コラム

2019/02/20
肩こり

肩コリとは、首すじから肩にかけて起こる、筋肉のこわばりのことです・・・なんてあえて言う必要がないくらいよく知られています。と同時にただの強ばりなのに、とても不愉快で、つらく、仕事や家事に影響がでてしまったり、しかもなかなか治らなかったり。中には怖い病気が隠れていたりすることもあります。

 

では、この肩コリをどうすればいいか?怖い肩コリとはどのようなものか?考えていきたいとおもいます。

 

<西洋医学的な考え方>

西洋医学の分野においては、単純な肩コリについてはそれほど重要視されないのが現状だとおもいます。単純な肩コリとは長時間同じ姿勢でパソコンをやったり、細かい作業をしたり、また悪い姿勢で作業したりして特に肩の筋肉を緊張、疲労させた結果 おきます。

単純な肩コリはこのようにおこります。ひどい場合はこわばりだけでなく、痛みになることもあります。

特に肩周囲の筋力の弱い人や、なで肩の人では肩コリになりやすいです。男女比では圧倒的に女性が多くなっています。

また肩コリによって緊張性頭痛、吐き気、耳鳴りなどがおこることもあります。

 

しかし中には他の病気の影響で肩コリがおこることがあります。

 

首の骨の問題→頚椎症(頚椎の間の靭帯、軟部組織などの問題)など

耳鼻科の問題→耳の疾患、蓄膿症、鼻炎など

眼科の問題→視力の低下、老眼、眼鏡の視力矯正不良、ドライアイなど

歯科の問題→虫歯、噛み合わせ不良など

内科的な問題→自律神経失調症、高血圧、冷え性、心臓の病気など

神経内科的な問題→ストレス、うつ

婦人科の問題→更年期障害など

 

これら以外にも肩コリの症状がでる病気はたくさんあります。特に首から上の病気はその首から頭を支える肩にも緊張をあたえ、肩コリとの関係が強い傾向があります。このように他の病気が原因の場合は、まずその病気の治療が必要になります。

 

最近はテレビの中の健康番組などでも取り上げられていることもありますが、肩コリの中には心臓の病気からおこるものもあり、注意が必要です。心筋梗塞、狭心症、肺尖癌(パンコースト症候群)という病気からもおこります。このような怖い肩コリに特徴的なのは、楽な姿勢をとっているにもかかわらず肩が痛んだりします、また心臓の病気からは左肩から左腕に痛みがでることが多い、などの症状があります。ゆっくり横になっても痛みがとれなく、だんだん痛くなったり、今まで肩コリになったことがないのに突然ひどい肩コリになったりした時は心配ですので念のため医療機関での診察が必要になることがあります。

 

高血圧で動脈硬化がすすむと肩の微細な血管の血流が悪くなり肩コリになります。

 

頚椎の問題の場合はしばしば腕から手にかけてシビレが出ることがあります。こちらは詳しくは頚椎症の章を参照してください。

 

肩コリ以外にこのような症状がある場合は当該の病院の診察が必要になります。

 

<西洋医学的治療>

・湿布

・首の牽引→機械によって首を牽引し首の筋肉にストレッチをかけ、筋肉をほぐす

・低周波療法、温熱療法、マッサージなどの理学療法

・薬→筋肉弛緩剤、安定剤

・運動の指導

 

これらの治療が主な治療法になります。

基本的にはこわばっている筋肉をほぐすし、ストレッチして症状を緩和させるということになります。 短期間におきてしまった肩コリについては良い結果があります。

 

筋弛緩剤について考えてみたいとおもいます。

肩コリもひどくなると痛みになってしまうことがありますが、理学療法で改善しなかったり、理学療法の施設がなかったりする場合は、筋弛緩剤が処方させることがあります。

筋弛緩剤は 筋肉が緊張し痙攣状態になって痛みがある時に脊髄の神経を麻痺させることにより、筋肉のこわばりを取り去ります。  

 メリットとしては理学療法で改善しない、または理学療法する時間がない、運動する時間もない場合は、選択肢としては考えてもいいかもしれません。  

 デメリットとしては、薬で症状だけ緩和させて身体を動く状態にしてしまうことが身体にどのような影響を与えるか少々心配である。肩コリは原因があっての身体の反応です。原因を治療せずに神経の興奮だけを長期に抑えさせると身体がどのようになるか想像してみてください。

 

マッサージについて考える

上手なマッサージ治療には単に筋肉の緊張をとりやわらかくするだけではなく、神経の興奮を抑えたり、精神的なリラックス効果 が得られ自律神経のバランスをとったりすることができます。また多少の頚椎、肩関節の矯正効果 もあります。筋肉疲労の肩コリや短期間の肩コリには適応だと考えられます。ただし、リラクゼーションのみの慰安的なマッサージは長期にわたる効果 を望むことは難しいとおもいます。

注意することは、首を雑にマッサージされると症状が悪化したりすることもありますので、 事前に評判など調べて信用のできるところでのマッサージ治療を受ける必要があります。

 

運動について考える

単純な肩コリは筋肉が緊張してこわばってしまった状態ですから、自分自身で改善させる方法としては、ストレッチや軽めの運動がよいでしょう。

日常生活では意外と手や腕を頭から上に挙げるということがないとおもいませんか?パッと思いつくのは、つり革をにぎったり、洗濯物を干したりぐらいですね。手を上に挙げる動作は、硬くなっている肩の筋肉を動かす作用があります。筋肉を動かせば血管のポンプ作用もちゃんと働き血流もよくなります。血流がよくなればコリも解消するということです。

水泳、エアロビクスなどは自然に手を挙上でき適した運動です。

 

またその他には、枕の高さが合わないためやメガネ、コンタクトレンズの矯正視力が合わないためにおこる肩コリもあります。

 

以上がおおまかですが、西洋医学的な肩コリに対する診断から治療までの流れになります。

 

 

<中医学的な考え方>

中医学は少し慣れない考え方もありますので、先にポイントだけ説明いたします。

まず身体の中には「経絡」というスパイダーマンのコスチュームのように身体の臓腑から手足まで上下、内外をつなぐ気(見えない活力源)(栄養を含んだ血液)の通 り道があります。そして筋肉にもその経絡が影響をおよぼしていると考えます、これを「経筋」といいます。

