コラム

2019-02-20
動悸

動悸という症状は、よく耳にする症状だと思います。

実際に、年齢を重ねれば、このような症状はめずらしくはありませんし、若年の方であっても、自然な体の反応として、動悸がおこることはしばしばあります。

しかし、一方で体にとって重篤な場合の動悸もあり、決して軽視できない症状でもあります。

今回は、この動悸について述べていきたいと思います。

 

 

<西洋医学的な動悸とは>

 

みなさんもご存じのとおり、心臓は、血液を体全体に搬出するために、収縮、弛緩を繰り返してます。この動きを一般 的に鼓動(拍動)といいます。

普段、安静な状態では、この鼓動を意識することはありませんが、運動後や興奮状態に陥ることで、鼓動を自覚することがあります。

これが、動悸という症状なのです。

簡単に表現すると「胸がドキドキする」といった表現が分かりやすいと思います。

 

この動悸という症状は、運動後や興奮状態で動悸を自覚するのは、ごく自然なことだといえます。

運動をすると、体内の酸素を安静時よりも消費し、酸素が不足している状態となり、その結果 、心臓の鼓動が早くなり、素早く体内に酸素が供給されます。

このような動悸は、むしろ体を維持する上で、自然な反応といえます。

 

他の原因によっても動悸は起こりますが、多くの場合は、生命を脅かすものではないことがほとんどなのです。

 

しかし、時に、重篤な病気が原因となって動悸を誘発していることもあります。

 

たとえば、拡張型心筋症を例に挙げましょう。

この病気は、心筋の細胞の性質が変わって、とくに心室の壁が薄く伸び、心臓内部の空間が大きくなる病気です。

これにより、血液をうまく送り出せなくなり、うっ血性の心不全を起こすこともあります。

このような重篤な病気が引き金となり、動悸症状を自覚させる場合があるのです。

また他にも、不整脈を伴う心臓の病気でも、動悸症状を自覚する場合があります。

このような重篤な病気が原因の場合、早期に治療を行う必要があります。

 

 

<気をつけるべき随伴症状>

 

身体的に問題のない場合もあれば、原因の早期治療が必要な場合もある動悸症状ですが、重篤な場合は、動悸症状の他にも随伴症状が現れます。

参考のために、一部を紹介します。

 

・胸痛や発作性呼吸困難を伴う場合

 

このような随伴症状は、心臓そのものに原因がある可能性があります。

血液を体内に送り出す機能が低下しているため、すぐに息切れを起こすこともあります。

 

・不整脈

 

安静時にも関わらず、脈が早かったり、遅かったり、また、それらが交互に現れる場合、これも心臓そのものに原因がある可能性があります。

 

・発汗過多および体重減少

 

甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫などの病気により、ホルモン分泌が正常にされていない可能性があります。

 

・全身倦怠感、頭重感

 

鉄欠乏性貧血の場合、このような随伴症状を伴う場合があります。

これらは、動悸の随伴症状の一部ですが、とても重篤な病気が裏に潜んでいる可能性がありますので早急な検査と、重篤な病気が見つかった場合は、早急な治療が必要と思われます。

 

 

<ほとんどは問題のない動悸?>

 

冒頭でも述べたとおり、動悸の多くは、生命にとって問題のないものがほとんどです。

これは、精神的なストレスや、体の状態の微々たる変化によっても、動悸という症状が、現れるからなのでしょう。実際に、病院での心電図検査などでも、何も問題のない結果 となる場合も多いようです。

 

しかし、精神的なストレスが多いこの現代で、この動悸という症状を考えると、あまり軽視できるものではないのかもしれません。精神的なストレスが身体に様々な形で影響を及ぼす以上、病気だけをみるのではなく、生活環境そのものも視野にいれなければ、後に重篤な病気に発展しないとも限りません。

動悸という症状は、生命にとって問題のないものであっても、体にとっての危険信号として捉えるのがよいかと思います。

 

 

<中医学的な動悸の捉えかた>

では、次に中医学的な動悸の捉えかたを述べていきます。

 

中医学では、動悸という症状を「心悸」を呼びます。

「悸」とは、ドキドキする、跳ねるように動くという意味を表す言葉で、心悸とは、動悸がして不安を伴う病症として捉えられています。

 

「心悸」は主に、心の臓の失調により起こります。

心という臓器は、五臓の中でも、もっとも重要な臓器で、人体の生命活動の一切を統帥し主宰することから、「君主の官」とも呼ばれている臓器です。

心では、血液の循環をコントロールする働きと、脳の思惟意識活動の機能を持ち合わせています。

 

つまり、「心悸」という症状は、この血液の循環をコントロールする働きに問題があると発症するのです。

 

 

<動悸の病因病機>

では、どのような原因が心の臓器に問題を引き起こすのでしょう?

