コラム

2019/02/28
スタッフ紹介

スタッフ
篠原厳一(東京都出身)


日本工学院八王子専門学校医療カレッジ鍼灸科卒業

【資格】
はり師・きゅう師、健康管理士一般指導員、アロマテラピー検定1級、メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー、漢方アドバイザー

2019/03/11
【あいさつ】わかりやすい東洋医学理論

ここでは、皆さんが東洋医学(中医学)による疾患の説明を理解する上で、最低限必要な東洋医学(中医学)の基礎理論の説明いたします。最低限必要な基礎理論といっても、それだけで本が書けてしまう程奥深いものでありますので、ここでは概念的な説明にとどめ、詳細については各疾患の説明時に必要な範囲内で説明をいたします。

では、先ず東洋医学という言葉の意味から説明してまいりましょう。

 

 

☆ 東洋医学って何?

日本では「東洋医学」=中国で生まれた医学と思っている方も多いようですが、本来の東洋医学とは、それだけを指すものではありません。

では先ず、「東洋医学」を説明する前に、「現代医学」と「伝統医学」を簡単に紹介しましょう。

「現代医学」とは、日本でよく「西洋医学」と言われているもので、病院などで行われている最先端医療をさします。

それに対して「伝統医学」とは現代医学とは違う理論による治療を意味し、「東洋医学」もこの「伝統医学」の1つです。

つまり、「東洋医学」とは、『東洋で生まれた現代医学とは異なる理論による治療』ということになります。その中の1つに中国で生まれた医学があります。ですから、中国で生まれた医学のみを指す場合は、「中医学(中国伝統医学)」と言います。

因みに、東洋医学の中で中医学以外に有名なものとしては、皆さんも良くご存知のインドのアーユルヴェーダやチベット医学などがあります。

先程、「現代医学」のことを日本ではよく「西洋医学」と言われていると紹介しましたが、本当は「現代医学」=「西洋医学」ではありません。

なぜなら、「西洋医学」にも「伝統医学」があるからです。

皆さんも良くご存知の「アロマセラピー」や「ホミオパシ―」などが西洋の伝統医学に含まれます。ですから、病院などで受ける医学は厳密に言うと「現代西洋医学」と言います。

さて、当院では中医学による治療を基本に行っておりますので、当ホームページで東洋医学という場合は基本的には中医学を指します。

 

 

☆ 「針・灸・漢方」は全てが中医学なの?

中国で生まれた医学を「中医学」ということは理解されたと思います。

それでは、「針・灸・漢方薬」を使った治療は全て中医学だと思われますか?

答えは、『NO』です。

なぜなら、中医学で一番大事なものは『理論』なのです。確かに「針・灸・漢方」といった物は中国で生まれましたが、これらは「中医理論」の上に成り立つ治療法であります。つまり、「中医理論」に沿った「針・灸・漢方」の治療を行わなければ、それは中医鍼灸・漢方とはいえません。

 

では、ここでもう一度、いままで説明したことをまとめてみましょう。

1.本来の針・灸・漢方・は中医学理論の上に成り立つ治療法であります。

2.中医学は東洋医学に含まれており、東洋医学は伝統医学に含まれます。

3.伝統医学とは現代医学とは違う理論による治療です。

 

ここで、皆さんに一番理解して頂きたいのは、中医学と現代医学とは理論が全く違い、「針・灸・漢方」は中医理論の上に成り立つ治療法であるということです。ですから「針・灸・漢方」を現代医学に応用する事はとても有意義なことですが、現代医学の理論のみで、「針・灸・漢方」の治療を行っても、本来の効果 を100%発揮させることは出来ません。

中医学が現代医学と違う理論による医学だからこそ、病院で治らなかった病気が中医学で治ることがあるのです。逆に言えば、もし中医学が現代医学と同じ理論による医学だとしたら、病院で治せない病気は、中医学でも治せないことになるでしょう。

 

以前、当院へ次のような相談の電話がありました。

中国に転勤されていた方が体調を崩されてしまい、現地で漢方薬を処方してもらったところ、だいぶ症状が改善したそうです。その方はそれ以降も現地で漢方薬を継続して服用され、症状も落ち着いていたそうです。ところが、日本へ帰国して引き続き日本の漢方薬局で漢方薬を処方してもらっていたところ、症状が元に戻ってしまったというのです。

実はこの様な話は珍しい話ではないのです。中国では中医学の理論により漢方薬の処方をされていたのでしょうが、帰国されて行かれた薬局は中医学の理論による処方ではなかったようです。 (後ほど紹介しますが、日本には中医学に基づく中国漢方と、そうでないものがあります。)

この様に同じ漢方でも、病気を診立てる理論に違いがあると、結果が違ってきてしまうのです。

そして、このような事は、漢方薬に限らず鍼灸でも同じ事が言えるのです。

 

中医学の理論について、その大切さがおわかりになってきましたでしょうか。 では、次に中医学の基礎理論について説明をしたいと思いますが、先程も述べましたが中医学と皆さんが親しんでいる現代医学とは、基礎理論が全く異なります。最初はとまどうこともあるかと思いますが、是非、中医学的な考え方に慣れてみて下さい。

 

 

☆中医学の基礎概念

中医学も現代医学と同様に医学です。医学である以上そこにはしっかりとした学問体系や理論が存在します。医学には正常な身体の状態を考える『生理観』(現代医学では生理学や解剖学など・中医学では臓腑学や経絡経穴学や気血津液学など)というものがあり、その上に病気の成り立ちを考える『病理観』(現代医学では病理学・中医学では病因学説や病機学説)が存在します。 つまり、病気を理解するためには、まず正常な身体の仕組みや構造を理解しなければ病気を理解することは出来ません。

