コラム

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】月経不順1~診断編~

女性ホルモンの分泌量は年齢に応じて変化します。それにより女性のからだは変化しますがストレスなどでバランスが崩れると、月経異常を引き起こすこともあります。ただし思春期や更年期にあたる人の場合は周期に少し誤差が生じてくるのがふつうです。

気になる月経不順の種類となぜ起きるのかを知り、生活習慣を見直していきましょう。

 

●正しい生理●

 

・生理周期:生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数をいいます。理想は28日周期ですが、通 常は24~35日が正常な範囲です。周期は一定していることが重要です。 

 

・生理期間:生理開始日から完全に生理が終わる日までの日数をいいます。通 常は3~7日が正常な範囲です。

 

・月経血状態:1日目はやや少なく、2~3日目は多く、その後は少しずつ少なくなります。

 

・月経血の色:やや暗めの赤色で、固まりはあまり出ないのが正常です。 

 

 

●西洋医学的な月経不順の診断・治療方法●

 

大きく分けて「周期の異常」と「月経量の異常」に分けられます。

 

~周期の異常~

「頻発月経」・・周期が25日前後と短い月経のことをいいます。治療としては、主に排卵誘発療法や黄体機能賦活療法をおこないます。  

「稀発月経」・・最終月経から1ヶ月以上月経がない状態をいいます。治療としては、主に排卵誘発療法がおこなわれます。

 

~月経血の異常~

「過多月経」・・月経の量が多かったり、8日以上も続いたりする場合をいいます。治療としては、主にホルモン補充療法をおこないます。

「過少月経」・・月経の量が少なかったり、2日程度と日数が短い場合いいます。治療としては、ホルモン補充療法をおこないます。

 

このように、西洋医学の特徴は診察や検査によって異常が認められたものを‘病気’とみなし、それに対して治療をしていくというものです。ですので、器質的疾患や手術を要する疾患には有効といえます。

 

●中医学的な月経不順の診断・治療方法●

 

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

・月経量(多い・少ない・ふつう)

・色(淡・紅・紫・暗)

・性質(さらっとしている、粘っこい、血のかたまりがでる)

・おりもの(色・におい・量)

・月経に伴う不快な症状(腰痛・腹痛・嘔吐・頭痛・乳房が脹る)

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し、なぜ周期が早まったり、遅まったり或いは、月経量 が多かったり、少なかったりするのかを中医学独特の診断方法(後述)を用いて聞きだしていきます。その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

●中医学的からだのしくみ●

 

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

~「臓腑の働き」とは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。ゆえに違う診たてが出来るです。この点をまず理解してください。

中医学的にみた婦人科疾患で重要な臓腑の働きは下記のようになります。

 

「肝」・・1.全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

2.全身の血液量をコントロールし、蓄える働きがあります。

ですので、肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため (肝が支配している器官である)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足がしびれる、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

「脾」・・1.食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

2.エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

3.血を脈外に漏らさないようにする働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

「腎」・・生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。女性では、月経不順や不妊症、閉経などの原因になります。「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

     

●中医学的月経不順のタイプと治療法●

 

主に周期による異常(月経先期、月経後期、月経先後不定期)と月経量 の異常(月経過多、月経過少)に分けられます。

これから症状ごとに分類していきますが、誰もが必ずぴたりとタイプに当てはまるわけではありません。2~3つ併せ持っている方もいますので、その時は自分が多くもっている症状の項をメインにみてください。

 

【A 月経が早く来る場合(月経先期)】

月経周期が7日以上早まったり、また月に2回月経があったりする状態をいいます。月経先期は主に以下の3つのタイプに分けられます。

 

★血熱タイプ★

 

血熱とは、熱が体内にこもりやすく、その熱が血液の中に入ることにより出血しやすい、発疹ができやすい、熱症状などがみられます。

 

○主な原因

香辛料や辛いものの食べ過ぎ、お酒の飲みすぎ、日頃からイライラしやすいなど

 

○随伴してよくみられる症状

顔がほてる、口が乾燥する、尿は黄色く、便はコロコロの乾燥した便、にきび・吹き出物が出来やすく、色は赤く、化膿 しやすい

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

体内にこもっている熱と血にある熱を取り除く「清熱涼血」の治療をしていきます。

ツボ:合谷、曲池、行間、隔ユ、三陰交

漢方:イライラする症状が強い・・加味逍遥散

出血症状がある時・・・黄連解毒湯、三黄シャ心湯

にきびがある時・・・荊芥連翹湯 

   

★脾気虚タイプ★

 

エネルギーを作り出す「脾」の働きが低下することにより

疲れやすいなどスタミナ切れの症状がでてきます。

 

○主な原因

睡眠不足、過労、汗のかき過ぎ、病気による体力消耗、ダイエットなどによりエネルギーの生成不足、消耗のために引き起こされます。

 

○随伴してみられる症状

疲れやすく、体がだるい、話すのがおっくう、胃腸が弱く少し食べただけでも、もたれる、下痢、軟便もしくは、便意のない便秘

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色   

量:多め

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

脾を元気にし、エネルギーを益す「健脾益気」の治療をしていきます。

ツボ:脾・胃ユ、足三里、中カン、三陰交

漢方:主に四君子湯、六君子湯、

気が不足し内臓の下垂症状がある時・・・補中益気湯

気が不足し出血症状がある時・・・帰脾湯

 

 

★腎気虚タイプ★

 

○主な原因

 

先天的に虚弱体質、早婚、出産過多、長期間の過労、性交過多などによる腎のエネルギーを損傷させてしまい血が十分供給されないために起こります。

 

○随伴してみられる症状

腰が重くだるい、めまい、耳鳴り、難聴、尿は色がうすく量は多い、夜間頻尿

 

○月経血の特徴

色:うすい赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

 

○治療法

腎のエネルギーと血を補い、月経を調えていく「補腎益気養血調経」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、太ケイ、関元

漢方:大補元煎、八味地黄丸

 

【B 月経が遅く来る場合(月経後期)】

周期が毎月7日以上遅れ、あるいは40~50日に1回、2~3ヶ月に1回といった状態をいいます。しかし、月経期間は正常です。

月経後期は主に以下の5つのタイプに分けることができます。

 

★血虚タイプ★ 

 

血虚とは、血が足りないために現れる症状です。

そのため血の作用である、体に栄養、潤いを与える働きが低下してしまいます。

 