 

わかりやすい東洋医学理論でも説明されている通り、中医学では、気、血、津液が身体を構成している物質で構成されています。

心の臓では、その機能を維持するために、気と血が大きく関係しています。

つまり、多くの場合、心の病気は、心が持つ気と血の失調により起こります。

心が持つ気血が体にとって不十分だったり、もしくは気血の運行が悪かったりすることで、血液の循環をコントロールする働きが弱くなってしまうのです。

 

 

<心悸の原因>

では、このような心の気血失調がどのようにして起こるのか、もう少し詳しく述べていきたいと思います。

・経過の長い病気によるもの

 

経過の長い重度の病気は、体内の気血を損傷します。

これにより、心血を損傷することで、心悸を自覚することがあります。

つまり、血虚による心悸なのです。

 

・思慮過度によるもの

 

思い悩みが過ぎたり、過度に物事を考えることで、心血を損傷することがあります。

これにより、心血を損傷することで、心悸を自覚することがあります。

この場合も、経過の長い病気によるものと同じように、血虚による心悸なのです。

 

・過食や偏食によるもの

 

過食や偏食は、脾臓という臓器の機能を低下させます。

脾臓は食物を気血に変え、体内に送り出す役割があります。

また、水液代謝にも関係する重要な臓器です。

この脾臓の機能低下により、痰という体にとって不必要な水分が体内に停留し、それが熱を生み、さらに心臓に影響することで、心悸を自覚することがあります。

つまり、過食や偏食は、痰火による心悸につながるのです。

 

・体質的な心気虚によるもの

 

もともと、心が持つ気が不十分な方もいらっしゃいます。

このような方は、平素から驚きやすい、恐れやすいといった特徴を持っています。

心の気が不足することで、心が血液を送り出す力が弱まり、その結果 、心悸という症状を自覚することがあります。

このような場合は、気虚による心悸と言えます。

 

 

また、体質的な心気虚が発展し、心陽虚となっている方もいらっしゃいます。

このような方は、血の運行が悪く、そのために心に負担がかかり、心悸という症状を自覚することがあります。

このような場合は、お血による心悸と言えます。

 

<証分類別治療方法>

 

では、次に証分類別の治療方法について述べていきます。

先ほど述べた心悸の原因をまとめると、心の気血失調の分類として、気虚、血虚、お血、痰火による分類があると言えます。

 

中医学的な治療は、これらの証分類ごとに行われます。

・気虚による心悸

 

気虚による心悸の場合、「益気安神」のお手当てをして行きます。

「益気安神」は、不足している心気を補充し、精神的な緩和も図ることで、心悸の症状を改善する治療です。

 

・血虚による心悸

 

血虚による心悸の場合、「養血定悸」のお手当てをして行きます。

「養血定悸」は、不足している心血を補充することで、心悸の症状を改善する治療です。

 

・お血による心悸

 

お血による心悸の場合、「活血強心」のお手当てをして行きます。

「活血強心」は、流れの悪い心血の流れを改善し、心の機能も強めることで、心悸の症状を改善する治療です。

 

・痰火による心悸

 

痰火による心悸の場合、「清熱化痰」のお手当てをして行きます。

「清熱化痰」は、熱化した痰を取り除くことで、心悸の症状を改善する治療です。

 

いかがでしょう?

中医学的な動悸の治療はご理解頂けましたでしょうか?

動悸という症状は、しばしば自覚する症状であり、なかなか病気と結び付けづらいものです。

しかし、症状である以上、体の変調の表れであることは確かなのです。

 

時には、ご自身の体の変調に耳を傾けていくのも健康であるための秘訣であるといえます。

耳を傾けてみて、動悸という自覚症状がある方、また、病院で検査をしても検査結果 に表れない動悸をお持ちの方は、一度、中医学的なお手当てをされてみるのも良いかと思います。

 

中医学(東洋医学)全般(鍼灸・漢方・食事療法・体質改善)のご相談は、

当院までお気軽にどうぞ。

当院は予約制となります

  • まずはお電話でご相談ください。

  • 0088-221818

受付時間

8:30~
12:30
13:00まで
14:00~
17:30

※ 火曜日・水曜日・金曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。

アクセス

院内の様子