コラム

2022/07/06
生姜について

梅雨明けなのでしょうか、そのように感じさせる天候ですね。


湿気や熱は胃を犯しやすく、

この時期には食欲が下がる方が多いのです。

何かの形で工夫したいものです。

そのような方には、生姜がオススメです。

生姜には体を温め風邪を治すイメージがありますが、
・体の余分な熱をとる
・胃腸働きを良くする
・脳を休ませる

などの働きもあります。

なかでも…、

生姜に入っている『ジンゲロン』

が上記の働きがあり強く働きます。

また、ジンギベロールも胃腸を元気にします。

「ただ良いから」といって食べるのではなく、
効能を知り食べることで体の効きが良いです。

暑さの熱を逃す且つ

湿気による水分による消化器の機能が落ちた時にぜひ‼︎

中々体調を管理するのが難しい時期ですが、

食べ物などで乗り切っていきましょう。

2022/05/28
暑くなってきたらオススメの食材とは!?
夏・長夏の食養生ポイント!!
 
この時期6月〜8月 のお勧めの食材は、気のめぐりを良くするもの、利尿・水分補給をするものが良いです。
食材をいくつか紹介させて頂きます。
 
ライチ 温性の食材
体を温め、血や水分を補う。
消化機能を高め、下痢を改善。ビタミンCやB・ミネラル・葉酸を含む。
 
しそ 温性の食材
発汗作用で体内の熱を表に出す。
胃腸の働きを助ける。
肺の機能を高めて、風邪予防に良い。痰の切れを改善する。
しそは、気のエネルギーの流れを良くしてイライラを緩和させる働きがある
 
生姜 温性の食材
生姜は発汗作用が強く、吐き気止めにもよい。
魚貝類による食あたりを防ぐ、胃腸の働きを整える。
 
グリーンピース 平性の食材 温でも寒でもない
水分代謝を促し浮腫み予防や母乳の出を良くする。
元気を補い、胃腸の働きを整える。
 
梅 平性の食材 温でも寒でもない
体に水分を生み出し、腸の働きを整える作用が有ります。
下痢の時に摂取すると改善に役立ちます。
 
サクランボ 温性の食材
体を温めて元気を補います
 
らっきょう 温性の食材
体を温めて、冷えによる痛みや下痢の緩和に良い。
気や血の流れを促進させる。
喘息や狭心症の予防に働きかけます。
 
うなぎ 平性 温でも寒でもない
五臓の働きを補い、筋骨を強くする。
蒸し暑さの夏で疲れたとき食欲の無いときにお勧めの食材です。
足腰のだるさ改善にも役立ちます。
 
冬瓜(トウガン) 涼性の食材
水分代謝を促し浮腫を改善、熱を冷ます作用も有り。
夏バテ口渇に良い。夏の多汗にも良い。
 
なお食べ過ぎは、温めすぎや冷やしすぎといった逆効果にもなってしまうのでご注意ください。何事もほどほどに。
 
 
 
 
2019/02/20
おりものの異常

おりものの異常(帯下について)

帯下とは、膣内から流出する粘液で“おりもの”“こしけ”と呼ばれ、正常では無色透明で、臭いが少なく少量 です。

女性の身体の状態を判断するために、月経の症状と併せて確認する重要な問診項目の一つです。

通常、発育成熟期・月経前後・妊娠初期に量が多くなりますが、このような場合は病としては扱いません。帯下量 が多く、その色や性状、臭いに異常があり、あるいは全身症状を伴うものを“帯下病”といいます。

 

はじめに生理周期と合せて、正常な帯下の状態を知っておきましょう。

まず、帯下は排卵前後に透明で糸を引くような粘りのあるものが出て、排卵が終わった高温期にかけては色は透明で、臭いがなく、固まらないのが正常です。

色がついていたり、臭いがあったり、固まりがある場合は、膣炎や性感染症などの疑いがあります。例えば、カンジダ膣炎があると、よくカッテージチーズのようなポロポロと固まる白い帯下があります。

 