○主な原因 

虚弱体質、偏食、夜更かしにより、血がうまく生成されません。また、大手術や大出血のあと、頭や目の使いすぎ、多産のため授乳が多い思い悩み、考えすぎにより血の消耗をまねきます。

 

○随伴してみられる症状

顔色が悪い、コロコロの便、乾燥肌、髪の毛が抜けやすい、浅い睡眠、夢を多くみる、爪がうすくて割れやすい、めまい、立ちくらみ、動悸

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

気と血を補う「補気養血」です。

気も一緒に補うことにより、血を生み出す働きが強まります。

ツボ:気海、三陰交、隔兪、脾兪、足三里

漢方:人参養栄湯、当帰芍薬散

 

★肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ★

 

肝鬱気滞とは、精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるため、気がストレスを感受した箇所に滞り(とどこおり)鬱々とした気持ちが生じやすくなります。       

 

○主な原因

精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい人、マイナス思考

 

○随伴してみられる症状

生理前・中に胸や脇・下腹部が脹って痛む、イライラしやすい、ため息がよくでる。

これらの症状はストレスにより悪化します。

 

○月経血の特徴

色:少し暗めの赤色

量:多かったり、少なかったりとさまざま

質:レバー状のかたまりが出る

 

○治療法

肝の気のめぐりをよくし、調えていく「疏肝解鬱」です。

ツボ:肝ユ、太衝、ダン中、内関

漢方:四逆散合当帰芍薬散、加味逍遥散

  

★血寒凝滞(けっかんぎょたい)タイプ★

 

‘寒’の性質は、流れを滞らせる、収斂作用があり、これが血に入ることにより流れが緩慢になり、運行の失調をまねきます。血寒は以下の2つのタイプに分けられます。 

    

○主な原因

1.実寒タイプ・・月経前・中に冷たいものの食べ過ぎ、

寒冷にあたる(冷房や真冬の冷たい風)  

2.虚寒タイプ・・もともと冷え体質の人が寒冷にあたる、薄着(とくに下半身)、

冷たいものや体を冷やす食べ物の食べ過ぎ

 

○随伴してみられる症状

冷えると下腹部が痛くなり、温めると痛みは軽減する、下半身が冷えやすい、顔色は青白っぽい

 

○月経血の特徴  

色:黒っぽい赤色

量:少なめ 

質:大きなレバー状のかたまりが血に混じる

 

○治療法

1.実寒タイプは、経絡(エネルギーの通り道)を温め寒さを散らし、月経を調えていく「温経散寒調経」の治療をしていきます。

ツボ:関元、中極、三陰交、次リョウ

  (お灸も一緒にすると効果が高まります) 

漢方:温経湯、当帰四逆加ごしゅゆ生姜湯

 

2.虚寒タイプは、体の中を温めてくれる陽気を増させるとともに、血を補い、月経を調えていく「温経扶陽養血調経」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、命門、三陰交、次リョウ

漢方:大営煎、八味地黄丸合四物湯

 

★腎気虚タイプ★

「A 月経が早まる場合」の腎気虚タイプを参照して下さい。

 

★痰湿タイプ★ 

「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、そのまま停留してしまった状態を「痰湿」といいます。性質は、粘々し、気血の流れを阻みます。

 

○原因

冷たい水分の取りすぎ、甘いもの、生ものの取りすぎ

 

○随伴して見られる症状

白いおりものが多くでる、水太り体質、体が重だるい、痰が多くでる、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、嘔吐をもよおす、手足・目のむくみ

 

○月経血の特徴

色:うすい赤色もしくは、黒っぽい赤色

量:少なめ

質:粘っこい

 

○治療法 

「燥湿化痰活血調経」

ツボ:(鍼)足三里、中カン、豊隆、陰陵泉、

   (お灸も一緒にすると効果が高まります) 

漢方:二陳湯、五苓散

  

★血オ(けつお)タイプ★ 

 

血が経絡(エネルギーの通り道)に停滞し、気・水の流れを阻むことにより関節痛などの固定痛、内出血をしやすい、きれいな血が全身へうまく供給されないため皮膚が乾燥しやすい、知覚の低下、しびれなどが起こります。また、血が停滞した部位 に固いしこりができ痛みを助長させます。

 

○原因

ストレス、冷え、外傷、打撲、手術によるうっ血、過労

 

○随伴してみられる症状

固定した・刺されるような痛み、或いは絞られるような痛み、

顔色(とくに目のまわり)の黒ずみ、口・唇がくすんだ紫色、

青あざができやすい、皮膚がカサカサする

   

○月経血の特徴

色:赤黒い色

量:多め

質:粘りがあり、レバー状のかたまりが血に混じる

 

○治療法

血の流れを良くし、停滞したしこりを取り除いていく「活血化オ」の治療をしていきます。

ツボ:隔ユ、血海、三陰交、足三里 

漢方:桂枝ぶくりょう丸、折衝飲、桃紅四物湯

 

【C 月経が早く来たり遅く来たりする場合(月経先後不定期)】

周期が定まらず、早まったり遅れたりする状態をいいます。

主に肝鬱気滞、脾気虚タイプ、腎気虚タイプにみられます。

 

★肝鬱気滞タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の肝鬱気滞タイプを参照してください。

 

★脾気虚タイプ

「A 月経が早まる場合」の脾気虚タイプを参照してください。

 

★腎気虚タイプ

「A 月経が早まる場合」の腎気虚タイプを参照してください。

 

【D 過多月経】

月経量が普通より多かったり、あるいは日数が長くなる状態をいいます。

主に脾気虚タイプ、血熱タイプ、血オ(けつお)タイプにみられます。

  

★脾気虚タイプ

「A 月経が早く来る場合」の脾気虚タイプを参照してください。

 

★血熱タイプ

「A 月経が早く来る場合」の血熱タイプを参照してください。

 

★血オ(けつお)タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血オタイプを参照して下さい。

  

 

【E 過少月経 】   

月経量が少ないか、あるいは日数が短いもので、甚だしいときは無月経となります。

主に血虚タイプや血オタイプに多くみられ、血寒凝滞や腎気虚、痰質タイプにみられます。

 

★血虚タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血虚タイプを参照して下さい。

 

★血オタイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血オタイプを参照して下さい。

 

★血寒凝滞タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血寒凝滞タイプを参照して下さい。

 

★腎気虚タイプ

「A 月経が早く来る場合」の腎気虚タイプを参照して下さい。

 

★痰湿タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の痰湿タイプを参照して下さい。

 

 

