コラム

2019-02-20
メニエール病

眩暈(めまい)、吐き気の発作をくりかえし、耳鳴りや難聴などの症状もともない原因のはっきりしないものがメニエール症候群と診断されます。  

 

現代医学的には、内耳が水ぶくれ状態になり、内外のリンパ液のバランスがくずれる結果 だと考えられています。原因は不明ですが、ストレスや過労が大きく関与しているといわれています。治療は対症療法で眩暈や吐き気を抑える薬剤や、神経伝達をよくする薬剤、精神安定剤、利尿剤、血液循環をよくする薬剤などが使用されます。

 

中医学で考えた場合、「眩暈」、「吐き気」、「耳鳴り」「難聴」などの症状はそれぞれ関係ないようにみえますが「痰濁」というキーワードでつながります。中医学では「痰がなければ眩暈は発生しない、痰は火によって動く」などの記述があります。「痰濁」は水分代謝の失調によって産生される病理的物質です。体に必要な水分「津液」に対し、病理的水分を「痰濁」といい、普段皆さんが考える肺から排出される「タン」と同じく中医学では「無形の痰」といい体全体にもこれがあると考えています。この「痰濁」が多くなると「痰濁閉阻」といい「気、血、津液」の流れが悪くなり、「眩暈」「吐き気」「耳鳴り」「難聴」の原因の一つとなります。水分代謝では消化器が一番重要です。ストレスでは「気滞」、過労では「気虚」となり消化器の働きがわるくなります。消化器の働きが落ちると、水分の代謝機能に影響し「痰濁」が産生されます。

 

中医学的からだのしくみ●

中医学(中国医学)では人間の体を次のように考えています。人間の体は五臓六腑を中心に生命を維持する基本物質である気(エネルギー)・血(血液)・水(体液)が十分に生産され、この気・血・水が経絡という通 路を正常に流れて初めて人間の健康が維持できるという考え方にあります。

中医学による病気の治療とは、生命活動を維持する気・血・水のどこに問題があり、それが不足(虚)か有余(実)を判断します。そして五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)のうちのどの臓腑が、この気・血・水の問題を作り出したかを診断をします。

 

五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)は西洋医学と全く同じ役割分担ではありませんので混乱しないようご一読下さい。

五臓のうち「肝」が原因を起こすもの

 

肝は風・木の臓とされ、四季では春に相当するので

春の営みのように気を上へ上へと上昇させようとします。

そのため、眩暈(めまい、ふまつき)が生じるものです。

また、肝は精神刺激を非常に感受しやすいものなので、

ストレスとの影響も非常に強いパターンでなのです。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、耳鳴、偏頭痛、怒りっぽい、イライラする、赤ら顔、のぼせ、目が充血する、不眠、夢が多い、不安が強い、うつ様症 状、口苦などを伴う

いずれも肝の変動による症状です 。

 

治法:平肝鎮陽・清火熄風

漢方:竜胆瀉肝湯

   天麻釣藤飲

   釣藤飲など

 

1.五臓のうちの腎の弱りによるもの

 

腎は脳との関わりが強いとされていて、腎気が弱り脳が栄養されないために、めまい、ふらつきが出ます。

虚弱によるもので、腎は精を蔵し、精は髄を生む。

また、脳は「隋の海」と古くから言われています。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、物忘れがひどい(健忘)、足腰が酸い、また力が入らない、耳鳴 どれも腎の弱りに伴う症状です。

 

治法:補益腎精

漢方:六味地黄丸

   海馬補腎丸などが該当

 

 

2.五臓のうち脾が気血不足となるもの

 

体全体の気血が不足していて起こるパターンです。

車で例えるとガソリン(気血)の足らない状態であり、体のガソリンを作り出すのは五臓のうち「脾胃」であり、この脾胃の弱りが根底にあることが多いのです。

・動いて疲労すると眩暈が悪化する。

 

元々、気血が少ないので運動や過労によって気血を消耗すると悪化します。

・倦怠感、話すのがおっくう、無気力、顔色が悪い

気血不足のために現れる症状である。

また、一身の気血が不足しているため、五臓六腑に気を供給出来ないと、各々特徴的な症状が出る。

・心に気血が不足すると、不眠、動機が

・脾胃に気血が不足すると、食欲不振が

・肝に気血が不足すると、目がかすみ、爪に艶がなくなる

治法:補益気血・健運脾胃

漢方:十全大補湯・帰脾湯・補中益気湯・婦宝当帰膠・七物降下湯

など

 

