コラム

2019/02/20
パーキンソン病

パーキンソン病は、脳神経系の病気のなかでもっとも患者数の多いもののひとつと言われています。動作が徐々に緩慢になり、筋肉のこわばりと震え、バランスが悪くなるといった症状を伴い、主に5060才代の方に多くみられる疾患です。

 

 

現代医学的パーキンソン病の治療方法▼

脳内で不足している神経伝達物質のドーパミンを補う薬「L-ドーパ」を服用します。

それにより症状をある程度改善できますが、進行を止めることはできません。また、長期間服用し続けますと、効果 が減弱し、日内変動(良くなったり悪くなったり)を起こしたり、不随意運動が見られるようになります。

 

 

中医学的パーキンソン病のとらえ方▼

パーキンソン病でよく見られる症状の1つに「震え」があります。

中医学的にこの震えは、主に「肝」の機能失調で起こると考えられています (下記の中医学的からだのしくみ、~臓腑の働き~を一読していただくと更に理解しやすいかと思います)。

 

肝は筋肉をつかさどり、筋の中を流れる血が満たされていることにより円滑な動きができるのです。

エネルギーや血は年齢を重ねるにつれ消耗しやすくなり、体全体の機能が低下していきます。

原因は様々ですが(下記のタイプ別を参照してください)、この筋肉の中を流れる気・血が少なかったり、 流れが阻害されて滋養されないと「筋肉の震え」があらわれます。

症状が長引くことにより、筋肉が滋養されない部位が増えるため、症状は広範囲にわたって現れてきます。

 

この場合中医学では原因に基づいて、不足している気や血を補ったり、塞がった経脈(エネルギーの通 るルート)の 流れをよくするといった治療をしていきます。

体の中の気血の流れを調えることにより症状の進行を防ぐことができます。

 

 

 

中医学的からだのしくみ▼

~「気」「血」「水」とは~

体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量 で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。

もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。

さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。

 

 

~臓腑の働きとは~

「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。

西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。

ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。

ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。

 

「肝」・・

1

全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。

伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。

この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。

 

 

2

全身の血液量 をコントロールし、蓄える働きがあります。

肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため肝の支配している器官の機能減退症状があらわれてきます。

例)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足の震えやしびれ、筋けいれんが起こりやすくなったりします。

 

 

「脾」・・

1

食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。

働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。

 

 

2

エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。

働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。

 

 

3

血を脈外に漏らさないよう引き締める働きがあります(固摂作用)。

働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。

 

 

「腎」・・

 

生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。

腎には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。

このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。腎のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。

年齢が増すにつれて、腎が支配する器官の機能減退症状があらわれてきます。

例)骨や歯がもろくなる、耳が遠くなる、髪が薄くなったり、白髪が多くなる、腰痛や膝痛、尿が近くなる、夜間尿、尿切れが悪い、尿失禁など

 

 

中医学的診断方法▼

個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。

そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。

この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、 脈診などを用いて診察していきます。

その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。

 

 

 

中医学的パーキンソン病のタイプと治療法▼

 

肝腎陰虚タイプ●

肝腎要といわれるようにこの2つの臓器の働きが失調することにより、体を養う「血」、潤す働きの「水」が不足し、筋肉へ栄養素が行渡らないために震えなどの症状がみられます。

また身体を冷ます作用も減少するため体の各部位に、ほてりの症状があらわれます。

 

原因    

加齢、その他慢性症状により体内エネルギーの消耗など

 

随伴症状    

手足の震え、めまい、耳鳴り、咽喉の乾き、寝汗、便秘、顔・手足がほてる、イライラ、不眠、胸のあたりが悶々とする

 

治療方法    

体を養う血、潤す働きを高める「滋養肝腎」の治療をしていきます。     

ツボ:腎ユ、肝ユ、太渓、復溜、三陰交、内関、太衝     

漢方:六味丸合四物湯

 

 

脾虚湿困タイプ●

「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、余分な水分が体内に停滞し、経絡(気の流れるルート)の運行を阻害します。よって手足の筋肉が滋養されず、震えなどを生じるタイプです。

 

主な原因    

冷たい水分・甘いもの・味の濃いもの・油っこいもの・ビール・生ものを多く摂取する、 体質的にもともと胃腸が虚弱の方

 

随伴症状    

水太り体質、頭が重くめまいがする、頭痛、耳鳴り、のぼせる、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、 嘔吐をもよおす、食欲低下、むくみ、軟便ぎみ

 

治療法     

脾の働きを高めることにより余分な水分の停滞を改善する「健脾益気、化湿」の治療をしていきます。     

ツボ:脾ユ、胃ユ、三陰交、陰陵泉、足三里、中カン、合谷     

漢方:参苓白ジュツ散

 

 

タイプ別にみる生活養生・食養生▼

自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。

体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。

 

 

肝腎陰虚タイプ●

【生活習慣】

体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。 睡眠はしっかりとり、血を消耗させやすいパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。

また、サウナなどによる汗のかきすぎも血を消耗します。気をつけましょう。

 

血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。

 

イライラすると熱になり、更に血を損傷しますので、ヨガや気功、散歩アロマを焚くなど自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。

 

 

【食べ物】  ~体のほてりを冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう~

(乳製品)

豆乳、牛乳

(肉 類)

豚の皮、鴨肉、豚肉

(魚介類)

いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分)

(野 菜)

山芋、白きくらげ、黒きくらげ

(果 物)

なし、もも、ぶどう

(木の実)

クコの実、くるみ、黒ごま

(お 茶)

桑の実とクコの実のお茶

 

 

 

脾虚痰湿タイプ

【生活習慣】

甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。

 

水分代謝が悪いため、水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。

 

運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。

 

梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。

 

 

【食べ物】  ~水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう~

(穀類)

はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆

(野菜)

冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ

(魚類)

こい、ふな

(果物)

すいか、ぶどう、メロン

 

 

その他日常生活での注意点

散歩など適当な運動を続けることが大切です。特に筋肉を柔らかくするストレッチ体操は重要です。決して無理をせず、疲れない程度に行ないます。

 

食べ物をうまく飲み込めない場合は、食物を細かく刻んだり、やわらかく煮たり、すりつぶしたりしながら食べやすい調理方法で楽しく食事をしましょう。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
バセドウ病

バセドウ病と聞いても聞きなれない方も多いと思います。

 

バセドウ病とは甲状腺の機能が亢進してしまう病気の中でもっとも多くみられる病気です。

この病気では心臓がドキドキする動悸がしたり、汗がとめどなく流れたり、疲れやすくなったり、首が腫れたりします。

女性に多くおこり、仕事や育児に忙しい30代に多くみられ、また症状が自律神経失調に似ていて発見することも難しい場合もあります。

忙しくて疲れているだけ”と、思われている内に病気が隠れていないかを知るためにも、なるべくわかり易くお話ししたいとおもいます。

 

では、そもそも甲状腺とはなんでしょう?

