コラム

2022/05/13
当院の研修生による研修コラム①~湿について~

研修コラム①

今回は湿について書いていきたいと思います。

中医学では心と体は関連しており、季節や環境により体内は絶えず変化し、身体に何か問題があると、全身の何のバランスの乱れが原因なのかを考えます。また、お天気や感情の変化に体は左右されやすく、自分で気が付かないうちに影響を受けていることがあります。これから来る梅雨に向け、湿気について考えたいと思います。

自然界には、風・熱・暑・湿・燥・寒の六気という季節の変化を指すものがあります。この六気が不足や過剰になり、人体の抵抗力が落ちている時に影響を及ぼすと、疾病を引き起こす要因の湿邪となります。湿は長夏と呼ばれる夏と秋をつなぐ時期に多く見られますが、湿度の多い時期や、雨に濡れたり、湿気の多いところに長く居たりすると湿を感受します。

天気予報などで湿度をお知らせしてくれますが、不快指数というのは気温と湿度との関係式から計算されていて、数字が大きくなるほど不快であるとされます。程よい湿度は大切ですが、過剰な湿度はベタベタしていてよいイメージではないですよね。

湿邪の特徴は、重い・濁る・粘る・下へ流れる・停滞しやすいこと。

身体や手足が重だるい、頭が重い、下半身がむくむなど、重く下へと流れる症状が現れます。また、ベタベタとした粘り気があり、体にまとわりついてなかなか取れにくく、排泄物などがべとついたりします。湿邪が皮膚に停滞したとき、湿疹は搔き壊すとジュクジュクとした滲出液が出たりします。関節に停滞すると重だるく痛んだり、脹って痛んだり、動きが悪くなったりします。身体の中に余計な水分が入り込んで停滞すると、内臓の働きにも影響を及ぼし、食欲不振や腸の働きが悪くなり、便を押し出す力が弱くなったり、便がゆるくなったりもします。

近年の異常気象により次の季節に向けて体を準備していく期間が短くなっています。準備が出来ていないまま次の季節を迎えると、体に負担がかかり様々な症状を引き起こす要因にもなります。自身の体の変化に早めに気付くことで症状の悪化を防げるのではないのでしょうか。

次回は湿と脾(五臓)との関係について書いていきます。

2022/05/14
【コラム】研修生による研修コラム②~湿と脾(五臓)との関係~

研修コラム②

前回の続きで今回は、湿と脾の関係について述べていきます。

まず湿は脾に影響を及ぼします。

脾とは五臓に属し、食べ物の中から必要なものを取り込むための消化吸収の働き(運化作用)と、それを上焦へと運び上げる働き(昇清作用)があります。体の基本物質である気・血・津液の栄養源を供給しています。

脾は乾燥を好むとされているため、湿に影響を受けやすいのです。体に湿邪を跳ね除ける力があれば影響は受けにくいのですが、やはり力が足りなければ余計な水分を取り込んでしまうため、脾の作用に影響を及ぼし体の不調を感じるようになります。

脾に影響が及び働きが低下すると消化や吸収に異常が生じ、食欲不振となり、気が不足して栄養が行き届かないために倦怠感や手足のだるさといった症状が現れます。気は陰陽の陽に属し、気の生成が不足すると陽気が養えなくなるため、体が冷え、皮膚は青白く、腹部が冷えると腹痛や下痢などの症状も出やすくなります。また、気血の生成が不足することで津液の運行が停滞し、脾がつかさどる肌肉が影響を受けてむくみが発生したり体が重だるくなってしまいます。

長い雨が続く梅雨時期に、なんとなく食欲がない、体が重だるいなどと感じている方は湿による影響を受けやすいのかもしれません。

この時期には水分を補給するのに、中医学的に見た薬効のあるお茶で体調を整えてみてはいかがでしょうか。

ハトムギ茶:利尿作用があり、むくみを改善する作用があります。また、皮膚の老廃物を取り除く働きもあり、デトックス効果の期待ができます。胃腸の調子を整えて丈夫にし、消化機能を高めます。胃が弱い方にもおすすめです。

※イネ科に属するので、イネアレルギーを持つ方はかゆみを伴うこともあるのでお気を付けください。

 
 

2022/05/29
意外と知られていない「吸玉」って何だろう!?

当院では鍼治療と共に吸玉(カッピング)療法も行っております!

ガラス製のビンの中を真空状態にし、体に置き吸い上げます。そして10分前後そのままに付けておいて外した時に痕が残れば、血流が悪かったり身体の筋肉が凝っている場所の目印ともなります

身体の調子が分かってしまうのです!ご自身では把握していない身体の不調も発見できます!

あなたの身体の本当の調子知ってみたいと思いませんか?

