コラム

2019/03/11
【その他】健忘について

<健忘について>

 

朝、持ち物を忘れて出かけてしまったり、会話の中で単語が出てこなかったりと 、「物忘れ」は誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。

人間の脳は、聞きなれない言葉や、難解な内容の事柄、また、情報量が多ければ多いほど正確に記憶できないのが普通 です。

そして、年齢を重ねれば重ねるほど、記憶力というのは減少していくものです。

これらは、自然の摂理と言えましょう。

しかし、人によっては、今までとても簡単に記憶できた単純なことが記憶できなくなったり、数日前の大きな出来事が思い出せないといったことが、起こりうることがあります。

 

今回は、物忘れを主症状とする「健忘症(けんぼうしょう)」について述べていきます。

 

 

<現代医学的にみた健忘症>

まずは、現代医学的にみた健忘症について述べていきます。

 

◆健忘症とは

健忘は、記憶障害のうち、特に言語で表現できる種類のもの(宣言的記憶)が障害された状態を指します。

簡単に言ってしまえば「物忘れ」ということになりますが、物忘れというのは、誰しもあるもので、実際に健忘症とは、より病的な物忘れを指します。

 

健忘症は、記憶がぬけ落ちている状態の時間的な関係や内容により、次のように分類されています。

 

・時間的な関係による分類

物忘れと言うと、一度覚えたことを思い出せないといったことを想像するかと思いますが、物事が覚えられないといったことも含まれます。

 

- 前向性健忘

発症以降の記憶が抜け落ちた状態です。物事を新しく覚えることのできない障害です。

 

- 逆向性健忘

発症より昔の記憶が抜け落ちた状態です。記憶を呼び出す想起の障害です。

 

 

・思い出せない記憶の内容による分類

- 全健忘

健忘の期間内の記憶すべてが思い出せない状態です。

 

- 部分健忘

期間内の記憶のうち、思い出せるものと思い出せないものが混在した状態です。

 

◆アルツハイマー病との違い

最近よく聞く病名でアルツハイマー病という病気を聞いたことがあるかと思います。

メディアでもよく取り上げられており、アルツハイマー病がテーマとなっている映画やドラマもあることから、一つの社会現象とも言える病気だと思います。

主症状が病的な物忘れということから、「アルツハイマー病」=「健忘症」と思われている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、実は「アルツハイマー病」と「健忘症」は異なった病気なのです。

 

・アルツハイマー病

アルツハイマー病は、進行性の局部的な脳の変異が認められる病気です。

コンピューター断層撮影(CT)検査や磁気共鳴画像(MRI)検査といった、脳の形態をみる検査で、異常が認められます。

 

・健忘症

一方、健忘症は、進行性の局部的な脳の変異が認められず、器質的な問題がないか、あったとしても外傷によるものが、健忘症と診断されます。

 

つまり、アルツハイマー病と健忘症は、原因が全く異なる病気なのです。

 

アルツハイマー病がよく聞かれるのは、この進行性の病変を治療する有効な手段がなく、厄介な病気だからなのでしょう。

 

◆健忘症の原因

先ほども述べたとおり、健忘症は、器質的に問題がないか、あったとしても外傷によるものです。

では、健忘症の原因は何なのでしょう。

外傷性の場合は明白ですが、その他の場合は残念ながらほとんど原因は解明されていません。

 

ただ、要因の一つとして関係していると思われる物質はあるようです。

ベータアミロイドという物質で、次のような機序で健忘が発症していると考えられています。

 

 [ベータアミロイド] => 原因物質と考えられている。高齢になると増える。

     ↓

     ↓活性化させる

     ↓

 [アストロサイト] => 脳の神経細胞の周りに存在する細胞で、神経伝達の援助をしている

     ↓

 ベータアミロイドを有害なものとして認識し炎症を起こさせる

     ↓

 炎症が脳にダメージを与え萎縮させる

 

しかし、ベータアミロイドが多いからといって、必ずしもアルツハイマー病になるとは限りません。

そういったことを踏まえると、ベータアミロイドは要因の一つとして考えることはできますが、その他の要因も関係している可能性があると考えられます。

 

 

◆増加している「若年性健忘症」

 

最近、20代~30代の若者にも「聞いたことをすぐ忘れてしまう」「相手の話すことが理解できない」といった物忘れが増えているのはご存じでしょうか。

会社を辞めざるを得ないなど、深刻な症状の方もいるそうです。

健忘症であることには変わらないので、コンピューター断層撮影(CT)検査や磁気共鳴画像(MRI)検査では発見されず、周りから理解されないこともあるそうです。

 

この「若年性健忘症」ですが、やはり原因は不明ですが、生活環境や職場環境において特定のパターンがあると言われています。

 

・仕事において何でもマニュアル通りにこなす

・誰とも会話せずにパソコンのモニターにむかっている

 

などといった傾向にあると、脳に与える刺激が少なくなり、機能が徐々に低下してしまうそうです。

 

そういった意味で、適度に脳を刺激するような、生活や仕事のスタイルを心がけることも健忘症の予防としては、重要なことであると考えます。

 

 

<中医学的にみた健忘症>

では次に、中医学的に見た健忘症について述べていきます。

 

◆中医学的な健忘症の捉え方

健忘症を中医学で捉える場合、臓腑では心と腎、奇恒の腑では脳が深く関係してきます。

まずは、これらについて述べていきます。

 

・脳

中医学において、身体の構成物質である気血津液や臓腑は、生理活動に関係す る重要な要素として、馴染みの深いものですが、他にも「奇恒の腑」といわれる、臓腑と類似しているものがあります。

脳はこの「奇恒の腑」の一つとして位置付けられています。

「奇恒の腑」は、脳・髄、骨、脈、胆、女子胞を総称したもので、普通 とは異なる腑という意味になります。

これらの多くの形状は中腔であり、腑によく似ていますが、機能面では、飲食物の消化や排泄物の通 り道というわけではなく、精気を貯蔵しています。そういった意味で通 常の臓腑とは異なるものとして位置付けられています。

また、脳は別名「髄海」とも呼ばれ、骨の中にある「髄」が集まったものと考えられています。

 

現代医学における脳は、高度な中枢神経機能の活動、人の視覚、聴覚、嗅覚、感覚、思惟や記憶力などをコントロールしています。

中医学における脳は、このような生理、病理を、心、肝、腎に帰属させています。

思惟意識活動は心に、精神面については心・肝に、病理については、脳の発育不全や機能減退を腎に帰属させています。

このことから、脳の機能を維持するためには、心、肝、腎の働きが不可欠なの です。

そして、健忘においては、特に心、腎の治療が不可欠であります。

 

・心

心は、五臓の中でも、もっとも重要な臓器で、人体の生命活動の一切を統帥し主宰することから、「君主の官」とも呼ばれている臓器です。

心の機能は、先ほども述べた、脳の思惟意識活動の機能と、他に血液の循環をコントロールする機能をもちます。

 

