コラム

2019/02/20
ノドの痛み

病気にはさまざまなものがありますが、咽喉痛(のどの痛み)という症状はとても身近なものでないでしょうか?

風邪を拗らせたときなどは、経験される方も多いと思います。

これは、のどが体外に近い場所にあり、体外の影響を受けやすい器官であるからと言えます。

 

今回は、私たちの生活の中で、とても身近な咽喉痛について、述べていきます。

 

<咽喉部とは>

 

咽喉痛という病気を知る前にまず、咽喉部(のど)がどのような器官なのかを説明します。

 

咽喉は、いわゆる、のどに位置する器官です。

 

咽喉は、身体の部位により、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)に分けられています。

咽頭と喉頭には様々な役割があり、人が生活をする上で重要な働きをしています。

 

・咽頭(いんとう)

咽頭は口の奥の鼻腔の下から食道と気管の入り口までの部分をいいます。

さらに咽頭は上から鼻咽頭、中咽頭、下咽頭という3つの部分で構成されています。

筋肉でできたこの通路を通って、食べものは食道へ、空気は肺へと運ばれています。

 

また、咽頭の中も鼻や口と同様に、粘液を分泌しうぶ毛のような線毛をもつ粘膜で覆われています。これは、粘液にとらえられたほこりの粒子を食道へ運ぶために存在します。

 

口からは細菌やウィルスなど、体にとって悪いものも入ってきます。

咽頭は、これらの細菌やウィルスと闘う役割ももっています。

この役割は、扁桃腺や咽頭扁桃と呼ばれるリンパ組織でできた器官によって行われます。よく風邪を拗らせた時に、扁桃腺が腫れたという経験をされた方もいらっしゃると思いますが、これは、細菌やウィルスと闘っているために炎症が発生して起こる現象です。

 

また、構造的にみると、咽頭にはとても変った形の組織があります。

のどの奥を覗くと扁桃の間にぶら下がっているのが見える小さな組織で、

俗に「のどちんこ」とも呼ばれている組織です。口蓋垂は、食べものや飲みものを飲みこむ際に、それらが鼻腔へ入るのを防ぐ働きをしています。

 

・喉頭(こうとう)

喉頭は咽頭よりも身体の下に位置し、気管の最上部にある器官です。

喉頭の中には声帯があり、主に音声を発する役割を担っています。

声帯の収縮により、肺からの空気がそこにぶつかり、声帯が振動して音に変化します。

この音と、舌、鼻、口の働きによって、言葉が作り出されています。

 

また、喉頭の上前部には、喉頭蓋といわれる蓋があります。

この蓋の開閉により、物を飲みこむときに、食物が気管に入らないようにし、肺を守っています。

 

このように、のどは、体内における門番としての役割があり、例え睡眠中であろうとも、常に働いている器官と言えるでしょう。

 

<西洋医学的な咽喉痛の原因は?>

 

咽喉痛の原因には、さまざまなものがあります。

先ほど述べた通り、のどで細菌やウィルスと闘っていることを考えると炎症による痛みというのはイメージしやすいと思います。

咽頭炎、喉頭蓋炎、扁桃炎といった病気は、多くの場合、細菌やウィルスが原因となる病気です。

 

また他にも、のどの器質的な異常により、痛みを引き起こすこともあります。

代表的な例としては、咽頭癌が挙げられます。

咽頭癌も進行すれば、痛みや、声が出しづらいといった症状が誘発します。

 

<原因不明の咽喉痛>

 

先ほどのように炎症や気質的変化が、原因であれば検査で発見することができると思います。

しかし、検査でも異常所見が出ずに、未だに原因が明らかになっていない咽喉痛や咽喉の不快感も存在します。

 

このような場合、咽喉頭異常感症、もしくは、咽喉頭神経症と診断されることがあります。

原因の可能性としては、以下の原因が挙げられています。

 

・全身的原因

 自律神経失調症、内分泌異常、更年期障害、

 鉄欠乏性貧血(てつぼうせいひんけつ)、嚥下(えんげ)障害など

 

・精神的原因

 うつ病、仮面うつ病、心身症、神経症、がん不安など

 

これらは、決して珍しいことではないと思います。

特に、ストレス社会と言われる現代では、精神的原因に挙げられている疾患はよくメディアでも見かける病気であると思います。

たとえ、咽喉痛といった症状でも、身体の異常信号として捉えた方が良いのかもしれません。

 

<中医学による咽喉痛の捉え方>

 では次に、中医学による咽喉痛の捉え方を述べていきます。

 

『わかりやすい東洋医学理論』でご説明したとおり、中医学では、

体内を構成する要素(内因)として気・血・津液、

病気を及ぼす環境変化(外因)として「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」

という考え方があります。

 

そして、これらの要素が身体の許容範囲を超えた変化をきたした時に疾患が現れます。

 

もちろん、咽喉痛も例外ではありません。

咽喉痛の場合、これらの要素の病的変化が、体内に「熱」を生み出し、「熱」が咽喉部に影響することで、咽喉痛は起こるのです。

 

しかし、ここで一点、気をつけなければならないことがあります。

「熱」という言葉です。

「熱」というと、中医学に触れたことのない方は、体温計で体温を測ることで、発見できる「発熱」を想像するかと思います。

それはそれで、間違いではありません。熱には温度があり、体温計は体内の温度を測るものなのですから。

 

しかし、中医学における「熱」は、必ずしも体温計で計ることのできないものも含まれています。

 

中医学には、「未病」という言葉がありますが、この言葉をかみ砕くと、

「病気には至ってないが体に変調をきたしている状態」と解釈することができます。

では、病気に至っていない体の変調とはどのようなものなのか・・・

そのひとつに、中医学における「熱」があります。

 

中医学における「熱」には、虚熱と実熱という2つの熱があります。

 

虚熱は、内因(気・血・津液)の不足によって引き起こされる体内の熱を指します。

特に血・津液は、体内の熱を冷ます作用のある物質であり、これらが不足すると体内の熱が冷まされずに、熱が旺盛になってしまいます。

症状としては、手足のほてり、寝汗、口や咽が乾燥するといった症状がでますが、体温計における熱の変化は現れないこともしばしばあります。

 