甲状腺は首の中央より少し下の方にあり、のどぼとけを下から取り囲むようにあります。 文字のとおり、「甲」をひっくり返したような蝶形の内分泌腺 (内分泌というのは、身体の組織の中でホルモンを血液やリンパの中に直接分泌することです)です。

甲状腺は海藻などに多く含まれるヨードなどを原料にして、サイロキシンというホルモンを生成し、分泌します。

内分泌器の中では最大の器官になります。

 

サイロキシン(甲状腺ホルモン)の主な作用には

物質代謝の亢進:

甲状腺ホルモンは筋肉、心臓、腎臓、肝臓などの臓器の酸素の消費を高め、基礎代謝を亢進します。

また、代謝により体温を上昇させます。

代謝の中には、たんぱく質代謝(たんぱく質の合成と分解)、糖代謝(ブドウ糖の吸収と血糖上昇)、脂質代謝などあります。

発育促進   :

成長ホルモンの働きを助け、骨や歯の発育を促す。また、中枢神経細胞の発育を促す。

精神機能刺激 :

精神活動一般にも影響を与える。甲状腺ホルモンが欠乏すると精神活動が鈍くなる。

主に新陳代謝(生体物が常に新しい栄養物質を取り入れ、消化した古い物質を排泄すること)を活発にする作用があります。

 

バセドウ病とは、なんらかの原因によりこの甲状腺の機能が亢進してしまい、サイロキシンが必要以上にでてしまう病気のことです。(甲状腺機能亢進症のうち大部分がバセドウ病です)

 

バセドウ病は2030歳代の女性に多くおこり、ついで40代の順になります。

男女比は16ほどで人口10万に対し、約80人いるとみられています。

 

では、これからバセドウ病の西洋医学的な原因、治療法と中医学的な見方を考えていきましょう。

 

<西洋医学からバセドウ病を考える>

原因――

現在のところ免疫異常からおこる、自己免疫疾患と考えられている。

自己免疫疾患とは、本来身体の中に入って来た異物に対し抗体をつくり異物を排除する免疫反応が、間違えて自分の身体に対して抗体をつくり、自分の身体を攻撃してしまう病気です。

バセドウ病の場合は自分自身の甲状腺分泌するスイッチを攻撃してしまい、サイロキシン(甲状腺ホルモン)が過剰に分泌されてしまいます。

なぜ、このような自己免疫ができてしまうかは、今のところまだ解明されていません。(遺伝的な素因にウィルスやストレスなどが影響して発症するのではないかと推測されます)

 

症状――

新陳代謝が活発になり、身体の中では空焚きしたような状態になります。

新陳代謝が活発になり、交感神経も興奮し、エネルギーをどんどん消費してしまいます。

疲れやすい、息切れをする

汗をかく、暑がる、微熱、肌が湿る

動悸、頻脈がおこる

手足が振るえる

甲状腺が腫れる

空腹で食べてしまうが、体重減少(ときに増加)

精神不安(早口、イライラ感、集中力低下、躁病、うつ病)

眼球突出(浮腫、充血、二重視、視力低下)、眼球運動障害

診断――

甲状腺の腫れに気付かなかったりすると、症状から自律神経失調と間違えてしま うこともよくあります。

また、食欲が出て食べてしまうのに痩せていき疲れやすくなるので糖尿病とも間違われることがあります。

臨床所見(上記の症状が)が見られる場合は血液検査をします。

 

血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定します。多くなっていれば、今度は甲状腺を刺激する自己抗体の量 を測定することもあります。

甲状腺腫の有無を見ます(触診、エコーによる)

 

治療法―

治療方法としては甲状腺ホルモンの分泌を抑えるようにします。

 

薬物療法…治療の際の第一の選択肢としては薬物治療になります。薬物で甲状腺ホルモンの合成を抑制します。

甲状腺には1~2ヶ月分のホルモンの備蓄があり数値が正常値になるまでには時間がかかります。

また、数値が正常になっても、容易に再発を繰り返す疾患なので、緩解するまで最低6ヶ月~1年は服薬の必要があります。

副作用としては、じん麻疹などのアレルギー症状を起こすことがあります。

薬物療法はバセドウ病自体を治すものではなく、コントロールしながら自然に緩解するのを待つ治療法です。ストレスなどにより再発しやすくなるので、心身に負担を避けるようにする必要があります。

 

手術療法…甲状腺の亜全摘出手術をおこないます。(亜全摘出とは、ほぼ全部摘出する手術のことを言います)

甲状腺の病気自体は変わりませんが、ホルモンを出しているところを減らしてホルモンの量 を調節する手術です。

90%の人の甲状腺の機能が正常になります。

薬の副作用がある人、甲状腺腫の大きい人、妊娠を望む人などが対象になります。

2~3週間の入院が必要です。

手術の後5年以上経過して、薬を一切飲まなくて済む患者さんは80%以上になります。

 

アイソトープ治療…放射線治療の一種

検査の後、甲状腺に集まる性質の放射性ヨード(ヨードは甲状腺ホルモンの原料)を経口より投与する。

甲状腺が被爆され機能が低下することにより、甲状腺ホルモンを合成、分泌する能力がなくなっていきます。

身体全体の健康には影響のない放射線量です。

一回飲むだけの治療なのでとても簡単におこなえます。

妊娠出産を希望する人には使えません。(一般には3040歳の人に使います)

ただ、放射線が長期にわたり放出されるので10年後ぐらいに甲状腺機能低下の見られる方20%ほどいます。(機能低下が出た場合はホルモン剤で補います)

甲状腺の治療は適応を見きわめて、三つの選択肢の中から決めます。

第一の選択肢としては薬物療法になりますが、医師と相談上で治療法を選択していきます。

 

バセドウ病の治療を怠った場合…バセドウ病のコントロールが悪いと心臓に負担をかけて心房細動(心臓の筋肉が不規則に動いてしまうこと)がおこるようになってしまい、ひどくなると心不全をおこします。

また、甲状腺ホルモンには骨吸収を促進する(骨を溶かす)性質がありますので、骨粗しょう症の原因になります。

治療を怠ると、合併症も出やすくなります。

合併症にはバセドウクリーゼ(甲状腺発症)といって、バセドウ病の症状が突然悪化して意識障害をおこして死亡するようなことにもなったり、筋肉の萎縮や手足が麻痺してしまったりすることもあります。

 

バセドウ病は適切な治療をすれば一般には予後の良い病気です。

薬物療法などでは長期の治療が必要な場合もありますので、日々の養生につとめます。

 

以上が西洋医学から考えたバセドウ病です。

 

<中医学からバセドウ病を考える>

 

中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。

治療方法としては、針、簡単な食事療法を紹介します。

 

中医学において、バセドウ病は「癭(エイ)病」という病気の範疇になります。

(エイ)とは“こぶ、首すじのこぶ”の意味で、西洋医学でいうところの甲状腺腫になります。

甲状腺腫は、良性のものはほうっておいても予後は良く問題のない病気です。(良性悪性の診断は触診、エコー、細胞診により確定します)

甲状腺腫の全てがバセドウ病にあたるわけではないのですが、癭(エイ)病の一部として考えます。

ちなみに癭病とは、情志や飲食、地域性、体質などにより気滞(気の滞り)、痰(病的な代謝物質)、血オ(血の滞り)などが引き起こされ腫瘍となった状態です。

(主に癭病の中の熱性のある証に属します)

 

では、基礎的なお話しを交えてバセドウ病を考えていきます。

 

中医学における健康な状態とは気血水(津液)のバランスがとれ、滞りなく流れている状態です。

病気とはその反対で気血水のバランスがくずれ、弱くなったり、強くなりすぎたり、滞ったりしている状態です。

 

そして病気の原因には内因、外因、不内外因の三つがあります。

 

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火()があります。

季節、気候が正常な状態であれば身体に悪い影響はないのですが、急や異常な気候の変化があったり、季節外れの気候だったりすると身体に悪い影響があり病気になりやすくなります。

 

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。

中医学では自然界の中で起こることは体内でも起こると考えます。

臓腑の働きが悪くなると、身体の中でも六淫のような邪気が発生します(身体の中でも熱くなったり、寒くなったり、風が吹いたりするということです)

内風、内寒、内湿、内燥、内火の5種類あります。

 

不内外因とは食生活、労働、安逸、性生活などで、これらを節制せずバランスが悪くなると臓腑に悪影響を与えて病気になります。

 

