湿気が高くなる梅雨や夏場に関して、中医学においては「湿邪(しつじゃ)湿気」が体に悪影響を及ぼしやすい時期とされています。
湿気は重く滞りやすい性質があるため、特に水分代謝の働きと関係のある消化器系の中医学的解釈「脾(ひ)」を傷めやすいのが特徴です。
湿気の高い時期に現れやすい主な症状や病態を、東洋医学(中医学)と西洋医学の両面から整理しました。
1. 東洋医学的なアプローチ:湿邪(湿気)による病態
東洋医学では、過剰な湿気が体内に侵入すると、気の巡りや水の巡りが阻害され、以下のような「脾」の機能低下(脾虚)や水の上昇・停滞による症状が引き起こされます。
・脾胃(ひい)の障害(消化不良・食欲不振)
「脾は湿を嫌う」と言われ、湿気によって消化吸収機能が低下します。胃もたれ、食欲不振、お腹の張り、下痢や軟便、下肢の浮腫が起こりやすくなります。
・水湿の停滞(むくみ・身体の重だるさ)
体内の余分な水分が排泄されず滞ることで、下半身や顔のむくみ、頭が重い(頭重感)めまい、身体全体がだるく動かしにくいといった症状が出ます。
・関節痛・神経痛(湿痺:しつひ)
湿気が関節や経絡(けいらく)に滞ると、気血の巡りが悪くなり、関節の痛みや重だるさ、神経痛が悪化しやすくなります。雨の日に古傷が痛むのもこのためです。
2. 西洋医学的なアプローチ:環境変化による病態
西洋医学的にも、高湿度とそれに伴う気圧の変化(低気圧)は、自律神経や免疫系に大きな負荷をかけます。
・天気痛・気象病(頭痛・めまい)
低気圧と高湿度が重なると、内耳のセンサーが過剰に反応し、自律神経(交奮・副交感神経)のバランスが崩れます。これにより、偏頭痛、めまい、だるさなどが誘発されます。
・皮膚疾患(湿疹・水虫・あせも)
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、皮膚のバリア機能が低下します。また、カビ(真菌)や細菌が繁殖しやすい環境になるため、湿疹、アトピーの悪化、足白癬(水虫)などが発症・増悪しやすくなります。
・呼吸器疾患(喘息の悪化)
湿度の高さは室内のダニやカビの繁殖を促します。これらがアレルゲンとなり、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の発作を引き起こす原因になります。
・湿邪対策のポイント
東洋医学(中医学)において、この時期は「健脾利湿(けんぴりしつ:脾を元気にし、余分な水分を出す)」が治療や養生の基本となります。
湿気が体に負担かける事ご理解頂けましたでしょうか。