コラム
- 2019/10/23
- 逆子治療②~楊中医鍼灸院治療体験談9~
逆子治療に一番良い時期は、28~30週くらいとされています。
なぜなら、28~30週というのは、胎児がまだ成長段階で大きくないため、逆子矯正がしやすいのです。
しかし、30週を越えていても逆子治療を受けることは可能です。
人によって胎児の成長がゆっくりの方もいます。胎児の重さが2500g以下で、羊水に容量があれば、多少困難ではありますが、鍼灸による逆子治療を試してみる価値があります。
当院では過去に36週目の逆子矯正を成功させた例があります。
ただし、35週を越えての逆子治療は、胎児の体重が2500g以上ある場合や、羊水量と母体の骨盤の大小によっては、難しくなります。
人によって胎児の成長が違うため、鍼灸刺激を母体に行なうと、胎児の激しい胎動(正常位に戻ろうとしている動作)が起こり、気分を悪くしてしまう方もいます。
それは、激しい胎動により、胃などの内臓を押し上げてしまうからです。
治療を受けているときはあまり胎動がなく、家に戻ってから胎動が始まる方もいます。
反応はまちまちですが、治療中に胎動があることの方が多いようです。
鍼灸刺激により、子宮の方が収縮運動を起こす場合もあります。それにより、多少下腹部に不快感を覚える方もいます。
しかし、その症状が胎児に影響を及ぼすことは、当院の過去の臨床経験から言って、まずないと思います。
当院が逆子治療をオススメするのは、お産はなるべく自然分娩で行なって欲しいと思っているからです。
中医学では、腹部の正中線には色々な生命エネルギーを蓄えているツボがある、と考えられています。
また、「へその緒」は、胎児に栄養素を供給しているという意味で非常に大事に部分です。
しかし、帝王切開で、その部分を切開してしまうということは、生命エネルギーの消耗につながると考えているのです。
お産は、新しい生命を産むということで、ただでさえ、母体自身にもかなり負担がかかる一大イベントです。
母親は、産んだら終わりではなく、産後に育児にも体力がいるのです。
当院は、決して帝王切開が良くないと申しているのではありません。しかし、行わなくても済むのならば、行わないほうが良いのではないかと思うのです。
34週目で逆子治療を受けに当院を受診された方のお話をしたいと思います。
この方は、産婦人科で帝王切開が必要だと診断されたのですが、「帝王切開は嫌だ。できるだけ最後まで自然分娩で。」という思いがあったため、色々と探し、当院を受診されました。
中医学的にタイプ別の治療を行ないました。この方は、「気」が不足しているタイプでしたので、「気」を補う治療をして、結果、良い反応がありました。(36週目で自然分娩)
また、この方は当院の治療だけでなく、家庭でのお灸を継続していただきました。ツボは当院に治療に来た際にお伝えした場所に行なっていただきました。
このように、「どうしても帝王切開は嫌だ」とお考えの方は、この方のように鍼灸治療を選択してみるのも一つの方法かと思います。
必ずしも、鍼灸だけで対応ができるとは言えませんが、できるだけ自然分娩をしたいという方は、諦めずに試してみるのも良いのではないでしょうか。
吉祥寺 中医学に基づく 逆子治療
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院
- 2019/10/25
- 夜間尿「おねしょ」~楊中医鍼灸院治療体験談10~
東京都武蔵野市在住M.Kさん
息子さんが「おねしょ」をするということで、お母様が当院へ相談に来られました。
息子さんは小学6年生。
半年後に修学旅行を控えているということでした。
そこで、一度息子さんを連れて来院するようにお伝えしました。
後日、息子さん(以下、M.Kさん)はお母様と一緒に当院へやってきました。
M.Kさんは、色白で、同じ年頃の子どもと比べて身長が低く、少しやせ気味でした。
生活状況を尋ねてみると、食は細く、便は軟らかい、オシッコの色は透明で、トイレが近い。
時々、頭がボーっとする、どちらかと言えば寒がり、ということでした。
手足に触れてみると、たしかに冷たく、舌を診ると色は淡くて、型は胖大、脈は細くて遅いということがわかりました。
以上のことから、M.Kさんの体質が、「脾腎気虚」から「脾腎陽虚」という状態になりかけていると判断いたしました。
「脾腎気虚」とは、食が細く、軟便気味で体の活力が不足している状態のことをいいます。
本来なら小学6年生と言えば、食欲旺盛で活動的、背もぐんぐん伸びる時期です。
しかし、M.Kさんは、食が細く軟便気味であるので、栄養が吸収されず成長が遅れていました。
そして、栄養が足りないため、人間が「生まれ持ったエネルギー」をも消耗している状態でした。
「生まれ持ったエネルギー」というのは、中医学では、「腎」にあると考えています。
そして、中医学では、食べたものを消化吸収して、人間が生活していくのに必要な「気」や「血」というエネルギーを生産するのを「脾」の働きと考えています。
M.Kさんの場合、常に軟便気味になっていたので、「気」や「血」のエネルギーが不足していました。
そのため、「生まれ持ったエネルギー」を貯蔵している「腎」から少しずつ少しずつエネルギーをもらっていたため、「腎」のエネルギーが不足し、冷えの現象が出始めたのです。
「腎」のエネルギーが不足し、働きが低下してきたので、「おねしょ」という症状が出てきたと考えられました。
中医学では、「腎」のエネルギーは、尿の働きと深い関係があると考えられています。
体を温め、食欲を増させることが大切と考えて、「温補脾腎」と治療を行ないました。
「腎」のエネルギーが補強されるように、週2回のペースで通院していただきました。
2か月後、「おねしょ」はすっかり治りました。
食欲も増し、軟便も治りました。