それぞれのタイプに合った生活養生・食養生は『月経不順・2~食養生篇』をご覧ください。

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】月経不順2~食養生編~

●タイプ別にみる生活養生・食養生●

自分の月経周期や随伴症状などからタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

  

★血熱タイプ★

~生活習慣~

油っこい食べ物や辛い食べ物、肉類、アルコール類は

できるだけ控えましょう。

気持ちを落ち着けて、リラックスできる時間を1日のうち

どこかでつくりましょう。

      

~体の熱を冷ましてくれる食べ物を(適度に)摂りましょう~

(野菜)きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)すいか、なし、バナナ、柿、レモン 

(豆類)豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶

*ここでいう体の熱を冷ましてくれる食べ物とは、アイスや冷たいジュースなどではなく食べ物の性質自体が熱を取ってくれる働きがあるということです。

     

~熱性の強い食べ物は血熱を助長させるので避けましょう~

(野菜)にんにく、生姜、にら、ねぎ

(果物)竜眼

(肉類)羊肉

(豆類)そら豆、落花生

(スパイス)唐辛子、コショウ、シナモン

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、

      

★脾気虚タイプ・腎気虚タイプ★

~生活習慣~

消化が良く、栄養バランスの取れた食べ物を心がけましょう。

消化が弱い脾気虚タイプの人は、消化・吸収をよくするためにもよく噛んでゆっくり食べましょう。

スタミナが切れやすいこのタイプの人は、穀物をしっかりとり、睡眠もしっかり取るように心がけて下さい。

ダイエットによる食事制限は禁物です。

 

 ~エネルギーを益す食べ物を(適度に)摂りましょう~

○脾気虚タイプ

(穀類)うるち米、粟米、小麦製品

(豆類)大豆や大豆製品、牛乳

(肉類)牛肉、鶏肉、烏骨鶏

(野菜)山芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、人参

(魚類)いか、貝柱、

(果物)なつめ、もも、さくらんぼ

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、なつめ茶

 

○腎気虚タイプ・・上記の食べ物にプラス

         栗、くるみ、黒ごま、クコの実

 

~体を冷やす食べ物、辛い食べ物、油っこく味の濃い食べ物は

胃を刺激し気を消耗させるので避けましょう~

辛い食べ物・・青唐辛子、ねぎ、コショウなど

冷やす食べ物・・すいか、バナナ、イチジク、なし、苦瓜、薄荷など

 

★血虚タイプ★ 

~生活習慣~

月経中から月経後にかけては、出血により体が消耗しているのでこの時期は、血液を補う食事を心がけ、睡眠もしっかりとりましょう。

頭や目の使いすぎは血を消耗させてしまうので、この時期は極力長時間のパソコン作業や、夜遅くまでの勉強、仕事は避けましょう。

ダイエットによる食事制限も禁物です。

 

~血を補う食べ物を摂りましょう~

(穀物)黒豆、赤豆、もち米、小麦

(豆類)黒豆、豆乳

(野菜)ほうれん草、小松菜、

(肉類)動物のレバー、赤みの多い肉

(魚類)まぐろの赤身、牡蠣、しじみ

(木の実)黒ごま、クルミ、なつめ

(ドライフルーツ)レーズン、プルーン、ブルーベリー

(お茶)竜眼茶、ライチ茶、クコの実茶

  

★肝鬱気滞タイプ★   

~生活習慣~

イライラしやすく、ストレスを感じやすいこのタイプは、ヨガや気功などの呼吸法やストレッチでリラックスできる時間を作りましょう。その時、室内でアロマオイルやお香を焚くと、気持ちが静まり部屋の空気も変わるので心身ともに気分が落ち着きます。

お風呂に入る時や寝る前に、みかんやレモンの柑橘類の皮を袋に入れて香りを楽しむのもよいものです。

 

~香りの高い食べ物を摂ることにより鬱々とした気持ちを発散してくれます~

(野菜)春菊、三つ葉、みょうが、シソの葉、パセリ、セロリ

(果物)みかん、レモン、グレープフルーツ、きんかん、ゆず

(お茶)ジャスミン茶、ミントティー

 

★血寒凝滞タイプ★         

 

~生活習慣~  

・実寒タイプ

月経中に冷たい食べ物は避けましょう。

夏場のクーラーによる冷やし過ぎや冬場の薄着には気をつけましょう。

・虚寒タイプ

体が冷えやすい月経中は、腹巻やズボンをはくようにし下半身を冷やさないようにする。冷えの強い人は、下腹部や腰(下腹部と同じ高さで)にホカロンを貼って温めるとよいです。

 

~体を温める性質の食べ物を摂りましょう~

(穀類)もち米

(野菜)にら、にんにく、ねぎ、生姜

(肉類)羊肉

(スパイス)唐辛子、コショウ、シナモン、黒砂糖

(お茶)生姜入り紅茶(甘くして飲みたい時は黒砂糖やはちみつ、麦芽糖を入れて) 

 

~体を冷やす性質のある食べ物は極力避けましょう~

(野菜)きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)すいか、なし、バナナ、柿、レモン 

(豆類)豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶

 

★痰湿タイプ★

~生活習慣~

甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。

水分代謝が悪く、水太りしやすいので水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。

運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。

梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。

 

~水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう~

(穀類)はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆

(野菜)冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ

(魚類)こい、ふな

(果物)すいか、ぶどう、メロン

(お茶)紅茶、ジャスミン茶、緑茶 

 

≪その他日常生活での注意点≫

1.

基礎体温を毎日つけましょう。

基礎体温を測ることにより自分の体の状態(体内リズム)を目でみてわかることが出来ます。

2.

月経1週間前は、消化しやすく栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。豆類、魚類の高たんぱく食、緑黄色野菜、果 物、適度な水をバランスよく摂ることにより月経中に失われる血液を補うことができます。

3.

月経後は栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。

(たんぱく質、鉄、食べ物、主に、肉類、動物のレバー、牛乳、乳製品)

4.

月経中は、体を冷やさないようにしましょう。

冷たい飲み物や冷たい風に直接あたらないよう気をつけましょう。

5.

睡眠はしっかりとりましょう。

6.

