中医学のあれこれ
- 2019/03/11
- 【その他】中医学に関して
東洋医学は、本来はアジア地域の医学医療を指すものであり、(例)インド医学、チベット医学、中国医学などです。
日本においては、漢方、鍼灸、指圧、整体などを指しております。
さて、一般的に日本において、中医学という言葉は、聞き慣れないかと思います。
中医学とは、中国伝統医学や、中国医学の略称でございます。
中国、台湾、香港などで、西洋医学(現代医学)と分別するのと、伝統医学であることをあらわす為の名称でもあります。
漢方、鍼灸などの投薬、治療を行なう際に、人の体質や症状の進行具合、生命活動力、 気、血、水のエネルギーのアンバランスを診、診断や治療を決定するのに、中医学では独特な医学理論を応用します。西洋医学(現代医学)とは、病の捉え方・病の診立てがまったく違います。
日本で行われている東洋医学(鍼灸・漢方)は、日本独自に簡略アレンジ化された物で、伝統的な中医学(基本的 には陰陽五行学、臓腑学、経絡学、経穴学、気血津液学、弁証診断学などが有ります)を応用活用している診療院は数少ないです。
理由は後ほど述べます。
中医学による診察では、問診に加え聞診、舌診、脉診など特徴のある体質を判別 する診察を行います。そして、総合的診断、判断をします。検査数値とは違う角度から人体を診てゆきます。
この点が大切な所でもあります。
要するに、体内のエネルギーバランスがどのようになっているかを見定めて行くのです。
検査数値に出てこないのは、この点です。人間の体はかならずしも全てが検査数値で判断できるものではございません。
中医学も医療でありますが、西洋医学とは異なった診たてを行います。
ここでは、問診を例に挙げ、述べて見ましょう。
患者様の症状に対する問診を、事細かく質問させて頂きます。
内容は、普段の生活状態、食欲や嗜好品、睡眠内容、暑がり寒がり、大小便の状態など、 現行の症状とは、何の関係もなさそうなことまで問診致します。
理由は、患者様の体質などを把握するためです。
中医学では患者様の症状、病気の状態を診断するに当たり、その方の体質を把握する必要があるのです。
例)食事は、温かいものを好む、寒さに弱い、お通じは軟便傾向がある、小水の回数が多く、透明、クーラーに弱いなど。
問診から得た情報を整理すると、一連の内容から冷えやすいと連想がされると思います。
これが大切な所で、この方の体質はやや冷えがあると判断できます。
それにより、治療方針は、冷えを改善する治療を行ないながら、症状に対して本治(体質改善)と対症療法などを同時に行なって行くのが特徴です。
ですから、西洋医学で、診断された同じ病名の方でも、体質が違えば、治療内容・方針が変わってくるのであります。誰もが同じ治療を行なうというものではなく、誰もがオリジナルの治療、オーダーメイドの治療になります。
個々の体質を診るというのが、中医学の特徴であります。
では、この中医学を行っているところは、現行の日本では、どれだけ存在するのでしょうか?
一般的に日本において、東洋医学(鍼灸・漢方)と称されている医療がありますが(理論内容がかなり中医学と比べ簡略化されており、奥深さが足りません。)中医学理論を活用しているクリニック、鍼灸院は少ないです。なぜならば、中医学を深く学ぶ学府(学校)が日本には存在しません。ただ、中国本土から中医学を学びたい方のための通 信教育を実行している学校が数箇所ございます。或は個人的に中国や台湾へ留学され中医学を習得された方々に限られている状況です。ゆえに、中医学的な治療を望まれていても、圧倒的に数が足りていないのが現状でございます。
実際に数あるHPを検索されても、中医学を実践されている鍼灸院、クリニックのHPは、数多くないかと存じます。
この場で当院が言わんとするのは、中医学、(東洋医学・漢方・鍼灸)を受診されようと考えられている方々へ、根気よく探して下さい。中医学を行っている診療院は数少ないかも知れませんが、じっくりお探しになれば中医学を取り入れている納得いく診療院が見つかると思います。
今まで、色々一般的な東洋医学(鍼灸・漢方)中医学を導入応用されて無い所を受診され、結果 が思わしくなかった方々へ、対症療法的な治療だけでなく、体質的な面 からケアしてゆき、病気をタイプ別に分け、治療を行なう中医学的鍼灸・漢方を試みては如何でしょうか?
