など

 

 

3.「風温による発熱」

《病因・病機》

風温の邪が体表から体内に侵入し、衛気が損傷されて発熱が起こります。又、体内に入った熱がこもって発熱します。

《症状》

〈主症状〉

ノドの乾きはあるが、それほど水分は欲しない・・・

 

これは虚熱の症状です。虚熱とは体を冷却する作用が低下しておこる熱のことです。この場合は風温の邪が体内に入って来たことにより起こります。風温の邪は陽邪であるので、陰を損傷しやすいという特性があります。そのため陰の物質が損傷され、冷却作用が低下してしまうのです。

発熱は重く悪寒は軽い・・・

 

風温の邪は体内で化火しやすいため重い発熱になります。

少量の発汗・・・

 

「風邪」も「熱邪」も共に上昇しやすい特性がありますので、上に昇り肺を侵します。肺は汗の排泄の管理をしていますので、肺が失調することにより起こります。

(風邪・熱邪:病因の中の外因を、肺の機能については肺の生理を参照してください。)

顔や目が赤い・・・

 

熱は上昇する特性があります。体内の熱が上部である顔に昇ってきて起こります。

 

〈随伴症状〉

頭痛・頭の張った感じ・・・

 

体内の熱が上部である頭に昇ってきて起こります。

咳嗽・黄色い痰・・・

 

熱が上昇してきて肺が侵された症状です。肺の生理で説明しましたが、肺は水液代謝に関与していました。肺が損傷されることで水液の代謝能力が低下し、不要な水分が蓄積されてしまい、痰となって体外へ排出されるのです。ですから肺は「貯痰の器」と言われております。又、黄色の痰は熱を意味します。因みに白くてサラサラの痰は冷えを意味します。

鼻づまり・粘り気のある鼻水・・・

 

肺は鼻と深い関係がありますので、これもやはり肺の損傷による症状です。又、粘り気のある鼻水は熱を表します。痰と同様にサラサラした鼻水は冷えを表します。

 

《治療》

治療は「疏風解表」「宣肺去痰」といい、体表の風邪を追い払い、肺の機能を向上させて痰 を追い出す治療を行います。

ツボ:豊降・尺沢・曲池・合谷・大椎・風池・など

漢方:銀翹解毒片・桑菊感冒片・超婢湯・など

 

4.「寒湿による発熱」

《病因・病機》

寒湿や湿邪が体に侵入することにより、陽気が外に発散出来なくなります。この状態を「陽気閉鬱」と言い、長引くと発熱を起こします。

《症状》

〈主症状〉

悪寒・発熱・・・

 

寒湿により陽気が損傷されて起こります。

頭が重い・鼻づまり・・・

 

寒湿の停滞によっておこります。

下痢・・・

 

寒湿が脾を損傷して、消化吸収作用である運化作用が低下しておこります。

 

〈随伴症状〉

胃脘部のつかえ・・・

 

寒湿が脾を損傷しておこります。

腹痛・・・

 

寒湿により胃腸の働きが低下して起こります。

《治療》

治療は「散寒化湿」「解表退熱」といい、寒と湿を取り去り、熱を下げる治療を行います。

ツボ:風池・外関・中カン・足三里・など

漢方:薏苡仁湯・羌活勝湿湯・小青竜湯・など

 

 

5.「暑湿による発熱」

《病因・病気》

暑湿に体が侵され、湿邪が体内にこもり、暑邪が体表をいぶし蒸すことによる発熱です。

《症状》

〈主症状〉

体が熱い・患者には熱感はあるが肌はそれほど熱くない・・・

 

暑邪が強いと前者で、湿が強いと後者の症状がでます。

頭が張る・意識障害・・・

 

暑湿が気血の流れを妨げ、気血が頭に巡らないために起こります。

胸が熱い・喉の渇き・小便が赤っぽく短い・・・

 

暑邪は体内の中の正常な水分を損耗させます。その結果 身体を冷却することが出来なくなり、このような症状が起こります。

胸部が不快・咳嗽・・・

 

肺が暑熱に侵されて起こります。

《治療》

治療は「疏風散邪」「清暑化湿」といい、暑邪をしずめ湿邪を追い出す治療を行います。

ツボ:風池・曲池・大椎・合谷・など

漢方:桂苓甘露飲・清暑益気湯・新加香需飲・清絡飲・など

 

以上が「外感発熱」についての説明となります。次に「内傷発熱」について説明をいたします。

 

 

【内傷発熱】

1.「陰虚による発熱」

《病因・病機》

陰陽の所で説明しましたが、陰陽を寒熱で分類すると、陰は寒性で陽は熱性に分類されました。陰は寒性ですから、体を冷やす作用があります。これは、体が熱くなり過ぎないように抑制しているわけです。ですから、陰の作用低下は発熱につながってしまいます。この状態が陰虚による発熱です。もともと陰虚体質の方もいますが、長期にわたる下痢や湿熱による病などは陰液を損傷させやすく、その結果 、陰虚となり陽気が亢進し、発熱が起こります。