実熱は、外因(風邪・熱邪など)が旺盛、または、臓腑機能の亢進によって、現れる体内の熱を指します。虚熱のように体の熱を冷ます作用が低下するのとは違い体の熱そのものを亢進させる作用が強まるために起こります。

この場合、顔色が赤く呼吸が荒い、痰や尿が黄色い、冷たいものを好む、といった症状がでます。

 

これらの熱の違いにより、咽喉痛の原因が変ってくるため、お手当ての仕方も変わってくるのです。

 

<咽喉痛の原因別治療>

 では次に、咽喉痛を起こす原因ごとに、その治療方法を述べていきます。

咽喉痛の原因に熱が大きく関係してくることは、先に述べたとおりです。

つまり、治療には熱の性質を鑑別する必要があるのです。

熱を鑑別する上で重要なのは、咽喉痛に至った経過や随伴症状をよく分析し、熱の特性を捉えることです。

ご参考にしていただけると幸いです。

 

しかし、ここで1点注意があります。

治療効果を考えた場合、咽頭癌による咽頭痛については、中医学のみの治療では、目に見える効果 を期待するのはなかなか難しいのが現状です。

咽頭癌の治療としては、西洋医学的な治療と併せて、中医学による治療をするのがより効果 的かと思います。

中医学では、体内エネルギーバランスの調整、免疫力の強化、あるいは、抗癌剤による体への負担、それによる不定愁訴などの改善治療に役立つかと思います。要するに、体のクオリティを高めて上げることに、中医学の治療を受ける要素があります。

 

その点を踏まえた上で、ご参考にしていただけると幸いです。

 

・風熱による咽喉痛

風熱による咽喉痛は、風熱の邪が体表を侵襲して肺臓に入り、その熱が上って咽喉を薫灼することで起こります。

風熱による咽喉痛は、経過が長くなければ実熱による咽喉痛でしょう。

 

[随伴症状]

 発熱、軽度の悪寒、頭痛、体の痛み、咳嗽、口渇、

 舌質紅、舌苔薄黄、脈浮数

 

[治法]

 清熱利咽、去風清熱

 

・肺胃熱盛による咽喉痛

傷んだものを食べたり、辛いものの食べ過ぎなどで、胃腸に熱が篭り、さらにその熱が咽喉に上ることで起こります。

実熱による咽喉痛は、実熱によるものと言えます。

また、この場合、咽喉痛は激しいものとなります。

 

[随伴症状]

 冷たいものを好む、口渇、顔面紅潮、目赤、小便が赤い、

 大便は乾燥している、舌質紅、舌苔黄あるいは黄燥、脈滑数

 

[治法]

 清熱利咽、清熱瀉火解毒

 

・陰虚火旺による咽喉痛

陰虚火旺による咽喉痛に関わる臓腑として腎があります。

腎の経絡(足の少陰腎経)は喉をめぐって舌を挟んでいます。

腎陰(体内の熱を冷ます役割を持つ物質)が不足することで、熱が腎の経絡を上って喉に影響することで、陰虚火旺による咽喉痛は起こります。

陰虚火旺による咽喉痛は虚熱によるものと言えます。

 

[随伴症状]

 手足のほてり、腰や膝がだるく力が入らない、耳鳴り、難聴、

 舌質紅、舌苔少、脈細数

 

[治法]

 清熱利咽、滋陰降火

 

いかがでしょう?

中医学による咽喉痛の捉え方はご理解いただけましたでしょうか?

 

特に、先に述べた熱の捉え方は、西洋医学にはないものです。

咽喉痛に限らず、検査数値には現れないのに体がつらいといった症状をお持ちの方は、一度、観点を変えて、お手当てをしてみるのも良いかと思います。

 

中医学(東洋医学)全般(鍼灸・漢方・食事療法・体質改善)のご相談は

当院までお気軽にどうぞ。

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

2019/02/20
のぼせ

のぼせとは、頭へ血がのぼって、ぼうっとなったり、上気した状態の事をいいます。

健康な時でも、長湯や暑さでのぼせることはありますが、病気の症状として「のぼせ」がでる場合は、単独にその症状が出ることは少なく、他にほてり、発汗・いらいら・食欲不振・下半身の冷えなど他の症状を伴う事が多いようです。

 

主に自律神経失調症や更年期障害・高血圧などでみられる症状ですが、他の病気が隠れている場合もありますので、気になる症状がありましたら、専門医を受診しましょう。

 

診察や検査の結果、他に病気が認められない時、年齢や症状から考えて、自律神経失調症や更年期障害と診断されます。

 

現代医学的治療法としては、薬物療法(ホルモン剤・自律神経調整薬・漢方薬)・心理療法がありますが、気長に様子を見ながら治療していきます。

自律神経失調症や更年期障害のように、検査でははっきりと他の病名がつかず、不定愁訴を気長に治していく病気は、東洋医学(中医学)的治療を勧める医師も多いようです。

 

 では中医学的には「のぼせ」をどのようにとらえているのでしょうか。

中医学では、身体の働きに関する考え方が、根本的に現代医学的とは違っています。

まずは中医学的にみた身体の働きについて簡単に説明します。

 

現代医学では身体を細かく分析し、細胞レベルでとらえますが、中医学では身体を大きく捉えて、小宇宙であると考えます。

地球は大宇宙に存在する小宇宙の一つです。これと同じように地球からみれば、身体は小宇宙といえるのです。宇宙に存在するものにはすべて意味があり、 無駄なものはひとつもありません。

それぞれが、互いに影響しあい、バランスを保ち、大自然の法則に従って動いているのです。

人間も同じように、体内に存在するものすべてが重要な意味を持ち、個々の臓器も互いに影響しあいバランスを保って、健康を維持しています。

 

このバランスが崩れた状態が「病気」と考え、治療の基本はバランスを整える事ですから、血液検査に出ないような、微細な不定愁訴も治すことが出来るのです。

 

小宇宙である身体を構成し、生命活動の源として働くものは『気・血・水』です。

気・血・水が、身体を流れ良く巡る事で、身体内の臓器(五臓六腑)も、うまく働くことが出来、健康でいられると考えます。

 

1.気・血・水について

<気>

気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。

主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。

ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。

主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

 

2.陰陽について

 

