コラム

2019/03/11
【内科疾患】リウマチについて

慢性関節リウマチについて

 

青年、中年に多発し、関節障害の多くは対称性で、手足の指などの小関節あるいは脊椎関節が侵されることが多い疾患です。

脊椎関節が侵された場合、通常、まず仙腸関節が影響を受けます。発症の大部分は緩慢で急性発作の症例も少数みられます。

急性発作時には発熱、関節部の発赤・腫脹があります。初期には、遊走性を呈するが、慢性に経過し、進行すれば関節は強直、変形し、指関節は紡錘形に腫大します。筋萎縮と腱攣縮などの症状があります。

◎ 白血球数…やや増加

◎ 血沈…亢進

◎ ALSO(連鎖球菌による感染)…抗体価に異常など

風邪・肝炎・リウマチ熱などで高値に出ます。

 

 

★慢性関節リューマチ(RA)の診断基準★

 

1 朝のこわばりが1時間以上持続する状態が、6時間以上続いている。

2 3箇所以上の部位で関節が腫れている状態が6時間以上続いている。

3 手首の関節、手掌の関節、手指の関節のうち一箇所異常が腫れている状態が、6週間以上続いている。

4 左右対称性の関節炎症が起きている状態が6時間以上続いている。

5 皮下結節が認められる。

6 血液検査(RAテスト)による血清リウマトイド因子が陽性となる。

7 手指・手関節のX線所見で変形が認められる。

 

上記7項目のうち、4項目以上に該当した場合に、慢性関節リューマチと診断されます。

 

 

★中医学的慢性関節リューマチの捉え方★

中医学では、体の活動に必要な物質がうまく流れなくなるために、関節や関節に附属する組織が栄養不足の状態となっておこる病気と考え、診断と治療を行います。

 

 

★西洋医学的治療法★

基礎療法…精神や肉体の適度な運動と安静、バランスのとれた食事などが大事になります。

薬物療法…非ステロイド抗炎症剤・副腎皮質ステロイド剤の投与など。

運動療法…関節の変形や筋力低下をふせぐ為に行います。

 

 

★中医学的考え方★

中医学では、人体は気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)という成分により構成されていると考えます。

気は生体エネルギー、血は血液、津液は血液の構成成分でもある正常な体液成分と考えて下さい。

これらの成分がバランスよく、心身に充分満たされ、うまく働くことで、人体は健康を維持できると考えます。

 

「気・血・津液」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのが臓腑になります。西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・津液」が深く関わってきます。西洋医学と全く同じ役割分担ではないため、違う角度から治療できる訳です。

中医学では、病名だけでなく、その症状や体格・体質(「証」といいます)をみてツボを決定します。その証に応じて症状の改善することを中心にツボを組み合わせていきます。

慢性関節リューマチは、病態が多彩であり、その経過も個人差が大きい疾患であるため、個別 的な対応が必要になってきます。

 

 

★生活環境と深い関わりのある慢性関節リューマチ★

病を引き起こす原因には、中医学では「内因」「外因」「不内外因」の3種類があります。

その中で関節リウマチは、「外因」が原因となります。

病を引き起こす原因が外部から発生するものと深い関わりがあると考えています。

これを六淫(りくいん)外邪といいます。

 

ここで少し六淫について説明させて頂きます。

自然界の気候変化には「風」「寒」「湿」「暑(熱)」「燥」「火」があり、その気は万物を発生・変化させる正気(六気)と呼ばれています。

そしてこの六気が人体の適応力や抵抗力が衰えている時などに、人体に発病因子となって疾病を発生させます。

このように六気が病を引き起こす邪氣に変わったものを六淫(外邪)といいます。

 

 

★慢性関節リューマチと関わりの深い臓腑とは★

外因の影響によってはじまる慢性関節リウマチは、急性で激しい症状を示します。しかし、時間の経過とともに体の衰えが進むと外因である風・寒・湿・熱邪などの邪氣が臓腑まで侵入し、免疫能力の異常や抵抗力がさらに低下し、慢性化して肢体の変形や機能障害をもたらします。

 

「腎」…生命の源である「精」や体を温める「陽気」をつくり、全身の水分代謝をコントロールします。

陽気が慢性的に不足すると冷えが体内に入りやすくなります。

 

「肝」…血を蓄え、血の流れを調節します。

 

「脾」…湿邪と関係の深い臓腑で湿邪は痰濁(病理水分)に生まれ変わり、血の流れが滞って生まれる「オ血」と結びついて、骨や関節に付着して固まりやすくなります。

 

主に上記の3つの臓腑がアンバランスになり、曲げ伸ばしが難しくなって、痛みや痺れが激しくなる傾向になります。

 

 

★病気の原因★

人間は適度な運動により気の流れを良くし、汗をかき、陽気が体内にこもらないようにする必要があります。夏はどうしてもちょっと動けば汗をかきます。気温が高く身体が熱を持ちやすくなりますから、発汗することで熱をにがしているわけです。そのため夏などは汗腺(中医学では溱理といいます)が開きがちになっています。

溱理が開いていることは逆に外邪が進入しやすくなっているというマイナス面 があります。これに生気不足(正気とは生体の臓腑・経絡・気血の機能を正常に保ち病邪に抵抗し、損傷を回復させる能力を指しています)が加わるとリウマチ性関節炎になりやすいと考えます。

生まれつき体の弱い人や、大きな病気あるいは慢性病にかかって体が弱っている人は、気や血が不足した「気血不足」の状態にあります。

皮膚の抵抗力が弱く、気候や環境の影響を受けやすい為、わずかな変化にも対応することができません。

その為、病邪が簡単に侵入して関節リウマチを発病しやすいと考えます。

つまりクーラーがきいていて夏にそぐわない風寒邪が沢山ある環境や、過労による疲労後に汗をかいて風に当たったり、雨に濡れたり、多湿の環境で長い間仕事を行ったりすると、容易にこの風・寒・湿の邪氣が溱理から侵入してしまいます。暑い外からクーラーのきいている室内に入るとホッとするのは事実ですが、実は汗をかくために思いっきり開いている溱理から一気に風寒邪が侵入する絶好のチャンスを与えていることになるのです。