 

《誘発原因》

疲労や性交渉などがあった日の夜に増悪します。

《症状》

〈主症状〉

午後や夜間に発熱がある・手のひらや足の裏が火照る・・・

 

陰虚の特徴的な症状です。(陰陽は夜半近くで相交します。その際に陰が少ないと相対的に陽が抑えきれずに発熱します。)

胸がほてる・・・

 

陰虚による熱が心を侵した結果 です。

寝汗・・・

 

夜半は体表では汗が出やすい状態にあります。更に体内の熱が津液を追い出す形になり上記の症状がでます。

 

〈随伴症状〉

夢が多い・不眠・・・

 

陰虚による熱に心が侵され、心神に影響がでた症状です。「心」は精神活動の統括をしておりました。心が損傷されると、精神不安定になり上記の症状がでます。

(心の作用については心の生理を参照してください。)

ノドの乾き・・・

 

水液の不足によりノドが潤せないために起こります。

月経不順・・・

 

陰虚により生じた熱が血におよんだ症状です。

便秘で大便が乾燥している・小便は黄色く少量 ・・・

 

熱が水液を損耗させて起こります。

温まると症状増悪・・・

 

温まると虚火が増長するために起こります。

《治療》

治療は「滋陰清熱」といい陰液を滋養して陽を抑制し熱を下げる治療を行います。

ツボ:復溜・腎兪・太谿・三陰交・心兪・神門・内関・など

漢方:知柏地黄丸・加減葳蕤湯・秦艽鼈甲湯・天王補心丹・など

 

 

2.「気虚による発熱」

《病因・病機》

気の不足によって起こります。病機については色々ありますが、主に脾の機能低下に起因するものが多いようです。過労や飲食の不節は脾を損傷し、脾の運化作用の低下が起こります。これにより飲食物の消化吸収能力が低下し、気が作られなくなり気虚となります。

その結果、水液も作られなくなり陽を抑制できず発熱が起きたり、脾の持ち上げる働きである昇提作用の低下により「脾気下陥*」が起こり、陽の気が鬱滞し発熱が起きたりします。

(脾気下陥*:脾臓の生理を参照してください。)

 

《誘発原因》

疲労後に増悪します。

《症状》

〈主症状〉

発熱は疲労後に増悪します。・・・

 

気虚はエネルギーの不足している状態です。もともとエネルギー不足の状態で疲労をすれば、当然エネルギー減少は過多となり症状が現れたり悪化したりします。

 

〈随伴症状〉

めまい・無力感・・・

 

「元気*の不足」により、物を運ぶ働きである「推動作用**の低下」が起こり、体の隅々に気血などが循環できなくなり起こります。

(元気*は気の種類を、推動作用**は気の作用を参照してください。)

息切れ・喋るのがおっくう・・・

 

気虚により、呼吸運動の働きのある「宗気不足*」が起こり呼吸・発声を推進できずに起こります。

(宗気:気の分類を参照してください。)

感冒・多汗・・・

 

気虚により、体温調整をしている「衛気*の不足」で起こります。

(衛気*:気の分類を参照してください。)

食欲不振・軟便 ・・・

 

脾の消化吸収の働きである「運化作用*」の低下により起こります。

(脾の運化作用*:脾の生理を参照してください。)

《治療》

治療は「調中益気」と言い、中気を整えて気を益す治療を行います。

ツボ:脾兪・胃兪・足三里・中脘・百会・など

漢方:補中益気湯・など

 

 

3.「血虚による発熱」

《病因・病機》

血は陰陽では陰に分類されました、「陰虚による発熱」でも説明したので皆さんも記憶に新しいと思いますが、陰は冷却作用がありました。血の不足は陰の不足と同様に陽気の亢進に繋がり発熱を招きます。血虚は長期間の病気による臓腑の損傷(特に心肝血虚や脾の生血不足)や大量 の出血・出産や手術での過度の出血などによって起こります。

《症状》

〈主症状〉

決まった時間に発熱する・寝汗・手足が熱い・・・

 

血の不足により、陽気を抑えきれずに発熱がおこります。

 

〈随伴症状〉

顔が赤い・・・

 

陽気が顔面 部まで昇ってきている状態です。

動悸・不眠・夢が多い・・・

 

心と特に関係の深い血の不足である「心血虚*」の症状です。

(心血虚*:心の生理を参照してください。)

顔色にツヤが無い・唇が紫色・・・

 

血の不足により顔を滋養出来ない状態です。

月経が遅れる・無月経 ・・・

 

血の不足のために起こります。

皮膚の乾燥・・・

 

血の不足により表皮を潤せない状況です。

便秘・・・

 

血の不足により腸を潤せない状況です。

《治療》

治療は「益気養血」といって血を増やし、脾気も補し生血作用も高める治療を行います。

ツボ:心兪・脾兪・足三里・三陰交・血海・地機・など

漢方:生血丸・加味帰脾湯・酸棗仁湯・など

 

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