では、“帯下”に対する西洋医学と中医学のそれぞれの捉え方を説明します。

 

西洋医学的な捉え方≫

帯下とは、女性生殖器からの分泌物ですが、特にそれにより外陰部が湿潤され、分泌物の存在が自覚され、不快感がみられる程度になったものをいいます。

 

分泌物の由来する場所により次のように分類されます。

1) 卵管帯下(卵管癌など)

2) 子宮体部帯下(子宮内膜炎、子宮体癌、その他)

3) 頸管帯下(頸管粘液、頸管炎、子宮頚癌、その他)

4) 膣帯下(膣炎、その他)

5) 外陰帯下(外陰炎、その他)

 

また、帯下の性状から次のように分けられます。

1) 白色帯下(頸管粘液増量、子宮内膜炎、トリコモナス膣炎、その他)

2) 黄色帯下(淋疾、その他)

3) 血性帯下(性器出血ですが、血液以外の分泌液が多量に混入している場合)

 

さらに原因の面から、

1) 生理的帯下(排卵期、妊娠時、その他)

2) 炎症性帯下(膣炎、外陰炎、子宮内膜炎、その他)

3) 壊死性帯下(悪性腫瘍、月経、分娩後、その他)

4) うっ血性帯下

5) 心因性帯下、に分けられます。

 

中医学的な捉え方≫

中医学では、弁証(病状を見極めて治療方針を立てること)に必要な情報を得るために様々な項目で問診を行います。望診(見る)、切診(触れる)なども行いますが、何よりも問診が重要です。

集められた情報から、患者さんの病状、体質などを見極めて治療方針がたてられます。

女性の場合は、月経の状態とともに帯下の状態も大切な問診項目です。

自分の体調を管理する上でも、帯下の色、臭い、性状の清濁(清はサラサラした状態・濁はネバネバした状態)を日頃からチェックしておく必要があるといえます。

 

中医学では、人体を現代医学的な解剖論とは異なった見方をします。どちらが正しいというのではありません。異なった見方をすることで、現代医学とは違った治療が出来ることを知って頂きたいと思います。

詳しい内容は、NO168:“わかりやすい東洋医学理論”の中の「中医学の生理観・基礎概念」の項目で説明がありますので、是非参照して下さい。このページでは、詳細は省略させて頂きます。(探しずらい場合は、まとめのページの上段にもわかりやすい東洋医学理論が掲載されております。

 

中医学では、人体は“気・血・水”がスムーズに体内を巡って、必要なところに必要なだけあり、五臓六腑・経絡が正常に機能している状態を“健康”と考えます。

生殖器には臓腑では“脾、腎、肝”、経絡では奇経八脈の“衝脈、任脈”の働きが深く関わります。何らかの原因で“脾、腎、肝”の働きが低下し、“衝脈、任脈”の流れが滞ることで帯下の異常が引き起こされると考えます。

原因や、失調した臓腑などによっていくつかのタイプ(証)に分かれます。

 

 

【肝経湿熱タイプ】

帯下は、決して病的なものばかりではありません。体に必要な水分として生殖器に分泌されています。しかし、水分が停滞するなどの代謝異常が起きること“水湿の邪”に変化し病的なものとなります。そして、流れが滞ると、熱を生みます。それが肝経に、侵入することで起こるのがこのタイプです。

(症状)

帯下の量が多く、色が膿のような黄緑色です。あるいは血液が混じり、米のとぎ汁のように混濁している場合があります。

また、帯下の臭いが強く、外陰部に掻痒感や痛みがあります。

その他、尿が黄色く濃い、耳鳴り、口が苦い、咽頭の乾き、怒りっぽいといった症状や、胸肋部がつまった感じ・張った感じを伴うこともあります。

 

(治療方針)

清肝利湿・・・肝の熱を清めて、湿邪を取り去る治療です。

(食養生)

体内の熱を取る食材を摂りましょう。肉中心のこってりとした料理や、味付けの濃い料理、辛みの強い料理の食べすぎなどは、体に熱を発生させやすいため注意が必要です。野菜中心のメニューで薄味を心掛けましょう。

