コラム

2019-02-20
肩こり

肩コリとは、首すじから肩にかけて起こる、筋肉のこわばりのことです・・・なんてあえて言う必要がないくらいよく知られています。と同時にただの強ばりなのに、とても不愉快で、つらく、仕事や家事に影響がでてしまったり、しかもなかなか治らなかったり。中には怖い病気が隠れていたりすることもあります。

 

では、この肩コリをどうすればいいか?怖い肩コリとはどのようなものか?考えていきたいとおもいます。

 

<西洋医学的な考え方>

西洋医学の分野においては、単純な肩コリについてはそれほど重要視されないのが現状だとおもいます。単純な肩コリとは長時間同じ姿勢でパソコンをやったり、細かい作業をしたり、また悪い姿勢で作業したりして特に肩の筋肉を緊張、疲労させた結果 おきます。

単純な肩コリはこのようにおこります。ひどい場合はこわばりだけでなく、痛みになることもあります。

特に肩周囲の筋力の弱い人や、なで肩の人では肩コリになりやすいです。男女比では圧倒的に女性が多くなっています。

また肩コリによって緊張性頭痛、吐き気、耳鳴りなどがおこることもあります。

 

しかし中には他の病気の影響で肩コリがおこることがあります。

 

首の骨の問題→頚椎症(頚椎の間の靭帯、軟部組織などの問題)など

耳鼻科の問題→耳の疾患、蓄膿症、鼻炎など

眼科の問題→視力の低下、老眼、眼鏡の視力矯正不良、ドライアイなど

歯科の問題→虫歯、噛み合わせ不良など

内科的な問題→自律神経失調症、高血圧、冷え性、心臓の病気など

神経内科的な問題→ストレス、うつ

婦人科の問題→更年期障害など

 

これら以外にも肩コリの症状がでる病気はたくさんあります。特に首から上の病気はその首から頭を支える肩にも緊張をあたえ、肩コリとの関係が強い傾向があります。このように他の病気が原因の場合は、まずその病気の治療が必要になります。

 

最近はテレビの中の健康番組などでも取り上げられていることもありますが、肩コリの中には心臓の病気からおこるものもあり、注意が必要です。心筋梗塞、狭心症、肺尖癌(パンコースト症候群)という病気からもおこります。このような怖い肩コリに特徴的なのは、楽な姿勢をとっているにもかかわらず肩が痛んだりします、また心臓の病気からは左肩から左腕に痛みがでることが多い、などの症状があります。ゆっくり横になっても痛みがとれなく、だんだん痛くなったり、今まで肩コリになったことがないのに突然ひどい肩コリになったりした時は心配ですので念のため医療機関での診察が必要になることがあります。

 

高血圧で動脈硬化がすすむと肩の微細な血管の血流が悪くなり肩コリになります。

 

頚椎の問題の場合はしばしば腕から手にかけてシビレが出ることがあります。こちらは詳しくは頚椎症の章を参照してください。

 

肩コリ以外にこのような症状がある場合は当該の病院の診察が必要になります。

 

<西洋医学的治療>

・湿布

・首の牽引→機械によって首を牽引し首の筋肉にストレッチをかけ、筋肉をほぐす

・低周波療法、温熱療法、マッサージなどの理学療法

・薬→筋肉弛緩剤、安定剤

・運動の指導

 

これらの治療が主な治療法になります。

基本的にはこわばっている筋肉をほぐすし、ストレッチして症状を緩和させるということになります。 短期間におきてしまった肩コリについては良い結果があります。

 

筋弛緩剤について考えてみたいとおもいます。

肩コリもひどくなると痛みになってしまうことがありますが、理学療法で改善しなかったり、理学療法の施設がなかったりする場合は、筋弛緩剤が処方させることがあります。

筋弛緩剤は 筋肉が緊張し痙攣状態になって痛みがある時に脊髄の神経を麻痺させることにより、筋肉のこわばりを取り去ります。  

 メリットとしては理学療法で改善しない、または理学療法する時間がない、運動する時間もない場合は、選択肢としては考えてもいいかもしれません。  

 デメリットとしては、薬で症状だけ緩和させて身体を動く状態にしてしまうことが身体にどのような影響を与えるか少々心配である。肩コリは原因があっての身体の反応です。原因を治療せずに神経の興奮だけを長期に抑えさせると身体がどのようになるか想像してみてください。

