コラム
- 2019/03/11
- 【その他】中医鍼灸による美容
最近、当院ホームページをご覧になった患者さんから、「鍼灸治療は美容に効果 があるの?」といった内容の質問メールを頂くことが増えています。
そこで今回は、特に女性の患者さんに関心の深い「美容に関する鍼灸」のお話をしたいと思います。
鍼灸治療で肌荒れ或いは吹き出物等の改善が出来ることを、皆さんは御存知でしょうか?
肌荒れ、吹き出物は内臓のトラブルやストレスによって発生することがあります。このような場合、ただ単に荒れた皮膚表面 をお手当てしても改善されないことが多いのです。なぜなら、お肌のトラブルの原因になっている「もと」の部分に対してお手当てしていないからです。
では、鍼灸治療ではどのように肌荒れを改善していくのかといいますと、詳しい問診により日常生活の状態、習慣或いは内臓のトラブルやストレスがないかを把握することが大切です。そして、個人個人の体調に合わせて、お手当ての手順を決め治療を行っていきます。
例えば、日常生活で薄着をすることが多く、冷たい飲み物を好んで飲むような、体を常にひやしているような方には、体を温める治療を行い血液循環を改善し、お肌に血液の栄養素が十分いき渡るように整えます。冷えが改善される事により新陳代謝も良くなり、お肌もきれいになってきます。
内臓にトラブルがある場合には、胃腸の機能に問題がある場合が少なくありません。特に口の周りや前額に肌荒れや吹き出物が出やすいタイプです。この場合は胃腸機能を活発にすることにより、便秘症の方は便秘も改善されお肌のトラブルも改善されます。
ストレスの多い方は、偏頭痛や頭頂痛、肩こりが起きやすく、顔の側面 に吹き出物が出ることが多く、また不眠に悩まされる方も多いようです。中国医学では、ストレスが多くなると体の気(活力・体調を整える力)の流れが停滞しやすくなり、体に様々な症状が現れてきます。女性ホルモンの分泌の変化や冷え、のぼせ生理不順、肝機能の低下などにより、体の中に溜まった不純物を分解する機能が低下して肌荒れが生じやすくなります。
中国医学には「以表知裏」という考え方があります。これは体表に現れている状態は、「裏」つまり内臓の状態を反映しているものであるという考え方で、非常に理に適った見方であるといえるでしょう。簡単にいくつかの例を挙げましたが、日常生活の参考にしていただきたいと思います。美容関係でお悩みの方は、体質改善中心の中国鍼灸にご相談をお勧めいたします。
最近アンチエイジング(老化防止)、デトックス(排毒)などという言葉が流行していますが、中医学は、はるか何千年も前からこのようなことは、行われていました。
デトックスの代表的な治療が吸玉療法(カッピング)。ガラス玉容器を使い、体表に吸い込ませ血流を良くし、酸化した体をアルカリ化へ導く様に働き掛けます。また体に入り込んだ不必要な寒気、熱気を抜き去る作用が有ります。
吸い玉の作用は、解り易く言えば体内の老廃物質の新陳代謝を促進させる事です。アンチエイジングの代表的な治療が、日頃からの体の手当の予防養生なるものです。(鍼灸で自然治癒力を高め、活力エネルギーのチャージ補充する事を指します。)
肌荒れの気になる方
肌の老化(シミ、シワ)、体力の衰え、気になる方は、自然治癒力体を回復させる力を整え、体内から元気を取り戻し、美肌に役立つよう、或は自然な体の衰えを予防して行きましょう。
お気軽にご相談して下さいませ。
中医学診断による個々の体質、症状を判断し、治療は局所治療だけにとどまらず、体質や体の全体の活力エネルギーバランスの調整しお手当てをさせて頂きます。
治療で大切なのは局所治療でなく、症状などを引き起こしている原因に対しての治療が大切なポイントになります。この点を深く理解して頂ければと思います。症状により通 院期間、治療回数は違います。基本的に体質改善を行うのに三ヶ月位 は掛かると思ってくださいませ。ある程度時間を掛けて手当てを受けると言う気持ちをお持ち下さい。
食養生、家庭でのツボ療法の指導も致します。
漢方相談も可能です。
ちなみに、中医鍼灸の美容の適応例:ニキビ、吹き出物、面疔、シミソバカス(程度にもよります)、豊胸、生理時の肌荒れ、円形脱毛、アトピー性皮膚炎(乾燥肌タイプ・じゅくじゅく肌タイプ・皮膚が真っ赤になるタイプ・乾燥肌で赤黒肌色になるタイプ)、ストレスによる肌荒れ、ダイエット、目の下のクマ、冬季の乾燥肌などがあります。
ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
Eメール genki@dokutoruyo.com
- 2019/03/11
- 【内科疾患】排尿障害5~養生編~
★排尿障害の養生★
一言で養生と言っても、その方法は沢山ありますが、このHPは東洋医学についてのHPですから、東洋医学流の養生法を紹介いたしましょう。
しかし、東洋医学流の養生法といっても、これまた沢山の種類がありますので、今回は皆さんが簡単に実行に移しやすい「食養生」「健康茶」「酒・薬酒」を中心に紹介したいと思います。
さて、皆さんは「医食同源」という言葉を聞いたことがあると思います。
これは中国の言葉で「食事も医学と同じく健康を左右する大切な物である」という考えです。
その発想から生まれたものが、「薬膳料理」です。
つまり、食事には体質改善や、病を改善させる力があるのです。
そこで是非、皆さんもご自分の体質を理解され、それに見合った食事をして下さい。
今回は「民間療法」も混えて紹介いたします。
そして中国にはもう1つ「医茶同源」という言葉もあります。
これも食事と同様に、「お茶も医学と同じ位健康を左右させることができる」という考えです。
日本人もお茶が大好きな民族ですので、これは健康に生かす手はないと思います。
さて、皆さんの中には梅酒などを作る方もおられると思います。
梅酒には血液を浄化させたり、疲労回復・体力強化・老化予防・食欲消化の促進といった、たくさんの効果 があります。
このように薬効のある原料をアルコールに漬けたものが「薬酒」です。
薬酒は原料をそのまま摂取したり、煎じて飲むより体内の吸収率が高いという利点があります。
さて、養生については先ず、先程紹介した病因別の養生法を、次に、症状・西洋医学的疾患名別 の養生法を、最後に利尿効果がある養生法を紹介します。
〈病因別養生法〉
【湿熱による排尿障害(湿熱体質)の養生法】
* 湿熱は「湿」と「熱」が合わさった表現です。
湿と熱では養生法が若干異なりますのでここでは「湿」と「熱」に分けて紹介いたします。