中医学において気、血、津液が身体を構成している物質で構成されていること は、わかりやすい東洋医学理論でも説明されている通りですが、他にも、「精」と「神」という2つの生理活動に関係する物質があります。

心は、この「神」を蔵しており、この「神」が正常な思惟意識活動を維持しています。

「神」は、心の血により滋養されており、この心の血が不足することで、正常な思惟意識活動ができなくなります。

 

・腎

腎は五臓の一つで、生理機能としては、成長・発育・生殖・水液代謝を司る臓器です。

また、他にも「精」という生理活動に関係する物質を貯蔵する働きがあります。

この「精」により、骨中を流れる「髄」という物質を生み、この「髄」が集ま り、脳が形成されています。

つまり、腎が貯蔵する精(腎精)が不足することにより、脳が滋養されなくなり、脳の機能が減退し、正常な思惟意識活動ができなくなります。

 

このように、健忘症は「脳」「心」「腎」の生理作用が大きく関係します。

これを前提に健忘症の中医学的な治療についてまとめていきます。

 

 

◆中医学的な健忘症の治療

 

・心脾両虚による健忘

過度な思い悩み、過度な思考活動、肉体的疲労は、心血を消耗させます。

また、脾の機能も低下させ、血の生成不足により、心血そのものが不足します。

このような原因により、健忘症となるケースがあります。

 

 [思慮過度、労倦] ⇒ [陰血消耗] ⇒ [心脾両虚] ⇒ [心脳不足] ⇒ [健忘]

 

<随伴症状>

不眠・夢をよく見る:

心脾両虚により心血が足りない状態となると、神に影響し、精神状態の安定が保てなくなります。すると、不眠の症状が現れることがあります。

 

食欲不振:

脾の運化作用が低下することで、食物を気や血に変えて体全体に運ぶ作用が低下し、食欲が減退することがあります。

 

舌質痰・舌苔薄白:

心脾両虚により、気血が不足すると、舌自体の色は淡くなり、苔は薄くやや白い状態が見られます。

 

脈細弱:

脈は、血の不足により細くなり、気の不足により弱い状態となります。

 

<治法>

このような場合、脾の働きを高めて血の生成を促し、さらに心にも働きかけて心血を補う、補益心脾という治療を行います。

 

 

・腎精不足による健忘

房事過多や老化は、腎精を不足させ、結果、髄が減り脳を十分に栄養できなくなります。

このような原因により、健忘症となるケースがあります。

 

 [房事過多、老化] ⇒ [腎精消耗] ⇒ [腎精不足] ⇒ [心脳不足] ⇒ [健忘]

 

<随伴症状>

 

腰がだるく無力:

腎は腰の腑といわれ、腎精により腰部が滋養されています。腎精不足により、腰部が滋養されず、腰がだるく力が入らない状態になることがあります。

 

舌苔少:

腎精が不足すると、舌の苔は薄くやや白い状態が見られます。

舌自体の色については、腎精不足による陰陽の傾きにより変わってきます。

陰が不足している状態では、体内では熱が生じ、舌質紅となります。

逆に、陽が不足している状態では、体内の熱は減退し、舌質痰となります。

 

脈沈細:

腎精不足により、脈は細く、沈んだ状態となります。また、陰が不足している状態では、体内では熱が生じ、脈は早い状態となります。

逆に陽が不足している状態では、体内の熱が減退し、脈は遅い状態となります。

 

<治法>

このような場合、腎精を補い、さらに髄を補填するために、滋陰補腎という治療を行います。

 

いかがでしょう?

中医学的な健忘症の治療はご理解頂けましたでしょうか?

健忘症の場合、目には見えない原因であることも多く、このような場合は、現代医学とは違った視点で治療をするのも、有効な治療の手段であると考えます 。

 

中医学(東洋医学)全般(鍼灸・漢方・食事療法・体質改善)のご相談は、

当院までお気軽にどうぞ。

2019/03/11
【その他】受診・治療を受ける際に

●受診・治療などを受ける際に関して●

西洋医学・東洋医学を問わず受診や治療を受ける際に、自覚症状、何時から、どの様になどをメモし、また先生に伝えたいことや聞きたいことをメモをし、受診や治療を受ける際に伝えると良いです。

また、他の医院、治療院などで治療を受けてた場合はどの様な薬を頂いたか、治療を受けたかを伝えた方が良いでしょう。

そして、受け答えがはっきりしてて、自分が納得し好印象を得られた時に受診・治療を継続して受ければ良いかと思います。

説明や治療方針に納得いかず、中途半端な気持ちで受診・治療を受けると良い結果 を得られ無いケースもございます。医療は、受ける側、行う側両サイドがお互いにコミュニケーションを取って始めてよい結果 が生み出されます。

 

 

●中医学(東洋医学)の受診・治療を受ける際に関して●

さて、中医学(東洋医学)の受診・治療を受ける際に関して、参考意見を少々述べさせて頂きます。

現在、日本で行われている東洋医学特に鍼灸治療に関して様々な治療法があります。玉 石混合していると言っても過言ではないかと思います。

治療の方針がリラックスゼーション慰安的なもの(筋肉のコリをほぐしたり痛いところに鍼を打つような局所の対症療法や気分を癒す治療、体質改善や体の内部環境のアンバランスの治療を行わないもの)と病の症状改善・治すのを目的としたもの(東洋医学の理論を確りと活用し東洋医学的な診断証と言うものを判断し治療方針が出せるもの、ツボとツボの組み合わせ処方のあるもの)とかが有ります。

どちらのタイプの治療が多いかと申しますと、前記のタイプの治療を行っている所の方が、全体の割合を占めているかと思います。

試しに、ホームページを検索して頂き、幾つかのホームページを読み比べて頂ければ理解頂けるかと思います。事細かく理論や治療方針、適応症が多種多様に分かりやすく述べられ、また読まれて納得理解出来る様なページは比較的少ないかと思われます。

 

東洋医学を受診される場合、まず東洋医学に何を求めるのか、また東洋医学の治療目的がなんなのか、受診されるご自身が理解することが大切かと思います。

なぜならば、東洋医学には東洋医学の理論があり。西洋医学と違い、病気の見立てと考えが違います。

西洋医学は、細分化し検査を行い異常ヶ所や数値の異常を見つけ出すのが特徴です。それらに対しての治療が主になります。

 

東洋医学は、体内の検査数値に出てこない活力(気・血・津液)の崩れを見つけ出すのが特徴です。それらを調整し、体内の自然な体の回復力取り戻して内部環境を整えます。

ですから、まったく治療目的が違います。なので受診される方は、東洋医学の考えを有る程度理解し治療を受けることをお勧めいたします。

 

 

●中医学(東洋医学)的な治療の例をあげてみました●

例として、不妊症の方の治療に関して、一般的な医学の治療は検査を行い、器質的にどこかに問題が有るか無いかを捜し、器質的に問題が有ればそれに対して治療を行います。

しかし、器質的に問題がない場合は、なかなかこれと言っていい治療手段が見つかりません。

 

