中医学のあれこれ
- 2023/05/14
- 慢性化してしまった症状を鍼灸治療で治すには!?②
気虚タイプ:活力エネルギーが不足がち疲れやすい。症状が慢性化されやすい。
気滞タイプ:活力エネルギーが滞っており、イライラや体の痛み凝りが出やすい。
血虚タイプ:皮膚が乾燥しやすい髪の毛に艶がない 精神状態が不安定になりやすい。
陰虚タイプ:血虚が進んだ状態で体を潤す力が弱い、体内が火照りやす或いはのぼせが出やすい。
瘀血タイプ:血流が低下して痛みが固定しやすい。
濕熱タイプ:湿気に弱く湿度の加減により、持っている症状が悪化しやすく体も重くなったり浮腫んだりもしやすい。
- 2023/06/03
- 鍼の刺激量・得気感の重要性について
当院の院長 楊 志成は伝統鍼灸の本場台湾で学び、中国医薬大学付属病院で臨床実習を積み、その他上海中医大学病院や世界保険機構臨床研修をも積み、もちろん日本で施術を行うに当たって日本でも就学し日本のライセンスを取得しております。
日本に於いて3カ国で学習を積んだ数少ない中医鍼灸師です。
そんな臨床歴40年 診て来た患者さんの延べ人数は25万人以上
経験豊富で、安心安全な治療を行っている鍼灸ケアを受けて見ませんか?
一般の鍼灸院では中々体感出来ない病を改善するための心地よい得気、鍼独特の響き与えられます。
体質改善への治療とリラックス効果も同時に得られます。
病を治すには、鍼独特の響きが肝心です。
癒やし・リラックスがメインの場合で有ればさほど得気を重要視しなくても良いですが、病を治したり体質改善を目的とした鍼治療を受けるので有ればある程度の響き(得気)が必要です。
結果を出すのには、刺激量も深く関わっておりますから…
得気とはツボへ鍼を打った際に感じる刺激で、痛みではなく「ズシン」と重い感じ或いは「ツン」とくる感覚です。
これは、ツボに鍼を打ったことにより発生する刺激と体が鍼の刺激を感じ取りましたと言う体からのボディランゲージの合図です。
なので心配はいらないです。
故に痛みとは違います。
痛みの場合はチクチクとする嫌な違和感の刺激を感じ我慢し難いです。
ただ鍼灸ケアを受けたことがない方だと、得気を痛みと勘違いしてしまう方々が結構居ます。
何故ならば、過去にこのような体感刺激を受けたことがないので、どのように表現して良いか分からないので、ついつい痛いと発してしまうのです。
要は、病気症状緩和させるのにはある程度の得気が必要と言う事を認識されるとよいかと思います。
また、この心地よい響き(得気感)を与えて貰うには臨床経験が豊富で技力が必要となります。
鍼ケアは、ただ鍼を打てば良いという物ではございませんので予めご理解頂けると良いと思います。
本日は鍼の響きに関して長々と読んで頂き有り難うございました。
- 2023/09/09
- 鍼灸治療に興味のある方へ
伝統中医鍼灸とはどんな鍼灸?