 

「食材」・・・

ほうれん草、もやし、セロリ、大根、きゅうり、トマト、豆腐

 

【脾虚湿困】

水湿の邪”が脾の機能を失調させた状態です。もともと脾は乾燥を好み、湿気を嫌う臓腑なのです。

(症状)

帯下は白色、性状は粘稠、臭気のないもが続きます。また、元気がない、疲れやすい、食欲不振、むくみ、泥状便などの症状があります。

 

(治療方針)

健脾益気・・・脾の運化機能を立て直し陽気を補う治療です。

除湿止帯・・・湿を取り除き、漏れ出るものを止める治療です。

(食養生)

余分な水分を出すものと、体を温めるものを組み合わせましょう。

 

「食材」・・・

きゅうり、とうがん、とうもろこし、豆類、そば、海草、あさり、しじみ、かぼちゃ、にら、ねぎ、しょうが、青じそ など

 

【腎陽虚】

腎気の身体を温める作用が著しく低下した状態です。全身および局所が冷え、冷寒症状が現れます。水分を気化させる機能が低下します。

(症状)

帯下は白色で、量が多く稀薄なのが特徴で流れるように排出されます。

顔色がどす黒い、元気がない、寒がる、四肢の冷え、夜間頻尿、腰や膝がだるく無力、頭のふらつき、などの症状があります。

 

(治療方針)

温腎補陽・・・

腎を温めて陽気を補う治療です。

 

固渋止帯・・・

腎の固摂作用(漏れ出さないように留めておく作用)を回復させる治療です。

(食養生)

体を温める食材を摂ると共に、穀類や豆類、野菜、肉、魚などをバランスよくとり寒さに負けない体力づくりを心掛けましょう。

 

「食材」・・・

かぶ、ねぎ、かぼちゃ、にら、しょうが、にんにく、栗、鶏肉、羊肉、さば、いわし、黒豆、大豆、長いも、など

その他、“紫赤色で血液様・悪臭がする場合”は、悪性腫瘍などを疑う必要があります。また、“妊娠中の多量 の水様帯下”は破水で流早産の前兆と考えられ、どちらも専門医を受診することをお勧めします。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより 一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

 

 

2019/02/20
つわり

妊娠初期にみられる悪心、嘔吐、食欲不振、嗜好の変化は大部分が全身状態に重大な影響を与えることなく自然治癒します。

このような症状を「つわり」といい、妊婦の5080%にみられます。

しかし、これらの症状が悪化し食物摂取が困難となり、その状態が持続すると栄養障害・代謝障害をきたし、臓器障害や全身状態の悪化を招くことがあります。

まれにビタミンB1欠乏により脳障害(ウエルニッケ脳症)をきたすこともあります。

食物摂取が困難となり加療を要する状態になったものを「妊娠悪阻」といいます。

軽症のものも含めると妊娠の数%にみられます。

通常は妊娠5~6週から症状が出現し、妊娠1216週ころまでには消失します。

本証発症のメカニズムの詳細は不明ですが、妊娠初期の内分泌や代謝面 の急激な変化が原因となり、自律神経失調を主とする精神的心理的因子が誘因となって発生すると考えられています。

それ以前は認められず、妊娠したことが契機となって悪心・嘔吐・偏食などといった症状が出現することから、多くの場合診断は容易です。

まれに、妊娠初期に食中毒や胃潰瘍などと合併することにより、同様の症状を呈することがあるので症状が強い場合には一度検査を受けられる必要性があります。

また、胞状奇胎(ほうじょうきたい)の場合は妊娠悪阻を伴うことが多いので、正常の妊娠であるかどうかを診断することも重要です。

 

つわり(妊娠悪阻)と関わりの深い臓腑

 現在、日本の西洋医学で使われている、内臓を表す用語は中医学の「五臓(肝・心・脾・腎)」と同じ文字で表現していますが、機能は必ずしも一致しません。

肝臓ではなく「肝」というように、中医学について書かれてた文章の中で五臓の名前に「臓」の文字をつけないのは、西洋医学と区別 するためなのです。

 

