コラム

2019/03/11
【あいさつ】わかりやすい東洋医学理論

ここでは、皆さんが東洋医学(中医学)による疾患の説明を理解する上で、最低限必要な東洋医学(中医学)の基礎理論の説明いたします。最低限必要な基礎理論といっても、それだけで本が書けてしまう程奥深いものでありますので、ここでは概念的な説明にとどめ、詳細については各疾患の説明時に必要な範囲内で説明をいたします。

では、先ず東洋医学という言葉の意味から説明してまいりましょう。

 

 

☆ 東洋医学って何?

日本では「東洋医学」=中国で生まれた医学と思っている方も多いようですが、本来の東洋医学とは、それだけを指すものではありません。

では先ず、「東洋医学」を説明する前に、「現代医学」と「伝統医学」を簡単に紹介しましょう。

「現代医学」とは、日本でよく「西洋医学」と言われているもので、病院などで行われている最先端医療をさします。

それに対して「伝統医学」とは現代医学とは違う理論による治療を意味し、「東洋医学」もこの「伝統医学」の1つです。

つまり、「東洋医学」とは、『東洋で生まれた現代医学とは異なる理論による治療』ということになります。その中の1つに中国で生まれた医学があります。ですから、中国で生まれた医学のみを指す場合は、「中医学(中国伝統医学)」と言います。

因みに、東洋医学の中で中医学以外に有名なものとしては、皆さんも良くご存知のインドのアーユルヴェーダやチベット医学などがあります。

先程、「現代医学」のことを日本ではよく「西洋医学」と言われていると紹介しましたが、本当は「現代医学」=「西洋医学」ではありません。

なぜなら、「西洋医学」にも「伝統医学」があるからです。

皆さんも良くご存知の「アロマセラピー」や「ホミオパシ―」などが西洋の伝統医学に含まれます。ですから、病院などで受ける医学は厳密に言うと「現代西洋医学」と言います。

さて、当院では中医学による治療を基本に行っておりますので、当ホームページで東洋医学という場合は基本的には中医学を指します。

 

 

☆ 「針・灸・漢方」は全てが中医学なの?

中国で生まれた医学を「中医学」ということは理解されたと思います。

それでは、「針・灸・漢方薬」を使った治療は全て中医学だと思われますか?

答えは、『NO』です。

なぜなら、中医学で一番大事なものは『理論』なのです。確かに「針・灸・漢方」といった物は中国で生まれましたが、これらは「中医理論」の上に成り立つ治療法であります。つまり、「中医理論」に沿った「針・灸・漢方」の治療を行わなければ、それは中医鍼灸・漢方とはいえません。

 

では、ここでもう一度、いままで説明したことをまとめてみましょう。

1.本来の針・灸・漢方・は中医学理論の上に成り立つ治療法であります。

2.中医学は東洋医学に含まれており、東洋医学は伝統医学に含まれます。

3.伝統医学とは現代医学とは違う理論による治療です。

 

ここで、皆さんに一番理解して頂きたいのは、中医学と現代医学とは理論が全く違い、「針・灸・漢方」は中医理論の上に成り立つ治療法であるということです。ですから「針・灸・漢方」を現代医学に応用する事はとても有意義なことですが、現代医学の理論のみで、「針・灸・漢方」の治療を行っても、本来の効果 を100%発揮させることは出来ません。

中医学が現代医学と違う理論による医学だからこそ、病院で治らなかった病気が中医学で治ることがあるのです。逆に言えば、もし中医学が現代医学と同じ理論による医学だとしたら、病院で治せない病気は、中医学でも治せないことになるでしょう。

 

以前、当院へ次のような相談の電話がありました。

中国に転勤されていた方が体調を崩されてしまい、現地で漢方薬を処方してもらったところ、だいぶ症状が改善したそうです。その方はそれ以降も現地で漢方薬を継続して服用され、症状も落ち着いていたそうです。ところが、日本へ帰国して引き続き日本の漢方薬局で漢方薬を処方してもらっていたところ、症状が元に戻ってしまったというのです。

実はこの様な話は珍しい話ではないのです。中国では中医学の理論により漢方薬の処方をされていたのでしょうが、帰国されて行かれた薬局は中医学の理論による処方ではなかったようです。 (後ほど紹介しますが、日本には中医学に基づく中国漢方と、そうでないものがあります。)

この様に同じ漢方でも、病気を診立てる理論に違いがあると、結果が違ってきてしまうのです。

そして、このような事は、漢方薬に限らず鍼灸でも同じ事が言えるのです。

 

中医学の理論について、その大切さがおわかりになってきましたでしょうか。 では、次に中医学の基礎理論について説明をしたいと思いますが、先程も述べましたが中医学と皆さんが親しんでいる現代医学とは、基礎理論が全く異なります。最初はとまどうこともあるかと思いますが、是非、中医学的な考え方に慣れてみて下さい。

 

 

☆中医学の基礎概念

中医学も現代医学と同様に医学です。医学である以上そこにはしっかりとした学問体系や理論が存在します。医学には正常な身体の状態を考える『生理観』(現代医学では生理学や解剖学など・中医学では臓腑学や経絡経穴学や気血津液学など)というものがあり、その上に病気の成り立ちを考える『病理観』(現代医学では病理学・中医学では病因学説や病機学説)が存在します。 つまり、病気を理解するためには、まず正常な身体の仕組みや構造を理解しなければ病気を理解することは出来ません。