最後になりましたが、もう一度申し上げます。
中医診断による治療方針は、対症療法(局所)的な治療とは全く異なり、治療結果 も違います。例えば、アトピーは痒みのある場所に鍼をしてもなかなか効果 は得られません。
根本的な体質判断をし、治療を行なわないと、結果はでずらいはずです。
当院としては、中国の伝統鍼灸治療と言う物を、深く皆様に理解していただき、少しでも疾病で悩まれている方々の一助お役に立てられればと思っています。
また、鍼灸の刺激に関してですが、こちらも本来は個々の体質に合して刺激を与えるものです。一般 的に中国鍼は、太くて強い刺激を与えるイメージがありますが、それは間違った先入観と間違った情報を得てしまっています。中国鍼は、けして太く強い刺激を与えるのが中国鍼では御座いません。(多少日本鍼よりかやや太めですが刺激の調整は施術者が調整する物です。)体質を見分けたり、ツボの組み合わせを中医学理論的に活用するのが、中国鍼でございます。この点も理解していただければ有り難いです。
診立てる力は大切です。診立ての違い(診断能力・体質判別する力・体内のエネルギーのバランスの歪みを見分ける力)や治療方針(ツボの性質作用を深く理解し、ツボの組み合わせ処方する力、ツボも薬と一緒で処方能力が必要なのです)の違いにより、治療の結果 の出方も様々であり、皆様方も理解して頂けるかと存じます。
そして、このページの内容を読んで頂けた方々に、鍼灸治療では何が大切であるかを知って頂ければ幸いです。大切なのは、体質判断、体内の活力エネルギーバランスの失調の調整です。
但し、中医学が何でも100パーセント治せる物でもございません。しかし、どんな症状・疾患に対しても緩和や体力作り、良い方向に回復させようと働きかけて頂ける作用は有ります。それは自然治癒力を整え調整しているからです。ゆえに、手当て治療を受けて無駄 無意味になる事はないかと存じます。また、治療結果などは個人の体質、年齢、症状の具合、通 院の仕方などにより様々かと思います。早く結果の出る方も居れば時間の掛かる方も居ます。
当院は、鍼灸専門ですが、漢方の相談も可能です。院長は中医師でありますので、中国・台湾などで鍼灸・漢方を専門とする医師を指します。
また、業務提携している漢方専門薬局への紹介や、保健漢方を出して頂けるクリニックへの紹介状もお出しします。
ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
(月曜日・木曜日は休診です)
- 2019/03/11
- 【その他】中医学の診断について
伝統中医学(東洋医学)では、人体を細分化して診ておらず、一個体は全て繋がっており、それにより人間として営んでいると考えております。
診断の基本の考えは、人体に存在する活力エネルギー気・血・水のバランス失調を見つけ診断と治療方針を出します。(気・血・水に関しては、トップページの当院の案内の中医学の病気の捉え方をご覧下さいませ。)
要するに、人体のどこ(内臓)何が(気・血・水)がどのような状態(虚・実)に成ったかを見つけ出すの事が診断と成ります。
これが、中医学(東洋医学)診断マルマル証と言う型になります。(体質・症状の進行程度・虚・実・寒・熱タイプの分別 です。 )
ですから、何々病と言う様な、病名診断を下すのではありません。
色 々な症状の起因が、どこ((内臓)の何が(気・血・水)どの様に成ったのかを組み立てて、マルマル証と言う様に判断していく事で、診断と治療方針が決まります。
さてこれらは、採血等の検査をせずに、何を基準にして決めるかと申しますと・・・伝統中医学診察法の舌診・脈診によって判断されます。舌の型・色合い・舌の上にある苔の状態、脈の打ち方パタンによって振り分け、見分けていきます。ですから、臨床経験数・年数が診断能力に繋がって来る場合もございます。
ゆえに、中医学診断は基本的に、検査数値を求めるより症状や症候群の起因が何がアンバランスになったのかを見つけ出す事が大切なのです。基本的に病気の見立てが西洋医学と違いますので。そして中医学では各々の内臓には、西洋医学の考えとは違う働きを持たせていると考えています。
例えば、肝臓には、目・筋肉・血液の貯蔵、怒りの感情などの働きと係わっていると捉えています。ですから、目や筋肉の疾患が生じた場合、肝の臓器の働きを整えて治します。これは、検査数値に出てこない生命活力エネルギーのバランス歪みから来ているのです。ですから、人間のお体は、検査数値だけで全てが解ったり、治せたり出きるとは限らないと理解下さいませ。
それと、中医学では人間の体を細分化して見てませんので、どの様な病名、症状があっても、西洋医学のように科分けをせずに大概の科を見れます。例えば:目の疾患は眼科で、皮膚の症状は皮膚科、内臓関係は内科と言う様にそれぞれの科ごとに分けております。中医学ではその必要性が無いのです。ゆえに、色々な科の診療治療手当てが行えます。ただし、外科的手術の必要な疾患は適応では御座いませんのでご理解ご承知下さいませ。尚、個人レベルの差は御座いますのでこの点は理解して頂き、またご確認の上受診されてくださいませ。
中医学の診断や適応症に関して、詳しくお知りになりたい方は、お気軽に当院までご相談下さい。
メールアドレス:genki@dokutoruyo.com
休診日は、月曜日・木曜日です。
- 2019/03/11
- 【その他】中医学の特徴:Q&A
◎ 中医学の特徴、Q&A ◎
Q:受診する時の注意事項はありますか?