ストレスはためないよう、運動(ヨガ、気功など)、読書、散歩などで気持ちが安らぐ空間を持ちましょう。

 

尚、このページをお読みになってご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】産後の腹痛・めまい

女性の身体にとって、出産は、かなり大きな変化をきたします。

妊娠から約10ヶ月かけて徐々に大きくなり、胎児の命も支えてきた母体が、急速に元の身体に戻ろうとするのですから、とても大変なことです。

 

現代医学では、産後8週間目位までの母体が回復する時期を産褥期といい、大きく膨らんでいた子宮もほぼ元の大きさに戻ります。

最初の4週間は「悪露」とよばれる出血が続きます。これは子宮内や産道からの出血やリンパ液、胎盤の組織の残りなどが混じり合ったもので、赤色から、茶褐色、黄色、白色と変化していきます。

出産時に胎盤がはがれることにより、それまで胎児に酸素や栄養を与えていた血液の流れも変わります。ホルモンの分泌も妊娠を維持するために働いていたものから、急に変化して子宮を収縮させたり、母乳を分泌させるものに変わっていきます。

初産の場合は特に、その急激な変化に加え、慣れない赤ちゃんのお世話もあり、精神的にも肉体的にもお母さんは心配事が尽きないのではないでしょうか。

産後、1ヶ月位は実家にもどるなどして、赤ちゃんのお世話以外の家事は休ませてもらう方がよいとされていますし、その後も徐々に身体を動かすようにして、産後の身体の回復をはかることが大切です。

とても大きな変化が身体に起こるのですから、産後の腹痛やめまいを感じる方も多いようです。

しかし現代医学では、まずは安静にして精神的にもゆっくりすることが大切としており、よほどの激痛や貧血・マタニティブルー(産後うつ)の心配などがないかぎり、母乳への影響も考えて、薬を処方されることは、あまりありません。

確かにきちんと健診を受けていれば、多少の不調があっても、薬を控えることは大切です。

ただ、本人の訴えとして、不調があるのであれば、ただ休んでいるのではなく、積極的に治して、元気になり、明るく育児をする事も、とても大切です。

中医学の基本は身体の「気・血・水」のバランスを整えることですから、このようなケースで、仮に血液検査で異常がなくても、患者さんの自覚症状で腹痛やめまいがあるのであれば、ただ「安静にして下さい」で終わることはありません。

その自覚症状を緩和するために適切な施術をすることは出来ます。

 

中医学では病気がすすんでしまう前に、体調を整えていくことが大切と考えています。(未病治といいます)

中医学では、身体の働きに関する考え方が、根本的に現代医学的とは違っています。

まずは中医学的にみた身体の働きについて簡単に説明します。

詳しくは、「わかりやすい東洋医学理論」が、病気別わかりやすい東洋医学診断のまとめのページの上段にありますので、ご参考にして下さい。

 

現代医学では身体を細かく分析し、細胞レベルでとらえますが、中医学では身体を大きく捉えて、小宇宙であると考えます。

地球は大宇宙に存在する小宇宙の一つです。これと同じように地球からみれば、身体は小宇宙といえるのです。

宇宙に存在するものにはすべて意味があり、無駄なものはひとつもありません。

それぞれが、互いに影響しあいながら、バランスを保ち、大自然の法則に従って動いているのです。

人間も同じように、体内に存在するものすべてが重要な意味を持ち、個々の臓器も互いに影響しあいバランスを保って、健康を維持しているのです。

 

小宇宙である身体を構成し、生命活動の源として働くものは『気・血・水』です。

気・血・水が、身体を流れ良く巡る事で、身体内の臓器(五臓六腑)も、うまく働くことが出来、健康でいられると考えます。

 

1.気・血・水について

<気>

気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。

主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。

ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。

主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

2.五臓六腑について

五臓六腑というのは中医学の考える内蔵のことです。

西洋医学とは違って、中医学では内臓を物体として区別するのではなく、働きで区別 します。

具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。

五臓六腑には沢山の働きがあります。しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。

臓腑には情思(精神)活動にも関与しています。

各臓腑に「気・血・水」の働きなどが加わって、人体の働きを構成していると考えています。

 

それぞれの臓器は、特有の働きがあり、さらにお互いに協力しあい、制御しあいながら、バランス良く健康を保っていると考え、個々の働きと同じに、それぞれの関連性も重要になります。

 

さて、小宇宙である身体の働きの主になっているのは、「臓」である 肝・心・脾・肺・腎 です。

「腑」は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。

 

五臓の働きについて簡単に説明します。

 

・肝:

全身の気の流れを良くし、各器官の働きを助けます。

血を蓄えているので、貧血には関係深い臓器です。

筋肉の働きや精神活動にも関係しています。

肝の働きが悪くなるとイライラと怒りやすくなったり、

目や疾患・生理痛・手足のしびれ等を起こす事があります。

情思(精神)面では、ストレスを感受しやすく、ストレスが

一定のラインを越えると、肝の気の流れが低下し、

鬱滞感やイライラ、あるいはウツウツとした気分等が生じます。

 

 

・心:

血の循環をしています。

精神活動に関係し、五臓の働きをとりまとめています。

働きが悪いと、動悸や不眠・舌の先が赤く痛んだりします。

情思(精神)面では、不安感・不眠・夢をよく見る・物忘れが多いなどの症状があります。

 

 

・脾:

食べたものをエネルギー(気・血・水)に変え、身体の機能を活発にします。(運化作用)。

この働きが悪くなると、活力不足で疲れやすくなり、下利しやすくなります。

血を脈外に漏らさないようにする働きもあります(統血作用)。

この働きが低下すると、内出血しやすくなります。少しぶつけただけでも青あざが出来ます。

情思(精神)面では、落ち込むことが多い・無気力などの症状があります。

 

 

・肺:

吸することにより、気を全身に巡らし、水分の調節をします。

汗腺の働きにも関与し、皮膚の状態にも関係します。

この働きが弱くなると、呼吸器疾患・鼻炎・などを起こすというのは分かり易いと思いますが、蕁麻疹などの皮膚科疾患も肺の働きに関係しています。

情思(精神)面では、憂鬱で気分が晴れない・悲観的などの症状があります。

 

 

・腎:

生命力の源、先天の「気」を蓄えています。骨や髪・耳と関係します。

成長や生殖能力に関連深く、年齢と共に変化します。

女性では、月経や妊娠と関係します。

腎のエネルギー(先天の気)は、脾から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

腎の働きが弱いと、元気がない・不妊・生理不順・腰痛・冷え症などになります。

加齢と共に腎の働きは弱くなっていきますから、骨が弱ったり、髪がぬ ける、耳の聞えが悪くなるなどの症状がでてきます。

情思(精神)面では、驚きやすい・恐い夢を見る・元気がない等の症状があります。

以上の五臓がバランス良く働いてくれるように調節してくれているのが、「気・血・水」です。

中医学の場合は、症状と、どの「臓」の気・血・水の働きが失調し、関係しているかを分析し見極める事が、中医学的診断となり、治療方針をたてていくことになります。

 

