コラム

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】月経痛について

女性にとって毎月1回はおとずれる月経。

それに伴ない下腹部痛、腰痛をはじめ不快な症状を訴える女性は少なくありません。

今日これから説明していきます体質・症状別にみた自分の月経痛のタイプを把握し、生活習慣を見直していきましょう。

 

 

▼西洋医学的な月経の診断・治療方法▼

 西洋医学では月経困難症として治療していきます。

 

~機能性月経困難症~

 子宮や卵巣に病的な異常を伴わず中等度の下腹部痛や頭痛、腰痛、吐き気、嘔吐、めまいなどの全身症状をあらわし10~20代を中心に多く見られます。

治療としては、主に鎮痛剤の処方になります。

 

~器質性月経困難症~

 子宮の病気が原因で起こり、主に子宮筋腫や子宮内膜症などがあげられます。20~40代に多く見られます。

治療法は、それぞれ病気や程度により異なりますが主に

薬物療法として鎮痛剤、ホルモン療法、

手術療法として開腹手術、腹腔鏡手術があります。

 

西洋医学では、機能性と器質性別々のものとして診ていきます。

治療としては主に、器質性の方に重点がおかれます。

 

このように、西洋医学の特徴は診察や検査によって異常が認められたものを‘病気’とみなし、それに対して治療をしていくというものです。ですので、器質的疾患や手術を要する疾患には有効といえます。

 

 

▼中医学的な月経痛の診断・治療方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

・痛む時間(月経前、中、後)

・痛む部位(下腹部やお腹の両脇、腰痛など)

・痛みの性質(刺すような痛み、絞られるような痛み、しくしくする痛み、温めると痛みは楽になるか、手を当てると心地良いかなど)

この他、月経血の状態、月経周期、随伴症状などを中医学独特の診断方法(後述)を用いて聞きだしていきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

▼中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

~臓腑の働きとは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

中医学的にみた婦人科疾患で重要な臓腑の働きは下記のようになります。

 

『肝』・・1.全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。

伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

2.全身の血液量をコントロールし、蓄える働きがあります。

 ですので、肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため(肝が支配している器官である)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足がしびれる、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

『脾』・・1.食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

2.エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

 働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

3.血を脈外に漏らさないようにする働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

『腎』・・生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。

このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。

女性では、月経不順や不妊症、早期閉経、続発性無月経症などの原因になります。

「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

     

 ▼中医学的月経痛のタイプと治療法▼

主に、実証タイプと虚証タイプに分けることが出来ます。

体にとって必要な「気・血・水」、が上手く流れず滞ってしまう実証タイプと、「気・血・陰・陽」不足による虚証タイプがあります。

 

~実証~

 

●気滞血オタイプ●

気滞とは精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるとストレスを感受した場所に気が滞ってしまう状態です。

血オは血の巡りが悪く、停滞してしまう状態をいいます。

気は血を押し出す働きをしており、気滞により流れがスムーズでなくなると血までも滞ってしまいます。

 

○主な原因

精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい、マイナス思考

 

○随伴症状

胸や脇、乳房がはって痛む、イライラしやすい、ガスやげっぷがでやすくなる、血のかたまりが出ると痛みは軽減する

 

○月経痛の特徴

 痛む時期:生理前或いは、生理後1~2日はお腹が脹って痛む

   部位:お腹の両脇または片側のみ

痛みの性質:脹った痛み、或いは刺すような痛み、手を腹部にあてるのを嫌がる

 

○月経血の特徴 

 生理周期:正常或いは、遅れる

  月経量:少なめ

    色:紫色っぽく、赤黒い色

    質:レバー状のかたまりが血に混じっている

 

○治療法

 気と血の流れをスムーズにし、調えていく『理気活血』、

それにより、停滞していた血のかたまりを流し、痛みを鎮めていく『化オ止痛』の治療をしていきます。

  ツボ:太衝、合谷、気海、次リョウ、三陰交、

  漢方:少腹逐オ湯

 

 

●寒湿凝滞(かんしつぎたい)タイプ● 

寒の性質は、流れを滞らせる収斂作用があり、体の中に入ることにより気の流れを停滞させてしまいます。そのため痛みを生じます。 

 

○主な原因

 月経中や産後、寒冷にあたる(真夏のクーラーや真冬の冷たい風)、冷たいもの・生ものの食べ過ぎ

 

○随伴症状

冷えると下腹部が痛くなり、温めると楽になる、手足が冷える、軟便、おりものは多く、白っぽい

 

○月経痛の特徴

 痛む時間:月経前、或いは月経中

   部位:下腹部の真ん中

 痛みの性質:冷えると痛み、痛みは温めると楽になる、手を腹部にあてるのを嫌がる

 

○月経血の特徴

  月経周期:正常、或いは遅れる

     量:少なめ        

     色:赤黒っぽい

     質:レバー状のかたまりが血にまじる

 

○治療法

 経絡を温めることにより全身(この場合特に子宮)の気の流れを調えていく『温経暖宮』、

停滞していた血のかたまりを流し、痛みを鎮めていく『化オ止痛』の治療をしていきます。

  ツボ:関元(灸)、中極、水道(灸)、地機

  漢方:温経湯、当帰四逆加ごしゅゆ生姜湯

 

 

●肝鬱湿熱(かんうつしつねつ)タイプ●

精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるとストレスを感受した場所に気が滞ってしまいます。

体全体の気の流れを促進させる働きのある「肝」が停滞してしまうことにより余分な水分と熱が下腹部内に(子宮を含む)こもることにより、下記のような症状が現れ、痛みを生じます。

 

○主な原因

 精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい、マイナス思考

      

○随伴症状 

 胸脇や乳房の脹った痛み、便秘、尿は黄色く濃い、おりものは日頃から黄色っぽく粘っこい・においがある

 

○月経痛の特徴

  痛む時期:月経前或いは、月経1~2日目まで

    部位:下腹部或いは、下腹部の両側

 痛みの性質:下腹部内に灼熱感を感じる、手をあてられるのを嫌がる

 

○月経血の特徴

  月経周期:正常或いは、早まる

     量:多め

     色:暗めの赤色

     質:粘っこく、レバー状のかたまりが血にまじる

 

○治療法

  体内にこもっている熱と、余分な水分を取り除いていく『清熱除湿』、

気の流れをスムーズにし、痛みを鎮める『理気止痛』の治療をしていきます。

   ツボ:気海、次リョウ、行間、曲泉、陰陵泉

   漢方:清熱調経湯、竜胆シャ肝湯

 

~虚証~

 

●気血虚弱タイプ●

 体の活動源である「気」と、体内の各組織に栄養を与える「血」の不足により痛みを生じます。

 

○主な原因

 虚弱体質、過労、睡眠不足、病気による体の消耗、汗のかき過ぎ

 

○随伴症状

 顔色が白っぽいか、黄色っぽい、疲れやすく持久力がない、

胃がもたれやすい或いは脹る、胃腸が弱い、めまいや立ちくらみがある、生理ではないのに不正出血がある、風を引きやすい

 

○月経痛の特徴

  痛む時間:月経中或いは、月経後

    部位:下腹部の真ん中

 痛みの性質:しくしくする痛み、下腹部に手をあてたり、揉むと気持ちがよい、月経の終わり頃から腰も痛く重くなる

 

○月経血の特徴

  月経周期:正常或いは遅れる

     量:少なめ 

     色:薄い赤色

     質:水っぽくさらっとしている

 

○治療法

 気と血を補い増やしていき、痛みを鎮める『補気養血止痛』の治療をしていきます。

   ツボ:脾ユ、足三里、関元、三陰交

   漢方:十全大補湯

 

●肝腎不足タイプ●

「肝」は血を貯蔵し、「腎」は精を貯蔵します。(詳しくは<中医学的からだのしくみ~臓腑の働き~>の項を参照してください。)この精と血はお互いに栄養し合い、必要に応じて、精は血に、血は精に変化します。そのため中医学では、肝腎同源、精血同源などと言います。この肝腎のエネルギーの不足により、協調関係が乱れ、痛みが生じます。

 

○主な原因

 生まれつき虚弱体質、早婚、出産過多、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

 

○随伴症状

めまい、耳鳴り、腰が重だるく不快感があり脚に力が入らない、

 