《熱の食養生》 |
|
◎ |
麦・あわ・とうもろこし・はとむぎ・そば・緑豆・浜納豆・豆腐・豆乳 |
◎ |
ピータン・プレーンヨーグルト |
◎ |
かに・あさり・ところてん・昆布・のり・わかめ・しじみ |
◎ |
きゅうり・とうがん・ズッキーニ・にがうり・レタス・白菜・セロリ・なす たけのこ・ごぼう・大根・チンゲン菜・トマト |
◎ |
キウイ・スイカ・レモン・梨・メロン・バナナ・柿 |
《熱の健康茶》
緑茶・ウーロン茶・菊花茶・プーアール茶・荷葉茶・どくだみ茶
《その他、熱の生活上の注意点》 |
|
◎ |
脂っこいもの・味の濃い物・甘いもの・お酒・肉類は食べ過ぎないように注意しましょう。 |
◎ |
熱いお風呂も避けましょう。 |
《湿の食養生》 |
|
◎ |
はと麦・とうもろこし・そば・はすの実・小豆・大豆・緑豆・黒豆 えんどう・空豆 |
◎ |
あさり・あわび・しじみ・はまぐり・ふな・どじょう・こい・すずき・昆布 のり・わかめ・ところてん |
◎ |
にがうり・たけのこ・きゅうり・さやえんどう・セロリ・とうがん・もやし 白菜・ズッキーニ・ごぼう |
◎ |
すいか・すもも・ぶどう・キウイ・メロン |
《湿の健康茶》
柳茶・プーアール茶・紅茶・ジャスミン茶
《その他、湿の生活上の注意点》 |
|
◎ |
脂っこいもの・味の濃い物・甘いもの・冷たい水分の食べすぎに注意しましょう。 |
◎ |
適度な運動(汗をかく位)をしましょう。 |
◎ |
冷えは水液代謝を悪くしますので、体を冷やさないようにしましょう。 お風呂はぬるめのお湯で長めにつかりましょう。 |
【脾の気や腎の気の不足による排尿障害(気虚体質)の養生法】
脾の気や腎の気の不足は、いずれも気の不足ですから、ここでは大きく「気虚」という括りで養生法を紹介します。
《食養生》 |
|
◎ |
麦・ひえ・きび・あわ・もち米・うるち米・はとむぎ・豆腐・とうもろこし 納豆・そば・うどん・大豆・小豆・空豆・枝豆・黒豆・えんどう豆・赤小豆 |
◎ |
牛肉・鶏肉・羊肉・かも肉・鶏卵 |
◎ |
鰻・まぐろ・鯛・わかめ・のり・昆布・ほたて・あさり・こい・ふな いしもち・えび・すずき・いか・貝柱・牡蠣・かまぼこ・あおのり・かに はまぐり・もずく・しじみ・ひじき・めざし・干物・佃煮・いわし・さば |
◎ |
ぎんなん・金針菜・くるみ・木耳・銀耳・あしたば・まいたけ・しいたけ 人参・山芋・じゃがいも・さといも・さつまいも・かぼちゃ・キャベツ レンコン |
◎ |
クコの実・松の実・なつめ・パイナップル・サクランボ・桃・ぶどう りんご・栗 |
◎ |
ナツメグ・胡麻・みそ・はちみつ・水あめ・食塩・しょうゆ |
=民間療法=
豚の胃袋スープ・はと麦スープ・くず湯・にんにく蜂蜜漬け
りんご酢と蜂蜜のドリンク
《健康茶》
クコ茶・グアバ茶・杜仲茶・はと麦茶・麦茶・ほうじ茶・柳茶・なつめ茶
高麗人参茶
《酒・薬酒》
ケンポナシ酒・スイカズラ酒・カリン酒・アキグミ酒・五味子酒・ハマナス酒 フユイチゴ酒・くわの実酒・あんず酒・キハダ酒・グミ酒・夏みかん酒・梅酒
《その他、湿の生活上の注意点》 |
|
◎ |
気虚とはエネルギー不足のことですから、食事はしっかり摂りましょう。 又、気虚の方の中には胃腸が弱い方がかなり多くいらっしゃいます。 ですから食事はゆっくり出来るだけよく噛んでいただきましょう。 |
◎ |
エネルギーの不足している状態ですから、過度な運動や寝不足は避けましょう。 |
◎ |
過度な思い悩みは脾を損傷させますので、注意しましょう。 |
【肝の気の鬱滞による排尿障害(気滞体質)の養生法】
*肝の気の鬱滞の主な原因はストレスですので、ストレスを排除する養生法を紹介します。
《食養生》 |
|
◎ |
牛乳 |
◎ |
牡蠣・あさり・しじみ・しゃこ・しらす・かに |
◎ |
らっきょ・うど・せり・みょうが・みつば・春菊・パセリ・セロリ・しその葉・からしな・にら・ねぎ・にんにく・小松菜・菊花・キャベツ・かいわれ大根・ボウフウ・大根・かぶ・ラディッシュ・ザーサイ・はまなすの花 |
◎ |
みかん・グレープフルーツ・ゆず・金柑・レモン |
◎ |
ミント・ナツメグ・しょうが・こしょう・八角・わさび・さんしょう |
《健康茶》
しそ茶・カモミール茶・菊花茶・ジャスミン茶・ミントティー・刺五加茶
《薬酒》
高麗人参茶・しそ酒・杜仲酒
《その他、生活の注意点》 |
|
◎ |
日ごろからストレスを溜めないように注意し、自分にあったストレス解消法を探しましょう。 |
◎ |
できるだけ規則正しい生活を送りましょう。 |
◎ |
アロマや柑橘類の香りは気分をリラックスさせてくれます。 寝室やリビング又はお風呂場などで上手に使ってみましょう。 |
◎ |
何か集中できる趣味などを持ちましょう。 |
【血の滞りによる排尿障害(オ血体質)の養生法】
《食養生》 |
|
◎ |
小豆・黒豆 |
◎ |
まぐろ・かつお・いわし・さば・こはだ・あじ・さんま |
◎ |
山芋・おくら・トマト・なす・アスパラガス・たまねぎ・にら・にんにく・らっきょ・しょうが・とうがらし・ピーマン・ほうれん草・かぶ・うこん |
◎ |
プルーン・クランベリー・桃・いちご・メロン |
◎ |
酢・カレー・黒砂糖 |
=民間療法=
緑の濃い野菜や野草のジュース・りんご酢と蜂蜜のドリンク
《健康茶》
まいかい茶・ヨモギ茶・ウコン茶・ローズティー・ハイビスカスティー
さんざし茶・田七人参茶
《酒・薬酒》
紹興酒・赤ワイン・イチゴ酒・梅酒・パセリ酒・ハッカ酒
《その他、生活の注意点》
◎運動は血行を促進させてくれますので、適度な運動を心がけましょう。
【症状・西洋医学的疾患名別の養生法】
☆腎炎の食養生☆
パイナップル(初期の腎炎)・カリウム醤油
☆腎結石の食養生☆
ぶどう・牛乳
☆前立腺肥大の食養生☆
とうがらし
☆尿路結石の食養生☆
キウイフルーツ・くるみ・とうもろこし・酢
☆尿道炎の民間療法☆
アケビ・リンドウ:これらを煎じて飲みます。
☆膀胱炎の食養生・民間療法・薬酒☆
〈食養生〉
大麦(急性膀胱炎)
〈民間療法〉
あけび・リンドウ・ウツボ草:これらを煎じて飲みます。
〈薬酒〉
コケモモ酒::腎臓炎・膀胱カタル・腎盂炎・リュウマチなどに利くと言われています。
スイカズラ酒:膀胱炎・腎臓病・利尿・感冒・解熱などに効果があると言われております。
☆頻尿の食養生・民間療法☆
〈食養生〉
くるみ・えび
〈民間療法〉
ニラの種子:煎じて飲みます。
☆尿の出がよくない人の食養生☆