一般的な痛いところや患っている局所のケア治療に留まらず、個々の体質に対して治療時にケアを加え、選ぶツボが単に対症療法的だけでは御座いません。
体質改善を目的としてます。
要は木を見て森を見ずでは無く、体全体を診るのが特徴です。
東洋医学の源流・中医学という理論を基に、人の体質や病の進行状況を振り分け体内に誰しもが持ってる エネルギーの具合を診分ける。
「気」と言う臓腑を正常に働かせるエネルギー
「血」と言う体の栄養素のエネルギー
「津液」と言う体へ潤いを与えるエネルギー
中医鍼灸では、どのエネルギーがバランス失調を引き起こしているかを見つけ出す。
これらエネルギーの失調を是正する人体上のツボへ刺激し正常に戻す
エネルギーの矯正治療を行うのが伝統中医鍼灸です。
それにより体質改善とか元気な体に戻すことが可能となります。
例えば、「元気」と言う漢字にに関して、良く人と人の会話の中に元気ですかと訊ね言葉が有りますよね、元気と言う言葉は元の気のエネルギーがありますかと聞いているのです。
体調が悪かったり、エネルギーが不足気味だったりなら多分元気無いと答えるでしょう。
要するに元々ある体の気エネルギーが不足しているから元気無いと答えるのです。
だから気(エネルギー)を元の正常状態に戻すと…元気回復しましたと言うのです。
伝統中医鍼灸は患部のみの治療とは全く違い、体の失調したエネルギーを正常に戻し起因根本治療を目指している鍼灸治療を指します。
その為伝統中医学理論に基づいて治療方針を組み立てる必要があり。
局所的な治療とは全く異なり、故に臨床経験がかなり必要とされます。
尚、慢性化している症状とかの治療時には有る一定の時間が必要と考て頂ければと思います。
本日も長文を最後まで読んで頂き有り難うございました。
- 2019/03/11
- 【あいさつ】わかりやすい東洋医学理論
ここでは、皆さんが東洋医学(中医学)による疾患の説明を理解する上で、最低限必要な東洋医学(中医学)の基礎理論の説明いたします。最低限必要な基礎理論といっても、それだけで本が書けてしまう程奥深いものでありますので、ここでは概念的な説明にとどめ、詳細については各疾患の説明時に必要な範囲内で説明をいたします。
では、先ず東洋医学という言葉の意味から説明してまいりましょう。
☆ 東洋医学って何?
日本では「東洋医学」=中国で生まれた医学と思っている方も多いようですが、本来の東洋医学とは、それだけを指すものではありません。
では先ず、「東洋医学」を説明する前に、「現代医学」と「伝統医学」を簡単に紹介しましょう。
「現代医学」とは、日本でよく「西洋医学」と言われているもので、病院などで行われている最先端医療をさします。
それに対して「伝統医学」とは現代医学とは違う理論による治療を意味し、「東洋医学」もこの「伝統医学」の1つです。
つまり、「東洋医学」とは、『東洋で生まれた現代医学とは異なる理論による治療』ということになります。その中の1つに中国で生まれた医学があります。ですから、中国で生まれた医学のみを指す場合は、「中医学(中国伝統医学)」と言います。
因みに、東洋医学の中で中医学以外に有名なものとしては、皆さんも良くご存知のインドのアーユルヴェーダやチベット医学などがあります。
先程、「現代医学」のことを日本ではよく「西洋医学」と言われていると紹介しましたが、本当は「現代医学」=「西洋医学」ではありません。
なぜなら、「西洋医学」にも「伝統医学」があるからです。
皆さんも良くご存知の「アロマセラピー」や「ホミオパシ―」などが西洋の伝統医学に含まれます。ですから、病院などで受ける医学は厳密に言うと「現代西洋医学」と言います。
さて、当院では中医学による治療を基本に行っておりますので、当ホームページで東洋医学という場合は基本的には中医学を指します。
☆ 「針・灸・漢方」は全てが中医学なの?
中国で生まれた医学を「中医学」ということは理解されたと思います。
それでは、「針・灸・漢方薬」を使った治療は全て中医学だと思われますか?