風寒邪というのは風邪と寒邪がくっついたものです。

気血の流れを停滞させたり、凝固させたりします。

これらの外邪が入ることで、風邪を引いたり、関節の痛みを起こしたり、お腹が痛くなったりと実に様々な症状を引き起こします。

関節リウマチは気血が滞る為に痺れ、筋肉や関節が長時間滋養されないために変形が起こるのです。

 

 

★中医学的慢性関節リューマチのタイプと治療方法★

 

風痺(行痺)風邪盛ん

( 遊走性の痛みが特徴です )

症状

●関節部の疼痛、遊走性の疼痛、関節の屈伸不利

関節部の疼痛はどのタイプにも共通する症状で疼痛部位が一定しない。

これは風寒湿邪が経絡に残留し、気血の流れが悪くなるとおこる。

●悪寒 発熱

●舌苔薄白 脈浮

治則:疏風

漢方:「防風湯」「疎経活血湯」

治法:去風通絡 散寒袪湿

 

 

湿痺(着痺)湿邪が盛ん

(全身や肢体に重だるい感覚があり、疼痛を感じ知覚麻痺になりやすいのが特徴です)

しびれ、浮腫、舌苔は賦、脈は濡緩などの症状がある。

●雨天に増強しやすい。

雨天は湿気が多くなり、気血の運行がいっそう悪くなるので起こります。

漢方:薏苡仁湯加減

治法:去湿通絡 去風散寒

 

 

寒痺(痛痺)寒邪が盛ん

( 一定の場所が痛む固定性の痛みが特徴です )

●患部が冷えて痛む、疼痛は固定性、寒冷刺激により変化

寒邪は陰邪であり、凝滞性がある。

寒邪が経絡を阻滞させて気血が凝滞すると固定性の疼痛がおこります。

冷やすと凝滞がひどくなるので疼痛は増強し、温めると気血の流れが改善するので疼痛は軽減する。

舌苔は薄白・脈は弦緊などの症状がある。

漢方:鳥頭湯加減

治法:温経散寒 去風去湿

 

 

熱痺

( 局所に発赤・腫脹・熱感・疼痛があるのが特徴です )

触れると疼痛が激しくなり、全身の熱感、口内乾燥感・赤色尿・便秘・舌苔は黄賦、脈 数などの症状がある。

風熱の邪に湿邪がからんで人体に侵襲し、経絡や関節に阻滞し、その為に気血の流れが阻 滞するのがこのタイプになります。

あるいは「風」「寒」「湿」の邪が長期にわたって改善されないと熱に変化し、発熱・汗か いても熱が下がらないなどの症状がでてきます。

漢方:白虎加桂枝湯加減

治法:清熱利湿 去風活血

 

 

 

★食事・運動・日常生活の注意★

 

青身魚に多いエイコサペンタエンサンには抗炎症作用があると言われています。

いわし・さば・さんま・まぐろ・さけ等は摂取する必要があります。

鶏肉に多いコラーゲンはリウマチによいという歩行があります。皮の裏に多くくっついています。緑黄色野菜も良いとされています。

 

運動はやりすぎて悪くなる人より、使わなくて悪くなる人のほうがはるかに多いのです。

リウマチ体操は入浴後にあたためた後に行うと、運動がしやすく、効果 的です。

 

日常生活の注意点として邪氣の侵入を防ぐことが重要です。

そのためには湿度の高い場所を避ける。

寒暖の差、気候の変化に敏感になって身体を冷やしすぎないように気をつけましょう。

直接クーラーが当たる場所は注意して下さい。

冷たい飲み物も控えましょう。

当院の「ためになる話」に食品の性質表がありますので、ご参考に開いて見て下さい。

自分の体質を把握して予防していくことも大切です。

 

 

家庭療法

生姜湯シップを15分ほど、隔日に一回当てて血行をよくする。

もし生姜湯シップが強すぎるときには、温シップでもよい。

またごま油に生姜をすりおろしてよく混ぜ、それを布地または綿に染み込ませ、硬化している部分にすり込むようにして、約15分間そのままにしておき、その後温かいタオルでふき取る。

 

当院は、不安やストレスから自ら病気や悪化を招くことがないように、リウマチを正しく理解してもらい守るべきことを守り、規則正しい生活を明るい前向きな気持ちで送って頂けるようにアドバイスさせて頂いております。

スタッフ一同、治療後は心も身体もリフレッシュして頂ければと願っております。

 

体質改善などのご相談はお気軽にどうぞ。

 

◎ 当院での治療をお考えへの方へ

=本来の東洋医学の治療の姿に関して一言=

 

当院では局所治療に限定せず、あくまでも身体全体の治療・お手当てを目的としております。

普段の生活状況を伺う詳細な問診や、舌の色や形などを見る舌診などを行い、中医学(東洋医学)の考えによる病状の起因診断を行い、身体の中で生じている検査などには出てこない生命活力エネルギーのバランスの失調をさぐり見つけ出し、その失調をツボ刺激で調整し、元の良い(元気な)状態へ戻すことが本来の治療のあり方です。

ゆえに、慢性の症状を1~2回の治療で治すというのは難しいです。

西洋医学で治しにくい病・症状は、中医学(東洋医学)でも治しにくいのは同じです。只、大切なのは、あくまでも違う角度・視点・診立てで、病・症状を治してゆくというところに中医学(東洋医学)の意味合いがございます。

又、ツボにはそれぞれに作用があり、更にツボを組み合わせることで、その効果 をより発揮させる事が出来ます。

しかしながら、どこの鍼灸院でもこの様な考えで治療をおこなっているわけではありません。一般 的には局所的な治療を行なっている所が多いかと思います。

この点をご理解して頂ければ幸いかと思います。

2019/03/11
【その他】倦怠について

倦怠とは、身体が疲れて動きたくなくなるという自覚症状のことです。

全身の無力感、局所のだるさ、両足の無力感、思考力低下、眼精疲労、視力低下、ふらつき、手足のふるえ、など様々な症状があります。

身体的なものだけでなく、精神的に感じるだるさも含まれます。

 