みかん・せり・ハモ・どじょう
☆尿漏れの食養生☆
やまいも
最後に利尿効果のある食材・薬草・民間療法・薬酒を列挙しておきますので、参考にしてくださいませ。
《食材》
パイナップル・ぶどう・キウイフルーツ・とうもろこしのひげ・せり
《薬草》
アケビ・アシタバ・イタドリ・イノコズチ・ウツボ草・エビス草・オオバコ
オケラ・カワラヨモギ・クコ・クチナシ・クララ・クワ・ゲンノショウコ
サジオモダカ・サンショウ・ジャノヒゲ・スイカズラ・スイカ・タンポポ
ドクダミ・ナツメ・ニラ・ニワトコ・ハコベ・ハトムギ・ヒルガオ・ベニバナ
ホオノキ・マツホド メハジキ・ヨモギ
《民間療法》
クズ湯・たんぽぽ茶・ニンニク蜂蜜漬け・はとむぎスープ
《薬酒》
くちなし酒・しそ酒・しょうが酒・すいかずら酒・たんぽぽ酒
以上が排尿障害についての説明になります。
ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
◎ 当院での治療をお考えへの方へ
=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=
当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。
例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。
急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。
ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。
西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。
ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。
例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。
大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。
当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。
又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。
しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。
さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。
当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。
それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。
この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。
特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。
顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)
急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子
その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳
アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など
これらの疾患はほんの一例です。
疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。
針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。
当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。
少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。
- 2019/03/11
- 【その他】中国医学の治療法
今日は、中国医学の治療法を簡単に述べさせて頂きます。
主となる治療方法は、鍼灸治療、漢方治療になります。
鍼灸は体表にある経穴(ツボ)に刺激を与えその反応で、体内の臓器の働き体調を整えて行きます。一つの経穴には、色々な効用(効き目)と作用(働き)等を持ち合わせておりまして、経穴と経穴の組み合わせで幾通 りもの治療効果や作用を発揮致します。
漢方治療は、自然の生薬を使用し、これも生薬の組み合わせで幾通りもの効果 が出ます。漢方の生薬には味とか性質が有り温めたり、熱を冷ましたり、気を上げたり、気を下げたり、しめつけたり、弛めたり、この様な働きが有り。そして、患者様から得た体の情報に合わせ生薬を組み合わせ、その方の崩れたエネルギーや体質を調整し、体を元有った元気な状態へ戻してあげる働きを、体内から調整するのが漢方治療です。
よく耳にするのですが、鍼は痛いのではないでしょうか?
漢方は苦いのではとか・・・
確かにその様な事は多少有るかと思います。しかし、実際には皆様方が想像している様な痛みや苦味は無いかと思います。治療に使用される鍼は弾力性のあるもので、医療の注射針より細く弾力もあり、すんなり体内に刺入していかれます。
私の考えでは、皆様方が痛い、苦いと言うイメージを強く抱かれているから、属に言う食わず嫌いになってしまって居るのではないかと思います。
さて、百聞は一見にしからずにもじって、百聞は一針、一口の鍼、漢方にしからずと・・・思います。
実際に受けてみたり、飲用してみたりすると、すんなり受け入れられる方の方が大勢居ます。体は素直なもので欲しているものを与えて上げますと、受け入れやすいのです。
長々となってしまいましたが、鍼灸と漢方の治療目的は、崩れた体のエネルギーの調整と不足してしまった自然治癒力を補い活性化させて、体を整える力を体内から出させる事です。
なので、検査とかで問題が無い、異常が見つからない場合は、体の元気(正常に活動させるエネルギー)が足りなかったり、自然治癒力の低下が原因の事が多いです。このような時は、やはりこれらの改善を促さないと症状の改善が難しいのではないでしょうか!?