その中でもバセドウ病を考えるときにポイントとなるのは、「火」「熱」の邪気 (まとめて火熱と言われる)と風の邪気です。

臓腑では主に肝、次に心の働きが重要になります。

 

火熱は、陽の気が盛んになって発生したものです。

特性は自然界の火や熱と似ています。

バセドウ病でのポイントになりますので、簡単に説明します。

()(ねつ)について

火熱は陽邪で、その性質は炎上する…上方に燃え上がるイメージです。

高熱、悪熱(熱がる)、煩渇(とてものどが渇く)、汗をかく、脈が力強く振れるなどの症状がでます。

火は気を消耗しやすく、津液を傷付けます…火熱は津液()を外に追い出したり、蒸発させたりします。また、気を消耗させます。

のどが渇き、舌を乾燥させる。全身の津液()、気を消耗させる。

火は風を生み、血を動かします:火熱が人体を侵すと筋肉の潤いを失わせます。 高熱、うわ言を言ったり、四肢が痙攣したり、身体を強張らせたりします。

火は腫瘍をつくる:火熱が血に入り、局部に集まると腫れ物ができ易くなる。

 

(ふう)について

風は陽邪で、その性質は開泄で、陽位 (上方)を侵し易い;開泄とは汗腺を開いて汗をかくこと。

風は行き先が定まらず、よく変化をする。

風は全ての病気の長:他の邪気と結合し易い、他の邪気の先導者である。

などの性質があります。

肝の機能は

蔵血作用…血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用

疏泄作用…気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。

胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。

血液を貯蔵、調節し、排卵や月経に関係することにより 肝は婦人科疾患に非常に関係の深い臓腑といえる。

 

心の機能は

血脈を主る…血液循環を管理している。(血液の流れ、拍動など)

神志を主る…精神、意識、思索活動を管理している。

 

原因――

バセドウ病は中医学では、ストレスや食事の不摂生などにより、肝の気が滞り火に変わったり(肝火偏盛:カンカヘンセイ)、肝の陰液が損なわれた結果 陽の気が強く出てきたり(肝陰不足:カンインフソク)、内風が発生したり(陰虚動風:インキョドウフウ)、また同じように食事の不摂生により脾胃の機能が失調して血の生成が足りなくなったり、肝火が陰液と血を煮つめて陰血が足りなくなったりして、心の陰血(主に陰液)が損なわれて(心陰虚損:シンインキョソン)発症すると考えます。

 

弁証論治(中医学診断と治療)

肝陰不足(カンインフソク)

ストレスなどにより肝気が滞り、それが長期にわたって改善されないと火に変わってしまう。火が肝の陰液を損傷して肝陰不足になる。また、湿熱病が長期化したり、他の肝病が長引いたりしても陰液を損傷しておこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、咽喉の渇き、目の乾き、汗をかく(特に手足と胸、寝汗)、微熱、精神不安(イライラ感など)が特徴となる。めまい、耳鳴りがでることもある。

 

治療――

滋養肝陰(ジヨウカンイン)。針治療では肝の陰液を補う治療をする。

また、肝の陰液が少なくなると陽気が上がりやすくなるため、これを抑える治療も加える。

 

食べて治す―

黒きくらげ、クコの実、山芋、スッポンなどは陰虚を改善させ、肝を助けます。

 

肝火上炎(カンカジョウエン)

ストレスなどが原因になり肝の気滞状態が続くと火に変化し、上方へ上がってしまったためおこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、目の充血、イライラ感、月経異常(月経が早まる)などが特徴となる。

 

治療――

清肝セツ火(セイカンセツカ)。針では上がってしまった肝火を下げる治療をする。

 

食べて治す―

セロリ、金針菜などは肝の熱をとり、火を下げる作用があります。

 

陰虚風動(インキョフウドウ)

陰虚の状態が重くなるとあらわれる。

過労、熱病、慢性病や情志の影響などにより陰虚の状態になり、乾燥した大地に風が吹くように内風の状態になります。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、汗をかく、体重減少、手足の振るえなどが特徴となる。

 

治療――

平肝熄風(ヘイカンソクフウ)。針では主に肝の陰液を補い、風を抑えます。

 

食べて治す―

牛乳、トマト、スイカなどが陰液を補う作用があります。

 

心陰虚損(シンインキョソン)

熱病や失血後、ストレスから化火し陰液を損傷したためおこる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも、動悸、頻脈、疲れやすい、汗をかく(手足や胸、寝汗) 、咽喉が渇く、集中力低下などが特徴となる。

他に不眠、多夢、健忘など

 

治療――

滋陰安神(ジインアンシン)。針治療では、心の陰液を補う治療をします。

 

食べて治す―

ゆりね(百合根)、緑茶などが心の陰液を補います。

 

これらの弁証はしばしば同時に現れます。

心肝陰虚(カンシンインキョ)

肝火の火が心に影響して心火になり、陰血を枯渇させてしまった状態。 心陰虚と肝陰虚の症状の特徴が同時にでる。

症状――

バセドウ病の症状の中でも動悸、汗をかく、目の乾き、目のかすみ、精神不安、疲れやすいなどが特徴になる。

 

治療――

滋養陰精、寧心柔肝(ジヨウインセイ、ネイシンジュウカン)。針治療では肝と心の火を消して、陰液を補う治療をする。

 

食べて治す―

心陰虚、肝陰虚を参考にする。

 

ポイント

バセドウ病は青年期の女性に多い疾患です。

特に肝の働きと女性の月経、帯下、妊娠なども考慮しながら診断、治療する必要があります。

 

ヨードの取り方について

甲状腺は、ヨードを濃縮して必要な分だけホルモンを生成しています。

日本では、ヨードの元になっている海藻類などは食事の中に豊富に含まれていますので、偏食などがなければヨードが足りなくなることは、まずありません。

逆に、薬物療法中にヨードを取りすぎると薬の効き目が悪くなることがありますので、特にヨードを多く含む昆布を少し控えると良いでしょう。

ひじき、わかめなどは食べ過ぎなければ問題はありません。

 

まとめ

バセドウ病の治療は西洋医学では、一定の確立している治療法があります。

東洋医学での治療は西洋医学の治療と同時進行でよい効果が期待できます。

西洋医学ではストレスは悪化する時の原因にはなるが、病気の発症は今のところ原因不明(自己免疫疾患にかかる原因が不明)と考えています。

また治療の中でも、薬物療法はバセドウ病を根治するのではなく、甲状腺の働きをコントロールする治療法なので、治療期間中にも気候の変化、多様なストレスなどで体調が悪くなり再発、悪化の原因になると考えます。

東洋医学では、ストレスについての捉え方も違い、弁証(診断)、治療も研究されてとても友好的な治療ができます。

バセドウ病のような病気の場合、薬物治療中の更なる体調管理方法として中医針灸の治療を受けることは、大変効果 的なことであると思います。

 

 

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

例えば、ギックリ腰や寝違いといった急激な痛みに対して、中医鍼灸の効果 は高いですが、これも局所の治療にとどまらず全体的なお手当てを行なっているからなのです。

急性の疾患にせよ慢性の疾患にせよ、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出すことで、お手当てをしております。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいのです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。

ただ、早期の治療により中医学の方が治し易い疾患もございます。

例えば、顔面麻痺・突発性難聴・頭痛・過敏性大腸炎・不眠・などがあります。

大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

 

当院の具体的なお手当てとしては、まず、普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行います。これは、体内バランスの失調をさぐり見つけ出すために必要な診察です。この診察を踏まえたうえで、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

 

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

 