倦怠感を伴う病気には・・・

貧血、低血圧、肺結核、肝臓疾患、糖尿病、腎臓疾患、精神的疾患(うつ病など)、栄養状態不良、脱水症状、悪性腫瘍、筋神経疾患、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)、自律神経疾患、薬剤の影響、長期感染症、睡眠障害など様々あります。

 

病院で行う検査項目には・・・

体温測定、尿検査、末梢血液検査、炎症反応検査、血圧測定、肝機能測定、腎機能測定、 心電図、胸部レントゲン、糞便検査などがあります。

 

その結果、さらに詳しく調べる場合には・・・

肝臓胆嚢系検査、糖尿病検査、腎臓検査、血清総タンパク、電解質、血中薬物機能、感染に対する免疫検査、など疑われる検査を行ないます。

 

しかし、“だるさ、疲れが取れない”という症状は数値では現れにくいものです。

機械を使った検査を行わない中医学では、どのように治療していくのか説明していきます。

 

 

【中医学的な捉え方】

 

中医学では、身体を構成する“気・血・水”を十分に生成・代謝できる五臓六腑が正常に機能している状態を健康と考えます。

“気・血・水”が生成できない、正常に代謝できない、臓腑の機能が低下・失調する、原因(病因といいます)によって分類されます。

病因を見極めて治療方法を決めていくことを“弁証論治”といいます。

病因に沿って“証”(症状の進行具合、体質、気・血・水のバランス失調を見極める)が決まれば(これを弁証といいます)治療方法が決まっていきます。

病因が異なれば、治療方法も異なります。

病因を見極める方法は、四診(望診・聞診・問診・切診)といいます。

患者さんの様子を、観察し(望診)、声を聞き・発せられる臭いを嗅ぎ(聞診)、話しを聞き(問診)、患部に触れる(切診)などで判断していきます。

 

では、いくつかのタイプ(弁証)別に説明していきます。

 

 

≪脾気虚による倦怠≫

脾の働きは、大まかにいうと消化器です。解剖学的な”脾臓”そのものを指すのではなく消化に関わる機能すべてを含んでいます。

脾には、運化作用・昇清作用があります。

“運化”とは、水穀(飲食物)を消化・吸収する作用です。

これにより水穀の精微(栄養素)が作られて、身体の基本物質(エネルギー)である“気・血・水”が生成されます。

“昇清”とは、脾の気が“水穀の精微(清といいます)”を心・肺へ上らせて栄養を全身に送る働きのことです。

栄養不足、慢性疾患、労力過度、思慮過度などが原因となって脾の働きが失調すると、気血の生成が低下し、全身性の気血不足を引き起こします。

つまり、エネルギー不足=気虚という状態となります。

このタイプの場合、活動時や食後に倦怠が強く、四肢無力(手足に力が入らない状態)、食欲不振、軟便・泥状便、嗜睡(傾眠・強い眠気)などの症状を伴うことがあります。

 

(治療方針)補気健脾・・・脾気を補って気の推動機能を改善します

 

 

≪痰湿による倦怠≫

まず“痰湿”から説明します。身体の中には、多くの水分が必要です。

常に代謝されて身体を巡り、不要な水分は汗や尿などで体外に排泄されます。

冷たい物やなま物の食べ過ぎ、お酒や脂っこい物、味の濃い物の食べ過ぎなどで脾に負担をかけ、運化(消化吸収)機能が低下すると水分の代謝が出来ず“痰湿”が形成されます。つまり余計な水分が溜まった状態のことをいいます。

痰湿は、粘り気・重たい性質があり、身体を巡る気の動き阻害し、経絡の流れを阻滞させてしまいます。

充分なエネルギーが巡らず、余分なものが体内にあるために倦怠が起こります。

このタイプの場合、胸苦しい、悪心・嘔吐、胃部のつかえ、泥状便、痰が多い、身体が重だるい、下肢のむくみ、冷えなどの症状を伴うことがあります。

(治療方針)補益脾気・健運化湿・・・

脾気を補って気の推動作用を改善するとともに、運化を促して痰湿を取り除きます

 

≪腎虚による倦怠≫

腎には、体内の水分代謝をコントロールして、不必要な水分を尿として排泄させる作用があります。その他、成長・発育・生殖・老化に深くかかわる“精(生命エネルギー)”を蓄える臓器でもあります。

腎の機能が低下すると「腎虚」という状態になり、子供の場合は成長が遅れ、大人の場合は不妊・性欲減退・聴力の低下・足腰が衰える・骨がもろくなる・記憶力が低下する、などが現れます。

腎の機能が低下する原因には、虚弱体質・房事過多・加齢によるものがあります。

このタイプの場合、足腰のだるさ・無力感が顕著で、記憶力・知力の減退、眼精疲労などを伴います。

また、特に”腎陰”(人体における陰液【体を潤す栄養の有る潤滑水の様な物】の根源で、臓腑・組織を潤し、滋養する働きがあります)が低下すると寝汗、手足のほてり感、なども伴います。

または”腎陽”(人体における陽気【体を温めるエネルギー】の根源で、臓器・組織を温め・活動させる作用があります)が低下すると冷えを強く感じる、頻尿、明け方に下痢をする、なども伴います。

 

(治療方針)

腎陰虚の場合:滋補腎陰・・・腎陰を滋養して虚熱を抑えます

腎陽虚の場合:温補腎陽・・・腎陽を補い、全身を温めて改善します

 

 