答えは、『NO』です。
なぜなら、中医学で一番大事なものは『理論』なのです。確かに「針・灸・漢方」といった物は中国で生まれましたが、これらは「中医理論」の上に成り立つ治療法であります。つまり、「中医理論」に沿った「針・灸・漢方」の治療を行わなければ、それは中医鍼灸・漢方とはいえません。
では、ここでもう一度、いままで説明したことをまとめてみましょう。
1.本来の針・灸・漢方・は中医学理論の上に成り立つ治療法であります。
2.中医学は東洋医学に含まれており、東洋医学は伝統医学に含まれます。
3.伝統医学とは現代医学とは違う理論による治療です。
ここで、皆さんに一番理解して頂きたいのは、中医学と現代医学とは理論が全く違い、「針・灸・漢方」は中医理論の上に成り立つ治療法であるということです。ですから「針・灸・漢方」を現代医学に応用する事はとても有意義なことですが、現代医学の理論のみで、「針・灸・漢方」の治療を行っても、本来の効果 を100%発揮させることは出来ません。
中医学が現代医学と違う理論による医学だからこそ、病院で治らなかった病気が中医学で治ることがあるのです。逆に言えば、もし中医学が現代医学と同じ理論による医学だとしたら、病院で治せない病気は、中医学でも治せないことになるでしょう。
以前、当院へ次のような相談の電話がありました。
中国に転勤されていた方が体調を崩されてしまい、現地で漢方薬を処方してもらったところ、だいぶ症状が改善したそうです。その方はそれ以降も現地で漢方薬を継続して服用され、症状も落ち着いていたそうです。ところが、日本へ帰国して引き続き日本の漢方薬局で漢方薬を処方してもらっていたところ、症状が元に戻ってしまったというのです。
実はこの様な話は珍しい話ではないのです。中国では中医学の理論により漢方薬の処方をされていたのでしょうが、帰国されて行かれた薬局は中医学の理論による処方ではなかったようです。 (後ほど紹介しますが、日本には中医学に基づく中国漢方と、そうでないものがあります。)
この様に同じ漢方でも、病気を診立てる理論に違いがあると、結果が違ってきてしまうのです。
そして、このような事は、漢方薬に限らず鍼灸でも同じ事が言えるのです。
中医学の理論について、その大切さがおわかりになってきましたでしょうか。 では、次に中医学の基礎理論について説明をしたいと思いますが、先程も述べましたが中医学と皆さんが親しんでいる現代医学とは、基礎理論が全く異なります。最初はとまどうこともあるかと思いますが、是非、中医学的な考え方に慣れてみて下さい。
☆中医学の基礎概念
中医学も現代医学と同様に医学です。医学である以上そこにはしっかりとした学問体系や理論が存在します。医学には正常な身体の状態を考える『生理観』(現代医学では生理学や解剖学など・中医学では臓腑学や経絡経穴学や気血津液学など)というものがあり、その上に病気の成り立ちを考える『病理観』(現代医学では病理学・中医学では病因学説や病機学説)が存在します。 つまり、病気を理解するためには、まず正常な身体の仕組みや構造を理解しなければ病気を理解することは出来ません。
更に、中医学の生理観の根底は幾つかの古代中国哲学の思想により築かれております。
ですから、中医学の生理観を理解するには、それらの思想を簡単にでも知っていると理解しやすいかと思います。
そこで、先ずそれらの考え方を紹介し、次に生理観の説明をしてみたいと思います。
▼中医学の根底にある古代中国哲学▼
《天人相応》
一言で言い表すと「人体は自然界の一部であり、人体は自然界より多大な影響を受ける」という考え方です。
「天」は自然界のしくみを、「人」は人体のしくみ(生理観・病理観)を意味します。
「天人相応」とは、「天」と「人」のしくみを作っている要素は基本的に同じであり、人体の生理・病理の変化は自然界の変化と相応関係にあるという考え方です。自然界の法則を人体に当てはめて、人体の生理・病理を理解するもので中医学の考え方の根底をなすものです。
《陰陽》
陰陽とは古代中国哲学を構成する物の一つで、一言で説明しきれない奥が深い理論でありますので、ここでは簡単に説明します。
陰陽とは「全ての事物や現象には相反する二面性(陰と陽)があり、これらは対立しあいながら統一し、互いに依存しあう事によりバランスをとっている」という考えです。
例えば、上下・左右・内外・静動・夜昼・男女・腹背・・・・・など。
なかなかイメージしづらいと思いますので、その一部を温度(体温)を例にして説明しましょう。
温度についての相反する二面性といえば、寒と熱があります。次に寒熱を陰陽で分類すると、寒は陰に、熱は陽に属します。陽は体を温める作用があり、陰は体を冷やす作用があります。この働きは対立関係にあります。体内で陰・陽は互いに抑制し合うことで適度な体温を保っております。つまり、対立することで(陰陽バランスがとれている状態)体温は平常体温でいられるわけです。ところが、陽気の亢進や陰気の不足は熱症状を、陰気の亢進や陽気の不足は冷えの症状が現れます。このように陰陽関係のバランスが崩れてしまうことを「陰陽失調」といいます。
この陰陽の理論に医療実践を積み重ね確立されたものが「陰陽学説」です。
《五行学説》
五行学説の基本的な考え方は、この世のあらゆる事物・現象は5つの基本物質の要素が含まれており、その基本物質間で生じる運動と変化によって生成されると言う考え方です。
5つの基本物質とは「木」「火」「土」「金」「水」であり、これらそれぞれが、助け合ったり、抑制しあったりして世の中の平衡は保たれております。
実はこの「木」~「水」の順番には深い意味がありますので、これらの関係の一部を紹介しましょう。
<相生>
では先ず、先程の「木」~「水」の順でみてみましょう。
「木」を燃やすと「火」が生まれ、「火」から灰が生まれ「土」になります。「土」が沢山集まれば山ができ、山には金山があり「金」を生みます。「金山」からは「水」も湧き出、「水」は「木」を育てます。次から次へと生まれてゆく関係になります。この様な関係を「相生」といいます。
<相克>
次に、先程の順番を「木」「土」「水」「火」「金」と1つ飛ばしに見てみると、「木」は「土」から養分を奪い、「土」は「水」をせき止めます。「水」は「火」を消し、「火」は「金」を溶かします。「金」は鉱物を意味しますので、鉱物からできている斧で「木」は切られてしまいます。今度は次から次へと抑制してゆく関係になります。この様な関係を「相克」といいます。
いかがですか、単純ですが、よく考えられている関係だと思いませんか?