更に、中医学の生理観の根底は幾つかの古代中国哲学の思想により築かれております。

ですから、中医学の生理観を理解するには、それらの思想を簡単にでも知っていると理解しやすいかと思います。

そこで、先ずそれらの考え方を紹介し、次に生理観の説明をしてみたいと思います。

 

 

 

▼中医学の根底にある古代中国哲学▼

《天人相応》

一言で言い表すと「人体は自然界の一部であり、人体は自然界より多大な影響を受ける」という考え方です。

「天」は自然界のしくみを、「人」は人体のしくみ(生理観・病理観)を意味します。

「天人相応」とは、「天」と「人」のしくみを作っている要素は基本的に同じであり、人体の生理・病理の変化は自然界の変化と相応関係にあるという考え方です。自然界の法則を人体に当てはめて、人体の生理・病理を理解するもので中医学の考え方の根底をなすものです。

 

《陰陽》

陰陽とは古代中国哲学を構成する物の一つで、一言で説明しきれない奥が深い理論でありますので、ここでは簡単に説明します。

陰陽とは「全ての事物や現象には相反する二面性(陰と陽)があり、これらは対立しあいながら統一し、互いに依存しあう事によりバランスをとっている」という考えです。

例えば、上下・左右・内外・静動・夜昼・男女・腹背・・・・・など。

なかなかイメージしづらいと思いますので、その一部を温度(体温)を例にして説明しましょう。

温度についての相反する二面性といえば、寒と熱があります。次に寒熱を陰陽で分類すると、寒は陰に、熱は陽に属します。陽は体を温める作用があり、陰は体を冷やす作用があります。この働きは対立関係にあります。体内で陰・陽は互いに抑制し合うことで適度な体温を保っております。つまり、対立することで(陰陽バランスがとれている状態)体温は平常体温でいられるわけです。ところが、陽気の亢進や陰気の不足は熱症状を、陰気の亢進や陽気の不足は冷えの症状が現れます。このように陰陽関係のバランスが崩れてしまうことを「陰陽失調」といいます。

この陰陽の理論に医療実践を積み重ね確立されたものが「陰陽学説」です。

 

《五行学説》

五行学説の基本的な考え方は、この世のあらゆる事物・現象は5つの基本物質の要素が含まれており、その基本物質間で生じる運動と変化によって生成されると言う考え方です。

5つの基本物質とは「木」「火」「土」「金」「水」であり、これらそれぞれが、助け合ったり、抑制しあったりして世の中の平衡は保たれております。

実はこの「木」~「水」の順番には深い意味がありますので、これらの関係の一部を紹介しましょう。

 

<相生>

では先ず、先程の「木」~「水」の順でみてみましょう。

「木」を燃やすと「火」が生まれ、「火」から灰が生まれ「土」になります。「土」が沢山集まれば山ができ、山には金山があり「金」を生みます。「金山」からは「水」も湧き出、「水」は「木」を育てます。次から次へと生まれてゆく関係になります。この様な関係を「相生」といいます。

 

<相克>

次に、先程の順番を「木」「土」「水」「火」「金」と1つ飛ばしに見てみると、「木」は「土」から養分を奪い、「土」は「水」をせき止めます。「水」は「火」を消し、「火」は「金」を溶かします。「金」は鉱物を意味しますので、鉱物からできている斧で「木」は切られてしまいます。今度は次から次へと抑制してゆく関係になります。この様な関係を「相克」といいます。

 

いかがですか、単純ですが、よく考えられている関係だと思いませんか?

 

さて、世の中のあらゆる事物・現象はこの5つの物質に分類でき、いま説明した様にお互いに影響しあいながらバランスを保っております。

人間の体もこれと同じで臓腑もこの五つの基本物質に分類することができ、これらが適正に影響し合うことで健康でいられます。

 

 

▼中医学の生理観▼

≪気・血・水≫ 

中医学では人の身体は「気」「血」「水」の三つの物質により構成されると考えます。

そしてこれらが多くも少なくもなく適量でバランスよく、且つスムーズに流れてこそ健康でいられると考えます。

 

<気>

気は人間が活動するために必要な基礎物質です。そのため気の働きは様々です。

主な作用には、物を動かす「推動作用」・栄養に関わる「栄養作用」・身体を温める「温煦作用」・身体を守る「防衛作用」・ものを変化させる「気化作用」・体内から血や栄養物が漏れるのを防ぐ「固摂作用」など様々な働きがあります。

 

<血>

血は様々な器官に栄養や潤いをあたえます。

ここにも中医学独特の概念があり、血は精神活動の栄養源でもあります。ですから血の不足は精神不安や不眠を発症させます。

また、身体が熱くなりすぎないように冷却する働きもあります。

 

<水(津液)>

水は津液とも言い、体内にある正常な水液のことをいいます。主な作用としては身体の各部所に潤いを与えたり、血と同様に冷却する働きもあります。

 

 

《内臓(五臓六腑)》

さて、次は内臓です。よく「五臓六腑にしみわたる」などといいますが、この五臓六腑が中医学の考える内蔵のことです。西洋医学のそれとは異なり中医学では内臓を物体として区別 するのではなく、働きで区別します。

六腑は飲食物の消化吸収を行い、五臓が栄養分から「気血水」を作ったり運んだり貯蔵をしています。

具体的に五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、六腑には「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」があります。

先程の働きの他にも五臓六腑には沢山の働きがあります。しかし、各々の臓腑には西洋医学と同じような働きをするものや、全く違う働きをする臓腑もあります。それは、西洋医学と同じ臓腑の名前を使ってはいますが、冒頭で説明したように中医学では臓腑の働きに注目しておりますので、名前が同じでも全く同じ物を指しているわけではありません。