3.病理水分「痰濁」が経絡を塞ぐために起こる眩暈

 

痰濁が頭部をおおうために起こります。

また、脳に気血が送られないので、余計に眩暈(めまい、ふらつき)を起こしやすいのです。

痰濁による特有の症状を伴うため、他の原因の眩暈と見分けることが出来ます。

つまり、痰がつまり、咽がゴロゴロしたり、体が重くなったりといった症状です。

 

痰濁が身体のどこを侵すかによって症状が異なります。

・頭重感を伴う、体が重い:湿痰が頭部を侵すと、頭がどんよりと重く感じる。

・胸悶:湿痰が胸部で停滞

・悪心、眠たくて仕方ない(嗜眠)、ゲップ、しゃっくり

 

治法:燥湿化痰、止眩

漢方:半夏白朮天麻湯

    竹茹温胆湯

    五苓散

    苓桂朮甘湯など

 

水分とメニエール病

メニエール病であり内リンパ水腫が原因と考えられえる場合は、「水分過剰」に気をつけることが基本となります。

しかし「水分が多い方が血液がサラサラなるのでは?」と思われるかもしれません。ではそれを東洋医学的に考えてみましょう。

 

まず「リンパ水腫」は悪質な水分、過剰な部分であり、内耳という限定された部分に溜まっているわけです。そして回転するようなめまいであったり、耳鳴りを発生させます。

その状態を改善させる為には、内耳付近の血液循環が大切です。

血液に乗って水分が補給、代謝されます。

 

過剰水分→内耳に溜まる→血液循環が水分を補正する

 

そのしくみの中で悪質な水分が血液循環を邪魔します。

サラサラ以前の問題として過剰水分が臓器や器官を浮腫んだ状態としてしまい、血液を流れにくくしています。

 

メニエール病を繰り返す方の食事療法としまして

しょうが ●にら ●火を通した大根 などなどの食材がお勧めです。

 

ストレスとメニエール病

メニエール病の宿敵は「ストレス」です。これが血管の収縮の大きな問題となってきます。

まず「リンパ水腫」は勿論「水」から産まれます。その水は飲食物から体に入ります。だれでも血中に水分は沢山持っていますが、その水分が内耳に溜まる。溜まる原因と排出出来ない原因があります。

内耳の付近の血流が低下していると常時補正しているリンパ液の代謝速度が低下してしまいます。

ストレス、寝不足から血管が収縮気味となってしまい、普段は血液に乗って、常時調節、排出されているはずのリンパ液の代謝が追いつかない。

その為、視神経の疲労(目の疲れや長時間の運転)でもめまい、メニエール病発生の引き金となる方が多いのではないでしょうか。

それは視神経が疲労した状態はストレスがかかった状態と同様に血管が収縮しやすい事からも言える事だと考えられます。

 

長時間の運転やテレビ、読書はさける

夜更かしや睡眠不足、過労はさける

対人関係や心配事も可能な限り気にしない   

などが大切。

今までの注意事項を意識するだけでも発生する頻度は減るはずです。又、点滴や病院の「めまい止め薬」でも一時的に改善するかもしれません。

しかし「一時的におさまったようにみえて、何度も再発する」。

また、「一見治ったようだが、その後もずっとふらつく」

こういった「めまいやメニエール病の慢性化」した患者さんがかなり多い事には訳があります。

「体質の偏り」です。  

それこそが「原因」なのです。

「原因」が有ってめまいが発生するわけですから、点滴などで一時押さえしたところで、再発は必ず起きます。

又、形を変えた状態で発生するかもしれません。

その「形を変えた状態」とは、ふらつき、食欲不振、視力の低下、疲労倦怠感、もしくは記憶力の低下かもしれません。

 

根本的な体質を中医学(針治療や漢方)で改善していきましょう。

私たちは、お一人お一人の症状に合った治療法を取り、漢方、食生活などをアドバイスさせて頂きます。

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