 

そして健康な身体とは気と血そして水(身体を構成する水分全体)がバランスを保ち、スムーズに流れている状態であることです。気血水は食事で摂ったエネルギーを臓腑で消化、吸収して作られていきます。

健康でなくなるのは、さまざまな原因によってこのバランス、流れがくずれてしまった結果 といえます。

 

中医学では肩コリは肩が引きつれるとか肩がだるい、痛いと言います。これは、肩の経絡、経筋のところで気血の流れが悪くなったり、栄養不足になったりしたためひきつれたり、だるくなったり、ひどいと痛くなったりすると考えます。

 

<中医学的治療>

肩コリの人の中にも 筋肉質の人、痩せている人、冷え性の人、暑がりの人、ストレスを強く感じる人などいろいろなタイプがあり、ただ肩だけに針を刺せば治るというものではありません。確かに、肩に針をするだけでも対症療法的にある程度のコリは取れてしまいますが、やはり原因に対しての治療がないと、体質も変わらず、少し経つとまた強い肩コリに戻ってしまいます。

肩コリに対しても、しっかりした診断から治療を施しひどい肩コリにならない体質作りする治療が必要です。

 

では、肩コリがどのようなタイプに分かれるかを考えていきたいと思います。

 

肝気ウッ滞(気が滞ってしまう)、肝火

原因は緊張や精神的ストレス、怒りなどから気の流れが悪くなってしまったことによります。中医学の臓腑というのは西洋医学でいわれる臓器の機能とは異なるのですが、精神的なストレスなどは「肝」という臓腑に影響を与えます。肝の機能は気の流れをよくしたり、血を蔵したりしています。肝の機能が悪くなれば気の流れも悪くなり、それが滞ってくると燃えて火のようになってしまうのです。そうすると、血が熱せられて肩に充満してしまい肩コリになります。

 

その他の症状としてはイライラ、緊張、憂鬱、ため息がでる、脇が張って苦しい、目が充血などがあります。

 

針治療のときは、肩コリにはやはり肩のツボを取ります。そして、気が滞っていればその気の流れを良くするツボを使い、熱があれば熱を取り冷ますツボを使います。

 

自分でツボを押す場合は、肩以外では足と手のそれぞれ親指と人差し指(第1と第2指)の間の凹んだところをツーンと刺激がでるくらい押しましょう。

軽めの運動やラベンダーなどのアロマセラピーでリラックスさせるのも効果 的です。

 

血オ(血が滞ってしまう)

交通事故や打撲、ケガや手術などによって内出血をしてしまったり、肝気ウッ滞から血流の停滞をまねいてしまったりしたために肩に血オをおこし比較的強い肩コリになってしまう。

 

その他の症状としては 局所が硬い、肩にミミズのような血管拡張が見られたりする。

 

針治療のときは 血の流れを良くさせるツボを使います。

 

自分で肩以外を刺激したい場合は、腕から肘周囲や膝裏(委中穴)などを強めに刺激すると効果 てきです。

 

気虚(気が足りなくなった状態)

原因は疲労や生まれたときから虚弱体質、老化、慢性的な疾患などで気が不足したため、気が上昇できず、人体の上部の経絡、経筋が通 りにくく力不足となり肩コリがおこる。このような肩コリは自覚があるが、触ると柔らかくコリを触れない。

 

その他の症状としては元気がない、疲れやすい、立ちくらみなどがある。

 

針治療では元気を補うツボを使います。

 

気虚の人は朝鮮人参(なかなか食べれないですよね)、山芋、棗などを食べると気が補われます。棗は生姜と一緒に軟らかく煮てお粥などにすると食欲もでると思います。

 

血虚(血が足りなくなった状態)

出血、月経、出産、過労、慢性病などにより血が不足し経筋、筋肉に潤いや栄養がいかなくなり肩コリをおこす。   

 

その他の症状としては 顔色や皮膚にツヤがなくなる、筋肉がひきつる、頭がボーっとする。筋肉の栄養がなくなり筋肉がやせてきたりする。   

 

針治療では 血を補うツボを使います(養血)。   

 

比較的買いやすい食べ物にはクコの実があります。お茶のように煮だして飲んだり、お粥にして少量 の塩をパラッとかけて食べたりすると良いです。

 

陰虚陽亢(陰の力が弱くなり、相対的に陽の力が強くなった状態)   

老化、慢性病、熱病、多産、過度の性生活のどで水分質(精、血)が不足したため、つまり身体の中のクーラーが壊れてしまい、熱が発生してしまい、その熱が上昇して肩の血を充血させ流れが悪くなったため肩コリになる。   

 

その他の症状としては局所が硬く触れ、イライラ、のぼせ、寝汗、腰や膝がだるくなるなどがある。   

 

針治療では蛇口をひねり水分を補い、上がってしまった熱を引き戻すツボを使います。   

陰虚を改善させる食べ物はゴマ、黒豆、スッポンなどが効果的です。

 

風寒(冷たい風をあびる)

冷たい風を浴びてしまったり、汗をかいた後よく拭かず風を浴びて冷えてしまったりすると寒くて肩がすくんでしまうように、肩の経絡、経筋の気血の流れが悪くなり肩コリになります。   

 

その他の症状としては 寒気がしたり、風邪の症状がでたりします。一過性のものが多い。   

 

針治療では 身体から風を追い出したり、身体を温めたりするツボを使います。   

 

風寒の状態には葛根湯が有効です。生姜を使った食べ物も身体を温めるので良いでしょう。反対に身体を冷やす生物などは一時避けましょう。

 

殆どの場合、肩の周囲のツボは使っていくことになりますが、肩以外のツボはそれぞれのタイプにあったツボの選択が必要になります。

今まで針治療しても肩コリが治らなかったという人は、単純に肩だけに針治療をされたのかもしれません。

肩コリにしてもしっかりとした診断、治療が必要だということが理解していただける幸いです。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

尚、遠方の方で当院へ来院しての受診が出来ない方の中で家庭灸を行ってみたい方は、HP内の問診表のチェックを入れ送信して頂ければ灸点のポイントを指導させて頂きます。お気軽にご利用下さいませ。