A:医療機関によっては「中医学(東洋医学)外来には化粧をせずに来て下さい」と案内するところもあります。
それは、血液検査や画像診断を重視する西洋医学に対し、中医学(東洋医学)では患者さんの様子や顔色などの情報を重視するからです。
例えば爪の色で血の巡りの状態を、顔色や目の下のクマなどから様々な症状の徴候を読み取ります。
ですから、受診の際には出来ればノーメイクに近い状態で、マニキュアも落としておいた方がよいでしょう。
また、中医学(東洋医学)では舌診・脈診・腹診という診察がありますので、予め理解しておくと良いでしょう。
Q:どのような病気に中医学(東洋医学)は効きますか?
A:西洋医学と中医学(東洋医学)には、それぞれ得意な分野があります。
中医学(東洋医学)は肩こりや冷え、月経異常など女性特有の血の道・検査数値などに出てこない病気や、西洋医学的には病気と捉えられないもの、体質改善が必要な症状にとくに有効です。
ただ、命の危険にかかわるような重篤な感染症や肺炎などには西洋医学による治療が優先されます。
Q:針灸治療は長く続けないと効果が出ない?
A:治療を続けることで体質や体調を改善していくのが針灸の大きな特徴です。
そのため、長く治療をしないと効果がでないと誤解を招いているのかもしれませんが、カゼの症状を緩和したり、痛みをとる治療など、即効性のある治療もあります。
針灸には、生体機能を調節する働きをもつものと、患部に直接作用するものとがあります。
体調や体質を改善しつつ不快な症状を取り去っていく前者の場合は、比較的効き方が緩やかで、症状や病気の程度によりますが体調の変化に気づくまでに1~2ヶ月ほどの期間を必要とすることがあります。
一方、後者の治療は比較的に短期間に効果を表します。
例えば、月経痛に痛み止めや、アレルギー性鼻炎の治療には個人差はあるものの治療後すぐに効果 があらわれる場合もあるのです。
ただ、この場合は本質的な体質改善はされておらず、一時的に症状を緩和させたに過ぎません。
Q:複数の治療を同時に行なっても大丈夫ですか?
A:一般に西洋薬では複数の症状があればその数だけの薬の種類が多くなります。
一方、針灸のツボには様々な効果が含まれているので、一治療で複数の症状が改善されることもあります。
一つの治療で足りない場合に、それを補うために複数のツボを併用することはよくあります。
Q:針灸治療と西洋薬を併用しても大丈夫ですか?
