パーキンソン病は、脳神経系の病気のなかでもっとも患者数の多いもののひとつと言われています。動作が徐々に緩慢になり、筋肉のこわばりと震え、バランスが悪くなるといった症状を伴い、主に50〜60才代の方に多くみられる疾患です。
▼現代医学的パーキンソン病の治療方法▼
脳内で不足している神経伝達物質のドーパミンを補う薬「L−ドーパ」を服用します。
それにより症状をある程度改善できますが、進行を止めることはできません。また、長期間服用し続けますと、効果
が減弱し、日内変動(良くなったり悪くなったり)を起こしたり、不随意運動が見られるようになります。
▼中医学的パーキンソン病のとらえ方▼
パーキンソン病でよく見られる症状の1つに「震え」があります。
中医学的にこの震えは、主に「肝」の機能失調で起こると考えられています
(下記の中医学的からだのしくみ、〜臓腑の働き〜を一読していただくと更に理解しやすいかと思います)。
肝は筋肉をつかさどり、筋の中を流れる血が満たされていることにより円滑な動きができるのです。
エネルギーや血は年齢を重ねるにつれ消耗しやすくなり、体全体の機能が低下していきます。
原因は様々ですが(下記のタイプ別を参照してください)、この筋肉の中を流れる気・血が少なかったり、
流れが阻害されて滋養されないと「筋肉の震え」があらわれます。
症状が長引くことにより、筋肉が滋養されない部位が増えるため、症状は広範囲にわたって現れてきます。
この場合中医学では原因に基づいて、不足している気や血を補ったり、塞がった経脈(エネルギーの通
るルート)の 流れをよくするといった治療をしていきます。
体の中の気血の流れを調えることにより症状の進行を防ぐことができます。
▼中医学的からだのしくみ▼
〜「気」「血」「水」とは〜
体全体の活動源である「気」、体内の各組織に栄養を与える「血」、血液以外の体液で体を潤してくれる「水」、これらの3つが体内に十分な量
で、スムーズに流れていることにより、体の正常な状態が保たれます。
もし、これらのひとつでも流れが停滞してしまったり、不足してしまったりするとからだに変調をきたし、様々な症状がでてきます。
さらにこの状態を放置し、慢性化してしまうとお互い(気・血・水)に影響が及び症状が悪化してきてしまうのです。
〜臓腑の働きとは〜
「気・血・水」を作り出し、蓄え、排泄するといった一連の働きを担っているのがこの臓腑です。
西洋医学的な働き以外に中医学では「気・血・水」が深く関わってきます。
ですので、西洋医学と全く同じ役割分担ではありません。
ゆえに違う診たてができるのです。この点をまず理解してください。
| ★「肝」・・ |
1. |
全身の気の流れをスムーズにし、各器官の働きを助けます。
伸びやかな状態を好むため、精神的ストレスなどを受けると働きが低下し、他の器官の働きに悪影響を与えます。
この状態を「気滞」(気の流れがとどこおる)といいます。 |
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2. |
全身の血液量
をコントロールし、蓄える働きがあります。
肝の働きが弱まってしまうと血液を蓄えることが出来なくなるため肝の支配している器官の機能減退症状があらわれてきます。
例)目のかすみ、爪が割れやすくなる、手足の震えやしびれ、筋けいれんが起こりやすくなったりします。
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| ★「脾」・・ |
1. |
食べたものをエネルギー(気・血・水を主に作り出す)に変え、体全体の機能を活発にします(運化作用)。
働きが弱まってしまうと、うまくエネルギーを生み出せないために疲れやすいなど全身の機能(臓器など)が低下してしまいます。
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2. |
エネルギーを上に持ち上げる働きがあります(昇提作用)。
働きが低下すると、いいエネルギーが上にいかないために、めまい、たちくらみが起こり、さらに悪化すると子宮下垂、胃下垂、脱肛、など内臓の下垂が見られます。
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3. |
血を脈外に漏らさないよう引き締める働きがあります(固摂作用)。
働きが低下すると、不正出血、月経が早まる、青あざが出来やすくなったりします。
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| ★「腎」・・ |
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生命力の源、生殖器・発育・成長関係と深く関わります。
腎には父母から受け継いだ先天の気が蓄えられています。
このエネルギーが少なく、足りなかったりすると、成長が遅い(初潮が遅い)、免疫力が弱い、小柄などの状態があらわれます。腎のエネルギー(先天の気)は、「脾」から作り出すエネルギー(後天の気)により補充されます。
年齢が増すにつれて、腎が支配する器官の機能減退症状があらわれてきます。
例)骨や歯がもろくなる、耳が遠くなる、髪が薄くなったり、白髪が多くなる、腰痛や膝痛、尿が近くなる、夜間尿、尿切れが悪い、尿失禁など
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▼中医学的診断方法▼
個人の体質やその時々の症状、体調を考慮したうえで、治療方法を決めていきます。