各臓腑に「気・血・水」の働きなどが加わって、人体の働きを構成していると考えております。ゆえに、西洋医学の臓腑との働きの違い、考え方の違いが存在するのです。

尚、各臓腑についての詳細については、各疾患の説明の際に必要な範囲で説明いたします。

 

 

《経絡》

経絡とは一言で言えば気血水を全身の各部位へ運ぶための通路みたいなものです。経絡の作用は「生理作用」「病理作用」「治療作用」の3つに分けられます。上記の気血水が流れる経路としての働きが「生理作用」になります。ところが経絡は気血以外にも病気の原因を運行させたり、針灸の刺激や漢方薬の効果 を患部へ伝達させたりします。前者の作用を「病理作用」といい、後者を「治療作用」といいます。

又、経絡が何らかの病因物質によって塞がれてしまうことがあります。

経絡は人体を縦方向に走る「経脈」と経脈の分枝の「絡脈」に分かれます。又、経脈の中には正経12経と言われる経脈があり、これは経脈の中でも特に重要なもので、それぞれ一対の臓腑と深い関係があります。

 

次に生理観以外の基礎概念について説明します。

 

 

☆生理観以外の基礎概念

《病因》

病因とは病気となる原因のことです。中医学ではこの病因を「外因・内因・不内外因」の3つに大別 します。

 

『外因』とは身体の外の環境が病因となるものをさします。これらは自然界の六候が変化したもので、六淫と呼ばれ「風・湿・熱(火)・暑・寒・燥」の6種類あります。

これらの六淫が通常の範囲であれば問題はありません。例えば夏は暑くて冬は寒いのは当然の話ですが、六淫が過剰であったり、季節はずれであったり、急激な気候の変化は体に負担を掛け害を及ぼして病気を引き起こします。

例えば、暑ければ熱中症・寒ければ体の冷え、などがあります。

この様に自然の変化と体の変化を結びつけた考え方は、先程説明した「天人相応」の思想です。

 

『内因』とは過度の精神状態が病因となるものをさします。これらは「喜・怒・思・悲・恐・憂・驚」の7種類あり、これらは七情と呼ばれます。

七情は健康な方も持っていますが、これらの感情が過度であったり、長時間持続的に続く場合は正常ではありません。この様な状態を「情志失調」といい、病因になってしまいます。

心療内科系の疾患は、これら情志失調と深く関わっております。

中医学では情志の失調が内臓(五臓六腑)にも影響すると考えております。その結果 、気血のバランスを崩してしまい、心療内科系の疾患が発病すると考えます。

 

『不内外因』とは内因・外因のどちらにも属さないものをさします。これらは「不節な飲食・外傷・寄生虫・過労・運動不足」などがあります。

「不節な飲食」とは食べ過ぎ・飢え・偏食・不衛生な物の飲食があります。偏食には、「肥甘厚味の過食」「辛辣の過食」「生冷の過食」「飲酒の過度」があります。

◎「肥甘厚味」とは甘い物・味の濃い物・油っぽい物・といった食物をさします。これらの食べ物は体内に余分な水分や熱を生産させます。

◎「辛辣の過食」の辛辣とは辛くて熱い味をいいます。このような食べ物を食べすぎると胃腸に熱がこもります。

◎「生冷の過食」は生ま物と、冷たい物の採り過ぎを言います。これらの食べ物は消化能力を下げてしまいます。

 

 

《弁証》

中医学では病気の種類を「証」(しょう)と言います。その「証」を見極めることを「弁証」と言います。つまり、弁証とは簡単に言えば病気の原因や性質や状態などを見極めることです。もう少し具体的に説明しましょう。

先程「生理観」のところでも述べましたが、健康であるためには「気・血・水」が適量 であり、スームーズに流れていなくてはなりません。もし、その中のどれかのバランスが崩れると、重度・軽度はありますが、何らかの不調が現れてきます。

弁証とは、何が原因で・何が(気・血・水)・何処で(臓腑)・どの様に(不足ぎみ・多過ぎ)・バランスを崩しているのかを見極めるのです。

皆さんの中には「病証」とは現代医学の「病名」のことと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は似ているようで少し違うのです。例えば現代医学で○○病と言われれば、その病名によって治療法が決まり、同じ病名の患者さんであれば基本的には、みな同じ治療が施されたり、同じ薬が処方されたりします。しかし「証」となると、もっと細かい分類になります。例えば、風邪などは数種類の弁証があります。弁証により、使用するツボや漢方薬が違ってきます。

つまり、中医学は病名に対する治療ではなく、人間個人の体質・症状に合わせた治療になります。

 

さて、実際の治療では、患者さんの弁証が出来たら、次に治療方針を考えます。

 

 

《治則と治法》

中医学の治療理論は治則と治法に分けられます。

治則とは治療の根本的な原則で、標治と本治と標本同治の3種類あります。

治法とはそれぞれの疾患に対しての具体的な治療法のことです。

簡単に言えば、治則は治法を導き出すための大原則です。つまり、「弁証」により病気の状態がわかり、次に「治則」による治療の方向性を出し「治法」で具体的な治療法を考えるのです。そして最後に「治法」にそって漢方薬は処方され使用するツボが決まるのです。

 

 

《【理・法・方・薬(穴)】という大原則》

『理・法・方・薬(穴)』とは中医学での診察から治療までの流れを表す言葉です。

「理」とは理解と言う意味で、具体的には「弁証」により病気を理解することをさします。

「法」とは弁証に基づいて治療方針を決定します。

「方」とは治療方針にのっとった漢方薬の処方やツボの選穴になります。

「薬(穴)」とは薬やツボの知識をさします。

 

つまり、本来の臨床の現場では「弁証」が立てられ、「弁証」に基づいて治療方針を決定して、それに沿った処方や選穴がしっかりした漢方薬やツボの知識により行われるのです。逆を言えば、「理・法・方・薬(穴)」の大原則に沿って行われる治療が中医学の治療となります。

