コラム

2019-02-20
打撲・捻挫

日常生活の中でも、ちょっとした事で起こしてしまう捻挫や打撲。

運動していて足をひねったとか、うっかり転んでぶつけたなど、よく耳にすると思います。

そんな時、あなただったら、どんな処置をしますか?

 

とりあえず安静にして、固定し、冷やす・などが一般的かもしれません。

その後、様子をみて整形外科に行き、骨折や靱帯損傷などがないのを確認して、なんともなければ、しばらく湿布をして痛みが緩和したら終わり・・という方が多いのではないでしょうか。

 

しかし、これだけでやめてしまうと、捻挫を繰り返すようになったり、湿度の高い日や、季節の変わり目に、古傷が痛むなどという事になりかねません。

一見治ったようでも、きちんと治しておかないと後で困ります。

 

「捻挫・打撲には『鍼灸治療』が良く効き、早めに治療する事で回復も早く、きちんと治る!!」

ということを、ご存知の方は、どの位いらっしゃるでしょう。

 

日本では、鍼灸というと、肩こりや腰痛を和らげる「癒し」のように捉え、年配の方が受けるものと思っている方も多いようですが、中医学をベースとした鍼灸は、列記とした「治療」であり、その効果 も高いものがあります。

きちんとした学問である「中医学」を土台としているからです。

老若男女を問わず特効があり、身体全体のバランスを調えていきますから、心身ともに健康になっていきます。

 

中医学的鍼灸は何故、捻挫・打撲にも高い効果が期待できるのか・という事は、後程ご説明します。

 

スポーツをされている方々や、お子さん・年配の方々は、捻挫・打撲を起こす可能性も高いですから、是非、みなさんに鍼灸治療の効果 について、知っておいて頂きたいと思います。

 

 

【西洋医学的考え方】

捻挫とは、関節や対して、正常な運動範囲を超えて外力がかかり、「関節包」や「靭帯」、「滑膜」がねじれ、部分的に切れてしまう状態を言います。

この場合、関節の位置は正常で、位置が外れてしまった場合は脱臼と言います。

また、骨や靱帯に損傷がないか確認することも大切です。

最も多いのは足関節の外側やや前方の捻挫です。

 

打撲とは「うちみ」「挫傷」とも言われ、転倒などによって、身体を固い物質に衝突させた時に起こります。

皮膚には損傷がなく、皮下組織に傷害があり、皮下出血などを生じます。

気をつけなければいけないのは、骨折や、神経の損傷がないかということですが、特に頭部の打撲の場合は、意識障害がないか、吐き気がないかなども確認しておきましょう。

 

応急処置

RICE(ライス)療法」を行います。

R (REST=安静)……患部を動かさないで安静にして休む。

I (ICE=冷却)…炎症を抑え、痛みをとるため、患部を中心に広めの範囲で、氷のうなどで冷やす。

C (COMPRESSION=圧迫)……内出血や腫れを防ぐため、弾力包帯やテーピングで患部を圧迫して固定。

E (EREVATION=高挙)……患部を心臓より高い位置に保つことで、内出血や腫れを防ぐ。

 

その後の処置

およそ3日間は冷やし、4日目以降は温めて、血行をよくし、治癒をうながします。

 

 

【中医学的考え方】

さて、やっとここからが、先程の「何故、鍼灸治療が捻挫・打撲に有効か」という説明になります。

 

まずは、「中医学の生体観」についてお話しておきましょう。

 

中医学では身体を構成し、生命活動の源として働くものは『気・血・水』であると考えています。

 

気というのは、気持ちの気と同じような意味合いもありますが、中医学では、活力という意味であり、 血脈の流れを推進し、臓器組織の活動を促進すると考えます。

血は血液という意味よりも広く考えて全身を栄養するだけでなく、精神活動も支えています。

水は身体をうるおす水分の事です。これらは飲食から得られ、臓腑で消化吸収して作られていきます。

 