元気と言う二文字は、見ての通り元の気、要するに元々有るエネルギーと言う意味なのです。ですから、元気が無いと言うのはエネルギーが無いと言う事です。
しかし、私は中国医学が全ての病・症状に万能とは申してませんので、誤解の無いようにお願い申し上げます。
中国医学の治療方法が、病で悩んでいる方々の何かの一助になればと思います。
- 2019/03/11
- 【内科疾患】発熱1~西洋医学編
今回のテーマは発熱です。皆さんも何度かは経験があると思います。発熱という症状はとても軽い場合もありますし、重大な疾患のサインだったりもします。
ところが、こんなにも身近な症状であるのに意外と詳しく知っておられる方は少ないのではないでしょうか?今回はそんな発熱について紹介したいと思います。
では、まずは西洋医学の観点から見てみましょう。
★★西洋医学から見た発熱★★
発熱とは、「体温調節中枢に異常があり、平常時以上に体温が上昇すること」と定義されております。体温調節中枢については後述いたしますので、とりあえず今は脳にある体温調節を行う部位 と理解しておいてください。では平常時体温とはいったい何℃なのでしょうか?健康人の平常時体温(腋下計測)は36~37℃と言われております。ですから、通 常では37℃以上を「発熱」と言います。因みに、36℃未満を低体温と言います。
ところで、皆さんは何処で体温を計測しますか?
口・わきの下・お尻(直腸内)などがありますが、本来、体温とは体内の温度のことですから、外界の温度の影響を受けない場所がベストなのです。その観点から言えばお尻(直腸内)が正確な体温計測が出来る部位 になります。
しかし、実際はわきの下で計っておられる方が一番多いのではないでしょうか。ですから今から体温についてはわきの下で計測した数値で説明いたします。(先程、紹介した平常時体温もわきの下で計測したものです。)
因みに、わきの下は、お尻(直腸内)に比べると0.6~1℃、口の中に比べると、0.2~0.5℃程低いと言われております。ですから、口で計測した場合では、37.3℃・お尻では37.6℃以上を発熱といいます。
せっかくですから体温の話をもう少しだけいたしましょう。通常体温は日内変動と言って一日のなかでも変化しており、AM2~4時ごろ最低になりPM2~6時に最高となります。
又、女性は月経周期によって1℃以上体温が上がる場合がありますし、大部分の子供は大人より体温は高く、1日の体温変化も大きくなります。因みに子供は軽度のウイルス感染でも高熱を出すことがありますが、このようなことで脳が直接損傷を受けることはありません。
☆体温調節のしくみ☆
さて、「発熱」の説明に入る前に、先ず健康な人の体温調節の仕組みを説明します。
ところで、何故体温調節が必要なのでしょうか?
その理由は幾つかありますが、先ず考えられるのは、体内の機能が外気温からの影響を受けずに効率よく作用できる適温を維持するためです。
例えば我々人間は南極の極寒の地でも、中近東の灼熱の地でも暮らしております。両地の温度差は60℃を軽く越えるでしょう。しかし、そこに住んでいる人達の体温の差はそれほどではありません。また、日本でも冬と夏の温度差に比べ、体温の差はそれほどではありません。これは、外気温に関係なく体内は適温に調節されているからなのです。
ではどの様にして体温調整をしているのか簡単に説明します。
◎産熱と放熱◎
体温を一定に保つ為には、体内で熱を生む「産熱」と体外に熱を出す「放熱」によって行われます。
外気温が下がれば、体温が下がらないように「産熱」が起こり、外気温が高くなれば、体温の上昇を抑えるために「放熱」がおこります。
○低温時・・・『産熱』
産熱は内臓や筋肉の代謝が亢進し、酸素が燃焼されて起こります。
例えば、寒い時にふるえが起こりますが、これは筋肉を動かすことにより「産熱」が起こっているのです。又、皮膚にある「立毛筋(りつもうきん)」という筋肉が収縮することにより毛穴や汗腺を閉じて放熱を防ぎます。このときに起こるのが鳥肌や立毛です。更に、皮膚の血管が収縮することにより皮膚の血流量 を減らすことで放熱を防いでもいます。ですから、寒いと顔の表面の血流が減り顔色が青白くなるのです。
○高温時・・・『放熱』
皮膚・肺・尿・便・は放熱の作用があります。
熱いと毛穴が開いて放熱が起こります。又、発汗も起きます。発汗すると皮膚が汗で濡れます。次に汗が蒸発する時に体の熱も奪去ってくれます。これは夏によくやる「打ち水」と同じ原理です。因みに、汗をかかない動物などでは自分の体を舐めることにより発汗したのと同じ状態をつくりだしています。又、皮膚血管の拡張が起こり、放熱が促進されます。このため熱いと顔が赤くなるのです。他には、産熱量 の減少のために、食欲不振・運動量の低下が起こります。
「産熱」と「放熱」のバランスが上手にとれて体温は適温に保たれます。
これらの反応は我々が意識して起こしているものではありません。無意識のうちに自律神経が行っております。
次は、その仕組みを簡単に説明します。
◎体温調節中枢と温冷受容器◎
さて、「産熱」や「放熱」は意識とは関係なく自律神経によって行われているのですが、これらの反応はそれぞれの部位 が自発的に行っているのではなく、脳からの指令によって行われています。脳の中には視床下部(ししょうかぶ)といわれる部位 があり、そこに「体温調節中枢」があります。この体温調節中枢というのが体温調節の司令塔になります。それに対して皮膚には外気温を感知する、温受容器と冷受容器があります。体温調節は、司令塔である体温調節中枢や、外気温を感知する温受容器と冷受容器、体温調節中枢からの命令を受けて、実際に産熱や放熱をする筋や血管といった効果 器と、それらを繋ぐ神経によって行なわれています。
◎体温調整の流れ◎
次に体温調節の流れをまとめてみます。
○外気温の低下 |
|
1.冷受容器が外気温の低下を感知して体温調節中枢に伝えます。 |
|
2.体温調節中枢は |
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a: |
ホルモン系を通じて内蔵や筋肉へ代謝を亢進させ産熱の指示をします。 |
b: |
自立神経を通じて皮膚の血管へ血管を収縮して放熱を抑えるように指示をします。 |
c: |