≪心脾両虚による倦怠≫

心は、血液を全身に送り出すポンプ作用のほか、脳の働きの一部を担っていて、情緒や感情といった「こころ」とも関係が深い臓器です。

心の機能が充実していると、精神状態が穏やかで、情緒も安定して、思考能力も活発になります。

心の機能が低下すると、動悸や脈の乱れが起こると同時に、不安感・不眠・夢を多く見る・驚きやすい、など精神面 の症状も現れます。

脾の機能低下と、心の機能低下は相互に影響しあって”心脾両虚”に発展し、消化活動と精神活動をともに低下させてしまいます。

脾気が低下して、運化機能が衰えると血の生成不足を引き起こし、心血も不足してきます。

また、思慮過度により心血が消耗されると、脾を滋養できなくなり運化機能にまで影響が及びます。

このタイプの場合、脾気虚にみられる症状のほかに精神疲労を伴い、動悸、不眠、多夢、精神不安なども現れます。

(治療方針)補益心脾・益気養血・・・

脾気を補って気虚を改善し血の生成を促し、心血を補って精神状態の安定を図ります

 

≪食養生≫

いずれのタイプも、「気」が不足しています。気を補う食材を積極的に取り入れて下さい。

●豆類・・・大豆、枝豆

●ネバネバしたもの・・・オクラ、長いも、わかめ、納豆

●香りのもの・・・青じそ、生姜、みょうが、セロリ、にんにく、玉 ねぎ

●その他・・・梅干し、しじみ、いか、うなぎ、ごま、酢など

 

余分な「水分」を出す食べ物

●きゅうり、とうがん、とうもろこし、香り野菜、豆類(小豆)、そば、海草など

 

身体を「温める」食べ物

●かぼちゃ、にら、ねぎ、にんにく、生姜、赤唐辛子など

 

生命エネルギーを高める食べ物

●黒豆、大豆、ごま、くるみ、昆布、小魚、えび、長いもなど

 

その他、青魚(いわし、さんま、さば)は血行を良くしてくれます。

 

2019/03/11
【その他】健忘について

<健忘について>

 

朝、持ち物を忘れて出かけてしまったり、会話の中で単語が出てこなかったりと 、「物忘れ」は誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。

人間の脳は、聞きなれない言葉や、難解な内容の事柄、また、情報量が多ければ多いほど正確に記憶できないのが普通 です。

そして、年齢を重ねれば重ねるほど、記憶力というのは減少していくものです。

これらは、自然の摂理と言えましょう。

しかし、人によっては、今までとても簡単に記憶できた単純なことが記憶できなくなったり、数日前の大きな出来事が思い出せないといったことが、起こりうることがあります。

 

今回は、物忘れを主症状とする「健忘症(けんぼうしょう)」について述べていきます。

 

 

<現代医学的にみた健忘症>

まずは、現代医学的にみた健忘症について述べていきます。

 

◆健忘症とは

健忘は、記憶障害のうち、特に言語で表現できる種類のもの(宣言的記憶)が障害された状態を指します。

簡単に言ってしまえば「物忘れ」ということになりますが、物忘れというのは、誰しもあるもので、実際に健忘症とは、より病的な物忘れを指します。

 

健忘症は、記憶がぬけ落ちている状態の時間的な関係や内容により、次のように分類されています。

 

・時間的な関係による分類

物忘れと言うと、一度覚えたことを思い出せないといったことを想像するかと思いますが、物事が覚えられないといったことも含まれます。

 

- 前向性健忘

発症以降の記憶が抜け落ちた状態です。物事を新しく覚えることのできない障害です。

 

- 逆向性健忘

発症より昔の記憶が抜け落ちた状態です。記憶を呼び出す想起の障害です。

 

 

・思い出せない記憶の内容による分類

- 全健忘

健忘の期間内の記憶すべてが思い出せない状態です。

 

- 部分健忘

期間内の記憶のうち、思い出せるものと思い出せないものが混在した状態です。

 

◆アルツハイマー病との違い

最近よく聞く病名でアルツハイマー病という病気を聞いたことがあるかと思います。

メディアでもよく取り上げられており、アルツハイマー病がテーマとなっている映画やドラマもあることから、一つの社会現象とも言える病気だと思います。

主症状が病的な物忘れということから、「アルツハイマー病」=「健忘症」と思われている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、実は「アルツハイマー病」と「健忘症」は異なった病気なのです。

 

・アルツハイマー病

アルツハイマー病は、進行性の局部的な脳の変異が認められる病気です。

コンピューター断層撮影(CT)検査や磁気共鳴画像(MRI)検査といった、脳の形態をみる検査で、異常が認められます。

 

・健忘症

一方、健忘症は、進行性の局部的な脳の変異が認められず、器質的な問題がないか、あったとしても外傷によるものが、健忘症と診断されます。

 

つまり、アルツハイマー病と健忘症は、原因が全く異なる病気なのです。

 

アルツハイマー病がよく聞かれるのは、この進行性の病変を治療する有効な手段がなく、厄介な病気だからなのでしょう。

 

◆健忘症の原因

先ほども述べたとおり、健忘症は、器質的に問題がないか、あったとしても外傷によるものです。

では、健忘症の原因は何なのでしょう。

外傷性の場合は明白ですが、その他の場合は残念ながらほとんど原因は解明されていません。

 

ただ、要因の一つとして関係していると思われる物質はあるようです。

ベータアミロイドという物質で、次のような機序で健忘が発症していると考えられています。

 

 [ベータアミロイド] => 原因物質と考えられている。高齢になると増える。

     ↓

     ↓活性化させる

     ↓

 [アストロサイト] => 脳の神経細胞の周りに存在する細胞で、神経伝達の援助をしている

     ↓

 ベータアミロイドを有害なものとして認識し炎症を起こさせる

     ↓

 炎症が脳にダメージを与え萎縮させる

 

しかし、ベータアミロイドが多いからといって、必ずしもアルツハイマー病になるとは限りません。

そういったことを踏まえると、ベータアミロイドは要因の一つとして考えることはできますが、その他の要因も関係している可能性があると考えられます。

 

 

◆増加している「若年性健忘症」

 

