コラム

2019-02-20
冷え性

女性の半数は冷えに悩んでいると言われています。

「手足が冷たい、夜、布団に入っても足が温まらない、冷房にあたると体調を崩す、手足は冷えているのに顔はのぼせる」という声をよく耳にします。

現代医学で冷えは、症状のひとつにすぎないとされ、指導と対策は軽視されがちです。

一方東洋医学では‘冷えは万病のもと’と言われるほどでさまざまな病気の原因になると考えられています。

よくみられる肩こり、頭痛、便秘、下痢、腰痛をはじめ、月経痛、月経不順、不妊症などを引き起こす原因となるのです。

 

 

中医学的冷え症の考え方▼

中医学では、冷え症を招く要因として身体上の病気因子と環境因子、食生活や嗜好因子、ストレス、年齢・体質及び性差などが考えられます。

身体上の因子とは・・

気虚(パワー不足:疲れやすい、やる気がでないなど)

 

気滞(エネルギーが滞り、スムーズに流れない)

 

血虚(血不足のため各器官、手足などを栄養できない)

 

お血(血が滞り一定の場所で停滞してしまう)

 

水滞(体内で余分な水分が停滞してしまう)

これらの因子によって体を温める働きが低下してしまいます。

自分がどの因子にあてはまるか詳しく知りたい方は、当ホームページの「身体健康チェックの‘健康check’」を参照してください。

 

環境因子とは・・季節、天候、生活環境

食べ物・嗜好因子とは・・冷やす食べものの多食、たばこ、飲酒

 

 

中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、 様々な症状がでてきます。さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

~臓腑の働きとは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

中医学的にみた婦人科疾患で重要な臓腑の働きは下記のようになります。

 

・「肝」

1.全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。

伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。

この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

 

2.全身の血液量をコントロールし、蓄える働きがあります。

ですので、肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため(肝が支配している器官である)目のかすみ、爪が割れやすくなる、 手足がしびれる、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

・「脾」

1.食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。  

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

 

2.エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

 

3.血を脈外に漏らさないようにする働きがあります(固摂作用)。  

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

 

・「腎」・・生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。

このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。

女性では、月経不順や不妊症、閉経などの原因になります。

「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

 

 

 

中医学的冷え症のタイプと治療法▼

それぞれのタイプの原因は主に、冷たいもの、冷たい飲料(ビール)、生もの(刺身、おすしなど)の食べ過ぎなどと似ていますが、 人により症状の現れる場所や見られる症状が違いますので気をつけて見てみてください。

 

 

外寒犯胃タイプ●

冷たいもの、生ものの過食、精神的ストレスなどにより、胃の陽気が損傷されて生じるタイプです。

 

主な原因    

冷たいもの、生ものを多く摂取したとき、クーラーや寒冷にあたってしまい胃を冷やしてしまったとき

 

随伴症状   

胃のあたりの冷えと痛み(特に空腹時)があり、軽いときはシクシクと痛み、重いときは激痛、寒冷によって悪化し、温めると楽になる。

少し飲食すると楽になるが冷たいものを食べ過ぎると吐き気を催す、つばやよだれが多い、げっぷ、酸っぱい胃液が上がる、寒がる、胃のあたりがぽちゃぽちゃと音がする、手足が冷える。

 

治療方法   

脾・胃を温め、寒さを散らす「温中散寒」の治療をしていきます。     

ツボ:大椎、胃ユ、上カン、中カン、梁丘、足三里、神ケツにお灸     

漢方:小建中湯、厚朴温中湯、安中散     

 

 

脾陽虚タイプ●

冷たい食べ物、生ものの食べ過ぎによって「脾・胃」が冷えてしまい働きが弱まってしまうタイプです。現代医学的には消化機能減退、循環障害などが考えられます。

 

主な原因   

冷たいもの、生ものを多く摂取するなど

 

随伴症状   

お腹がはる、お腹が冷えると痛くなり、温めたり押さえると楽になる、手足の冷え、便が軟らかい、不消化性の下痢、寒がる、 尿は透明でうすく、量が多い、ふくらはぎがむくみやすい、疲れやすい、女性は水様の白いおりものがたくさんみられる。

 

治療方法  

脾を温め、働きを高める「健脾温陽」、寒さを散らす「散寒」の治療をしていきます。    

ツボ:脾ユ、足三里、陰陵泉、三陰交、章門、神ケツにはお灸    

漢方:附子理中湯、真武湯、人参湯

 

 

腎陽虚タイプ●

腎陽は全身の陽気(体を温める力)の源です。体を温め、生殖発育を促進する働きがあります。腎陽の働きが弱まると温める作用が失われてしまいます。

先天的に腎のエネルギーが弱いか、冷たいものの過食などから体の陽気を損なってしまうタイプです。

 

主な原因   

生まれつき体質が虚弱体質、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

 

随伴症状   

腰の周囲が冷え、時に重だるさや痛みを伴う、下腹部が冷える、手足が冷える、尿が希薄で量 が多い、 明け方に下痢、精神、気力が振るわない、性欲低下、女性では不妊症の原因にもなります。(詳しくは「不妊症について」を参照してください)

 

治療方法   

体を温め、活動力を増す「温補腎陽」の治療をしていきます。     

ツボ:大椎、命門、関元にお灸、腎ユ、太ケイ     

漢方:八味地黄丸、右帰飲

 