更に、中医学の生理観の根底は幾つかの古代中国哲学の思想により築かれております。

ですから、中医学の生理観を理解するには、それらの思想を簡単にでも知っていると理解しやすいかと思います。

そこで、先ずそれらの考え方を紹介し、次に生理観の説明をしてみたいと思います。

 

 

 

▼中医学の根底にある古代中国哲学▼

《天人相応》

一言で言い表すと「人体は自然界の一部であり、人体は自然界より多大な影響を受ける」という考え方です。

「天」は自然界のしくみを、「人」は人体のしくみ(生理観・病理観)を意味します。

「天人相応」とは、「天」と「人」のしくみを作っている要素は基本的に同じであり、人体の生理・病理の変化は自然界の変化と相応関係にあるという考え方です。自然界の法則を人体に当てはめて、人体の生理・病理を理解するもので中医学の考え方の根底をなすものです。

 

《陰陽》

陰陽とは古代中国哲学を構成する物の一つで、一言で説明しきれない奥が深い理論でありますので、ここでは簡単に説明します。

陰陽とは「全ての事物や現象には相反する二面性(陰と陽)があり、これらは対立しあいながら統一し、互いに依存しあう事によりバランスをとっている」という考えです。

例えば、上下・左右・内外・静動・夜昼・男女・腹背・・・・・など。

なかなかイメージしづらいと思いますので、その一部を温度(体温)を例にして説明しましょう。

温度についての相反する二面性といえば、寒と熱があります。次に寒熱を陰陽で分類すると、寒は陰に、熱は陽に属します。陽は体を温める作用があり、陰は体を冷やす作用があります。この働きは対立関係にあります。体内で陰・陽は互いに抑制し合うことで適度な体温を保っております。つまり、対立することで(陰陽バランスがとれている状態)体温は平常体温でいられるわけです。ところが、陽気の亢進や陰気の不足は熱症状を、陰気の亢進や陽気の不足は冷えの症状が現れます。このように陰陽関係のバランスが崩れてしまうことを「陰陽失調」といいます。

この陰陽の理論に医療実践を積み重ね確立されたものが「陰陽学説」です。

 

《五行学説》

五行学説の基本的な考え方は、この世のあらゆる事物・現象は5つの基本物質の要素が含まれており、その基本物質間で生じる運動と変化によって生成されると言う考え方です。

5つの基本物質とは「木」「火」「土」「金」「水」であり、これらそれぞれが、助け合ったり、抑制しあったりして世の中の平衡は保たれております。

実はこの「木」~「水」の順番には深い意味がありますので、これらの関係の一部を紹介しましょう。

 

<相生>

では先ず、先程の「木」~「水」の順でみてみましょう。

「木」を燃やすと「火」が生まれ、「火」から灰が生まれ「土」になります。「土」が沢山集まれば山ができ、山には金山があり「金」を生みます。「金山」からは「水」も湧き出、「水」は「木」を育てます。次から次へと生まれてゆく関係になります。この様な関係を「相生」といいます。

 

<相克>

次に、先程の順番を「木」「土」「水」「火」「金」と1つ飛ばしに見てみると、「木」は「土」から養分を奪い、「土」は「水」をせき止めます。「水」は「火」を消し、「火」は「金」を溶かします。「金」は鉱物を意味しますので、鉱物からできている斧で「木」は切られてしまいます。今度は次から次へと抑制してゆく関係になります。この様な関係を「相克」といいます。

 

いかがですか、単純ですが、よく考えられている関係だと思いませんか?

 

さて、世の中のあらゆる事物・現象はこの5つの物質に分類でき、いま説明した様にお互いに影響しあいながらバランスを保っております。

人間の体もこれと同じで臓腑もこの五つの基本物質に分類することができ、これらが適正に影響し合うことで健康でいられます。

 

 

▼中医学の生理観▼

≪気・血・水≫ 

中医学では人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されると考えます。

そしてこれらが多くも少なくもなく適量でバランスよく、且つスムーズに流れてこそ健康でいられると考えます。

 

<気>

気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。

主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

 

《内臓(五臓六腑)》

さて、次は内臓です。よく「五臓六腑にしみわたる」などといいますが、この五臓六腑が中医学の考える内蔵のことです。西洋医学のそれとは異なり中医学では内臓を物体として区別 するのではなく、働きで区別します。

六腑は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。

具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。

先程の働きの他にも五臓六腑には沢山の働きがあります。しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。それは、西洋医学と同じ臓腑の名前を使ってはいますが、冒頭で説明したように中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。

各臓腑に「気・血・水」の働きなどが加わって、人体の働きを構成していると考えております。ゆえに、西洋医学の臓腑との働きの違い、考え方の違いが存在するのです。

尚、各臓腑についての詳細については、各疾患の説明の際に必要な範囲で説明いたします。

 

 

《経絡》

経絡とは一言で言えば気血水を全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです。経絡の作用は「生理作用」「病理作用」「治療作用」の3つに分けられます。上記の気血水が流れる経路としての働きが「生理作用」になります。ところが経絡は気血以外にも病気の原因を運行させたり、針灸の刺激や漢方薬の効果 を患部へ伝達させたりします。前者の作用を「病理作用」といい、後者を「治療作用」といいます。