最近、20代~30代の若者にも「聞いたことをすぐ忘れてしまう」「相手の話すことが理解できない」といった物忘れが増えているのはご存じでしょうか。

会社を辞めざるを得ないなど、深刻な症状の方もいるそうです。

健忘症であることには変わらないので、コンピューター断層撮影(CT)検査や磁気共鳴画像(MRI)検査では発見されず、周りから理解されないこともあるそうです。

 

この「若年性健忘症」ですが、やはり原因は不明ですが、生活環境や職場環境において特定のパターンがあると言われています。

 

・仕事において何でもマニュアル通りにこなす

・誰とも会話せずにパソコンのモニターにむかっている

 

などといった傾向にあると、脳に与える刺激が少なくなり、機能が徐々に低下してしまうそうです。

 

そういった意味で、適度に脳を刺激するような、生活や仕事のスタイルを心がけることも健忘症の予防としては、重要なことであると考えます。

 

 

<中医学的にみた健忘症>

では次に、中医学的に見た健忘症について述べていきます。

 

◆中医学的な健忘症の捉え方

健忘症を中医学で捉える場合、臓腑では心と腎、奇恒の腑では脳が深く関係してきます。

まずは、これらについて述べていきます。

 

・脳

中医学において、身体の構成物質である気血津液や臓腑は、生理活動に関係す る重要な要素として、馴染みの深いものですが、他にも「奇恒の腑」といわれる、臓腑と類似しているものがあります。

脳はこの「奇恒の腑」の一つとして位置付けられています。

「奇恒の腑」は、脳・髄、骨、脈、胆、女子胞を総称したもので、普通 とは異なる腑という意味になります。

これらの多くの形状は中腔であり、腑によく似ていますが、機能面では、飲食物の消化や排泄物の通 り道というわけではなく、精気を貯蔵しています。そういった意味で通 常の臓腑とは異なるものとして位置付けられています。

また、脳は別名「髄海」とも呼ばれ、骨の中にある「髄」が集まったものと考えられています。

 

現代医学における脳は、高度な中枢神経機能の活動、人の視覚、聴覚、嗅覚、感覚、思惟や記憶力などをコントロールしています。

中医学における脳は、このような生理、病理を、心、肝、腎に帰属させています。

思惟意識活動は心に、精神面については心・肝に、病理については、脳の発育不全や機能減退を腎に帰属させています。

このことから、脳の機能を維持するためには、心、肝、腎の働きが不可欠なの です。

そして、健忘においては、特に心、腎の治療が不可欠であります。

 

・心

心は、五臓の中でも、もっとも重要な臓器で、人体の生命活動の一切を統帥し主宰することから、「君主の官」とも呼ばれている臓器です。

心の機能は、先ほども述べた、脳の思惟意識活動の機能と、他に血液の循環をコントロールする機能をもちます。

 

中医学において気、血、津液が身体を構成している物質で構成されていること は、わかりやすい東洋医学理論でも説明されている通りですが、他にも、「精」と「神」という2つの生理活動に関係する物質があります。

心は、この「神」を蔵しており、この「神」が正常な思惟意識活動を維持しています。

「神」は、心の血により滋養されており、この心の血が不足することで、正常な思惟意識活動ができなくなります。

 

・腎

腎は五臓の一つで、生理機能としては、成長・発育・生殖・水液代謝を司る臓器です。

また、他にも「精」という生理活動に関係する物質を貯蔵する働きがあります。

この「精」により、骨中を流れる「髄」という物質を生み、この「髄」が集ま り、脳が形成されています。

つまり、腎が貯蔵する精(腎精)が不足することにより、脳が滋養されなくなり、脳の機能が減退し、正常な思惟意識活動ができなくなります。

 

このように、健忘症は「脳」「心」「腎」の生理作用が大きく関係します。

これを前提に健忘症の中医学的な治療についてまとめていきます。

 

 

◆中医学的な健忘症の治療

 

・心脾両虚による健忘

過度な思い悩み、過度な思考活動、肉体的疲労は、心血を消耗させます。

また、脾の機能も低下させ、血の生成不足により、心血そのものが不足します。

このような原因により、健忘症となるケースがあります。

 

 [思慮過度、労倦] ⇒ [陰血消耗] ⇒ [心脾両虚] ⇒ [心脳不足] ⇒ [健忘]

 

<随伴症状>

不眠・夢をよく見る:

心脾両虚により心血が足りない状態となると、神に影響し、精神状態の安定が保てなくなります。すると、不眠の症状が現れることがあります。

 

食欲不振:

脾の運化作用が低下することで、食物を気や血に変えて体全体に運ぶ作用が低下し、食欲が減退することがあります。

 

舌質痰・舌苔薄白:

心脾両虚により、気血が不足すると、舌自体の色は淡くなり、苔は薄くやや白い状態が見られます。

 

脈細弱:

脈は、血の不足により細くなり、気の不足により弱い状態となります。

 

<治法>

このような場合、脾の働きを高めて血の生成を促し、さらに心にも働きかけて心血を補う、補益心脾という治療を行います。

 

 

・腎精不足による健忘

房事過多や老化は、腎精を不足させ、結果、髄が減り脳を十分に栄養できなくなります。

このような原因により、健忘症となるケースがあります。

 

 [房事過多、老化] ⇒ [腎精消耗] ⇒ [腎精不足] ⇒ [心脳不足] ⇒ [健忘]

 

<随伴症状>

 

腰がだるく無力:

腎は腰の腑といわれ、腎精により腰部が滋養されています。腎精不足により、腰部が滋養されず、腰がだるく力が入らない状態になることがあります。

 

舌苔少:

腎精が不足すると、舌の苔は薄くやや白い状態が見られます。

舌自体の色については、腎精不足による陰陽の傾きにより変わってきます。

陰が不足している状態では、体内では熱が生じ、舌質紅となります。

逆に、陽が不足している状態では、体内の熱は減退し、舌質痰となります。

 

脈沈細:

腎精不足により、脈は細く、沈んだ状態となります。また、陰が不足している状態では、体内では熱が生じ、脈は早い状態となります。

逆に陽が不足している状態では、体内の熱が減退し、脈は遅い状態となります。

 

<治法>

このような場合、腎精を補い、さらに髄を補填するために、滋陰補腎という治療を行います。

 

いかがでしょう?