こんなときこそ中医学(東洋医学)の出番と成ります。なぜならば、再三当院のホームページ内で話してますが、病の見立てが違い検査数値とかを重視しておらず、患者様の訴え症状に重点を置いて、東洋医学的な理論に照らし合わせ症状を引き起こしている起因が体のどこで、何が、どの様にアンバランスになり崩れてしまい、体を良い状態にコントロール出来なくなったのかを捜し出し、そしてそれらを整え調整して治療を行います。要するに、体の内部環境を整えてあげる事に治療の着眼点をおいているのです。

 

冷え性は、西洋医学的な考えでは病気では御座いません。しかし当事者とっても辛い思いをしている方が沢山おります。またなかには、自分自身の体が冷えていると自覚のない方がおられます。この冷え症というものは器質的検査や数値には出てこない部分でもあります。

その分厄介かも知れませんね。ですから、人間の体は全てが検査などで解決されるものではないと言う事をご理解下さいませ。

 

例えば、女性の基礎体温に関して低温期一相から高温期二相に勢いよく上がらない場合、或いは高温期になっても体温が不安定、もしくは高温期の期間が短いなどこれらは女性ホルモンの分泌に問題があるケースが有ります。

この症状をホルモン調整剤を服用して改善される場合もございますが、なかなか改善されない場合も有ります。

なぜならば、内部環境が改善されてないから効果が出ずらいケースもあるのです。中医学(東洋医学)では、基本的に体の活力エネルギー(気、血、水)がアンバランスになって高温期が不安定になったり、高温期が短くなったりすると考えております。ゆえに、活力エネルギーの調整も大事かと思います。

 

また、その他検査に出てこない色々な症状、疾病が活力エネルギーの失調から起きていると言うことも考えられる事を認識しとくと良いかと思います。

 

 

●鍼治療の刺激に関して●

多くの治療院では、無痛のはり、細い鍼を使用と謳っているのですが・・・

無痛の鍼と言うのは、本来の意味合いは体に鍼を打つときに刺入痛が無い事を強調しているかと思うのですが、しかしいつしか世の中では、この無痛の鍼と言うものが刺激の無いものに変わってきてしまっているようです。

 

この場を借り少々説明させて頂きたいかと思います。鍼灸治療の本来の治療の形態は、鍼や灸を使い物理的な刺激を体に与え、身体上にあるツボを刺激し体に反応を起こさせる療法なのです。

なので、刺入痛が無いのは良い事だと思いますが、鍼が体表から中に入ってからも刺激が無いと言うのは如何なもんでしょうか?中国の鍼治療には、「得気」と言う言葉があります。これは鍼を受け「気」と言う活力エネルギーを得た反応です。

これは何を意味するかと言いますと、鍼を体内に刺入した際に得られる反応です。別 名響きとも言います。

この反応は、ツン、重い、けだるい、しびれる様な感覚が生じます。これらは、刺入痛とは違います。体が、病気を治そうとする生体反応なのです。良い反応です。しかしこれらの反応を得るには、実はある程度の鍼の刺激があって初めて得られる反応なのです。

 

ですから、鍼の治療効果を得るには多少なりとも刺激が無ければ、病気治療の目的に達しないと思ってくださいませ。なので刺激のない鍼治療或いは細すぎりる鍼での治療は病治療まで行き届かない可能性があります。但し感受性の非常に高い方は一概に言えませんですが・・・(リラックスを求めての治療はこの様な刺激がなくても良い場合があります)

 

また、鍼を刺入して頂くツボの位置によって反応が違ってきます。肉厚の所は、ツン、ボアンとはったような感じが出ます。

神経の近くを通ているツボには、しびれるような、だるいような感じが生じます。手足の先はしびれるような、はるような、ぼあんとした何とも表現しずらい感覚が生じます。これらは、実際に体験してみないと何とも言えない感覚です。しかし、けしてチクチクとした痛みを伴なうものでは御座いません。チクチクした様な場合は過敏痛点に刺入したか、技術的に問題があるかと思われます。

 

以上受診・治療を受ける際の何かの参考になればと存じます。

 

中医学(東洋医学・鍼灸・漢方・食養・健康茶)に関してご質問のある方は、お気軽に当院までご相談ください。

2019/03/11
【その他】書痙について

書痙とは、一般の動作には問題はないのですが、字を書こうとしたり、また書き始めたりすると手に持続性の筋肉の緊張による強張りや振るえ(振震)がおきて、書字が困難になる病気のことをいいます。

この病気は人口10人対し5名程度の発症率で頻繁にみられる病気ではないのですが、職業などで手を長期にわたり頻繁に使う人にあらわれるため、社会生活に深刻な影響を及ぼします。

 

これから、書痙について西洋医学と中医学のそれぞれの考え方から治療まで紹介していきたいとおもいます。

 

<西洋医学から書痙を考える>

 

書痙は、長い間、神経症(心因的な原因から頭痛、動悸、不眠、振るえなどをおこす疾患で精神病とは違い人格が障害されず、身体的以上は認められないもの)の一部と考えられてきました。

現在では、ジストニアという脳の障害による筋緊張異常や姿勢異常、不随意運動の一つであると認識されています。

ただ、原因が脳の障害であるとはいえ、書痙の場合は少なからず精神的な要因も関与していると考えられています。

年齢は20才~40才に多い。男性に多い。

 

また人前で字を書くときだけ手が震える神経症由来の書字困難もあります。これらは対人恐怖症の症状と考えられます。

このタイプの書字困難に対しては基本的には精神療法にて治療していきますが、状態に応じて抗不安薬や抗うつ薬を用います。

 

原因―はっきりとした原因はわかってはいないが、作家、ピアニスト、タイピストなど身体の一部を反復して長期に動かす人に多い傾向があることを考えると、過度の使用とストレスによる影響が考えられる。

発症の前に手の怪我が認められる場合もある。

 

症状―字を書く動作やピアノを弾く動作をしようとしたり、始めたりすると、手が強張り、捻じれ、振るえが出てきて動作が困難になる。

症例の25%ぐらいに反対側にも同様の症状がでることがある。

知的機能が障害されることはない。

 

治療―原因がはっきりしていないので、確実な治療法は確立していない。

対症療法として、薬物療法、ボツリヌス治療などがあり、外科的に治療して効果 があると判断されれば外科療法も選択される。

また、神経症由来の書字困難の可能性も考え、神経科、心療内科的な薬物療法(精神安定剤)や筋弛緩剤なども使用される。

指だけで持つと書痙が出るので、手全体で把握することができるような筆記用具などの装具を使用する。

 

①薬物療法― 一般的にはアーテンという抗コリン剤が使用される。

神経伝達に使われるアセチルコリンという物質を抑え、過剰な神経の興奮を抑える。

 