「肝」

ストレスや暴飲暴食で重労働を強いられると、肝臓自身にも疲れが溜まります。こういう状態を中医学では「肝鬱」といいます。

「肝」は肝臓だけでなく、体全体の機能を調節し、消化吸収や血流を正常に保ち、精神活動や情緒をも司る臓腑と捉えられています。

自律神経系の緊張や失調との関係が深いのです。「鬱」は機能の阻滞を表します。

つまり肝鬱は肝機能のストライキによる体調や精神活動の不調のことなのです。

肝鬱の状態が続くと、自律神経系の緊張や失調を介して体のあちこちで支障が生じてきます。

消化器系に影響すると胸やけ、吐き気、食欲不振、下痢などの症状が表れ、神経性胃炎、神経性下痢、過敏性大腸症へとつながることもあります。

西洋医学では病気とは言えない症状も多いのですが、中医学ではちゃんとした疾病として捉えられ、治療法が数多くあるのです。

 

「胃」

胃は飲食物を消化します。

生命活動に欠かせない滋養物質である水穀の精微をつくります。

消化した残りかすである「濁」と小腸や大腸に送る「降濁」も胃の働きです。

 

「脾」

 気の生成・・・食べた物を生成して補充します。

脾は胃で作られた滋養物質を吸収して上昇させ、全身に送る「昇清」という働きをもっています。

運化作用・・・脾は運化といって、食べたものを消化吸収して全身に栄養分を運ぶ作用があります。

栄養分から津液を作り、全身に送ります。

津液とは血以外のすべての体液のことで、水穀の精微が、脾で気化されてできたものです。おもに体の各部を潤す働きをしています。

 

「脾と胃」

上記の説明の通り、上昇(脾の働き)と下降(胃の働き)という正反対の働きをもつ脾と胃が協調し統一して活動していれば、食欲がわき、おいしく食べられます。

しかし、一方の働きが低下すると、もう一方の働きも低下します。

例えば、脾の「昇清」が低下すると、胃の「降濁」が上に逆流したり、昇清が低下して降濁だけが働く「昇降失調」の状態となります。脾と胃は昇降という相反した方向性の作用によって食べ物の消化・運搬を主っているのです。

 

つわりにも、体質などによって負担になる症状は人によって様々です。

中医学では大まかに3つのタイプに分類して考えていきます。

 

 

 脾胃虚弱によるもの ☆

通常、女性の体は毎月経血を排泄する役割を持っていますが、妊娠により、排泄機能が休止状態になると衝脈の気が旺盛になります。

通常、外に排泄されなくてはいけない気が体の中で行き場をなくし、同じ経絡で関係の深い「胃」に悪影響をもたらすのです。

衝脈とは、体内を流れる経脈の一つで子宮から起こり、「血海」とも言います。

月経の来朝と密接に関係しています。

一般に受胎によって月経が停止し経血が排泄しなくなると、衝脈の気は体の中に旺盛になります。その気の上逆は胃を犯すことがあるのです。

胃気は胃の気が下がることにより、正常な機能を発揮しますが、もともと胃が弱い方が受胎すると衝脈にともなって胃気が上逆し嘔悪が起こるのです。

 

 

 肝脾不和によるもの ☆

平素から胃気(消化物を下に降ろす作用があります)が虚弱で肝気が旺盛ぎみな人が妊娠すると、胎児の栄養のために血が胞宮(子宮)に結集することにより、肝血不足となり、そのために相対的に肝気が旺盛になります。

肝は西洋医学で言う肝臓を含め自律神経やホルモン系の調整機能、血の貯蔵、精神機能などを有し、これらの機能を総称して肝気といいます。

肝機能のことで全身へ気を良く巡らせる働きをしています。

妊娠をされた状態でストレスやイライラ状態が続くと中医学では肝が障害されると考えます。

肝気がスムーズに流れなくなることにより、衝脈の気を挟んで上逆し、これが気を犯すと嘔吐がおこるのです。

 