中医学では患者さんの症状を、検査に頼らずに、どのように把握していくのでしょうか。

もちろん、じっくり問診をして、患者さんの訴えを伺いますし、他にいろいろな方法で、何が原因でその症状が起きているのかをみていきます。

 

他覚症状として重要なのは、「舌診」・「脈診」です。

 

「舌診」では、舌を拝見します。

舌はその時の病態を良く表しますし、内蔵の調子やストレスがあるかどうかなど、数カ月前からの体調も類推出来るからです。

 

「脈診」では手首にある橈骨動脈に触れてみて、脈の速さや強弱・流れ方・脈管の柔軟性などから、患者さんの健康状態を把握します。

 

脈の流れ方は体調によってずいぶん違い、熟練した中医師や鍼灸師は脈からいろいろな情報を得ます。

気・血・水の状態や五臓のバランス状態、邪気の侵入の有無など、実に細かい事が分かるのです。

針灸治療の後では脈も変化し、治療前より落ち着いた脈になります。

 

以上のようにいろいろな角度から診察をして治療方針を決め、一人一人の患者さんに最適な治療をしていくのが中医学です。

 

☆ タイプ別 症状と中医学的治療について

【産後の腹痛】

*血虚タイプ

 

症状:

下腹部がしくしく痛む。腹は柔らかく押さえると落ち着く。悪露の量 は少なく色は淡い。

顔色に艶がない。動悸。めまい。

舌診: 淡舌・薄苔   脈診:細

 

治則:

補血益気 調理衝任

気血を補い、働きをよくする治療をします。

また、婦人科疾患に関係深い任脈・衝脈の働を整えていきます。

 

*寒凝タイプ

 

症状:

下腹部が冷えて痛む。温めると痛みは軽減する。悪露の量 が少ない。

手足が冷える。

舌診: 薄滑苔   脈診: 沈緊

 

治療:

助陽散寒 ・ 温通胞脈

身体を温める力を強めて冷えを取り去る。子宮を温めて血行を良くする治療をします。

 

*血瘀タイプ

 

症状:

下腹部の脹痛。痛みが胸郷まで及ぶ。悪露は紫暗色で血塊を伴う。悪露の量 は少なく排泄が悪い。

舌診: 紫舌   脈診: 弦渋

 

治療:

行気化痰 ・ 通絡止痛

気血の流れを良くして、悪露の排泄を促し、痛みを緩和する治療をします。

 

 

【産後のめまい】

*血虚気脱タイプ

 

症状:

産後の失血過多により、めまい・顔面 蒼白・意識が薄れる。もとの体質が気血不足

舌診: 淡舌   脈診: 微細

 

治療:

補気養血 ・ 回陽救逆

気血を補い、意識をはっきりとさせる治療をします。

 

*血瘀気閉タイプ

 

症状:

産後のめまい。目がかすむ。さむけ。(出産時に冷えたため)

舌診: 紫舌  脈診: 渋

 

治療:

温経散寒 ・ 祛瘀経閉

身体を温めて冷えをとる。 血の滞りをなくし、気の流れを良くする治療をします。

 

以上のように、中医学では、一人の患者さんを全体的にみて、どこに問題があって、どのような進行状態であるのかを慎重に考えて、「証」をたて、治療方針を決めていきます。

 

証とは、中医学の診断名です。症状の情報収集をし、症状の程度・進行具合を見極め気血水の失調具合により、病態を把握します。

 

患者さんの性格や生活環境も考慮しながら、日常生活のアドバイスをする事もあり、まさに全人的な医学です 。

 

身体に対してはもちろん、心に対しても優しく、学問的にも奥の深い中医学は、幅広く いろいろな疾患に対応することが出来ます。

 

当院では個人個人の体質に合わせた治療を行います。

お気軽にご相談ください。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより

一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

2019/03/12
【外科・整形外科・皮膚科疾患】肩こりについて

肩コリとは、首すじから肩にかけて起こる、筋肉のこわばりのことです・・・なんてあえて言う必要がないくらいよく知られています。と同時にただの強ばりなのに、とても不愉快で、つらく、仕事や家事に影響がでてしまったり、しかもなかなか治らなかったり。中には怖い病気が隠れていたりすることもあります。

 

では、この肩コリをどうすればいいか?怖い肩コリとはどのようなものか?考えていきたいとおもいます。

 

<西洋医学的な考え方>

西洋医学の分野においては、単純な肩コリについてはそれほど重要視されないのが現状だとおもいます。単純な肩コリとは長時間同じ姿勢でパソコンをやったり、細かい作業をしたり、また悪い姿勢で作業したりして特に肩の筋肉を緊張、疲労させた結果 おきます。

単純な肩コリはこのようにおこります。ひどい場合はこわばりだけでなく、痛みになることもあります。

特に肩周囲の筋力の弱い人や、なで肩の人では肩コリになりやすいです。男女比では圧倒的に女性が多くなっています。

また肩コリによって緊張性頭痛、吐き気、耳鳴りなどがおこることもあります。

 

しかし中には他の病気の影響で肩コリがおこることがあります。

 

首の骨の問題→頚椎症(頚椎の間の靭帯、軟部組織などの問題)など

耳鼻科の問題→耳の疾患、蓄膿症、鼻炎など

眼科の問題→視力の低下、老眼、眼鏡の視力矯正不良、ドライアイなど

歯科の問題→虫歯、噛み合わせ不良など

内科的な問題→自律神経失調症、高血圧、冷え性、心臓の病気など

神経内科的な問題→ストレス、うつ

婦人科の問題→更年期障害など

 

これら以外にも肩コリの症状がでる病気はたくさんあります。特に首から上の病気はその首から頭を支える肩にも緊張をあたえ、肩コリとの関係が強い傾向があります。このように他の病気が原因の場合は、まずその病気の治療が必要になります。

 

最近はテレビの中の健康番組などでも取り上げられていることもありますが、肩コリの中には心臓の病気からおこるものもあり、注意が必要です。心筋梗塞、狭心症、肺尖癌(パンコースト症候群)という病気からもおこります。このような怖い肩コリに特徴的なのは、楽な姿勢をとっているにもかかわらず肩が痛んだりします、また心臓の病気からは左肩から左腕に痛みがでることが多い、などの症状があります。ゆっくり横になっても痛みがとれなく、だんだん痛くなったり、今まで肩コリになったことがないのに突然ひどい肩コリになったりした時は心配ですので念のため医療機関での診察が必要になることがあります。