体性神経を通じて筋肉をふるえさせ産熱の亢進を指示します。 |
○外気温の上昇 |
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1.温受容器が外気温上昇を感知して体温調節中枢に伝えます。 |
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2.体温調節中枢は |
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a: |
自律神経を通じて汗腺へ発汗による放熱の亢進を指示します。 |
b: |
自律神経を通じて皮膚血管へ血管拡張による放熱の亢進を指示します。 |
以上が体温調節の仕組みです。次に発熱の仕組みを説明します。
☆発熱の仕組み☆
体温調節の司令塔は視床下部にある体温調節中枢でした。体温調節中枢は「産熱」と「放熱」という手段を使って体温を通 常体温である36℃~37℃の間で一定に保っているわけです。この一定した数値(36℃~37℃)のことを設定値とか、セットポイントといいます。
イメージ的にはエアコンを思い浮かべて下さい。皆さんは快適に過ごせる室温をエアコンに設定し、エアコンはその室温が一定に維持するように働きます。つまり皆さんがエアコンに設定した温度が体温調節中枢のセットポイント(36℃~37℃)に当たるわけです。そしてエアコンが室温を一定に保つのと同じように、体温調節中枢は「産熱」と「放熱」という手段で体温をセットポイントと同じ温度に保つわけです。
ところが、何らかの病的な理由でこのセットポイントが正常値より高くずれてしまうことがあります。すると体はその反応として「産熱」を起こしセットされた高い値に体温を合わせてしまうのです。この状態を『発熱』といいます。つまり、発熱とは、セットポイントが通 常より高い値にセットされてしまう事によって起こるのです。
この発熱を起こす物質を「発熱物質」といいます。発熱物質は体外からやってくる細菌やウイルスといった外因性発熱物質と、外因性発熱物質に刺激され体内で産生される内因性発熱物質があります。発熱物質は外気温に関係なく視床下部の体温調節中枢へ作用して、産熱作用を高め放熱作用の抑制をします。そのため、発熱時には、ふるえ・悪寒・皮膚血管の収縮がおこります。次に、発熱の原因が取り除かれると亢進していた産熱機能はおさまり、放熱機能が高まります。これにより通 常は発汗が起こり体温は元に戻ります。
☆うつ熱☆
「発熱」に対して、「うつ熱」というタイプがあります。
これは熱放散より熱産生が多くなったり、環境から受ける熱が異常に大きくなって体温が上昇する場合を言います。
うつ熱は直射日光の下や、高温・多湿・無風・の条件下で激しい作業や運動をした際に、産熱が著しく増え放熱がそれに追いつかない状況の時に起こります。
発熱と違い、この場合のセットポイントは正常です。
アスピリンなどは、上昇しているセットポイントを正常に戻す作用をしますので、解熱剤としてよく用いられますが、うつ熱のセットポイントは正常ですので、解熱剤の効果 はありません。
ですから、夏場によく耳にする「熱中症」はうつ熱ですので、解熱剤は効きません。
熱中症は、熱痙攣(手足の痙攣・筋肉痛)→熱疲労(倦怠感・嘔吐)→熱射病(意識障害)の順に重くなります。 熱射病では体温調節中枢が障害を受け、発汗や皮膚血管拡張といった放熱作用も低下してしまい体温は40℃を超えることもあります。
先程も述べましたが、これらは解熱剤は効きませんので、冷たい水で体を拭いて体温を下げます。
☆発熱の原因となる疾患☆ |
|
1. |
感染症:細菌・ウイルス・リケッチャ・スピロヘータ・真菌・原虫・などの感染によります。 |
2. |
腫瘍:組織破壊によるものと、しばし、感染症の併発によるものによります。 |
3. |
膠原病:全身エリトマトーデス・皮膚筋炎・結節性多発動脈炎・リウマチ熱などによります。 |
4. |
代謝異常:甲状腺機能亢進症・貧血・妊娠などによります。 |
5. |
アレルギー:薬物アレルギー・不適合輸血・血清病などによります。 |
6. |
吸収熱:大量出血後などによります。 |
7. |
組織障害:心筋梗塞・肺梗塞・外傷などによります。 |
8. |
体温調節中枢の障害:脳出血・脳腫瘍・脳外傷などによります。 |
☆発熱の分類と熱型☆
37℃以上が発熱ということですが、実はもう少し分類があり、37~37.9℃の発熱を「微熱」・39℃以上を「高熱」・41.5℃以上を「過高熱」と言います。
さて、発熱は上記したように、感染症・悪性腫瘍・膠原病・内分泌の疾患・アレルギー疾患・代謝性の疾患・などといった様々な病態で生じます。
発熱時の体温の変化をグラフにして特に特徴的な動きのものを熱型といい、疾患によっては特徴的な熱型を示すものもあります。
例えば、周期的に高熱期と無熱期がくる熱型を「周期的発熱」といい、代表的な疾患としては、「マラリア」があります。他の熱型と代表的な疾患としては、「稽留熱」「弛張熱」「間欠熱」などがあり、「稽留熱」の代表的疾患としては腸チフスや髄膜炎などがあり、「弛張熱」や「間欠熱」の代表的疾患としては、敗血症や膠原病があります。
☆診断と治療☆
さて西洋医学の発熱の治療は、発熱をおこしている疾患を診断し治療することになります。そこで先ず、発熱の診断に主に必要な検査を紹介します。
◎発熱の診断に主に必要な検査 |
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1. |
一般検査・・・全身・局所の診察・尿・便・血液・血圧 |
2. |
レントゲン・・胸部・腹部の撮影・必要に応じて、断層撮影・造影検査・CT検査。 |
3. |
超音波検査・・腹部超音波検査 |
4. |
血清検査 |
5. |
細菌検査・・尿・便・痰・咽頭・血液・髄液・胆汁 |
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などがあります。 |
◎治療
治療は先程述べたように発熱を起こしている疾患の治療になりますが、発熱により不快感が強かったり、体力消耗がある場合は「アスピリン」などの解熱剤を使います。
☆発熱から考えられる病気☆