陰陽論では、対立するものを相対的に考えて、陰陽に分けることで、生理観や病理観のベースにしています。

健康な状態では「陰陽のバランス」が整っていますから、治療の指標になります。

 

気・血・津液を陰陽で分けると、「気」が陽で「血・津液」が陰です。

気には身体を温める作用があり、血・津液には身体を冷やす作用かあります。

気の中でとくに温める作用の強い「陽気」と、血・津液の中でとくに冷却作用の強い「陰液」のバランスが上手く保たれることで、私達の身体は36度前後の平熱を維持しているのです。

バランスが崩れてどちらかに偏れば、熱が出たり、冷えてしまったりします。

 

簡単に考えると、陽気が強すぎる時と、陰液が足りなすぎる時には、熱がでるわけです。

 

3.五臓の働きについて

 

・肝:

全身の気の流れを良くし、各器官の働きを助けます。

血を蓄える働きもあり、筋肉の働きや精神活動にも関係しています。

肝の働きが悪くなるとイライラと怒りやすくなったり、目や疾患・生理痛・手足のしびれ等を起こす事があります。

情思(精神)面では、ストレスを感受しやすく、ストレスが 一定のラインを越えると、肝の気の流れが低下し、鬱滞感やイライラ、あるいはウツウツとした気分等が生じます。

 

 

・心:

血の循環をしています。

精神活動に関係し、五臓の働きをとりまとめています。

働きが悪いと、動悸や不眠・舌の先が赤く痛んだりします。

情思(精神)面では、不安感・不眠・夢をよく見る・物忘れが多いなどの症状があります。

 

 

・脾:

食べたものをエネルギー(気・血・水)に変え、身体の機能を活発にします。(運化作用)。

この働きが悪くなると、活力不足で疲れやすくなり、下痢しやすくなります。

血を脈外に漏らさないようにする働きもあります(統血作用)。

この働きが低下すると、内出血しやすくなります。少しぶつけただけでも青あざが出来ます。

情思(精神)面では、落ち込むことが多い・無気力などの症状があります。

 

 

・肺:

呼吸することにより、気を全身に巡らし、水分の調節をします。

汗腺の働きにも関与し、皮膚の状態にも関係します。

この働きが弱くなると、呼吸器疾患・鼻炎・などを起こすというのは分かり易いと思いますが、蕁麻疹などの皮膚科疾患も肺の働きに関係しています。

情思(精神)面では、憂鬱で気分が晴れない・悲観的などの症状があります。

 

 

・腎:

生命力の源、先天の「気」を蓄えています。骨や髪・耳と関係します。

成長や生殖能力に関連深く、年齢と共に変化します。

女性では、月経や妊娠と関係します。

腎のエネルギー(先天の気)は、脾から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

腎の働きが弱いと、元気がない・不妊・生理不順・腰痛・冷え症などになります。

加齢と共に腎の働きは弱くなっていきますから、骨が弱ったり、髪がぬ ける、耳の聞えが悪くなるなどの症状がでてきます。

情思(精神)面では、驚きやすい・恐い夢を見る・元気がない等の症状があります。

以上の五臓がバランス良く働いてくれるように調節してくれているのが、「気・血・水」です。

中医学の場合は、症状と、どの「臓」の気・血・水の働きが失調し、関係しているかを分析し見極める事が、中医学的診断となり、治療方針をたてていくことになります。

 

 では、のぼせについて、タイプ別に考えていきましょう。

1.肝鬱血虚・化火タイプ

 

症状:

のぼせ・ほてり、いらいら・怒りっぽい・胸脇部が脹って苦しい・食欲不振・肌につやがないなど

 

起因:

飲食や日常生活の不摂生。

月経・出産・慢性病などによる血の不足。

精神的ストレス・怒り・緊張。

 

病機:

肝気の巡りが悪くなり、停滞して、エネルギーが渋滞し、熱をもった状態です。

血が不足する血虚の傾向があると、身体をうるおし、熱をさます働きのある陰液も足りなくなる為、ますます熱が上に上がってのぼせやすくなります。

 

治法:

疏肝清熱・養血柔肝

肝の気を巡らせる作用を良くし、血を補って、余分な熱を冷ます力を改善する治療をします。

 

2.肝虚気滞タイプ

 

症状:

のぼせ・顔面部のほてり・発汗・いらいら・下半身の冷え・月経不順

 

起因:

飲食や日常生活の不摂生・月経・出産・慢性病・精神的ストレス

 

病機:

肝の気血が不足して疏泄(気血の流れを良くし、円滑にする働き)が十分に行われていない状態です。

 

治法:

疏肝泄熱・養肝温下

肝の働きと気血の流れを良くし、下半身を温める治療をします。

 

3.血オタイプ

 

症状:

上半身ののぼせ・ほてり、下半身の冷え、頭痛・肩こり・腰痛・肌や口唇がどす黒い・月経痛・月経不順・舌質が暗紫オ点オ斑など

 

病機:

気血のめぐりが悪く、血の滞りがある状態で、いろいろな症状があります。

 

治法:

活血化オ

血の滞りをなくし、気血の流れをよくします。

 

4.肝腎陰虚タイプ

 

症状:

ほてり・のぼせ・熱感、いらいら・耳鳴り・めまい・遺精・腰や膝がだるく無力

 

病機:

肝・腎の働きが悪くなり、身体を冷やす作用がある「陰液」が不足した為、陰陽のバランスが崩れて、陽気が上に上がってしまった状態です。

 

治法:

滋養肝腎

肝・腎の働きを良くすることで、陰液を補い、陰陽のバランスをとります。

 

5.脾気陰両虚タイプ

 

症状:

手足のほてり、食欲不振・食べると腹が脹る・口唇の乾燥・指のさかむけ・元気がないなど

 

起因:

飲食の不摂生・飲酒癖・過労など

 

病機:

栄養を吸収して血や津液をつくり全身に送る作用のある「脾気」が不足するために陰液(冷却作用)の産生が低下し、陰陽バランスが崩れて、内熱が生じた状態です。

 

治法:

益気健脾・滋補脾陰

脾の働きを良くし、陰液が養われるようにしていきます。

 以上のように、同じ「のぼせ」という症状でも、原因はさまざまですから、治療法もさまざまで、根本的に問題となっている、体質から改善していきます。

 