 

 痰湿によるもの ☆

脾陽不足で運化が失調し、痰湿が内生して中焦(腹部)に阻滞している人が受胎によって経血が閉じ衝脈を阻滞すると、気血の運行が悪くなり、衝脈の気が痰湿を挟んで上逆し嘔悪が起こります。

痰は津液が煮詰まり濁ったものです。

つまり、津液の変化したもので、大元は脾の消化吸収機能が衰えた事が根本にあります。脾胃の気化作用が弱くなると、「脾虚湿盛」といって、水分の停滞が起こります。

この停飲は長期になると熱を受けて粘性を持った「痰」へと変化します。

中医学では「脾派生痰の源」と言われています。

 

3つのタイプが大まかに理解して頂けたところで今度は何故吐き気などの症状が起こるのか、タイプ別 に細かくみていくことにしましょう。

 

 

脾胃虚弱によるもの

 

 妊娠後2~3ヶ月に出現、悪心、嘔吐、食物の臭いを嗅いだだけで気持ち悪くなる、または食べるとすぐ吐く、または清稀な涎を嘔吐する。

原因

妊娠により衝脈の気が旺盛になり、脾胃虚弱に乗じて胃を犯すと胃の気が下がることができず、上逆しておこります。

胃は本来食べ物を納め、消化した後、腸に下ろすように働きます。

胃の気は下降しているのが正常なのですが、胃の気が反対に上逆すると、上記の嘔吐などの症状が出るのです。もともと胃の弱い方がなりやすい症状です。

また、「涎」は中医学では「脾」と関係の深いものです。

 

 精神倦怠 嗜睡

原因

脾気(上昇方向へ気をおくる働き)が不足して気血を昇清(良いエネルギーを上げ、栄養素を頭の方へ運ぶこと)できないとおこります。

「食べると眠くなったりだるくなったりする」これを嗜睡といいます。

脾胃が虚弱で食べ物を消化できない状態です。胃・脾の気が悶々として気の流れが停滞し、食後すぐ横になりたくなり、体が重くなります。

清陽(気血)が昇って頭目を栄養できないとおこります。

 

 息切れ 懶言

原因

気が不足し、呼吸活動や発声を動かしている気(推動作用)が低下するとおこります。

 大便溏薄

脾の働きである「運化作用」が減退し、腸の中に水湿が停留するとおこります。

 

 

肝胃不和によるもの

 

 妊娠初期に出現、苦水または酸水を嘔吐する、油っこい食物を嫌う、または食物の臭いを嗅いだだけで気持ち悪くなる

原因

肝の欝熱が衝脈の気を挟んで上逆し、これが胃気を犯すとおこります。

肝の気を巡らせる機能(疏泄機能)が失調し、気の渋滞が長く続くと熱を発生させます。

精神的な緊張などが鬱積して、それが発散されずにいる状態です。

 

 

 胸肋部の張痛、げっぷ、よく溜め息をつく、精神抑鬱

原因

肝気が欝滞するとおこります。

肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状を指しています。

精神的ストレスによる感情抑うつの状態は、多くの病気の原因や憎悪因子となります。

また、逆に様々な病気は感情の抑うつをもたらします。

肝気が鬱結すれば気の流通が滞り、胸の煩悶感が発生します。

ため息をつくと煩悶感は少し軽くなります。

嘔吐、げっぷ、胃酸の逆流、食欲不振などは鬱結した肝気が胃を犯したものなのです。

 

 

 口苦、頭脹感、頭痛

原因

肝火が上衝するとおこります。

肝気の鬱滞が熱化して昇発が過度になった状態です。

鬱熱が肝経(肝に帰属する経絡で、下肢から胸脇部を昇って目や頭頂部に達する)にめぐった為に生じた症状です。

 

 

痰湿による症状

 