②ボツリヌス(ボトックス)治療―ボツリヌス菌という食中毒の原因の一つである毒素の力を利用する治療法。

緊張のある筋肉を特定して、毒素の量を調整しボツリヌス毒素を筋注射して緊張のある筋肉を麻痺させる。

ボツリヌスは美容整形でシワを取るときなどにも使われるので、使用方法を守り、ボツリヌス治療を許可された医師の下で使用されるので危険は少ない。

効果は3~4ヶ月で、繰り返し注射をする必要がある。

 

③外科療法―定位脳手術を施す。

定位脳手術とは、頭蓋骨に500円玉ぐらいの穴を開けて、予めMRIやCTで確認してある目標点を針状の装置を使い凝固させる治療法です。

手術は局所麻酔の下でおこなわれます。

随時、患者の意識はあり手の動きを確認しながら書痙をおこす神経支配ポイントを凝固させます。

手術後は10日程度の入院が必要になります。

まだ症例数も少なく、外科手術にともなう危険性もありますが、経過が良ければ根治の望める治療法です。

 

<中医学から書痙を考える>

 

※中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。

 

中医学では書痙のことを「書写痙攣(ショシャケイレン)」といいます。

素問という中医学の基本になる考えの中に「諸暴強直、皆風に属す」という文があります。

(後述しますが、この中で「風」とは痙攣、四肢のひきつりなどの意味を指します)

この意味は、「急に発病する多くの痙攣、強直は大体、風証に属する」となります。

「痙攣」は身体を「風邪」という邪気が侵した結果あらわれる症状です。

 

では、これから「風邪」が起こる原因と関係の深い臓器、病理について説明していきます。

 

中医学における健康な状態とは気血水(津液)のバランスがとれ、滞りなく流れている状態です。

病気とはその反対で気血水のバランスがくずれ、弱くなったり、強くなりすぎたり、滞ったりしている状態です。

「風邪」も身体のバランスが崩れた時に身体の中から発生したり、外から侵されたりします。

 

まず、病気の原因からお話しします。

病気の原因には内因、外因、不内外因の三つがあります。

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火(熱)があります。

 

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。

内風、内寒、内湿、内燥、内火の5種類あります。

 

不内外因とは食生活、労働、安逸、性生活などで、これらを節制せずバランスが悪くなると臓腑に悪影響を与えて病気になります。

 

書痙の場合は、内風、外風では「内風」が多い。

 

風邪の作用には、

①風邪は陽邪、その性は開泄、上部を侵しやすい…

②風性は善く行り数々変ず…

③風は百病の長

④風性は動を主る

などがあります。

また、中医学の古典の中にも「諸風掉眩、皆肝に属す」という言葉があり、これは全ての風証やめまいに関わるものは皆肝に属する という意味である。

このことから、古くから痙攣や振るえなど原因の風証と肝は関係が深いと考えられている。

肝の機能は

①蔵血作用…

血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用

②疏泄作用…

気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。

胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。

※血液を貯蔵、調節し、排卵や月経に関係することにより 肝は婦人科疾患に非常に関係の深い臓腑といえる。

これらが肝の機能です。

そして、肝と関係の深い身体との連絡では

志(精神活動)は怒る

(体)液は泪

身体は筋、その華は爪…この場合の筋とは靭帯のことであるが、この筋に血液(陰液と血液)が十分にいきわたっていれば正常に動くが、血液が少なければ、筋が栄養を失い、手足の痺れ、振動、曲げ伸ばしが不便になる。

開竅(孔)は目…肝の経絡は目に連絡している。

 

さらに、書く動作には 長時間座っていること、目を酷使することなども挙げられる。

中医学では、久視は血を傷る、久座は肉を傷る、久行は筋を傷る、久立は骨を傷る、久臥は気を傷る と言われる。

つまり、字を継続して書き続けると 久視により血を傷ってしまい、久座によって肉を傷ってしまうことになる。

 

書痙はこのように継続する姿勢や動作によって血を傷ったり、またストレスが肝に影響したりして発症すると考えます。

 

 

弁証論治(中医学診断と治療)

 

○(肝)血虚生風―生血不足、出血過多、久病により肝血が不足して筋骨が栄養できなくなった状態。

 

症状―書痙がおこる。筋肉のひきつり、振るえが起こる。

 

ストレスを溜め込みやすい、めまい、多夢、目がかすむ、顔や爪の色が悪い、月経が少ないなど。

 

治療―養血熄風(ヨウケツソクフウ)…血液を養い、風邪を自然消滅させる。

 

食べて治す―ごま、松の実、ぶどう、うなぎ、レバーなどは血虚を改善させ、肝を助けます。

 

 

○(肝)陰虚内風―房事の不摂生、久病、感情に極みや熱病などの原因により陰液が損傷し、筋骨を栄養できなくなった状態。

(陰とは津液のことで、津液は血の組成成分なので、血を消耗すると同時に津液も消耗することになる)

 

症状―書痙がおこる。筋肉のひきつり、振るえが起こる。

手足のほてり、午後に微熱でるなど。

 

治療―滋陰熄風(ジインソクフウ)…陰液を滋養し、風邪を消滅させる。

 

食べて治す―黒きくらげ、クコの実、山芋、スッポン、イカなどは陰虚を改善させ、肝を助けます。

 

※血虚生風と陰虚内風の症状は似たところがあります。これは血液の成分に津液が含まれるので血虚、陰虚共に影響し合う関係にあるからです。

 

 

○肝陽化風―肝、腎の陰虚が陽の亢進を制御できなくなるとおこる。

 

症状―書痙がおこる(痙攣、捻れなどが強くでる)。筋肉の引きつり、振るえ。症状は強めに出現。

めまい、頭痛など

 

治療―育陰潜陽、平肝熄風(イクインセンヨウ、ヘイガンソクフウ)…陰を補い、陰の力で陽を沈める。肝を整えて風邪を消滅させる。

 

食べて治す―陰虚内風と同じもの、その他にセロリ、金針菜、カニなどは肝の熱をとり、火を下げる作用があります。

 

◎まとめ

決してパソコンを打つ動作の時に手が引きつってしまうことが、すぐ書痙につながるとは考えられないが、頻繁にそのような症状がある場合は、精神的にも、身体的にも疲れているのだと自覚が必要であるとおもう。

書痙は治るまで非常に時間のかかる病気です。治療を受けるときは長期によって食事、生活を気をつけましょう。

 

2019/03/11
【内科疾患】胃潰瘍・胃炎について

ストレス社会といわれる現代において、胃炎や胃潰瘍はよく耳にしますね。今日は、この二つの消化器疾患に関して述べさせて頂きます。

 

○胃

みぞおちの左に位置する袋状の消化器官が胃です。その容量は約1.2~1.6リットルです。

胃は食べ物を十二指腸での消化の進み具合に合わせて、一時的に貯留しながら、食べ物と胃液を混ぜ合わせて消化・吸収し、十二指腸に送り出します。普通 は約4時間で胃から十二指腸に送り出されます。