さて、世の中のあらゆる事物・現象はこの5つの物質に分類でき、いま説明した様にお互いに影響しあいながらバランスを保っております。
人間の体もこれと同じで臓腑もこの五つの基本物質に分類することができ、これらが適正に影響し合うことで健康でいられます。
▼中医学の生理観▼
≪気・血・水≫
中医学では人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されると考えます。
そしてこれらが多くも少なくもなく適量でバランスよく、且つスムーズに流れてこそ健康でいられると考えます。
<気>
気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。
主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。
<血>
血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。
ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。
また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。
<水(津液)>
水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。
《内臓(五臓六腑)》
さて、次は内臓です。よく「五臓六腑にしみわたる」などといいますが、この五臓六腑が中医学の考える内蔵のことです。西洋医学のそれとは異なり中医学では内臓を物体として区別 するのではなく、働きで区別します。
六腑は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。
具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。
先程の働きの他にも五臓六腑には沢山の働きがあります。しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。それは、西洋医学と同じ臓腑の名前を使ってはいますが、冒頭で説明したように中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。
各臓腑に「気・血・水」の働きなどが加わって、人体の働きを構成していると考えております。ゆえに、西洋医学の臓腑との働きの違い、考え方の違いが存在するのです。
尚、各臓腑についての詳細については、各疾患の説明の際に必要な範囲で説明いたします。
《経絡》
経絡とは一言で言えば気血水を全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです。経絡の作用は「生理作用」「病理作用」「治療作用」の3つに分けられます。上記の気血水が流れる経路としての働きが「生理作用」になります。ところが経絡は気血以外にも病気の原因を運行させたり、針灸の刺激や漢方薬の効果 を患部へ伝達させたりします。前者の作用を「病理作用」といい、後者を「治療作用」といいます。
又、経絡が何らかの病因物質によって塞がれてしまうことがあります。
経絡は人体を縦方向に走る「経脈」と経脈の分枝の「絡脈」に分かれます。又、経脈の中には正経12経と言われる経脈があり、これは経脈の中でも特に重要なもので、それぞれ一対の臓腑と深い関係があります。
次に生理観以外の基礎概念について説明します。
☆生理観以外の基礎概念
《病因》
病因とは病気となる原因のことです。中医学ではこの病因を「外因・内因・不内外因」の3つに大別 します。
『外因』とは身体の外の環境が病因となるものをさします。これらは自然界の六候が変化したもので、六淫と呼ばれ「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」の6種類あります。
これらの六淫が通常の範囲であれば問題はありません。例えば夏は暑くて冬は寒いのは当然の話ですが、六淫が過剰であったり、季節はずれであったり、急激な気候の変化は体に負担を掛け害を及ぼして病気を引き起こします。
例えば、暑ければ熱中症・寒ければ体の冷え、などがあります。
この様に自然の変化と体の変化を結びつけた考え方は、先程説明した「天人相応」の思想です。
『内因』とは過度の精神状態が病因となるものをさします。これらは「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の7種類あり、これらは七情と呼ばれます。
七情は健康な方も持っていますが、これらの感情が過度であったり、長時間持続的に続く場合は正常ではありません。この様な状態を「情志失調」といい、病因になってしまいます。
心療内科系の疾患は、これら情志失調と深く関わっております。