又、経絡が何らかの病因物質によって塞がれてしまうことがあります。

経絡は人体を縦方向に走る「経脈」と経脈の分枝の「絡脈」に分かれます。又、経脈の中には正経12経と言われる経脈があり、これは経脈の中でも特に重要なもので、それぞれ一対の臓腑と深い関係があります。

 

次に生理観以外の基礎概念について説明します。

 

 

☆生理観以外の基礎概念

《病因》

病因とは病気となる原因のことです。中医学ではこの病因を「外因・内因・不内外因」の3つに大別 します。

 

『外因』とは身体の外の環境が病因となるものをさします。これらは自然界の六候が変化したもので、六淫と呼ばれ「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」の6種類あります。

これらの六淫が通常の範囲であれば問題はありません。例えば夏は暑くて冬は寒いのは当然の話ですが、六淫が過剰であったり、季節はずれであったり、急激な気候の変化は体に負担を掛け害を及ぼして病気を引き起こします。

例えば、暑ければ熱中症・寒ければ体の冷え、などがあります。

この様に自然の変化と体の変化を結びつけた考え方は、先程説明した「天人相応」の思想です。

 

『内因』とは過度の精神状態が病因となるものをさします。これらは「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の7種類あり、これらは七情と呼ばれます。

七情は健康な方も持っていますが、これらの感情が過度であったり、長時間持続的に続く場合は正常ではありません。この様な状態を「情志失調」といい、病因になってしまいます。

心療内科系の疾患は、これら情志失調と深く関わっております。

中医学では情志の失調が内臓(五臓六腑)にも影響すると考えております。その結果 、気血のバランスを崩してしまい、心療内科系の疾患が発病すると考えます。

 

『不内外因』とは内因・外因のどちらにも属さないものをさします。これらは「不節な飲食・外傷・寄生虫・過労・運動不足」などがあります。

「不節な飲食」とは食べ過ぎ・飢え・偏食・不衛生な物の飲食があります。偏食には、「肥甘厚味の過食」「辛辣の過食」「生冷の過食」「飲酒の過度」があります。

◎「肥甘厚味」とは甘い物・味の濃い物・油っぽい物・といった食物をさします。これらの食べ物は体内に余分な水分や熱を生産させます。

◎「辛辣の過食」の辛辣とは辛くて熱い味をいいます。このような食べ物を食べすぎると胃腸に熱がこもります。

◎「生冷の過食」は生ま物と、冷たい物の採り過ぎを言います。これらの食べ物は消化能力を下げてしまいます。

 

 

《弁証》

中医学では病気の種類を「証」(しょう)と言います。その「証」を見極めることを「弁証」と言います。つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。もう少し具体的に説明しましょう。

先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームーズに流れていなくてはなりません。もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。

弁証とは、何が原因で・何が(気・血・水)・何処で(臓腑)・どの様に(不足ぎみ・多過ぎ)・バランスを崩しているのかを見極めるのです。

皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的には、みな同じ治療が施されたり、同じ薬が処方されたりします。しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。例えば、風邪などは数種類の弁証があります。弁証により、使用するツボや漢方薬が違ってきます。

つまり、中医学は病名に対する治療ではなく、人間個人の体質・症状に合わせた治療になります。

 

さて、実際の治療では、患者さんの弁証が出来たら、次に治療方針を考えます。

 

 

《治則と治法》

中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。

治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。

治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。

簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

 

 

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》

『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。

「理」とは理解と言う意味で、具体的には「弁証」により病気を理解することをさします。

「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。

「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。

「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。

 

つまり、本来の臨床の現場では「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。

問診もしっかり行わず痛い所やコリが在る所に針を打ったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。

 

中医学の基礎理論について、その概念的な説明をしてまいりました。上記のことをふまえて各疾患について読まれるとよいと思います。

 

さて、最後にもし皆さんが治療院を選ぶ際にどのような点に注意をすればよいのかを記載しておきます。

 

 

☆日本における中医学の現状

ここまで読まれた方は中医学の理論が我々の親しんでいる現代医学のそれとは全く異なっていることが理解されたことと思います。

しかし、残念なことに現在の日本では、中医学理論をしっかりと学んでいる、針灸師・医師・薬剤師は非常に少ないのが現状です。

皆さんの認識では、針灸師は皆、中医学の知識が豊富とお考えになると思いますが、それは大きな間違いなのです。なぜなら、鍼灸師の国家試験問題の殆んどは現代医学から出題されますので、針灸学校の授業は現代医学が中心で、中医学の授業は殆んどありません。ですから中医学を学びたいと思う学生や針灸師の方は個人で勉強をしたり、研修先を探さなければなりません。しかし、中医学による治療を行っている治療院自体が少ないので、研修先を探すといっても大変なことで、なかなか研修先を見つけられません。

医大や薬科大では最近になり徐々に中医学の授業も取り入れられてきてはおりますが、現代医学との比率から考えますと、殆んどが現代医学の授業となっております。

以上の理由から、中医学の知識のある針灸師はとても少ないというのがおわかりになると思います。また、漢方薬についても同様で、医師や薬剤師さんも中医学を学ばれている方はまだまだ少ないのが現状ですから、漢方薬が中医理論による処方をされている場合は少ないと言えます。