○月経痛の特徴

  痛む時期:月経後

    部位:下腹部或いは、腹部の両脇

 痛みの性質:はっきりしない痛み、しくしくする痛み

        腹部に手をあてられるのを好む

○月経血の特徴

  月経周期:正常或いは、遅れる

     量:少なめ

     色:薄い赤色

     質:水っぽくさらっとしている

 

○治療法

 肝と腎の気を補い増やしていく「補益肝腎」、肝と腎の気を補うことにより血が作られ痛みを鎮める「養血止痛」の治療をしていきます。

   ツボ:肝・腎ユ、関元、三陰交

   漢方:調肝湯

 

▼タイプ別にみる生活養生・食養生▼

 自分の月経痛や月経血の特徴、随伴症状などからタイプを判断できた方はこれから説明していきますタイプに合った食養生を1つでも2つでも実践して見てください。体質が徐々に改善し体調が以前より良くなり、症状が軽くなっていくのを実感できると思います。

 

●気滞血於タイプ●

 

【生活習慣】 

・イライラしやすく、ストレスを感じやすいこのタイプは、ヨガや気功などの呼吸法やストレッチでリラックスできる時間を作りましょう。その時、室内でアロマオイルやお香を焚くと、気持ちが静まり部屋の空気も変わるので心身ともに気分が落ち着きます。

・お風呂に入る時や寝る前に、みかんやレモンの柑橘類の皮を袋に入れて香りを楽しむのもよいものです。

 

【食べ物】  

~香りの高い食べ物を摂ることにより鬱々とした気持ちを発散してくれます~

(野菜)春菊、三つ葉、みょうが、シソの葉、パセリ、セロリ、

(果物)みかん、レモン、グレープフルーツ、きんかん、ゆず

(お茶)ジャスミン茶、ミントティー

 

●寒湿凝滞タイプ●

 

【生活習慣】  

・月経中に冷たい食べ物は避けましょう。

・夏場のクーラーによる冷やし過ぎや冬場の薄着には気をつけましょう。

 

【食べ物】 

~体を温める性質の食べ物を摂りましょう~

 (穀類)もち米

 (野菜)にら、にんにく、ねぎ、生姜

 (肉類)羊肉

 (スパイス)唐辛子、コショウ、シナモン、黒砂糖

 (お茶)生姜入り紅茶(甘くして飲みたい時は黒砂糖やはちみつ、麦芽糖を入れて) 

 

~体を冷やす性質のある食べ物は極力避けましょう~

 

(野菜)きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)すいか、なし、バナナ、柿、レモン 

(豆類)豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶、

 

●肝鬱湿熱タイプ●

 

【生活習慣】 

・イライラしやすく、ストレスを感じやすいこのタイプは、ヨガや気功などの呼吸法やストレッチでリラックスできる時間を作りましょう。その時、室内でアロマオイルやお香を焚くと、気持ちが静まり部屋の空気も変わるので心身ともに気分が落ち着きます。

・お風呂に入る時や寝る前に、みかんやレモンの柑橘類の皮を袋に入れて香りを楽しむのもよいものです。

 

【食べ物】  

~香りの高い食べ物を摂ることにより鬱々とした気持ちを発散してくれます~

(野菜)春菊、三つ葉、みょうが、シソの葉、パセリ。セロリ、

(果物)みかん、レモン、グレープフルーツ、きんかん、ゆず

(お茶)ジャスミン茶、ミントティー

 

 

●気血虚弱タイプ●

 

【生活習慣】  

・消化が良く、栄養バランスの取れた食べ物を心がけましょう。

・消化が弱い気虚タイプの人は、消化・吸収をよくするためにもよく噛んでゆっくり食べましょう。

・スタミナが切れやすいこのタイプの人は、穀物をしっかりとり、睡眠もしっかり取るように心がけて下さい。

・頭や目の使いすぎは血を消耗させてしまうので、この時期は極力長時間パソコン作業や、夜遅くまでの勉強、仕事は避けましょう。

・ダイエットによる食事制限も禁物です。

 

【食べ物】   

~気虚の症状が多いタイプはエネルギーを益す食べ物を摂りましょう~

(穀類)うるち米、粟米、小麦製品

(豆類)大豆や大豆製品、牛乳

(肉類)牛肉、鶏肉、烏骨鶏

(野菜)山芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、人参

(魚類)いか、貝柱、

(果物)なつめ、もも、さくらんぼ

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、なつめ茶

 

~血虚の症状が多いタイプは血を補う食べ物を摂りましょう~

 (穀物)黒豆、赤豆、もち米、小麦

 (豆類)黒豆、豆乳

 (野菜)ほうれん草、小松菜、

 (肉類)動物のレバー、赤みの多い肉

 (魚類)まぐろの赤身、牡蠣、しじみ

 (木の実)黒ごま、クルミ、なつめ、

 (ドライフルーツ)レーズン、プルーン、ブルーベリー

 (お茶)竜眼茶、ライチ茶、クコの実茶

  

~体を冷やす食べ物、辛い食べ物、油っこく味の濃い食べ物は

胃を刺激し気を消耗させるので避けましょう~

     

辛い食べ物・・青唐辛子、ねぎ、コショウなど  

冷やす食べ物・・すいか、バナナ、イチジク、なし、苦瓜、薄荷など

 

●肝腎不足タイプ●

 

【生活習慣】  

・消化が良く、栄養バランスの取れた食べ物を心がけましょう。

・穀物をしっかりとり、睡眠もしっかり取るように心がけて下さい。

・ダイエットによる食事制限は禁物です。

 

【食べ物】 

~主に腎のエネルギーを補う食べ物を多く摂りましょう~

(穀類)うるち米、粟米、小麦製品

(豆類)大豆や大豆製品、牛乳

(肉類)牛肉、鶏肉、烏骨鶏

(野菜)山芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、人参

(魚類)いか、貝柱、

(果物)栗、もも、さくらんぼ

(木の実)くるみ、なつめ、黒ごま、クコの実

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、なつめ茶

 

▼その他日常生活での注意点▼

1.基礎体温を毎日つけましょう。

2.基礎体温を測ることにより自分の体の状態(体内リズム)を目でみてわかることが出来ます。

3.月経1週間前は、消化しやすく栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。

豆類、魚類の高たんぱく食、緑黄色野菜、果物、適度な水をバランスよく摂ることにより月経中に失われる血液を補うことができます。

4.月経後は栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。(たんぱく質、鉄、食べ物、主に、肉類、動物のレバー、牛乳、乳製品)

5.月経中は、体を冷やさないようにしましょう。

冷たい飲み物や冷たい風に直接あたらないよう気をつけましょう。

6.睡眠はしっかりとりましょう。

7.ストレスはためないよう、運動(ヨガ、気功など)、読書、散歩などで気持ちが安らぐ空間を持ちましょう。

 

●中医学を導入している鍼灸院は、それほど多くはございません。

ですので、 中医学的な治療を受けたいとお考えの方はお気軽に当院までご相談下さい。鍼灸・漢方全般 に関する相談も承ります。

2019/03/12
【外科・整形外科・皮膚科疾患】インポテンスについて2

○中医学の治療理論○

 

《弁証》

中医学では病気がどうゆう種類かということを「証」(しょう)と言います。その「証」を見極めることを「弁証」と言います。つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。もう少し具体的に説明しましょう。先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームースに流れていなくてはなりません。もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。弁証とは、何が原因で・何が・何処で・どの様に・バランスを崩しているのかを見極めるのです。ですから弁証といっても色々な弁証法があります。せっかくですから代表的なもの簡単に紹介してみましょう。

 

<八網弁証>

八網弁証とは病態を{陰―陽}・{表―裏}・{寒―熱}・{虚-実}に分ける弁証法で病気の性質を見極めるものです。

 

<気血津液弁証>

気血津液弁証とは気血津液の量や流れ具合などの病理状態を分析します。

 

<臓腑弁証>

臓腑弁証とはどの臓腑がどのように失調しているのか、臓腑の病理状態を分析します。

 

他にも代表的なものとして六淫弁証・経絡弁証・六経弁証などがありますが今回は割愛させていただきます。

そして、これらの弁証法はけして独立しているものではなく、一人の患者さんについて必要であれば様々な弁証法を用い、全てを総合させて患者さんがどのようにバランスを崩されているのかを分析するのです。

皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的にはみな同じ治療が施されます。しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。例えば今回のEDについても4つの分類があります。後で詳しく紹介しますが、この4つの分類についても皆さんにわかり易く説明するために代表的な分類法を使用しましたが、もう少し細かく分類しようと思えば9つ位 に分類することが可能です。もっと身近な例だと風邪があります。一言に風邪(感冒)と言っても中医学の弁証では7つ位 に分類ができ、すべて処方される漢方薬も異なってきますし、使用するツボも変わってきます。しかも風邪の場合などは同じ患者さんでも日によって違う弁証になることも珍しくありません。「弁証」とは病気を診るものではなく、あくまでも体の中のバランスの崩れを診るものなのです。

 

ところで我々はどの様に病態を分析していると思いますか?