問診もしっかり行わず痛い所やコリが在る所に針を打ったり、この疾患にはこのツボといったような短絡的な選穴の仕方のみの治療は本来の中医学(東洋医学)ではありません。

 

中医学の基礎理論について、その概念的な説明をしてまいりました。上記のことをふまえて各疾患について読まれるとよいと思います。

 

さて、最後にもし皆さんが治療院を選ぶ際にどのような点に注意をすればよいのかを記載しておきます。

 

 

☆日本における中医学の現状

ここまで読まれた方は中医学の理論が我々の親しんでいる現代医学のそれとは全く異なっていることが理解されたことと思います。

しかし、残念なことに現在の日本では、中医学理論をしっかりと学んでいる、針灸師・医師・薬剤師は非常に少ないのが現状です。

皆さんの認識では、針灸師は皆、中医学の知識が豊富とお考えになると思いますが、それは大きな間違いなのです。なぜなら、鍼灸師の国家試験問題の殆んどは現代医学から出題されますので、針灸学校の授業は現代医学が中心で、中医学の授業は殆んどありません。ですから中医学を学びたいと思う学生や針灸師の方は個人で勉強をしたり、研修先を探さなければなりません。しかし、中医学による治療を行っている治療院自体が少ないので、研修先を探すといっても大変なことで、なかなか研修先を見つけられません。

医大や薬科大では最近になり徐々に中医学の授業も取り入れられてきてはおりますが、現代医学との比率から考えますと、殆んどが現代医学の授業となっております。

以上の理由から、中医学の知識のある針灸師はとても少ないというのがおわかりになると思います。また、漢方薬についても同様で、医師や薬剤師さんも中医学を学ばれている方はまだまだ少ないのが現状ですから、漢方薬が中医理論による処方をされている場合は少ないと言えます。

では、中医学以外に日本の針灸ではどの様な治療が施されているかと言うと、「経絡治療」といって、中医学をベースに日本国内で独自に発展した軽めの刺激の治療法や、「良導絡」といった現代医学と東洋医学をミックスさせたような治療や、「気血水」や「ツボ」といった概念を持たずに、硬くなっている筋肉や障害のある神経にアプローチする「現代医学的」な治療などがあります。漢方薬については中医学理論による「中国漢方(中薬)」と江戸時代に日本国内で独自に発展した「日本漢方(和漢)」があります。この2つはかなりの相違があるのですが、一般 の方はなかなかその違いを知っておられる方は少ないのが現状です。ですから先程紹介した、中国で処方された漢方は効いたのに、日本で処方された漢方は効かないということがおこってしまうのです。

 

ここでは、中医学が一番優れていると言っているのではありません。それぞれの治療法には利点も欠点もあります。ですから皆さんが治療院を選ぶ際に一番大事なことは、自分に一番合った治療法を選択するということです。例えば、体質改善を計りたいので、中医針灸を選択するのもいいでしょうし、筋肉痛などの運動器疾患や整形外科的疾患であれば、現代医学的な治療を行っている治療院で十分で、わざわざ数の少ない中医針灸院を探すことはないでしょう。又、鍼の刺激が嫌いな方は「経絡治療」を行っている治療院を探すのも1つの方法です。

このように自分にあった治療院を選べばよいのです。

また、現代医学の場合は診断をする際に様々な近代的検査を実施してデータや数字により診断をおこないますが、東洋医学の診断はデーターや数字というものは使わず、患者さんの、脈・顔色・舌・性格・日常生活の状況・食べ物の好み・主症状・随伴症状・家庭環境・・・・・などから総合して診断を行いますから、現代医学に比較して東洋医学の施術者の場合は、経験を含め個々の能力の差が大きいといえます。

冒頭でも述べましたが、今、東洋医学はかなり注目をされつつあり、様々なメディアで取り上げられております。情報量 が多いだけに、いい加減な情報もあります。ですから皆さんはその多い情報のなかから、「自分にあった信頼のおける治療院」を探さなければならないのです。そのためには、皆さん自身が針灸についての知識を深めるしかありません。そして、自分はどの治療法が適しているのかを判断して、さらにその治療法を行っている治療院の中から能力のある先生を探し出してください。

中医針灸を選択される場合は、最低でもここに記載されている事がスラスラと分かりやすく説明でき、且つ、皆さんの病態を中医学的に皆さんが納得のいくように説明できる先生をお探しください。

ご自分にあった鍼灸院を見つける近道は、皆さん自身が針灸師を見極める目を養うことしかないのです。

当ホームページが皆様の一助になれれば幸いと考えております。

2019/03/11
【内科疾患】しゃっくりについて

しゃっくりについての話

 

しゃっくりとは、横隔膜(胸部と腹部を隔てる筋肉の壁)の間代性の痙攣により、気管内に急激に空気が吸い込まれ、声帯筋が収縮して「ひっく」という音が繰り返されるものです。一過性のものがほとんどで、数分~数時間で消失します。

 

☆ なぜおこるの?