そのため、同じ症状であっても人によっては治療方法が異なることがあります。
この他、食べ物の嗜好、生活習慣(睡眠時間、食欲、排便の状態など)を問診し中医学独特の診断方法である舌診、
脈診などを用いて診察していきます。
その診断に基づいて、個々の体質を把握し、その人その人に合った治療をしていきます。
▼中医学的パーキンソン病のタイプと治療法▼
●肝腎陰虚タイプ●
肝腎要といわれるようにこの2つの臓器の働きが失調することにより、体を養う「血」、潤す働きの「水」が不足し、筋肉へ栄養素が行渡らないために震えなどの症状がみられます。
また身体を冷ます作用も減少するため体の各部位に、ほてりの症状があらわれます。
○原因
加齢、その他慢性症状により体内エネルギーの消耗など
○随伴症状
手足の震え、めまい、耳鳴り、咽喉の乾き、寝汗、便秘、顔・手足がほてる、イライラ、不眠、胸のあたりが悶々とする
○治療方法
体を養う血、潤す働きを高める「滋養肝腎」の治療をしていきます。
ツボ:腎ユ、肝ユ、太渓、復溜、三陰交、内関、太衝
漢方:六味丸合四物湯
●脾虚湿困タイプ●
「脾」のエネルギーが足りないために、食べた物が気・血・水に変わらず、余分な水分が体内に停滞し、経絡(気の流れるルート)の運行を阻害します。よって手足の筋肉が滋養されず、震えなどを生じるタイプです。
○主な原因
冷たい水分・甘いもの・味の濃いもの・油っこいもの・ビール・生ものを多く摂取する、
体質的にもともと胃腸が虚弱の方
○随伴症状
水太り体質、頭が重くめまいがする、頭痛、耳鳴り、のぼせる、胸や胃のあたりがもたれる、吐き気、
嘔吐をもよおす、食欲低下、むくみ、軟便ぎみ
○治療法
脾の働きを高めることにより余分な水分の停滞を改善する「健脾益気、化湿」の治療をしていきます。
ツボ:脾ユ、胃ユ、三陰交、陰陵泉、足三里、中カン、合谷
漢方:参苓白ジュツ散
▼タイプ別にみる生活養生・食養生▼
自分のタイプ(体質)を判断できた方はこれから説明していきます、タイプに合った食養生を1つでも2つでも毎日の生活の中に取り入れ、実践してみてください。
体質が徐々に改善し体調がよくなり、症状が軽くなっていくのが実感できると思います。
●肝腎陰虚タイプ●
| ・ |
体を養う血の消耗につながる生活は避けましょう。
睡眠はしっかりとり、血を消耗させやすいパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎ、夜更かしは避けましょう。
また、サウナなどによる汗のかきすぎも血を消耗します。気をつけましょう。
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| ・ |
血を補い、体を潤す働きのある食べ物を摂るよう心がけましょう。
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| ・ |
イライラすると熱になり、更に血を損傷しますので、ヨガや気功、散歩アロマを焚くなど自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
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【食べ物】 〜体のほてりを冷まし、潤す作用のある食べ物を摂りましょう〜
| (乳製品) |
豆乳、牛乳 |
| (肉 類) |
豚の皮、鴨肉、豚肉 |
| (魚介類) |
いか、牡蠣、すっぽん(とくに甲羅の部分) |
| (野 菜) |
山芋、白きくらげ、黒きくらげ |
| (果 物) |
なし、もも、ぶどう |
| (木の実) |
クコの実、くるみ、黒ごま |
| (お 茶) |
桑の実とクコの実のお茶 |
●脾虚痰湿タイプ
| ・ |
甘いものや味付けの濃いもの、油っこい食べ物は控えましょう。
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| ・ |
水分代謝が悪いため、水分の摂りすぎには注意して下さい。また、冷たい物(アイスやジュース)は控えめにしましょう。
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| ・ |
運動は規則的にじんわり汗をかくくらいのウォーキングなどがおすすめです。汗だくになってやる必要はありません。
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| ・ |
梅雨の時期は湿気の影響を直に受けるので、この時期は食べ物に気をつけましょう。 |
【食べ物】 〜水分を排出してくれる働きのある食べ物を摂りましょう〜
| (穀類) |
はと麦、とうもろこし、小豆、黒豆 |
| (野菜) |
冬瓜、白菜、山芋、トマト、チンゲンサイ |
| (魚類) |
こい、ふな |
| (果物) |
すいか、ぶどう、メロン |
▼その他日常生活での注意点
| ・ |
散歩など適当な運動を続けることが大切です。特に筋肉を柔らかくするストレッチ体操は重要です。決して無理をせず、疲れない程度に行ないます。
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| ・ |
食べ物をうまく飲み込めない場合は、食物を細かく刻んだり、やわらかく煮たり、すりつぶしたりしながら食べやすい調理方法で楽しく食事をしましょう。 |
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