2019/02/20
更年期障害

更年期の体の不調は多くの人が経験するものですが、個人差があります。

「ほてり、のぼせ、発汗、不眠、イライラ、めまい、憂うつな気分になる」などいった症状があらわれます。

現代医学では、減少した女性ホルモンを直接的に補う、ホルモン補充療法がよく用いられます。この方法は更年期症状全般 に有効ですが、誰もが飲めるわけではなく、血栓症がある人や乳がんの既往があるような人は服用が制限されてきます。

このような場合中医学では、こころと体全体のバランスを整えることに重きをおき、様々な不定愁訴といわれる症状を独自の診断方法にもとづいて治療していきます。

症状の軽重は、個々の体質や性格、生活環境や社会環境が関係してきます。

 

 

中医学的な更年期障害のとらえ方▼

中医学では主に「腎」が生殖機能と深く関わっています。更年期にかかる45~55歳の間は体全体の機能低下が見られますが、特に「腎」の働きが自然現象として衰えていきます。腎は下記の≪~臓腑の働きとは~≫でもふれますが、元気の源とも言われ、体全体を温める力(気の働き)と臓腑や各器官に栄養を与え潤す力(血・水の働きに当てはまります)を備え調節しています。この温める力が低下すると手足の冷え、むくみ、頻尿などの冷え症状が強くあらわれ、潤す力が低下するとのぼせ、発汗、めまい、人によっては骨密度の減少、高血圧、高コレステロールをまねくと考えられています。

また、このような状態が長く続くと他の臓器へも影響を及ぼし様々な症状を生み出します。

 

 

中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

~臓腑の働きとは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

中医学的にみた婦人科疾患で重要な臓腑の働きは下記のようになります。

「肝」・・

1.

全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

 

 

2.

全身の血液量をコントロールし、蓄える働きがあります。

ですので、肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため(肝が支配している器官である)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足がしびれる、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

 

「脾」・・

1.

食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

 

 

2.

エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

 

 

3.

血を脈外に漏らさないよう引き締める働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

 

「腎」・・

 

生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。

女性では、月経不順や不妊症、閉経などの原因になります。

「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

 

 

中医学的な更年期障害のとらえ方▼

中医学では主に「腎」が生殖機能と深く関わっています。更年期にかかる45~55歳の間は体全体の機能低下が見られますが、特に「腎」の働きが自然現象として衰えていきます。腎は上記の≪~臓腑の働きとは~≫でもふれましたが、元気の源とも言われ、体全体を温める力(気の働き)と臓腑や各器官に栄養を与え潤す力(血・水の働きに当てはまります)を備え調節しています。この温める力が低下すると手足の冷え、むくみ、頻尿などの冷え症状が強くあらわれ、潤す力が低下するとのぼせ、発汗、めまい、人によっては骨密度の減少、高血圧、高コレステロールをまねくと考えられています。

また、このような状態が長く続くと他の臓器へも影響を及ぼし様々な症状を生み出します。

 

 

中医学的診断・治療方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、脈診などを用いて診察していきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

 

中医学的更年期障害のタイプと治療法▼

 

肝腎陰虚タイプ●

肝腎要といわれるようにこの2つの臓器の働きが失調することにより、体を養う血、潤す働きの水が不足し、あらわれる症状です。

 

随伴症状

月経が早く来る、経血量は多くダラダラとしみでる、色は紅い、めまい

顔面部ののぼせ、いらいら気分になる、汗がでる、口が乾きやすい

手足・胸中がほてる、腰がだるくなる、耳鳴り、動悸、不眠

 

治療方法

体を養う血、潤す働きを高める「滋養肝腎」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、肝ユ、太渓、復溜、三陰交、内関、太衝

漢方:六味丸合四物湯

 

 

腎陽虚タイプ●

体全体を温める働きをもつ「腎」。機能が低下すると冷え症状が多く見られます。

 

随伴症状

月経周期がまちまちで経血量は少ない、色は薄く赤い(淡い)

質はさらさらしている、またダラダラでる、顔色はうす暗く、手足が冷える、頭がくらくらめまいがする、腰がだるく冷える、尿が希薄で量 が多い

 

治療方法

体を温め、活動力を増す「温補腎陽」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、命門、関元、三陰交 (お灸も一緒にすると効果が高まります)

漢方:八味地黄丸

 

 

痰湿阻絡タイプ●

「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、余分な水分が体内に停滞し、経絡(気の流れるルート)の運行を阻害するために生じる症状です。

 

随伴症状

水太り体質、頭が重くめまいがする、頭痛、耳鳴り、のぼせる

胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、嘔吐をもよおす、食欲低下

むくみ、軟便ぎみ

 

治療法

脾の働きを高めることにより痰を作らないようにする「健脾化痰」の治療をしていきます。

ツボ:(鍼)足三里、中カン、豊隆、三陰交

   (お灸も一緒にすると効果が高まります)

漢方:半夏白ジュツ天麻湯、二陳湯、五苓散

 

 

タイプ別にみる生活養生・食養生▼

自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。

体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

 

肝腎陰虚タイプ●

【生活習慣】

体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。睡眠はしっかりとり、血を消耗させやすいパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。

血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。

 

【食べ物】

 ~体を冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう~

(乳製品)

豆乳、牛乳

(肉 類)

豚の皮、鴨肉、豚肉

(魚介類)

いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分)

(野 菜)

山芋、白きくらげ、黒きくらげ

(果  物)

なし、もも、ぶどう

(木の実)

クコの実、くるみ、黒ごま

(お 茶)

桑の実とクコの実のお茶

 

 

腎陽虚タイプ●

【生活習慣】

冷えやすい下半身は下腹部や腰部にカイロをはって、しっかり温めましょう。

体を温める食べ物を摂るようにしましょう。

 

 

【食べ物】

 ~体を温め、活動力を増す作用のある食べ物を摂りましょう~

(穀 類)

もち米

(肉 類)

羊肉、鹿肉、牛肉

(魚介類)

えび、なまこ

(野 菜)

にら、ねぎ、ししとう、かぼちゃ、しょうが、にんにく

(木の実)

栗、くるみ

(香辛料)