胎児は母親の胎内にいるときに、しゃっくりをするといわれます。

妊娠時にエコーを取ると、胎児がしゃっくりをしていることがあるのです。この原因ははっきりと解明されていませんが、胎児は羊水に包まれていて、羊水を飲んだり、その中で排泄をしているため、排泄物が口や鼻から喉に入ってしまうと外に吐き出そうとしゃっくりをすると考えられています。

 

赤ちゃんがしゃっくりをするのは、まだ呼吸に慣れていなかったり、母乳やミルクを飲む時に空気も一緒に吸い込んでしまい、食道や胃に入った空気を外に出すために横隔膜が痙攣してしゃっくりがおこると言われています。新生児の場合生まれて3か月までは、心拍数が大人の3倍もあるので、痙攣も細かく、しゃっくりの間隔も短いことが多いようです。おむつが濡れているときはそれが刺激となることもあるので、取り替えてあげるとよいでしょう。

 

成人のしゃっくりに関して、その原因は、暴飲暴食による胃の過進展・アルコールの過剰摂取・過度の喫煙や精神的因子が多いと言われています。

通常であれば、数分間続いた後おさまりますが、数時間以上も難治性しゃっくりでは、長期(1~2年)にわたることがあり、このような場合、うつ状態・食欲不振・睡眠障害・体重減少・栄養障害などを伴い、重篤な身体障害を来たすことがあります。

 

☆ どうしたらよいの?

数分~数十分で治まるような「しゃっくり」は心配することはありませんが、長時間続くようであれば、できるだけ早く原因を突き止める必要があります。まれに、手術や腹部の疾患による横隔膜の直接刺激・アルコールや脳腫瘍などによる中枢神経刺激・気管支、肺炎による末梢神経刺激が原因となる場合があるからです。

 

☆ しゃっくりをとめるには?

色々な言い伝えがありますが、いずれも、刺激により横隔膜の痙攣を治める、また気持ちを落ち着けて横隔膜の過剰な働きを緩めるなどの効果 を期待したものです。

 

〈 中医学からみるしゃっくり〉

医学用語でしゃっくりは「吃逆(きつぎゃく)」「えつ」といい、中医学では「あく逆」とも称します。

吃逆は、胃気の上逆によって、横隔膜が刺激され痙攣をおこすと考えられています。

 

人間の体は、それぞれの臓器や組織がお互いに強調し、バランスを保つことによって形成されています。1つの臓器は自らの役割を果 たすのみにとどまらず、他の臓器とも繋がりをもち、協力して機能を果 たすのです。

そのため、どこか1つの臓器に問題が発生すれば、他の臓器にも影響を及ぼします。  

中医学では、問題のある臓器に対する治療だけではなく、影響を受けている臓器、また、影響を及ぼした臓器に対しても治療を行い、崩れた体のバランスを整え病気を治していきます。そのためには、まず健康(中庸)な臓腑の働きを学び、どうして病気になったのか、臓腑が邪に犯されるとどうなるかなど、基本的な考えをよく理解することが大切です。

 

西洋医学でいう臓器と、中医学でいう臓腑には、少し違いがあります。

中医学でいう臓腑には、

〔五臓〕肝・心・脾・肺・腎

〔六腑〕胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

〔奇恒の腑〕脳・髄・骨・脈・胆・女子胞

があります。

臓は気・血・津液(生命活動を維持し、人体を構成する基本物質)などを化生したり、貯える働きをもちます。

腑は、飲食物を運搬したり、伝導、排泄する働きをもちます。

奇恒の腑は、形は腑に似ていますが、一方でその性質や働きが臓にも似ているので、奇恒(異常な)の腑と呼ばれています。

 

この中で吃逆と最も関係が深い臓腑は、胃になるので、その機能を詳しくみていきましょう。

 

○ 胃

先ほど述べたように、胃は六腑に分類されます。

この六腑というのは、水穀(飲食物)を消化して、身体に有益な物質である水穀の精微と、不要な物質である糟粕(カス)との分け、水穀の精微を五臓に受け渡し、糟粕を大小便に変えて排泄を行う臓器です。受け渡された水穀の精微から、五臓が気・血・津液を生成します。

六腑は三焦(形は無く、各臓腑の機能を統括し、水液や原気を中心とした諸気を運行させる通 路)を除くと、みな一つに連なった中空の器官になっていて、その中に有形の水穀を通 過させやすくなっています。そのため、六腑の病症の多くは、水穀が下降せずに、詰まったり、逆流する事によってあらわれてきます。(便秘・嘔吐・ゲップなど)

 

次に、各腑の働きを詳しく見てみましょう。

六腑のうち、口から吸収された水穀が最初に運ばれる臓器が胃です。

胃は水穀を受け入れ(受納)、消化し(腐熟)、消化物を下方の臓器に渡す(和降)という三つの働きをします。  

小腸は、胃の下にある臓器で、胃で消化された水穀を人体に有益な水穀の精微(清)と、不要な糟粕(濁)とに分類します。そして、清を脾に、濁を水分とそうでないものに分けて、それぞれ膀胱と大腸に運びます。  

また、胆は肝で生成された胆汁を小腸に分泌して、消化を助けていきます。

このようにして獲得された水穀の精微が、人体にとって欠かす事の出来ない気・血・津液の生成材料になるのです。

 

では、ここから本題の胃の生理作用に入りましょう。

 

六腑に分類される胃は、五臓に分類される脾と表裏関係にあります。、

主な役割は、飲食物の初歩的な消化を行い、小腸に送ることです。

 

○胃の生理作用○

1.胃は腐熟を主る。

口から入った飲食物は、まず初めに胃で受け入れられ(受納)、ドロドロの粥状態に変化します。この働きを「胃は腐熟を主る」といいます。

この胃の働きの失調は、上腹部の張り、悪心、嘔吐、食欲不振などの症状としてあらわれます。

 

2.胃は降を以って順となす

胃には腐熟し終わった飲食物を、一つ残らず小腸に送り出す働きがあります。このことは、飲食物を下に降ろすことでもあるので、「胃は降を以って順となす」といいます。

この働きの失調は、上腹部のもたれ、悪心、嘔吐などの症状としてあらわれます。

 

