コラム

2019-02-20

痔とは、日本人の大人の3人に1人がかかっているといわれるくらいポピュラーな病気です。

肛門からの出血、膿が出る、かゆみ、痛み、排便時にすっきりしないなどの不快感を持っている方も多いのではないでしょうか?

痔には様々な原因といくつかのタイプがありますので、それぞれのパターンでみていきましょう。

痔の種類

痔 核-

ぞくに「いぼ痔」といわれているものですが大きく分けて2種類あります。

内痔核-

肛門の中の直腸静脈叢がうっ血して感染腫脹を起こしてできたものです。

外痔核-

肛門外側の皮下の静脈叢が血栓を形成し炎症を起こしてできたもので痛みを伴います。

 

裂 肛-

肛門管が硬い便の排出時に裂けた肛門の傷です。ひりひりと激しく痛みます。

 

痔ろう-

肛門小かから感染が起こり肛門腺かが化膿して肛門周囲膿瘍になり、それが慢性化して肛門外に排膿を繰り返すようになるとなります。

原因

肛門に過度のストレスがかかってくると起きやすくなりますが、重たい物を持ったり、女性であればお産、トイレ長時間の座り姿勢や立ち姿勢などがあげられます。また普段のこういった状態に便秘(必要以上に力む)、下痢(肛門内の感染や便の勢いが強いために負担がかかる)がともなうとよりいっそう痔になりやすいです。また、冷えやストレスでの血行障害においても肛門部の血流が悪くなってしまうので痔が形成されやすいです。

 

治療

まずは自分のライフスタイルをかえりみることです。便秘や下痢であれば普段の食生活から見直す必要がありますし、辛いものやアルコールなどを制限することも大事です。

また、長時間の座りっぱなしも血行を悪くさせてしまうので、歩くなどの軽めの運動をしてあげると良いでしょう。血行改善ということでは、体を冷やさないということも頭に入れておかなければなりません。その場での症状改善というならば、座薬や軟膏などを使いますし、かなり症状が悪化しているときは、手術の必要性も出てくるでしょう。

 

中医学で診る「痔」疾患とは

中医学においても「痔」の定義は、現代医学とほぼ差異はなく肛門の内外に痔核が出来た状態で痛みや、かゆみ、出血等、または脱肛となるのですが原因や成り立ちにいくつかのパターンがあるのです。ここではそのパターン別 に「湿熱」、「気虚下陥」、「お血」というキーワードをもとに説明していきます。

 

湿熱とは

「湿」とは体の中において粘っこい、重だるいなどのマイナス面を持ち合わせるものですが、発生的には2パターンあって外から入ってくるパターンと体の中の失調が原因で発生するパターンとあります。

 

外から入ってくる場合は湿気の多い場所に長時間いたり、梅雨の時期など体に入ってきやすいですが、気温が高くなったり、高温多湿の場所においては熱を発生するので「湿熱」となります。

 

体の中の失調の場合には、水液代謝に関係する臓ふの働きが弱まっていたりすると「湿」が発生します。特に「脾」という臓ふがありますが、食べ物から水分を取り出して全身に送る「水液運化作用」という働きがありますが、冷たいものや油っこいもの、甘いものを取りすぎることで「脾」の「水液運化作用」がうまくいかなくなってしまい体に「湿」がたまるのです。

体質的に熱がこもりやすい人などは、味の濃いものやアルコール摂取で「湿」に「熱」が加わった「湿熱」を発生させやすく、これが腸に停滞すると痔になりやすいのです。

この手の「痔」症状にはまず、体の中の余分な「湿」と「熱」を取り去るお手当てが必要となってきます。

 

気虚下陥とは

体の中での気の働きが正常であれば、内臓が正しい位置で安定させ、また上に昇る力があります。しかし、出血や食べ物から気、血が作られないということであれば体の中の気が不足し、「気虚」という状態になります。ここでまた「脾」という臓ふが登場しますが「脾」の主な働きに食べ物を気、血に変えるというものと気を上に昇らせるというものがあります。

しかし、この「脾」の働きが弱くなってしまうと気、血は作られず、気は上に昇れず、内臓は下垂してしまい力ない状態になります。「痔」症状においては痔核が飛び出す、もしくは脱肛になります。

こういった場合はまず「脾」の力をアップさせ、気や血がしっかり作り出せ、気の上に昇る働きを取り戻すお手当てが必要です。

 

お血とは

血は、正常であれば体内を巡る「経脈」というルートの中を流れていますが、それが「経脈」から出て体内に留まったり、「経脈」、「臓ふ」の中で滞ったりした血をいいます。

 

お血になる要因として

「気虚」、「気滞」、「血熱」、「血寒」によるものがあります。

それぞれのパターンをみていきましょう。

 

「気虚」によるものは過労であったり、長患いで体内のエネルギーが消耗し、血を「経脈」を流せなくなり、滞ることによりお血になります。

このタイプには「先天の気」(生まれたときから持ってる気)、「後天の気」(食べ物や呼吸によって得られる気)を管理する「脾」、「肺」、「腎」をそれぞれパワーアップさせるようなお手当てをすると良いです。

 

「気滞」によるものはストレスなどにより、「肝」の気が滞ってしまうことによってお血になります。

「肝」は正常であれば気を伸びやかに全身に送り出す働きがありますが、ストレスなどが加わるとうまく送り出すことが出来なくなってしまうからです。

このタイプには「肝」の働きをパワーアップしてあげるようなお手当てをすると良いです。

 

「血熱」によるものは、熱邪(外から入ってくる攻撃因子)が血に入ってきたり感情が鬱積して体内で熱と化して発生することで血が熱によって煮詰められた状態になり、流れが悪くなることでお血になります。

このタイプは体内に熱がこもりやすい体質なので、熱を発散させたり熱をためやすい食べ物の摂取を控えるなどのお手当てをすると良いです。

 

「血寒」によるものは、寒邪(冷えて流れを滞らせる働きのある攻撃因子)が血に入ってきたり体内で体を温める陽気が減ってくると血が冷えて滞り、お血が出来てしまいます。あるいは寒冷の飲食物を摂取しすぎて体を冷やしてしまい血が冷えてしまうケースがあります。

このタイプは体を冷やしやすい体質ですので、体を温める作用のある食べ物を摂取したり、外から入ってくる邪を守ってくれるバリアー役の気の働きをパワーアップさせてあげると良いのです。

 

このお血が肛門のまわりで起きてしまうと「痔」症状になりやすいです。

お手当てとしてはどういったパターンでお血が起きたのかを把握し、その状態を改善することで「痔」という症状を治療することにつながるのです。

 

痔になったときに、患部の周囲の血流改善や鎮痛効果の高いツボを使っただけでは根治にはなりません。まずは今の自分の体 はどうなっているんだろう?というところから始まり、その体の根本的な治療をしていくことで痔というおもてにあらわれた症状を治すことにつながるのです。

 

痔に関しておわかりになっていただけましたでしょうか?治療というものは対症療法的な治療も大切ですが、根本的な起因に対して着手してお手当てを行うのも大切かと思います。

中医学的治療を試みたい方はお気軽に当院へ。

また中医学(東洋医学)全般(鍼灸、漢方、食療、健康茶)に関する質問等も承っております。

 

 

当院での治療をお考えへの方へ

 

= 本来の東洋医学の治療の姿に関して一言 =

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、「ギックリ腰」や「寝違い」といった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いのですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

 

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。

これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

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