酒、シナモン、黒砂糖、フェンネル

(お 茶)

杜仲茶、ジンジャーティー黒砂糖入り

腎陽虚はからだを温める働きのある食材を、腎陰虚はからだに潤いを与える食材です。

同じ「腎」でも作用させる働きが180度違いますので気をつけて摂取してください。

 

 

痰湿阻絡タイプ●

【生活習慣】

甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。

水分代謝が悪く、水太りしやすいので水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。

運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。

梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。

 

【食べ物】

 ~水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう~

(穀 類)

はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆

(野 菜)

冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ

(魚 類)

こい、ふな

(果  物)

すいか、ぶどう、メロン

 

 

その他日常生活での注意点▼

悩んだり、焦ったり、イライラしたりする気持ち、心身の疲労などが更年期障害を強くしますので、ストレスはためないよう、運動(ヨガ、気功、など)、軽い散歩などで気持ちが安らぐ空間を持ちましょう。

 

室内でアロマオイルやお香を焚くと、気持ちが静まり部屋の空気も変わるので心身ともに気分が落ち着きます。

お風呂に入る時や寝る前に、みかんやレモンの柑橘類の皮を袋に入れて香りを楽しむのもよいものです。

 

規則正しい生活をし栄養バランスの摂れた食べ物、特にカルシウムやビタミン類をしっかり摂り、十分な睡眠をとりましょう。

 

更年期というのは本来「更に良い年齢を重ねて行こう」という意味合いが含まれています。

どこか暗くさびしいイメージを持つ方もいますが、卵巣が働きを終えるというのは女性であれば誰にでも起こる自然なことです。更年期をマイナスにとらえるのではなく、よくここまで頑張ってこれたと自分をねぎらい、これからの人生をよりよく生きるための充電期間と考えましょう。

 

 

より細かく『自分の体質を把握したい』、『1つのタイプだけではなく、幾つも混ざっているタイプがあるため詳しく知りたい』という方、中医学的治療を受けたいという方はお気軽に当院へご相談ください。

 

鍼灸・漢方全般に関するご相談もお受けしております。

2019/02/20
高血圧

医療機関で測定した血圧の分類では、最高血圧が140159mmHgまたは最低血圧が9099mmHgあるときに(軽症)高血圧とし、最高血圧が160170mmHgまたは、最低血圧が100109mmHgあるときに(中等症)高血圧とし、最高血圧が180mmHg以上または最低血圧が110mmHg以上あるときに(重症)高血圧と定めています。

 

血圧値が高血圧の数値でも、一回測っただけでは高血圧症とはいいません。同じ状態で何回も測って決まります。

 

 

高血圧症は原因が分かっているかどうかで大きく2つに分類されます●

 

血圧が高くなる明らかな原因が分からないものを本態性高血圧と呼び、高血圧症の患者の9095%を占めています。これに対して血圧が高くなる原因が明らかなものは二次性高血圧と呼ばれています。

本態性高血圧は明らかな原因は解っていませんが、遺伝的素因や加齢、食塩の過剰摂取、寒冷、肥満、ストレス、運動不足、喫煙などが影響して血圧を上昇させていると考えられています。そのため、高血圧症は生活習慣病の一つとして取り扱われています。

二次性高血圧には腎臓の働きが低下したものや、ホルモンの異常によっておこるもの、血管に病気があるもの、神経性のものなどがあります。

 

本態性高血圧症の自覚症状は、急激に血圧が変動したときに感じることが多いです。

高血圧症の多くを占める本態性高血圧の患者は、初期には自覚症状を訴えないのが普通 です。しかし、まったく自覚症状があらわれないのかといえば、そうではありません。たとえば、一時的ではありますが、急激に血圧が上がった場合に、頭重感、頭痛、めまい、肩こり、動悸、吐き気、手足のしびれ感、顔面 のほてり感などの自覚症状を訴えることがあります。

高血圧症では、合併症が大きな問題です。

高血圧症の状態が長くなると、徐々に血管障害が進行して、脳、心臓、腎臓などに高血圧症による臓器障害と呼ばれる合併症をひきおこします。この合併症が大きな問題です。

高血圧症によって脳の血管に障害がおこると、頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれ感などの症状がでることがあります。さらに進行すると、意識障害や運動障害、脳梗塞を起こします。心臓では不整脈や心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞の原因にもなります。また、腎不全や尿毒症などの腎障害や、眼底出血の原因にもなります。

 

 

 

現代医学的診断・治療方法●

本態性高血圧症は様々な原因がからんで起こるので、問診や検査などによって、考えられる原因を絞り込み、生活習慣を改善した上で、その人に最もあう薬を併用しながら治療を行います。

どのような理由で血圧が高くなっているかによって、循環血液量を減らしたり、血管を拡張させたり、心臓の働きを抑えて、心臓からの血液の拍出量 を減らす薬を用います。

現在使われているのは、利尿剤や血管拡張剤、交感神経抑制剤、レニンアンギオテンシン酵素阻害剤です。

こうして高血圧と深い関係のある動脈硬化や糖尿病などを将来の病気に備えるのが、現代医学の考え方です。西洋薬は副作用などの懸念があるため、絶対的な満足感を得られる治療法にはなってないのが現状です。

 

 

中医学的診断・治療方法●

中医学では主に原因のはっきりしない本態性高血圧症に効果を発揮します。

高血圧症の患者さんは初期には特に症状が現れない人もいれば、自律神経失調による目眩、頭痛、肩こり、イライラ、不眠、動悸、気分の低落など多様な症状を示す患者さんもいます。多様な病態を示す高血圧症に対して、中医学では患者の主症状に注目し、その病機の分析に力を入れます。

中医学は、西洋薬のようには直接的血圧を下げる強力な治療薬はありませんが、患者さんの生体を全身的に調整・治療することによって多様な症状を一つ一つ消し去り、結果 的に血圧異常・代謝異常を改善することができます。

 

 

 

中医学的からだのしくみ●

中医学(中国医学)では人間の体を次のように考えています。人間の体は五臓六腑を中心に生命を維持する基本物質である気(エネルギー)・血(血液)・水(体液)が十分に生産され、この気・血・水が経絡という通 路を正常に流れて初めて人間の健康が維持できるという考え方にあります。

