コラム

2019-03-11
【その他】中医学で考える、ストレスが起因で起こる症状と病気

今、世の中ではストレスが蔓延しており、ストレスによる症状で心療内科を受診される方が非常に増えてきております。

それは何故でしょう?

私が考えるには、多くの方々が体の許容量を超え仕事をしなければならない状況下に置かれている事と、体へのお手当てが足りないために増えてきているのだと思います。

 

また、人間は機械と違い感情を持っています。とてもデリケートな生き物なのです。忙しい世の中だからこそ、自分自身の空白の時間、余暇の時間を持たなくてはいけません。それらが足りないが為に、体も心もオーバヒートを起こしてしまい、体に不具合が出てきてしまうのでしょう。

 

では、理論上「ストレス」を中医学(東洋医学)ではどの様に捉え認識しているのでしょうか?

 中医学(東洋医学)では、各臓器には?各々が精神作用を担っている?と考えられております。

「各臓器」とは、肝・心・脾・肺・腎を指します。

 

・「肝」の気が正常な働きを保っていれば

  常識・礼節をわきまえ、物事をきちんと判断し処理します。

 

・「肝」の気がスムーズでない場合は

  憂うつになりやすい、意欲がわかない、決断力が欠けます。

 

 

・「心」の気が正常な働きを保っていれば

  個性豊かな安定した情緒を保ちます。

 

・「心」の気がスムーズでない場合は

  臆病になりやすく、勇気がなく不安感が出やすくなります。

 

 

・「脾」の気が正常な働きを保っていれば

  包容力が有り、皆さんの意見を公平にまとめます。

 

・「脾」の気がスムーズでない場合は

  くよくよ思い悩み、主体性が無く、気迷う事が多くなります。

 

 

・「肺」の気が正常な働きを保っていれば

  五感がさえます(視る、聴く、痛痒など)

 

・「肺」の気がスムーズでない場合は

  表情が無くなり、注意力が散漫、やる気が出ません。

 

 

・「腎」の気が正常な働きを保っていれば

  志を強く持ち、根気が強く丁寧に物事を処理します。

 

・「腎」の気がスムーズでない場合は

  忍耐力が無くなり、根気も無くなり、面倒くさがります。

 

 

これらの臓器の中で、ストレスを受けると働きに特に影響が出やすくなるのが「肝」です。

 

中医学(東洋医学)では、各臓器の気・血が何時も万遍無くスムーズに流れ、気・血が体に満たされている状態が、人間の体を正常な働きに導き且つ健康な状態を保つのだと考えられています。

 

ですが、外気(天候)・精神状態(気持ち・感情)・食生活・房事・労働などの環境が自分の体の許容量 を超えて、必要以上に極端な変化や負荷が掛かってしまった時、生命活動・体を元気に保ち維持するエネルギー、気・血に影響が及び、その流れが損われてしまいます。そのため、体内での機能バランスが崩れ、症状や病気を引き起こすのだと考えられています。

 

この様な気・血の流れの失調により発症する症状・病気などは、残念ながら幾ら検査を行っても数値に出てきません。

しかし、中医学(東洋医学)的な発想で、問診・脈の打ち具合、舌の色合いなどを診ることで、体のどの部分で機能バランスの失調が起きているのかを知ることができます。

 

西洋医学と中医学(東洋医学)では、病気を診る角度が違うので、おのずと治すプロセスも違ってくるのです。

 

それでは、ストレスを中医学(東洋医学)的に考えた時、どの様に捉えるのでしょうか?

 中医学的な考えでは、人間がストレスを感じた時、「肝」の気の流れや働きに異常が出てくると考えます。

 

「肝」の気と言うのは、伸び伸び流れる事で正常な働きを保っています。しかし、いやな事・イライラする事・怒られる様な事などがあると、肝の臓器に影響が及び、肝の気の流れに問題が生じ、気の流れの渋滞を引き起こします。これを肝気鬱結(かんきうっけつ)といいます。この状況が長引くと、気のエネルギーがどんどん溜まって来て、熱を帯びるようになります。熱と言うものは炎上(上昇)の性質を持っています。そのためイライラやのぼせ・めまいなどが生じるようになり、益々症状が悪化するのです。

 

ですから、このような場合は肝の気の流れを元に戻し、スムーズに流れるように促す治療を行なってあげなければ症状は改善されません。

 

 

 

?肝の気の流れが失調した場合、基本的に下記の症状がおこります?

