コラム

2019-03-11
【その他】ツボについて

一般に「ツボ」と呼ばれるものは、専門的には“経穴(けいけつ)”といいます。

気や血の通り道とされる“経絡”の上にある“穴(あな)”ということです。

穴といっても、実際に目に見える穴が皮膚に開いているわけではありません。

しかし、目に見えない「気」がそこから出入りしていると考えられています。

 

気や血の流れが滞ったときには、経絡の上のツボにそれらのトラブルが反映されます。

また経絡は臓腑とつながっているため、その上のツボには、臓腑の不調も反映されます。

気や血のトラブル、臓腑の不調は、ツボの痛み・腫れ・しこりやへこみといった変化としてあらわれます。

それと同時に、ツボは治療のポイントにもなります。

ツボを刺激することで、気や血の流れを調節し、臓腑の働きを整えることが出来ます。

 

ツボには、

①局所部位に対する治療作用

②近隣部位に対する治療作用

③遠隔部位及び全身に対する治療作用

の3つがあります。

 

例えば、合谷穴(親指と人差し指の間のツボ)は、手や腕の腫脹・疼痛、手の痺れといった局所の疾患を治療できると同時に、上肢麻痺など近隣部位 の疾患や、更には身体の痛み・頭痛・全身性の発熱疾患など遠隔部位 や全身性の疾患も治療できます。

 

このように、どのツボにも局所・近隣・遠隔及び全身の3方面の主治作用があります。

局所・近隣の治療作用は、ツボの所在する部位に基づくもので、遠隔及び全身の治療作用は経絡に基づくものです。

鍼灸の治療では, ツボの3方面への主治作用に基づいて選穴と配穴が行われ効果 が発揮されるのです。

 

経絡とツボ(経穴)については、数千年にわたって実践と研究が繰り返され、次第にその理論体系が確立され、「経絡学説」とよばれるまでに至りました。

経絡学説は、臓腑の生理、病理、疾病診断、予後の分析、治則・治法の確立に欠かすことのできない重要な理論です。

特に、鍼灸による弁証論治には重要な役割をもっています。

 

それでは、どのようにしてこのような学説が生まれてきたのでしょう。

遠く古代の人々は、どのような医薬も存在しない中、厳しい自然環境と闘い、疾病と闘わなければなりませんでした。

身体のどこかに病や痛みがある時には、自然に手で揉んだり・叩いたりして、その症状を緩解させていたのでしょう。

時として、火傷をしたり、石にあたったり、いばらの棘を刺したりした結果 、身体の他の病や痛みが軽減あるいは消失するという偶然に出会うことがありました。

 

こうした些細な偶然の現象が、長い歴史の流れの中で繰り返し何回となく出現していくと、次第に無意識に刺激を加えていた段階から意識的に刺激を加えるようになりました。

ある部位を焼いたり、あぶったり、叩いたりして病や痛みを治療するようになっていったのです。

このようにしてツボの概念が生まれてきました。

その時代には決まった場所も、いわゆるツボの名称もなく、ただ痛みのある場所に刺激を加えるというやり方でした。

 

石器時代に疾病の治療に用いた針具は石で作られた「砭石(へんせき)」というものでした。

後になって、骨針や竹針も用いられるようになり、皮膚を破って針を刺したり、瀉血(血を出すこと)して疾病を治療するようになりました。

例えば、膿んだ部分に針を刺して排膿したり、痛点を刺激して治療をしていました。

 

青銅器時代から鉄器時代へと時代が進むにつれて金属製の針が登場してきました。

金属針は刺激する部位を集約することができ、面から小さな点へと刺激の範囲を縮小させ、深さを自在にでき、操作も石針に比べてスムーズでした。

また、刺針の強度も調節でき、把握することが出来るようになりました。

 

このようにして発見されてきた“だるさ・しびれ・腫れぼったさ・重さ”などの刺針感覚を古代の人々は「得気(とっき)」と呼び、刺針刺激の点を“気穴”と称するようになりました。

得気の出現とその上下への伝導は、あたかも体内に地下道があるかのようであり、それによりツボを“穴道”とか“輸穴”とも呼ぶようになりました。

こうしたことが経絡概念の形成に大きく作用したのでした。

 

実践経験の蓄積にともなって、ツボの治療作用に対する歴代の医家の認識も拡がり深まっていきました。

同時に新しいツボも次々と発見されました。

“痛みの有るところ”を治療点としていた局所取穴は次第に主治作用に基づく選穴へと発展していきました。

歴代の医家は、ツボの治療作用の分析・分類を通じて治療作用の類似したツボが一定の部位 に列をなして分布し、特に四肢の肘膝関節より末端のツボにそれが際立っていることを発見しました。

このようにして主治がおおよそ同じで一定の内在的関連のあるツボがつなぎ合されて経絡が形成され経絡上のツボを経穴と呼ぶようになりました。

 

現在、世界保健機構(WHO)に認定されているツボの数は361あります。

しかし、「素問」という鍼灸治療について書かれた古い書物では160とされています。

ツボの数は、時代や考え方によっても変わっていきます。

新しく発見されて治療効果が認められるツボもあり、ツボの進化は現在も続いています。

 

 

鍼灸治療を行う鍼灸師は、ツボ(経穴)に対して認識が深くなければ人を治すことが出来ません。

特に、慢性病・難病などを行う際は中医学(東洋医学)的な診断が行なえ、それに対して体調のアンバランスは起因の場所がどこで、どの経穴を使って調整したら良いのかを知らないとバランス調整の治療は行えません。

なので、鍼灸治療は単純そうに見えますが実は奥深い物が有り、また鍼を打った後も、鍼に対して症状により手技を加え、経穴に反応させたりする必要が有ります。

特に、痛みのない疾患に関しては、それこそ診断能力がないと行えないかと思います。

そして疾患治療に対してより良い経穴は何かを考える力が必要になってきます。

 

経穴に関して多少ご理解頂けましたでしょうか?

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