A:相乗効果や西洋薬による副作用を抑える作用が期待されるので、併用されるケースはたくさんあります。
例えば、抗がん剤による倦怠感や向精神薬による咽喉の渇きなどの副作用を抑えるために針灸治療が使われることがあります。
しかし、たとえばカゼなどをひいた場合に、冷えによるカゼの場合、中医学(東洋医学)では体を温める治療を行ないます。
なので体を温める働きを持つツボと解熱剤などの西洋薬を一緒に飲むようなことは、互いの作用を相殺してしまいます。
◎ 中医学(東洋医学)の外来受診について ◎
一般的中医学は何科何科にはっきり区別しておりません。
外科的手術以外の疾患・症状は、応々にして対応ができます。
なぜならば、中医学は、一人の人間の体を細分化せず総合的に診て行きます。
人間の体は、全てつながりがあり、臓腑の関係を保っているからです。
受診治療は、受診者の体質や体のエネルギーバランスの失調をさぐり出し、失調したバランスを調整することで疾患や症状改善、元気への回復となります。
逆に色々な症状を抱え、お悩みの方は、中医学への受診もよろしいかと、総合的に診て行くのも、一つの手と思われます。
尚、学識と臨床経験豊富の先生を探し出す事も大切です。
最近、「中国ハリへ数ヶ月通っているのだけれど、症状がいっこうに改善されない」という相談がよくあります。この様な場合、その治療院が本来の中医学理論を活用して治療に当たっていないということが殆んどです。
何故かというと、中国針や太めの針を使用するだけや、強めの刺激をするだけの治療であっても、『中国ハリ』とうたっている鍼灸院が日本には多数存在するからなのです。
中国ハリで一番大事なのは理論です。ですから、中国針や太めの針を使用するだけの治療や、強めの刺激だけの治療は到底本来の『中国ハリ』とは言えません。
中医学理論があって、初めて中国針や強めの刺激といった道具や技が生きてくるのが中医鍼灸(中国ハリ)なのです。
しかし、この中医学理論をしっかり学ばれておられる先生は残念ながら今の日本ではとても少数です。当然、そのような先生が少なければ、中医学理論を学ぼうと思っても、学べる場所も少ないわけです。又、中医学理論の根底は中国古代哲学から派生しているため、とても奥が深く、独自な概念を持ちます。そのため中医学理論をしっかりと学ぶには莫大な時間を掛けなければなりません。
以上のような理由から日本では中医学理論をしっかりと学ばれておられる先生は少なく、中国針や太めの針や強めの刺激をしているだけの治療でも、中医鍼灸(中国ハリ)とうたっている治療院が存在してしまうのです。又、1~2年位 中医学理論を学んだだけで、中医鍼灸(中国ハリ)とうたっている治療院も少なくありません。
残念ながらこのような治療院では本当の中医鍼灸治療は受けられません。
しかし、一般の患者さんが、自分の通っている治療院が本当の中医鍼灸院なのかどうかを判断するのは、なかなか難しいことです。
しかし、今の日本では、東洋医学ブームなどと言って、中医鍼灸をうたっている治療院が増えてきているのも事実であります。ですからこのHPをご覧の皆さんには、是非とも本当の中医鍼灸を体験していただきたいと願っております。そのためには皆さん自身が本当の中医鍼灸を見分ける目を持つしかありません。
そこで見分けるチェックポイントを挙げますので参考にしてみて下さい。 |
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① |
あなたの通っている鍼灸院では、丁寧な問診・舌診・脈診などを行い、色々な角度から患者さんの情報を収集していますか? 特に詳細な問診はされていますか? |
② |
あなたの通っている鍼灸院では、局所(痛みのいある部位 や病んでいる箇所)のみではなく、他の部位にも針をうっていますか?(中医鍼灸では局所のみではなく、他の場所にも針をうちます) |
③ |
あなたの体質や気血水のバランスの崩れを、中医学的にわかりやすく説明してくれますか?(中医学を本格的に学ばれておられる先生であれば、少なくともこの「疾患別 ・わかる東洋医学診断」に記載されているような理論で説明ができます) |
以上になりますが、もしもこれらの項目の中でNOがあった場合は③についてもう少し先生に質問してみてはいかがでしょうか?
しっかり中医理論を勉強されている先生なら分かり易く説明してくれるはずです。是非参考にしてみてくださいませ。
- 2019/03/11
- 【その他】中国医学の治療法
今日は、中国医学の治療法を簡単に述べさせて頂きます。
主となる治療方法は、鍼灸治療、漢方治療になります。
鍼灸は体表にある経穴(ツボ)に刺激を与えその反応で、体内の臓器の働き体調を整えて行きます。一つの経穴には、色々な効用(効き目)と作用(働き)等を持ち合わせておりまして、経穴と経穴の組み合わせで幾通 りもの治療効果や作用を発揮致します。
漢方治療は、自然の生薬を使用し、これも生薬の組み合わせで幾通りもの効果 が出ます。漢方の生薬には味とか性質が有り温めたり、熱を冷ましたり、気を上げたり、気を下げたり、しめつけたり、弛めたり、この様な働きが有り。そして、患者様から得た体の情報に合わせ生薬を組み合わせ、その方の崩れたエネルギーや体質を調整し、体を元有った元気な状態へ戻してあげる働きを、体内から調整するのが漢方治療です。
よく耳にするのですが、鍼は痛いのではないでしょうか?