中医学による病気の治療とは、生命活動を維持する気・血・水のどこに問題があり、それが不足(虚)か有余(実)を判断します。そして五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)のうちのどの臓腑が、この気・血・水の問題を作り出したかを診断をします。

五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)は西洋医学と全く同じ役割分担ではありませんので混乱しないようご一読下さい。

 

 

 

高血圧症に重要なポイントとは?●

中医学的にみた高血圧症で重要な臓腑(肝・心・脾・肺・腎)は下記のようになります。

 

「肝」…長期的に精神的な緊張が続くため

 

肝のエネルギーが一箇所に停滞し、停滞し続けた肝のエネルギーは火(熱・興奮状態)に変化しやすく、病理的な肝風・肝火といわれる状態になります。肝風と肝火はいずれも肝のエネルギーが興奮した状態であり、上昇・炎上という動的な性質をもっています。その為に血圧の上昇を起こします。

 

 

「脾」…味の濃い食べ物や甘い物を好んで食べたり、過度の飲食不節制のため

 

飲食の不節制が続くと代謝しきらない余分な栄養素(痰濁)が体内に溜まってきます。

余分な栄養素は停滞すると熱に変化しやすくなる傾向があります。この余分な栄養素(痰濁)が上昇する性質をもつ肝の臓腑と一緒になると頭部を乱し(風痰上優といわれる)、血圧上昇、頭痛、めまいなどを引き起こします。また、痰濁は血流を妨げたり、血液のサラサラを低下させたりします。その為に血圧の上昇につながります。

 

 

「腎」…過労または加齢のため

 

腎精が不足すると肝の陰血も不足となり、肝腎不足という状態になります。肝の陰血が不足すると、相対的に肝陽が過剰となり、肝陽が上亢して清空を乱す結果 、血圧上昇、頭痛、めまいなどの症状がおこります。分かりやすく述べると興奮状態(肝陽上亢)、陰血不足は血液の粘着率が高い状態です。

 

上に述べた関連臓腑の中で中心的役割を果たすのが、「肝と腎」2つの臓腑のアンバランスな関係(陰陽失調)です。

 

 

 

中医学的高血圧症のタイプと治療法●

 

高い血圧を一時的に下げても、高血圧の原因・崩れた体質、病態がそのまま残るならば血圧は再び上昇する可能性があります。したがって高血圧症には根本的な治療が必要であり、中医学には次のような考えかたがあります。

 

1.肝火上炎タイプ

体を温めるエネルギーが過剰になりすぎて、体の上部にその熱が集まってしまう状態です。

 

主な症状

イライラする・怒りっぽい・頭痛(張った痛み)・赤ら顔・めまいなど

治療方法:

清瀉肝火

漢方薬:

竜胆瀉肝湯

 

2.肝陽上亢タイプ

肝火上炎タイプより、症状が複雑化したタイプです。

肝陰を損傷すると肝陽は陰の制約を失ってしまい、上下の陰陽が失調するタイプ。

ストレスなどで肝の働きが過剰となり、またそれを制するための肝の滋養が衰えているタイプ。滋養不足からめまい・ふらつき・耳鳴りなどが起こりやすい。

 

主な症状

めまい・耳鳴り・頭痛・偏頭痛など

治療方法:

平肝潜陽 (上がっている肝のエネルギーを下に下げる治療法)

 

滋補肝腎 (肝と腎のエネルギーバランスを補う治療法)

漢方薬:

天麻釣藤飲

 

 

3.肝風上擾証タイプ

このタイプは肝陽が上逆して肝風を生じたものです。

 

主な症状

めまい(倒れそうになる)・頭痛(張った痛みまたは激痛)

手足の痺れまたはふるえ・言語障害・歩行困難

治療方法:

平肝熄風(肝の機能亢進状態を改善し、めまい・痙攣など状態を改善する)

 

滋陰潜陽(体を潤しつつ、栄養分を補い上がっているエネルギーを下に下げる)

漢方薬:

鎮肝熄風湯

 

 

4.肝腎陰虚証タイプ

気持ちが鬱々とした状態が続くと肝火(肝の機能亢進状態)を動かし、陰液を消耗するタイプ。

 

主な症状

五心煩熱・健忘(物忘れ)・足腰のだるさ・盗汗(寝汗)・遺精

治療方法:

補益肝腎(人体に内在する抵抗力を強め、肝と腎の生理機能の回復を促進する)

漢方薬:

杞菊地黄丸

 

 

5.痰濁内阻証タイプ

脾のエネルギーが足りないために、食べたものが気や血に変わらず、余分な水分が体内に停滞しているタイプ。

 

主な症状

目眩・口が粘る・口が苦い・痰が多い・大小便がすっきり出ない

肥満体型・手足のしびれ

治療方法:

健脾化痰

(胃腸を調整し、体内に内在する不必要な物質を取り除く)

 

平肝熄風

(肝の機能亢進を改善し、めまい・筋肉の痙攣などを改善する)

漢方薬:

黄連温胆湯

 

 

6.気滞血お証タイプ

血の流れが滞ってしまうことにより、気の流れも渋滞を起こしてしまうタイプ。

 

主な症状

めまい・頭痛・固定痛・激痛がある

治療方法:

疏肝理気

(肝の疏泄失調と整え、気の流れを調整し、気の滞りを改善する)

 

活血養血

(血の流れを改善し、血の滞りを改善し、血の不足を補う)

漢方薬:

逍遥散

 

 

7.陰陽両虚証タイプ

陰と陽が両方とも衰えている状態で、大病後の回復期あるいは慢性病の末期などに現れるしまうタイプです。

 

主な症状

目眩・耳鳴り・動悸・息切れ・不眠または夢を多く見る・足腰がだるい・手足の冷え・夜間尿が多い

治療方法:

調補陰陽(エネルギーを陽気といい、それを補給する物質を陰分といいます。この2つをバランスよく調整する)

漢方薬:

二仙湯

 

 

高血圧の食養生と生活養生とは?●

 

ドクダミ茶

乾燥したドクダミの葉25gを600lの水で半量になるまで煎じて1日3回に分けて飲みます。

 