そして、治療後もしばらく、家でお灸をするよう勧めました。お母様の協力もあり、3ヵ月間お灸を行なっていただけたようです。
その後、お母様がM.Kさんと共に来院されました。
約半年で、身長が8cm伸び、体重は6㎏増え、見違えるほどに成長していたのです。
心配していた修学旅行も無事に行けたということでした。
吉祥寺 中医学に基づく 夜間尿 おねしょ
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院
- 2019/10/26
- 円形脱毛症~楊中医鍼灸院治療体験談11~
東京都武蔵野市在住S.Yさん
20XX年10月に来院されました。
事の起こりは、10年前だったそうです。
S.Yさんは、大学卒業後就職しました。その4か月後の8月。家族に「円形のハゲができている」と言われたそうです。
皮膚科に行って診てもらうと、「円形脱毛症」と診断されました。
塗り薬を処方され使用すると、一時的には良くなったそうですが、その年から定期的に、円形脱毛症が起こるようになってしまいました。
当院へ来院されたときも、後頭部右側に500円玉くらいの大きさの円形脱毛ができていました。
詳しく生活状況を聞いたところ、
『以前よりも仕事量が増え、ストレスが多い状況下にある。夜はあまり眠れず夢ばかり見る。腰も痛い。夜間に手足が火照る感じがある。口渇感がある。頭がボーっとすることが多い。便が硬め』
ということでした。
中医学的に分析すると、「血虚」という状態が進行して、「陰虚」という状態になっていることがわかりました。
これは、慢性的なストレスにより、体のエネルギーが滞り、そして熱に変化し、体の中にある陰液(血液や水分)を消耗させてしまっている状態です。
そのため、髪の毛へ栄養素が不足し、円形脱毛症が起こってしまったのです。
円形性脱毛症の症状で来院されましたが、ほかにも色々な不定愁訴が生じてして、それらが円形脱毛症を起こす引き金になったと考えられました。
「陰虚」という状態(火照り、腰痛、口渇、頭がボーっとする)を改善するお手当てを行ない、それと同時に、精神安定を促す治療をし、睡眠が充分に取れるようにしました。
睡眠がきちんと取れるようになると、体を整える力(自然治癒力)が戻ってくるので、他の悪かったところも自然と改善されていきました。
S.Yさんは、3ヵ月間、週2回の治療で「火照り、腰痛、口渇、頭がボーっとする、不眠」が改善し、それとともに、円形脱毛症も徐々に改善していきました。
現在は、体調不良を起こさないよう、なるべく週1回のペースで養生のための治療を受けるよう努めておられます。
そうすることで円形脱毛症の繰り返しを避けることもできるのです。
吉祥寺 中医学に基づく 円形脱毛症
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院
- 2019/11/03
- 11月が旬の食べもの
人間も自然の一部。旬の食材を取り入れるように心がけましょう。
11月が旬の食べものをご紹介いたします。
カリン、みかん、りんご、柿、キウイ、ゆず、サバ、ししゃも、鮭、ひらめ、伊勢海老、たらこ、ふぐ、いくら、のり、チンゲン菜、長ねぎ、にんじん、かぼちゃ、白菜、カブ、えのき、春菊、カリフラワー、ほうれんそう、エリンギ、野沢菜、さといも、ゴボウ、銀杏、さつまいも、大根、ブロッコリー、じゃがいも、長芋、なめこ、れんこん、しいたけ
などがあります。
吉祥寺 中医学に基づく 食養生
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院
- 2019/11/05
- 喘息①~楊中医鍼灸院治療体験談12~
東京都三鷹市在住S.Yさん
48歳。
元気がなく、疲れやすい、寒がり、手足が冷える、白くて薄い水様状の痰が出る、動くと息切れがする、食欲不振、腰や膝が怠い、むくみ、夜間頻尿などの症状がみられました。
中医学では、これらの症状を統括して『水飲内停』というタイプの喘息と判断します。
どうしてこのようなタイプの喘息になってしまったのか。
それは、先天的虚弱と、喘息の慢性化によって、体を温めるエネルギーが消耗し、体内に存在する水分を運搬したり、温めて気化する機能が不足したりしたため、水分が停滞して、希薄な水飲(痰)を生じ、それを出そうとして喘息の発作が出て来ると考えられました。
治療は、温補脾腎・化飲利水といって、体を温める力を高めて、水飲(痰)の産生を抑制し、さらに、水分の排泄を強める鍼灸をいたしました。
体を温めるツボを多くとり、水分の流れをコントロールツボにも刺激を与え、産生された余分な水分である水飲(痰)を取り除くことで体質改善を促しました。
治療期間は、半年程かかりました。
最初の3ヵ月は、週2回のペースで治療を受けていただき、
その後の1ヵ月半は、週1回のペースで、
その後は、10日に1回のペースにしました。
3ヵ月間発作が出なくなったので、治療を終えました。
基本的に、慢性症状の場合、3ヵ月間、症状・発作等が落ち着いて現れなかった場合に一応治癒したとみます。
ただし、その他の症状や疾患の場合もそうですが、
症状が出なくなったといって治療をすぐにやめてしまう方がいますが、
本来は、まだ症状が小康状態になっているだけで、完全に治ったという訳ではないです。
病の芽はまだ残っていることのほうが多いのです。
ですから、症状が出なくなっても、最低3ヵ月くらいは様子を見て、継続的に治療を行なった方が宜しいかと思います。
喘息治療で大切なのは、発作を止めることだけが、喘息の治療ではないということです。
次の発作を引き起こさないように、病を根本から改善していくことが重要なのです。
吉祥寺 中医学に基づく 喘息
鍼灸・吸玉(カッピング)療法専門 楊中医鍼灸院
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