胃の粘膜からは、塩酸・消化酵素ペプシン・粘液などの胃液が分泌され、特に塩酸はpH1.0~2.5という強い酸性を示すため、この酸から胃自体を保護するために、粘液がとても大切な役割を果 たしています。粘液の作用が弱くなると、酸によって胃の粘膜が消化されるために、胃潰瘍などを引き起こします。

 

◎胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)

胃炎とは、胃の粘膜が炎症を起こしている病気です。その原因や症状の違い、胃粘膜の状態から、急性胃炎と慢性胃炎に分けられます。

 

・急性胃炎

概念―

胃粘膜に限局した炎症、発赤、腫脹、びらん

原因―

肉体的、精神的ストレス、暴飲暴食、抗生物質、非ステロイド系消炎剤などによる胃粘膜の血流障害

症状―

突発的な腹痛、胸焼け、吐き気。まれに吐血や下血をおこす場合もある。

治療―

薬物性のものやストレスによるものは原因の除去が第一。安静を心がける。

それでも症状が改善されないときは、胃酸分泌抑制剤、胃粘膜保護薬を使用

 

・慢性胃炎

分類―

表層性胃炎

萎縮性胃炎

肥厚性胃炎

※ 特に萎縮性胃炎が多い。慢性の炎症により、胃腺がつぶれるなど萎縮性の胃病変が全体に見られる。非可逆性。

原因―

☆☆ヘリコバクター・ピロリ菌の感染。

アルコールの飲みすぎ、喫煙、ストレス、薬剤

症状―

急性胃炎と比べて、症状がはっきりしないものが多い。

何となく胃がもたれる。胃の不快感、ゲップ、胸焼け。

長期に渡ると、食欲不振や倦怠感がおこる。

 

治療―

対処療法としては、急性胃炎と同様、胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、運動機能改善薬を使用。

☆ピロリ菌に感染している場合は、除菌が有効とされていますが、現在のところ、ピロリ菌の除菌療法がみとめられているのは消化性潰瘍だけで、慢性胃炎では認められていないため、検査・治療ともに自費となります。

 

 

◎胃潰瘍

十二指腸潰瘍とともに消化性潰瘍と言われ、酸・ペプシン(タンパク質を分解する酵素)により消化管の壁の欠損を生じる状態です。食べ物を消化する胃液(攻撃因子)とその胃液から胃を守る作用(防御因子)のバランスが崩れた時におこると考えられています。男性は女性に比べ、約3倍ほど罹患率が高いようです。

攻撃因子の一つである胃液は、塩酸とペプシンを含んでおり、食べ物を溶かすだけに強い酸性を持っています。その力から胃自体を守るのが防御因子です。防御因子には、粘膜を保護する粘液、粘膜が分泌するアルカリ性の重炭酸、粘液を健全に保つ血液の流れがあります。この攻撃因子と防御因子のバランスが崩れると、胃が自己消化し粘膜が障害されます。

攻撃因子にはその他、ストレスも大きく関係しています。ストレスは自律神経に変調を来たします。胃液の過分泌や、粘膜表面 の血管を収縮させることにより、血液の流れが悪くなり防御因子の力を低下させてしまうのです。

同様に、喫煙も胃粘膜の血流を低下させ、潰瘍を悪化させる誘因となります。喫煙がストレス発散!と言う人も多いと思いますが、実は喫煙自体が病気を産み出す行為となり、まさに百害あって一利なし!!です。

 

また、最近になって、ヘリコバクター・ピロリ菌という菌が消化性潰瘍と深く関わっていることがわかってきました。

ピロリ菌は、胃の粘液内や、粘液と粘膜の間に生息している細菌で、ピロリ菌が放出するアンモニアが胃の粘膜を攻撃して炎症や潰瘍を引き起こすと考えられています。

消化性潰瘍に罹っている人の胃を調べると、その多くに、ピロリ菌の陽性反応が出ますが、ピロリ菌に感染した人全てに症状が現れるわけではありません。

再発を繰り返しやすい場合は、ピロリ菌の除菌が有効とされ、消化性潰瘍治療薬<ランソプラゾール>と、抗生物質の<クラリスロマイシン>と<アモキシシリン>の3剤を1週間服用する除菌療法が行われます。この除菌については専門医に相談して下さい。

・ 症状―

みぞおちや上腹部の痛み、げっぷ、胃酸が上がってくる。

背中の痛み

特に胃潰瘍の場合は、食後すぐに痛みが現れることが多い。

潰瘍からの出血が多いと、黒色のタール便が出る。

・ 治療―

薬を使った治療が中心。

ピロリ菌の除去。

出血や穿孔などがある場合は、内視鏡手術や、外科的手術を行う。

以上が西洋医学的な胃炎・胃潰瘍の概要です。

次に中医学的な考察に入ります。

 

 

《中医学的による考察》

中医学では、胃炎や胃潰瘍をその器質的変化で分類するのではなく、胃の痛み<胃痛>を主訴とする状態としてとらえた中で、その起因や症状の違いなどから弁証を行い、治療法を組み立てます。

詳細に問診し、胃痛の出ている期間、痛みの性質や特徴、及び随伴症状などとも関連させて分類します。

特に鍼灸治療では、機能性病変(胃そのものに炎症は認められないが、胃に不快感やもたれ、食欲が出ないなどの症状がある)による胃痛に良い効果 があります。また、器質清病変(炎症や潰瘍を呈する場合)でも、止痛効果 が期待できるので、この場合は継続して治療を行うことが大切です。

 胃炎や胃潰瘍だけでなく、現代医学の分類による十二指腸潰瘍や胃神経症なども、この<胃痛>と同様に考えるので、参照ください。

 

中医学では、外界の気候(特に寒さ)や、飲食物の取り過ぎ、ストレス、長期にわたる薬剤の使用などが、胃痛をひきおこすと考えています。

中医学の弁証でみると、

◎ 寒邪犯胃

◎ 飲食停滞

◎ 肝気犯胃

◎ 脾胃虚寒

 

が挙げられます。これらを分類するにあたっては、その発症原因や痛みの性質を問診の際に詳しく聞き、病邪が阻滞しているのか、臓腑の機能失調なのか、また、実証もしくは虚証なのかを正確に判断することが大切です。弁証するにあたり、問診で重要なポイントを次に示します。

 

 

<問診のポイント>

食べ過ぎ、飲みすぎてはいないか?

雨に濡れた、プールに入った、強い冷房の中にいた…など体を冷やしてはいないか?(温めると胃痛は軽減するか)

胃痛の出る時間は決まっているか?(会社に行く通 勤時間に痛む、テスト前に痛くなるなど)

胃は[痛む]のか、[張る]のか?

便秘傾向か、それとも軟便か?回数や便の性状(水っぽい、乾いている)

嘔吐がある場合は、嘔吐するのは、酸水か、水っぽい涎か?

