よく体がだるかったり眠れなかったりすると、「自分は自律神経失調症ではないか?」と心配される方がいる位
『自律神経失調症』は一般の方もよくご存知の疾患です。しかし、「自律神経失調症って何?」と訊かれると、何となくイメージすることは出来ても明確に説明が出来る方は少ないのではないでしょうか。それは、一言で「自律神経失調症」と言っても様々な症状がありますし、そもそも「自律神経」と言う神経自体は聞き馴染みはあっても、いったいどういう神経なのかがよくわからないからではないでしょうか?
一体「自律神経失調症」とはどのような病気なのでしょうか?まずは現代医学(西洋医学)の観点から説明してゆきたいと思います。
▼現代医学(西洋医学)から診た「自律神経失調症」▼
医学辞典で「自律神経失調症」を調べてみると【種々の身体的自律神経性愁訴を持ち、しかもこれに見合うだけの器質的変化はなく、原因も不明であり、自律神経失調に基づく一連の病症】と書いてあります。
つまりは、『内臓や食道といった臓器や器官などには異常はなく原因も不明な、自律神経の失調によって現れる様々な症状の総称』であるわけです。ですからこの疾患に関しては、まず自律神経の説明から始めていきたいと思います。
○自律神経とは?○
自律神経は随意的に働く体性神経と対比して不随意神経とも呼ばれています。例えばボールを足で蹴る時は、脳から足の筋肉へ指令が行く事により足の筋肉が収縮してボールを蹴るわけですが、この時脳から筋肉へ指令を伝える神経が随意神経(体性神経)です。よく皆さんが言う運動神経(体性系遠心性神経)と言うやつです。他には感覚神経(体性系求心性神経)もこの中に含まれます。これに対して内臓・血管・汗腺などは意思による指令ではなく独立して働いております。これらの循環(心拍・血圧)・消化・排泄・体温維持などの体内機能を調節しているのが不随意神経(自律神経)です。これらの体内調節機構が意思から自律しているからこそ、我々は眠っている間も呼吸が止まったりせずに、ちゃんと生きていられるわけです。逆を言えば手や足は意思で動かすことが出来ても、内臓や血管などは意思では動かすことが出来ません。ですから一般
的に言えば「自律神経」は自分の意思でコントロールは不可能と言えます。
○自律神経の分類○
自律神経は求心性に働く「求心性神経」と遠心性に働く「遠心性神経」に2分されます。「求心性神経」は内臓求心神経とも言い各種内臓の情報を伝えます。「遠心性神経」は更に「交感神経」と「副交感神経」に分かれます。「自律神経失調症」はこの「交感神経」と「副交感神経」が深い関わりをもってきますので、もう少しこれらの神経を説明していきましょう。
○交感神経と副交感神経○
よく「交感神経は緊張の神経で、副交感神経はリラックスの神経」などと言われます。これは、興奮状態時は交感神経の活動が亢進し、反対にリラックス状態時は副交感神経が亢進すること意味します。例えば交換神経は心拍数増加・血管収縮・発汗促進・などの働きがあります。それに対して副交感神経は心拍数低下・血管拡張・発汗抑制といった具合に働きかけるわけです。もう少し具体的に説明をすると、喧嘩や運動時は交感神経が働き心臓の心拍数が上がります、喧嘩が終わり落ち着いたり、運動やめてしばらくすると副交感神経が働いて心臓の心拍数は下がります。他にもまだまだ沢山の働きがありますが、いずれもこの様にして交感神経と副交感神経はバランス良く一つの器官や臓器に対して反対の方向に働きかけることにより機能の調節をしています。
さて、ここで今まで説明してきたことを簡単にまとめてみます。
1.自律神経は不随意神経とも呼ばれ、意思とは独立した働きをしています。
2.自律神経は呼吸・心拍・血圧・体温・発汗・消化・排泄などの生体が生きるための最も基本的な体内機能の調整をしています。
3.自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この二つの神経がバランス良く相反する働きをすることで体内機能の調節をしています。
ここまでは自律神経の働きについて簡単に説明してみましたが、次に自律神経の失調について説明したいと思います。
○自律神経の失調について○
「自律神経」の失調とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランス調整が上手に行われなくなったこと意味します。先ほども説明しましたが「交感神経」と「副交感神経」は、その時その時の体の常態に合わせてバランスよく相反する働きをすることで体内機能の調節をしています。ところが何らかの原因により、このバランスが崩れると、共に亢進したり不安定になったりしてしまうのです。この様な状態を自律神経の失調状態と言います。