中医学では、一人の患者さんを全体的にみて、どこに問題があって、どのような進行状態であるのかを慎重に考えて、「証」をたて、治療方針を決めます。

 

証とは、中医学の診断名です。症状の情報収集をし、症状の程度・進行具合を見極め気血水がどのように失調しているのか、よく診て、病態を把握します。

 

患者さんの性格や生活環境も考慮しながら、日常生活のアドバイスをする事もあり、まさに全人的な医学です 。

 

身体に対してはもちろん、心に対しても優しく、学問的にも奥の深い中医学は、幅広くいろいろな疾患に対応することが出来ます。

 

個人個人の体質に合わせて治療を行います。

是非一度ご相談ください。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

2019/02/20
パーキンソン病

パーキンソン病は、脳神経系の病気のなかでもっとも患者数の多いもののひとつと言われています。動作が徐々に緩慢になり、筋肉のこわばりと震え、バランスが悪くなるといった症状を伴い、主に5060才代の方に多くみられる疾患です。

 

 

現代医学的パーキンソン病の治療方法▼

脳内で不足している神経伝達物質のドーパミンを補う薬「L-ドーパ」を服用します。

それにより症状をある程度改善できますが、進行を止めることはできません。また、長期間服用し続けますと、効果 が減弱し、日内変動(良くなったり悪くなったり)を起こしたり、不随意運動が見られるようになります。

 

 

中医学的パーキンソン病のとらえ方▼

パーキンソン病でよく見られる症状の1つに「震え」があります。

中医学的にこの震えは、主に「肝」の機能失調で起こると考えられています (下記の中医学的からだのしくみ、~臓腑の働き~を一読していただくと更に理解しやすいかと思います)。

 

肝は筋肉をつかさどり、筋の中を流れる血が満たされていることにより円滑な動きができるのです。

エネルギーや血は年齢を重ねるにつれ消耗しやすくなり、体全体の機能が低下していきます。

原因は様々ですが(下記のタイプ別を参照してください)、この筋肉の中を流れる気・血が少なかったり、 流れが阻害されて滋養されないと「筋肉の震え」があらわれます。

症状が長引くことにより、筋肉が滋養されない部位が増えるため、症状は広範囲にわたって現れてきます。

 

この場合中医学では原因に基づいて、不足している気や血を補ったり、塞がった経脈(エネルギーの通 るルート)の 流れをよくするといった治療をしていきます。

体の中の気血の流れを調えることにより症状の進行を防ぐことができます。

 

 

 

中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。

さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

 

~臓腑の働きとは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。

西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。

ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。

ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

 

「肝」・・

1

全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。

伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。

この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

 

 

2

全身の血液量 をコントロールし、蓄える働きがあります。

肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため肝の支配している器官の機能減退症状があらわれてきます。

例)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足の震えやしびれ、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

 

「脾」・・

1

食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

 

 

2

エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

 

 

3

血を脈外に漏らさないよう引き締める働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

 

「腎」・・

 

生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

腎には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。

このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。腎のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

年齢が増すにつれて、腎が支配する器官の機能減退症状があらわれてきます。

例)骨や歯がもろくなる、耳が遠くなる、髪が薄くなったり、白髪が多くなる、腰痛や膝痛、尿が近くなる、夜間尿、尿切れが悪い、尿失禁など

 

 

中医学的診断方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、 脈診などを用いて診察していきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

 

 

中医学的パーキンソン病のタイプと治療法▼

 

肝腎陰虚タイプ●

肝腎要といわれるようにこの2つの臓器の働きが失調することにより、体を養う「血」、潤す働きの「水」が不足し、筋肉へ栄養素が行渡らないために震えなどの症状がみられます。

また身体を冷ます作用も減少するため体の各部位に、ほてりの症状があらわれます。

 

原因    

加齢、その他慢性症状により体内エネルギーの消耗など

 

随伴症状    

手足の震え、めまい、耳鳴り、咽喉の乾き、寝汗、便秘、顔・手足がほてる、イライラ、不眠、胸のあたりが悶々とする

 

治療方法    

体を養う血、潤す働きを高める「滋養肝腎」の治療をしていきます。     

ツボ:腎ユ、肝ユ、太渓、復溜、三陰交、内関、太衝     

漢方:六味丸合四物湯

 

 

脾虚湿困タイプ●

「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、余分な水分が体内に停滞し、経絡(気の流れるルート)の運行を阻害します。よって手足の筋肉が滋養されず、震えなどを生じるタイプです。

 

主な原因    

冷たい水分・甘いもの・味の濃いもの・油っこいもの・ビール・生ものを多く摂取する、 体質的にもともと胃腸が虚弱の方

 

随伴症状    

水太り体質、頭が重くめまいがする、頭痛、耳鳴り、のぼせる、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、 嘔吐をもよおす、食欲低下、むくみ、軟便ぎみ

 

治療法     

脾の働きを高めることにより余分な水分の停滞を改善する「健脾益気、化湿」の治療をしていきます。     

ツボ:脾ユ、胃ユ、三陰交、陰陵泉、足三里、中カン、合谷     

漢方:参苓白ジュツ散

 

 

タイプ別にみる生活養生・食養生▼

自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。

体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

 

肝腎陰虚タイプ●

【生活習慣】

体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。 睡眠はしっかりとり、血を消耗させやすいパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。

また、サウナなどによる汗のかきすぎも血を消耗します。気をつけましょう。

 

血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。

 

イライラすると熱になり、更に血を損傷しますので、ヨガや気功、散歩アロマを焚くなど自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。

 

 

【食べ物】  ~体のほてりを冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう~

(乳製品)

豆乳、牛乳

(肉 類)

豚の皮、鴨肉、豚肉

(魚介類)

いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分)

(野 菜)

山芋、白きくらげ、黒きくらげ

(果 物)

なし、もも、ぶどう

(木の実)

クコの実、くるみ、黒ごま

(お 茶)

桑の実とクコの実のお茶

 

 

 

脾虚痰湿タイプ

【生活習慣】

甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。

 

水分代謝が悪いため、水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。

 

運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。

 

梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。

 

 

【食べ物】  ~水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう~

(穀類)

はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆

(野菜)

冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ

(魚類)

こい、ふな

(果物)

すいか、ぶどう、メロン

 

 

その他日常生活での注意点

散歩など適当な運動を続けることが大切です。特に筋肉を柔らかくするストレッチ体操は重要です。決して無理をせず、疲れない程度に行ないます。

 

食べ物をうまく飲み込めない場合は、食物を細かく刻んだり、やわらかく煮たり、すりつぶしたりしながら食べやすい調理方法で楽しく食事をしましょう。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
バセドウ病

バセドウ病と聞いても聞きなれない方も多いと思います。

 

バセドウ病とは甲状腺の機能が亢進してしまう病気の中でもっとも多くみられる病気です。

この病気では心臓がドキドキする動悸がしたり、汗がとめどなく流れたり、疲れやすくなったり、首が腫れたりします。

女性に多くおこり、仕事や育児に忙しい30代に多くみられ、また症状が自律神経失調に似ていて発見することも難しい場合もあります。

忙しくて疲れているだけ”と、思われている内に病気が隠れていないかを知るためにも、なるべくわかり易くお話ししたいとおもいます。

 

では、そもそも甲状腺とはなんでしょう?

甲状腺は首の中央より少し下の方にあり、のどぼとけを下から取り囲むようにあります。 文字のとおり、「甲」をひっくり返したような蝶形の内分泌腺 (内分泌というのは、身体の組織の中でホルモンを血液やリンパの中に直接分泌することです)です。

甲状腺は海藻などに多く含まれるヨードなどを原料にして、サイロキシンというホルモンを生成し、分泌します。

内分泌器の中では最大の器官になります。

 

サイロキシン(甲状腺ホルモン)の主な作用には

物質代謝の亢進:

甲状腺ホルモンは筋肉、心臓、腎臓、肝臓などの臓器の酸素の消費を高め、基礎代謝を亢進します。

また、代謝により体温を上昇させます。

代謝の中には、たんぱく質代謝(たんぱく質の合成と分解)、糖代謝(ブドウ糖の吸収と血糖上昇)、脂質代謝などあります。

発育促進   :

成長ホルモンの働きを助け、骨や歯の発育を促す。また、中枢神経細胞の発育を促す。

精神機能刺激 :

精神活動一般にも影響を与える。甲状腺ホルモンが欠乏すると精神活動が鈍くなる。

主に新陳代謝(生体物が常に新しい栄養物質を取り入れ、消化した古い物質を排泄すること)を活発にする作用があります。

 

バセドウ病とは、なんらかの原因によりこの甲状腺の機能が亢進してしまい、サイロキシンが必要以上にでてしまう病気のことです。(甲状腺機能亢進症のうち大部分がバセドウ病です)

 

バセドウ病は2030歳代の女性に多くおこり、ついで40代の順になります。

男女比は16ほどで人口10万に対し、約80人いるとみられています。

 

では、これからバセドウ病の西洋医学的な原因、治療法と中医学的な見方を考えていきましょう。

 

<西洋医学からバセドウ病を考える>

原因――

現在のところ免疫異常からおこる、自己免疫疾患と考えられている。

自己免疫疾患とは、本来身体の中に入って来た異物に対し抗体をつくり異物を排除する免疫反応が、間違えて自分の身体に対して抗体をつくり、自分の身体を攻撃してしまう病気です。

バセドウ病の場合は自分自身の甲状腺分泌するスイッチを攻撃してしまい、サイロキシン(甲状腺ホルモン)が過剰に分泌されてしまいます。

なぜ、このような自己免疫ができてしまうかは、今のところまだ解明されていません。(遺伝的な素因にウィルスやストレスなどが影響して発症するのではないかと推測されます)

 

症状――

新陳代謝が活発になり、身体の中では空焚きしたような状態になります。

新陳代謝が活発になり、交感神経も興奮し、エネルギーをどんどん消費してしまいます。

疲れやすい、息切れをする

汗をかく、暑がる、微熱、肌が湿る

動悸、頻脈がおこる

手足が振るえる

甲状腺が腫れる

空腹で食べてしまうが、体重減少(ときに増加)

精神不安(早口、イライラ感、集中力低下、躁病、うつ病)

眼球突出(浮腫、充血、二重視、視力低下)、眼球運動障害

診断――

甲状腺の腫れに気付かなかったりすると、症状から自律神経失調と間違えてしま うこともよくあります。

また、食欲が出て食べてしまうのに痩せていき疲れやすくなるので糖尿病とも間違われることがあります。

臨床所見(上記の症状が)が見られる場合は血液検査をします。

 

血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定します。多くなっていれば、今度は甲状腺を刺激する自己抗体の量 を測定することもあります。

甲状腺腫の有無を見ます(触診、エコーによる)

 

治療法―

治療方法としては甲状腺ホルモンの分泌を抑えるようにします。

 

薬物療法…治療の際の第一の選択肢としては薬物治療になります。薬物で甲状腺ホルモンの合成を抑制します。

甲状腺には1~2ヶ月分のホルモンの備蓄があり数値が正常値になるまでには時間がかかります。

また、数値が正常になっても、容易に再発を繰り返す疾患なので、緩解するまで最低6ヶ月~1年は服薬の必要があります。

副作用としては、じん麻疹などのアレルギー症状を起こすことがあります。

薬物療法はバセドウ病自体を治すものではなく、コントロールしながら自然に緩解するのを待つ治療法です。ストレスなどにより再発しやすくなるので、心身に負担を避けるようにする必要があります。

 

手術療法…甲状腺の亜全摘出手術をおこないます。(亜全摘出とは、ほぼ全部摘出する手術のことを言います)

甲状腺の病気自体は変わりませんが、ホルモンを出しているところを減らしてホルモンの量 を調節する手術です。

90%の人の甲状腺の機能が正常になります。

薬の副作用がある人、甲状腺腫の大きい人、妊娠を望む人などが対象になります。

2~3週間の入院が必要です。

手術の後5年以上経過して、薬を一切飲まなくて済む患者さんは80%以上になります。

 