なお、吸玉のみという治療は基本的には行っておりませんのでご了承くださいませ。

お気軽にお問い合わせください!

2022/06/29
【コラム】当院の研修生による研修コラム③~湿が体に与える影響・対策のツボとは!?~

湿により、胃腸機能が低下して食欲不振や下痢などの症状がでることで、元気がなくなったり、体が重だるくなったりします。湿と取り除く作用が強く体を元気していくツボで、臨床で多く使われるツボの作用をまとめました。鍼灸学生の方などにもお役に立てればと思います。

 
★足三里
足陽明胃経の合土穴で、本経の脈気が入るところ・胃の下合穴である。
胃は、気血生化の源である脾と表裏の関係にあり、調理脾胃・調和気血・通経活絡などの作用がある。
胃は受納・水穀の腐熟を主り、胃は腑であり、陽に属し、表にあたる。
 
★陰陵泉
足太陰脾経の合水穴で、健脾利湿・利水消腫などの作用がある。
脾は水液の運化を主り、脾は蔵であり、陰に属し、裏にあたる。
 
★足三里・陰陵泉の二穴を併用
脾気は昇り、胃気は降りることを順としており、納運が正常に行えることで、調脾胃・行水湿・利消腫作用はより高まり湿を取り去ります。
また「合は内腑を治す」の理論にもとづき、互いに制約、活用し合い、脾胃機能を調整できます。足三里には強身作用があり、臓腑気血を補い、体の抵抗力を高めることができるため、湿を取り除くとともに、体も元気にしていきます。
 
★陽陵泉
足少陽胆経の合土穴であり、胆の下合穴・筋会穴である。
筋会であるため、舒筋活絡作用によく用いられるが、胆腑の疾患にも活用できる。肝は疏泄を主り、胆も疏利する性質があるため、疏肝理気・清熱利湿・利胆和胃などの作用がある。「合穴は内腑を治療する」といわれるため、腑の作用を調整するのに活用でき、足三里・陰陵泉と併用することで、湿を取り除き、胃腸の流れをスムーズにしていく作用がさらに高まります。
 
★三陰交
足太陰脾経で足の三陰経(脾経、肝経、腎経)の交会穴である。
健脾利湿・調補肝腎・養血和営などの作用がある。脾は水湿の運化を主り、腎は水と膀胱と関係し、肝は三焦を通利して水道を通調するため、三陰交には強い祛湿利水、利尿消腫作用がある。水湿内停による浮腫などにも利尿作用を強くし湿を取り除くことができます。三陰交を併用することで、肝の疏泄作用、脾の運化作用、腎は二便を主り、疏泄と通調がスムーズになるため、湿を除去することができます。
 
ツボには一つでも多くの作用があり、適切に使うことで症状に対して効果を発揮できますが、いくつかのツボと併用することで、その作用をより強くしたり、広い範囲の症状に使うことができます。
この時期は、雨や湿度の高い日が続き体の中に入り込んできた水分が停滞しやすくなります。余計な水分を排出する力を強め、ジメジメとした季節を乗り越えて聞き、暑い季節に負けないように抵抗力を高めていきましょう!!
 
 

2022/07/22
【コラム】研修生による研修コラム#4 ~気について~
気について
中医学基礎理論の気・血・津液は、人体の生命活動を維持するための重要なもので、飲食物からつくられる水穀の精微から生成されます。
気とは、どのようなもので、体にどのような影響をおよぼすものなのでしょうか。
気というと、目に見えないもので分かりにくいところがあるといわれますが、人体を構成する最小単位の物質と考えます。そのため、気は体を動かすエネルギー源であるといえるのです。日常生活の中で、今日はいつもよりたくさん体を動かしたから疲れた、というときはエネルギーを使って消耗したと実感できると思います。また、「気を遣う」「気が張る」など、「気」を使った言葉がたくさんありますが、気が体を動かすエネルギー源と考えると、常に気を遣ったり、気が張って緊張感が続いている状態というのは、エネルギーを常に使い続けているので体は消耗していきます。
今の季節は、外は暑く湿度も高い状態で汗を多くかき、建物の中はエアコンがきいて涼しいというより、寒いと感じる環境に置かれることも多くなります。こういった寒暖差に体は負けないようにと頑張るため、エネルギーは知らず知らずのうちに消耗されていくのです。体を動かすことだけがエネルギーを消耗するものではなく、中医学では心と体は密接に関わっていると捉えるため、感情や天候の変化にも大きく左右されることがわかります。
気とは体を動かすエネルギー源と大きく捉えてみましたが、気にはその他にも重要な作用
があります。気は体にどのような影響を与えるのか、次回は気の作用について整理していきます。
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