発熱は病気が原因で発症します。そこで、発熱と随伴症状で病気が何なのかを知ることが出来ます。ここでは、発熱から考えられる病気を随伴症状に照らし合わせて紹介します。(ここで紹介する随伴症状は一般 例ですので、あくまでも参考程度に止めて置いてください。)
◎まず40℃近い発熱がある疾患からまとめて紹介します。
○急性胆のう炎○
黄疸・寒気・ふるえ・吐き気・発作的なみぞおち・右上腹部の痛み・右肩・右背部に痛み
○ 胆石症○
寒気・ふるえ・黄色い液を吐く・黄疸・白い便・右上腹部のはれや痛み・背中や肩の痛みがあることもあり・突然の激しい腹部の痛み
○腎盂腎炎○
突然の発熱・悪寒・ふるえ・腰痛・側腹痛・頻尿・排尿痛・尿混濁・血尿・膿の混じった尿
○インフルエンザ○
悪寒・頭痛・腰痛・関節痛・筋肉痛・だるさ・食欲不振・のどの痛み・咳・鼻水・下痢
☆次に40℃までは発熱しない疾患を紹介します。
○急性肝炎○
だるさ・全身の脱力感・食欲不振・吐き気・嘔吐・頭痛・悪寒・神経痛・筋肉痛・関節痛・下痢・便秘・みぞおちの右側に圧迫感と圧痛・黄疸
○急性すい炎○
みぞおちの周辺突然の痛み・背部痛・吐き気・嘔吐・黄疸がでる場合もあります。
○急性虫垂炎○
急激な腹痛(当初は、みぞおちやへその部分といった、体の中央部から始まり右下腹部へと移動してゆきます)・吐き気・嘔吐・便秘・発熱は37度台
○肺結核○
風邪と同じ症状で咳や痰がいつまでも止まらない・食欲不振・だるい・疲れやすい・痩せてきた・不眠・寝汗・肩こり・発熱は微熱が続く。
○急性気管支炎○
風邪の症状に続いて発症・乾いた咳と痰に続き、湿った咳や黄色い痰に変わる・黄疸がでることもあります・高熱・まれに呼吸困難や顔色が青くなります。
○気管支拡張症○
慢性の咳と痰・胸痛
○風邪の諸症状○
鼻づまり・鼻水・くしゃみ・咳・ノドの痛み
○亜急性甲状腺炎○
甲状腺部(ノドの前部)の痛み・時に耳の痛み
○肺炎○
寒気・赤っぽい痰を伴う咳・時に血痰・胸痛・ノドの痛み・頭痛・関節の痛み・吐き気や嘔吐・下痢
○急性上気道炎○
鼻水・鼻づまり・ノドの痛み・頭痛・だるさ・食欲不振・咳・痰
簡単ですが、以上が西洋医学から見た「発熱」の説明です。
続いて中医学から見た「発熱」の説明をいたします。
- 2019/03/11
- 【その他】東洋医学の治療法について
最近では、東洋医学という言葉が定着し、誰でもが鍼や灸、漢方薬、といったものをすぐに思い浮かべるのではないでしょうか。
現代医学の治療だけでは症状が改善されない人、できるだけ体に負担の少ない自然療法的な治療を望む人など、体験されたことのある方も多いのではないかと思います。
人々の健康志向が高まるにつれ、それに関連した薬茶や薬膳料理を専門としたお店なども増えています。
東洋医学的に考えるからだの仕組みとは、ピアノの旋律の狂いによる不協和音と同じように考えることができます。一つの音の狂いは、たとえ原因が部分的な箇所だけであったとしても、弾くと全体的なメロディーの調子が乱れてしまいます。人間の体も同じように、さまざまな症状が現れている原因が1つの箇所だけであっても、体全体はすべて密接に関連をして動いているため、体の不調は全身に現れるのです。
またこの状態は、体のパワーが不足し、病が長期にわたって慢性化すればするほど、症状は複雑さを増し、全身の不調は高まり、治療には長く時間がかかってしまうku棊毆)です。
東洋医学の治療法とは、本来体が持っている力を回復し発揮させることにより、病に打ち克つ力を引き出し、体のバランスを取り戻していく治療法になります。
そこで今回は、この東洋医学の治療方法について、主に鍼や灸、病気の予防と養生法について詳しく説明していきたいと思います。
みなさんの東洋医学に関する認識が高まることにより、状況に応じて現代医学とうまく使い分けできるようになっていただけたらと思っております。
○ 中医学における健康の概念
中医学(中国医学)では、万人に当てはまる正常値という概念がありません。人も自然の一部であるとする観点からみると、季節の変化を受けて、体も変化していくことは自然なことなのです。そのため年間を通 して、体の状態が一定であるということは考えられず、生活環境や年齢の違いなどにより、バランスの取れた「良い状態」は、人それぞれで異なります。
健康状態の決め手は、免疫力や抵抗力の源とされる「正気」の充実になります。
そして、「気」「血」「水」が充分にめぐっていること、「五臓六腑」の働きが順調であること、「陰陽」のバランスがとれていることが重要な条件になります。
○東洋医学と現代医学の違い
東洋医学と現代医学は、それぞれ独自の診断と治療体系をもっています。
その違いは、それぞれのベースになる「体を見る視点」や「病気を見る視点」の違いから生まれています。
解剖学や細胞生理学をベースとする現代医学では、体は器官というさまざまなパーツの集合体とされています。
そのため、病巣であるひとつのパーツを中心に病気を見つめていきます(腫瘍などによる転移は除きます)。
一方、東洋医学では、「体全身は多くの部分が互いに密接に結びつき、生命として一つの体を成し、働いている」と見ますので、病巣がたとえひとつの部位 に限られていても、それが局所だけの問題なのか、または全身と関連して起こった問題なのか、という両方の視点で病気を見つめていきます。
尚、東洋医学では心、精神、情緒の変化でも、体に負担をかけ症状としてあらわれてきます。
そして、こうした考え方の違いは、自ずと治療にも反映されています。
現代医学では、人体を細分化していく方向で研究が行われています。そのため病巣が見つかると、その病巣部位 に、血管や神経、ホルモンなどの異常を見つけだすことで、診断や治療につなげていきます。
これに対し東洋医学では、全身を一つの有機体と見なしますので、病巣のある部位 への直接的な治療以外にも、全体的に関連したほかの部位や全身のバランスを調整します。
○中医学でとらえる体のしくみ
東洋医学では、体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらが人体を構成し、生命を保つための基本的な物質であるとされています。これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。