中医学では情志の失調が内臓(五臓六腑)にも影響すると考えております。その結果 、気血のバランスを崩してしまい、心療内科系の疾患が発病すると考えます。
『不内外因』とは内因・外因のどちらにも属さないものをさします。これらは「不節な飲食・外傷・寄生虫・過労・運動不足」などがあります。
「不節な飲食」とは食べ過ぎ・飢え・偏食・不衛生な物の飲食があります。偏食には、「肥甘厚味の過食」「辛辣の過食」「生冷の過食」「飲酒の過度」があります。
◎「肥甘厚味」とは甘い物・味の濃い物・油っぽい物・といった食物をさします。これらの食べ物は体内に余分な水分や熱を生産させます。
◎「辛辣の過食」の辛辣とは辛くて熱い味をいいます。このような食べ物を食べすぎると胃腸に熱がこもります。
◎「生冷の過食」は生ま物と、冷たい物の採り過ぎを言います。これらの食べ物は消化能力を下げてしまいます。
《弁証》
中医学では病気の種類を「証」(しょう)と言います。その「証」を見極めることを「弁証」と言います。つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。もう少し具体的に説明しましょう。
先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームーズに流れていなくてはなりません。もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。
弁証とは、何が原因で・何が(気・血・水)・何処で(臓腑)・どの様に(不足ぎみ・多過ぎ)・バランスを崩しているのかを見極めるのです。
皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的には、みな同じ治療が施されたり、同じ薬が処方されたりします。しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。例えば、風邪などは数種類の弁証があります。弁証により、使用するツボや漢方薬が違ってきます。
つまり、中医学は病名に対する治療ではなく、人間個人の体質・症状に合わせた治療になります。
さて、実際の治療では、患者さんの弁証が出来たら、次に治療方針を考えます。
《治則と治法》
中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。
治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。
治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。
簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。
《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》
『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。
「理」とは理解と言う意味で、具体的には「弁証」により病気を理解することをさします。
「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。
「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。
「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。
つまり、本来の臨床の現場では「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。
問診もしっかり行わず痛い所やコリが在る所に針を打ったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。
中医学の基礎理論について、その概念的な説明をしてまいりました。上記のことをふまえて各疾患について読まれるとよいと思います。
さて、最後にもし皆さんが治療院を選ぶ際にどのような点に注意をすればよいのかを記載しておきます。
☆日本における中医学の現状
ここまで読まれた方は中医学の理論が我々の親しんでいる現代医学のそれとは全く異なっていることが理解されたことと思います。
しかし、残念なことに現在の日本では、中医学理論をしっかりと学んでいる、針灸師・医師・薬剤師は非常に少ないのが現状です。
皆さんの認識では、針灸師は皆、中医学の知識が豊富とお考えになると思いますが、それは大きな間違いなのです。なぜなら、鍼灸師の国家試験問題の殆んどは現代医学から出題されますので、針灸学校の授業は現代医学が中心で、中医学の授業は殆んどありません。ですから中医学を学びたいと思う学生や針灸師の方は個人で勉強をしたり、研修先を探さなければなりません。しかし、中医学による治療を行っている治療院自体が少ないので、研修先を探すといっても大変なことで、なかなか研修先を見つけられません。