では、中医学以外に日本の針灸ではどの様な治療が施されているかと言うと、「経絡治療」といって、中医学をベースに日本国内で独自に発展した軽めの刺激の治療法や、「良導絡」といった現代医学と東洋医学をミックスさせたような治療や、「気血水」や「ツボ」といった概念を持たずに、硬くなっている筋肉や障害のある神経にアプローチする「現代医学的」な治療などがあります。漢方薬については中医学理論による「中国漢方(中薬)」と江戸時代に日本国内で独自に発展した「日本漢方(和漢)」があります。この2つはかなりの相違があるのですが、一般 の方はなかなかその違いを知っておられる方は少ないのが現状です。ですから先程紹介した、中国で処方された漢方は効いたのに、日本で処方された漢方は効かないということがおこってしまうのです。

 

ここでは、中医学が一番優れていると言っているのではありません。それぞれの治療法には利点も欠点もあります。ですから皆さんが治療院を選ぶ際に一番大事なことは、自分に一番合った治療法を選択するということです。例えば、体質改善を計りたいので、中医針灸を選択するのもいいでしょうし、筋肉痛などの運動器疾患や整形外科的疾患であれば、現代医学的な治療を行っている治療院で十分で、わざわざ数の少ない中医針灸院を探すことはないでしょう。又、鍼の刺激が嫌いな方は「経絡治療」を行っている治療院を探すのも1つの方法です。

このように自分にあった治療院を選べばよいのです。

また、現代医学の場合は診断をする際に様々な近代的検査を実施してデータや数字により診断をおこないますが、東洋医学の診断はデーターや数字というものは使わず、患者さんの、脈・顔色・舌・性格・日常生活の状況・食べ物の好み・主症状・随伴症状・家庭環境・・・・・などから総合して診断を行いますから、現代医学に比較して東洋医学の施術者の場合は、経験を含め個々の能力の差が大きいといえます。

冒頭でも述べましたが、今、東洋医学はかなり注目をされつつあり、様々なメディアで取り上げられております。情報量 が多いだけに、いい加減な情報もあります。ですから皆さんはその多い情報のなかから、「自分にあった信頼のおける治療院」を探さなければならないのです。そのためには、皆さん自身が針灸についての知識を深めるしかありません。そして、自分はどの治療法が適しているのかを判断して、さらにその治療法を行っている治療院の中から能力のある先生を探し出してください。

中医針灸を選択される場合は、最低でもここに記載されている事がスラスラと分かりやすく説明でき、且つ、皆さんの病態を中医学的に皆さんが納得のいくように説明できる先生をお探しください。

ご自分にあった鍼灸院を見つける近道は、皆さん自身が針灸師を見極める目を養うことしかないのです。

当ホームページが皆様の一助になれれば幸いと考えております。

2019/03/11
【その他】ツボについて

一般に「ツボ」と呼ばれるものは、専門的には“経穴(けいけつ)”といいます。

気や血の通り道とされる“経絡”の上にある“穴(あな)”ということです。

穴といっても、実際に目に見える穴が皮膚に開いているわけではありません。

しかし、目に見えない「気」がそこから出入りしていると考えられています。

 

気や血の流れが滞ったときには、経絡の上のツボにそれらのトラブルが反映されます。

また経絡は臓腑とつながっているため、その上のツボには、臓腑の不調も反映されます。

気や血のトラブル、臓腑の不調は、ツボの痛み・腫れ・しこりやへこみといった変化としてあらわれます。

それと同時に、ツボは治療のポイントにもなります。

ツボを刺激することで、気や血の流れを調節し、臓腑の働きを整えることが出来ます。

 

ツボには、

①局所部位に対する治療作用

②近隣部位に対する治療作用

③遠隔部位及び全身に対する治療作用

の3つがあります。

 

例えば、合谷穴(親指と人差し指の間のツボ)は、手や腕の腫脹・疼痛、手の痺れといった局所の疾患を治療できると同時に、上肢麻痺など近隣部位 の疾患や、更には身体の痛み・頭痛・全身性の発熱疾患など遠隔部位 や全身性の疾患も治療できます。

 

このように、どのツボにも局所・近隣・遠隔及び全身の3方面の主治作用があります。

局所・近隣の治療作用は、ツボの所在する部位に基づくもので、遠隔及び全身の治療作用は経絡に基づくものです。

鍼灸の治療では, ツボの3方面への主治作用に基づいて選穴と配穴が行われ効果 が発揮されるのです。

 

経絡とツボ(経穴)については、数千年にわたって実践と研究が繰り返され、次第にその理論体系が確立され、「経絡学説」とよばれるまでに至りました。

経絡学説は、臓腑の生理、病理、疾病診断、予後の分析、治則・治法の確立に欠かすことのできない重要な理論です。

特に、鍼灸による弁証論治には重要な役割をもっています。

 

それでは、どのようにしてこのような学説が生まれてきたのでしょう。

遠く古代の人々は、どのような医薬も存在しない中、厳しい自然環境と闘い、疾病と闘わなければなりませんでした。

身体のどこかに病や痛みがある時には、自然に手で揉んだり・叩いたりして、その症状を緩解させていたのでしょう。

時として、火傷をしたり、石にあたったり、いばらの棘を刺したりした結果 、身体の他の病や痛みが軽減あるいは消失するという偶然に出会うことがありました。

 