気・血・水は『経絡』という、人体の上下・内外を貫く道筋によって流れ、全身を栄養したり、臓器の機能を調節したりしています。

健康な状態では、経絡は全身を滞る事なく流れています。

 

気・血・水が、身体を流れ良く巡る事で、身体内の臓器もうまく働くことが出来ます。

中医学では、それぞれの臓器は、お互いに協力しあい、制御しあいながら、バランス良く健康を保っていると考えます。

西洋医学的な臓器の機能に加えて、それぞれの関連性についても考えているわけです。

 

五臓六腑と言われるように、身体の主な「臓」は、肝・心・脾・肺・腎 の五つです。

それぞれの働きについて、簡単にあげておきます。

・肝:

全身の気の流れを良くし、各器官の働きを助けます。

筋肉の働きにも関係しています。

 

・心:

血の循環をしています。

精神活動に関係し、五臓の働きをとりまとめています。

 

・脾:

食べたものをエネルギー(気・血・水)に変え、身体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱くなると、活力不足で疲れやすくなります。

血を脈外に漏らさないようにする働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、内出血しやすくなります。少しぶつけただけでも青あざが出来ます。

 

・肺:

呼吸することにより、気・水を全身に巡らせます。

皮膚の状態に関係します。

 

・腎:

生命力の源、先天の「気」を蓄えています。骨や髪と関係します。

成長や生殖能力に関連深く、年齢と共に変化します。

女性では、月経や妊娠と関係します。

腎のエネルギー(先天の気)は、脾から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

以上の五臓がバランス良く働いてくれるように調節してくれているのが、気・血・水 です。

針灸治療は、この気・血・水に働きかけることにより、治療をするわけです。

 

どこにどのような刺激を与えていったらいいかを、患者さんの体質に合わせて決めていくのですが、ベースとなっているのは、数千年に及ぶ歴史のある中医学の理論体系です。

ただ単に、筋肉が凝っているところを探し、筋疲労をとるだけの鍼灸とは、奥の深さがケタ違いですから、その効果 も全然違います。

 

 

中医学的治療法

 

捻挫は運動や転倒などで、関節が過度に捻転する事により起こり、打撲は、身体を固いものにぶつけた事により起こりますが、どちらも「経脈」に損傷をおこしたと考えます。

 

局部の経気運行が阻害されるため、気血の流れが滞ってしまっています。

 

中医学では、捻挫・打撲の痛みをとる治療と併行して、この「気血の滞り」を改善し、流れが良くなるような治療をします。ですから、受傷部位 の腫れは、何もしないよりずっと早く引いていきますし、回復も早くなります。

 

また、その気血の滞りにより、バランスの悪くなった身体を整え、全体的にバランスの良い状態にしていく治療もします。

 

例えば、足首の捻挫の場合、滞りは足首にあるわけですが、足首周辺以外の穴も使います。

ツボには特性がありますから、気の流れや、血の流れを良くしてくれる効果 のあるツボを組み合わせていくと、全体的に流れが良くなり、効果も高まっていきます。

 

足首が痛いから足首だけ湿布をするというのは、ちょっと身体がかわいそうです。

 

中医学の鍼灸では痛みや腫れをとるだけではなく、身体全体をみて調節し、例えば靱帯に損傷があれば、その靱帯も元の良い状態していく手助けもします。

ですから、靱帯が少し伸びたまま治ってしまい、捻挫を繰り返すというような事は、防ぐ事ができるわけです。

 

その人の体質によっても、施術の方法は違います。

鍼の刺激に強い人・弱い人、冷え性の人・暑がりの人等々、さまざまな基本体質があるのですから、オーダーメイド的な治療になるのは当然でもあります。

 

身体に対してはもちろん、心に対しても優しく、学問的にも奥の深い中医学は幅広く色々な疾患に対応出来ます。

 

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