さて、もう一点お伝えしたいことが御座います。

当院では過去に東洋医学の受診の機会を失った方々を存じ上げています。

それは東洋医学に関して詳しい知識と治療理論を存じ上げない先生方にアドバイスを受けたからであります。

この様な方々に、「針灸治療を受けていれば・・・」と思うことがありました。

特に下記の疾患は早めに受診をされると良いです。

顔面麻痺・突発性難聴・帯状疱疹・肩関節周囲炎(五十肩)

急性腰痛(ぎっくり腰)・寝違い・発熱症状・逆子

その他、月経不順・月経痛・更年期障害・不妊・欠乳

アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎、など

これらの疾患はほんの一例です。

疾患によっては、薬だけの服用治療よりも、針灸治療を併用することにより一層症状が早く改善されて行きます。

針灸治療はやはり経験のある専門家にご相談された方が良いと思います。

 

当院は決して医療評論家では御座いませんが、世の中で東洋医学にまつわる実際に起きている事を一人でも多くの方々に知って頂きたいと願っております。

 

少しでも多くの方に本当の中医鍼灸をご理解して頂き、お体のために役立てていただければ幸に思います。

2019/02/20
メニエール病

眩暈(めまい)、吐き気の発作をくりかえし、耳鳴りや難聴などの症状もともない原因のはっきりしないものがメニエール症候群と診断されます。  

 

現代医学的には、内耳が水ぶくれ状態になり、内外のリンパ液のバランスがくずれる結果 だと考えられています。原因は不明ですが、ストレスや過労が大きく関与しているといわれています。治療は対症療法で眩暈や吐き気を抑える薬剤や、神経伝達をよくする薬剤、精神安定剤、利尿剤、血液循環をよくする薬剤などが使用されます。

 

中医学で考えた場合、「眩暈」、「吐き気」、「耳鳴り」「難聴」などの症状はそれぞれ関係ないようにみえますが「痰濁」というキーワードでつながります。中医学では「痰がなければ眩暈は発生しない、痰は火によって動く」などの記述があります。「痰濁」は水分代謝の失調によって産生される病理的物質です。体に必要な水分「津液」に対し、病理的水分を「痰濁」といい、普段皆さんが考える肺から排出される「タン」と同じく中医学では「無形の痰」といい体全体にもこれがあると考えています。この「痰濁」が多くなると「痰濁閉阻」といい「気、血、津液」の流れが悪くなり、「眩暈」「吐き気」「耳鳴り」「難聴」の原因の一つとなります。水分代謝では消化器が一番重要です。ストレスでは「気滞」、過労では「気虚」となり消化器の働きがわるくなります。消化器の働きが落ちると、水分の代謝機能に影響し「痰濁」が産生されます。

 

中医学的からだのしくみ●

中医学(中国医学)では人間の体を次のように考えています。人間の体は五臓六腑を中心に生命を維持する基本物質である気(エネルギー)・血(血液)・水(体液)が十分に生産され、この気・血・水が経絡という通 路を正常に流れて初めて人間の健康が維持できるという考え方にあります。

中医学による病気の治療とは、生命活動を維持する気・血・水のどこに問題があり、それが不足(虚)か有余(実)を判断します。そして五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)のうちのどの臓腑が、この気・血・水の問題を作り出したかを診断をします。

 

五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎)は西洋医学と全く同じ役割分担ではありませんので混乱しないようご一読下さい。

五臓のうち「肝」が原因を起こすもの

 

肝は風・木の臓とされ、四季では春に相当するので

春の営みのように気を上へ上へと上昇させようとします。

そのため、眩暈(めまい、ふまつき)が生じるものです。

また、肝は精神刺激を非常に感受しやすいものなので、

ストレスとの影響も非常に強いパターンでなのです。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、耳鳴、偏頭痛、怒りっぽい、イライラする、赤ら顔、のぼせ、目が充血する、不眠、夢が多い、不安が強い、うつ様症 状、口苦などを伴う

いずれも肝の変動による症状です 。

 

治法:平肝鎮陽・清火熄風

漢方:竜胆瀉肝湯

   天麻釣藤飲

   釣藤飲など

 

1.五臓のうちの腎の弱りによるもの

 

腎は脳との関わりが強いとされていて、腎気が弱り脳が栄養されないために、めまい、ふらつきが出ます。

虚弱によるもので、腎は精を蔵し、精は髄を生む。

また、脳は「隋の海」と古くから言われています。

 

症状

眩暈(めまい、ふらつき)、物忘れがひどい(健忘)、足腰が酸い、また力が入らない、耳鳴 どれも腎の弱りに伴う症状です。

 

治法:補益腎精

漢方:六味地黄丸

   海馬補腎丸などが該当

 

 

2.五臓のうち脾が気血不足となるもの

 

体全体の気血が不足していて起こるパターンです。

車で例えるとガソリン(気血)の足らない状態であり、体のガソリンを作り出すのは五臓のうち「脾胃」であり、この脾胃の弱りが根底にあることが多いのです。

・動いて疲労すると眩暈が悪化する。

 

元々、気血が少ないので運動や過労によって気血を消耗すると悪化します。

・倦怠感、話すのがおっくう、無気力、顔色が悪い

気血不足のために現れる症状である。

また、一身の気血が不足しているため、五臓六腑に気を供給出来ないと、各々特徴的な症状が出る。

・心に気血が不足すると、不眠、動機が

・脾胃に気血が不足すると、食欲不振が

・肝に気血が不足すると、目がかすみ、爪に艶がなくなる

治法:補益気血・健運脾胃

漢方:十全大補湯・帰脾湯・補中益気湯・婦宝当帰膠・七物降下湯

など

 

3.病理水分「痰濁」が経絡を塞ぐために起こる眩暈

 

痰濁が頭部をおおうために起こります。

また、脳に気血が送られないので、余計に眩暈(めまい、ふらつき)を起こしやすいのです。

痰濁による特有の症状を伴うため、他の原因の眩暈と見分けることが出来ます。

つまり、痰がつまり、咽がゴロゴロしたり、体が重くなったりといった症状です。

 

痰濁が身体のどこを侵すかによって症状が異なります。

・頭重感を伴う、体が重い:湿痰が頭部を侵すと、頭がどんよりと重く感じる。

・胸悶:湿痰が胸部で停滞

・悪心、眠たくて仕方ない(嗜眠)、ゲップ、しゃっくり

 

治法:燥湿化痰、止眩

漢方:半夏白朮天麻湯

    竹茹温胆湯

    五苓散

    苓桂朮甘湯など

 

水分とメニエール病

メニエール病であり内リンパ水腫が原因と考えられえる場合は、「水分過剰」に気をつけることが基本となります。

しかし「水分が多い方が血液がサラサラなるのでは?」と思われるかもしれません。ではそれを東洋医学的に考えてみましょう。

 

まず「リンパ水腫」は悪質な水分、過剰な部分であり、内耳という限定された部分に溜まっているわけです。そして回転するようなめまいであったり、耳鳴りを発生させます。

その状態を改善させる為には、内耳付近の血液循環が大切です。

血液に乗って水分が補給、代謝されます。

 

過剰水分→内耳に溜まる→血液循環が水分を補正する

 

そのしくみの中で悪質な水分が血液循環を邪魔します。

サラサラ以前の問題として過剰水分が臓器や器官を浮腫んだ状態としてしまい、血液を流れにくくしています。

 

メニエール病を繰り返す方の食事療法としまして

しょうが ●にら ●火を通した大根 などなどの食材がお勧めです。

 

ストレスとメニエール病

メニエール病の宿敵は「ストレス」です。これが血管の収縮の大きな問題となってきます。

まず「リンパ水腫」は勿論「水」から産まれます。その水は飲食物から体に入ります。だれでも血中に水分は沢山持っていますが、その水分が内耳に溜まる。溜まる原因と排出出来ない原因があります。