杜仲茶

中国原産のトチュウには、利尿などの作用があります。市販の葉510gを600lの水で煎じ、1日3回に分けて飲みます。

 

決明子茶

便秘傾向の強い高血圧の方に向いています。血圧を下げる作用と便秘(コロコロ便)を改善します。

 

釣藤鈎(ちょうとうこう)

カキカズラのとう(生薬のちょうとうこう)510gを煎じて1日3、4回飲みます。特に動脈硬化性の高血圧に効果 があるとされます。

 

菊花茶

のぼせ、火照り感のある高血圧により、血圧を下げる作用とのぼせ、火照りの改善になります。

 

 

青菜の効用

まず、食用にできる青菜や野草の葉を~6種類用意し、よく水洗いして細かく刻みます。

それをすり鉢ですりつぶし、すりこぎでつくと青汁が取れます。これをなるべく多量 に(目安は90lずつ)123回飲むとよいとされています。

野菜や草木の緑の葉には、多くのビタミン、ミネラル、をはじめ、酵素や植物性ホルモンなどが含まれています。これが、健康的な血液を作るのに役立ち、血圧の安定につながる青汁の効用です。

 

入手しやすい青汁の材料…ほうれん草・小松菜・大根の葉・シソ・ヨモギ・柿の葉など

 

 

クエン酸の効用

クエン酸は食酢や梅干し、柑橘類などに含まれる酸味成分です。クエン酸は現代医学でも体内の細胞のエネルギー代謝を活発にすることが分かっています。血圧には、全身の細胞の代謝が良くなり、心臓や血管の負担が軽減すると考えることができます。

梅肉エキス…5g程度を1日3回に分けて取るとよい。

酢…50g程度を1日3回に分け、水などで薄めて飲用するのが目安。

 

日常生活の改善ポイントとして、

血管収縮作用を引き起こす喫煙を控える。

精神的ストレスを解消するために趣味を持つ。

ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を習慣づけて、新陳代謝を活発にし、肥満を解消する。

食べ過ぎによるカロリー過剰を避ける。

動物性脂肪を控えめにし、ビタミンなどのミネラルや食物繊維を取り入れることが大切です。

 

中でも特に気をつけたいのが、食生活です。

 

カツオやマグロ、イワシ、サバなどの青魚には、血液をサラサラにするDHAや、EPAなどの不飽和脂肪酸が含まれており、滞った血液の流れを促進する働きがあります。

 

また、コレステロールを下げて、血栓を予防するタマネギ、血圧を緩和し、末梢循環を促進させて動脈硬化を予防するニンニク、不足しがちなミネラルが豊富な、ワカメや昆布などの海藻類を取るようにしましょう。

 

他に血液を増やす食材に、

ほうれん草やニンジンなどの緑黄色野菜、アサリやシジミなどの貝類、レバー、鶏肉、黒豆、くるみなどがあります。

 

なお、血をめぐらせる作用にすぐれた中成薬に、

「丹参(たんじん)」という生薬を配合したものがあります。

「丹参」には、

血管を拡張して血流を増やす作用

血圧降下作用

血栓抑制作用

血液粘度を下げる作用

血管を若々しく保つ作用

血小板の凝集を抑制する作用

抗酸化作用

などがあることが分かっていて、中国でもお年寄りの病気予防や治療に広く用いられています。

 

日本では、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」という名前で市販されている中成薬があります。血の汚れが悪くなると起こる、頭痛、肩こり、関節痛などの痛みに即効性があります。

また、毎日、服用を続けていると心臓病や脳卒中、認知症の防止にも効果 的です。

 

高血圧ひとつ取り上げても様々なタイプがあることがお分かり頂けたでしょうか?

当治療院は、お一人お一人の症状に合った治療法を取り、漢方、食生活などをアドバイスさせて頂きます。

お気軽に当院までご相談下さいませ。

2019/02/20
坐骨神経痛

腰から足にかけての「痛み」、「しびれ」、「圧痛」。このような症状は、年齢を重ねるにつれて 多くの方が経験しているのではないでしょうか。もちろん若いかたでも経験している方は、 いらっしゃると思います。

今回は、整形外科疾患の一つである坐骨神経痛について、述べていきたいと思います。

 

 

現代医学的な坐骨神経痛の捉え方●

 

まずは現代医学的に坐骨神経痛を捉えていきたいと思います。

 

坐骨神経は腰から骨盤、大腿後面を下り、足先にまで伸びている末梢神経のひとつです。 人体の中で最も太い神経で、比較的皮膚に近い位置にあります。

 

この神経に何らかの外的要因が加わることで、神経に沿った痛みやしびれが誘発されます。

このような症候を総称して坐骨神経痛と言います。

また、坐骨神経痛の症状としてはこの他にも、神経に沿った圧痛、神経障害の徴候として、 筋力低下や筋萎縮、知覚障害なども認められることがあります。

 

坐骨神経痛の原因には主に神経根の圧迫と、梨状筋の過緊張による神経の圧迫が考えられます。

 

神経根の圧迫

 

神経根の圧迫による坐骨神経痛には、具体的な原因として、以下の疾患が挙げられます。

椎間板ヘルニア

変形性脊椎症

脊椎すべり症

 

 

梨状筋の過緊張

 

梨状筋は仙骨から大腿骨に付着している筋肉で、坐骨神経はこの梨状筋の下縁もしくは筋中を通 り、下肢へ続いています。この梨状筋が過緊張を起すことで、坐骨神経を絞扼し、痛みやしびれが誘発されることがあります。

 

これらの治療には、基本的には保存的治療が行われます。

硬いマットレスを用いたベッドでの数週間の安静と、痛みと炎症を軽減するための薬剤だけで 回復することもあります。器質的な問題の場合は、外科手術が行われることがあります。

 

薬剤については、痛みの程度に応じて鎮痛剤が処方されることがあります。

神経根圧迫に伴うものについては、非ステロイド系抗炎症剤が処方されることもあります。

また、ここでは詳しくは触れませんが、運動療法や温熱療法によって改善はかる場合もあります。

 

 

 

中医学的な坐骨神経痛の捉え方●

 

では次に、中医学的に坐骨神経痛を捉えていきたいと思います。

 