 ●軽い場合:

 

イライラする、怒り易くなる、落ち着かない、胸脇・乳房の脹痛、下腹部の脹痛。

 

 →さらに状態が進行すると:

 

赤ら顔、のぼせ、目の充血、頭頂痛、片頭痛

 

 →もっと進行すると:

 

めまい、ふるえ、ひきつけ、などの症状が出てきます。

 

また、ストレスが起因により肝に負荷が掛かる事で、様々な病気を引き起こします。

 ●軽いものであれば:

 

肩凝り、緊張性頭痛、軽い不眠、腰痛

 

 →多少重くなってくると:

 

過敏性大腸炎、自律神経失調症、書痙、対人恐怖症、突発性難聴、円形脱毛症、不妊症(器質的な問題のないタイプ)、インポテンツ、アトピー性皮膚炎の悪化

 

 →さらに重くなると:

 

パニック障害、適応障害、うつ病、重い不眠症

 

ストレスによる病気は、挙げたらまだまだございますが、上記の病気は一般 的によく目にする症状・病気かと思います。

 

上記の病気で、精神安定剤、抗うつ剤の服用で症状の改善や治っていくケースも多々有ります。しかし、逆に長引いて強い効能のある薬の投与を受ける方もいらっしゃいます。

 

それはどうしてでしょう?

 

中医学(東洋医学)的な発想では、肝の気の流れを改善していない為に、他の臓器の気の流れにも影響が及び症状が進行していくとのだと考えます。

また、自然治癒力(体の回復力)の低下だとも考えられます。自然治癒力の低下は年齢が増せば増すほど起こりやすくなります。体力の低下もその一つです。体力の低下と共に人間の体を整える自然治癒力と言うのは低下して行きます。その為、年齢が増すのにつれて、症状や病気も進行しやすくなるのです。

 

また、自然治癒力は、普段の生活での体への気配りが足りなくても低下しやすくなります。

 

体に負荷をかける生活が多くなりますと:睡眠不足、過労、食生活の乱れなどが起こってきます。

 

そのため、中医学(東洋医学)の治療では、肝の気の流れを調整すると共に、生活指導を行い、自然治癒力の底上げも同時に行い、症状の改善を図っています。

 

 

 何かの病気が発症する前に、体は声を発しています。

日頃、ストレスを感じている方はなるべく体の発している声に耳を傾けて、早めにお手当てをなさってください。

 例:

突発性難聴になる前、頻繁に耳鳴り(ジーやキーンという音)、肩の凝り、耳の周りの脹り、突っ張る様な症状が出ます。この様な症状は、体が注意信号を出している状態です。中医学(東洋医学)ではこれらの症状を?未病?と言っております。未病とはまだ病気にはなっていないが、病気の現れる前兆である事を指します。

ストレスに関して、中医学(東洋医学)的な考えを多少なりともご理解して頂けましたでしょうか?

 

ちなみに、ストレスを溜めやすいタイプは・・・

 

 ・内向的でおとなしい方

 

 ・真面目で几帳面な方

 

 ・取り越し苦労の多い方

 

 ・自分に否定的な方

 

 ・頑固で厳格な方

 

上記のようなタイプの方は、ストレスを溜め込まないように、リラックスとリフレッシュを心掛けて下さいませ。

大事なのは、オープン(発散)・リラックス(ときほぐす)・リズム(イキイキとした生活)です。

 

 普段の生活でストレスを感じている方、何か気になる症状が出ている方、中医学的な考えに関して詳しく知りたい方は、お気軽に当院へご相談くださいませ。

未病の状態は、中医学(東洋医学)が得意とする分野でございます。

 

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