胃はその働きから、「水穀の海」ともよばれます。そしてこの胃を始め、六腑が協力して行う消化・吸収の働きを統括しているのが五臓のうちの「脾」です。脾は飲食物を消化することにより得られた水穀の精微を運搬し(運化)、気・血・津液(生命活動を維持し、人体を構成する基本物質)を化生する大切な役割を持っています。脾は運化を主り、胃は脾の管理のもと、受納・腐熟・和降を主るのです。これは、臓腑の主従関係の現れですが、脾と胃には、また別 の興味深い関係が存在しています。  

その一つが、脾気と胃気の運動性です。脾気は昇清(飲食物の中から得られた清を、肺に持ち上げるなどの働き)という上昇方向への運動性を示すのに対し、胃気は和降を主り、消化物を下方にある小腸に運ぶ下降方向への運動性を示します。  

また、脾は「燥を喜び、湿を悪む」のに対し、胃は「潤を喜び、燥を悪む」性質を持ちます。これは、胃は飲食物を通 過させる中空器官であり、もし飲食物が乾燥しすぎると、詰まって下降しなくなるので、潤いが必要だと考えるのです。これに対し、脾は水液の運化や昇清を主るので、水液が多すぎると運び切れなかったり、清い津液を化生できないために、脾は湿潤を嫌うと考えたのだと言われます。

以上のように脾胃は、昇降・燥湿など相互に相対した作用によって、消化活動を主るのです。

 

このように正常であれば下降するべき胃気が、何らかの影響をうけて上逆することを「胃気上逆」といいます。

これが吃逆を引き起こすのです。

 

次に、胃気上逆をおこす原因、その特徴とともに中医学での治療法を見てみましょう。

 

 

◎ 弁証〔胃寒〕

○ 起因 

生もの、冷たいものの過食・飲食の不摂生、または腹部が寒冷刺激を受けることにより、寒邪が胃に侵入する。 寒邪が胃を犯すと、陽気が損傷され寒凝気滞となり、これにより胃は和降を失い、胃気上逆となる

○ 主症

しゃっくりの音が低くゆっくり・温めると軽減・心か部の冷感・膨張感

○ 兼症

口渇なし、味覚正常、食欲不振、小便は透明で量が多い、水楊の下痢

○ 舌診:白潤苔

○ 脈診:遅緩

○ 治則:温中 和胃降逆

○ 配穴:共通〈中かん・内関・足三里・胃ゆ・かくゆ〉・梁門・公孫

 

 

◎ 弁証〔胃火〕

○ 起因

辛いものの過食など飲食の不摂生により火を生じ、胃熱が亢進される。

胃は潤を喜び、燥を悪むので、胃火が気・津液を損傷すると、胃の潤降の機能が失われ、胃気が上逆する。

○ 主症

しゃっくりの音が大きくてよく響く・激しく上逆して出る・冷たいものを好む

○ 兼症

口臭、口渇、顔色が赤い、小便は少なく濃い、便秘

○ 舌診:黄苔

○ 脈診:滑数

○ 治則:清熱 和胃降逆

○ 配穴:共通・陰谷・内庭

 

 

◎ 弁証〔肝気上逆〕

○ 起因

精神的な抑うつや怒りで肝気が火に変化して上逆する。肝とは、五臓のうちの一つで、全身の気を順調にめぐらせ、精神状態を安定させる機能を持っている。ストレスなどによりこの疏せつの働きが失調すると、気の流れが停滞し肝気鬱結を現し、さらには化火する。

○ 主症

しゃっくりが連続する・ストレスを感じることにより症状が悪化する

○ 兼症

あい気(ゲップ)、胸悶、心か部のつかえ感、膨満感

○ 舌診:薄白苔

○ 脈診:弦

○ 治則:疏肝 和胃降逆

○ 配穴:共通・太衝(しゃ法)

 

 

◎ 弁証〔脾胃陽虚〕

○ 起因

過労や慢性疾患により脾気を消耗し、運化機能が損なわれることにより、水穀・水液の運搬が悪くなる。これにより生じた痰濁(水液の代謝障害によって形成され、人体の局部に貯留した異常な水分)がさらに正常な脾胃の機能を妨げ、寒冷症状及び、胃気上逆をおこす。

○ 主症

しゃっくりの音が低くて弱い。続けては出ない。

○ 兼症

手足が冷える、食欲不振、倦怠感、食後膨張感、痰や涎を吐く

○ 舌診:はん大、淡

○ 脈診:細、あるいは濡

○ 治則:益気 和胃降逆

○ 配穴:共通・気海・三陰交(補法・灸法)

 

 

◎ 弁証〔胃陰虚・胃陰不足〕

○ 起因

胃が滋潤能力を失調し、降濁作用の低下(胃失和降)によっておこる。

これは胃熱症、湿熱症の後期などで、気機が鬱滞、化火して陰液を灼損したり、胃陰が虚して咽喉部や腸を潤せないことによる。

○ 主症

しゃっくりの音が早く続けて出ない。

○ 兼症

口渇、舌の乾燥、煩渇、るいそう、頬が赤い、胃の灼熱感、空腹感はあるが食べたくない、便秘

○ 舌診:ほう、または紅。苔が少ない

○ 脈診:細数

○ 治則:滋陰 和胃降逆

○ 配穴:共通・太けい・照海・廉泉(補法)

 

 

※ 足三里は胃経の合穴であり気逆を止める効果が期待されます。補法では健胃益気、しゃ法では清熱和胃をはかります。

※ 足三里・中かんは、水湿運化に大切な処方穴です。

※ 公孫は脾経の絡穴であり、別支が胃経を走り、また衝脈に通じているので、同穴を取ると健脾和胃・理中降逆が可能となります。

 

 

手術後や神経疾患などの重篤な場合でなく、頻繁にしゃっくりが出やすいときは、まず食生活を見直してみて下さい。

冷たいもの、辛いものなどを取り過ぎていませんか?食事時間が深夜になっていませんか?また、アルコールを取り過ぎていませんか?