アイソトープ治療…放射線治療の一種

検査の後、甲状腺に集まる性質の放射性ヨード(ヨードは甲状腺ホルモンの原料)を経口より投与する。

甲状腺が被爆され機能が低下することにより、甲状腺ホルモンを合成、分泌する能力がなくなっていきます。

身体全体の健康には影響のない放射線量です。

一回飲むだけの治療なのでとても簡単におこなえます。

妊娠出産を希望する人には使えません。(一般には3040歳の人に使います)

ただ、放射線が長期にわたり放出されるので10年後ぐらいに甲状腺機能低下の見られる方20%ほどいます。(機能低下が出た場合はホルモン剤で補います)

甲状腺の治療は適応を見きわめて、三つの選択肢の中から決めます。

第一の選択肢としては薬物療法になりますが、医師と相談上で治療法を選択していきます。

 

バセドウ病の治療を怠った場合…バセドウ病のコントロールが悪いと心臓に負担をかけて心房細動(心臓の筋肉が不規則に動いてしまうこと)がおこるようになってしまい、ひどくなると心不全をおこします。

また、甲状腺ホルモンには骨吸収を促進する(骨を溶かす)性質がありますので、骨粗しょう症の原因になります。

治療を怠ると、合併症も出やすくなります。

合併症にはバセドウクリーゼ(甲状腺発症)といって、バセドウ病の症状が突然悪化して意識障害をおこして死亡するようなことにもなったり、筋肉の萎縮や手足が麻痺してしまったりすることもあります。

 

バセドウ病は適切な治療をすれば一般には予後の良い病気です。

薬物療法などでは長期の治療が必要な場合もありますので、日々の養生につとめます。

 

以上が西洋医学から考えたバセドウ病です。

 

<中医学からバセドウ病を考える>

 

中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。

治療方法としては、針、簡単な食事療法を紹介します。

 

中医学において、バセドウ病は「癭(エイ)病」という病気の範疇になります。

(エイ)とは“こぶ、首すじのこぶ”の意味で、西洋医学でいうところの甲状腺腫になります。

甲状腺腫は、良性のものはほうっておいても予後は良く問題のない病気です。(良性悪性の診断は触診、エコー、細胞診により確定します)

甲状腺腫の全てがバセドウ病にあたるわけではないのですが、癭(エイ)病の一部として考えます。

ちなみに癭病とは、情志や飲食、地域性、体質などにより気滞(気の滞り)、痰(病的な代謝物質)、血オ(血の滞り)などが引き起こされ腫瘍となった状態です。

(主に癭病の中の熱性のある証に属します)

 

では、基礎的なお話しを交えてバセドウ病を考えていきます。

 

中医学における健康な状態とは気血水(津液)のバランスがとれ、滞りなく流れている状態です。

病気とはその反対で気血水のバランスがくずれ、弱くなったり、強くなりすぎたり、滞ったりしている状態です。

 

そして病気の原因には内因、外因、不内外因の三つがあります。

 

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火()があります。

季節、気候が正常な状態であれば身体に悪い影響はないのですが、急や異常な気候の変化があったり、季節外れの気候だったりすると身体に悪い影響があり病気になりやすくなります。

 

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。

中医学では自然界の中で起こることは体内でも起こると考えます。

臓腑の働きが悪くなると、身体の中でも六淫のような邪気が発生します(身体の中でも熱くなったり、寒くなったり、風が吹いたりするということです)

内風、内寒、内湿、内燥、内火の5種類あります。

 

不内外因とは食生活、労働、安逸、性生活などで、これらを節制せずバランスが悪くなると臓腑に悪影響を与えて病気になります。

 

その中でもバセドウ病を考えるときにポイントとなるのは、「火」「熱」の邪気 (まとめて火熱と言われる)と風の邪気です。

臓腑では主に肝、次に心の働きが重要になります。

 

火熱は、陽の気が盛んになって発生したものです。

特性は自然界の火や熱と似ています。

バセドウ病でのポイントになりますので、簡単に説明します。

()(ねつ)について

火熱は陽邪で、その性質は炎上する…上方に燃え上がるイメージです。

高熱、悪熱(熱がる)、煩渇(とてものどが渇く)、汗をかく、脈が力強く振れるなどの症状がでます。

火は気を消耗しやすく、津液を傷付けます…火熱は津液()を外に追い出したり、蒸発させたりします。また、気を消耗させます。

のどが渇き、舌を乾燥させる。全身の津液()、気を消耗させる。

火は風を生み、血を動かします:火熱が人体を侵すと筋肉の潤いを失わせます。 高熱、うわ言を言ったり、四肢が痙攣したり、身体を強張らせたりします。

火は腫瘍をつくる:火熱が血に入り、局部に集まると腫れ物ができ易くなる。

 

(ふう)について

風は陽邪で、その性質は開泄で、陽位 (上方)を侵し易い;開泄とは汗腺を開いて汗をかくこと。

風は行き先が定まらず、よく変化をする。

風は全ての病気の長:他の邪気と結合し易い、他の邪気の先導者である。

などの性質があります。

肝の機能は

蔵血作用…血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用

疏泄作用…気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。

胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。

血液を貯蔵、調節し、排卵や月経に関係することにより 肝は婦人科疾患に非常に関係の深い臓腑といえる。

 

心の機能は

血脈を主る…血液循環を管理している。(血液の流れ、拍動など)

神志を主る…精神、意識、思索活動を管理している。

 

原因――

バセドウ病は中医学では、ストレスや食事の不摂生などにより、肝の気が滞り火に変わったり(肝火偏盛:カンカヘンセイ)、肝の陰液が損なわれた結果 陽の気が強く出てきたり(肝陰不足:カンインフソク)、内風が発生したり(陰虚動風:インキョドウフウ)、また同じように食事の不摂生により脾胃の機能が失調して血の生成が足りなくなったり、肝火が陰液と血を煮つめて陰血が足りなくなったりして、心の陰血(主に陰液)が損なわれて(心陰虚損:シンインキョソン)発症すると考えます。

 

弁証論治(中医学診断と治療)

肝陰不足(カンインフソク)

ストレスなどにより肝気が滞り、それが長期にわたって改善されないと火に変わってしまう。火が肝の陰液を損傷して肝陰不足になる。また、湿熱病が長期化したり、他の肝病が長引いたりしても陰液を損傷しておこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、咽喉の渇き、目の乾き、汗をかく(特に手足と胸、寝汗)、微熱、精神不安(イライラ感など)が特徴となる。めまい、耳鳴りがでることもある。