こうした些細な偶然の現象が、長い歴史の流れの中で繰り返し何回となく出現していくと、次第に無意識に刺激を加えていた段階から意識的に刺激を加えるようになりました。

ある部位を焼いたり、あぶったり、叩いたりして病や痛みを治療するようになっていったのです。

このようにしてツボの概念が生まれてきました。

その時代には決まった場所も、いわゆるツボの名称もなく、ただ痛みのある場所に刺激を加えるというやり方でした。

 

石器時代に疾病の治療に用いた針具は石で作られた「砭石(へんせき)」というものでした。

後になって、骨針や竹針も用いられるようになり、皮膚を破って針を刺したり、瀉血(血を出すこと)して疾病を治療するようになりました。

例えば、膿んだ部分に針を刺して排膿したり、痛点を刺激して治療をしていました。

 

青銅器時代から鉄器時代へと時代が進むにつれて金属製の針が登場してきました。

金属針は刺激する部位を集約することができ、面から小さな点へと刺激の範囲を縮小させ、深さを自在にでき、操作も石針に比べてスムーズでした。

また、刺針の強度も調節でき、把握することが出来るようになりました。

 

このようにして発見されてきた“だるさ・しびれ・腫れぼったさ・重さ”などの刺針感覚を古代の人々は「得気(とっき)」と呼び、刺針刺激の点を“気穴”と称するようになりました。

得気の出現とその上下への伝導は、あたかも体内に地下道があるかのようであり、それによりツボを“穴道”とか“輸穴”とも呼ぶようになりました。

こうしたことが経絡概念の形成に大きく作用したのでした。

 

実践経験の蓄積にともなって、ツボの治療作用に対する歴代の医家の認識も拡がり深まっていきました。

同時に新しいツボも次々と発見されました。

“痛みの有るところ”を治療点としていた局所取穴は次第に主治作用に基づく選穴へと発展していきました。

歴代の医家は、ツボの治療作用の分析・分類を通じて治療作用の類似したツボが一定の部位 に列をなして分布し、特に四肢の肘膝関節より末端のツボにそれが際立っていることを発見しました。

このようにして主治がおおよそ同じで一定の内在的関連のあるツボがつなぎ合されて経絡が形成され経絡上のツボを経穴と呼ぶようになりました。

 

現在、世界保健機構(WHO)に認定されているツボの数は361あります。

しかし、「素問」という鍼灸治療について書かれた古い書物では160とされています。

ツボの数は、時代や考え方によっても変わっていきます。

新しく発見されて治療効果が認められるツボもあり、ツボの進化は現在も続いています。

 

 

鍼灸治療を行う鍼灸師は、ツボ(経穴)に対して認識が深くなければ人を治すことが出来ません。

特に、慢性病・難病などを行う際は中医学(東洋医学)的な診断が行なえ、それに対して体調のアンバランスは起因の場所がどこで、どの経穴を使って調整したら良いのかを知らないとバランス調整の治療は行えません。

なので、鍼灸治療は単純そうに見えますが実は奥深い物が有り、また鍼を打った後も、鍼に対して症状により手技を加え、経穴に反応させたりする必要が有ります。

特に、痛みのない疾患に関しては、それこそ診断能力がないと行えないかと思います。

そして疾患治療に対してより良い経穴は何かを考える力が必要になってきます。

 

経穴に関して多少ご理解頂けましたでしょうか?

2019/03/11
【その他】経路について

鍼灸の治療では、頭痛の治療の時に合谷という親指と人差し指の間にあるツボに鍼を刺したり、胃痛などの消化器に関する治療の時に足三里という脛(スネ)のところにあるツボを使ったりします。

これらは、神経の走行(流れ)やホルモンの分泌によって治療されているわけではありません。痛みにかかわらず内科、婦人科、耳鼻科などを中医学で治療または予防養生する場合は、これからお話しする経絡の流れを利用して治療を行っているのです。

 

経絡は、それ自体は目に見えるものではないので、概念を理解するのは難しいかもしれませんが、中医学の理論の中でもとても重要な理論です。

 

経絡の経とは、「縦の方向」という意味があります。絡には「網」とか「ネットワーク」の意味があります。

つまり経絡とは、身体を縦に貫き、そこから網状にネットワークをつなげる通 路という意味になります。

 

最も基本的な作用としては、気血(気と血)の流れる通り道です。

 

経絡の作用には生理作用、病理作用、予防治療作用と3つあります。

 

 

○生理作用では、気血の運行、陰陽協調の作用と病邪から抵抗防御する作用があります。

①経絡は上下内外の身体中を網状に連絡している

経絡は人体の表裏(浅い所と深いところ)内外や上下左右を通り、身体周囲や前後を連絡します。

 

②経絡上に気血を運行させ、身体を栄養している

気血は経絡を通じ、五臓六腑、四肢から全ての骨、五官(目、耳、鼻、舌、皮膚)九竅(キュウキョウ:穴)、筋肉、脈、皮膚などの全身を栄養しています。

 

③陰陽のバランスをとっている

経絡が気血を全身に巡らせ、上下内外を正常に連絡することにより、身体の陰陽を組織的に統一しています。

 