針灸の先生が血液を採取したりレントゲンやCTを撮っていると思いますか?我々はそのようなことは一切行いません、その代わりに「四診」という手段を用います。「四診」とは中医学独特の診断法で、顔や舌など見る「望診」・臭いや声などを聞く「聞診」・体に触れたり脈をとったりする「切診」・質問形式の「問診」・の四つの方法から構成され、これら全てを考慮して弁証がでてきます。例えば患者さんの顔色・体臭・皮膚や目や耳の状態・発汗について・食欲・体格・年齢・性格・身のこなし・舌の形や色や苔について・脈の打ち方や早さ・発声・仕事・家庭環境・食べ物の趣味・睡眠状態・排泄物について・生理について・などなど様々なものを参考にします。問診については主症状以外に色々なことを尋ねます。患者さんにしてみれば「何で病気に関係ないことまで訊くのだろう?」と疑問に思う方も多いと思いますが、中医学は病気だけではなく患者さん全体は言うまでもなく、患者さんの周りの環境までも考慮にいれた診断を行います。そのあたりが中医学は「マクロの医学」とか「一人一人に合わせたオーダーメイドの医学」とか言われるところです。

ですから当院では初診の患者さんについては、問診だけで30分以上かかることも珍しくありません。

 

さて話しをもとに戻しましょう。

患者さんの病態がわかったら次には治療方針を考えます。

 

《治則と治法》

中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。

治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。

治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。

簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

 

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》

『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。

「理」とは理解と言う意味で、具体的には「四診」や「弁証」により病気を理解することをさします。

「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。

「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。

「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。

 

つまり、本来の臨床の現場では「四診」により「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。

問診もろくにしないで痛い所やコリが在る所に針をうったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。

 

さて、それではEDについて中医学の視点から説明をしてゆきましょう。そして、皆さんに中医学の病気の捉え方・診断・治療がイメージしてもらえたら幸いに思います。

 

 

▼ 中医学から診たインポテンス(ED)▼      

○ 概要○

中医学ではEDのことを『陽痿』(陽萎){ようい}と言います。陽痿の原因が「腎の陽の気」の不足が多いことから、このように呼ばれているようです。古くは、陰茎が萎えることから『陰萎』と呼ばれたり「陰器不用」とも呼ばれました。

概要は西洋医学と殆んど同じで、男性が性機能が衰退する年齢に達する前に、陰茎の勃起不全や勃起の持続不足によって性交ができないものをいいます。陽痿は治療しにくい病気の一つで、特に器質的な原因によるものは難しいとされています。

陽痿は肝・脾・腎・心が関係し、陰茎は宗筋(筋肉の一種)が関与します。主な病因は過度の性交・ストレス・恐怖・湿などによります。

 

○ 陽痿のタイプ分け○

さて、中医学では一言に陽痿といっても、病因病機によって下記の1~4の4つに分類されます。そして病因・病機が違えば当然弁証名や随伴症状が違ってきます。

 

1.命門火衰による陽痿・・・弁証名は【命火衰微陽痿】

2.心脾労損による陽痿・・・弁証名は【心脾両虚陽痿】

3.湿熱による陽痿・・・・・弁証名は【湿熱下注陽痿】

4.七情内傷による陽痿・・・弁証名は【恐惧傷腎陽痿】叉は【肝気鬱結陽痿】

 

では、それではそれぞれについての病因病機・症状・治療方針を説明してまいります。

 

【命火衰微陽痿】

<概要>

「命火衰微陽痿」の「命火」とは『生命の本元の火』の意味があります。また、腎の生理で説明した腎陽と同じです。つまり、生殖や成長の根幹です。「命火衰微陽痿」とは、この「命火(腎陽)」が衰えてしまっておこる陽痿です。

 

<原因>

1. 過度のマスターベーション 2. 過度の性行為 3. 過度の驚恐 4. 慢性病 5. 加齢

1~4は腎精を損耗させます。また、加齢については腎精が衰えてくることです。そして、腎陽は腎中の精気から作られており、腎陰により滋養されています。また、腎精は腎陰に属します。ですから、腎精の不足は腎陽の不足をまねきます。

 

<症状>

□ 主症状

*勃起しないか、

 勃起しても堅くならない‥‥‥

*性交と関係なく精液が漏れる‥

*精液が薄い冷たい‥‥‥‥‥‥

*冷やすと症状が悪化する

 陰部や下腹部の冷え‥‥‥‥‥

*徐々に発病‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

腎陽の不足により陰茎を支えられない。

腎精の不足により精液の固摂ができない。

腎陽の不足により腎精の減少と冷えが現れた状態 。

 

腎陽不足による冷えの症状。

虚証の特徴。

□ 随伴症状

*めまい・耳鳴り・健忘‥

腎精不足により脳が滋養されないため起こる。

*脱毛‥‥‥‥‥‥‥‥‥

「腎の華」である髪が腎精不足で滋養できないと起こります。

*歯が弱い‥‥‥‥‥‥‥

歯は骨の余りと考えます。腎精不足で骨が滋養できないと起こります。

*手足が冷える・寒がり‥

腎陽不足の冷えの症状。

*精神不振‥‥‥‥‥‥‥

陽虚の温煦不足が気虚による推動力の低下をさらに悪化させて起こります。

*腰や膝がだるく冷える‥

腎精不足で腰の滋養が出来ず、更に腎陽不足の冷えによります。

*顔色が白い‥‥‥‥‥‥

陽虚により気血を顔面 に温運できずに起こります。

舌の色は淡く苔は白い・舌が淡いのは顔色が白いのと同じ理由です。苔が白いのは温煦不足により湿に冷えが入ると現れます。

 

<誘発素因>

腎精不足の原因がそのまんま誘発素因になります。

1. 過度のマスターベーション 2. 過度の性行為 3. 加齢 4. 慢性病 5. 過度の驚恐

 

<治療>

腎の温める力が不足しているのですから、「温補腎陽」や「温補元陽」といい腎陽を温補して宗筋の温陽を促します。

ツボ:三陰交・中極・関元・命門・腎兪・太谿・気海

漢方:五子衍宗丸・賛育丹・八味地黄丸・海馬補腎丸

 

 

【心脾両虚陽痿】

<概要>

心と脾の損傷により気血が不足するために起こる陽痿です。脾は運化作用といって飲食物を気や血に化成させていますが、脾が損傷を受け運化作用が失調することにより気血不足が起こります。一方、通 常心は脾から送られてきた血を全身に循環させていますが、脾気虚により血の生成の不足がおきているので心へ送られてくる血量 も減ってしまい、心血の不足をきたします。そして心血の不足は全身の血液不足をきたします。

この状態を『心脾両虚証』と言います。又、脾気と心血が不足しているのですから『気血両虚』と同じで、気血が生殖器を栄養できなくて陽痿が起こります。

 

<原因>

1. 精神消耗 2. 脾胃虚弱 3. 慢性病

「脾は思を主り、心は神明を主る」と言われており、脾や心は精神・意思・思惟と深くつながっていることは先程も説明しました。ですから憂鬱・思い悩みなどの精神的消耗は脾気や心血を損耗させてしまいます。

また、もともと脾胃虚弱な場合は気血の生成が足りずに気血不足がおこります。他には慢性疾患も気血を消耗させます。

 

<症状>

□ 主症状

*陽痿‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

脾気虚と心血虚のため陰茎を養えずに起こります。

*徐々に発病‥‥‥‥‥‥‥‥‥

虚証の特徴です。

*疲労で増悪・精神的にも

 性行為に積極性がない‥‥‥‥

 