内耳の付近の血流が低下していると常時補正しているリンパ液の代謝速度が低下してしまいます。

ストレス、寝不足から血管が収縮気味となってしまい、普段は血液に乗って、常時調節、排出されているはずのリンパ液の代謝が追いつかない。

その為、視神経の疲労(目の疲れや長時間の運転)でもめまい、メニエール病発生の引き金となる方が多いのではないでしょうか。

それは視神経が疲労した状態はストレスがかかった状態と同様に血管が収縮しやすい事からも言える事だと考えられます。

 

長時間の運転やテレビ、読書はさける

夜更かしや睡眠不足、過労はさける

対人関係や心配事も可能な限り気にしない   

などが大切。

今までの注意事項を意識するだけでも発生する頻度は減るはずです。又、点滴や病院の「めまい止め薬」でも一時的に改善するかもしれません。

しかし「一時的におさまったようにみえて、何度も再発する」。

また、「一見治ったようだが、その後もずっとふらつく」

こういった「めまいやメニエール病の慢性化」した患者さんがかなり多い事には訳があります。

「体質の偏り」です。  

それこそが「原因」なのです。

「原因」が有ってめまいが発生するわけですから、点滴などで一時押さえしたところで、再発は必ず起きます。

又、形を変えた状態で発生するかもしれません。

その「形を変えた状態」とは、ふらつき、食欲不振、視力の低下、疲労倦怠感、もしくは記憶力の低下かもしれません。

 

根本的な体質を中医学(針治療や漢方)で改善していきましょう。

私たちは、お一人お一人の症状に合った治療法を取り、漢方、食生活などをアドバイスさせて頂きます。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
めまい

西洋医学的なめまいの捉え方

自己ないし、外界の空間における異常知覚をめまいといいます。

通常めまいは「平衡機能の異常により生じ、特に不快な感情をともなうもの」をめまいとよぶことが多いそうです。

 

東洋医学(中医学)的なめまいの捉え方

中医学では、病名を症状別に分類して整理します。その分類法は中医学特有のものです。

症状別に分類していくと、中医学のめまいに含まれる症状の範囲は相当広くなります。メニエール・高血圧症・脳血管障害・貧血・自律神経失調症・眼科疾患などに見られるめまいの症状は、すべて中医学のめまいの症状別 タイプを適用することが出来るのです。

 

 

~ 中医学臓腑の働き ~

中医学では、人体は気(き)・血(けつ)・津液(しんえき )という成分により構成されていると考えます。大雑把にいえば、気は生体エネルギー、血は血液、津液は血液の構成成分でもある正常な体液成分、と考えて下さい。これらの成分がバランスよく、心身に充分満たされ、うまくはたらくことで、人体は健康を維持できると考えます。「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのが臓腑になります。

めまいと関係が深い臓腑が下記の肝・腎・脾になります。めまいは3つの臓腑の働きのいずれかが乱れて起こると考えています。

 

「めまいは肝に属す」(諸風掉眩、皆肝に属す)といわれ、めまいと最も関係が深いのは肝だと考えています。中医学でいう肝は肝臓機能の働きだけではなく、自律神経の働きを調整して全身の血液循環をコントロールしています。血流や筋肉の働きも管理していますから更年期の問題や肩こり等も肝が関わってきます。目の使いすぎ、神経の使いすぎ、ストレス、寝不足、過労等は肝を消耗させる事になります。結果 として自律神経の働きが乱れ、脳や内耳の方へ十分血液が循環しなくなり、めまいの症状を起こします。従って、肝と関係のあるツボがよくめまいの治療で用いられます。

 

「腎は耳に竅を開く」といわれ、耳は腎とも深く関係が有ります。東洋医学でいう腎は泌尿器だけでなく、内分泌(ホルモン)系、免疫系、生殖能力、骨や歯、耳、髪、腰、ノド等と関係しています。発育・成長・老化と関係していますので、年をとる毎に腎の機能は低下していきます。

いわゆる「腎虚」と呼ばれる状態です。腎虚になると骨や歯は弱くなり、尿の出方、生殖能力も弱ってきます。そして耳の方も、耳鳴りや難聴が起き易くなります。耳の内耳の平衡器官の方が障害されるとめまいが起こります。

 

「痰無くしてめまい起こらず」といわれ、水毒症状の代表としてめまいが起こる事が有ります。油っこい食べ物、甘い物の食べ過ぎ、冷たい物の飲み過ぎ等が消化器系の働きを弱め、胃内停水といって、胃の中で水がポチャポチャした状態になります。こういう状態を水毒といって身体の中の水分代謝が悪くなります。例えば内耳の水ぶくれ等でめまいを起こし易くなります。

 

 

~ めまいのタイプと治療方法 ~

中医学ではめまいを眩暈といいます。脳・耳・目に障害を起こすと考えられています。これらを上記の「肝・腎・脾」の臓腑と関連付けて3種類に分けて考えます。

 

1.栄養物質が必要以上に多くなるもの(「肝」の臓腑と関係が深い)

  このタイプは高血圧の傾向にある人に多く見られます。

 

2.栄養物質が不足するもの(「脾」と「腎」の臓腑と関係が深い)

  このタイプは低血圧の傾向にある人に多く見られます。

 

3.栄養物質の流れが行き届かない場合(「脾」の臓腑と関係が深い)

  病的な体の水分が邪魔することによって脳に栄養物質が届かずにめまいを  起こすもの。

 

 

タイプ1Part1 栄養物質が必要以上に多くなる

 

感情の起伏が激しくストレスを溜め、ストレスや悩みを発散できない。

     ↓

肝の疏泄機能が滞る(肝気鬱結)

 肝の気はスムーズに流れるのを好みます。

 流れがスムーズでなくなると欝結(気の渋滞)を引き起こします。

     ↓

気や血の流れが停滞し、臓器の生理作用を乱す。

     ↓

精神不安定…胸苦しい・乳房が張る・月経不順・弦を張ったような脈を打つ。

 

上記のような状態が長期間続くと…

体内で熱が生まれ、(肝鬱化熱)

     ↓

すると火に変化して燃え上がります。(肝鬱化火)

     ↓

これが引き金となって風が生まれる。

(風は移動する性質を意味します。体内で症状が動き回る傾向が出ます)

     ↓

激しいめまいに伴い、下記の症状などを併発します。

症状

・ 頭の張りと痛み

・ 赤ら顔

・ 目の充血がある

・ 眠れない

・ イライラして怒りっぽい

・ のどが渇きやすく、水分を多く欲しがる

・ 口が苦く感じる

・ 月経過多

・ 便秘

 

症状別タイプでいうと、中医学では「肝火上炎」となります。

治療:疏肝解鬱、清肝瀉火

処方例:四逆散

 

 

タイプ1Part2 栄養物質が必要以上に多くなる

 

肝気鬱結から肝火上炎が生じ、肝火上炎が長く続くと…

次第に肝の陰液が消耗(熱で体内の水分が減少する事を指します)され、「肝陽上亢」という症状別 タイプに移行します。

 

このタイプは情志の抑うつや激怒などによって急激に激しいめまいが起こります。または、不眠、過労ななどで増悪します。

 

熱がすぐに火に変化しない場合でも、肝の気の欝結状態が長く続くと…

 

熱によって精や血、津液が傷つける。

(体内の水分が減少傾向になる車で言うとラジエターの水分が減ってきている状態です)

      ↓

肝の疏泄機能による気や血、津液の生産量不足が重なる。

      ↓

肝陽が過度に亢進し、肝陰が不足する。

      ↓

肝火上炎に似た症状が現れます。

 

症状

めまいのほかに、

上半身、顔面部に熱症状が著名

のどが渇くが水分を欲しがらない

頭痛(主に後頭部痛)、頭重感

肩こり(主に頚部のこり)

