コラム

2019-02-20
便秘

排泄物が長時間腸内にとどまり、水分が吸収されて、排便に困難を伴う状態をいいます。健康な人は普通 1日1回の便通があるが中には2~3日に1回の人もあり、それでも充分に満足でき、また不規則な排便であっても苦痛を感じない場合は便秘とはいいません。毎日便通 があって苦痛や残便感など不快感を伴う場合便秘とみなします。

 

原因として

1.

小食および水分不足

食べ物が便のもとです。小食が便秘を起こします。最近はダイエット志向で小食の方が増えていますので便秘になりやすいです。また十分な水分をとらないと便が硬くなり便秘となります。

 

2.

食べ物の繊維不足

食物繊維は腸で消化されず、便として排出されます。繊維は便通 を整えると共に腸を刺激しスムーズな排便を促します。   

また、繊維は腸内細菌の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。

 

3.

がまん癖

便意が起きてもすぐにトイレに行けない状態で我慢し続けると便意が消えてしますので便秘習慣がついてしまいます。

 

4.

精神的ストレスで

精神的ストレスが自律神経のバランスを崩し、ケイレン性便秘を起こしやすくなります。

 

5.

運動不足

腸の働きは運動などで活発化します。

 

6.

病気

病気で寝たきりの場合、腸の運動が弱くなります。

 

便秘の種類は急性便秘と慢性便秘があります。   

ここでよく悩みとしてでる便秘は、いわゆる慢性便秘、その中の習慣性便秘の方でしょう。  

・習慣性便秘にはさらに3つのタイプに分かれます。弛緩性便秘・直腸性便秘・ケイレン性便秘があります。

 

 

1.弛緩性便秘

便秘の多くはこのタイプです。   

大腸の緊張が緩んでいて蠕動運動が弱く便秘を感じなくなっています。虚弱体質、無力体質の人に多く見られます。   

内臓下垂の人、病気の後で体力が低下した場合になりやすいです。

 

2.直腸性便秘

便が直腸に達しても便意が起きず蠕動運動が始まらない場合をいいます。忙しくてトイレに行かず我慢をしたり、痔で排 便を抑える、また浣腸を繰り返して年老いて神経が鈍くなったりするとこれにかかわります。特徴として太く硬い便で切痔を起こすことがあります。

 

3.ケイレン性便秘

大腸の運動が強すぎ、ケイレンを起こし便の通過を妨げて便秘になるタイプです。また、神経的ストレス、自律神経失調症が原因でなりやすいです。特徴としては便意は強いが排便困難、腹痛、腹がゴロゴロ鳴ったり、腹が張ったりします。  

便はウサギの糞状の細いものです。

 

便秘の予防および治療

食物繊維は充分の摂る  

・繊維は消化吸収されないので、便の量を増やし便意がつきやすくなります。

 

朝食後に排便の習慣をつける  

・朝食を食べて食べ物が胃にはいると胃から大腸へと信号が送られ大腸の蠕動運動が始まり、便が直腸へと送られ便意が起こります。

 

運動をして腹筋を強化する  

・腹筋が弱いと大腸がだらんとして、りきむ力が弱くなるので腹筋をつけて腹圧を高めます。

 

上記のことをしてもなかなか改善されない場合に下剤や浣腸を使っていきます。

 

 

中医学的に便秘を診たときに4つに分かれます。

1.熱証タイプ

このタイプは便秘は「熱秘」と呼ばれます。病気としては体に熱を持ちやすい体質のうえに辛いもを食べ過ぎたり、野菜不足により陽明(消化器系に関するツボのルート)に熱がたまると津熱(体内を潤す作用のある水分)が損なわれ便が出にくくなるものです。

〈主症状〉

大便は乾燥して硬く通じない・腹部がつかえて膨満感がある・腹部を押さえると塊があり痛む・おならがよく出る・排便の切れが悪い等です。  

 

〈随伴症状〉  

顔色が赤い・身体が熱っぽい・頭痛・口が渇く・小便は量が少なく黄色。

 

治療のポイント  

体の中の熱を取り去るツボや体を潤す「水」(津液)の通りを良くするツボを選んで治療を行っていきます。

 

 

2.気滞タイプ

このタイプは便秘は「気秘」と呼ばれます。病気としては、ストレスなどが原因で鬱状態になると体の気の流れがうっ滞します。

そうなると、気の流れをつかさどっている「肝」の働きが失調して便が流れなくなるものです。

〈主症状〉

便秘であるが乾燥や硬さはひどくない・腹部から両脇に連なる張痛  

 

〈随伴症状〉  

食欲不振・めまい・よくげっぷをする等です。

 

治療ポイント  

「肝」の働きを良くし「気」(エネルギー源)の流れを良くするツボを選んで治療を行っていきます。

 

 

3.虚証タイプ

このタイプの便秘は「虚秘」と呼ばれています。病機としては病後や産後に気血(体にとってのエネルギー源や栄養するもの)が回復せず気虚(エネルギー不足)により、うまく便を出せなくなった状態です。また血虚(体を滋養するものの不足)のため、腸が潤いを失っています。

〈主症状〉  

腹部に張痛はない・小腹(下腹部)が不快で便意があるが力が足りず排便が困難・大便はカスのように軟らかい。  

 

〈随伴症状〉  

排便後に疲れる・汗が出る・息切れ・顔色の色艶が良くない・動悸・目のかすみ

 

治療ポイント   

「気」、「血」を回復させるツボを選んで治療を行っていきます。

 

 

4.寒証タイプ

このタイプの便秘は「冷秘」と呼ばれます。病機としては加齢により下焦(下腹)の陽気(温かいエネルギー)が衰えるため温く(温める)出来なくなると陰寒(冷たいもの)が凝結して、気化作用(この場合物質代謝)がうまくいかず便が出にくくなるものです。

〈主症状〉  

排便困難・ひどいときは脱肛・ときどき腹が冷えて痛む。  

 

〈随伴症状〉  

顔色が白い・小便は透明で量が多い・手足の冷え・足腰がだるく力が入らない。

 

治療ポイント  

下焦(下腹)付近のツボを使い気の働き(ここでは体を温めたり、物質体謝を活発にしたりする働き)を強化、また体が冷えるのでお灸を使った治療を していきます。

 

 

食養生として  

はくさい(熱証タイプ、気滞タイプ)、にら(寒証タイプ)、さつまいも(虚証タイプ)、もも(寒証タイプ、虚証タイプ)などを普段の食事にプラスしてあげると良いかと思います。

 

このように中医学では「便秘」=便が出にくい状態にその他の随伴症状をもとに舌の状態や脈の状態も合わせてタイプ別 に診ていきます。

その結果、便秘だけでなくその他の症状にも治療効果が出ますので統合的にお体のお手当てになります。便秘に対しての対処療法ではなく便秘にならない体にしていきましょうというのが中医学の特徴ですのでなかなか治らない頑固な便秘は中医学的鍼灸治療で改善をはかるのも良いかと思います。

 

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