医大や薬科大では最近になり徐々に中医学の授業も取り入れられてきてはおりますが、現代医学との比率から考えますと、殆んどが現代医学の授業となっております。
以上の理由から、中医学の知識のある針灸師はとても少ないというのがおわかりになると思います。また、漢方薬についても同様で、医師や薬剤師さんも中医学を学ばれている方はまだまだ少ないのが現状ですから、漢方薬が中医理論による処方をされている場合は少ないと言えます。
では、中医学以外に日本の針灸ではどの様な治療が施されているかと言うと、「経絡治療」といって、中医学をベースに日本国内で独自に発展した軽めの刺激の治療法や、「良導絡」といった現代医学と東洋医学をミックスさせたような治療や、「気血水」や「ツボ」といった概念を持たずに、硬くなっている筋肉や障害のある神経にアプローチする「現代医学的」な治療などがあります。漢方薬については中医学理論による「中国漢方(中薬)」と江戸時代に日本国内で独自に発展した「日本漢方(和漢)」があります。この2つはかなりの相違があるのですが、一般 の方はなかなかその違いを知っておられる方は少ないのが現状です。ですから先程紹介した、中国で処方された漢方は効いたのに、日本で処方された漢方は効かないということがおこってしまうのです。
ここでは、中医学が一番優れていると言っているのではありません。それぞれの治療法には利点も欠点もあります。ですから皆さんが治療院を選ぶ際に一番大事なことは、自分に一番合った治療法を選択するということです。例えば、体質改善を計りたいので、中医針灸を選択するのもいいでしょうし、筋肉痛などの運動器疾患や整形外科的疾患であれば、現代医学的な治療を行っている治療院で十分で、わざわざ数の少ない中医針灸院を探すことはないでしょう。又、鍼の刺激が嫌いな方は「経絡治療」を行っている治療院を探すのも1つの方法です。
このように自分にあった治療院を選べばよいのです。
また、現代医学の場合は診断をする際に様々な近代的検査を実施してデータや数字により診断をおこないますが、東洋医学の診断はデーターや数字というものは使わず、患者さんの、脈・顔色・舌・性格・日常生活の状況・食べ物の好み・主症状・随伴症状・家庭環境・・・・・などから総合して診断を行いますから、現代医学に比較して東洋医学の施術者の場合は、経験を含め個々の能力の差が大きいといえます。
冒頭でも述べましたが、今、東洋医学はかなり注目をされつつあり、様々なメディアで取り上げられております。情報量 が多いだけに、いい加減な情報もあります。ですから皆さんはその多い情報のなかから、「自分にあった信頼のおける治療院」を探さなければならないのです。そのためには、皆さん自身が針灸についての知識を深めるしかありません。そして、自分はどの治療法が適しているのかを判断して、さらにその治療法を行っている治療院の中から能力のある先生を探し出してください。
中医針灸を選択される場合は、最低でもここに記載されている事がスラスラと分かりやすく説明でき、且つ、皆さんの病態を中医学的に皆さんが納得のいくように説明できる先生をお探しください。
ご自分にあった鍼灸院を見つける近道は、皆さん自身が針灸師を見極める目を養うことしかないのです。
当ホームページが皆様の一助になれれば幸いと考えております。
- 2019/03/11
- 【その他】ツボについて
一般に「ツボ」と呼ばれるものは、専門的には“経穴(けいけつ)”といいます。
気や血の通り道とされる“経絡”の上にある“穴(あな)”ということです。
穴といっても、実際に目に見える穴が皮膚に開いているわけではありません。
しかし、目に見えない「気」がそこから出入りしていると考えられています。
気や血の流れが滞ったときには、経絡の上のツボにそれらのトラブルが反映されます。
また経絡は臓腑とつながっているため、その上のツボには、臓腑の不調も反映されます。
気や血のトラブル、臓腑の不調は、ツボの痛み・腫れ・しこりやへこみといった変化としてあらわれます。
それと同時に、ツボは治療のポイントにもなります。
ツボを刺激することで、気や血の流れを調節し、臓腑の働きを整えることが出来ます。
ツボには、
①局所部位に対する治療作用
②近隣部位に対する治療作用
③遠隔部位及び全身に対する治療作用
の3つがあります。
例えば、合谷穴(親指と人差し指の間のツボ)は、手や腕の腫脹・疼痛、手の痺れといった局所の疾患を治療できると同時に、上肢麻痺など近隣部位 の疾患や、更には身体の痛み・頭痛・全身性の発熱疾患など遠隔部位 や全身性の疾患も治療できます。
このように、どのツボにも局所・近隣・遠隔及び全身の3方面の主治作用があります。
局所・近隣の治療作用は、ツボの所在する部位に基づくもので、遠隔及び全身の治療作用は経絡に基づくものです。