耳鳴、眼精疲労、イライラ、易怒性

不眠、顔面紅潮、眼球充血、口が苦い

などの症候があります。

めまいは乗り物の中で座っているときのような感じで、激しいときは悪心や嘔吐が生じることもあります。

 

治療法:「滋陰平肝潜陽」

肝陽の抑制と肝腎の陰の滋養により陰陽を調整し、これによって風気の内動を止める。

漢方:鎮肝熄風湯・天麻鈎藤飲など

 

 

 

タイプ2Part1 栄養物質が不足するもの

 

体が元々虚弱体質・過労・食生活の不摂生・疲れやすい

     ↓

脾胃の機能が低下して、原料があっても気や血に作り変える力が足りず、消耗されてしまう。

気と血は脾胃という臓器で作られます。

     ↓

消化・吸収能力が低下する。

     ↓

脾には良いエネルギーを上に持ち上げる作用があります。

その作用が低下してしまった結果めまいが発症してしまうケースです。

(滋養物質である「清陽」が上昇せず、脳や髄が十分に満たされない)

 

症状

・ 全身倦怠感があり、無理をするとめまいが起こる

・ 横になると症状が軽減する

・ 眠気 ・ 話すのがおっくう

・ 食欲不振

・ 便秘あるいは下痢

・ 低血圧

  など

 

症状別タイプでいうと中医学では「気血両虚」となります。

 

治療法:「益気養血」

気血を補益し、清陽を昇提する。これによって髄海を補益してめまいを止める。

漢方:帰脾湯・補中益気湯・十全大補湯・四物湯など

 

 

タイプ2Part2 栄養物質が不足するもの

 

老化・長期の不眠・慢性病による基本物質の消耗・過度のセックスなど

     ↓

脳の活動に必要な髄を十分満たすことができない。

     ↓

脳の機能低下を招き耐えず、たえずめまいが起こる。

 

症状

・ 夕方になるとめまいがひどくなる

・ 耳鳴りを伴う

・ 腰や膝がだるい

・ 尿の量が少ないが、トイレに行く回数は多い

・ 夜間尿が多い

・ 手足がほてる

・ のぼせやすい

・ 膝や下肢が冷えて痛む

・ 顔色が悪い

  など

 

症状別タイプでいうと中医学では「腎精不足証」となります。

 

治療法:「滋補腎精」

腎精を滋養し、脳髄を滋養してめまいを止める。

漢方:六味地黄湯・知柏地黄湯など

のぼせなどがひどい場合:左帰丸・左帰飲など

冷えがひどい場合:右帰丸・右帰飲・真武湯など

 

 

タイプ3 栄養物質の流れが行き届かない場合

冷たいものや生ものの食べすぎ・油もの・辛いもの・過度の飲酒

     ↓

食生活のアンバランスが長期間続くと・・・

     ↓

体に必要のない水分が停滞する。これが集まって変化した粘液性の病因物質を痰濁といいます。

     ↓

痰濁が滋養物質の通り道(三焦)をふさぐ

     ↓

滋養物質である「清陽」が昇れず、脳の滋養が不足して、機能が低下し、めまいが発症する。

 

症状

・ 頭重感があり、回転性のめまいがある。(宙に浮いた感じの場合もある) ・ 胸苦しく、胃がつかえる

・ 食欲がわかない ・ 手足が重い

・ よく眠気がさす(特に食後に眠くなる)

・ 疲れやすい

・ 足の冷え

などの症状があり、 動くとめまいがひどくなる。

多くは頭痛、悪心を伴い、激しい時は月に何回か嘔吐を伴う発作性のめまいや頭痛をきたす。天気が悪くなるとこれらの症状が悪化するのが、このタイプの特徴です。

 

治療法:「燥湿化痰」「健脾和胃」

痰濁を除去し、清空の働きを改善してめまいを止める。

胃の働きを調整し、痰濁の生成を阻止する。

漢方:黄連温胆湯・六君子湯・参苓白朮散

 

 

おおおまかにタイプ別しましたが、上記のほかに症状が複雑化している場合もあります。

例えば、タイプ1とタイプ2など、個々のご症状を細かく伺うことによって治療法を導きだしていくのが、中医学になります。ですから、オーダーメイド治療ということです。

少し理解して頂けたでしょうか。

では次にめまいの食養生について明記したいと思います。

 

 

オケラ(白朮)

栄養物質の流れが行き届かないタイプ③の方にお薦めです●

 

山野に自生するキク科の多年草、オケラの根茎を生薬名 「白朮」といいます。

健胃、滋養、利尿の働きが有り、芳香性健胃剤、利尿剤として漢方薬や民間薬で用いられます。胃内停水といって胃の中で水がポチャポチャしている状態を改善し、水毒としてのめまいに効果 があります。

オケラを用いた漢方薬:苓桂朮甘湯、沢瀉湯等

 

 

オニノヤガラ(天麻)

栄養物質が必要以上に多くなるタイプ1の方にお薦めです●

 

雑木林の木陰に生える草丈約1メートルのラン科の多年草。 地中の塊茎で、ナラタケの菌糸と共生して栄養分を作るため、 地上部には葉緑素はなく、赤っぽい棒状の様子が「鬼の矢柄」 と呼ばれています。根茎を乾燥させた物を「天麻」といい、めまいや頭痛の主薬として漢方薬に処方されます。主に内風と呼ばれる動揺感、めまい、痙攣等に対して用いられます。中国の食品を扱う店では、天麻とプーアル茶をブレンドしたティーパック式の物も売られています。

天麻を用いた漢方薬:半夏白朮天麻湯

また食品としては…

例えば、苦瓜を炒めたもの。苦瓜は性質が寒で味が苦いのでよく瀉出し、清熱します。熱のため、口が渇く、煩悶状態、目の充血、暑気があるときなどに有用です。

牛・豚・鳥・魚などの内臓、海藻類、セロリ、ピーマン、パセリ、ウドなどの苦味の野菜類、グレープフルーツなどの苦味の強い果 物など。

 

 

イチョウ

栄養物質が不足するタイプ②の「腎」の臓器と関係がある方にお薦めです●

 

イチョウの祖先は、古生代から存在していると言われ、「生きた化石」として知られています。近年になってイチョウのないドイツ・フランスでイチョウの葉の研究が進み、日本から大量 のイチョウの葉を輸入して、循環器の薬として利用されています。血管を丈夫にする働きがある事から老人性のめまい、耳鳴りなどへの応用が注目されています。

 

 

煎じ方、飲み方◆

511月の緑の葉を採取します。汚れをよく水で洗い、45日間陰干しにします。

方法1

1日1020グラムを目安に、水1リットルで煎じます。沸騰後はすぐに火を止め、そのまま置き、15分たったら葉を捨てます。これを1日、34回に分けて飲みます。(煎じ過ぎると、余分な成分が出るので、煎じ過ぎないようにする事)

方法2

紅茶や緑茶のように茶こし半分位のイチョウの葉(細く切った物)を入れ 熱湯を注ぎ、2~3分たって飲みます。

また食品としては…

ゴマ・黒豆などは常に食用に使うとよい。その他にスッポンなど

 

 

栄養物質が不足するタイプ2の「脾」と関係がある方にお薦めの食品●

 

味は甘味のもので、温性を持ったもので気や血を補養する食物を摂取することが大事になります。

ナツメ・山芋・麦芽糖・枸杞の実・竜眼・など

 

 

めまいひとつ取り上げても様々なタイプがあることがお分かり頂けたでしょうか?