④病邪から抵抗防御する

外感六淫(風寒暑湿燥火:気候、環境の影響)=外邪は多くは、皮膚から侵入し、経絡を通 じ徐々に臓腑を侵していきます。

経絡には、この外邪に抵抗し身体を防御する作用があります。

気の種類の中でも「衛気(エキ)」という気が身体表層部の引き締めをし、外邪からの身体の攻撃を防ぎます。

 

 

○病理作用では、身体の内外の邪気による病的変化を反映する作用があります。

病気の元である邪気もまた経絡によって伝達していきます。

中医学の病因は三因論といい、内傷七情(喜怒優思悲恐惊:心因的な影響)、外感六淫や、これら以外の不内外因(飲食不節、過度の労働や運動、安逸、外傷、寄生虫、房事過多など)により邪気が発生します。

これらの内外の邪気が経絡の流れに乗って身体中をめぐり、外から内へ、上から下などと発生した場所以外のところにも到達します。

例えば、冷たい風にあたってしまったのがきっかけで、腰が痛くなったり、お腹の調子まで悪くなったりするのは邪気が経絡に乗って腰や、お腹まで巡ることにより発生するものです。

 

 

○予防治療作用では、経絡に与えられた刺激を伝導して、虚実を調整する作用があります。

経絡上に鍼灸やマッサージを施すと、経絡系統に反応が起きます。この反応が病気のある所に伝導することにより虚実を調整し治療することができます。

鍼灸等の治療の時に、治療を受けている人は一種の感覚を受けます。この感覚は、だるい、シビレ、張る、冷たい、熱い、蟻が這う、または水が流れるなどと表現され、経絡に沿って拡散します。気を得ると書いて「得気(トッキ)」や「響き」と言われます。

また、この感覚は線状で、太さは粗い綿の糸ぐらいで、部位によって太さや深さに差があります。

 

※よく経絡の治療作用は神経や血流によって伝達するホルモンの作用と同じものと説明されることがあります。

しかし、伝達速度の説から見ると、この得気の感覚は10cm/秒の速度で伝達し、トゲが刺さった時に瞬間的に感じる痛みなどの感覚神経(体性神経)の速度(100M/秒)より遅く、また循環、呼吸、消化などの自律機能をつかさどる自律神経の速度(1M/秒)よりも遅く、血流によって作用するホルモンの作用速度(分単位 で作用)よりは速いことからわかるように、経絡とは神経、ホルモンの作用とは違うものです。また、この説の伝達速度からみると経絡は自律神経よりは細いと推測できます。

 

 

次に、経絡の分類についてお話します。

 

経絡には、それぞれ支配する器官によって経脈、経筋、皮部などいくつかの種類がるのですが、その中でも十二経脈という経絡が主体になります。十二経脈の「十二」という数字は十二ヶ月に対応し、人体と自然界が統一的に存在していることを示しています。

この十二経脈は内経(ナイケイ)という古典に「十二経脈は、内は蔵に属し、外は肢節と絡(まと)う」と説明されるように、十二経脈は、内は五臓六腑を連絡し、外は四肢や血管、筋、骨、皮膚などを連絡します。

十二経脈は十二正経とも呼ばれます。

 

 

○十二経脈について

 

①外行部分と内行部分

十二経脈は外行部分と内行部分に分かれます。

外行の流れは体表部に反映し、特有の経穴(ケイケツ、ツボ)を持ちます。

内行する部分は臓腑に連絡しています。

 

②陰と陽

この十二経脈は陰陽にも分かれ、手足でも分かれます。流れには一定の法則があり、手の三陰、手の三陽、足の三陽、足の三陰と4つに分かれています。4つに分かれている事もまた、自然界の四季に通 じているといえます。

陰経は「臓(肝、心、脾、肺、腎)」と連絡し、陽経は「腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦)」に連絡します。

三陰と三陽は、陰陽の気の盛衰(量)によって、さらに3つに分けられています。

 

③三陰と三陽

陰気の最も盛んなものから順に太陰→少陰→厥陰(ケツイン)といいます。

陽気の最も盛んなものから順に陽明→太陽→少陽といいます。

 

④表と裏

この内の太陰と陽明、少陰と太陽、厥陰と少陽はペアとなっていて「表裏の関係」といい、経絡上で密接に連絡しています。

 

⑤経脈のつながり

十二経脈の流れは手の太陰から始まり、手の陽明に連絡し、足の陽明に続き、足の太陰に連絡し、今度は手の少陰につながり…と一つ一つの経脈が連絡し、全経脈をつないでいます。

 

⑥経脈の流れの方向

また経脈の流れには方向が決まっています。

手の三陰は胸、腹から指先へ、手の三陽は手から頭へ、足の三陽は頭から足へ、足の三陰は足から腹、胸へという方向が決まっています。

 

また十二経脈以外にも、奇経八脈、十二経筋、十二経皮、十二経別などの経絡の種類があり様々な場所で働いています。

 

 

このように経絡は上から下へ、外から中へ、表から裏へなど、身体中を連絡し生命活動に非常に重要な役割をしていることが分かります。

中医学に基づいた針治療で、内科、婦人科、泌尿器科、精神科疾患などさまざまな病気を治療することができるのは、経絡の作用と流注を正確に理解し、施術しているからなのです。