 

高血圧で動脈硬化がすすむと肩の微細な血管の血流が悪くなり肩コリになります。

 

頚椎の問題の場合はしばしば腕から手にかけてシビレが出ることがあります。こちらは詳しくは頚椎症の章を参照してください。

 

肩コリ以外にこのような症状がある場合は当該の病院の診察が必要になります。

 

<西洋医学的治療>

・湿布

・首の牽引→機械によって首を牽引し首の筋肉にストレッチをかけ、筋肉をほぐす

・低周波療法、温熱療法、マッサージなどの理学療法

・薬→筋肉弛緩剤、安定剤

・運動の指導

 

これらの治療が主な治療法になります。

基本的にはこわばっている筋肉をほぐすし、ストレッチして症状を緩和させるということになります。 短期間におきてしまった肩コリについては良い結果があります。

 

○筋弛緩剤について考えてみたいとおもいます。

肩コリもひどくなると痛みになってしまうことがありますが、理学療法で改善しなかったり、理学療法の施設がなかったりする場合は、筋弛緩剤が処方させることがあります。

筋弛緩剤は 筋肉が緊張し痙攣状態になって痛みがある時に脊髄の神経を麻痺させることにより、筋肉のこわばりを取り去ります。  

 メリットとしては理学療法で改善しない、または理学療法する時間がない、運動する時間もない場合は、選択肢としては考えてもいいかもしれません。  

 デメリットとしては、薬で症状だけ緩和させて身体を動く状態にしてしまうことが身体にどのような影響を与えるか少々心配である。肩コリは原因があっての身体の反応です。原因を治療せずに神経の興奮だけを長期に抑えさせると身体がどのようになるか想像してみてください。

 

○マッサージについて考える

上手なマッサージ治療には単に筋肉の緊張をとりやわらかくするだけではなく、神経の興奮を抑えたり、精神的なリラックス効果 が得られ自律神経のバランスをとったりすることができます。また多少の頚椎、肩関節の矯正効果 もあります。筋肉疲労の肩コリや短期間の肩コリには適応だと考えられます。ただし、リラクゼーションのみの慰安的なマッサージは長期にわたる効果 を望むことは難しいとおもいます。

注意することは、首を雑にマッサージされると症状が悪化したりすることもありますので、 事前に評判など調べて信用のできるところでのマッサージ治療を受ける必要があります。

 

○運動について考える

単純な肩コリは筋肉が緊張してこわばってしまった状態ですから、自分自身で改善させる方法としては、ストレッチや軽めの運動がよいでしょう。

日常生活では意外と手や腕を頭から上に挙げるということがないとおもいませんか?パッと思いつくのは、つり革をにぎったり、洗濯物を干したりぐらいですね。手を上に挙げる動作は、硬くなっている肩の筋肉を動かす作用があります。筋肉を動かせば血管のポンプ作用もちゃんと働き血流もよくなります。血流がよくなればコリも解消するということです。

水泳、エアロビクスなどは自然に手を挙上でき適した運動です。

 

またその他には、枕の高さが合わないためやメガネ、コンタクトレンズの矯正視力が合わないためにおこる肩コリもあります。

 

以上がおおまかですが、西洋医学的な肩コリに対する診断から治療までの流れになります。

 

 

<中医学的な考え方>

中医学は少し慣れない考え方もありますので、先にポイントだけ説明いたします。

まず身体の中には「経絡」というスパイダーマンのコスチュームのように身体の臓腑から手足まで上下、内外をつなぐ気(見えない活力源)血(栄養を含んだ血液)の通 り道があります。そして筋肉にもその経絡が影響をおよぼしていると考えます、これを「経筋」といいます。

 

そして健康な身体とは気と血そして水(身体を構成する水分全体)がバランスを保ち、スムーズに流れている状態であることです。気血水は食事で摂ったエネルギーを臓腑で消化、吸収して作られていきます。

健康でなくなるのは、さまざまな原因によってこのバランス、流れがくずれてしまった結果 といえます。

 

中医学では肩コリは肩が引きつれるとか肩がだるい、痛いと言います。これは、肩の経絡、経筋のところで気血の流れが悪くなったり、栄養不足になったりしたためひきつれたり、だるくなったり、ひどいと痛くなったりすると考えます。

 

<中医学的治療>

肩コリの人の中にも 筋肉質の人、痩せている人、冷え性の人、暑がりの人、ストレスを強く感じる人などいろいろなタイプがあり、ただ肩だけに針を刺せば治るというものではありません。確かに、肩に針をするだけでも対症療法的にある程度のコリは取れてしまいますが、やはり原因に対しての治療がないと、体質も変わらず、少し経つとまた強い肩コリに戻ってしまいます。

肩コリに対しても、しっかりした診断から治療を施しひどい肩コリにならない体質作りする治療が必要です。

 

では、肩コリがどのようなタイプに分かれるかを考えていきたいと思います。

 

○肝気ウッ滞(気が滞ってしまう)、肝火

原因は緊張や精神的ストレス、怒りなどから気の流れが悪くなってしまったことによります。中医学の臓腑というのは西洋医学でいわれる臓器の機能とは異なるのですが、精神的なストレスなどは「肝」という臓腑に影響を与えます。肝の機能は気の流れをよくしたり、血を蔵したりしています。肝の機能が悪くなれば気の流れも悪くなり、それが滞ってくると燃えて火のようになってしまうのです。そうすると、血が熱せられて肩に充満してしまい肩コリになります。

 

その他の症状としてはイライラ、緊張、憂鬱、ため息がでる、脇が張って苦しい、目が充血などがあります。

 

針治療のときは、肩コリにはやはり肩のツボを取ります。そして、気が滞っていればその気の流れを良くするツボを使い、熱があれば熱を取り冷ますツボを使います。

 

自分でツボを押す場合は、肩以外では足と手のそれぞれ親指と人差し指(第1と第2指)の間の凹んだところをツーンと刺激がでるくらい押しましょう。

軽めの運動やラベンダーなどのアロマセラピーでリラックスさせるのも効果 的です。

 

○血オ(血が滞ってしまう)

交通事故や打撲、ケガや手術などによって内出血をしてしまったり、肝気ウッ滞から血流の停滞をまねいてしまったりしたために肩に血オをおこし比較的強い肩コリになってしまう。

 

その他の症状としては 局所が硬い、肩にミミズのような血管拡張が見られたりする。

 