気虚を意味します。

□ 随伴症状

*息切れ‥‥‥‥‥‥‥‥

気虚により「推動作用」が失調して呼吸活動が障害されておこります。

*汗をかきやすい‥‥‥‥

気虚により「固摂作用」が失調して起こります。

*軟便・むくみ‥‥‥‥‥

脾気虚により「運化水液作用」の減退により水湿が停留しておこります。

*食欲不振‥‥‥‥‥‥‥

脾の運化作用の減退により胃の受納に影響をおよぼしておこります。 (胃の受納:胃の働きの一つで飲食物を胃が受け入れることをいいます。)

*めまい‥‥‥‥‥‥‥‥

血虚により脳髄(脳)が栄養されずにおこります。

*唇や爪の色が淡い‥‥‥

血虚により栄養されずにおこります。

*動悸・不眠

 夢をよくみる‥‥‥‥‥

 

血虚により心神を栄養できずにおこります。

*顔色は黄色で艶がない‥

血不足で顔を栄養できなくて起こります。

*舌の色は淡い‥‥‥‥‥

気血不足を意味します。

*脈弱く細い‥‥‥‥‥‥

弱い脈は気虚、細い脈は血虚を意味します。

<誘発素因>

肉体的疲労や精神的疲労

 

<治療>

心と脾が損傷を受けているのですから「補益心脾」といって心と脾を元気にしてあげます。

ツボ:中極・三陰交・脾兪・太白・足三里・心兪・神門・内関・ダン中

漢方:帰脾湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・五子地黄湯

 

 

【湿熱下注陽痿】

<概要>

湿熱による陽痿は『湿熱下注』(しつねつかちゅう)と言います。

津液のところで説明しましたが体内の不要な水液は「湿」を形成し、さらにこの「湿」の停滞が長引くことにより熱化してしまい「湿熱」へと変化します。さらに湿は体の下部を侵す易い性質がありますから、湿熱が体の下部へ侵入して様々な症状をもたらします。これを「湿熱下注」と言います。概要のところで触れましたが、陰茎は宗筋という筋肉が関与しています、下部へ移行してきた湿熱がこの宗筋に浸透すると宗筋は弛緩してしまい勃起不能が引き起こされます。

 

<原因>

1. 飲食物の不節 2. 痰湿体質 3. ストレス

油っこいもの・甘いもの・味の濃いものを偏食したり、酒を常飲していると「脾」「胃」の機能が低下してしまい「気化作用」が失調を起こし、飲食物の消化吸収能力が低下してしまいます。その結果 、体内に不要な水液が生まれます。また、元々体内に不要な水液が溜まり易い体質も原因になります。

ストレスは「肝」を失調させます。「肝」は「疏泄作用」といって全身の「気」の運行を調節しています。

ストレスによりこの「疏泄作用」が失調をおこすと、全身の気の運行に障害が出て、二次的に「脾の運化作用」の低下を招きます。このことによりストレスが原因で「湿」が生まれるケースもあります。

 

<症状>

この場合は「湿熱」が原因なので「湿」と「熱」による症状がでてきます。

□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥‥‥‥

*陰嚢に灼熱感・湿り気

 腫れ痛み・痒み・臭い‥‥

下注している湿熱により気血の流れが塞がれておこります。

 

これも湿熱の症状です。

また、急激に発症する特徴もあります。これは、先程説明した「実証」の特徴です。

 

□ 随伴症状

*むくみやすい‥‥‥‥

脾の運化作用の減退により体内に水湿が停滞している状態です。

*下半身が重だるい‥‥

湿の重濁の性質で下半身に影響がおよびおこります。

*泥状便‥‥‥‥‥‥‥

湿が腸内に下注し粘滞の性質が大便に影響を及ぼした状態です。

*黄色の痰がでる

 小便の量は少なく

 黄色 喉の渇き

 顔や頬が赤い‥‥‥‥

 

 

 

熱の症状です。

*舌は赤く

 黄色の苔がある‥‥‥

 

舌の赤は熱・苔は湿・黄色の苔は湿熱の症状です。

*黄色の痰がでる‥‥‥

痰は湿で黄色は熱を意味します。つまり湿熱を意味します。

*イライラ、起こり易い

疏泄失調により情志の調節ができない状態です。

<誘発素因>

過度の飲酒・油っこい物、甘い物、味の濃い物の過食・ストレス

 

<治療>

原因が湿熱ですから、治法は『清熱利湿』といい、熱を下げ湿をとる方針で治療を行います。

ツボ:中極・三陰交・陰稜泉・足三里・豊降などを使用します。

漢方薬:竜胆瀉肝湯・知柏地黄湯

 

 

【恐惧傷腎陽痿】【肝気鬱結陽痿】

 

<概要>

七情内傷による陽痿には「恐惧傷腎陽痿」と「肝気鬱結陽痿」があります。

病因に含まれる「内因」には「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の七情があることは「病因」のところで説明いたしましたが、この七情のなかで過度な怒・驚・恐・憂などにより気血が失調を起こし陰茎を栄養できないタイプの陽痿です。具体的な例としては、精神的刺激により性生活に自信がなくなったり、不安になって起こることが多いようです。

 

 

【恐惧傷腎陽痿】

恐怖によって腎が傷つけられ、心神不安を起こすために現れる陽痿です。腎は生殖に深く関与していますので、腎が損傷を受ければ生殖に影響がでるのは容易に想像がつくと思います。

 

<原因>

1. 驚き 2. 恐怖

古典では「驚けば気乱れ、恐れれば気下がる」と言われ、驚きや恐れは気血の失調をきたし、心や腎にも損傷を与えます。

 

<症状>

□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥

心や腎の損傷に陰茎を栄養出来ずにおこります。

平素は勃起するが性交時には不安や恐怖で勃起しない。

本疾患は虚証でありますが例外的に急激に発症します。

 

□ 随伴症状

*不眠・動悸‥‥‥‥

血の不足で心血虚となり心神が滋養できないと起こります。

*顔色に艶がない‥‥

血の不足で顔面 を滋養できないとおこります。

*めまい‥‥‥‥‥‥

血不足で頭目を滋養できないと起こります。

*耳鳴・難聴‥‥‥‥

腎は耳と深く関係しているため、腎精不足ために起こります。

*健忘・精神疲労

 めまい‥‥‥‥‥‥

 

腎精は脳を滋養していますので腎精不足でおこります。

*足腰がだるい‥‥‥

「腎の府」である腰が腎精不足で滋養できないと起こります。

*脱髪‥‥‥‥‥‥‥

「腎の華」である髪が腎精不足で滋養できないと起こります。

*歯が抜ける‥‥‥‥

歯は骨の余りと考えます。腎精不足で骨が滋養できないと起こります。

<誘発素因>

性交時(特に初回)に精神的ショックを受けることで発症しやすい。

 

<治療>

この場合は驚きや恐怖により腎と心が損傷されているわけですから治法は「補腎養心」とか「補腎安神」といい腎精を補って宗筋を滋養し心を補って精神を安定させます。

ツボ:中極・三陰交・関元・命門・志室・太谿・心兪・神門・内関・ダン中

漢方:大補元煎

 

 

【肝気鬱結陽痿】

肝気鬱結とは肝の気が停滞を起こした状態を言います。そしてこの状態は数タイプの陽痿をおこします。

先程も説明しましたが、肝気が鬱結を起こすと「疏泄作用」が失調して湿が生まれてしまい「湿熱下注」の原因になります。

また、「疏泄作用」の失調が「脾」に影響をおよぼせば気血の生化ができなくなり心脾両虚陽痿の原因にもなります。

他には、肝に貯蔵されている肝血は筋肉の働きの維持をしております。そして陰茎は宗筋という筋肉が関与しています。肝気の鬱結が肝血を損耗させてしまえば宗筋を養うことができず陽痿がおこります。

 

<原因>

1. 怒り 2. 憂鬱

先程も述べましたが肝はノビノビしたりスムースで秩序だった状況を好むといわれています。イライラ・怒り・憂鬱などのストレスは肝の気の停滞をひき起こしてしまいます。

 