当治療院は、お一人お一人の症状に合った鍼灸治療法を行い、漢方、食生活などのアドバイスもさせて頂きます。

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/02/20
悪心・嘔吐

悪心とは、のどから胸、胃にかけて感じられる嘔吐が起こりそうな不快な感覚を言います。

嘔吐とは、胃や腸の中身が口から吐き出される現象を言います。

悪心・嘔吐には、唾液がたくさん出てくる冷や汗、顔色が青白くなる、めまい、頻脈、低血圧、脱力感、疲労感などの症状が一緒に出てくることが多いです。

 

悪心・嘔吐は色々な病気で起きますが、その起こり方はいずれの場合もある病気の場所から脳の延髄にある嘔吐中枢と呼ばれる場所に、直接、あるいは化学受容器引金帯と呼ばれる場所を経由して嘔吐中枢に異常が伝えられ、今度は嘔吐中枢から胃、食道、横隔膜、腹の筋肉に命令が伝えられます。

嘔吐中枢から命令が伝えられますと、まず胃の出口がしまり、胃の内容物が下へ行かないようになり、同時に食道と胃の入り口が緩みます。

次に横隔膜、腹の筋肉が激しく縮んで腹の圧力が高くなって胃の内容物が緩んだ胃の入り口、食道を通 って口に搾り出されます。

 

嘔吐中枢を刺激するような病気は色々ありますが、医学では次のような三種類に分けられます。

 

1・中枢性嘔吐

 

a・

脳の色々な病気、特に脳の内圧が高くなるような場合(脳の外傷、あるいは脳卒中で脳にむくみや血液が溜まったとき、脳腫瘍等)

 

 

b・

心因性といって特に病気がなく精神的なもので起きます。

 

2・反射性嘔吐

 

a・

内臓の病気、胃、腸、胆のう、膵臓、肝臓の病気(代表的な病気は腸閉塞、胆石、幽門狭窄等)

 

 

b・

内臓以外でも、心筋梗塞、尿管結石、子宮外妊娠等、激しい痛みがある場合にも起きます。

 

 

c・

嫌な臭い、嫌いな、特に残酷なものを見たときに起こります。

 

3・化学受容器引金帯を経由する嘔吐

 

a・

体内の有害物質が血液中に増えたとき。例えば尿毒症、糖尿病昏睡のまえぶれ、つわり等の場合。

 

 

b・

めまい、船酔い等、感覚器官の異常の場合。

 

 

c・

薬、治療用の放射線照射、アルコール等によって起こります。

 

 

代表的な嘔吐を伴う病気

 

1・中枢性嘔吐

 

  ・くも膜下出血

 

くも膜下出血はいわゆる脳卒中と呼ばれる病気のうちの一つです。(脳卒中のは他に脳出血や脳梗塞があります)

くも膜下出血のほとんどは脳の血管(動脈)に知らないうちにこぶが出来ていて、ある日突然にこれが破裂して、頭の中に出血することにより起こります。

このこぶのことを脳動脈瘤といいます。

突然に起こる頭痛と嘔吐が特徴です。頭をハンマーで叩かれた様だとか、いまだかつて感じたことのないほどの痛みだなどと表現されます。

また、出血が強いときは、こん睡状態になることもしばしばです。

大変重とくな病気で早期発見が難しく、一度脳動脈瘤が破裂するとほぼ高い確率で再度破裂します。医師の適切な処置が不可欠です。

 

2・反射性嘔吐

 

  ・腸閉塞(イレウス)

 

腸閉塞とは食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞った状態、すなわち内容物が腸に詰まった状態を言います。

腸が拡張して張ってくるため、お腹が張って痛くなり、肛門の方向へすすめなくなった腸の内容物が口の方向に逆流して吐き気を催し嘔吐したりします。

原因が腸の外側にある場合と内側にある場合があります。

腸の外側に原因がある場合とは、腸が外側から圧迫されたりねじれたりする場合です。腹部を切る開腹手術を受けたことがある患者さんでは、腸と腹壁、腸同士の癒着が起こりますが、癒着の部分を中心に腸が折れ曲がったり、ねじれたり、癒着部分でほかの腸を圧迫されたりして腸が詰まる場合が一般 的です。

まれに腸自体が自然にねじれて詰まることもあります。(腸捻転)

腸自体が圧迫されたりねじれたりするだけでなく、腸に酸素や栄養分を送る血管が入った膜(腸間膜)も、圧迫されたりねじれたりして、血流障害を起こしたものを絞扼性腸閉塞と言います。

腸の内側に問題がある場合としては、大腸ガンによる閉塞があり、高齢者で便秘傾向の人では、硬くなった便自体も腸閉塞の原因になります。

症状の現れ方は、突然激しい腹痛と吐き気、嘔吐が起こります。

嘔吐の吐物は、最初は胃液(白色から透明ですっぱい)、胆汁(黄色で苦い)ですが、進行すると腸の奥から逆流してきた腸の内容物となり、下痢便のような色合いで便臭を伴うようになります。(吐糞症)

自然に治ることはないので早めに病院で受診する必要があります。

 

  ・急性胃炎

 

急性胃炎は様々な原因によって引き起こされる胃の急性症状の総称です。

ほとんどの例で上腹部の自覚症状を伴いますが、原因が取り除かれると回復も早いのが特徴です。

飲食物、薬剤、ストレスにもとずくものが多く見られます。

そのほか、アルコール、外傷、外科手術、ピロリ菌の感染、アニサキス症の際にも急性胃炎を生じることがしばしばあります。

一般には原因があってから短時間のうちに食欲不振、吐き気、嘔吐、上腹部の痛み、またはもたれ感などの症状が生じてくるのが特徴です。

原因がはっきりしている場合、それを除くことが急性胃炎治療の基本です。

軽症の場合は、注意深く様子を見ることで十分と思われます。

症状が強かったり、様子をみても改善がみられない場合は、内視鏡検査の可能な病院を受診して下さい。

 

3・化学受容器引金帯を経由する嘔吐

 

  ・メニエール病

 

メニエール病は、内耳の病気で繰り返すめまいに、難聴や耳鳴りを伴うものです。

一般に片側の内耳の障害ですが、時には両側とも障害されることもあります。内耳を満たしている内リンパ液が過剰になると、内リンパ水腫になりますが、この状態によってメニエール病が起こると考えられています。

しかし、この内リンパ水腫がなぜ起こるのかについては不明です。

症状は、何の誘引もなく突然回転性のめまい(ぐるぐる回る)が起こり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から片耳に耳鳴りや耳の閉塞感、難聴が起こります。

めまいを繰り返す間隔は人によって違い、数日、数週間、数ヶ月、あるいは一年に一回など様々です。

めまいが激しいときはこれらの症状以外にも吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などが起こります。

治療には、めまいを軽くする抗めまい剤や、内リンパ水腫を軽減する薬が使用されます。

しかし、メニエール病は難病に指定されている病気で、完全に治すことが困難な場合も少なくありません。

めまい発作はメニエール病に限らず他の生命に関わる病気かもしれないので、至急専門医の診療を受けてください。

 

悪心・嘔吐はからだの変調を示すサインのようなものです。他に症状を伴ったり長引いたりするようならば、一度専門医に診てもらい、適切な治療をあおいで下さい。

尚、上記した病気はほんの一例ですので参考までにしてください。

 

 

 

中医学でみる悪心・嘔吐

 

中医学においても吐き気を催すことを悪心と言います。

また有声無物(ゲェーッと声を出すこと)を嘔といい、有物無声(物を吐き出すこと)を吐といいます。

 

嘔吐の説明の前に簡単に中医学の基本的な生体観を説明していきます。

 