これらはいずれも、胃気の正常な働きを妨げ、しゃっくりを始め、身体に様様な影響を与える原因となるので、改善が必要です。

お刺身や生野菜、ジュース、ビール、香辛料などは控えましょう。

そして、特にストレスを感じやすい方は、気の巡りが滞りやすいので、気分転換に散歩を取り入れたり、ヨガやストレッチで体をほぐすことをお勧めいたします。また、ゆずなどの柑橘類やジャスミンティーなども気の巡りを良くするので、どうぞお試しください。

 

ご質問等ございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

2019/03/11
【内科疾患】ストレスについて

ストレスが起因で起こる症状と病気

 

今、世の中ではストレスが蔓延しており、ストレスによる症状で心療内科を受診される方が非常に増している状況になっております。

個人的に考えるには、皆様体の許容量を超え仕事をしている状況下に置かれているのと、体への手当てが足りないかと思います。

また、人間は機械と違い感情を持っています、デリケートな生き物である事忘れては成らないかと思います。忙しい世の中らこそ、自分自身の空白の時間、余暇の時間を保たなければならないのではないでしょうか?それが足りないが為に、体も心もオーバヒートを起こしてしまい体も心も余裕が無くなり体の不具合が沢山出てきているのでしょう。

 

ちなみに、理論上ストレスを中医学(東洋医学)では、どの様に捉え認識しているか?

中医学(東洋医学)では各臓器には、各々精神作用を担っていると考えております。

各臓器とは、肝・心・脾・肺・腎を指します。

肝の気が正常な働きを保っていれば、常識・礼節をわきまえ、物事をきちんと判断し処理します。

肝の気がスムーズでない場合は、憂うつになりやすい、意欲がわかない、決断力が欠けます。

心の気が正常な働きを保っていれば、個性豊かな安定した情緒を保ちます。

心の気がスムーズでない場合は、臆病になりやすく、勇気がなく不安感が出やすい。

脾の気が正常な働きを保っていれば、包容力が有り、皆さんの意見を公平にまとめます。

脾の気がスムーズでない場合は、くよくよ思い悩み、主体性が無く、気迷う事が多くなる。

肺の気が正常な働きを保っていれば、五感がさえます。

(視る、聴く、痛痒など)

肺の気がスムーズでない場合は、表情が無い、注意力が散漫、やる気が出ない。

腎の気が正常な働きを保っていれば、志を強く持ち、根気が強く丁寧に物事を処理します。

腎の気がスムーズでない場合は、忍耐力が無く、根気も無く、面 倒くさがる。

 

さて、これらの臓器の中で、特に肝はストレスを受けると働きに影響が出やすいです。

中医学(東洋医学)の考えでは、各臓器の気・血が何時も万遍無くスムーズに流れて居る状態で気・血が体に満たされている状態が、人間の体を正常な働きに導き且つ健康な状態を保つと考えています。

そして、外気(天候)・精神状態(気持ち・感情)・食生活・房事・労働などの環境に対して、自分の体の許容量 に対して、必要以上な極端な変化や負荷が掛かってしまった時、生命活動・体を元気に保つ維持するエンルギー気・血に影響が及び流れが損われてしまい、体内で機能働きのバランスが失調を起こし、症状や病気を引き起こすと考えております。

特に、検査には異常の出てこない症状・病気などは、この様な気・血の流れの失調が起因で発症する場合が多く、残念ながら気・血の流れは、幾ら検査を行っても数値に出てこない者であります。

しかし、中医学(東洋医学)的な発想で、問診・脈の打ち具合、舌の色合いなどを診れば、体でどの様な機能働きバランスの失調が起きているのかが窺え知れます。

故に、西洋医学と中医学(東洋医学)では、病気を診る角度や診立てが違い、おのずと治すプロセスの考えも違ってくるのであります。

 

 

本題に戻りましょう。

ストレスを中医学(東洋医学)的に考えた時、どの様に捉えるか。

人間がストレスを感じた時、中医学的な考えでは、肝の気の流れ働きに異常が出てくると考えます。

何故ならば、肝の気と言うのは伸び伸び流れる事により正常な働きが保たれます。そこで、いやな事・イライラする事・怒れる様な事が生じる事で、精神的な負担が増し肝の臓器に影響が及び、その為肝の気の流れ具合に問題が生じ伸びやかに行かなくなり、気の流れの渋滞を引き起こします。これを肝気鬱結と申します。この状況が長引くと、気のエネルギーがどんどん溜まって来て、熱を帯びるようになり、熱と言うものは炎上(上昇)の性質を持っており、これらの為にイライラやのぼせ・めまいなどが生じるようになり、益々症状が悪化するのです。

故に、この場合肝の気の流れをスムーズに流れるように元に戻す治療を行なって上げなければ、なかなか症状は改善しずらいと思います。

 

 

肝の気の流れが失調した場合に起こる症状は基本的に下記の症状が有ります。

軽い場合:

イライラする、起こりぽっくなる、落ち着かない、胸脇・乳房の脹痛

下腹部の脹痛。

さらに状態が進行すると:

赤ら顔、のぼせ、目の充血、頭頂痛、片頭痛

もっと進行すると:

めまい、ふるえ、ひきつけ、などの症状が出てきます。

 

尚、ストレスが起因により肝に負荷が掛かり、様々な病気を引き起こします。

軽いものであれば:

肩凝り、緊張性頭痛、軽い不眠、腰痛

多少重くなってくると:

過敏性大腸炎、自律神経失調症、書痙、対人恐怖症、突発性難聴

円形脱毛症、不妊症(器質的な問題のないタイプ)、インポテンツ

アトピー性皮膚炎の悪化

さらに重くなると:

パニック障害、適応障害、うつ病、重い不眠症

ストレスによる病気は、上げたらまだまだ出てきますが、上記の病気は一般 的に見かけやすい症状・病気かと思います。

上記の病気で、精神安定剤、抗うつ剤の服用で症状の改善や治って行くケースも有ります。逆に長引いて、強い効能のある薬の投与を受けるケースの方も有ります。どうしてでしょうか?