<症状>

□ 主症状

*勃起不全‥‥‥‥‥

肝の気は陰部も流れます。肝気の停滞により肝血の消耗がおこり陰茎を栄養できずにおこります。

□ 随伴症状

*イライラ・怒りっぽい‥‥‥

疏泄失調により情志の調節ができない状態です。

*胸や脇が張った感じがする‥

肝の気は胸脇部を流れていて、気が停滞すると張ったような痛みが気の流れるルート上に現れるので、胸や脇が張った感じがします。

*よくため息をつく‥‥‥‥‥

疏泄作用の失調により胸中の気がスムースに流れない。

*舌の色が紅色‥‥‥‥‥‥‥

気の停滞が熱化した状態。

*脈は細く弦をはじく様で

 速い‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

細い脈―肝血不足・弦をはじく脈―肝鬱・速い脈―熱

<治療>

この場合は肝の気が停滞をしているわけですから、「疏肝解鬱」と言って肝の気を流してあげます。

ツボ:中極・三陰交・太衝・期門・陽陵泉

漢方:加味逍遙散・達鬱湯

 

 

以上がEDの弁証論治です。一言に『インポテンス』といっても、原因の違いによって随伴症状が様々であることがわかっていただけたと思います。我々はこの様に多くの随伴症状を参考にして、患者さんの体の中でおきているバランスの崩れを見つけてゆきます。そしてもう一つ皆さんにわかっていただきたいことは、同じEDでも原因や随伴症状が違えば漢方薬や使用するツボが違うということです。これは、先程も述べましたが中医学の治療は身体全体のバランスの崩れを改善してゆくものです。ですからEDという主症状が同じでも、「気・血・水」のバランスの崩れ方が違えばおのずと治療の方針も違ってくるのは当たり前のことです。

いかがですか、中医学の治療の考え方が少しは理解していただけましたでしょうか。

 

 

次に養生法を少し紹介しますが、EDで一番大切なことは原因の改善や危険因子の排除になります。現代医学でも中医学でもEDの原因で一番多いのは精神的影響と言われております。精神的影響には何らかの原因がありますので、その原因の改善が完治の近道です。逆を言えば、いくら治療をしても原因や危険因子の改善又は排除が出来なければ、治療が長引いてしまったり、再発の可能性も高くなってしまいます。

EDは恥ずかしい病気ではありませんので、けして一人で悩まずに専門家に相談してください。

 

最後EDによいと言われる食物と薬膳を紹介します。

<EDに適する食物>

羊肉・牛腎・豚腎・鰻・鰕・穴子・栗・蓮子・胡桃・胡麻

<EDに適する薬膳>

1.すっぽんスープ 2. 韮餃子 3. 山薬団子などがあります。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】月経不順1~診断編~

女性ホルモンの分泌量は年齢に応じて変化します。それにより女性のからだは変化しますがストレスなどでバランスが崩れると、月経異常を引き起こすこともあります。ただし思春期や更年期にあたる人の場合は周期に少し誤差が生じてくるのがふつうです。

気になる月経不順の種類となぜ起きるのかを知り、生活習慣を見直していきましょう。

 

●正しい生理●

 

・生理周期:生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数をいいます。理想は28日周期ですが、通 常は24~35日が正常な範囲です。周期は一定していることが重要です。 

 

・生理期間:生理開始日から完全に生理が終わる日までの日数をいいます。通 常は3~7日が正常な範囲です。

 

・月経血状態:1日目はやや少なく、2~3日目は多く、その後は少しずつ少なくなります。

 

・月経血の色:やや暗めの赤色で、固まりはあまり出ないのが正常です。 

 

 

●西洋医学的な月経不順の診断・治療方法●

 

大きく分けて「周期の異常」と「月経量の異常」に分けられます。

 

~周期の異常~

「頻発月経」・・周期が25日前後と短い月経のことをいいます。治療としては、主に排卵誘発療法や黄体機能賦活療法をおこないます。  

「稀発月経」・・最終月経から1ヶ月以上月経がない状態をいいます。治療としては、主に排卵誘発療法がおこなわれます。

 

~月経血の異常~

「過多月経」・・月経の量が多かったり、8日以上も続いたりする場合をいいます。治療としては、主にホルモン補充療法をおこないます。

「過少月経」・・月経の量が少なかったり、2日程度と日数が短い場合いいます。治療としては、ホルモン補充療法をおこないます。

 

このように、西洋医学の特徴は診察や検査によって異常が認められたものを‘病気’とみなし、それに対して治療をしていくというものです。ですので、器質的疾患や手術を要する疾患には有効といえます。

 

●中医学的な月経不順の診断・治療方法●

 

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

・月経量(多い・少ない・ふつう)

・色(淡・紅・紫・暗)

・性質(さらっとしている、粘っこい、血のかたまりがでる)

・おりもの(色・におい・量)

・月経に伴う不快な症状(腰痛・腹痛・嘔吐・頭痛・乳房が脹る)

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し、なぜ周期が早まったり、遅まったり或いは、月経量 が多かったり、少なかったりするのかを中医学独特の診断方法(後述)を用いて聞きだしていきます。その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

●中医学的からだのしくみ●

 

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

~「臓腑の働き」とは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。ゆえに違う診たてが出来るです。この点をまず理解してください。

中医学的にみた婦人科疾患で重要な臓腑の働きは下記のようになります。

 

「肝」・・1.全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

2.全身の血液量をコントロールし、蓄える働きがあります。

ですので、肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため (肝が支配している器官である)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足がしびれる、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

「脾」・・1.食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

2.エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

3.血を脈外に漏らさないようにする働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

「腎」・・生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。「腎」には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。女性では、月経不順や不妊症、閉経などの原因になります。「腎」のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

     

●中医学的月経不順のタイプと治療法●

 

主に周期による異常(月経先期、月経後期、月経先後不定期)と月経量 の異常(月経過多、月経過少)に分けられます。

これから症状ごとに分類していきますが、誰もが必ずぴたりとタイプに当てはまるわけではありません。2~3つ併せ持っている方もいますので、その時は自分が多くもっている症状の項をメインにみてください。

 

【A 月経が早く来る場合(月経先期)】

月経周期が7日以上早まったり、また月に2回月経があったりする状態をいいます。月経先期は主に以下の3つのタイプに分けられます。

 

★血熱タイプ★

 

血熱とは、熱が体内にこもりやすく、その熱が血液の中に入ることにより出血しやすい、発疹ができやすい、熱症状などがみられます。

 

○主な原因

香辛料や辛いものの食べ過ぎ、お酒の飲みすぎ、日頃からイライラしやすいなど

 

○随伴してよくみられる症状

顔がほてる、口が乾燥する、尿は黄色く、便はコロコロの乾燥した便、にきび・吹き出物が出来やすく、色は赤く、化膿 しやすい

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

体内にこもっている熱と血にある熱を取り除く「清熱涼血」の治療をしていきます。

ツボ:合谷、曲池、行間、隔ユ、三陰交

漢方:イライラする症状が強い・・加味逍遥散

出血症状がある時・・・黄連解毒湯、三黄シャ心湯

にきびがある時・・・荊芥連翹湯 

   

★脾気虚タイプ★

 

エネルギーを作り出す「脾」の働きが低下することにより

疲れやすいなどスタミナ切れの症状がでてきます。

 

○主な原因

睡眠不足、過労、汗のかき過ぎ、病気による体力消耗、ダイエットなどによりエネルギーの生成不足、消耗のために引き起こされます。

 

○随伴してみられる症状

疲れやすく、体がだるい、話すのがおっくう、胃腸が弱く少し食べただけでも、もたれる、下痢、軟便もしくは、便意のない便秘

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色   

量:多め

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

脾を元気にし、エネルギーを益す「健脾益気」の治療をしていきます。

ツボ:脾・胃ユ、足三里、中カン、三陰交

漢方:主に四君子湯、六君子湯、

気が不足し内臓の下垂症状がある時・・・補中益気湯

気が不足し出血症状がある時・・・帰脾湯

 

 

★腎気虚タイプ★

 

○主な原因

 

先天的に虚弱体質、早婚、出産過多、長期間の過労、性交過多などによる腎のエネルギーを損傷させてしまい血が十分供給されないために起こります。

 