漢方は苦いのではとか・・・
確かにその様な事は多少有るかと思います。しかし、実際には皆様方が想像している様な痛みや苦味は無いかと思います。治療に使用される鍼は弾力性のあるもので、医療の注射針より細く弾力もあり、すんなり体内に刺入していかれます。
私の考えでは、皆様方が痛い、苦いと言うイメージを強く抱かれているから、属に言う食わず嫌いになってしまって居るのではないかと思います。
さて、百聞は一見にしからずにもじって、百聞は一針、一口の鍼、漢方にしからずと・・・思います。
実際に受けてみたり、飲用してみたりすると、すんなり受け入れられる方の方が大勢居ます。体は素直なもので欲しているものを与えて上げますと、受け入れやすいのです。
長々となってしまいましたが、鍼灸と漢方の治療目的は、崩れた体のエネルギーの調整と不足してしまった自然治癒力を補い活性化させて、体を整える力を体内から出させる事です。
なので、検査とかで問題が無い、異常が見つからない場合は、体の元気(正常に活動させるエネルギー)が足りなかったり、自然治癒力の低下が原因の事が多いです。このような時は、やはりこれらの改善を促さないと症状の改善が難しいのではないでしょうか!?
元気と言う二文字は、見ての通り元の気、要するに元々有るエネルギーと言う意味なのです。ですから、元気が無いと言うのはエネルギーが無いと言う事です。
しかし、私は中国医学が全ての病・症状に万能とは申してませんので、誤解の無いようにお願い申し上げます。
中国医学の治療方法が、病で悩んでいる方々の何かの一助になればと思います。
- 2019/03/11
- 【その他】東洋医学の治療法について
最近では、東洋医学という言葉が定着し、誰でもが鍼や灸、漢方薬、といったものをすぐに思い浮かべるのではないでしょうか。
現代医学の治療だけでは症状が改善されない人、できるだけ体に負担の少ない自然療法的な治療を望む人など、体験されたことのある方も多いのではないかと思います。
人々の健康志向が高まるにつれ、それに関連した薬茶や薬膳料理を専門としたお店なども増えています。
東洋医学的に考えるからだの仕組みとは、ピアノの旋律の狂いによる不協和音と同じように考えることができます。一つの音の狂いは、たとえ原因が部分的な箇所だけであったとしても、弾くと全体的なメロディーの調子が乱れてしまいます。人間の体も同じように、さまざまな症状が現れている原因が1つの箇所だけであっても、体全体はすべて密接に関連をして動いているため、体の不調は全身に現れるのです。
またこの状態は、体のパワーが不足し、病が長期にわたって慢性化すればするほど、症状は複雑さを増し、全身の不調は高まり、治療には長く時間がかかってしまうku棊毆)です。
東洋医学の治療法とは、本来体が持っている力を回復し発揮させることにより、病に打ち克つ力を引き出し、体のバランスを取り戻していく治療法になります。
そこで今回は、この東洋医学の治療方法について、主に鍼や灸、病気の予防と養生法について詳しく説明していきたいと思います。
みなさんの東洋医学に関する認識が高まることにより、状況に応じて現代医学とうまく使い分けできるようになっていただけたらと思っております。
○ 中医学における健康の概念
中医学(中国医学)では、万人に当てはまる正常値という概念がありません。人も自然の一部であるとする観点からみると、季節の変化を受けて、体も変化していくことは自然なことなのです。そのため年間を通 して、体の状態が一定であるということは考えられず、生活環境や年齢の違いなどにより、バランスの取れた「良い状態」は、人それぞれで異なります。
健康状態の決め手は、免疫力や抵抗力の源とされる「正気」の充実になります。
そして、「気」「血」「水」が充分にめぐっていること、「五臓六腑」の働きが順調であること、「陰陽」のバランスがとれていることが重要な条件になります。
○東洋医学と現代医学の違い
東洋医学と現代医学は、それぞれ独自の診断と治療体系をもっています。
その違いは、それぞれのベースになる「体を見る視点」や「病気を見る視点」の違いから生まれています。
解剖学や細胞生理学をベースとする現代医学では、体は器官というさまざまなパーツの集合体とされています。
そのため、病巣であるひとつのパーツを中心に病気を見つめていきます(腫瘍などによる転移は除きます)。
一方、東洋医学では、「体全身は多くの部分が互いに密接に結びつき、生命として一つの体を成し、働いている」と見ますので、病巣がたとえひとつの部位 に限られていても、それが局所だけの問題なのか、または全身と関連して起こった問題なのか、という両方の視点で病気を見つめていきます。
尚、東洋医学では心、精神、情緒の変化でも、体に負担をかけ症状としてあらわれてきます。
そして、こうした考え方の違いは、自ずと治療にも反映されています。
現代医学では、人体を細分化していく方向で研究が行われています。そのため病巣が見つかると、その病巣部位 に、血管や神経、ホルモンなどの異常を見つけだすことで、診断や治療につなげていきます。