針治療のときは 血の流れを良くさせるツボを使います。

 

自分で肩以外を刺激したい場合は、腕から肘周囲や膝裏(委中穴)などを強めに刺激すると効果 てきです。

 

○気虚(気が足りなくなった状態)

原因は疲労や生まれたときから虚弱体質、老化、慢性的な疾患などで気が不足したため、気が上昇できず、人体の上部の経絡、経筋が通 りにくく力不足となり肩コリがおこる。このような肩コリは自覚があるが、触ると柔らかくコリを触れない。

 

その他の症状としては元気がない、疲れやすい、立ちくらみなどがある。

 

針治療では元気を補うツボを使います。

 

気虚の人は朝鮮人参(なかなか食べれないですよね)、山芋、棗などを食べると気が補われます。棗は生姜と一緒に軟らかく煮てお粥などにすると食欲もでると思います。

 

○血虚(血が足りなくなった状態)

出血、月経、出産、過労、慢性病などにより血が不足し経筋、筋肉に潤いや栄養がいかなくなり肩コリをおこす。   

 

その他の症状としては 顔色や皮膚にツヤがなくなる、筋肉がひきつる、頭がボーっとする。筋肉の栄養がなくなり筋肉がやせてきたりする。   

 

針治療では 血を補うツボを使います(養血)。   

 

比較的買いやすい食べ物にはクコの実があります。お茶のように煮だして飲んだり、お粥にして少量 の塩をパラッとかけて食べたりすると良いです。

 

○陰虚陽亢(陰の力が弱くなり、相対的に陽の力が強くなった状態)   

老化、慢性病、熱病、多産、過度の性生活のどで水分質(精、血)が不足したため、つまり身体の中のクーラーが壊れてしまい、熱が発生してしまい、その熱が上昇して肩の血を充血させ流れが悪くなったため肩コリになる。   

 

その他の症状としては局所が硬く触れ、イライラ、のぼせ、寝汗、腰や膝がだるくなるなどがある。   

 

針治療では蛇口をひねり水分を補い、上がってしまった熱を引き戻すツボを使います。   

陰虚を改善させる食べ物はゴマ、黒豆、スッポンなどが効果的です。

 

○風寒(冷たい風をあびる)

冷たい風を浴びてしまったり、汗をかいた後よく拭かず風を浴びて冷えてしまったりすると寒くて肩がすくんでしまうように、肩の経絡、経筋の気血の流れが悪くなり肩コリになります。   

 

その他の症状としては 寒気がしたり、風邪の症状がでたりします。一過性のものが   多い。   

 

針治療では 身体から風を追い出したり、身体を温めたりするツボを使います。   

 

風寒の状態には葛根湯が有効です。生姜を使った食べ物も身体を温めるので良いでしょう。反対に身体を冷やす生物などは一時避けましょう。

 

殆どの場合、肩の周囲のツボは使っていくことになりますが、肩以外のツボはそれぞれのタイプにあったツボの選択が必要になります。

今まで針治療しても肩コリが治らなかったという人は、単純に肩だけに針治療をされたのかもしれません。

肩コリにしてもしっかりとした診断、治療が必要だということが理解していただける幸いです。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

尚、遠方の方で当院へ来院しての受診が出来ない方の中で家庭灸を行ってみたい方は、HP内の問診表のチェックを入れ送信して頂ければ灸点のポイントを指導させて頂きます。お気軽にご利用下さいませ。

2019/03/12
【外科・整形外科・皮膚科疾患】腰痛について1

鍼治療と言えば、肩こり、腰痛と思われる方も多いとおもいます。しかし、腰痛に鍼治療と言ってもギックリ腰や普通 の腰痛、神経痛のあるもの、内蔵からくるものなどあり、ただ腰の痛いところだけに鍼を打てば治るというものではありません。やはり、その腰痛の種類、患者さんの体質にあった鍼治療をしなくては治るものも治らなくなってしまいます。

西洋医学的アプローチ、東洋医学的アプローチ、家庭でのツボ刺激方法と考えていきましょう。

 

<西洋医学的診断と治療>

簡単にではありますが、腰痛の診断方法、一般的な治療方法をお話させていただきます。

1.急性の腰痛

安静にしていても痛む

腫瘍、強い炎症性、内臓性の腰痛

 

安静で改善する

ギックリ腰、圧迫骨折(高齢者)

 

2.一般 の腰痛

起床直後、夕方や疲労時に痛む

変形性脊椎症、分離すべり症

(慢性)

 

 

 

脊柱管狭窄症

 

中腰で痛む、座位 から立位で痛む

筋肉性(筋・筋膜性)腰痛

 

場所が一定しない

心因性腰痛

 

3.神経症状(足の痺れ)

ある

ヘルニア、分離すべり症、変形性脊椎症

 

ない

筋肉性(筋・筋膜性)腰痛

 

4.つらい動作

前屈がつらい

ヘルニア、変形性脊椎症、筋肉性腰痛

 

後屈がつらい

分離すべり症、椎間関節性腰痛

 

 

※ 椎間板とは腰椎の間に挟まれている弾力性のある組織です。クッションの役目をしています。お饅頭のように中に餡のような組織があって、その中の餡が飛び出してしまった状態をヘルニアといいます。飛び出したものが神経を圧迫すると足が痺れたりする症状がでます。

※ 注意をしなくてはいけない腰痛――海老のように丸くなっていてもどんどん痛みが増す場合や、おしっこが出にくくなってしまうときは直ぐに病院に行きましょう。

○治療方針

 

急性の腰痛  ―

臥床、安静(湿布など)、神経ブロックをする場合もある

おしっこが出にくくなる(排尿障害)ヘルニアでは手術もある

 

一般の腰痛  ―

湿布、牽引、温熱、マッサージなどの理学療法が主体になる

 

内臓性の腰痛 ―

問題となる内科の治療

 

心因性の腰痛 ―

ストレスなどを解消する。場合によっては安定剤を使用する

 

<中医学的診断と治療方法>

中医学では痛みに対する考え方に「不通則痛(通らぬもの則ち痛む)」と「不栄則痛(栄えぬ もの則ち痛む)」がある。つまり、気血の流れている経絡の流れが悪くなったり、気血が足りなくなったりすると痛みが出現するということです。腰痛においては腰の経絡が滞ってしまったり、腰に関係している臓腑の力が弱り気血が足りなくなったりして症状として出てきます。