○随伴してみられる症状

腰が重くだるい、めまい、耳鳴り、難聴、尿は色がうすく量は多い、夜間頻尿

 

○月経血の特徴

色:うすい赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

 

○治療法

腎のエネルギーと血を補い、月経を調えていく「補腎益気養血調経」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、太ケイ、関元

漢方:大補元煎、八味地黄丸

 

【B 月経が遅く来る場合(月経後期)】

周期が毎月7日以上遅れ、あるいは40~50日に1回、2~3ヶ月に1回といった状態をいいます。しかし、月経期間は正常です。

月経後期は主に以下の5つのタイプに分けることができます。

 

★血虚タイプ★ 

 

血虚とは、血が足りないために現れる症状です。

そのため血の作用である、体に栄養、潤いを与える働きが低下してしまいます。

 

○主な原因 

虚弱体質、偏食、夜更かしにより、血がうまく生成されません。また、大手術や大出血のあと、頭や目の使いすぎ、多産のため授乳が多い思い悩み、考えすぎにより血の消耗をまねきます。

 

○随伴してみられる症状

顔色が悪い、コロコロの便、乾燥肌、髪の毛が抜けやすい、浅い睡眠、夢を多くみる、爪がうすくて割れやすい、めまい、立ちくらみ、動悸

 

○月経血の特徴

色:ピンク色っぽい淡い赤色

量:少なめ

質:水っぽくさらっとしている

*以前に比べて、量は少なく、日数が短くなったもの

 

○治療法

気と血を補う「補気養血」です。

気も一緒に補うことにより、血を生み出す働きが強まります。

ツボ:気海、三陰交、隔兪、脾兪、足三里

漢方:人参養栄湯、当帰芍薬散

 

★肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ★

 

肝鬱気滞とは、精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるため、気がストレスを感受した箇所に滞り(とどこおり)鬱々とした気持ちが生じやすくなります。       

 

○主な原因

精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい人、マイナス思考

 

○随伴してみられる症状

生理前・中に胸や脇・下腹部が脹って痛む、イライラしやすい、ため息がよくでる。

これらの症状はストレスにより悪化します。

 

○月経血の特徴

色:少し暗めの赤色

量:多かったり、少なかったりとさまざま

質:レバー状のかたまりが出る

 

○治療法

肝の気のめぐりをよくし、調えていく「疏肝解鬱」です。

ツボ:肝ユ、太衝、ダン中、内関

漢方:四逆散合当帰芍薬散、加味逍遥散

  

★血寒凝滞(けっかんぎょたい)タイプ★

 

‘寒’の性質は、流れを滞らせる、収斂作用があり、これが血に入ることにより流れが緩慢になり、運行の失調をまねきます。血寒は以下の2つのタイプに分けられます。 

    

○主な原因

1.実寒タイプ・・月経前・中に冷たいものの食べ過ぎ、

寒冷にあたる(冷房や真冬の冷たい風)  

2.虚寒タイプ・・もともと冷え体質の人が寒冷にあたる、薄着(とくに下半身)、

冷たいものや体を冷やす食べ物の食べ過ぎ

 

○随伴してみられる症状

冷えると下腹部が痛くなり、温めると痛みは軽減する、下半身が冷えやすい、顔色は青白っぽい

 

○月経血の特徴  

色:黒っぽい赤色

量:少なめ 

質:大きなレバー状のかたまりが血に混じる

 

○治療法

1.実寒タイプは、経絡(エネルギーの通り道)を温め寒さを散らし、月経を調えていく「温経散寒調経」の治療をしていきます。

ツボ:関元、中極、三陰交、次リョウ

  (お灸も一緒にすると効果が高まります) 

漢方:温経湯、当帰四逆加ごしゅゆ生姜湯

 

2.虚寒タイプは、体の中を温めてくれる陽気を増させるとともに、血を補い、月経を調えていく「温経扶陽養血調経」の治療をしていきます。

ツボ:腎ユ、命門、三陰交、次リョウ

漢方:大営煎、八味地黄丸合四物湯

 

★腎気虚タイプ★

「A 月経が早まる場合」の腎気虚タイプを参照して下さい。

 

★痰湿タイプ★ 

「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、そのまま停留してしまった状態を「痰湿」といいます。性質は、粘々し、気血の流れを阻みます。

 

○原因

冷たい水分の取りすぎ、甘いもの、生ものの取りすぎ

 

○随伴して見られる症状

白いおりものが多くでる、水太り体質、体が重だるい、痰が多くでる、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、嘔吐をもよおす、手足・目のむくみ

 

○月経血の特徴

色:うすい赤色もしくは、黒っぽい赤色

量:少なめ

質:粘っこい

 

○治療法 

「燥湿化痰活血調経」

ツボ:(鍼)足三里、中カン、豊隆、陰陵泉、

   (お灸も一緒にすると効果が高まります) 

漢方:二陳湯、五苓散

  

★血オ(けつお)タイプ★ 

 

血が経絡(エネルギーの通り道)に停滞し、気・水の流れを阻むことにより関節痛などの固定痛、内出血をしやすい、きれいな血が全身へうまく供給されないため皮膚が乾燥しやすい、知覚の低下、しびれなどが起こります。また、血が停滞した部位 に固いしこりができ痛みを助長させます。

 

○原因

ストレス、冷え、外傷、打撲、手術によるうっ血、過労

 

○随伴してみられる症状

固定した・刺されるような痛み、或いは絞られるような痛み、

顔色(とくに目のまわり)の黒ずみ、口・唇がくすんだ紫色、

青あざができやすい、皮膚がカサカサする

   

○月経血の特徴

色:赤黒い色

量:多め

質:粘りがあり、レバー状のかたまりが血に混じる

 

○治療法

血の流れを良くし、停滞したしこりを取り除いていく「活血化オ」の治療をしていきます。

ツボ:隔ユ、血海、三陰交、足三里 

漢方:桂枝ぶくりょう丸、折衝飲、桃紅四物湯

 

【C 月経が早く来たり遅く来たりする場合(月経先後不定期)】

周期が定まらず、早まったり遅れたりする状態をいいます。

主に肝鬱気滞、脾気虚タイプ、腎気虚タイプにみられます。

 

★肝鬱気滞タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の肝鬱気滞タイプを参照してください。

 

★脾気虚タイプ

「A 月経が早まる場合」の脾気虚タイプを参照してください。

 

★腎気虚タイプ

「A 月経が早まる場合」の腎気虚タイプを参照してください。

 

【D 過多月経】

月経量が普通より多かったり、あるいは日数が長くなる状態をいいます。

主に脾気虚タイプ、血熱タイプ、血オ(けつお)タイプにみられます。

  

★脾気虚タイプ

「A 月経が早く来る場合」の脾気虚タイプを参照してください。

 

★血熱タイプ

「A 月経が早く来る場合」の血熱タイプを参照してください。

 

★血オ(けつお)タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血オタイプを参照して下さい。

  

 

【E 過少月経 】   

月経量が少ないか、あるいは日数が短いもので、甚だしいときは無月経となります。

主に血虚タイプや血オタイプに多くみられ、血寒凝滞や腎気虚、痰質タイプにみられます。

 

★血虚タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血虚タイプを参照して下さい。

 

★血オタイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血オタイプを参照して下さい。

 

★血寒凝滞タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の血寒凝滞タイプを参照して下さい。

 

★腎気虚タイプ

「A 月経が早く来る場合」の腎気虚タイプを参照して下さい。

 

★痰湿タイプ

「B 月経が遅く来る場合」の痰湿タイプを参照して下さい。

 

 

それぞれのタイプに合った生活養生・食養生は『月経不順・2~食養生篇』をご覧ください。

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】月経不順2~食養生編~

●タイプ別にみる生活養生・食養生●

自分の月経周期や随伴症状などからタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

  

★血熱タイプ★

~生活習慣~

油っこい食べ物や辛い食べ物、肉類、アルコール類は

できるだけ控えましょう。

気持ちを落ち着けて、リラックスできる時間を1日のうち

どこかでつくりましょう。

      

~体の熱を冷ましてくれる食べ物を(適度に)摂りましょう~

(野菜)きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)すいか、なし、バナナ、柿、レモン 

(豆類)豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶

*ここでいう体の熱を冷ましてくれる食べ物とは、アイスや冷たいジュースなどではなく食べ物の性質自体が熱を取ってくれる働きがあるということです。

     