先ほども述べましたが「自律神経」は生体が生きるための様々な体内機能の調整をしています。その様な神経が失調を起こしてしまうわけですから、様々な症状が出る理由は理解していただけたかと思います。
では次に自律神経失調症の症状を見てみましょう。
○自律神経失調症の症状○
様々な症状がある「自律神経失調症」ですから、ここで全ての症状を紹介することは不可能なので、主な症状を部位
ごとに紹介します。
| 頭・・・・・・・ |
頭痛・頭重感 |
| 顔面・・・・・・ |
口の渇き・口中の痛み・味覚障害・耳鳴り
閉塞感・疲れ目・涙目・目の乾き |
| のど・・・・・・ |
異物感・イガイガ感・圧迫感・のどのつまり |
| 呼吸器・・・・・ |
息がつまる・息が出来ない・酸欠・息切れ |
| 心臓・血管・・・ |
動悸・脈のみだれ・胸痛・立ちくらみ・のぼせ
胸部圧迫感・冷え・血圧の異常 |
| 消化器・・・・・ |
食道のつかえ・異物感・嘔吐・吐き気・腹部膨満感・下腹部の張り・
腹鳴・胃の不快感・便秘・下痢・ガスがたまる |
| 筋肉・関節・・・ |
肩こり・痛み・腰痛 |
| 手・足・・・・・ |
しびれ・痛み・冷え・ほてり・震え・ふらつき |
| 生殖器・泌尿器・ |
インポテンツ・早漏・生理不順・頻尿・残尿感 |
| 皮膚・・・・・・ |
発汗異常・冷や汗・乾燥感・痒み |
| 精神症状・・・・ |
不安感・恐怖感・イライラ・落ち込み
やる気や集中力がない・ささいな事が気になる
記憶力や注意力の低下・悲観的になる・怒りっぽい
|
| 全身症状・・・・ |
疲れやすい・倦怠感・めまい・微熱が続く
ほてり・食欲不振・不眠・すぐに目が覚める
朝、起きることができない・体温調節不能・失神発作 |
ざっと主な症状を列挙してみましたが、多岐わたることが理解していただけたと思います。
しかし、この症状の中には軽度の鬱や精神疲労によるものもかなり多く含まれていますので、診断は心療内科などの専門医の受診をおすすめします。
次に、何故「自律神経」が失調をおこしてしまうのかを考えてみたいと思います。
○原因・性差・好発年齢○
残念ながら原因はまだ不明です。
しかしながら自律神経のバランスが崩れる要因にストレスが関与しているケースが多いようです。先ほど自律神経は一般
的に自分の意思ではコントロール不可能と述べましたが、実際にはかなり感情の影響を受けていますし働きも変化してきます。ですから「自律神経失調症」の患者さんの約半数はストレスによるものと言われております。そこで始めに自律神経失調症の患者さんのタイプを大きく4つに分類してみたいと思います。
1.本体性型自律神経失調症・・・これのタイプは特にストレスとは関係がなく、体質的に自律神経のバランスを崩しやすい方がなりやすい。
2.心身型自律神経失調症・・・・ストレスが原因となるタイプ
3.神経症型自律神経失調症・・・神経質な方に多く、悩みや不安などのコントロールが苦手な方がなりやすい。
4.抑鬱型自律神経失調症・・・・几帳面・完ぺき主義の方がなりやすい。
これらの分類は病気の原因と密接に関係していますので、自分がどのタイプかを把握することで、適切な治療に繋がるばかりではなく予防や再発防止にも役立ちます。
尚、一般に好発年齢は思春期から40歳代の間で男性より女性が多いと言われています。
○診断○
次に現代医学では「自律神経失調症」をどのように診断してゆくかを簡単に説明したいと思います。
まず、最初に身体に器質的な疾患がない無いことを調べます。次に面
接や心理検査を行い心因の有無を調べ、更に自律神経系の検査を行います。
○治療○
治療の基本は精神療法になります。そして補助的に精神安定薬、及び自律神経遮断薬などと、体の不調がある部分に対しての薬を使用します。
○まとめ○
現代医学の観点からみた「自律神経失調症」は理解できましたでしょうか?簡単に言ってしまえば自律神経が失調してしまって起こる不定愁訴の総称ということになります。そして特長として、多岐にわたる症状があるにもかかわらず検査をしても異常がみつからないという点があります。こういった点が一般
の方がこの疾患に対して何となくイメージは出来ても明確にはわからないところではないでしょうか。
次に中医学の観点から「自律神経失調症」の説明をします。
引き続きNOー49をお読み下さい。