これに対し東洋医学では、全身を一つの有機体と見なしますので、病巣のある部位 への直接的な治療以外にも、全体的に関連したほかの部位や全身のバランスを調整します。
○中医学でとらえる体のしくみ
東洋医学では、体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらが人体を構成し、生命を保つための基本的な物質であるとされています。これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。
この「気・血・水」は、「五臓六腑」によって作られたあと、「経絡」という(エネルギーを通 る)ルートを通って、全身に運ばれその働きを発揮します。
○ 東洋医学の治療法
~体の中を流れているエネルギーバランスの調整をする~
全身に網目のように張りめぐらされている、生命エネルギーの通り道である「経絡」は普通 私たちの目に見えません。その経絡の上に点在している「経穴(ツボ)」を利用して、経絡の中を流れている「気」「血」「水」の補充や代謝、「五臓六腑」の生理作用、「陰陽」のバランスを正常な状態にもどし、正気の回復をはかり、「病邪(邪気)」を取り去っていきます。
この経絡は、体の内側の「臓腑」と体の表面をつないでおり、「内外を貫き」「上下を通 す」働きがあります。このように全身に流れている経絡は、臓腑の働きの失調が、経絡上のツボに反応点としてあらわれます。そして、そのツボに刺激を加えることにより、気血の流れを調節し、臓腑の働きを改善することができるのです。
~ツボって???~
ツボは経穴とも言われますが、経絡同様、実際に皮膚に穴はあいておらず目には見えません。しかし、目に見えない「気(エネルギー)」が出入りしています。
経絡は「気」や「血」の通り道であり、ツボはその道の上にある駅のようなものであると、よく表現されています。経絡の上のツボには、「気」や「血」の流れが滞ったりしたとき、そのトラブルが反映されます。また、体内部の臓腑ともつながっているため、臓腑の失調もツボの痛み、腫れやしこりなどといった症状としてあらわれてきます。
そして、ツボは病気の変化が現れると同時に、治療のポイントともなり、刺激することにより、気や血の流れを調整し、臓腑の働きを調えることが出来るのです。
~鍼編~
・ 鍼の種類
用途に応じて、さまざまなものを使い分けます。
【長鍼】
坐骨神経痛や腰痛など、深部へ刺激を行き渡らせたい場合は、長い鍼を使って治療していきます。
【円皮針・皮内針】
とても小さい針で、持続的に刺激をあたえるときに使う治療です。
主に痛みの疾患(例:生理痛や肩こり、張りのある部分など)のとき多く使われます。
【三稜針】
皮膚の表面を軽く傷つけ、数滴出血させる治療法です。
主に、血の滞りによる刺すような痛み(例:肩こりや腰痛など)、炎症による痛みや痒み(例:咽頭痛、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など)のときに多く使われます。
【灸頭針】
刺した鍼の頭の部分にもぐさをつけて点火する治療法です。
体の中を温め、冷えをとる効果があります。
・ さまざまな鍼治療
<現代医学的な理論に基づいた鍼灸>
日本では主に、鍼灸の専門学校教育をはじめ、臨床においても、現代医学的な診察や病気の考え方に基づいた鍼灸治療を行なっているところが多くみられます。
治療では、痛みや筋肉の凝りを取り除くこと目的がメインになり、東洋医学の診察はほとんど行なわれません。鍼を刺す部位 は、ツボや経絡より、解剖学にもとづいた筋肉のポイントを重視しています。
<スポーツ鍼灸>
スポーツ選手を対象に、筋肉の凝りを取り除き、疲労回復を目的とした治療法です。
これらは、筋肉の凝りを取り除くという意味では効果がありますが、内科、婦人科疾患には、解剖学的な表層の部分しか見ていない現代医学的な鍼灸治療及びスポーツ鍼灸は、体内部でどのような原因で症状を引き起こしているかを診断することはできません。
<中医鍼灸>
中医学の治療では、先ず「弁証」を立てていきます。
「弁証」とは、病気の原因、部位、性質など、各段階における病気のタイプを見分けることをいいます。病気の進行にしたがって、各段階のタイプが変化し、治療もそれに応じて変化していきます。その時その時の体の状態をしっかり把握し、見極め、治療もそれにあったものにしていかなくてはいけないのです。
これが本来の中医学の理論に基づいた治療方法なのですが、一方で中国の鍼だけを用いて太い鍼による強い刺激の治療だけを行ない、理論は全く応用していないというところもあります。
このように、日本ではこれといった統一された治療方法がありません。そのため鍼灸を受診される際は、どのような治療方針に基づいて治療を行なっているのか、しっかり把握する必要があります。
鍼についてよく質問される内容
1)鍼は痛くないですか?