~熱性の強い食べ物は血熱を助長させるので避けましょう~

(野菜)にんにく、生姜、にら、ねぎ

(果物)竜眼

(肉類)羊肉

(豆類)そら豆、落花生

(スパイス)唐辛子、コショウ、シナモン

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、

      

★脾気虚タイプ・腎気虚タイプ★

~生活習慣~

消化が良く、栄養バランスの取れた食べ物を心がけましょう。

消化が弱い脾気虚タイプの人は、消化・吸収をよくするためにもよく噛んでゆっくり食べましょう。

スタミナが切れやすいこのタイプの人は、穀物をしっかりとり、睡眠もしっかり取るように心がけて下さい。

ダイエットによる食事制限は禁物です。

 

 ~エネルギーを益す食べ物を(適度に)摂りましょう~

○脾気虚タイプ

(穀類)うるち米、粟米、小麦製品

(豆類)大豆や大豆製品、牛乳

(肉類)牛肉、鶏肉、烏骨鶏

(野菜)山芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、人参

(魚類)いか、貝柱、

(果物)なつめ、もも、さくらんぼ

(お茶)杜仲茶、ほうじ茶、なつめ茶

 

○腎気虚タイプ・・上記の食べ物にプラス

         栗、くるみ、黒ごま、クコの実

 

~体を冷やす食べ物、辛い食べ物、油っこく味の濃い食べ物は

胃を刺激し気を消耗させるので避けましょう~

辛い食べ物・・青唐辛子、ねぎ、コショウなど

冷やす食べ物・・すいか、バナナ、イチジク、なし、苦瓜、薄荷など

 

★血虚タイプ★ 

~生活習慣~

月経中から月経後にかけては、出血により体が消耗しているのでこの時期は、血液を補う食事を心がけ、睡眠もしっかりとりましょう。

頭や目の使いすぎは血を消耗させてしまうので、この時期は極力長時間のパソコン作業や、夜遅くまでの勉強、仕事は避けましょう。

ダイエットによる食事制限も禁物です。

 

~血を補う食べ物を摂りましょう~

(穀物)黒豆、赤豆、もち米、小麦

(豆類)黒豆、豆乳

(野菜)ほうれん草、小松菜、

(肉類)動物のレバー、赤みの多い肉

(魚類)まぐろの赤身、牡蠣、しじみ

(木の実)黒ごま、クルミ、なつめ

(ドライフルーツ)レーズン、プルーン、ブルーベリー

(お茶)竜眼茶、ライチ茶、クコの実茶

  

★肝鬱気滞タイプ★   

~生活習慣~

イライラしやすく、ストレスを感じやすいこのタイプは、ヨガや気功などの呼吸法やストレッチでリラックスできる時間を作りましょう。その時、室内でアロマオイルやお香を焚くと、気持ちが静まり部屋の空気も変わるので心身ともに気分が落ち着きます。

お風呂に入る時や寝る前に、みかんやレモンの柑橘類の皮を袋に入れて香りを楽しむのもよいものです。

 

~香りの高い食べ物を摂ることにより鬱々とした気持ちを発散してくれます~

(野菜)春菊、三つ葉、みょうが、シソの葉、パセリ、セロリ

(果物)みかん、レモン、グレープフルーツ、きんかん、ゆず

(お茶)ジャスミン茶、ミントティー

 

★血寒凝滞タイプ★         

 

~生活習慣~  

・実寒タイプ

月経中に冷たい食べ物は避けましょう。

夏場のクーラーによる冷やし過ぎや冬場の薄着には気をつけましょう。

・虚寒タイプ

体が冷えやすい月経中は、腹巻やズボンをはくようにし下半身を冷やさないようにする。冷えの強い人は、下腹部や腰(下腹部と同じ高さで)にホカロンを貼って温めるとよいです。

 

~体を温める性質の食べ物を摂りましょう~

(穀類)もち米

(野菜)にら、にんにく、ねぎ、生姜

(肉類)羊肉

(スパイス)唐辛子、コショウ、シナモン、黒砂糖

(お茶)生姜入り紅茶(甘くして飲みたい時は黒砂糖やはちみつ、麦芽糖を入れて) 

 

~体を冷やす性質のある食べ物は極力避けましょう~

(野菜)きゅうり、トマト、冬瓜、苦瓜、レタス、なす、ごぼう、大根

(果物)すいか、なし、バナナ、柿、レモン 

(豆類)豆腐、豆乳、緑豆

(お茶)緑茶、ウーロン茶、菊花茶、薄荷(ミント)茶

 

★痰湿タイプ★

~生活習慣~

甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。

水分代謝が悪く、水太りしやすいので水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。

運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。

梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。

 

~水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう~

(穀類)はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆

(野菜)冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ

(魚類)こい、ふな

(果物)すいか、ぶどう、メロン

(お茶)紅茶、ジャスミン茶、緑茶 

 

≪その他日常生活での注意点≫

1.

基礎体温を毎日つけましょう。

基礎体温を測ることにより自分の体の状態(体内リズム)を目でみてわかることが出来ます。

2.

月経1週間前は、消化しやすく栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。豆類、魚類の高たんぱく食、緑黄色野菜、果 物、適度な水をバランスよく摂ることにより月経中に失われる血液を補うことができます。

3.

月経後は栄養に富んだ食べ物を多く摂るようにしましょう。

(たんぱく質、鉄、食べ物、主に、肉類、動物のレバー、牛乳、乳製品)

4.

月経中は、体を冷やさないようにしましょう。

冷たい飲み物や冷たい風に直接あたらないよう気をつけましょう。

5.

睡眠はしっかりとりましょう。

6.

ストレスはためないよう、運動(ヨガ、気功など)、読書、散歩などで気持ちが安らぐ空間を持ちましょう。

 

尚、このページをお読みになってご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

2019/03/12
【産科・婦人科疾患】産後の腹痛・めまい

女性の身体にとって、出産は、かなり大きな変化をきたします。

妊娠から約10ヶ月かけて徐々に大きくなり、胎児の命も支えてきた母体が、急速に元の身体に戻ろうとするのですから、とても大変なことです。

 

現代医学では、産後8週間目位までの母体が回復する時期を産褥期といい、大きく膨らんでいた子宮もほぼ元の大きさに戻ります。

最初の4週間は「悪露」とよばれる出血が続きます。これは子宮内や産道からの出血やリンパ液、胎盤の組織の残りなどが混じり合ったもので、赤色から、茶褐色、黄色、白色と変化していきます。

出産時に胎盤がはがれることにより、それまで胎児に酸素や栄養を与えていた血液の流れも変わります。ホルモンの分泌も妊娠を維持するために働いていたものから、急に変化して子宮を収縮させたり、母乳を分泌させるものに変わっていきます。

初産の場合は特に、その急激な変化に加え、慣れない赤ちゃんのお世話もあり、精神的にも肉体的にもお母さんは心配事が尽きないのではないでしょうか。

産後、1ヶ月位は実家にもどるなどして、赤ちゃんのお世話以外の家事は休ませてもらう方がよいとされていますし、その後も徐々に身体を動かすようにして、産後の身体の回復をはかることが大切です。

とても大きな変化が身体に起こるのですから、産後の腹痛やめまいを感じる方も多いようです。

しかし現代医学では、まずは安静にして精神的にもゆっくりすることが大切としており、よほどの激痛や貧血・マタニティブルー(産後うつ)の心配などがないかぎり、母乳への影響も考えて、薬を処方されることは、あまりありません。

確かにきちんと健診を受けていれば、多少の不調があっても、薬を控えることは大切です。

ただ、本人の訴えとして、不調があるのであれば、ただ休んでいるのではなく、積極的に治して、元気になり、明るく育児をする事も、とても大切です。

中医学の基本は身体の「気・血・水」のバランスを整えることですから、このようなケースで、仮に血液検査で異常がなくても、患者さんの自覚症状で腹痛やめまいがあるのであれば、ただ「安静にして下さい」で終わることはありません。

その自覚症状を緩和するために適切な施術をすることは出来ます。

 

中医学では病気がすすんでしまう前に、体調を整えていくことが大切と考えています。(未病治といいます)