 

マッサージについて考える

上手なマッサージ治療には単に筋肉の緊張をとりやわらかくするだけではなく、神経の興奮を抑えたり、精神的なリラックス効果 が得られ自律神経のバランスをとったりすることができます。また多少の頚椎、肩関節の矯正効果 もあります。筋肉疲労の肩コリや短期間の肩コリには適応だと考えられます。ただし、リラクゼーションのみの慰安的なマッサージは長期にわたる効果 を望むことは難しいとおもいます。

注意することは、首を雑にマッサージされると症状が悪化したりすることもありますので、 事前に評判など調べて信用のできるところでのマッサージ治療を受ける必要があります。

 

運動について考える

単純な肩コリは筋肉が緊張してこわばってしまった状態ですから、自分自身で改善させる方法としては、ストレッチや軽めの運動がよいでしょう。

日常生活では意外と手や腕を頭から上に挙げるということがないとおもいませんか?パッと思いつくのは、つり革をにぎったり、洗濯物を干したりぐらいですね。手を上に挙げる動作は、硬くなっている肩の筋肉を動かす作用があります。筋肉を動かせば血管のポンプ作用もちゃんと働き血流もよくなります。血流がよくなればコリも解消するということです。

水泳、エアロビクスなどは自然に手を挙上でき適した運動です。

 

またその他には、枕の高さが合わないためやメガネ、コンタクトレンズの矯正視力が合わないためにおこる肩コリもあります。

 

以上がおおまかですが、西洋医学的な肩コリに対する診断から治療までの流れになります。

 

 

<中医学的な考え方>

中医学は少し慣れない考え方もありますので、先にポイントだけ説明いたします。

まず身体の中には「経絡」というスパイダーマンのコスチュームのように身体の臓腑から手足まで上下、内外をつなぐ気(見えない活力源)(栄養を含んだ血液)の通 り道があります。そして筋肉にもその経絡が影響をおよぼしていると考えます、これを「経筋」といいます。

 

そして健康な身体とは気と血そして水(身体を構成する水分全体)がバランスを保ち、スムーズに流れている状態であることです。気血水は食事で摂ったエネルギーを臓腑で消化、吸収して作られていきます。

健康でなくなるのは、さまざまな原因によってこのバランス、流れがくずれてしまった結果 といえます。

 

中医学では肩コリは肩が引きつれるとか肩がだるい、痛いと言います。これは、肩の経絡、経筋のところで気血の流れが悪くなったり、栄養不足になったりしたためひきつれたり、だるくなったり、ひどいと痛くなったりすると考えます。

 

<中医学的治療>

肩コリの人の中にも 筋肉質の人、痩せている人、冷え性の人、暑がりの人、ストレスを強く感じる人などいろいろなタイプがあり、ただ肩だけに針を刺せば治るというものではありません。確かに、肩に針をするだけでも対症療法的にある程度のコリは取れてしまいますが、やはり原因に対しての治療がないと、体質も変わらず、少し経つとまた強い肩コリに戻ってしまいます。

肩コリに対しても、しっかりした診断から治療を施しひどい肩コリにならない体質作りする治療が必要です。

 

では、肩コリがどのようなタイプに分かれるかを考えていきたいと思います。

 

肝気ウッ滞(気が滞ってしまう)、肝火

原因は緊張や精神的ストレス、怒りなどから気の流れが悪くなってしまったことによります。中医学の臓腑というのは西洋医学でいわれる臓器の機能とは異なるのですが、精神的なストレスなどは「肝」という臓腑に影響を与えます。肝の機能は気の流れをよくしたり、血を蔵したりしています。肝の機能が悪くなれば気の流れも悪くなり、それが滞ってくると燃えて火のようになってしまうのです。そうすると、血が熱せられて肩に充満してしまい肩コリになります。

 