また飲食物の嘔吐はあるか?その後楽になるか?

食べ物の好き嫌い。(冷たいものや熱いもの、油もの)

飲食と痛みの関係(食べると痛む、空腹時に痛むなど)

以上の問診を含め、舌診や脈診をもとに、弁証施治を行います。

 

 

次に「胃痛」を学ぶ上でポイントとなる中医学の基本を示します。

 

○中医学のいろは・1○

中医学では、人間のからだを構成し、生命活動を維持する基本物質を気・血・津液と呼んでいます。気・血・津液は、飲食物から得た水穀の精微をもとに、体内で作られます。多すぎることもなく、また少なすぎる事もなく、気・血・津液の絶妙なバランスを保ち、本来の機能を保たせることが、中医学の治療です。

また、その前提として、臓腑が互いに協調しながらそれぞれの機能を円滑に行うことが肝心です。

〔五臓〕肝・心・脾・肺・腎

〔六腑〕胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

〔奇恒の腑〕脳・髄・骨・脈・胆・女子

それぞれの臓腑は自らの役割を果たすのみにとどまらず、他の臓器とも協力して機能を果 たしています。

 

○中医学のいろは・2○

―気候とからだ―

中医学では、外部環境の変化が病因となるものを外邪(外因)といいます。

外邪には風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪(火邪)の六つがあります。

このうち胃痛と深く関係するのは、寒邪です。

寒邪は凝滞性をもち、気・血の流れを停させる為、こわばりや激しい痛みをもたらします。お腹を出して寝てしまったら、明け方腹痛で目が覚めた…とは、この寒邪がお腹に入り痛みを引き起こしたと判断します。

 

○中医学のいろは・3○

―ストレスとからだ―

「肝・心・脾・肺・腎」の五臓のうち、ストレスと最も深くかかわっているのが「肝」です。「肝」は全身の気の流れを統括し、スムーズにしています。これを肝の疏泄機能と言います。

「肝」は本来伸び伸びとした状態を好むため、肉体的・精神的なストレスを受けると、この疏泄機能が影響を受けて肝気が渋滞をおこし、怒りっぽくなったり、ため息が多いなどの症状が出ます。このように気の流れがスムーズでなく、停滞していることを「気滞」といいます。

○ ストレス→肝の疏泄機能失調→気滞→体の不調を訴えるーこの図式は、ストレスの多い現代社会ではよく見られます。

 

 また、「肝」は気血の流れをスムーズにするとともに、胆汁を分泌することで、飲食物の消化・吸収を補助しています。この作用が低下すると、ゲップや胃のもたれ、腹が張るなどの症状が現れます。

 

ではここから「胃痛」の具体的な弁証を見ていきましょう。

 

○ 寒邪犯胃 ○

この証はもともと胃陽(胃を温める力)が虚しているところに、生ものや冷たいものを過食したか、あるいは腹部が寒冷刺激を受け、寒邪が胃を犯したことでおこる。寒邪により胃陽が損傷して寒凝気滞になり、気が通 じなくなることで痛みが生じる。したがって、寒さに遇うと痛みが増し、温めると緩解する胃カン部の冷痛が主症となる。

症状―

急性の胃かん痛。寒がりで暖を取りたがる。寒さで痛みが増し、温めると痛みは軽減。熱いものを好む。味覚が減退し、口渇はない。

舌診―

淡・白滑苔

脈診―

弦緊、または沈遅

治則―

温中暖胃・散寒止痛

取穴―

中カン・胃ゆ・足三里

※ 中カン・胃ゆは<ゆ募配穴>で、補法を施し灸を加えると、胃陽を奮いおこし温中散寒をはかることができる。

 

○ 飲食停滞 ○

胃気虚弱なものが、暴飲暴食、疲労時に消化の悪いものを過食して、飲食物の停滞が起こり、胃の降濁作用が失調。胃に停滞した未消化物が腐敗して濁気が上昇する。

嘔吐後は実邪が去って、胃気の巡りが改善するため、張痛は軽減する。

 

※胃の降濁作用とは…

胃には腐熟し終わった飲食物を、一つ残らず小腸に送り出す働きがあります。このことは、飲食物を下に降ろすことでもあるので、「胃は降を以って順となす」といいます。

症状―

胃カン部の張痛(拒按)。酸腐臭の嘔吐。ゲップ。酸っぱい胃液がこみ上げる。泥状便。唾液の分泌亢進。脱力感。発汗。

舌診―

紅・厚ジ苔

脈診―

滑、滑数など

治則―

消食導滞(消化物を除去して、胃気を導く)

取穴―

足三里・中カン・梁門

※ 足三里・中カンー和胃通 腸をはかる

※ 梁門―胃経のゲキ穴。急症を主る。また、中カンと組み合わせることで、緩急止痛の効果 がある。

 

○ 肝気犯胃 ○

ストレスや緊張により肝気が鬱結して、疏泄機能の低下をおこし、胃の気を阻滞するために痛みが引き起こされる。肝と胃の協調作用が崩れた状態。

現代医学でいう神経性胃炎に相当し、慢性化すると潰瘍を形成する。

症状―

胃部の張痛が反復。痛みは両脇部におよぶ。イライラや怒り、興奮などの精神状態とともに痛みが増す。上腹部のつかえ感。

舌診―

紅、薄黄苔

脈診―

弦または弦数

治則―

シャ肝和胃、和胃止痛

取穴―

内関・太衝・足三里

※ 内関は理気の作用があり、この配穴により疏肝解鬱・和胃降逆をはかる。

 

○ 脾胃虚寒 ○

胃通が長引いたり、薬剤を長期服用していると、正気が衰えて胃痛が治らなくなる。胃の経絡が温めらずらくなり、益々胃の働きが低下。

現代医学でいうと、慢性萎縮性胃炎などがこれにあたる。息切れや、精神疲労、倦怠感などの全身症状を伴う。

症状―

胃カン部の隠痛(しくしく痛む)按じると痛みは軽減する。飲食減少。水様のよだれ。無力感。精神疲労。手足が冷たく寒がり。

舌診―

淡、薄白苔

脈診―

軟弱、または細数

治則―

温中健脾・散寒止痛・(養陰和胃)

取穴―

中カン・関元・足三里・(三陰交・照海)

※ 三陰交・照海―胃を潤す作用が失調し、機能低下が顕著にみられる場合は、肝、脾、腎三陰交会穴である三陰交を組み合わせる事で、健脾和胃をはかり、水穀の精微の化生を促進。また、滋補肝腎によって胃陰不足を助ける。

 

以上のように、「胃痛」といってもその症状や発症原因は様様であります。

現代医学的解説でも述べたように、胃潰瘍の原因として注目されるヘリコバクター・ピロリ菌も、その保菌者全員が発病するわけではありません。発症する人と、しない人の差はどこにあるのか…個個人を取り巻く生活環境の違いや性格の特徴、生まれ持った体質。そして何よりも外的ストレス。