中医学では、筋、骨、関節の疼痛、腫脹、しびれを主症状とする病症を“痺証”と呼びます。

坐骨神経痛もこの“痺証”に分類されます。生体エネルギーが消耗している状態で、 風邪・寒邪・湿邪が体内に侵入して、四肢の経絡の気血運行を阻滞することで”痺証”となります。

 

風邪・寒邪・湿邪は、総括して外邪と呼ばれ、人体に外を及ぼす気候的変化のことを言います。

例えば、冬などのとても寒い日に腰が痛みだす、といったことは、中医学的には外邪が人体に 侵襲して発病したと考えられます。

 

このことから、多くの場合“痺証”は、季節の状態に左右されやすい傾向があると言えます。

つまり、基本的には、体質と季節を総合的に考えた養生も、治療に重要なエッセンスに なると考えられます。

 

それでは次に痺証の証タイプについて述べていきます。

痺証は風邪・寒邪・湿邪の強さや経過によって異なったタイプの症状が現れます。

これらのタイプには主に4つのタイプがあり、行痺、痛痺、着痺、熱痺と呼ばれます。

 

行痺

行痺は、3つの外邪の中で主に風邪が旺盛の場合にみられる痺証です。  

風邪は、他の病邪と結合して人体に病を引き起すことが多い外邪で、特徴としては、 症状の移り変わりが早いという特徴を持っています。  

具体的な症状としては、痛みの箇所が一定ではなく、寒さを感じる風にあたると症状が悪化したり、  脈浮または脈弦緩がみられる場合などは、行痺が疑われます。 治療には、風邪を抜きさる治療を主として、寒邪、湿邪に対しても治療ができる配穴が必要です。  

また、体質的に影響を受けやすい状態の場合は、臓腑に対してもエネルギーの底上げが必要と考えます。

特に風邪の場合、肝の臓を健康にすることで、風邪に対する耐性を強くすることができます。

 

痛痺

痛痺は、3つの外邪の中で主に寒邪が旺盛の場合にみられる痺証です。  

寒邪は、体を冷やし、免疫力を低下させる作用をもった外邪です。  

具体的な症状としては、疼痛部位が固定であり、冷えにより症状は悪化し、逆に温めることで症状は  緩和します。また、疼痛部に触ってみても熱感はありません。 この痛痺は、気温が急激に低くなる場合に発症しやすい傾向があります。秋から冬にかけて、急に気温が下がる日や、夏でもクーラーに長時間あたっている場合は危険信号となります。  

治療には、温熱療法や、体質的に寒さに対する耐性を強くする配穴が必要となります。

 

着痺

着痺は3つの外邪の中で主に湿邪が旺盛の場合に見られる痺証です。  

湿邪は、体を重だるく感じさせたり、代謝を妨げる作用を持った外邪です。  

具体的な症状としては、関節局部の重だるさ、痛みの部位は固定であり、雨天の場合に症状が  増悪することがあり、このような場合は着痺が疑われます。梅雨時期などは要注意となります。  

治療には、湿邪を除去する配穴が必要です。また、湿邪は脾の臓を侵襲しやすい外邪です。  

逆に言えば、脾の臓を健康にすることにより、臓腑生理の面から湿邪の除去を手助けすることも可能となります。

 

熱痺

熱痺は、風邪、寒邪、湿邪の外邪が従陽によって化熱することで現れる証です。  

従陽とは、従化という病理的な変化のタイプのひとつであり、寒がりや暑がり、水分代謝に異常がある場合、元気の出ない場合などの体質に上に、外邪が慢性化することで、風邪、寒邪、湿邪が化熱してしまうことを意味します。  

そのため、この証タイプでは、関節部の発赤・腫脹・疼痛、灼熱感がみられ、冷やすことで症状が軽減するといった傾向がみられます。また、口渇や煩悶、脈は数脈といった症状を伴うこともあります。  

この証タイプの場合、清熱、つまりは体内にこもった熱を分散させる配穴を主として、熱に至った原因となる体質改善の配穴も必要となります。

 

 

いかがでしょうか?

中医学的な坐骨神経痛に関しての考え、ご理解頂けましたでしょうか。

 

つまり、中医学的な考えでは、本質的なお手当が大切であり、単に筋肉をほぐす、あるいは牽引などで腰椎を引っぱるといった一時的な手当てだけではなく、気候の変化による体への負担にも注意をはらい、手当てをしていくのが中医学的治療であるとご理解いただけると幸いです。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
三叉神経痛

人間の身体には、感覚をつかさどる知覚神経、筋肉の動きを支配する運動神経、また身体のバランスをとる自律神経があります。

顔では顔の表情をつくる神経が運動神経で、この神経が障害され麻痺すると「顔面 神経マヒ」になります。顔を触られて感じる感覚や温度を感じる神経が三叉神経で、この神経に障害があるととても強い痛みが出ます。

 

ナイフでえぐられるような痛みとか、焼けるような痛みとか、電気が走るようなと表現されるこの三叉神経痛について、西洋医学と中医学からの診断、治療をお話していきます。

 

 

<三叉神経の解剖的特徴>

三叉神経は文字通りⅠ枝、Ⅱ枝、Ⅲ枝と三本に枝分かれしています。

枝:おでこ全体から鼻の真中あたり

枝:頬から鼻の脇、上唇(うわくちびる)のあたり、上の歯、鼻粘膜

枝:下あごのあたり、下の歯

主には顔の知覚をつかさどる神経です。

クシャミが発生する時は鼻の粘膜で異物を三叉神経で察知して、それからクシャミをする筋肉に連絡しています。

歯の痛みを感じたり、口で物を咬む時もこの神経が関係しています。

 

 

<三叉神経痛の特徴>

・ 突発的でとても強い痛み

・ 発症部位はⅡ枝、Ⅲ枝が多い

・ 男性よりも女性に多い (.5~2倍)

40才以降に発生する (50才以降に有意に増加する)

・ 神経痛の持続時間は短く 数秒から数十秒

・ 冷たい物を飲んだり、洗面、歯磨き、ヒゲ剃り、食事などにより誘発される

・ 痛みのあるところに触ると痛みが強くなる

 

 