中医学では、身体の働きに関する考え方が、根本的に現代医学的とは違っています。

まずは中医学的にみた身体の働きについて簡単に説明します。

詳しくは、「わかりやすい東洋医学理論」が、病気別わかりやすい東洋医学診断のまとめのページの上段にありますので、ご参考にして下さい。

 

現代医学では身体を細かく分析し、細胞レベルでとらえますが、中医学では身体を大きく捉えて、小宇宙であると考えます。

地球は大宇宙に存在する小宇宙の一つです。これと同じように地球からみれば、身体は小宇宙といえるのです。

宇宙に存在するものにはすべて意味があり、無駄なものはひとつもありません。

それぞれが、互いに影響しあいながら、バランスを保ち、大自然の法則に従って動いているのです。

人間も同じように、体内に存在するものすべてが重要な意味を持ち、個々の臓器も互いに影響しあいバランスを保って、健康を維持しているのです。

 

小宇宙である身体を構成し、生命活動の源として働くものは『気・血・水』です。

気・血・水が、身体を流れ良く巡る事で、身体内の臓器(五臓六腑)も、うまく働くことが出来、健康でいられると考えます。

 

1.気・血・水について

<気>

気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。

主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。

ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。

主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

2.五臓六腑について

五臓六腑というのは中医学の考える内蔵のことです。

西洋医学とは違って、中医学では内臓を物体として区別するのではなく、働きで区別 します。

具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。

五臓六腑には沢山の働きがあります。しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。

臓腑には情思(精神)活動にも関与しています。

各臓腑に「気・血・水」の働きなどが加わって、人体の働きを構成していると考えています。

 

それぞれの臓器は、特有の働きがあり、さらにお互いに協力しあい、制御しあいながら、バランス良く健康を保っていると考え、個々の働きと同じに、それぞれの関連性も重要になります。

 

さて、小宇宙である身体の働きの主になっているのは、「臓」である 肝・心・脾・肺・腎 です。

「腑」は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。

 

五臓の働きについて簡単に説明します。

 

・肝:

全身の気の流れを良くし、各器官の働きを助けます。

血を蓄えているので、貧血には関係深い臓器です。

筋肉の働きや精神活動にも関係しています。

肝の働きが悪くなるとイライラと怒りやすくなったり、

目や疾患・生理痛・手足のしびれ等を起こす事があります。

情思(精神)面では、ストレスを感受しやすく、ストレスが

一定のラインを越えると、肝の気の流れが低下し、

鬱滞感やイライラ、あるいはウツウツとした気分等が生じます。

 

 

・心:

血の循環をしています。

精神活動に関係し、五臓の働きをとりまとめています。

働きが悪いと、動悸や不眠・舌の先が赤く痛んだりします。

情思(精神)面では、不安感・不眠・夢をよく見る・物忘れが多いなどの症状があります。

 

 

・脾:

食べたものをエネルギー(気・血・水)に変え、身体の機能を活発にします。(運化作用)。

この働きが悪くなると、活力不足で疲れやすくなり、下利しやすくなります。

血を脈外に漏らさないようにする働きもあります(統血作用)。

この働きが低下すると、内出血しやすくなります。少しぶつけただけでも青あざが出来ます。

情思(精神)面では、落ち込むことが多い・無気力などの症状があります。

 

 

・肺:

吸することにより、気を全身に巡らし、水分の調節をします。

汗腺の働きにも関与し、皮膚の状態にも関係します。

この働きが弱くなると、呼吸器疾患・鼻炎・などを起こすというのは分かり易いと思いますが、蕁麻疹などの皮膚科疾患も肺の働きに関係しています。

情思(精神)面では、憂鬱で気分が晴れない・悲観的などの症状があります。

 

 

・腎:

生命力の源、先天の「気」を蓄えています。骨や髪・耳と関係します。

成長や生殖能力に関連深く、年齢と共に変化します。

女性では、月経や妊娠と関係します。

腎のエネルギー(先天の気)は、脾から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

腎の働きが弱いと、元気がない・不妊・生理不順・腰痛・冷え症などになります。

加齢と共に腎の働きは弱くなっていきますから、骨が弱ったり、髪がぬ ける、耳の聞えが悪くなるなどの症状がでてきます。

情思(精神)面では、驚きやすい・恐い夢を見る・元気がない等の症状があります。

以上の五臓がバランス良く働いてくれるように調節してくれているのが、「気・血・水」です。

中医学の場合は、症状と、どの「臓」の気・血・水の働きが失調し、関係しているかを分析し見極める事が、中医学的診断となり、治療方針をたてていくことになります。

 

中医学では患者さんの症状を、検査に頼らずに、どのように把握していくのでしょうか。

もちろん、じっくり問診をして、患者さんの訴えを伺いますし、他にいろいろな方法で、何が原因でその症状が起きているのかをみていきます。

 

他覚症状として重要なのは、「舌診」・「脈診」です。

 

「舌診」では、舌を拝見します。

舌はその時の病態を良く表しますし、内蔵の調子やストレスがあるかどうかなど、数カ月前からの体調も類推出来るからです。

 

「脈診」では手首にある橈骨動脈に触れてみて、脈の速さや強弱・流れ方・脈管の柔軟性などから、患者さんの健康状態を把握します。

 

脈の流れ方は体調によってずいぶん違い、熟練した中医師や鍼灸師は脈からいろいろな情報を得ます。

気・血・水の状態や五臓のバランス状態、邪気の侵入の有無など、実に細かい事が分かるのです。

針灸治療の後では脈も変化し、治療前より落ち着いた脈になります。

 

以上のようにいろいろな角度から診察をして治療方針を決め、一人一人の患者さんに最適な治療をしていくのが中医学です。

 

☆ タイプ別 症状と中医学的治療について

【産後の腹痛】

*血虚タイプ

 

症状:

下腹部がしくしく痛む。腹は柔らかく押さえると落ち着く。悪露の量 は少なく色は淡い。

顔色に艶がない。動悸。めまい。

舌診: 淡舌・薄苔   脈診:細

 

治則:

補血益気 調理衝任

気血を補い、働きをよくする治療をします。

また、婦人科疾患に関係深い任脈・衝脈の働を整えていきます。

 

*寒凝タイプ

 

症状:

下腹部が冷えて痛む。温めると痛みは軽減する。悪露の量 が少ない。

手足が冷える。

舌診: 薄滑苔   脈診: 沈緊

 

治療:

助陽散寒 ・ 温通胞脈

身体を温める力を強めて冷えを取り去る。子宮を温めて血行を良くする治療をします。

 

*血瘀タイプ

 

症状:

下腹部の脹痛。痛みが胸郷まで及ぶ。悪露は紫暗色で血塊を伴う。悪露の量 は少なく排泄が悪い。

舌診: 紫舌   脈診: 弦渋

 

治療:

行気化痰 ・ 通絡止痛

気血の流れを良くして、悪露の排泄を促し、痛みを緩和する治療をします。

 

 

【産後のめまい】

*血虚気脱タイプ

 

症状:

産後の失血過多により、めまい・顔面 蒼白・意識が薄れる。もとの体質が気血不足

舌診: 淡舌   脈診: 微細

 

治療:

補気養血 ・ 回陽救逆

気血を補い、意識をはっきりとさせる治療をします。

 

*血瘀気閉タイプ

 

症状:

産後のめまい。目がかすむ。さむけ。(出産時に冷えたため)

舌診: 紫舌  脈診: 渋

 

治療:

温経散寒 ・ 祛瘀経閉

身体を温めて冷えをとる。 血の滞りをなくし、気の流れを良くする治療をします。

 

以上のように、中医学では、一人の患者さんを全体的にみて、どこに問題があって、どのような進行状態であるのかを慎重に考えて、「証」をたて、治療方針を決めていきます。

 

証とは、中医学の診断名です。症状の情報収集をし、症状の程度・進行具合を見極め気血水の失調具合により、病態を把握します。

 

患者さんの性格や生活環境も考慮しながら、日常生活のアドバイスをする事もあり、まさに全人的な医学です 。

 

身体に対してはもちろん、心に対しても優しく、学問的にも奥の深い中医学は、幅広く いろいろな疾患に対応することが出来ます。

 

当院では個人個人の体質に合わせた治療を行います。

お気軽にご相談ください。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより

一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

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