 妊娠初期に出現、痰涎を嘔吐する

原因

衝脈の気が痰湿を挟んで上逆するとおこります。

痰湿が子宮や衝任脈を塞ぐ結果、衝任不通・気血運行不利となります。

衝脈や任脈とは妊娠や月経と関係深い経絡です。

「衝は血海である」と言われており、その脈は子宮から起こり、気血の作用を調節し、月経の来潮と密接に関係しています。

 

 

 胸悶、食欲不振

原因

痰飲が中焦(腹部)に阻滞して水穀の腐熟や運化が悪くなるとおこります。

 

 

 口が甘く粘つく、味がわからない

原因

痰飲が上犯して口にあふれると、口が粘つき運化が悪くなり、中気が昇らないと味がわからなくなる。

 

 

 大便溏薄、浮腫

原因

「脾」の運化機能(食べたものを消化吸収して全身に栄養分を運ぶ作用)が減退して水湿が腸の中に停留すると便がやわらかくなります。

肌に水湿が停留すると「むくみ」がでます。

 

気のめぐりが悪いと水の代謝が悪くなり、痰飲という病的な津液が生じます。

痰といっても喉に絡むあの痰だけを指すのではなく、体内の至る所に生じる水分の代謝異常をすべて指します。

痰を生じる源は五臓の中の「脾」といって、現代の膵臓などの消化器の働きと関係があります。

上記のような症状は痰飲が原因となって起こる症状なのです。

なぜ痰が生ずるかというと「脾は生痰の源」といって「脾虚」が根底にあるからです。

脾虚とは脾の運化機能(食べたものを消化吸収して全身に栄養分を運ぶ作用)の低下のことです。

 

痰湿が子宮や衝任脈を塞ぐ結果、衝任不通・気血運行不利となります。

衝脉や任脉とは妊娠や月経と関係深い経絡です。

「衝は血海である」と言われており、その脈は子宮から起こり、気血の作用を調節し、月経の来潮と密接に関係しています。

それでこの障害を「痰湿阻滞」といいます。

 

3つのタイプによって、治療計画、方針を立ててゆき手当てをしていくものが中医学になります。

 

つわりの時の食生活

中医学的にみた妊婦さんの食生活の基本は、「脾」と「腎」を補うことです。

補うというのは、不足しがちな機能に「てこ入れ」をするというような意味です。

脾”とは、食べたものを消化吸収して身体を養う臓腑です。

腎”とは、持って生まれた元気を保存し、子孫を残していく力のある臓腑です。

腎を補うことで胎児が安定し、脾を補うことで不足しがちな気血を作りだすことができます。

腎に貯金されている、「精(生殖や成長に必要なエッセンスのようなもの)」を補充することができます。

消化の良い物を五味(すっぱい・苦い・甘い・辛い・塩からい)

五色(赤・青・黄・白・黒)を考えて、バランス良く食べるのが理想です。

とはいえ、つわりがひどくて、特定の物しか食べられなくなる場合もあります。

その時は無理をせず、食べられる物を食べられるときに少しずつでも食べておくことが大切です。

また、レモン、シソ、ブドウ、などはつわりの時でも食べやすく、中医学では胎児を安定させると言われている食べ物です。

また、ショウガや、梅干し、大根などは吐き気を抑える働きがあります。

ちょっとお腹が空いたときにこうした物を食事に取り入れて食べると良いでしょう。

空腹時に吐き気がする人が多いので、小さく作ったおにぎりなどを持ち歩くと安心です。

上記のような食べ物を毎日の食事に上手に取り入れ、症状の緩和に努めましょう。

料理を作るとき、食べ物の相性が良いと美味しくたべられ、なおかつ効果 も高くなります。

 

妊娠悪阻(つわり)のことでわからないこと、疑問点などございましたら

お気軽に当院までご相談ください。

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。

これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

当院は予約制となります

  • まずはお電話でご相談ください。

  • 0088-221818

予約受付・診療時間

9:00~
11:30
13:00まで 11:40まで
14:00~
16:00

16:40まで

※ 火曜日・水曜日・木曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。

アクセス

〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目17-10

院内の様子