体の機能失調を来たし、結果として病気を発症する原因を見逃さずに治療を行う中医学の治療は、ただ炎症を抑えるとか、痛みを感じなくする…といった対処療法的考えから抜け出し、その根本にせまる本質的治療と言えます。

 

胃炎や胃潰瘍を含め、消化器疾患では、日々の食生活を見直すことが最重要となります。

規則正しい食事を心がけ、冷たいものや油ものはなるべく避けたいものです。

特に、暑い夏は、クーラーの効いた部屋で氷の入ったジュースを一気飲み…しがちです。

心して、自分自身の体を守りたいですね。

また、ストレスを感じやすい方は、気の巡りが滞りやすいので、気分転換に散歩を取り入れたり、ヨガやストレッチで体をほぐすことをお勧めいたします。また、ゆずなどの柑橘類やジャスミンティーなども気の巡りを良くするので、どうぞお試しください。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

 

◎ 当院での治療をお考えの方へ

= 本来の東洋医学の治療の姿に関して一言 =

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、「ギックリ腰」や「寝違い」といった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いのですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

 

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに慢性化した、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。

これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

 

2019/03/11
【その他】寝汗について

寝汗とは寝ている間にかく自然の汗のことです。大人では、一晩でコップ一杯分ほどの寝汗をかくと言われています。

寝汗の仕組みは睡眠が深くなると、視床下部の発汗中枢の体温のセットポイントが下がり体温を下げようとして汗をかこうとするものなのです。

特に、最初に睡眠が深くなったときに多くの汗をかく傾向にあります。これはまったく生理的なもので異常ではありません。ただし、寝汗があまりにもひどい場合は、自律神経失調症などの病気も考えられます。

寝汗は、夏よりも冬にかく傾向が多く、冷え性の人が時に寝汗をかきやすいとも言います。また、妊娠中や生理中にも体温が上がるため、寝汗を大量 にかくという女性が多いと言われています。

 

 

注意を要する寝汗

何らかの病気に伴ってかく寝汗はその病気の危険信号になります。

ここではどんな病気が寝汗を伴うのかを簡単にあげていきます。

 

 

自律神経失調症

自律神経とは心臓を動かしたり、汗をかいたり、自分ではコントロールできない自動的に働く神経のことです。

自律神経には活動する神経といわれる交感神経と、休む神経といわれる副交感神経の2つに分類され、必要に応じて自動的に切り替わって働くようになっています。

しかし、生活のリズムの乱れや過度なストレス、環境の変化などにより神経の働きが崩れてしまうことがあります。これを自律神経失調症といいますが、内臓や器官に病変があるわけではないので、病院で検査をしても異常なしと言われてしまいます。

自覚症状を訴えるケースが多く、頭痛、耳鳴り、口が渇く、動悸、冷え、息苦しさ、多汗、寝汗、倦怠感、不安などその他にも多岐にわたります。

 

 

ホジキン病

リンパ腫の一種で特殊なガン細胞を特徴にもちます。女性よりも男性に多く、女性2に対して男性3の割合でみられます。原因はわかっていません。

症状として、首の周りのリンパ節の腫れですが、脇の下や足の付け根のリンパ節が腫れることもあります。痛みがないのが普通 ですが、大量に飲酒をした際に痛みが出る場合があります。

またこれらに合わせて、人によっては発熱、寝汗、体重減少、かゆみ、疲労などがみられることもあります。

かぜや感染症による、痛みを伴うリンパ節の急な腫れはホジキン病の症状ではありませんので区別 が必要です。

 

 

甲状腺機能亢進症

甲状腺から甲状腺ホルモンがたくさん出過ぎるため、全身の細胞の新陳代謝が異常に高まる病気です。男性よりも女性に多くみられます。

症状は特徴的なもので頻脈、甲状腺腫、眼球突出がありますが、他にも動悸、寝汗、たくさん  食べるのにやせる、手の指が震える、疲れやすい、暑がり、イライラするなどがあります。

 

 

肺結核

結核菌が侵入して肺に炎症が起こる細菌性の感染症です。1950年代までは死亡原因の第1位 を占めていた病気です。

症状として咳、痰、血痰、胸痛などの呼吸器に関するものと微熱や悪寒を伴わない高熱、寝汗、食欲不振、体重減少、全身倦怠感など全身に関するものに分けられます。これといって診断の決め手となる症状があるわけではないですが2週間以上持続している場合には検査が必要となってきます。

 

寝汗が長期にわたって出るならば上記のような病気を疑ってみると良いかもしれません。またこれら以外にも精神的に不安な状態や疲労が続いた場合にもみられることがあります。

またここには紹介しきれなかった病気にも寝汗が伴うものもいくつかあります。頻繁に寝汗を生じる場合には、専門医のところで一度検査を受けて今の身体の状態を把握しておくと早い対応が出来ると思います。

 

 

中医学的観点からの寝汗

 

寝汗の説明の前に中医学の生体観から説明していきます。

 

~気・血・水~

気-

気とは、物質であり、人が生理活動をする上での重要なエネルギー源です。物質ゆえに消耗したり補充したりすることが出来ます。

また運動性も持ち合わせており、「昇降出入」という働きがあります。「昇降出入」とは、気の運動形式のことで、昇ったり降りたりする上下方向の運動と、発散したり収納したりする出入方向の運動が基本になっているということです。よって、気は物質でありながら運動性を持っているのです。

また、気が不足して病気になってしまうことを気虚と呼び、気が1ヵ所に滞って流れが悪くなって病気になってしまうことを、気滞と呼びます。

気の具体的な生理作用には人体各部を栄養する栄養作用、内蔵の活動を促進したり、体内の流れを推進したりする推動作用、内臓を温め活動を促進したり、体温を維持する温く作用、体表を保護し外から侵入してくるものを防いだり侵入してきたものと闘ったりする防御作用、人体を構成している水分や血液が外に漏れ出ないようにする固摂作用、体内の物質を変化させたり代謝を行う気化作用などがあります。

 

血-

血とは、体内を流れる赤色の液体で人体を構成し、生命活動を維持する基本的物質です。現代医学でいう血液とは似ていますが、イコールではありません。中医学で血の作用は全身を栄養し潤すことです。

例えば、顔が赤くつややかだったり、肌がふくよかで皮膚や髪の毛が潤って光沢があるのも、あるいは目などの感覚器や筋肉などの運動器が円滑に働くのも血の充足のおかげなのです。

他にも、血は精神活動を支える栄養源になっており、血が足りなくなると精神的な症状(失眠、健忘、昏迷、不安など)が現れます。

 

水-

水とは人体中の正常な水分の総称です。

その中には唾液や涙、汗といったものも含まれます。

水の作用は、体表部(皮膚や汗腺など)から体内深部(脳や骨、関節や内臓など)を潤します。また水は血を作るうえでも重要な成分になっています。

 