中医学的な健忘症の治療はご理解頂けましたでしょうか?

健忘症の場合、目には見えない原因であることも多く、このような場合は、現代医学とは違った視点で治療をするのも、有効な治療の手段であると考えます 。

 

中医学(東洋医学)全般(鍼灸・漢方・食事療法・体質改善)のご相談は、

当院までお気軽にどうぞ。

2019/03/11
【その他】受診・治療を受ける際に

●受診・治療などを受ける際に関して●

西洋医学・東洋医学を問わず受診や治療を受ける際に、自覚症状、何時から、どの様になどをメモし、また先生に伝えたいことや聞きたいことをメモをし、受診や治療を受ける際に伝えると良いです。

また、他の医院、治療院などで治療を受けてた場合はどの様な薬を頂いたか、治療を受けたかを伝えた方が良いでしょう。

そして、受け答えがはっきりしてて、自分が納得し好印象を得られた時に受診・治療を継続して受ければ良いかと思います。

説明や治療方針に納得いかず、中途半端な気持ちで受診・治療を受けると良い結果 を得られ無いケースもございます。医療は、受ける側、行う側両サイドがお互いにコミュニケーションを取って始めてよい結果 が生み出されます。

 

 

●中医学(東洋医学)の受診・治療を受ける際に関して●

さて、中医学(東洋医学)の受診・治療を受ける際に関して、参考意見を少々述べさせて頂きます。

現在、日本で行われている東洋医学特に鍼灸治療に関して様々な治療法があります。玉 石混合していると言っても過言ではないかと思います。

治療の方針がリラックスゼーション慰安的なもの(筋肉のコリをほぐしたり痛いところに鍼を打つような局所の対症療法や気分を癒す治療、体質改善や体の内部環境のアンバランスの治療を行わないもの)と病の症状改善・治すのを目的としたもの(東洋医学の理論を確りと活用し東洋医学的な診断証と言うものを判断し治療方針が出せるもの、ツボとツボの組み合わせ処方のあるもの)とかが有ります。

どちらのタイプの治療が多いかと申しますと、前記のタイプの治療を行っている所の方が、全体の割合を占めているかと思います。

試しに、ホームページを検索して頂き、幾つかのホームページを読み比べて頂ければ理解頂けるかと思います。事細かく理論や治療方針、適応症が多種多様に分かりやすく述べられ、また読まれて納得理解出来る様なページは比較的少ないかと思われます。

 

東洋医学を受診される場合、まず東洋医学に何を求めるのか、また東洋医学の治療目的がなんなのか、受診されるご自身が理解することが大切かと思います。

なぜならば、東洋医学には東洋医学の理論があり。西洋医学と違い、病気の見立てと考えが違います。

西洋医学は、細分化し検査を行い異常ヶ所や数値の異常を見つけ出すのが特徴です。それらに対しての治療が主になります。

 

東洋医学は、体内の検査数値に出てこない活力(気・血・津液)の崩れを見つけ出すのが特徴です。それらを調整し、体内の自然な体の回復力取り戻して内部環境を整えます。

ですから、まったく治療目的が違います。なので受診される方は、東洋医学の考えを有る程度理解し治療を受けることをお勧めいたします。

 

 

●中医学(東洋医学)的な治療の例をあげてみました●

例として、不妊症の方の治療に関して、一般的な医学の治療は検査を行い、器質的にどこかに問題が有るか無いかを捜し、器質的に問題が有ればそれに対して治療を行います。

しかし、器質的に問題がない場合は、なかなかこれと言っていい治療手段が見つかりません。

 

こんなときこそ中医学(東洋医学)の出番と成ります。なぜならば、再三当院のホームページ内で話してますが、病の見立てが違い検査数値とかを重視しておらず、患者様の訴え症状に重点を置いて、東洋医学的な理論に照らし合わせ症状を引き起こしている起因が体のどこで、何が、どの様にアンバランスになり崩れてしまい、体を良い状態にコントロール出来なくなったのかを捜し出し、そしてそれらを整え調整して治療を行います。要するに、体の内部環境を整えてあげる事に治療の着眼点をおいているのです。

 

冷え性は、西洋医学的な考えでは病気では御座いません。しかし当事者とっても辛い思いをしている方が沢山おります。またなかには、自分自身の体が冷えていると自覚のない方がおられます。この冷え症というものは器質的検査や数値には出てこない部分でもあります。

その分厄介かも知れませんね。ですから、人間の体は全てが検査などで解決されるものではないと言う事をご理解下さいませ。

 

例えば、女性の基礎体温に関して低温期一相から高温期二相に勢いよく上がらない場合、或いは高温期になっても体温が不安定、もしくは高温期の期間が短いなどこれらは女性ホルモンの分泌に問題があるケースが有ります。

この症状をホルモン調整剤を服用して改善される場合もございますが、なかなか改善されない場合も有ります。

なぜならば、内部環境が改善されてないから効果が出ずらいケースもあるのです。中医学(東洋医学)では、基本的に体の活力エネルギー(気、血、水)がアンバランスになって高温期が不安定になったり、高温期が短くなったりすると考えております。ゆえに、活力エネルギーの調整も大事かと思います。

 

また、その他検査に出てこない色々な症状、疾病が活力エネルギーの失調から起きていると言うことも考えられる事を認識しとくと良いかと思います。

 

 

●鍼治療の刺激に関して●

多くの治療院では、無痛のはり、細い鍼を使用と謳っているのですが・・・

無痛の鍼と言うのは、本来の意味合いは体に鍼を打つときに刺入痛が無い事を強調しているかと思うのですが、しかしいつしか世の中では、この無痛の鍼と言うものが刺激の無いものに変わってきてしまっているようです。