鍼灸の治療では, ツボの3方面への主治作用に基づいて選穴と配穴が行われ効果 が発揮されるのです。
経絡とツボ(経穴)については、数千年にわたって実践と研究が繰り返され、次第にその理論体系が確立され、「経絡学説」とよばれるまでに至りました。
経絡学説は、臓腑の生理、病理、疾病診断、予後の分析、治則・治法の確立に欠かすことのできない重要な理論です。
特に、鍼灸による弁証論治には重要な役割をもっています。
それでは、どのようにしてこのような学説が生まれてきたのでしょう。
遠く古代の人々は、どのような医薬も存在しない中、厳しい自然環境と闘い、疾病と闘わなければなりませんでした。
身体のどこかに病や痛みがある時には、自然に手で揉んだり・叩いたりして、その症状を緩解させていたのでしょう。
時として、火傷をしたり、石にあたったり、いばらの棘を刺したりした結果 、身体の他の病や痛みが軽減あるいは消失するという偶然に出会うことがありました。
こうした些細な偶然の現象が、長い歴史の流れの中で繰り返し何回となく出現していくと、次第に無意識に刺激を加えていた段階から意識的に刺激を加えるようになりました。
ある部位を焼いたり、あぶったり、叩いたりして病や痛みを治療するようになっていったのです。
このようにしてツボの概念が生まれてきました。
その時代には決まった場所も、いわゆるツボの名称もなく、ただ痛みのある場所に刺激を加えるというやり方でした。
石器時代に疾病の治療に用いた針具は石で作られた「砭石(へんせき)」というものでした。
後になって、骨針や竹針も用いられるようになり、皮膚を破って針を刺したり、瀉血(血を出すこと)して疾病を治療するようになりました。
例えば、膿んだ部分に針を刺して排膿したり、痛点を刺激して治療をしていました。
青銅器時代から鉄器時代へと時代が進むにつれて金属製の針が登場してきました。
金属針は刺激する部位を集約することができ、面から小さな点へと刺激の範囲を縮小させ、深さを自在にでき、操作も石針に比べてスムーズでした。
また、刺針の強度も調節でき、把握することが出来るようになりました。
このようにして発見されてきた“だるさ・しびれ・腫れぼったさ・重さ”などの刺針感覚を古代の人々は「得気(とっき)」と呼び、刺針刺激の点を“気穴”と称するようになりました。
得気の出現とその上下への伝導は、あたかも体内に地下道があるかのようであり、それによりツボを“穴道”とか“輸穴”とも呼ぶようになりました。
こうしたことが経絡概念の形成に大きく作用したのでした。
実践経験の蓄積にともなって、ツボの治療作用に対する歴代の医家の認識も拡がり深まっていきました。
同時に新しいツボも次々と発見されました。
“痛みの有るところ”を治療点としていた局所取穴は次第に主治作用に基づく選穴へと発展していきました。
歴代の医家は、ツボの治療作用の分析・分類を通じて治療作用の類似したツボが一定の部位 に列をなして分布し、特に四肢の肘膝関節より末端のツボにそれが際立っていることを発見しました。
このようにして主治がおおよそ同じで一定の内在的関連のあるツボがつなぎ合されて経絡が形成され経絡上のツボを経穴と呼ぶようになりました。
現在、世界保健機構(WHO)に認定されているツボの数は361あります。
しかし、「素問」という鍼灸治療について書かれた古い書物では160とされています。
ツボの数は、時代や考え方によっても変わっていきます。
新しく発見されて治療効果が認められるツボもあり、ツボの進化は現在も続いています。
鍼灸治療を行う鍼灸師は、ツボ(経穴)に対して認識が深くなければ人を治すことが出来ません。
特に、慢性病・難病などを行う際は中医学(東洋医学)的な診断が行なえ、それに対して体調のアンバランスは起因の場所がどこで、どの経穴を使って調整したら良いのかを知らないとバランス調整の治療は行えません。
なので、鍼灸治療は単純そうに見えますが実は奥深い物が有り、また鍼を打った後も、鍼に対して症状により手技を加え、経穴に反応させたりする必要が有ります。
特に、痛みのない疾患に関しては、それこそ診断能力がないと行えないかと思います。
そして疾患治療に対してより良い経穴は何かを考える力が必要になってきます。
経穴に関して多少ご理解頂けましたでしょうか?
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9:00~ 12:00 |
〇 13:00まで | 休 | 〇 | 〇 | 〇 | 休 | 〇 |
14:00~ 16:30 |
休 診 |
診 | 〇 | 〇 | 〇 | 診 | 〇 |
※ 火曜日・水曜日・木曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。
〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目17-10