<西洋医学的原因>

いままで突発性(原因不明)とされてきた多くの三叉神経痛の原因は、屈曲した動脈が脳神経の三叉神経の根元を圧迫することによるものと判断されるようになってきました。少数に脳腫瘍や、ヘルペスウィルスによるものがある。

 

 

<西洋医学的な治療と予後>

1. 薬物治療

まず第一には、テグレトール(カルバマゼピン)といわれる薬による治療から始まる。三叉神経痛には特効薬として良く効く。

短所として徐々に効き目が減少すること、副作用としてふらつき、眠気、脱力感などがある(※てんかんなどにも使う薬)80%の症例に有効といわれています。

 

2. 神経ブロック

痛みを起こしている三叉神経の枝に対して直接、または神経の周囲に麻酔薬を注入して神経を麻痺させる。薬物治療で抑えきれない場合、手術に踏切れない場合には良い治療法です。薬効が切れるたびに再度ブロックする必要があります。

 

ガンマーナイフ(定位放射線手術)治療・・・ガンマーナイフは元々は手術のやりにくいところにある腫瘍にピンポイント(局所的)で放射線をあて腫瘍を焼いて治療する方法です。頭をボルトで固定してガンマ線を病巣部に照射して凝固・壊死させる。速効性はないが身体の負担が少ない。比較的新しい治療なので長期の効果 、副作用は未知である。治療入院期間1~3日。

 

3. 手術療法(微小血管減圧術)

三叉神経を圧迫している血管を手術によって直接圧迫を取り除く手術。十円玉 程度の開頭手術になる。90%以上の効果があると考えられていて、根本治療になる。全身麻酔が必要で、10日程度の入院が必要になる。

 

 

 

<中医学からみた痛みの考え方>

中医学は耳慣れない言葉や考え方がありますので、先に中医学の痛みに対する概念のお話をさせていただきます。

 

中医学では痛みは大きく虚、実の二つに分けて考えます。

 

虚、実とは簡単にいうと 虚は栄養が足りない状態 実は力が過剰な状態や邪気(悪いもの)に侵されてしまっている状態のことをいいます。

虚症の痛み―――

痛みが長時間続く、しくしく痛む、按えると痛みが緩和する。

虚症の痛みは「不栄則痛」といわれ臓腑や経絡上が栄養不足になり起こる痛み。

実症の痛み―――

突然痛み出す、激しく痛む、按えると痛みが強くなる。

実症の痛みは「不通則痛」といわれ邪気が臓腑や経絡上の気血の流れを遮ってしまい起こる痛み。

このことからも三叉神経痛の痛みの症状は実症の痛みであることがわかります。

 

では、具体的にどのような原因でこのような痛みがでるか考えます。

 

 

<原因と症状>

三叉神経痛の原因は主には、風寒(ふうかん)証、熱証、オ血証があります。

 

風寒証―――風邪と寒邪が合わさった邪気に顔面部の経絡が犯されます。

これは、顔面部に冷たい風をあびてしまったり、ウィルスなどの原因によって起こるものがこれにあてはまります。

風邪は身体の上部を犯しやすい性質があり、寒邪は収斂(縮める)作用や凝滞(滞らせる)作用があるので気血の流れを悪くして痛みを発生させ、三叉神経痛をおこします。

特徴的な症状としては、冷えると痛みが増したり、逆に温めると痛みが緩和したりします。

鼻水が出やすくなります。

 

熱証―――熱証の中には、風熱(ふうねつ)という外邪性のものや、ストレスなどから気が滞り熱化(気は滞ると熱になることがある)して火に変わり、火や熱はやはり上昇する性質があることから身体の上部の経絡に影響をおよぼし、顔面 部の経絡の流れを悪くした場合は、三叉神経痛をおこす。

特徴的な症状としては、焼かれたような痛み、目が充血したり、咽が渇いたりします。

 

オ血証(オ血とは血が滞った状態のことをいいます)―――オ血証は慢性期によくみられる状態です。三叉神経痛は度々発作を繰り返し、強いストレスになります(気滞)。また、食事などの誘引により発作がおきることから食事が取りにくく身体の力も弱くなりがちです(気虚)。これらの原因で気の流れが悪くなった結果 、血の流れも悪くなり、オ血(血の流れが悪くなった状態)になります。

特徴的な症状は、慢性的な痛み、顔色が暗くなるなどがあります。

 

 

<鍼治療>

鍼治療では顔面部のツボと身体のツボの両方を使っていきます。

まず、顔面部では三叉神経のⅠ、Ⅱ、Ⅲ枝とわかれた痛みの症状のある部分のツボをとります。顔面 部の痛みをとる鍼治療は一般的に鍼を長めに置きます(20分以上)。身体には原因を診断した上で、それぞれの原因にあったツボをとります。外性の邪気には邪気を退治する方法、冷えたものは暖め、熱邪に対しては熱を取り、オ血では血の流れを良くするツボを取ります。治療は初期は週に2~3回治療し、痛みがコントロールできるようになったら週1回の治療にしていく方法がよいとおもいます。

発作的な痛みがでると、とてもストレスになります。そのストレスから更なる悪循環をおこさないようにする為にも、しっかりとした治療が必要です。

 

<三叉神経痛のケアの仕方>

患部を不適切に触ると痛みが誘発されることがありますので気をつけましょう。

 

睡眠不足や疲れによっても痛みが出やすくなります。夜更かし、過度の疲労は避けるように心がけましょう。。

 

三叉神経痛は強い痛みが出て、しばしば繰り返し発症するにもかかわらず、薬(テグレトール)のみでは抑えることが難しい病気です。

神経ブロックや手術もありますが、それぞれの長所、短所などを検討した上で方法を選択し、その中で鍼による治療や、薬と鍼の併用治療などでやるのも良いかとおもいます。

三叉神経痛でお悩みの方、一度中医学(東洋医学)による治療を試みるのも宜しいかと思います。鍼治療は、有効的な治療かと思えます。症状が発生して期間が1週間以内なら3~5回の治療で楽になります。逆に時間が過ぎれば過ぎるほど治りが遅くなります。この点にご留意して下さいませ。

 

ご質問のある方は、お気軽に当院までご相談下さい。

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