 

この場を借り少々説明させて頂きたいかと思います。鍼灸治療の本来の治療の形態は、鍼や灸を使い物理的な刺激を体に与え、身体上にあるツボを刺激し体に反応を起こさせる療法なのです。

なので、刺入痛が無いのは良い事だと思いますが、鍼が体表から中に入ってからも刺激が無いと言うのは如何なもんでしょうか?中国の鍼治療には、「得気」と言う言葉があります。これは鍼を受け「気」と言う活力エネルギーを得た反応です。

これは何を意味するかと言いますと、鍼を体内に刺入した際に得られる反応です。別 名響きとも言います。

この反応は、ツン、重い、けだるい、しびれる様な感覚が生じます。これらは、刺入痛とは違います。体が、病気を治そうとする生体反応なのです。良い反応です。しかしこれらの反応を得るには、実はある程度の鍼の刺激があって初めて得られる反応なのです。

 

ですから、鍼の治療効果を得るには多少なりとも刺激が無ければ、病気治療の目的に達しないと思ってくださいませ。なので刺激のない鍼治療或いは細すぎりる鍼での治療は病治療まで行き届かない可能性があります。但し感受性の非常に高い方は一概に言えませんですが・・・(リラックスを求めての治療はこの様な刺激がなくても良い場合があります)

 

また、鍼を刺入して頂くツボの位置によって反応が違ってきます。肉厚の所は、ツン、ボアンとはったような感じが出ます。

神経の近くを通ているツボには、しびれるような、だるいような感じが生じます。手足の先はしびれるような、はるような、ぼあんとした何とも表現しずらい感覚が生じます。これらは、実際に体験してみないと何とも言えない感覚です。しかし、けしてチクチクとした痛みを伴なうものでは御座いません。チクチクした様な場合は過敏痛点に刺入したか、技術的に問題があるかと思われます。

 

以上受診・治療を受ける際の何かの参考になればと存じます。

 

中医学(東洋医学・鍼灸・漢方・食養・健康茶)に関してご質問のある方は、お気軽に当院までご相談ください。

2019/03/11
【その他】書痙について

書痙とは、一般の動作には問題はないのですが、字を書こうとしたり、また書き始めたりすると手に持続性の筋肉の緊張による強張りや振るえ(振震)がおきて、書字が困難になる病気のことをいいます。

この病気は人口10人対し5名程度の発症率で頻繁にみられる病気ではないのですが、職業などで手を長期にわたり頻繁に使う人にあらわれるため、社会生活に深刻な影響を及ぼします。

 

これから、書痙について西洋医学と中医学のそれぞれの考え方から治療まで紹介していきたいとおもいます。

 

<西洋医学から書痙を考える>

 

書痙は、長い間、神経症(心因的な原因から頭痛、動悸、不眠、振るえなどをおこす疾患で精神病とは違い人格が障害されず、身体的以上は認められないもの)の一部と考えられてきました。

現在では、ジストニアという脳の障害による筋緊張異常や姿勢異常、不随意運動の一つであると認識されています。

ただ、原因が脳の障害であるとはいえ、書痙の場合は少なからず精神的な要因も関与していると考えられています。

年齢は20才~40才に多い。男性に多い。

 

また人前で字を書くときだけ手が震える神経症由来の書字困難もあります。これらは対人恐怖症の症状と考えられます。

このタイプの書字困難に対しては基本的には精神療法にて治療していきますが、状態に応じて抗不安薬や抗うつ薬を用います。

 

原因―はっきりとした原因はわかってはいないが、作家、ピアニスト、タイピストなど身体の一部を反復して長期に動かす人に多い傾向があることを考えると、過度の使用とストレスによる影響が考えられる。

発症の前に手の怪我が認められる場合もある。

 

症状―字を書く動作やピアノを弾く動作をしようとしたり、始めたりすると、手が強張り、捻じれ、振るえが出てきて動作が困難になる。

症例の25%ぐらいに反対側にも同様の症状がでることがある。

知的機能が障害されることはない。

 

治療―原因がはっきりしていないので、確実な治療法は確立していない。

対症療法として、薬物療法、ボツリヌス治療などがあり、外科的に治療して効果 があると判断されれば外科療法も選択される。

また、神経症由来の書字困難の可能性も考え、神経科、心療内科的な薬物療法(精神安定剤)や筋弛緩剤なども使用される。

指だけで持つと書痙が出るので、手全体で把握することができるような筆記用具などの装具を使用する。

 

①薬物療法― 一般的にはアーテンという抗コリン剤が使用される。

神経伝達に使われるアセチルコリンという物質を抑え、過剰な神経の興奮を抑える。

 

②ボツリヌス(ボトックス)治療―ボツリヌス菌という食中毒の原因の一つである毒素の力を利用する治療法。

緊張のある筋肉を特定して、毒素の量を調整しボツリヌス毒素を筋注射して緊張のある筋肉を麻痺させる。

ボツリヌスは美容整形でシワを取るときなどにも使われるので、使用方法を守り、ボツリヌス治療を許可された医師の下で使用されるので危険は少ない。

効果は3~4ヶ月で、繰り返し注射をする必要がある。

 

③外科療法―定位脳手術を施す。

定位脳手術とは、頭蓋骨に500円玉ぐらいの穴を開けて、予めMRIやCTで確認してある目標点を針状の装置を使い凝固させる治療法です。

手術は局所麻酔の下でおこなわれます。

随時、患者の意識はあり手の動きを確認しながら書痙をおこす神経支配ポイントを凝固させます。

手術後は10日程度の入院が必要になります。

まだ症例数も少なく、外科手術にともなう危険性もありますが、経過が良ければ根治の望める治療法です。

 

<中医学から書痙を考える>

 

※中医学のお話しをする前に、ホームページのトップページのやや下にある「わかりやすい東洋医学理論」の中の中医学の陰陽、生理観、気血水(津液)、内臓(五臓六腑)、経絡を読んでいただきたいとおもいます。