~臓・腑~

臓-

臓とは五臓とも呼ばれ、肝、心、脾、肺、腎という実質性臓器のことを指し、主な働きは気、血、水の生成と貯蔵を担います。

 

腑-

腑とは六腑とも呼ばれ、胃、大腸、小腸、膀胱、胆、三焦という中空性臓器のことを指します。

主な働きは、飲食物の消化をし、身体に必要なものは五臓に渡し、不必要なものは排泄します。

 

臓腑の中で特に寝汗と関連が強いものを説明していきます。

心-

心は血の流れを管理します。

体の中には血脈(血が循環する通路)があり、血はその中を流れますが、それは心が拍動することで可能になります。その結果 、血は全身に運ばれて滋養しているのです。

また、心は人の精神や意識をコントロールしています。現代医学では精神活動は大脳の生理機能ですが、中医学では心が担います。特に喜びの感情と結びつきが強く、さらに舌にもつながっていて、味覚や言葉なども心の働きによるものです。

 

脾-

脾は、胃や小腸で消化吸収された食べ物を栄養物質に変え、全身に運びます。これを運化作用といいます。

また水分も運び、余っているならば肺や腎に送り、汗や尿として身体の外に出してもらいます。脾は身体に必要な気や血を作り出す大事な臓器です。エネルギーを全身に運びますが、特に上に昇らせる働きが強く、これを昇清作用といいます。

さらに血のコントロールにも一役買っています。血の流れは心のコントロールでしたが、脾は血が血脈の中から外に漏れ出してしまわないように制御する働きがあります。

脾と結びつきやすい感情は思うです。あまり思い悩みすぎてしまうと脾のこれらの働きが弱くなってしまいます。

 

肺-

肺はガス交換の場であり、自然界の清気を吸入し、身体の濁気を吐き出しています。いわば呼吸は、肺のコントロールによるものです。呼吸がスムーズであれば体内の気の流れも良くなり、吸い込んだ清気は脾が作った栄養物質と合体して体内で気が作られるのです。

また、脾が肺まで持ち上げてくれた水や栄養物質を全身に散布します。皮膚や身体の各組織が潤うのはそのためです。

さらに皮膚表面には汗孔があり、そこをあけたりしめたりして汗を出したりする働きや、肺の中の異物を吐き出してきれいにする働きもみんな肺の宣発粛降作用のおかげです。

 

腎-

腎は身体の成長や発育、生殖能力などの源となっています。

これは腎が精を管理するからです。精とは先天の精、後天の精が合わさったものですが、前者は両親からもらったいわば生まれつきもっているもの、後者は脾の働きで得た栄養物質や肺で得た自然界の清気が合わさったものです。

また腎は、肺が吸い込んだ清気を身体の奥に引き込む働きをもち、肺のガス交換を手伝います。水分代謝もコントロールし、体の中の余った水分は尿として排出し、必要な分は再利用するのです。

また体内には陰陽というものがあります。陰とは身体を滋養するもので、血や水はこの部類に入り、陽とは活動させるもので、気がこの部類に入ります。各臓器にも陰陽はありますが、腎陰と腎陽がそのおおもとになります。そのため腎陰が減ると身体全体の陰も減り、腎陽が減ると身体全体の陽も減ります。

 

ここまでざっと中医学的な生体観を説明してきました。

これから寝汗の原因を説明していきます。

 

 

陰虚による場合

陰虚とは、体内の必要な水分が不足している状態です。

水分が不足しているので体内に熱がこもりやすくなっています。すると身体は汗を出して体温を下げようとするために過度の寝汗となってしまうのです。

また、汗をかくとさらに水分が不足して陰虚の状態が続いてしまいます。

さらに分類していくと、どの臓腑の陰が不足して寝汗が出るのかをみていきます。

 

 

心陰虚

心労や慢性疾患による栄養不足により、心陰が不足したり感情による内傷で心陰を消耗したり、心の熱が強くなり心陰を焼いてしまうことが原因で発生します。

陰が不足して陽(熱)が盛んになるので、五心煩熱(両手、両足、心臓が熱っぽい)や気持ちが落ち着かなかったり、イライラして眠れないという症状が寝汗とともに出てきます。脈をとると速く、舌の色は赤くなります。

 

 

肺陰虚

ストレスなどで体内に熱が発生し、それが肺を傷つけたり、対外から乾燥したものや熱が入りすぎてしまうと肺を焼いてしまい、慢性の咳で肺陰を消耗したりして発生します。

こちらも体内で熱が発生している状態なので、カラ咳して痰が出ない、出ても少なくネバネバしています。ひどければ痰に血が混じっていることもあります。呼吸も浅くなり、頬が赤くなるなどの症状も出てきます。

 

 

腎陰虚

今まで出てきた陰虚の状態が長引くと、陰のおおもとである腎陰を損傷していきます。また、体内の熱が発生しても陰を傷つけてしまいます。他にも失血や体液の消耗、性生活の乱れなどでも起こります。体が痩せてくる、五心煩熱  、頬が赤いなどの症状が寝汗とともに出てきます。

陰虚の治療としては、体内の余分な熱をとり(清熱)、必要な陰を補う(滋陰)を同時に行います。またその時弱って いる臓腑をパワーアップさせる治療を忘れてはいけません。

 

半表半裏証の場合

中医学では、病がどこにあるかということで、表証、裏証、半表半裏証に分けることが出来ます。

表証-

表位とは、体の最も浅い部位で皮膚や頭部、肩背部や四肢を指し、ここに病が存在するとき表証といいます。

わかりやすくいうと風邪の引き始めの時期です。

 

裏証-

裏位とは、体の最も深い部位で内臓などの部位を指し、この部位 に病が存在するとき裏証といいます。風邪が長引いてる状態です。

 

半表半裏証-

半表半裏とは、表と裏の中間で横隔膜に隣接する臓器類のある部位 を指し、この部位に病が存在するときを半表半裏証といいます。

ちょうど表証から裏証に移り変わる間です。このときに寝汗が出やすいのです。

他にも脇が張って苦しくなったり、熱感と悪寒が交互にやってきたり、口が渇く、口が苦い、めまいなどの症状を伴います。

これらの治療は、まずは病を体から発散させることを第一とします。

 

中医学では、現代医学とは違う角度から寝汗を捉えて治療していきます。

病院で検査をして、特に異常なしと言われたがなかなか症状が改善しない方は中医学による鍼灸治療をお勧めします。その方の生活習慣や体質などを細かく聞き、舌や脈を同時に診ながらタイムリーな体の状態を把握できる中医学は症状改善の手助けとなるでしょう。

尚、同じ鍼灸を使い、治療を行う鍼灸院はたくさんありますが、中医学を学び伝統的な鍼灸の施術を行っている鍼灸院の数は少ないです。鍼灸治療を受ける方も吟味する力が必要となっていることを留意ください。

HPで検索される場合は、鍼灸院の述べている内容をよく読み、内容を把握することが大切かと思います。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください 。

 

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