 

治療――

滋養肝陰(ジヨウカンイン)。針治療では肝の陰液を補う治療をする。

また、肝の陰液が少なくなると陽気が上がりやすくなるため、これを抑える治療も加える。

 

食べて治す―

黒きくらげ、クコの実、山芋、スッポンなどは陰虚を改善させ、肝を助けます。

 

肝火上炎(カンカジョウエン)

ストレスなどが原因になり肝の気滞状態が続くと火に変化し、上方へ上がってしまったためおこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、目の充血、イライラ感、月経異常(月経が早まる)などが特徴となる。

 

治療――

清肝セツ火(セイカンセツカ)。針では上がってしまった肝火を下げる治療をする。

 

食べて治す―

セロリ、金針菜などは肝の熱をとり、火を下げる作用があります。

 

陰虚風動(インキョフウドウ)

陰虚の状態が重くなるとあらわれる。

過労、熱病、慢性病や情志の影響などにより陰虚の状態になり、乾燥した大地に風が吹くように内風の状態になります。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、汗をかく、体重減少、手足の振るえなどが特徴となる。

 

治療――

平肝熄風(ヘイカンソクフウ)。針では主に肝の陰液を補い、風を抑えます。

 

食べて治す―

牛乳、トマト、スイカなどが陰液を補う作用があります。

 

心陰虚損(シンインキョソン)

熱病や失血後、ストレスから化火し陰液を損傷したためおこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、動悸、頻脈、疲れやすい、汗をかく(手足や胸、寝汗) 、咽喉が渇く、集中力低下などが特徴となる。

他に不眠、多夢、健忘など

 

治療――

滋陰安神(ジインアンシン)。針治療では、心の陰液を補う治療をします。

 

食べて治す―

ゆりね(百合根)、緑茶などが心の陰液を補います。

 

これらの弁証はしばしば同時に現れます。

心肝陰虚(カンシンインキョ)

肝火の火が心に影響して心火になり、陰血を枯渇させてしまった状態。 心陰虚と肝陰虚の症状の特徴が同時にでる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも動悸、汗をかく、目の乾き、目のかすみ、精神不安、疲れやすいなどが特徴になる。

 

治療――

滋養陰精、寧心柔肝(ジヨウインセイ、ネイシンジュウカン)。針治療では肝と心の火を消して、陰液を補う治療をする。

 

食べて治す―

心陰虚、肝陰虚を参考にする。

 

ポイント

バセドウ病は青年期の女性に多い疾患です。

特に肝の働きと女性の月経、帯下、妊娠なども考慮しながら診断、治療する必要があります。

 

ヨードの取り方について

甲状腺は、ヨードを濃縮して必要な分だけホルモンを生成しています。

日本では、ヨードの元になっている海藻類などは食事の中に豊富に含まれていますので、偏食などがなければヨードが足りなくなることは、まずありません。

逆に、薬物療法中にヨードを取りすぎると薬の効き目が悪くなることがありますので、特にヨードを多く含む昆布を少し控えると良いでしょう。

ひじき、わかめなどは食べ過ぎなければ問題はありません。

 

まとめ

バセドウ病の治療は西洋医学では、一定の確立している治療法があります。

東洋医学での治療は西洋医学の治療と同時進行でよい効果が期待できます。

西洋医学ではストレスは悪化する時の原因にはなるが、病気の発症は今のところ原因不明(自己免疫疾患にかかる原因が不明)と考えています。

また治療の中でも、薬物療法はバセドウ病を根治するのではなく、甲状腺の働きをコントロールする治療法なので、治療期間中にも気候の変化、多様なストレスなどで体調が悪くなり再発、悪化の原因になると考えます。

東洋医学では、ストレスについての捉え方も違い、弁証(診断)、治療も研究されてとても友好的な治療ができます。

バセドウ病のような病気の場合、薬物治療中の更なる体調管理方法として中医針灸の治療を受けることは、大変効果 的なことであると思います。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

2019/02/20
メニエール病

眩暈(めまい)、吐き気の発作をくりかえし、耳鳴りや難聴などの症状もともない原因のはっきりしないものがメニエール症候群と診断されます。  

 

現代医学的には、内耳が水ぶくれ状態になり、内外のリンパ液のバランスがくずれる結果 だと考えられています。原因は不明ですが、ストレスや過労が大きく関与しているといわれています。治療は対症療法で眩暈や吐き気を抑える薬剤や、神経伝達をよくする薬剤、精神安定剤、利尿剤、血液循環をよくする薬剤などが使用されます。

 

中医学で考えた場合、「眩暈」、「吐き気」、「耳鳴り」「難聴」などの症状はそれぞれ関係ないようにみえますが「痰濁」というキーワードでつながります。中医学では「痰がなければ眩暈は発生しない、痰は火によって動く」などの記述があります。「痰濁」は水分代謝の失調によって産生される病理的物質です。体に必要な水分「津液」に対し、病理的水分を「痰濁」といい、普段皆さんが考える肺から排出される「タン」と同じく中医学では「無形の痰」といい体全体にもこれがあると考えています。この「痰濁」が多くなると「痰濁閉阻」といい「気、血、津液」の流れが悪くなり、「眩暈」「吐き気」「耳鳴り」「難聴」の原因の一つとなります。水分代謝では消化器が一番重要です。ストレスでは「気滞」、過労では「気虚」となり消化器の働きがわるくなります。消化器の働きが落ちると、水分の代謝機能に影響し「痰濁」が産生されます。

 

中医学的からだのしくみ●

中医学(中国医学)では人間の体を次のように考えています。人間の体は五臓六腑を中心に生命を維持する基本物質である気(エネルギー)・血(血液)・水(体液)が十分に生産され、この気・血・水が経絡という通 路を正常に流れて初めて人間の健康が維持できるという考え方にあります。

中医学による病気の治療とは、生命活動を維持する気・血・水のどこに問題があり、それが不足(虚)か有余(実)を判断します。そして五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)のうちのどの臓腑が、この気・血・水の問題を作り出したかを診断をします。

 