その他の症状としてはイライラ、緊張、憂鬱、ため息がでる、脇が張って苦しい、目が充血などがあります。

 

針治療のときは、肩コリにはやはり肩のツボを取ります。そして、気が滞っていればその気の流れを良くするツボを使い、熱があれば熱を取り冷ますツボを使います。

 

自分でツボを押す場合は、肩以外では足と手のそれぞれ親指と人差し指(第1と第2指)の間の凹んだところをツーンと刺激がでるくらい押しましょう。

軽めの運動やラベンダーなどのアロマセラピーでリラックスさせるのも効果 的です。

 

血オ(血が滞ってしまう)

交通事故や打撲、ケガや手術などによって内出血をしてしまったり、肝気ウッ滞から血流の停滞をまねいてしまったりしたために肩に血オをおこし比較的強い肩コリになってしまう。

 

その他の症状としては 局所が硬い、肩にミミズのような血管拡張が見られたりする。

 

針治療のときは 血の流れを良くさせるツボを使います。

 

自分で肩以外を刺激したい場合は、腕から肘周囲や膝裏(委中穴)などを強めに刺激すると効果 てきです。

 

気虚(気が足りなくなった状態)

原因は疲労や生まれたときから虚弱体質、老化、慢性的な疾患などで気が不足したため、気が上昇できず、人体の上部の経絡、経筋が通 りにくく力不足となり肩コリがおこる。このような肩コリは自覚があるが、触ると柔らかくコリを触れない。

 

その他の症状としては元気がない、疲れやすい、立ちくらみなどがある。

 

針治療では元気を補うツボを使います。

 

気虚の人は朝鮮人参(なかなか食べれないですよね)、山芋、棗などを食べると気が補われます。棗は生姜と一緒に軟らかく煮てお粥などにすると食欲もでると思います。

 

血虚(血が足りなくなった状態)

出血、月経、出産、過労、慢性病などにより血が不足し経筋、筋肉に潤いや栄養がいかなくなり肩コリをおこす。   

 

その他の症状としては 顔色や皮膚にツヤがなくなる、筋肉がひきつる、頭がボーっとする。筋肉の栄養がなくなり筋肉がやせてきたりする。   

 

針治療では 血を補うツボを使います(養血)。   

 

比較的買いやすい食べ物にはクコの実があります。お茶のように煮だして飲んだり、お粥にして少量 の塩をパラッとかけて食べたりすると良いです。

 

陰虚陽亢(陰の力が弱くなり、相対的に陽の力が強くなった状態)   

老化、慢性病、熱病、多産、過度の性生活のどで水分質(精、血)が不足したため、つまり身体の中のクーラーが壊れてしまい、熱が発生してしまい、その熱が上昇して肩の血を充血させ流れが悪くなったため肩コリになる。   

 

その他の症状としては局所が硬く触れ、イライラ、のぼせ、寝汗、腰や膝がだるくなるなどがある。   

 

針治療では蛇口をひねり水分を補い、上がってしまった熱を引き戻すツボを使います。   

陰虚を改善させる食べ物はゴマ、黒豆、スッポンなどが効果的です。

 

風寒(冷たい風をあびる)

冷たい風を浴びてしまったり、汗をかいた後よく拭かず風を浴びて冷えてしまったりすると寒くて肩がすくんでしまうように、肩の経絡、経筋の気血の流れが悪くなり肩コリになります。   

 

その他の症状としては 寒気がしたり、風邪の症状がでたりします。一過性のものが多い。   

 

針治療では 身体から風を追い出したり、身体を温めたりするツボを使います。   

 

風寒の状態には葛根湯が有効です。生姜を使った食べ物も身体を温めるので良いでしょう。反対に身体を冷やす生物などは一時避けましょう。

 

殆どの場合、肩の周囲のツボは使っていくことになりますが、肩以外のツボはそれぞれのタイプにあったツボの選択が必要になります。

今まで針治療しても肩コリが治らなかったという人は、単純に肩だけに針治療をされたのかもしれません。

肩コリにしてもしっかりとした診断、治療が必要だということが理解していただける幸いです。

 

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