2019/03/11
【その他】中医学とは

中医学とは、独自の生理観や病理観、および診断・治療の方法を持つ、ひとつの体系化された中国伝統の医学です。我々がこの中医学を用い、現代医学(西洋医学)とは違った角度から人体を見、治療を施すことによって、西洋医学では手の届かなかった、いわゆる「未病」「慢性症状体内の崩れたエネルギーバランス」「体質が起因の病」の改善やお手当ての治療を行うことができるのです。

 

 

中医学の診察法

中医学の診察は「望診」「聞診」「問診」「切診」の4種類があり、これをひっくるめて「四診」と呼んでいます。

<望診>

患者さんを目で見て観察する診察方法です。

体格・表情・顔色・動作・舌の状態などを見ます。

<聞診>

患者さんの声や呼吸、体臭や口臭などをチェックする診察方法です。

<問診>

患者さんの自覚症状、愁訴を詳しくたずね、病気の経過、熱・汗・食欲など診断に必要な情報を収集する診察方法です。

<切診>

患者さんに直接触れて、診察する方法で、身体の各部とともに、脈の触れ具合も重要な診察データになります。

 

★ 四診での情報を整理・分析し、「証」をみきわめ、各々の病態により適した治療法を決定するのです。

 

 

中医学の魅力

 

1 未病治療

「未病」とは、病気がまだ病気として認識される前の状態の事をいいます。病気は、いきなり発症するわけでなく、徐々に姿を変え、少しずつ育ち、ある段階で症状として認識されるのです。

つまり、症状として現われる以前にも病気として体内に存在するというのが中医学的な考え方です。

人の人体は、いろいろな働きがバランスをとりながら機能しています。どこかに歪みが生じれば、全体的なバランスがくずれ、それが「不定愁訴」という形で、身体から発せられる重要なサインとなるのです。

中医学は、その重要なサインを見逃さず、重大な病に発展する前に、身体の機能のバランスを整え改善していく事を目的とした、無理のない理想的な治療方法なのです。

 

2 体質改善治療

病気の種子が徐々に育ち、病気といて顔をあらわす背景には、日頃の食生活・生活スタイル・職場環境など様々な要因が深く関わっています。自然治癒力を高め、病気そのものに対抗する力を増すとともに、その生活環境を改善し、病気そのものが育ちにくい環境に体質を改善していくことも中医学的治療の持つ重要な役割です。

自分の体質の特徴を理解し、その欠点を補う事で、よりバランスの良い身体=丈夫な身体を維持する事ができるわけです。

 

 

経絡・ツボとは

中医学では、生命エネルギーである「気」の流れる道筋を「経絡」と呼んでいます。この経絡は主なるものが14本あり、それぞれ五臓六腑(内臓器)と密接に関連しています。

この経絡は、血管やリンパ腺のように形のあるものではありませんが、体調を崩したり、そのバランスに歪みが生じると関連する経絡に沿って様々な異常やサインを送ってくれるのです。

「ツボ」は、その経絡の上に並んでいます。ツボは、経絡の中でも得に強い反応が現れる点です。ツボに効果 的な刺激を与えることによって、狂っている体内の機能のバランスを調整する事ができます。つまり、ツボは「身体の反応点」でもあり、「治療点」でもあるわけです。

しかし、疾患部位と治療点は必ずしも一致しません。お腹の調子が悪い時に足のツボを使う事もありますし、頭が痛くて手のツボを使うこともあるわけです。

当然のことながら、症状は同じ「頭痛」でも、患者さんによって使うツボや治療方法が変わってくることになります。

 

全身の経絡の流れ、経穴の特徴や性質を理解した上で、それぞれを組み合わせ、個人個人の状態に合わせて、より効果 的な治療点を選んで治療を施すのが「中医鍼灸治療」なのです。

 

2019/03/11
【その他】中医学に関して

東洋医学は、本来はアジア地域の医学医療を指すものであり、(例)インド医学、チベット医学、中国医学などです。

日本においては、漢方、鍼灸、指圧、整体などを指しております。

さて、一般的に日本において、中医学という言葉は、聞き慣れないかと思います。

中医学とは、中国伝統医学や、中国医学の略称でございます。

 

中国、台湾、香港などで、西洋医学(現代医学)と分別するのと、伝統医学であることをあらわす為の名称でもあります。

 

漢方、鍼灸などの投薬、治療を行なう際に、人の体質や症状の進行具合、生命活動力、 気、血、水のエネルギーのアンバランスを診、診断や治療を決定するのに、中医学では独特な医学理論を応用します。西洋医学(現代医学)とは、病の捉え方・病の診立てがまったく違います。

日本で行われている東洋医学(鍼灸・漢方)は、日本独自に簡略アレンジ化された物で、伝統的な中医学(基本的 には陰陽五行学、臓腑学、経絡学、経穴学、気血津液学、弁証診断学などが有ります)を応用活用している診療院は数少ないです。

理由は後ほど述べます。

 

中医学による診察では、問診に加え聞診、舌診、脉診など特徴のある体質を判別 する診察を行います。そして、総合的診断、判断をします。検査数値とは違う角度から人体を診てゆきます。

この点が大切な所でもあります。

要するに、体内のエネルギーバランスがどのようになっているかを見定めて行くのです。

検査数値に出てこないのは、この点です。人間の体はかならずしも全てが検査数値で判断できるものではございません。

中医学も医療でありますが、西洋医学とは異なった診たてを行います。

 