 

中医学では書痙のことを「書写痙攣(ショシャケイレン)」といいます。

素問という中医学の基本になる考えの中に「諸暴強直、皆風に属す」という文があります。

(後述しますが、この中で「風」とは痙攣、四肢のひきつりなどの意味を指します)

この意味は、「急に発病する多くの痙攣、強直は大体、風証に属する」となります。

「痙攣」は身体を「風邪」という邪気が侵した結果あらわれる症状です。

 

では、これから「風邪」が起こる原因と関係の深い臓器、病理について説明していきます。

 

中医学における健康な状態とは気血水(津液)のバランスがとれ、滞りなく流れている状態です。

病気とはその反対で気血水のバランスがくずれ、弱くなったり、強くなりすぎたり、滞ったりしている状態です。

「風邪」も身体のバランスが崩れた時に身体の中から発生したり、外から侵されたりします。

 

まず、病気の原因からお話しします。

病気の原因には内因、外因、不内外因の三つがあります。

外因とは 体外より人体を襲う病邪(邪気)のことで、六淫(ろくいん)といって、風、寒、暑、湿、燥、火(熱)があります。

 

内因とは 情志(感情)のことで、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種類の感情が、臓器の働きを悪くして気血水が正常に働けなくなり、病気になると考えます。

内風、内寒、内湿、内燥、内火の5種類あります。

 

不内外因とは食生活、労働、安逸、性生活などで、これらを節制せずバランスが悪くなると臓腑に悪影響を与えて病気になります。

 

書痙の場合は、内風、外風では「内風」が多い。

 

風邪の作用には、

①風邪は陽邪、その性は開泄、上部を侵しやすい…

②風性は善く行り数々変ず…

③風は百病の長

④風性は動を主る

などがあります。

また、中医学の古典の中にも「諸風掉眩、皆肝に属す」という言葉があり、これは全ての風証やめまいに関わるものは皆肝に属する という意味である。

このことから、古くから痙攣や振るえなど原因の風証と肝は関係が深いと考えられている。

肝の機能は

①蔵血作用…

血液の貯蔵。血液量の調節。出血予防。などの作用

②疏泄作用…

気の流れをスムーズにする。脾胃(消化吸収、栄養運搬など)の働きを促進。情志のコントロール。

胆汁の分泌、排泄。女性の排卵や月経、男性の射精をスムーズにする。

※血液を貯蔵、調節し、排卵や月経に関係することにより 肝は婦人科疾患に非常に関係の深い臓腑といえる。

これらが肝の機能です。

そして、肝と関係の深い身体との連絡では

志(精神活動)は怒る

(体)液は泪

身体は筋、その華は爪…この場合の筋とは靭帯のことであるが、この筋に血液(陰液と血液)が十分にいきわたっていれば正常に動くが、血液が少なければ、筋が栄養を失い、手足の痺れ、振動、曲げ伸ばしが不便になる。

開竅(孔)は目…肝の経絡は目に連絡している。

 

さらに、書く動作には 長時間座っていること、目を酷使することなども挙げられる。

中医学では、久視は血を傷る、久座は肉を傷る、久行は筋を傷る、久立は骨を傷る、久臥は気を傷る と言われる。

つまり、字を継続して書き続けると 久視により血を傷ってしまい、久座によって肉を傷ってしまうことになる。

 

書痙はこのように継続する姿勢や動作によって血を傷ったり、またストレスが肝に影響したりして発症すると考えます。

 

 

弁証論治(中医学診断と治療)

 

○(肝)血虚生風―生血不足、出血過多、久病により肝血が不足して筋骨が栄養できなくなった状態。

 

症状―書痙がおこる。筋肉のひきつり、振るえが起こる。

 

ストレスを溜め込みやすい、めまい、多夢、目がかすむ、顔や爪の色が悪い、月経が少ないなど。

 

治療―養血熄風(ヨウケツソクフウ)…血液を養い、風邪を自然消滅させる。

 

食べて治す―ごま、松の実、ぶどう、うなぎ、レバーなどは血虚を改善させ、肝を助けます。

 

 

○(肝)陰虚内風―房事の不摂生、久病、感情に極みや熱病などの原因により陰液が損傷し、筋骨を栄養できなくなった状態。

(陰とは津液のことで、津液は血の組成成分なので、血を消耗すると同時に津液も消耗することになる)

 

症状―書痙がおこる。筋肉のひきつり、振るえが起こる。

手足のほてり、午後に微熱でるなど。

 

治療―滋陰熄風(ジインソクフウ)…陰液を滋養し、風邪を消滅させる。

 

食べて治す―黒きくらげ、クコの実、山芋、スッポン、イカなどは陰虚を改善させ、肝を助けます。

 

※血虚生風と陰虚内風の症状は似たところがあります。これは血液の成分に津液が含まれるので血虚、陰虚共に影響し合う関係にあるからです。

 

 

○肝陽化風―肝、腎の陰虚が陽の亢進を制御できなくなるとおこる。

 

症状―書痙がおこる(痙攣、捻れなどが強くでる)。筋肉の引きつり、振るえ。症状は強めに出現。

めまい、頭痛など

 

治療―育陰潜陽、平肝熄風(イクインセンヨウ、ヘイガンソクフウ)…陰を補い、陰の力で陽を沈める。肝を整えて風邪を消滅させる。

 

食べて治す―陰虚内風と同じもの、その他にセロリ、金針菜、カニなどは肝の熱をとり、火を下げる作用があります。

 

◎まとめ

決してパソコンを打つ動作の時に手が引きつってしまうことが、すぐ書痙につながるとは考えられないが、頻繁にそのような症状がある場合は、精神的にも、身体的にも疲れているのだと自覚が必要であるとおもう。

書痙は治るまで非常に時間のかかる病気です。治療を受けるときは長期によって食事、生活を気をつけましょう。

 

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