 

寒滞肝脈タイプ●

「肝」エネルギーは、足の親指の先端からはじまり、脚の内側、陰部を通 り下腹部、胸のあたりまで流れています。

この流れに沿った部位に、寒気が入ると、気血の流れが滞り冷えや痛みを引き起こすタイプです。

現代医学的には寒冷による血管収縮、筋肉の緊張、平滑筋のけいれんなどが考えられます。

そけいヘルニア、陰嚢水腫、腸管癒着などでみられます。

 

主な原因   

寒冷、薄着(特に下半身)、冷たいものの摂りすぎ

 

随伴症状  

冷えると下腹部が痛み、温めると楽になる、男性の場合は冷えによる痛みが睾丸に放散する、 陰嚢の収縮、または腫大、女性の場合は生理前の下腹部の冷え、痛み、温めると楽になる。

 

治療方法   

肝気の流れる通り道を温め寒さを散らす「暖肝散寒」の治療をしていきます。

ツボ:大椎、肝ユ、期門、関元、中極

漢方:暖肝煎、天台烏薬散

 

 

寒滞経脈タイプ●  

先の「寒滞肝脈タイプ」は主に肝気の流れと深く関わり、このタイプは外傷を受けた部位 に(特に関節周囲部でみられます)寒気が入り気血の流れが滞ってしまうタイプです。よく「古傷が痛む」という言葉を耳にしまが、痛みを引き起こす原因は主に冷えから来ているものと考えられます。   

リウマチの安静期、坐骨神経痛の慢性期、捻挫・骨折の後遺症などにみられます。

 

主な原因  

外傷

 

主な症状  

関節またはその周囲の筋肉や腱の冷え、痛み、手足末端の冷え、重症の場合は局所のしびれ、知覚、感覚が鈍くなる。

 

治療方法

寒さをとり、エネルギーのルートを温め、流れを良くしていく「散寒」「温経通 絡」の治療をしていきます。    

ツボ:大椎、大ジョ、懸鐘、陽稜泉、足三里、痛む部位の周囲    

漢方:四逆湯、温経湯、小柴胡湯

 

 

 

タイプ別にみる生活養生・食養生▼

私が臨床実習の勉強のため上海へ行ったときに、病院で出会った患者Aさんのお話をしたいと思います。

その方は50歳代前半の女性でとても手足が細く長く、モデル体型をしていました。訴えていた症状は、腰痛と膝の痛みでした。

私は膝の治療を受けていたAさんの脚をみてきれいな脚をしているなと思い、「モデルさんのような脚ですね。」と言いました。そうしましたらAさんは笑いながら、 「30歳代までほとんど毎日、冬でもミニスカートをはいていたのよ。そうしたら今になって急に腰や膝が痛みはじめたの。何か外傷を受けたわけでもないのに。 若いころ冷やし過ぎたのね。」と言っていました。       

このお話の例から私は、季節に応じて体を温かくしなければ体内の陽気は寒気におかされそれが成人後の冷え、腰痛、関節症など病気の原因につながることを学びました。

食生活においては、冷たいジュース、生ビール、冷水、冷茶、果物、刺身、冷たいサラダなどの冷飲冷食が多く売られ食べられています。確かに喉ごしがよくついついたくさん食べてしまいがちです。

しかしこのような食べ物を季節を問わず頻繁に食べ続けてしまうと冷え症を招くばかりでなく、さまざまな病気の原因を生み出し、胃腸病の発生率を高くする要因の一つになります。  

 

これから説明していきます、養生法を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ実践してみてください。

体質が除々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

 

【生活習慣】

夏、冷房が強く寒さを感じる場合は腹巻をしたりレッグウォーマーをはき下半身は冷やさないようにしましょう。冬は暖かい服装をし体の温まる食べ物を摂取しましょう。

入浴時はぬるめのお風呂にゆっくり入り体のしんまで温めるようにしましょう。40℃のお湯に1015分つかると温まります。

冷えやすい下半身は下腹部や腰部にカイロをはって、しっかり温めましょう。

体を温める食べ物を摂るようにしましょう。

女性は普段よりいっそう体が冷えやすい生理中は、体を冷やさないよう充分気をつけましょう。

 

【食べ物】   

~体を温め、活動力を増す作用のある食べ物を摂りましょう~

(穀類)

もち米

(肉類)

羊肉、鶏肉、牛肉

(魚介類)

えび、なまこ、あなご、いわし

(野菜)

にら、ねぎ、ししとう、かぼちゃ、しょうが、にんにく、らっきょう

(木の実)

栗、くるみ、なつめ

(香辛料)

こしょう、さんしょう、八角、酒、シナモン、黒砂糖

(お茶)

杜仲茶、ジンジャーティー黒砂糖入り、よもぎ茶

 

~体を冷やす性質のある食べ物は極力避けましょう~

(野菜)

きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)

すいか、なし、バナナ、柿、レモン

(豆類)

豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)

緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶

 

 

中医学を導入している鍼灸院は、それほど多くはございません。

ですので、 中医学的な治療を受けたいとお考えの方はお気軽に当院までご相談下さい。鍼灸・漢方全般 に関する相談も承ります。

当院は予約制となります

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