五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)は西洋医学と全く同じ役割分担ではありませんので混乱しないようご一読下さい。

五臓のうち「肝」が原因を起こすもの

 

肝は風・木の臓とされ、四季では春に相当するので

春の営みのように気を上へ上へと上昇させようとします。

そのため、眩暈(めまい、ふまつき)が生じるものです。

また、肝は精神刺激を非常に感受しやすいものなので、

ストレスとの影響も非常に強いパターンでなのです。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、耳鳴、偏頭痛、怒りっぽい、イライラする、赤ら顔、のぼせ、目が充血する、不眠、夢が多い、不安が強い、うつ様症 状、口苦などを伴う

いずれも肝の変動による症状です 。

 

治法:平肝鎮陽・清火熄風

漢方:竜胆瀉肝湯

   天麻釣藤飲

   釣藤飲など

 

1.五臓のうちの腎の弱りによるもの

 

腎は脳との関わりが強いとされていて、腎気が弱り脳が栄養されないために、めまい、ふらつきが出ます。

虚弱によるもので、腎は精を蔵し、精は髄を生む。

また、脳は「隋の海」と古くから言われています。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、物忘れがひどい(健忘)、足腰が酸い、また力が入らない、耳鳴 どれも腎の弱りに伴う症状です。

 

治法:補益腎精

漢方:六味地黄丸

   海馬補腎丸などが該当

 

 

2.五臓のうち脾が気血不足となるもの

 

体全体の気血が不足していて起こるパターンです。

車で例えるとガソリン(気血)の足らない状態であり、体のガソリンを作り出すのは五臓のうち「脾胃」であり、この脾胃の弱りが根底にあることが多いのです。

・動いて疲労すると眩暈が悪化する。

 

元々、気血が少ないので運動や過労によって気血を消耗すると悪化します。

・倦怠感、話すのがおっくう、無気力、顔色が悪い

気血不足のために現れる症状である。

また、一身の気血が不足しているため、五臓六腑に気を供給出来ないと、各々特徴的な症状が出る。

・心に気血が不足すると、不眠、動機が

・脾胃に気血が不足すると、食欲不振が

・肝に気血が不足すると、目がかすみ、爪に艶がなくなる

治法:補益気血・健運脾胃

漢方:十全大補湯・帰脾湯・補中益気湯・婦宝当帰膠・七物降下湯

など

 

3.病理水分「痰濁」が経絡を塞ぐために起こる眩暈

 

痰濁が頭部をおおうために起こります。

また、脳に気血が送られないので、余計に眩暈(めまい、ふらつき)を起こしやすいのです。

痰濁による特有の症状を伴うため、他の原因の眩暈と見分けることが出来ます。

つまり、痰がつまり、咽がゴロゴロしたり、体が重くなったりといった症状です。

 

痰濁が身体のどこを侵すかによって症状が異なります。

・頭重感を伴う、体が重い:湿痰が頭部を侵すと、頭がどんよりと重く感じる。

・胸悶:湿痰が胸部で停滞

・悪心、眠たくて仕方ない(嗜眠)、ゲップ、しゃっくり

 

治法:燥湿化痰、止眩

漢方:半夏白朮天麻湯

    竹茹温胆湯

    五苓散

    苓桂朮甘湯など

 

水分とメニエール病

メニエール病であり内リンパ水腫が原因と考えられえる場合は、「水分過剰」に気をつけることが基本となります。

しかし「水分が多い方が血液がサラサラなるのでは?」と思われるかもしれません。ではそれを東洋医学的に考えてみましょう。

 

まず「リンパ水腫」は悪質な水分、過剰な部分であり、内耳という限定された部分に溜まっているわけです。そして回転するようなめまいであったり、耳鳴りを発生させます。

その状態を改善させる為には、内耳付近の血液循環が大切です。

血液に乗って水分が補給、代謝されます。

 

過剰水分→内耳に溜まる→血液循環が水分を補正する

 

そのしくみの中で悪質な水分が血液循環を邪魔します。

サラサラ以前の問題として過剰水分が臓器や器官を浮腫んだ状態としてしまい、血液を流れにくくしています。

 

メニエール病を繰り返す方の食事療法としまして

しょうが ●にら ●火を通した大根 などなどの食材がお勧めです。

 

ストレスとメニエール病

メニエール病の宿敵は「ストレス」です。これが血管の収縮の大きな問題となってきます。

まず「リンパ水腫」は勿論「水」から産まれます。その水は飲食物から体に入ります。だれでも血中に水分は沢山持っていますが、その水分が内耳に溜まる。溜まる原因と排出出来ない原因があります。

内耳の付近の血流が低下していると常時補正しているリンパ液の代謝速度が低下してしまいます。

ストレス、寝不足から血管が収縮気味となってしまい、普段は血液に乗って、常時調節、排出されているはずのリンパ液の代謝が追いつかない。

その為、視神経の疲労(目の疲れや長時間の運転)でもめまい、メニエール病発生の引き金となる方が多いのではないでしょうか。

それは視神経が疲労した状態はストレスがかかった状態と同様に血管が収縮しやすい事からも言える事だと考えられます。

 

長時間の運転やテレビ、読書はさける

夜更かしや睡眠不足、過労はさける

対人関係や心配事も可能な限り気にしない   

などが大切。

今までの注意事項を意識するだけでも発生する頻度は減るはずです。又、点滴や病院の「めまい止め薬」でも一時的に改善するかもしれません。

しかし「一時的におさまったようにみえて、何度も再発する」。

また、「一見治ったようだが、その後もずっとふらつく」

こういった「めまいやメニエール病の慢性化」した患者さんがかなり多い事には訳があります。

「体質の偏り」です。  

それこそが「原因」なのです。

「原因」が有ってめまいが発生するわけですから、点滴などで一時押さえしたところで、再発は必ず起きます。

又、形を変えた状態で発生するかもしれません。

その「形を変えた状態」とは、ふらつき、食欲不振、視力の低下、疲労倦怠感、もしくは記憶力の低下かもしれません。

 

根本的な体質を中医学(針治療や漢方)で改善していきましょう。

私たちは、お一人お一人の症状に合った治療法を取り、漢方、食生活などをアドバイスさせて頂きます。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

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