この「気・血・水」は、「五臓六腑」によって作られたあと、「経絡」という(エネルギーを通 る)ルートを通って、全身に運ばれその働きを発揮します。
○ 東洋医学の治療法
~体の中を流れているエネルギーバランスの調整をする~
全身に網目のように張りめぐらされている、生命エネルギーの通り道である「経絡」は普通 私たちの目に見えません。その経絡の上に点在している「経穴(ツボ)」を利用して、経絡の中を流れている「気」「血」「水」の補充や代謝、「五臓六腑」の生理作用、「陰陽」のバランスを正常な状態にもどし、正気の回復をはかり、「病邪(邪気)」を取り去っていきます。
この経絡は、体の内側の「臓腑」と体の表面をつないでおり、「内外を貫き」「上下を通 す」働きがあります。このように全身に流れている経絡は、臓腑の働きの失調が、経絡上のツボに反応点としてあらわれます。そして、そのツボに刺激を加えることにより、気血の流れを調節し、臓腑の働きを改善することができるのです。
~ツボって???~
ツボは経穴とも言われますが、経絡同様、実際に皮膚に穴はあいておらず目には見えません。しかし、目に見えない「気(エネルギー)」が出入りしています。
経絡は「気」や「血」の通り道であり、ツボはその道の上にある駅のようなものであると、よく表現されています。経絡の上のツボには、「気」や「血」の流れが滞ったりしたとき、そのトラブルが反映されます。また、体内部の臓腑ともつながっているため、臓腑の失調もツボの痛み、腫れやしこりなどといった症状としてあらわれてきます。
そして、ツボは病気の変化が現れると同時に、治療のポイントともなり、刺激することにより、気や血の流れを調整し、臓腑の働きを調えることが出来るのです。
~鍼編~
・ 鍼の種類
用途に応じて、さまざまなものを使い分けます。
【長鍼】
坐骨神経痛や腰痛など、深部へ刺激を行き渡らせたい場合は、長い鍼を使って治療していきます。
【円皮針・皮内針】
とても小さい針で、持続的に刺激をあたえるときに使う治療です。
主に痛みの疾患(例:生理痛や肩こり、張りのある部分など)のとき多く使われます。
【三稜針】
皮膚の表面を軽く傷つけ、数滴出血させる治療法です。
主に、血の滞りによる刺すような痛み(例:肩こりや腰痛など)、炎症による痛みや痒み(例:咽頭痛、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など)のときに多く使われます。
【灸頭針】
刺した鍼の頭の部分にもぐさをつけて点火する治療法です。
体の中を温め、冷えをとる効果があります。
・ さまざまな鍼治療
<現代医学的な理論に基づいた鍼灸>
日本では主に、鍼灸の専門学校教育をはじめ、臨床においても、現代医学的な診察や病気の考え方に基づいた鍼灸治療を行なっているところが多くみられます。
治療では、痛みや筋肉の凝りを取り除くこと目的がメインになり、東洋医学の診察はほとんど行なわれません。鍼を刺す部位 は、ツボや経絡より、解剖学にもとづいた筋肉のポイントを重視しています。
<スポーツ鍼灸>
スポーツ選手を対象に、筋肉の凝りを取り除き、疲労回復を目的とした治療法です。
これらは、筋肉の凝りを取り除くという意味では効果がありますが、内科、婦人科疾患には、解剖学的な表層の部分しか見ていない現代医学的な鍼灸治療及びスポーツ鍼灸は、体内部でどのような原因で症状を引き起こしているかを診断することはできません。
<中医鍼灸>
中医学の治療では、先ず「弁証」を立てていきます。
「弁証」とは、病気の原因、部位、性質など、各段階における病気のタイプを見分けることをいいます。病気の進行にしたがって、各段階のタイプが変化し、治療もそれに応じて変化していきます。その時その時の体の状態をしっかり把握し、見極め、治療もそれにあったものにしていかなくてはいけないのです。
これが本来の中医学の理論に基づいた治療方法なのですが、一方で中国の鍼だけを用いて太い鍼による強い刺激の治療だけを行ない、理論は全く応用していないというところもあります。
このように、日本ではこれといった統一された治療方法がありません。そのため鍼灸を受診される際は、どのような治療方針に基づいて治療を行なっているのか、しっかり把握する必要があります。
鍼についてよく質問される内容
1)鍼は痛くないですか?
初めて来られる患者さんは鍼と聞いて、「痛い、怖い」というイメージを強く持たれている方がほとんどです。
それは「鍼=注射針、裁縫で使う針」を連想し、注射針と同じような痛みを想像されているからだと思います。
私達が予防接種などで採血をするときに使われる注射針が、直径0.4~0.8ミリと言われています。これに対し、鍼治療で使われる鍼は、直径0.16・u梠@w)0.2ミリになります。これは、髪の毛ほどの太さであり、注射針の6分の1~2分の1の細さになります。
ですので、鍼を刺入するときの痛みは、皆さんが想像されるようものではありません。
しかし、稀に毛穴に入ってしまった場合、痛みを訴えることもありますが、鍼が細いぶん、柔らかくしなるため、抵抗なく皮膚に刺さるのです。
2)鍼刺激に対する反応について
鍼治療を受けられた方ことのある方は、鍼を刺した時に独特の感覚を感じた方もいらっしゃるかと思います。通 常、鍼治療は痛みをともなうものではありませんが、全く何も感じないというわけでもありません。
鍼を刺入したとき、患者さんはその部位に、重だるいような、ジーンとしびれるような、引っ張られるような感じを受けます。この感覚は、言葉で表現しがたく、体験した者のみが知り得るといったところがあります。こうした感覚は、「得気(とっき)」と呼ばれる鍼刺激によるひびき感であり、痛みではないのです。このひびき感を痛みと混同される方が多いのですが、痛みの場合ですと鍼のチクチク感があり、不快さが残ります。この「得気」とは、気を得るという言葉通 り、鍼灸師が鍼を媒介にして、「気」の流れをコントロールします。
しかし、鍼の操作方法については、鍼灸師の間でも様々であり、いくつもの流派に分かれます。それは、鍼を刺す深さやひびきに対する認識の違いなど、流派によって考え方が異なります。中医学の診断に基づき、治療を行なう私達にとっては、鍼刺激による「得気感」は治療効果 を高める上でとても重要な手技であり、感覚なのです。
3)鍼は使い捨てですか?
