東洋医学のホントのチカラ~最新科学で迫る鍼灸の秘密~
当院に受診されている患者様も、3月18日㈪午後10時45分からNHKで放送された「東洋医学のホントのチカラ」をご覧になった方が多くいらっしゃいました。
番組の内容をお話しして聞かせてくれました。
「百会(ひゃくえ)」というツボが紹介されたようで、「百会」というツボには、リラックス効果があると説明があったそうです。
確かに「百会」にはリラックス効果がありますが、それだけではありませんので、補足として患者様にはご説明をいたしました。このコラムでもお伝えしたいと思います。
ツボには一つひとつに多様な働きがあります。「百会」の働きの一つがリラックス効果なのです。
鍼を刺した後、手技を加えて刺激を与えますが、この手技の与え方によって人体に及ぼす影響も変わってきます。
「百会」も手技によってはリラックス効果がありますが、違う手技で刺激を与えれば高揚させる効果もあるのです。
例えば、「大椎(だいつい)」というツボ。このツボには、体を温める作用と体の余分な熱をとり除く作用があります。手技の加え方によっては真逆の作用になるのです。
また、ツボは組み合わせ次第では働きにもっとバリエーションを持たせることができます。
百会で言えば、陰陵泉(いんりょうせん)という膝下の内側にあるツボと組み合わせることによって、エネルギーを上に持ち上げることができます。これは、例えば、脱肛や胃下垂といった下に下がる症状や体の怠さの改善に活用することができるのです。
上記の補足内容をお伝えすると、患者様は一様に驚かれます。また「東洋医学は奥が深いのですね」という感想をお持ちになるようです。
ツボには、処方配穴学というものがあります。薬と同じように結果を出すには、一つひとつのツボの性質や効能などをしっかり把握したうえできちんと組み合わせて臨床で応用する必要があります。
病や症状の改善には、この症状だからこのツボを使えば良いというものではありません。
効果を出すにはツボに対する深い学識と臨床経験が必要かと思います。
楊