コラム

2019-02-20
おりものの異常

おりものの異常(帯下について)

帯下とは、膣内から流出する粘液で“おりもの”“こしけ”と呼ばれ、正常では無色透明で、臭いが少なく少量 です。

女性の身体の状態を判断するために、月経の症状と併せて確認する重要な問診項目の一つです。

通常、発育成熟期・月経前後・妊娠初期に量が多くなりますが、このような場合は病としては扱いません。帯下量 が多く、その色や性状、臭いに異常があり、あるいは全身症状を伴うものを“帯下病”といいます。

 

はじめに生理周期と合せて、正常な帯下の状態を知っておきましょう。

まず、帯下は排卵前後に透明で糸を引くような粘りのあるものが出て、排卵が終わった高温期にかけては色は透明で、臭いがなく、固まらないのが正常です。

色がついていたり、臭いがあったり、固まりがある場合は、膣炎や性感染症などの疑いがあります。例えば、カンジダ膣炎があると、よくカッテージチーズのようなポロポロと固まる白い帯下があります。

 

では、“帯下”に対する西洋医学と中医学のそれぞれの捉え方を説明します。

 

西洋医学的な捉え方≫

帯下とは、女性生殖器からの分泌物ですが、特にそれにより外陰部が湿潤され、分泌物の存在が自覚され、不快感がみられる程度になったものをいいます。

 

分泌物の由来する場所により次のように分類されます。

1) 卵管帯下(卵管癌など)

2) 子宮体部帯下(子宮内膜炎、子宮体癌、その他)

3) 頸管帯下(頸管粘液、頸管炎、子宮頚癌、その他)

4) 膣帯下(膣炎、その他)

5) 外陰帯下(外陰炎、その他)

 

また、帯下の性状から次のように分けられます。

1) 白色帯下(頸管粘液増量、子宮内膜炎、トリコモナス膣炎、その他)

2) 黄色帯下(淋疾、その他)

3) 血性帯下(性器出血ですが、血液以外の分泌液が多量に混入している場合)

 

さらに原因の面から、

1) 生理的帯下(排卵期、妊娠時、その他)

2) 炎症性帯下(膣炎、外陰炎、子宮内膜炎、その他)

3) 壊死性帯下(悪性腫瘍、月経、分娩後、その他)

4) うっ血性帯下

5) 心因性帯下、に分けられます。

 

中医学的な捉え方≫

中医学では、弁証(病状を見極めて治療方針を立てること)に必要な情報を得るために様々な項目で問診を行います。望診(見る)、切診(触れる)なども行いますが、何よりも問診が重要です。

集められた情報から、患者さんの病状、体質などを見極めて治療方針がたてられます。

女性の場合は、月経の状態とともに帯下の状態も大切な問診項目です。

自分の体調を管理する上でも、帯下の色、臭い、性状の清濁(清はサラサラした状態・濁はネバネバした状態)を日頃からチェックしておく必要があるといえます。

 

中医学では、人体を現代医学的な解剖論とは異なった見方をします。どちらが正しいというのではありません。異なった見方をすることで、現代医学とは違った治療が出来ることを知って頂きたいと思います。

詳しい内容は、NO168:“わかりやすい東洋医学理論”の中の「中医学の生理観・基礎概念」の項目で説明がありますので、是非参照して下さい。このページでは、詳細は省略させて頂きます。(探しずらい場合は、まとめのページの上段にもわかりやすい東洋医学理論が掲載されております。

 

中医学では、人体は“気・血・水”がスムーズに体内を巡って、必要なところに必要なだけあり、五臓六腑・経絡が正常に機能している状態を“健康”と考えます。

生殖器には臓腑では“脾、腎、肝”、経絡では奇経八脈の“衝脈、任脈”の働きが深く関わります。何らかの原因で“脾、腎、肝”の働きが低下し、“衝脈、任脈”の流れが滞ることで帯下の異常が引き起こされると考えます。

原因や、失調した臓腑などによっていくつかのタイプ(証)に分かれます。

 

 

【肝経湿熱タイプ】

帯下は、決して病的なものばかりではありません。体に必要な水分として生殖器に分泌されています。しかし、水分が停滞するなどの代謝異常が起きること“水湿の邪”に変化し病的なものとなります。そして、流れが滞ると、熱を生みます。それが肝経に、侵入することで起こるのがこのタイプです。

(症状)

帯下の量が多く、色が膿のような黄緑色です。あるいは血液が混じり、米のとぎ汁のように混濁している場合があります。

また、帯下の臭いが強く、外陰部に掻痒感や痛みがあります。

その他、尿が黄色く濃い、耳鳴り、口が苦い、咽頭の乾き、怒りっぽいといった症状や、胸肋部がつまった感じ・張った感じを伴うこともあります。

 

(治療方針)

清肝利湿・・・肝の熱を清めて、湿邪を取り去る治療です。

(食養生)

体内の熱を取る食材を摂りましょう。肉中心のこってりとした料理や、味付けの濃い料理、辛みの強い料理の食べすぎなどは、体に熱を発生させやすいため注意が必要です。野菜中心のメニューで薄味を心掛けましょう。

 

「食材」・・・

ほうれん草、もやし、セロリ、大根、きゅうり、トマト、豆腐

 

【脾虚湿困】

水湿の邪”が脾の機能を失調させた状態です。もともと脾は乾燥を好み、湿気を嫌う臓腑なのです。

(症状)

帯下は白色、性状は粘稠、臭気のないもが続きます。また、元気がない、疲れやすい、食欲不振、むくみ、泥状便などの症状があります。

 

(治療方針)

健脾益気・・・脾の運化機能を立て直し陽気を補う治療です。

除湿止帯・・・湿を取り除き、漏れ出るものを止める治療です。

(食養生)

余分な水分を出すものと、体を温めるものを組み合わせましょう。

 

「食材」・・・

きゅうり、とうがん、とうもろこし、豆類、そば、海草、あさり、しじみ、かぼちゃ、にら、ねぎ、しょうが、青じそ など

 

【腎陽虚】

腎気の身体を温める作用が著しく低下した状態です。全身および局所が冷え、冷寒症状が現れます。水分を気化させる機能が低下します。

(症状)

帯下は白色で、量が多く稀薄なのが特徴で流れるように排出されます。

顔色がどす黒い、元気がない、寒がる、四肢の冷え、夜間頻尿、腰や膝がだるく無力、頭のふらつき、などの症状があります。

 

(治療方針)

温腎補陽・・・

腎を温めて陽気を補う治療です。

 

固渋止帯・・・

腎の固摂作用(漏れ出さないように留めておく作用)を回復させる治療です。

(食養生)

体を温める食材を摂ると共に、穀類や豆類、野菜、肉、魚などをバランスよくとり寒さに負けない体力づくりを心掛けましょう。

 

「食材」・・・

かぶ、ねぎ、かぼちゃ、にら、しょうが、にんにく、栗、鶏肉、羊肉、さば、いわし、黒豆、大豆、長いも、など

その他、“紫赤色で血液様・悪臭がする場合”は、悪性腫瘍などを疑う必要があります。また、“妊娠中の多量 の水様帯下”は破水で流早産の前兆と考えられ、どちらも専門医を受診することをお勧めします。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより 一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

 

 

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