~気・血・水~

気-

気とは物質であり、人が生理活動をする上での重要なエネルギー源です。物質ゆえに消耗したり補充したりすることが出来ます。

また運動性も持ち合わせており、「昇降出入」という働きがあります。「昇降出入」とは気の運動形式のことで、昇ったり降りたりする上下方向の運動と、発散したり収納したりする出入方向の運動が基本になっているということです。

よって、気は物質でありながら運動性を持っているのです。

また、気が不足して病気になってしまうことを気虚と呼び、気が1ヵ所に滞って流れが悪くなって病気になってしまうことを気滞と呼びます。

気の具体的な生理作用には、人体各部を栄養する栄養作用、内蔵の活動を促進したり、体内の流れを推進したりする推動作用、内臓を温め活動を促進したり体温を維持する温く作用、体表を保護し、外から侵入してくるものを防いだり侵入してきたものと闘ったりする防御作用、人体を構成している水分や血液が外に漏れ出ないようにする固摂作用、体内の物質を変化させたり代謝を行う気化作用などがあります。

 

血-

血とは、体内を流れる赤色の液体で、人体を構成し生命活動を維持する基本的物質です。

現代医学でいう血液とは、似ていますがイコールではありません。

中医学で血の作用は全身を栄養し潤すことです。

例えば顔が赤くつややかだったり、肌がふくよかで皮膚や髪の毛が潤って光沢があるのも、あるいは目などの感覚器や筋肉などの運動器が円滑に働くのも血の充足のおかげなのです。

他にも、血は精神活動を支える栄養源になっており、血が足りなくなると精神的な症状(失眠、健忘、昏迷、不安など)が現れます。

 

水-

水とは人体中の正常な水分の総称です。

その中には唾液や涙、汗といったものも含まれます。

水の作用は体表部(皮膚や汗腺など)から体内深部(脳や骨、関節や内臓など)を潤します。また、水は血を作るうえでも重要な成分になっています。

 

~臓・腑~

臓-

臓とは五臓とも呼ばれ、肝、心、脾、肺、腎という実質性臓器のことを指し、主な働きは、気、血、水の生成と貯蔵を担います。

 

腑-

腑とは六腑とも呼ばれ胃、大腸、小腸、膀胱、胆、三焦という中空性臓器のことを指します。主な働きは、飲食物の消化をし、身体に必要なものは五臓に渡し、不必要なものは排泄します。

 

 

~病因の分類~

 

病因とは、身体が病気になる原因を言います。

病因の分類には、外因(六淫)、内因(七情)、不内外因(外因、内因以   外の原因)の三つに分類されます。

ただし、現代中医学では外感と内傷の二つに分類する方法をとっています。

外感には、六淫、疫痢、外傷、虫獣傷、寄生虫等が含まれ、内傷には精神素因の七情と生活素因である飲食と労逸、および内生素因である痰飲とお血が含まれます。

六淫-

六淫とは外邪とも呼ばれ、体の外から体の中に入ってきて病気を発生させるものです。

六種類の外邪があり、それぞれ風、暑、湿、燥、寒、火(熱)があります。

 

七情-

七情とは、喜、怒、思、憂、悲、恐、驚の七種類の感情です。

これらの感情が激しすぎたり、長期にわたって精神を刺激することで、臓腑気血の働きを悪くしてしまい病気が発生します。

 

飲食と労逸-

生活習慣の乱れがそのまま病気に発展していく場合もあります。

食べ過ぎや栄養失調、食の偏り、不潔なものを食べるなどから、働きすぎや休息のとりすぎでも起こります。

 

痰飲とお血-

痰飲とは、水分代謝がうまくいかなくなり一ヶ所に停滞して出来てしまった異常体液です。

お血とは、血の流れが悪くなり停滞してしまったものをいいます。これらが体内に出来てしまうと気や血、水の流れが悪くなり、臓腑に影響を与えて病気が発生します。

 

~経絡~

 

経絡とは、気・血が流れる通路で体内に網目のように張り巡らされています。

かく臓腑に対応しており、大きなものは14本になります。

簡単にではありますが、中医学の基本的な生体観を上記しました。

 

 

これから悪心・嘔吐が起こる過程を説明していきます 。

 

 

正常な状態での消化吸収のメカニズム

 

中医学では、消化吸収は脾・胃が協力しあって行い、肝がその調節をしています。

 

胃の働き

・食べ物を受け取ります。

・もみ砕いて細かくします。

・下(小腸)へ送ります。…胃気の方向は下になります。

 

脾の働き

・食べ物、水分から栄養素を取り出します。

・その栄養素を上に持ち上げます。…脾気の方向は上になります。

 

肝の働き

・気の流れを調節します。

・消化を助けます。(胆汁の分泌と排泄)

・感情のコントロール

 

これらの働きが低下してしまうと悪心・嘔吐につながります。

 

ではタイプ別に説明していきます。

 

1・外邪を受けたことによるタイプ

 <要因>

 

季節や気候の影響を受けたり風邪を引くなど

外邪としては風、寒、湿などがあります。

これらが胃を攻撃しますと胃気が下に降りられず、吐き気・嘔吐が出ます。

 

 <症状>

 

突然嘔吐します。

頭や身体が痛くなる、発熱、悪寒を伴います。

 

2・飲食が停滞してしまっているタイプ

 <要因>

 

食べすぎ、飲みすぎ

油っこいもののとりすぎ

不衛生なものを食べる   など

 

 <症状>

 

酸っぱいものを嘔吐します。

お腹が張る、げっぷが出る、食べたくない、吐くと楽になるなどの症状を伴います。

 

3・余分な水分(痰飲)が溜まってしまっているタイプ

 <要因>

 

食べすぎ、飲みすぎ

胃腸が弱い

夜中に食べる

よく思い悩む…七情のうち思は脾を傷めます。

脾胃が元気に働けないと、水分をうまく代謝することが出来ず痰飲をつくってしまい、吐き気・嘔吐の原因になってしまいます。

 

 <症状>

 

このタイプの多くは水のようなものを吐きます。

めまい、動悸などを伴うことがあります。

 

4・気の流れが滞ってしまっているタイプ

 <要因>

 

イライラする

よく怒る

ストレスが大きい

緊張しやすい、あるいは緊張が続いている

よく人に気を遣う           など

肝はストレスに弱く気を流す働きが低下するので、気の流れが滞ってしまいます。それが脾、胃に影響すると吐き気・嘔吐につながります。

 

 <症状>

 

酸っぱいものを嘔吐します。

胸や脇が張る、ゲップがでる、ため息が多いなどを伴います。

 

5・胃腸が冷えているタイプ

 <要因>

 

普段から冷たいものをとっている

冷えやすい体質

胃腸が弱い           など

手足が冷えると動きづらくなるように、胃腸も冷えると元気に働けなくなります。そして脾、胃が十分に働けないと、食べ物を受け入れて消化することが出来ず、吐き気、嘔吐の症状が出てしまいます。

 

 <症状>

 

手足が冷たい

便がゆるい、下痢しやすいなどを伴います。

 

6・胃の陰液(潤して冷ます働きのあるもの)が足りないタイプ

 <要因>

 

辛いもの、味の濃いもの、油っこいものを良く食べる

慢性病で陰液が不足している

慢性の炎症が続いている(慢性胃炎など)

 

 <症状>

 

何もなくても吐き気がします

また、良くなったり、嘔吐したりを繰り返します

口や喉が渇く、胸焼けがする、空腹感はあっても食欲はない

お小水が濃い、舌が赤いなどを伴います

 

 

以上が大まかなタイプになりますが、タイプ別に適切な治療を行っていきます。中医学では器質的に異常のないものや、医者に原因が不明といわれたものに対してより効果 を発揮します。なかなか症状の改善しない悪心・嘔吐に苦しんでいる方は、当院までお気軽にご相談ください。

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