ここでは、問診を例に挙げ、述べて見ましょう。

患者様の症状に対する問診を、事細かく質問させて頂きます。

内容は、普段の生活状態、食欲や嗜好品、睡眠内容、暑がり寒がり、大小便の状態など、 現行の症状とは、何の関係もなさそうなことまで問診致します。

理由は、患者様の体質などを把握するためです。

中医学では患者様の症状、病気の状態を診断するに当たり、その方の体質を把握する必要があるのです。

 

例)食事は、温かいものを好む、寒さに弱い、お通じは軟便傾向がある、小水の回数が多く、透明、クーラーに弱いなど。

問診から得た情報を整理すると、一連の内容から冷えやすいと連想がされると思います。

これが大切な所で、この方の体質はやや冷えがあると判断できます。

それにより、治療方針は、冷えを改善する治療を行ないながら、症状に対して本治(体質改善)と対症療法などを同時に行なって行くのが特徴です。

ですから、西洋医学で、診断された同じ病名の方でも、体質が違えば、治療内容・方針が変わってくるのであります。誰もが同じ治療を行なうというものではなく、誰もがオリジナルの治療、オーダーメイドの治療になります。

個々の体質を診るというのが、中医学の特徴であります。

 

では、この中医学を行っているところは、現行の日本では、どれだけ存在するのでしょうか?

 

一般的に日本において、東洋医学(鍼灸・漢方)と称されている医療がありますが(理論内容がかなり中医学と比べ簡略化されており、奥深さが足りません。)中医学理論を活用しているクリニック、鍼灸院は少ないです。なぜならば、中医学を深く学ぶ学府(学校)が日本には存在しません。ただ、中国本土から中医学を学びたい方のための通 信教育を実行している学校が数箇所ございます。或は個人的に中国や台湾へ留学され中医学を習得された方々に限られている状況です。ゆえに、中医学的な治療を望まれていても、圧倒的に数が足りていないのが現状でございます。

実際に数あるHPを検索されても、中医学を実践されている鍼灸院、クリニックのHPは、数多くないかと存じます。

 この場で当院が言わんとするのは、中医学、(東洋医学・漢方・鍼灸)を受診されようと考えられている方々へ、根気よく探して下さい。中医学を行っている診療院は数少ないかも知れませんが、じっくりお探しになれば中医学を取り入れている納得いく診療院が見つかると思います。

 今まで、色々一般的な東洋医学(鍼灸・漢方)中医学を導入応用されて無い所を受診され、結果 が思わしくなかった方々へ、対症療法的な治療だけでなく、体質的な面 からケアしてゆき、病気をタイプ別に分け、治療を行なう中医学的鍼灸・漢方を試みては如何でしょうか?

 

最後になりましたが、もう一度申し上げます。

中医診断による治療方針は、対症療法(局所)的な治療とは全く異なり、治療結果 も違います。例えば、アトピーは痒みのある場所に鍼をしてもなかなか効果 は得られません。

根本的な体質判断をし、治療を行なわないと、結果はでずらいはずです。

当院としては、中国の伝統鍼灸治療と言う物を、深く皆様に理解していただき、少しでも疾病で悩まれている方々の一助お役に立てられればと思っています。

また、鍼灸の刺激に関してですが、こちらも本来は個々の体質に合して刺激を与えるものです。一般 的に中国鍼は、太くて強い刺激を与えるイメージがありますが、それは間違った先入観と間違った情報を得てしまっています。中国鍼は、けして太く強い刺激を与えるのが中国鍼では御座いません。(多少日本鍼よりかやや太めですが刺激の調整は施術者が調整する物です。)体質を見分けたり、ツボの組み合わせを中医学理論的に活用するのが、中国鍼でございます。この点も理解していただければ有り難いです。

診立てる力は大切です。診立ての違い(診断能力・体質判別する力・体内のエネルギーのバランスの歪みを見分ける力)や治療方針(ツボの性質作用を深く理解し、ツボの組み合わせ処方する力、ツボも薬と一緒で処方能力が必要なのです)の違いにより、治療の結果 の出方も様々であり、皆様方も理解して頂けるかと存じます。

そして、このページの内容を読んで頂けた方々に、鍼灸治療では何が大切であるかを知って頂ければ幸いです。大切なのは、体質判断、体内の活力エネルギーバランスの失調の調整です。

但し、中医学が何でも100パーセント治せる物でもございません。しかし、どんな症状・疾患に対しても緩和や体力作り、良い方向に回復させようと働きかけて頂ける作用は有ります。それは自然治癒力を整え調整しているからです。ゆえに、手当て治療を受けて無駄 無意味になる事はないかと存じます。また、治療結果などは個人の体質、年齢、症状の具合、通 院の仕方などにより様々かと思います。早く結果の出る方も居れば時間の掛かる方も居ます。

 

当院は、鍼灸専門ですが、漢方の相談も可能です。院長は中医師でありますので、中国・台湾などで鍼灸・漢方を専門とする医師を指します。

また、業務提携している漢方専門薬局への紹介や、保健漢方を出して頂けるクリニックへの紹介状もお出しします。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

(月曜日・木曜日は休診です)

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