今、ほとんどの鍼灸院では、以下のタイプが用いられています。
★1回きりの使い捨て鍼を使用
★個人専用の鍼を使用
当院では後者の個人専用鍼を使用しています。
使用した鍼を個人専用の袋に入れて消毒にかけ、次回使う時まで保管しておきます。鍼は4~5回に1回の・u樞毆)合で交換をしています。また、6ヶ月を過ぎて来院されない場合は鍼を廃棄処分しています。
~灸編~
○灸治療の方法と効果
お灸も鍼と同様、ツボや経絡に働きかける治療法です。
様々な方法があり、ツボの上に直接のせて灸をすえる「直接灸」、生姜やにんにく、塩などの上に、もぐさをのせてすえる「間接灸」、体に刺した鍼の頭部分にもぐさをのせて点火する「灸頭針」という方法があります。
これらは方法の違いはあるものの治療の用途としては、温めて冷えをとり、気血の流れをよくする目的で使われます。
「間接灸」は、体を温める働きのある食材と灸を用いて、体の深部までじんわりあたためる効果 があります。
「灸頭針」は、鍼の刺激プラスお灸の温熱、赤外線効果で体の中から温め、冷えをとる効果 があります。
○灸治療の注意点
お灸の治療は熱の刺激をあたえて温めるものですので、冷えの症状に対して、高い効果 を発揮します。
しかし、体質によっては、過度の灸治療は、悪い影響が出てしまうことがありますので、注意が必要です。
また、その日の体調によっては、我慢できる程度の熱さだったにも関わらず、水泡状のやけどが出来てしまったという方がいらっしゃいます。
これは、主に体の中でうまく水分代謝が行なわれず、体内に停滞しているときにみられます。足ではむくんでいるときに見られます。
~鍼と漢方薬はどのように使い分けるのか~
鍼灸治療では、体表面にあるツボに刺激を加え、経絡に働きかけていきます。そして、経絡と関連する五臓六腑に働きかけていきます。
一方漢方薬は、服用したあと五臓六腑に薬の成分が吸収され、関連した経絡に成分が流れこんでいくことにより、治療の効果 が発揮されます。
双方をうまく併用することにより、相乗効果を生むことができるのです。
そして、整形外科的な疾患による、腰痛や神経痛、顔面神経麻痺、脳卒中後遺症など、痛みやしびれによる症状には、おもに鍼灸治療が有効です。
その他、免疫力の低下やアレルギー疾患などの体質改善に対しても有効です。
しかし、どんな疾患でも慢性病やエネルギーの消耗が激しい方などは、漢方薬との併用が有効かと思います。
~東洋医学の予防・養生編~
それぞれの土着の文化とともに発達してきた伝統医学といわれる、中国医学。
病気の治療方法についてはもちろんのこと、病気にならないために、なにを食べ、どのように生活をしたらよいのかといった病気の予防や養生法が、古典のなかにも数多く記載され、その重要さをうかがい知ることができます。
それは、病気になる前に対処することが大切と考えられ、はっきりとした病名はつかないけれど体の不調がある「未病」の段階で治療或いは予防をし、病気に進行する前に防ぐという概念です。そして、普段から治療が必要な状態にならないよう、食事の内容や生活の仕方に注意をはらいながら生活を送る「養生法」もしっかりと確立されているのです。
~養生法の3つの原則~
① 気・血・水の不足や滞りを改善する。
② 五臓六腑の働きを調える。
③ 陰陽(寒熱)のバランスを調える。
これらの3つは、最初の方でも述べました「中医学における健康の概念」の健康な状態を維持するための原則になります。
~治療と養生の違い~
治療法も、養生法もそれぞれベースになっている健康観は上記を見ていただくとわかるように、共通 しています。
それは、全身のバランスが正常に保たれていることが大切であるということです。
ここで、治療法と養生法の違いについて、はっきり認識していただきたいことがあります。
鍼灸治療や漢方薬治療など専門家による治療は、体に対する作用が強くあらわれます。それに対し、日常生活で実践する養生法は、作用が穏やかです。
養生法は予防法ですので、病気を治す治療ではありません。治療の必要性を感じられるときは、専門家の治療を受けることをお勧めします。
そして、治療と併用することにより効果も高まりますので、怠らずに、どのような養生法が自分の体質や現況にとって必要かといったことも相談されるとよいでしょう。
~養生とは~
まずは、自分の体質を把握することからはじめましょう。
その上で個々の生活の仕方がきまってきます。
例)食事・生活編
<冷え体質の人>
体を温める食材である、ショウガやにんにく、にら、えびなどを摂取し、きゅうりやトマトなど体を冷やす食材の食べものは極力避けましょう。
生活面では、薄着はさけ、特に下半身を冷やさず、温めましょう。
必要であれば、ホッカイロを使い下腹部や腰に貼って防寒しましょう。
<パワー不足による・気虚体質の人>
このタイプは、少しからだを動かすと、すぐに疲れてしまいます。スタミナが長く続かず、非常に疲れやすいといった特徴があります。
食べものでは消化吸収の良い、穀物類やかぼちゃ、なつめ、山芋、長いもなどを摂取し、冷やす食材や脂っこいもの、消化しにくい食材は避けましょう。
分量も腹八分くらいがよいでしょう。
生活面では、過労や激しい運動は避け、気功やヨーガ、ウォーキングなどの軽い有酸素運動を心がけましょう。
このように、自分の体質を知ることにより日々の日常生活で行なうことのできる養生はたくさんあります。むしろ、日頃の生活習慣が病気を寄せつけない体をつくるのです。
最近では、時代の変化とともに食事や生活の中で規則正しい習慣を送ることは難しくなってきています。
しかし、自分の中で「睡眠だけはしっかりとるようにしよう」、「食事はバランスの良いものを取るよう心がけよう」といった意識を持ち実践することにより、1年後、3年後、10年後の自分の体の健やかさが変わってきます。
意気込みだけが強いと後が続かなくなってしまいますので、無理のない範囲で気軽に行なえることから始めてみましょう。
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診 | 〇 | 〇 | 〇 | 診 | 〇 |
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