※ 経絡とは、全身に気や血をいきわたらせ、臓腑と手足をつなぎ、身体の上下左右をめぐる通 路のようなものです。

治療では滞った経絡のながれをよくして、足りなくなった気血を補っていきます。

ギックリ腰には経絡の流れを利用した経験穴があります。

ポイント:関係の深い経絡、臓腑

腰を通 る経絡

足の太陽膀胱経

腰の盛り上がった筋肉のあたりを通 る

 

督脈

腰の真中を縦に通る

腰と関係する臓腑

腎「腰為腎之府」

腰は腎の重要な建物という意味

 

○ ギックリ腰(急性の腰痛)の原因と治療

物を持ち上げた時に激痛が走る、振り向いたときに痛むなどの腰痛(脚の痺れがある場合はヘルニアの疑い)

中医学的には、寒さや、ストレス、疲労などで経絡の気血の流れが悪くなっているところに、急激な動きによって、経絡や経筋(経筋…経絡の気血によって滋養されている筋肉)が障害をうけて発症する。治療は関係する経絡上の経験穴を主体に使う。

 

痛みが真中(正中線上)にある ―督 脈― 人中(鼻と上唇の間のツボ)を使う

痛みが真中より少し脇にある ―膀胱経― サン竹(眉毛の内側)を使う

 

ポイント:ギックリ腰の鍼治療の注意。ギックリ腰になると動くのがとても大変です。うっかりベッドに横になると立てなくなってしまうこともあります。治療の時には、まず腕の反射区に鍼を打ち、少し動ける様になってからベッドに寝てもらいます。このような治療方法を微鍼治療といいます。詳しくは「鍼灸治療体験談」のギックリ腰のページをご覧になってください。

 

○ 一般的な腰痛の原因と治療

腰痛の場合、中医学では主に3つのタイプに分かれます。

1.寒湿タイプ腰痛

 

原因:

たくさん汗をかいた後冷やしたり、冷たい風をあびたり、長期にわたり湿度の高いところに居たり、雨に濡れてしまったりして、寒湿の邪気が腰部の経絡を侵して気血のながれが悪くなってしまったため。

 

症状:

腰に鈍痛がある。強張って横になりにくい。臀部、股関節、膝まで痛む。腰が冷たくなっている。雨が降っている日に悪化するなどの特徴が現れる

 

治療:

寒湿タイプの場合は、寒邪を追い出し、湿邪を流してあげる治療をおこなう。温めることも大事である。(去湿散寒)

 

 

ツボ ―腎兪、委中、腰陽関など

 

 

漢方薬―甘姜苓朮湯加味

 

ポイント:

寒の邪気の性質

 

 

●凝結 ―

滞って通じない性質を持つ。

気血の流れを滞らせて痛みを発生させる。

 

●収引 ―

収縮して、牽引する性質をもつ。

経絡、筋などを収縮して引きつらせてしまう。

 

湿の邪気の性質

 

 

●重濁 ―

重く濁らせたり、陽気を抑える性質をもつ。

だるく重い疲労感。

 

●下に向かう―

下向し易く、下半身に症状が出ることが多い。

 

2.オ血タイプ腰痛(血の流れが滞ってしまった状態をオ血という)

 

原因:

過去に何度も腰を痛めていたり、常に中腰姿勢で腰に負担をかけていると腰の経絡の気血の流れが滞ってしまう状態になる。

 

症状:

刺すような痛みの腰痛、固定して動かない痛み、日中よりも夜が痛む、寝返りもつらいくてしにくい、膝裏のくぼんだ所に静脈が浮いて青くなっているなどの症状。

 

治療:

堰きとめてある川を流してあげるように、気血の流れをよくする治療をおこなう(活血化オ)。

 

 

ツボ ―腎兪、委中、膈兪、三陰交など

 

 

漢方薬―身痛逐オ湯

 

 

腎虚腰痛

 

原因:

加齢や長期の病気、または性交過多などにより腎の気を損傷してエネルギー不足になってしまったためにおこる。

腎為腰之府ともいい、腎と腰の関係は深い。

 

症状:

痛みは比較的ゆっくり出てきて、痛みは強くはないがなかなかよくならない。身体も疲れやすく、膝に力が入れにくいなどの症状。

 

治療:

腎の気のエネルギー不足なので腎の気を補う治療をおこなう(補益腎精)。

 

 

ツボ ―腎兪、委中、志室、太渓など

 

 

漢方薬―腎陽虚(手足が冷えたりする)―腎帰丸

    腎陰虚(咽が渇いたりする) ―六味丸

 

ポイント:心因性の腰痛―はっきりとした腰痛の原因がなく、痛む場所がころころ変わってしまう場合は心因性の腰痛も考慮する。ストレスを抱えていたり、神経質な人の場合、通 常の痛みより強く感じてしまうこともある。ストレスが肝の、精神活動は心の機能を低下させ、気と血の動きを悪くして経絡の流れを更に悪くしてしまうため。腰痛の治療と同じに、神経的な治療も必要。

 

<日常生活での注意>

身体を冷やさないように…夏はエアコンや汗をかいた後にも注意。

適度な運動…腰痛のない時には運動して、経絡のながれをよくしておきましょう。

姿勢に気をつけましょう…斜めに座ったり、長時間のあぐらは腰によくありません。

ギックリ腰は安静に…軽い腰痛は動いて経絡の流れや血流をよくしてあげれば、よくなることもありますが、ギックリ腰は無理に動くと更に悪くなりますので基本的に安静にします。

(海老のように丸くなる体勢が一番負担がかかりません)

 

 

<家庭でできること>

委中のマッサージ―腰部を通る膀胱経の委中は腰痛の治療の重要なツボです。膝の裏のくぼんだ所にあります。親指で3秒かけて押して、3秒とめて、3秒かけて離します。

委中からふくらはぎを外踝の方に指圧マッサージしていっても効果 的です。

ヨモギ湯―冷えがあったりする場合は、ヨモギの葉を乾燥させてお湯の中に入れ、その湯の中に入って身体を温めます。(寒湿腰痛に効果 )

 

<鍼治療について>

このように腰痛でもいろいろな原因、治療があります。また、ストレスで強張り+冷えて寒湿腰痛や、オ血腰痛+腎虚腰痛など実際には混ざって発症したりしています。そのため腰痛といえどもしっかりとした診断、ツボ選びが必要になります。

 

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12:00
13:00まで
14:00~
16:00

※ 火曜日・水曜日・金曜日が祝祭日の場合は午前診療となります。
※ 当院は予約制です。

アクセス

〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目17-10

院内の様子