初めて来られる患者さんは鍼と聞いて、「痛い、怖い」というイメージを強く持たれている方がほとんどです。
それは「鍼=注射針、裁縫で使う針」を連想し、注射針と同じような痛みを想像されているからだと思います。
私達が予防接種などで採血をするときに使われる注射針が、直径0.4~0.8ミリと言われています。これに対し、鍼治療で使われる鍼は、直径0.16・u梠@w)0.2ミリになります。これは、髪の毛ほどの太さであり、注射針の6分の1~2分の1の細さになります。
ですので、鍼を刺入するときの痛みは、皆さんが想像されるようものではありません。
しかし、稀に毛穴に入ってしまった場合、痛みを訴えることもありますが、鍼が細いぶん、柔らかくしなるため、抵抗なく皮膚に刺さるのです。
2)鍼刺激に対する反応について
鍼治療を受けられた方ことのある方は、鍼を刺した時に独特の感覚を感じた方もいらっしゃるかと思います。通 常、鍼治療は痛みをともなうものではありませんが、全く何も感じないというわけでもありません。
鍼を刺入したとき、患者さんはその部位に、重だるいような、ジーンとしびれるような、引っ張られるような感じを受けます。この感覚は、言葉で表現しがたく、体験した者のみが知り得るといったところがあります。こうした感覚は、「得気(とっき)」と呼ばれる鍼刺激によるひびき感であり、痛みではないのです。このひびき感を痛みと混同される方が多いのですが、痛みの場合ですと鍼のチクチク感があり、不快さが残ります。この「得気」とは、気を得るという言葉通 り、鍼灸師が鍼を媒介にして、「気」の流れをコントロールします。
しかし、鍼の操作方法については、鍼灸師の間でも様々であり、いくつもの流派に分かれます。それは、鍼を刺す深さやひびきに対する認識の違いなど、流派によって考え方が異なります。中医学の診断に基づき、治療を行なう私達にとっては、鍼刺激による「得気感」は治療効果 を高める上でとても重要な手技であり、感覚なのです。
3)鍼は使い捨てですか?
今、ほとんどの鍼灸院では、以下のタイプが用いられています。
★1回きりの使い捨て鍼を使用
★個人専用の鍼を使用
当院では後者の個人専用鍼を使用しています。
使用した鍼を個人専用の袋に入れて消毒にかけ、次回使う時まで保管しておきます。鍼は4~5回に1回の・u樞毆)合で交換をしています。また、6ヶ月を過ぎて来院されない場合は鍼を廃棄処分しています。
~灸編~
○灸治療の方法と効果
お灸も鍼と同様、ツボや経絡に働きかける治療法です。
様々な方法があり、ツボの上に直接のせて灸をすえる「直接灸」、生姜やにんにく、塩などの上に、もぐさをのせてすえる「間接灸」、体に刺した鍼の頭部分にもぐさをのせて点火する「灸頭針」という方法があります。
これらは方法の違いはあるものの治療の用途としては、温めて冷えをとり、気血の流れをよくする目的で使われます。
「間接灸」は、体を温める働きのある食材と灸を用いて、体の深部までじんわりあたためる効果 があります。
「灸頭針」は、鍼の刺激プラスお灸の温熱、赤外線効果で体の中から温め、冷えをとる効果 があります。
○灸治療の注意点
お灸の治療は熱の刺激をあたえて温めるものですので、冷えの症状に対して、高い効果 を発揮します。
しかし、体質によっては、過度の灸治療は、悪い影響が出てしまうことがありますので、注意が必要です。
また、その日の体調によっては、我慢できる程度の熱さだったにも関わらず、水泡状のやけどが出来てしまったという方がいらっしゃいます。
これは、主に体の中でうまく水分代謝が行なわれず、体内に停滞しているときにみられます。足ではむくんでいるときに見られます。
~鍼と漢方薬はどのように使い分けるのか~
鍼灸治療では、体表面にあるツボに刺激を加え、経絡に働きかけていきます。そして、経絡と関連する五臓六腑に働きかけていきます。
一方漢方薬は、服用したあと五臓六腑に薬の成分が吸収され、関連した経絡に成分が流れこんでいくことにより、治療の効果 が発揮されます。
双方をうまく併用することにより、相乗効果を生むことができるのです。
そして、整形外科的な疾患による、腰痛や神経痛、顔面神経麻痺、脳卒中後遺症など、痛みやしびれによる症状には、おもに鍼灸治療が有効です。
その他、免疫力の低下やアレルギー疾患などの体質改善に対しても有効です。
