東洋医学は、本来はアジア地域の医学医療を指すものであり、(例)インド医学、チベット医学、中国医学などです。
日本においては、漢方、鍼灸、指圧、整体などを指しております。
さて、一般的に日本において、中医学という言葉は、聞き慣れないかと思います。
中医学とは、中国伝統医学や、中国医学の略称でございます。
中国、台湾、香港などで、西洋医学(現代医学)と分別するのと、伝統医学であることをあらわす為の名称でもあります。
漢方、鍼灸などの投薬、治療を行なう際に、人の体質や症状の進行具合、生命活動力、 気、血、水のエネルギーのアンバランスを診、診断や治療を決定するのに、中医学では独特な医学理論を応用します。西洋医学(現代医学)とは、病の捉え方・病の診立てがまったく違います。
日本で行われている東洋医学(鍼灸・漢方)は、日本独自に簡略アレンジ化された物で、伝統的な中医学(基本的 には陰陽五行学、臓腑学、経絡学、経穴学、気血津液学、弁証診断学などが有ります)を応用活用している診療院は数少ないです。
理由は後ほど述べます。
中医学による診察では、問診に加え聞診、舌診、脉診など特徴のある体質を判別 する診察を行います。そして、総合的診断、判断をします。検査数値とは違う角度から人体を診てゆきます。
この点が大切な所でもあります。
要するに、体内のエネルギーバランスがどのようになっているかを見定めて行くのです。
検査数値に出てこないのは、この点です。人間の体はかならずしも全てが検査数値で判断できるものではございません。
中医学も医療でありますが、西洋医学とは異なった診たてを行います。
ここでは、問診を例に挙げ、述べて見ましょう。
患者様の症状に対する問診を、事細かく質問させて頂きます。
内容は、普段の生活状態、食欲や嗜好品、睡眠内容、暑がり寒がり、大小便の状態など、 現行の症状とは、何の関係もなさそうなことまで問診致します。
理由は、患者様の体質などを把握するためです。
中医学では患者様の症状、病気の状態を診断するに当たり、その方の体質を把握する必要があるのです。
例)食事は、温かいものを好む、寒さに弱い、お通じは軟便傾向がある、小水の回数が多く、透明、クーラーに弱いなど。
問診から得た情報を整理すると、一連の内容から冷えやすいと連想がされると思います。
これが大切な所で、この方の体質はやや冷えがあると判断できます。
それにより、治療方針は、冷えを改善する治療を行ないながら、症状に対して本治(体質改善)と対症療法などを同時に行なって行くのが特徴です。
ですから、西洋医学で、診断された同じ病名の方でも、体質が違えば、治療内容・方針が変わってくるのであります。誰もが同じ治療を行なうというものではなく、誰もがオリジナルの治療、オーダーメイドの治療になります。
個々の体質を診るというのが、中医学の特徴であります。
では、この中医学を行っているところは、現行の日本では、どれだけ存在するのでしょうか?
一般的に日本において、東洋医学(鍼灸・漢方)と称されている医療がありますが(理論内容がかなり中医学と比べ簡略化されており、奥深さが足りません。)中医学理論を活用しているクリニック、鍼灸院は少ないです。なぜならば、中医学を深く学ぶ学府(学校)が日本には存在しません。ただ、中国本土から中医学を学びたい方のための通 信教育を実行している学校が数箇所ございます。或は個人的に中国や台湾へ留学され中医学を習得された方々に限られている状況です。ゆえに、中医学的な治療を望まれていても、圧倒的に数が足りていないのが現状でございます。
実際に数あるHPを検索されても、中医学を実践されている鍼灸院、クリニックのHPは、数多くないかと存じます。
この場で当院が言わんとするのは、中医学、(東洋医学・漢方・鍼灸)を受診されようと考えられている方々へ、根気よく探して下さい。中医学を行っている診療院は数少ないかも知れませんが、じっくりお探しになれば中医学を取り入れている納得いく診療院が見つかると思います。
今まで、色々一般的な東洋医学(鍼灸・漢方)中医学を導入応用されて無い所を受診され、結果 が思わしくなかった方々へ、対症療法的な治療だけでなく、体質的な面 からケアしてゆき、病気をタイプ別に分け、治療を行なう中医学的鍼灸・漢方を試みては如何でしょうか?
最後になりましたが、もう一度申し上げます。
中医診断による治療方針は、対症療法(局所)的な治療とは全く異なり、治療結果 も違います。例えば、アトピーは痒みのある場所に鍼をしてもなかなか効果 は得られません。
根本的な体質判断をし、治療を行なわないと、結果はでずらいはずです。
当院としては、中国の伝統鍼灸治療と言う物を、深く皆様に理解していただき、少しでも疾病で悩まれている方々の一助お役に立てられればと思っています。
また、鍼灸の刺激に関してですが、こちらも本来は個々の体質に合して刺激を与えるものです。一般 的に中国鍼は、太くて強い刺激を与えるイメージがありますが、それは間違った先入観と間違った情報を得てしまっています。中国鍼は、けして太く強い刺激を与えるのが中国鍼では御座いません。(多少日本鍼よりかやや太めですが刺激の調整は施術者が調整する物です。)体質を見分けたり、ツボの組み合わせを中医学理論的に活用するのが、中国鍼でございます。この点も理解していただければ有り難いです。
診立てる力は大切です。診立ての違い(診断能力・体質判別する力・体内のエネルギーのバランスの歪みを見分ける力)や治療方針(ツボの性質作用を深く理解し、ツボの組み合わせ処方する力、ツボも薬と一緒で処方能力が必要なのです)の違いにより、治療の結果 の出方も様々であり、皆様方も理解して頂けるかと存じます。
そして、このページの内容を読んで頂けた方々に、鍼灸治療では何が大切であるかを知って頂ければ幸いです。大切なのは、体質判断、体内の活力エネルギーバランスの失調の調整です。
但し、中医学が何でも100パーセント治せる物でもございません。しかし、どんな症状・疾患に対しても緩和や体力作り、良い方向に回復させようと働きかけて頂ける作用は有ります。それは自然治癒力を整え調整しているからです。ゆえに、手当て治療を受けて無駄 無意味になる事はないかと存じます。また、治療結果などは個人の体質、年齢、症状の具合、通 院の仕方などにより様々かと思います。早く結果の出る方も居れば時間の掛かる方も居ます。
当院は、鍼灸専門ですが、漢方の相談も可能です。院長は中医師でありますので、中国・台湾などで鍼灸・漢方を専門とする医師を指します。
また、業務提携している漢方専門薬局への紹介や、保健漢方を出して頂けるクリニックへの紹介状もお出しします。
ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
(月曜日・木曜日は休診です)