 

中医学(東洋医学)的な発想で考えると、肝の気の流れ具合を改善して無い為に、他の臓器の気の流れにも影響が及び症状が進行してしまい重くなったりします。或いは自然治癒力(体の回復力)が低下しまっているからなのです。自然治癒力の低下は特に年齢が増せば増すほど起こりやすくなります。体力の低下もその一つです。要するに、体力の低下と共に人間の体を整える自然治癒力と言うのは低下して行くのであります。その為、年齢が増せばおのずと、症状や病気が増しやすくなるのであります。

また、自然治癒力は、普段の生活での体への気配りが足らなくても低下しやすくなります。

体に負荷を掛ける生活が多いと例えば:睡眠不足、過労、食生活の乱れなど。

さて、中医学(東洋医学)の治療は、肝の気の流れを調整すると共に、生活指導を行い、自然治癒力の底上げも同時に行い症状の改善を図ります。

 

本日は、簡略的にストレスに関する考え話を述べさせて頂きました。

日頃、ストレスを感じている方なるべく体の発している声を聞き取って上げ、早めにお手当てを受ける様にした方が良いと思います。また何かの病気が発症する前に、体は声を発しています。

例:突発性難聴になる前、頻繁に耳鳴り(ジーやキーンという音)、肩の凝り、耳の周り脹り突っ張る様な症状が出ます。この様な症状は、体が注意信号をご本人様に出している状態であり、中医学(東洋医学)ではこれらの症状を未病と言っております。まだ病気には成っていないが、病気の現れる前兆である事を指します。

ストレスに関して、中医学(東洋医学)的な考え多少理解できましたでしょうか?

 

 

●ちなみに、ストレスを溜めやすいタイプは・・・●

◎内向的でおとなしい方

◎真面目で几帳面な方

◎取り越し苦労の多い方

◎自分に否定的な方

◎頑固で厳格な方

上記のようなタイプの方は、ストレスを溜め込まないように、リラックスとリフレッシュを忘れずに心掛けて下さいませ。

 

普段の生活でストレスを感じている方、何か気になる症状が出ている方、中医学的な考えや未病に関して詳しく知りたい方は、お気軽に当院へご相談くださいませ。

未病の状態は、中医学(東洋医学)が得意とする分野でございます。

 

2019/03/11
【その他】インフルエンザに関して

インフルエンザとは?

 

インフルエンザとはすなわち流行性の風邪です。インフルエンザウィルスによって引き起こされる急性呼吸器官の伝染病です。

潜伏期間は約1~3日間で、病状は急な高熱、悪寒、頭痛、全身の痛みなどの症状が出ます。人によっては、消化器系の症状が出る方も居ます。ご高齢の方や慢性的な呼吸器系の病をお持ちの方は、同時に肺炎を引き起こす可能性があります。

インフルエンザの感染源は患者と潜伏期間の方、感染ルートは飛沫伝染で、人の出入りの多い所や人込みの中で感染しやすいかといえます。

 

 

普通の風邪とインフルエンザの違いは?

 

普通の風邪とインフルエンザには、大きな区別があります。

普通の風邪は急性上気道感染と呼ばれ、特徴は病原体が複雑多様で、一般 にハッキリとした全身症状は無く、クシャミや鼻水などの症状が出ます。

インフルエンザの場合は、病原体は独特なインフルエンザウィルスで流行期は一般 に冬春です。特徴は、発病速度が速い、伝染性が強い、発病率が高い、症状は一般 的に凄まじいという点です。発病者は、高熱、寒気、頭痛、全身の関節痛などの重い全身症状が出て、ひどい場合は肺炎、心筋炎を引き起こしたり、死に至る場合があります。

 

 

インフルエンザワクチンは効果がありますか?

 

現在の医学界には、インフルエンザを治療する特効薬は御座いません。

但し、インフルエンザのワクチン接種は、最も有効なインフルエンザを予防する方法となっています。

 

 

ワクチン接種に適する方

 

6ヶ月以上の児童及び成人。

特に接種した方が良い方、6ヶ月~1才の児童、60歳以上の方、感染しやすい人と一緒に居住を共にする方、介護や看護する方、感染しやすい人とよく接触をする医療機関の方、託児所や幼稚園に関係の有る方、先天性または後天性の免疫欠陥患者、循環器系や呼吸器系もしくは慢性腎機能不全などの慢性疾病者。

 

 

ワクチン接種が適してない方

 

鶏卵、鶏卵タンパク質、免疫活性化物質のアレルギーのある方。高熱や急性の感染者。過去にワクチンを接種して不良反応が出た方。

 

 

接種後の注意点

 

接種した日は、入浴を控えること。ビタミン及び水分を補うこと。室内の空気の通 りよくすること。睡眠を十分に保つ事。しっかり手洗いを行う。人が多い公共場所はさけること。

 

 

妊婦さんのワクチン接種は?

 

妊娠している方は医師の指示にしたがい、必要な場合のみワクチンを接種して下さい。

 

 

ちなみに、中医学では予防養生のために、インフルエンザが流行る時期に、板藍根と言う生薬を煎じて服用する事が有ります。板藍根には抗ウィルス作用があります。現代医学的な実験でも作用が認められています。漢方薬局で販売されていると思いますので、服用されて見たい方は漢方薬局へ問い合わせてみて下さいませ。副作用は御座いませんので、小さなお子さまから大人まで、長期に服用されても大丈夫です。

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