しかし、どんな疾患でも慢性病やエネルギーの消耗が激しい方などは、漢方薬との併用が有効かと思います。
~東洋医学の予防・養生編~
それぞれの土着の文化とともに発達してきた伝統医学といわれる、中国医学。
病気の治療方法についてはもちろんのこと、病気にならないために、なにを食べ、どのように生活をしたらよいのかといった病気の予防や養生法が、古典のなかにも数多く記載され、その重要さをうかがい知ることができます。
それは、病気になる前に対処することが大切と考えられ、はっきりとした病名はつかないけれど体の不調がある「未病」の段階で治療或いは予防をし、病気に進行する前に防ぐという概念です。そして、普段から治療が必要な状態にならないよう、食事の内容や生活の仕方に注意をはらいながら生活を送る「養生法」もしっかりと確立されているのです。
~養生法の3つの原則~
① 気・血・水の不足や滞りを改善する。
② 五臓六腑の働きを調える。
③ 陰陽(寒熱)のバランスを調える。
これらの3つは、最初の方でも述べました「中医学における健康の概念」の健康な状態を維持するための原則になります。
~治療と養生の違い~
治療法も、養生法もそれぞれベースになっている健康観は上記を見ていただくとわかるように、共通 しています。
それは、全身のバランスが正常に保たれていることが大切であるということです。
ここで、治療法と養生法の違いについて、はっきり認識していただきたいことがあります。
鍼灸治療や漢方薬治療など専門家による治療は、体に対する作用が強くあらわれます。それに対し、日常生活で実践する養生法は、作用が穏やかです。
養生法は予防法ですので、病気を治す治療ではありません。治療の必要性を感じられるときは、専門家の治療を受けることをお勧めします。
そして、治療と併用することにより効果も高まりますので、怠らずに、どのような養生法が自分の体質や現況にとって必要かといったことも相談されるとよいでしょう。
~養生とは~
まずは、自分の体質を把握することからはじめましょう。
その上で個々の生活の仕方がきまってきます。
例)食事・生活編
<冷え体質の人>
体を温める食材である、ショウガやにんにく、にら、えびなどを摂取し、きゅうりやトマトなど体を冷やす食材の食べものは極力避けましょう。
生活面では、薄着はさけ、特に下半身を冷やさず、温めましょう。
必要であれば、ホッカイロを使い下腹部や腰に貼って防寒しましょう。
<パワー不足による・気虚体質の人>
このタイプは、少しからだを動かすと、すぐに疲れてしまいます。スタミナが長く続かず、非常に疲れやすいといった特徴があります。
食べものでは消化吸収の良い、穀物類やかぼちゃ、なつめ、山芋、長いもなどを摂取し、冷やす食材や脂っこいもの、消化しにくい食材は避けましょう。
分量も腹八分くらいがよいでしょう。
生活面では、過労や激しい運動は避け、気功やヨーガ、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を心がけましょう。
このように、自分の体質を知ることにより日々の日常生活で行なうことのできる養生はたくさんあります。むしろ、日頃の生活習慣が病気を寄せつけない体をつくるのです。
最近では、時代の変化とともに食事や生活の中で規則正しい習慣を送ることは難しくなってきています。
しかし、自分の中で「睡眠だけはしっかりとるようにしよう」、「食事はバランスの良いものを取るよう心がけよう」といった意識を持ち実践することにより、1年後、3年後、10年後の自分の体の健やかさが変わってきます。
意気込みだけが強いと後が続かなくなってしまいますので、無理のない範囲で気軽に行なえることから始めてみましょう。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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〇 13:00まで | 休 | 〇 | 〇 | 〇 | 休 | 〇 |
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休 診 |
診 | 〇 | 〇 | 〇 | 診 | 〇 |
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